JP4270985B2 - 椅子のバックレスト - Google Patents

Description

本発明は、支持構造部、上バックレスト部、下バックレスト部、および両バックレスト部の相対位置を調節する手段を備えた椅子用バックレスト（背もたれ）に関する。

本件出願人は、上バックレスト部および下バックレスト部を支持する構造部を備えた椅子用バックレストを既に発明している。当該上バックレスト部および下バックレスト部は、それぞれの横方向軸を中心として、互いに独立して回動可能としている（特許文献１）。

国際公開第０１/９３７２３号公報

この椅子用バックレストにおいては、下バックレスト部の位置は、鉛直方向に調節が可能であり、２つのバックレスト部のそれぞれは、互いに別の弾性部材と関連していて、各バックレスト部は所定のレスト位置に維持される。これにより、各バックレスト部が横方向軸の回りに揺動することに対して弾性的な反力が生じる。

本発明の目的は、従来例のものに比べて構造がシンプルで、より少数の部材で構成されていて、使用感も良好な、改良された椅子用バックレストを提供することである。

本発明により、以下の特徴を備えた椅子用バックレストが提供される。すなわち、本発明のバックレストは、
−支持構造部と、
−支持構造部に揺動可能に取り付けられた上バックレスト部と、
−下バックレスト部と、
−上バックレスト部と下バックレスト部との鉛直方向における相対位置を調節する調節手段と、を備えている。
上記調節手段は、上バックレスト部または下バックレスト部のいずれか一方に固定されるとともに、他方の内側において入子式にスライド可能な接続要素を含んでいる。当該接続要素は、弾性的に変形可能な変形領域を少なくとも１つ備えていて、上バックレスト部と下バックレスト部との相対的な角度位置が変動することの結果として、両バックレスト部の少なくとも一方に対して弾性力を負荷する。

上記構造を有する本発明の椅子用バックレストは、構造がシンプルで、使用感も良好である。

本発明の実施形態を添付の図面を参照して以下に詳細に説明する。図１〜図５に、本発明の第１実施形態に係るバックレスト１０を示した。バックレスト１０は支持構造部１２を備え、支持構造部１２は、互いに間隔をおいて配置された２つの金属製直立材１４で構成されている。

図３および図４に部分的に示したように、各直立材１４は、底部から頂部に向かって、水平部１６、湾曲部１８、中間部２０、および上端部２２を有する。２つの直立材１４は、下方の水平部１６間に延在する横断部材２４によって互いに連結されている。水平部１６の端部は固定部２６を有していて、これにより、バックレスト１０を椅子に接続することができる。

バックレスト１０は、例えば、図２に参照番号２７で概略的に示した機構部に接続されて、これにより、例えば、本出願による欧州特許第１０５７４２９号明細書に説明したタイプのシートとバックレストとの同期した揺動を与える。

特に図５に示したように、２つの直立材１４の中間部２０は互いに平行である。これに対して、上端部２２は、互いに外方へと拡がっている。図１〜図３に示したように、中間部２０は、ガイド溝２８を有している。ガイド溝２８の機能は、後に明らかとなる。図１および図２に示したように、直立材１４の中間部２０は、側方から見ると、椅子前方に膨出するようにやや湾曲している。

バックレスト１０は、上バックレスト部３０と下バックレスト部３２とを備える。上バックレスト部３０は、後方支持体３４を備えている。後方支持体３４は、プラスチック材料から型成形されていて、椅子の後方へと向かって落ち込むような浅い殻状に構成されている。図７および図８に詳細に示したように、上バックレスト部３０は、後方支持体３４に固定されたクッション材３６を備えている。クッション材３６は、クッション層４０を支える硬質の支持プレート３８と、カバー層４２とで構成される。

上バックレスト部３０の後方支持体３４は、横方向軸４４を中心として関節のごとく回動可能に、直立材１４の上端部２２に接続されている（関節接続）。後方支持体３４と直立材１４の上端部２２との関節接続は、図７に示したように構成されるのが好ましい。後方支持体３４は、一体的に構成されたほぼ半円筒形の突出部分４６を備える。突出部分４６は、直立材１４の上端部２２の内側に位置する２つの対向横壁４８を備える。

突出部分４６の両横壁４８は、一直線上に位置する孔を有していて、そこにスクリュー５０が係合する。各スクリュー５０は、ヘッド５２と、関節係合部５４と、ネジ部５６と、を備える。ヘッド５２は、突出部分４６の内側に位置する。関節係合部５４は、横壁４８の孔に係合する。ネジ部５６は、直立材１４の上端部２２に形成された対応するネジ穴に係合する。

