JP4270285B2 - 血液成分収納容器と該血液成分収納容器を連結した血液成分収納具 - Google Patents

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本発明は、血液成分収納容器、および該血液成分収納容器を連結した血液成分収納具に関する。
近年、輸血における患者の血液循環負荷の軽減、あるいは副作用の防止等の理由により全血で行うケースは減少しており、不必要な輸血は行わず、患者が必要としている血液成分だけ補充し、また必要な血液成分のみ供血者より採取して他の成分は戻してやる採血法(血液アフェレーシス法)も増加している。しかし、従来の血液バッグで成分輸血を行う際、特に血小板を保存する場合は問題が生じる。即ち、血小板を保存する際の細胞の生存性能力(Viability)は保存容器の気体透過性が大きく影響し、現行の塩化ビニル製血液バッグで濃厚血小板を保存するとpH低下が著しく、機能劣化が早まる。そのため、血小板保存の有効期間は採血後の短期間に制約され、医療機関や供血者は著しく不便を被っていた。
そこで、血液保存容器を供給するメーカーでは気体透過性を向上させるために、塩化ビニル樹脂に添加する可塑剤の種類または量の変更、あるいは気体透過性の良好なポリオレフィンを保存容器の素材として使用する等の努力を行ってきた。しかし、ジ−2−エチルヘキシルフタレート(以下、DEHPとも言う)をはじめほとんど可塑剤は可塑化効率が高いため、多量に添加すると血液バッグとしての機械的強度が減少し、成形や加工が困難になってしまう。そのため、塩化ビニル樹脂へ可塑剤の添加量は制限され、制限された量の可塑剤では要求する気体透過性を得ることはできなかった。
さらに、多くの可塑剤は生体適合性に欠け、特にDEHPは血小板の凝集能を抑制することが報告されており、輸血時の塑剤の溶出を考えると、血液保存容器に上記可塑剤を大過剰に添加することは好ましいことではなかった。また、従来の軟質塩化ビニル樹脂に共通する欠点として、低温における柔軟性[flexibility]の低下や物理的強度[mechanicalstrength]の著しい低下がある。例えば、従来の塩化ビニル樹脂製血液バッグは−20℃程度より低温で凍結させると破損することが多いので、血しょうの凍結保存する際には注意して取り扱わなければならず、取扱いに困難が伴った。また、赤血球を保存する温度は4℃程度が望ましいが、塩化ビニル樹脂製血液バッグはこの程度の温度での保存でも柔軟性が低下して取扱いが不便であった。
一方、ポリオレフィン樹脂は溶出の可能性のある可塑剤を添加しておらず、また素材を選択することで気体透過性の良好なものを得ることができる。しかし、ポリオレフィン樹脂製の血液バッグは塩化ビニル樹脂製のものに比べて血液細胞の付着が多いことが認められている。また、ポリオレフィン樹脂は、成形性、加工性の点で塩化ビニル樹脂に劣り、塩化ビニル樹脂に比べて硬いため、成形した容器は取扱いにくい欠点を有する。さらに樹脂の価格も塩化ビニル樹脂に比較して高価である。従って、安価で成形性、加工性の良い塩化ビニル樹脂を使用して、それに配合する可塑剤を変えることによって、医療用容器の長期間における細胞保存性を向上させる試みがしばしば行われてきた。
本発明に使用する可塑剤のフタル酸ジウンデシル(以下、場合によりDUPと略す)はDEHPに比較して、塩化ビニル樹脂に吸収難く、そのため塩化ビニル樹脂と均一に混合し難い。可塑剤と塩化ビニル樹脂とが均一に混合しないと、樹脂の成形、加工が困難であり、また可塑剤が成形品の表面に溶出する等の問題があった。そのため、DUPは該可塑剤を配合した樹脂の成形、加工性、そして成形品の強度や低い溶出性等の点でDEHPより優れた特徴を有しながら、塩化ビニル樹脂と混合しにくいため、実質的に医療用材料、特に血液バッグ等の医療用容器として使用することが困難であった。
特開昭61−33661号公報 特開昭59−164354号公報 特開昭58−29465号公報
本発明の目的は、全血および種々の血液成分の保存対象、保存方法、保存条件に対応可能な血液成分収納容器、および該血液成分収納容器を使用することで種々の保存する内容物や保存方法、温度条件によって血液成分を収納する容器を換たり、あるいは選択する煩わしさが無い血液成分収納具を提供することにある。
大きな気体透過性を血液あるいは血液成分収納容器に付与させるためには、該収納容器を形成する軟質塩化ビニル樹脂は、該樹脂レジンに対して可塑剤を多量に含ませたものである必要がある。しかしながら、大きな気体透過性を付与するために、軟質塩化ビニル樹脂レジンに通常使用されているDEHPのような可塑剤を多量に添加すると成形や加工が困難になり、また機械的強度が減少して医療用容器としての機械的強度が不足してしまう。そのため、塩化ビニル樹脂レジンへDEHP等の可塑剤の添加量は制限され、成形や加工が可能で、かつ機械的強度を満足させる制限された可塑剤の含有量では、本発明の容器、例えば血液細胞特に血小板保存用容器の要求する気体透過性を得ることはできない。
本発明者らは様々の検討を行った結果、DUPが塩化ビニル樹脂の内、特に開孔度等、特定の物理的性状の塩化ビニル樹脂を使用することによって塩化ビニル樹脂内によく吸収され、塩化ビニル樹脂とDUPとが容易に均一に混合できることを見出した。また、塩化ビニル樹脂に配合するDUPの量をいろいろ変えて検討した結果、DUPは他の可塑剤と比較して可塑化効率が低いこと、所定の範囲内において塩化ビニル樹脂にDUPを多量に配合しても、樹脂の成形性や加工性が大きく劣化することがなく、また成形した容器は必要な強度を保持すること等が判明した。本発明の容器は充分量のDUPが配合されたため、他の可塑剤を使用した場合では得られないような高い気体透過性を有する血液成分収納容器を得ることができる。また、この血液成分収納容器は充分量の可塑剤のため、容器の柔軟性が増大し、その結果、血小板等の血液細胞を長期間保存したときの細胞分散性が向上する。そして、前記の高気体透過性の効果と相乗して、細胞の長期保存性が改善される。
また、本発明の容器は充分量の可塑剤を配合されているため、低温下での柔軟性の低下が抑制され、凍結時における耐衝撃性に優れている。そのため、本容器は血小板保存容器としてのみならず、低温下での赤血球保存や血しょう凍結保存の目的で使用することができる。そして、保存する内容物や保存方法、温度等の条件によって血液バッグを換たり、選択する煩わしさが無くなる。例えば、成分輸血をするための血液バッグとして、3個のバッグをチューブによって連結したものがある。この血液バッグは、採取した全血を貯溜する第1バッグ(これは血液を各成分に分別した後に赤血球を保存するバッグでもある)と、血小板濃厚液を保存する第2バッグと、血しょうを保存する第3バッグとからなる。この3個のバッグは血液を分別する前には連結されているが、収納する成分が異なるため、各血液成分をそれぞれのバッグに収納した後は切り離されて、異なる方法と条件で保存され、中には凍結保存されるものもある。そのため、それぞれのバッグは素材を変えて作製するのが理想であるが、現実的には困難であり、コストアップの要因となる。従って、単一の素材で種々の保存対象、保存方法、保存条件に対応できる本発明の容器は非常に有用である。
さらに、本発明の容器は他の可塑剤を同量配合した容器に比較して、容器内収納物への可塑剤の溶出量が少ない。そのため、本発明の容器は溶出した可塑剤による血液細胞の損傷や機能低下等の欠点が緩和され、血液適合性の点においても優れた特徴を有する。以上のように、塩化ビニル樹脂に配合する可塑剤としてDUPを使用すると、以下に示すような優れた特性を有する全血および血液成分収納用容器が得られた。第1に従来の可塑剤では得られなかった高い気体透過性が得られる。第2に容器の柔軟性が増加しそのため容器内に収納される細胞の保存時における細胞分散性が改善される。そして、第3に第1及び第2の効果が相乗することによって、長期間の細胞保存性にも優れている。第4に可塑剤の溶出量も低く抑えられ、血液適合性の点でも優れている。第5に低温時における柔軟性の低下や凍結時の破容器が抑制できる。
本発明の容器を構成するポリ塩化ビニル樹脂としては、ポリ塩化ビニル樹脂レジン100重量部に対してDUPを50部以上配合することが望ましい(従来から可塑剤として使用されているDEHPは50重量部以上ポリ塩化ビニルに配合して成形することは困難であった)。しかし、高い気体透過性や柔軟性を得るためにDUPを可塑剤として使用した場合でも、ポリ塩化ビニル100重量部に対して130部以上配合すると、使用に耐えうる容器を作製することは困難となる。即ち、ポリ塩化ビニルに配合する可塑剤が少なすぎると気体透過性や柔軟性が充分でなく、逆に可塑剤が多すぎると塩化ビニル樹脂の成形、加工が困難となり、また成形された容器の機械的強度も規格を達成することができなくなる。さらに可塑剤が過剰に存在するために容器の表面から可塑剤が溶出し易くなる欠点を有する。
従って、本発明の容器を作製するためには、ポリ塩化ビニル樹脂としては、塩化ビニル樹脂レジン100重量部に対してDUPを50〜120重量部、より好ましくは70〜100重量部を配合させたものが好ましい。可塑剤としては、前記のようにDUPを単独で使用する場合のみならず、本発明の目的を達成し得る範囲内でDUP以外に他の種類の可塑剤も併用することができる。ただし、DUP以外の他種類の可塑剤量は、塩化ビニル樹脂組成物全重量に対して50重量%を越えるような多量であってはならず、好ましくは8重量%未満である。
また、容器の気体透過性は容器の収納部のシート肉厚や内表面積にも影響される。従って、例えば血小板を72〜120時間保存する場合に使用する血小板保存容器ではシート肉厚は0.20〜0.45mmのものが好ましく、0.32〜0.42mmのものがより好ましい。シート肉厚が0.20mm未満では血液細胞保存容器として十分な強度(例えば、滅菌の際や血液収納した状態で輸送する場合でも耐え得る強度)が得られず、逆にシート肉厚が0.45mmを超えると、気体透過性が低下し血小板の長時間の保存を行うことができない。また、前記血小板保存容器の有効内表面積は100〜1000cm2である。この有効内表面積が小さ過ぎると、必要な気体透過性が得られず、逆に有効内表面積が大き過ぎると、容器が大型化して操作性が悪くなるからである。