図１〜図６を参照すると、下バックレスト部３２は、後方支持体５８を備える。後方支持体５８は、プラスチック材料から型成形されることが好ましい。椅子の後方へと向かって落ち込むような殻状に構成されることが好ましい。後方支持体５８は、第２の横方向軸６２を中心として関節のごとく回動可能に、一対のスライドブロック６０に連結されている。横方向軸６２は、上バックレスト部３０の横方向軸（回動軸）４４と平行である。

スライドブロック６０は、鉛直方向にスライド可能に、直立材１４の中間部２０と係合している。特に図６を参照すると、後方支持体５８とスライドブロック６０との関節接続は、上バックレスト部３０の場合と同様に構成されることが好ましい。ここでも、後方支持体５８は、ほぼ半円筒形の突出部分６４を有していて、突出部分６４が２つのスクリュー６６によってスライドブロック６０に関節接続されている。各スクリュー６６は、上述のスクリュー５０と同様のものである。

後方支持体５８は、その背面に、グリップ領域６７を備えていることが好ましい。使用者は、このグリップ領域６７を掴んで、下バックレスト部３２の鉛直方向位置を手で調節することができる。

図６に示したように、２つのスライドブロック６０のそれぞれは、各直立材１４の中間部２０に形成されたガイド溝２８にスナップフィットするように構成されることが好ましい。各スライドブロック６０は、キャビティ６８を備えている。キャビティ６８により、２つのスナップ係合部７０が構成され、これらは、ガイド溝２８にスライド自由に係合する。スライドブロック６０は、直立材１４の中間部２０に沿ってスライド自由である。ガイド溝２８の上端および下端は、スライドブロック６０のスライド範囲の上端および下端を定める。

図６を参照すると、下バックレスト部３２は、後方支持体５８に固定されたクッション材７２を備える。クッション材７２は、クッション層７６を支える硬質の支持プレート７４と、カバー層７８とで構成される。

本発明のバックレスト１０には、接続要素８０が設けられている。接続要素８０は、上バックレスト部３０と下バックレスト部３２とを構造的に接続する。図示した具体例においては、接続要素８０は、湾曲したプレート形状であって、下バックレスト部３２の後方支持体５８と一体化されている。接続要素８０は、後方支持体５８の上端縁から突出していて、上バックレスト部３０内で入子式に鉛直方向に移動可能である。

接続要素８０は、２つのバックレスト要素３０および３２間に弾性的な反動を与える。この反動は、２つの要素３０、３２の相対的な角度位置が変動することの結果として生じる。接続要素８０は、弾性的に変形可能な変形可能領域８２を有する。変形可能領域８２は、半円筒形の突出部によって形成されている。この半円筒形突出部は、直線を回転させて得られる形状を有していて、上記回転軸４４、６２と平行な直線８４に沿って変形可能である。直線８４は、下バックレスト部３２の回転軸６２の上方に位置し、ほぼ下バックレスト部３２の上端縁に沿って延在している。変形可能領域８２は、２つのスルーカット８６間で横方向に延在している。

変形可能領域８２の上方に延在する接続要素８０の部分は、上バックレスト部３０の後方支持体３２の曲率半径に対応する曲率半径をもって湾曲している。接続要素８０のこの部分は、その湾曲形状が剛性を付与しているため、変形不可能となっている。したがって、接続要素８０の弾性的かつ柔軟な変形は、変形可能領域８２の直線８４の部分に集中する。

接続要素８０の上部は、一体的な２つのウイング８８を備える。ウイング８８は、接続要素８０の中央部９０から、バックレスト前方部分に向かって僅かに突出している。ウイング８８は、突出する歯９２を備えている。図８に示したように、歯９２は、上バックレスト部３０の支持プレート３８に形成された孔（または切目）９４と係合する。孔９４は、鉛直方向に等間隔で配置されていて、種々の保持位置を提供している。

図１および図２に示したように、下バックレスト部３２の位置は、最上位置（図１）と最下位置（図２）との間で鉛直方向に調整可能である。下バックレスト部３２は、図１および図２に示した２つの端部位置の間の位置にも保持可能である。図８に示したように歯９２が孔（または切目）９４と係合することで、下バックレスト部３２は選択された位置に保持される。下バックレスト部３２の鉛直方向位置を変更するために、使用者は、側方のグリップ領域６７を掴んで、歯９２による保持力に打ち勝つのに十分な力をもって、下バックレスト部３２を上方または下方へと移動させる。歯９２と孔９４とが係合することによって、下バックレスト部３２は、選択された位置に安定して保持される。

使用者が自分の背中をバックレスト１０に押し当てるように座ると、上下２つのバックレスト部３０、３２が、ぞれぞれの回動軸を中心として揺動して、自動的に使用者の背中形状に適合する。両バックレスト部３０、３２間の相対的な角度位置がレスト位置から変化することに起因して、接続要素８０がその変形可能領域８２に沿って変形する。この変形により、両バックレスト部３０、３２上に弾性的な反動が生じ、結果として、接続要素８０の弾性変形に比例した大きさの反力が背中に作用する。接続要素８０は、弾性的な反力を両バックレスト部３０、３２上に生じさせ、これにより、人間工学および使用感という観点から非常に好ましい結果を生じさせる。

図９〜図１２は、本発明のバックレストの別例を示している。既に説明したものと同じ部分については、同じ参照数字を付している。上述の具体例と比べると、この例では、下バックレスト部３２を直立材１４に接続するスライドブロック６０が省略されている。この例では、下バックレスト部は、接続要素８０のみによって直接的に（単独で）支持されている。この接続要素８０は、概念的には、既に説明したものと同じように構成されている。

この例においても、接続要素８０を上バックレスト部３０内で入子式にスライドさせることで、下バックレスト部３２の鉛直方向位置を調整することが可能である。グリップ領域６７は、下バックレスト部３２の下端部に沿って配置した突出部で構成されている。この例においても、接続要素８０は、弾性的に変形可能な領域８２を有していて、その直線状の変形ラインに沿って、接続要素８０の変形が集中する。

上バックレスト部３０は、例えば参照数字９８で概略的に示した弾性材料からなる変形可能要素を用いて、直立材１４の上端に接続されている。この変形可能要素により、上バックレスト部３０は、上述の具体例での関節接続の場合と同じように揺動できる。

図９および図１１は、下バックレスト部３２が最上位置にある状態を示していて、図１０および図１２は、下バックレスト部３２が最下位置にある状態を示している。この例においても、下バックレスト部３２は、２つの端部位置の間の位置にも保持可能である。上述の具体例の場合と同様に、使用者が自分の背中をバックレスト１０に押し当てるように座ると、上下２つのバックレスト部３０、３２が自動的に使用者の背中形状に適合し、接続要素８０の弾性変形に比例した大きさの反力を背中に作用させる。

本発明のバックレストは、以上に説明したものの他にも多様な形態とすることが可能である。例えば、接続要素８０を上バックレスト部３０で支持し、下バックレスト部３２内において入子式に移動可能なものとすることができる。また、接続要素８０は、両バックレスト部３０、３２のいずれか一方の後方支持体と一体形成されたものに代えて、そこに固定される別個の要素とすることも可能である。接続要素８０には、２またはそれ以上の弾性変形可能な領域を設けることもできる。

図１３および図１４は、本発明の別例を示している。この例においては、下バックレスト部３２は、ベース構造部１２に対して、固定または揺動可能とすることができる。また、下バックレスト部３２は、１つの構造部材から構成することも、上述の具体例の場合のように２つの構造部材から構成することもできる。

上バックレスト部３０は、ヘッドレストの形態とされていて、下バックレスト部３２内で入子式にスライド可能な接続要素８０を備えている。接続要素８０は、ヘッドレスト３０に固定されてもよいし、ヘッドレストの後方支持体３４と一体的に構成されてもよい。

接続要素８０は、下バックレスト部３２に対して相対的にスライド可能であって、これにより、バックレストの鉛直方向位置を調整することができる。接続要素８０に設けられた保持手段は、下バックレスト部３２と協働して、バックレストを選択された鉛直方向位置に保持する。既に説明したように、接続要素８０は、湾曲したプレート状であって、弾性変形可能な領域８２を有している。変形可能領域８２の存在により、使用者がその後頭部を後方へ押し当てたとき、バックレストが揺動可能となる。

本発明のバックレストを１つの動作位置において示す側面図である。 図１のバックレストを他の動作位置において示す側面図である。 本発明のバックレストの後方斜視図である。 図３のバックレストの前方斜視図である。クッション材は省略している。 本発明のバックレストを備えた椅子の背面図である。 図５中のVI- VI線断面図である。 図５中のVII- VII線断面図である。 図５中のVIII- VIII線断面図である。 本発明の別実施例のバックレストを１つの動作位置において示す側面図である。 図９のバックレストを他の動作位置において示す側面図である。 図９に対応するバックレストの背面図である。 図１０に対応するバックレストの背面図である。 本発明のバックレストのさらに別例を示す側面図である。 図１３のバックレストの正面図である。

符号の説明

１０ バックレスト
１２ 支持構造部
１４ 直立材
１６ 水平部
１８ 湾曲部
２０ 中間部
２２ 上端部
２６ 固定部
２７ 機構部
２８ ガイド溝
３０ 上バックレスト部
３２ 下バックレスト部
３４ 後方支持体
３６ クッション材
３８ 支持プレート
４０ クッション層
４２ カバー層
４４ 横方向軸
４６ 突出部分
４８ 対向横壁
５０ スクリュー
５２ ヘッド
５４ 関節係合部
５６ ネジ部
５８ 後方支持体
６０ スライドブロック
６２ 横方向軸
６４ 突出部分
６６ スクリュー
６７ グリップ領域
６８ キャビティ
７０ スナップ係合部
７２ クッション材
７４ 支持プレート
７６ クッション層
７８ カバー層
８０ 接続要素
８２ 変形可能領域
８４ 変形可能直線
８６ スルーカット
８８ ウイング
９０ 中央部
９２ 歯
９４ 孔
９８ 弾性変形可能要素

Claims (11)

1. 椅子用のバックレストであって、
   −支持構造部（１２）と、
   −支持構造部（１２）に揺動可能に取り付けられた上バックレスト部（３０）と、
   −下バックレスト部（３２）と、
   −上バックレスト部（３０）と下バックレスト部（３２）との鉛直方向における相対位置を調節する調節手段と、を備えていて、
   上記調節手段は、上バックレスト部（３０）または下バックレスト部（３２）のいずれか一方に固定されるとともに、他方の内側において入子式にスライド可能であって、実質的に湾曲したプレート形状である接続要素（８０）を含んでいて、
   当該接続要素（８０）は、弾性的に変形可能な変形領域（８２）を少なくとも１つ備えていて、上バックレスト部（３０）と下バックレスト部（３２）との相対的な角度位置が変動することの結果として、両バックレスト部（３０、３２）の少なくとも一方に対して弾性力を負荷し得ることを特徴とする、バックレスト。
2. 上記変形領域（８２）は、直線状の変形線（８４）を少なくとも１つ有する実質的に半円筒状の突出部で構成されていることを特徴とする、請求項１記載のバックレスト。
3. 上記接続要素（８０）は保持手段（９２）を備えていて、保持手段（９２）は、補足的な他の保持手段（９４）と協働して、移動可能な上記上バックレスト部（３０）および下バックレスト部（３２）を、鉛直方向の選択された位置に保持することを特徴とする、請求項１記載のバックレスト。
4. 上記上バックレスト部（３０）および下バックレスト部（３２）の少なくとも一方が、上記接続要素（８０）を構成する一体的な突出部分を有する後方支持体（５８）を備えることを特徴とする、請求項１記載のバックレスト。
5. 上記上バックレスト部（３０）は、第１横方向軸（４４）を中心として関節のように回動可能に、支持構造部（１２）に接続されていることを特徴とする、請求項１記載のバックレスト。
6. 上記下バックレスト部（３２）は、上記第１横方向軸（４４）と平行な第２横方向軸（６２）を中心として関節のように回動可能に、支持構造部（１２）に接続されていることを特徴とする、請求項５記載のバックレスト。
7. 上記第２横方向軸（６２）は、一対の直立材（１４）に対して鉛直方向にスライド可能に係合する一対のスライドブロック（６０）に支持されていることを特徴とする、請求項６記載のバックレスト。
8. 上記上バックレスト部（３０）は、弾性変形可能な一対の要素（９８）によって、支持構造部（１２）に接続されていることを特徴とする、請求項１記載のバックレスト。
9. 上記下バックレスト部（３２）は、上記接続要素（８０）によって、単独に支持されていることを特徴とする、請求項１記載のバックレスト。
10. 上記接続要素（８０）は、上バックレスト部（３０）に固定されていて、下バックレスト部（３２）の内側において入子式にスライド可能であることを特徴とする、請求項１記載のバックレスト。
11. 上記上バックレスト部（３０）は、ヘッドレストの形態に構成されていることを特徴とする、請求項１０記載のバックレスト。

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