また、保存する血小板の数によって好適な寸法の容器があり、5〜10単位(1単位は2・1010個の血小板を含む)の血小板を長期間保存するためには、好ましくは前記収納部の有効内表面積が600〜700cm2の容器、例えば容量が600mlで、有効内表面積は600〜700cm2のものが挙げられる。また、10〜20単位の血小板を長期間保存するためには、好ましくは有効内表面積は700〜800cm2の容器、例えば容量は800mlで有効内表面積は700〜800cm2のものが挙げられる。前記のように所定の血小板単位数に対する保存容器の内表面積が小さすぎると必要な気体透過性が得られず、逆に大きくても容器が大型化して操作性が悪くなる。血液細胞保存容器、特に血小板保存容器を構成するシートの気体透過性は、酸素気体透過性が9.0×10−10〜22.0×10−10cc・cm/cm・sec・cmHg/22℃、二酸化炭素透過性が6.0×10−9〜19.0×10−9cc・cm/cm・sec・cmHg/22℃であるのが好ましい。気体透過性は高ければ高いほど良いというものではなく、高すぎると多量の酸素が容器内に透過して細胞浮遊液を高pHにして、細胞に悪い影響を与える。
目視による細胞分散性の評価を示す結果より、DUPの添加量の異なる血液保存容器において、DUPの添加量の多い血液保存容器の方が血小板の沈殿や付着が少ないことが判明した。これはDUPの添加量を増加するにしたがって血液保存容器が柔軟になり、振盪しながら保存する際に、容器全体がしなやかに揺り動かされるため、細胞のシートへの沈着が起こり難いものと推測される。従って、本発明の血液成分収納容器は、該容器を構成するポリ塩化ビニル樹脂として、所定量のDUPを配合したものを使用することにより、容器に高い気体透過性が付与されただけでなく、該容器の柔軟性が改善され、これらの2つの効果が相乗することによって優れた血小板保存性が得られたものと考えられる。
しかし、容器は柔軟であればあるほど良いというものではなく、遠心や滅菌等の操作を行うために、容器として所定の大きさの機械的強度が必要であるし、また容器の機械的強度あるいは前記の気体透過性等の血液保存容器あるいは血小板保存容器に必要な他の物性とのバランスがとれていることも重要である。そのため、血小板や赤血球等を保存する血球の保存容器としは、JIS基準K7215による硬度が20〜30、JIS基準K7113による強度が1.2〜1.6kgf/mm2であることが好ましい。
本発明で使用する塩化ビニル樹脂は、前記のようにDUPを配合でき、かつ十分な機械的な強度を有する容器を作製することができるものであればその種類は特に制限されるものではない。例えば、塩化ビニルのみからなる単独重合体以外に塩化ビニルとその他の共重合し得る単量体(例えば、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、エチレン、プロピレン、スチレン、アクリル酸、アルキルアクリレート、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等)との共重合体等が挙げられる。前記塩化ビニル樹脂の平均重合度は特に限定されないが、1000〜2500の範囲の重合度が成形性、加工性、強度の点で好ましい。また、既述したように塩化ビニル樹脂とDUPとは均一に混合し難いので、それを解決するためにDUPを吸収し易い塩化ビニル樹脂を使用するのが好ましい。
塩化ビニル樹脂レジンのDUPの吸収性は、種々の要件によって影響されるが、その要件として、例えば塩化ビニル樹脂レジンの開孔度(Porosity)が挙げられる。前記塩化ビニル樹脂レジンの開孔度(Porosity)は10〜50cc/100gPVC、さらに好ましくは20〜40cc/100gPVCの範囲である。前記塩化ビニル樹脂レジンの開孔度(Porosity)が10cc/100gPVC以下ではDUPを吸収しにくい。逆に開孔度(Porosity)の大きいものはDUPの吸収性は向上するが、嵩比重が小さくなり、塩化ビニル樹脂の特性(例えば、強度や成形性等)を損なう。塩化ビニル樹脂内にDUPが吸収されることによって、樹脂を成形、加工する際に取扱い易くなる。また、成形する樹脂が均一なものとなるので、樹脂からの可塑剤の溶出量を減少でき、且つ品質をコントロールし易くなる。また、塩化ビニル樹脂の粒径は、ある程度大きい方が配合後の組成物の流動性が良く、取扱い易いので50〜250マイクロメートル、好ましくは100〜200マイクロメートルの粒径のものが選択される。また、前記塩化ビニル樹脂には必要に応じて、安定剤兼補助可塑剤としてエポキシ化植物(大豆)油、安定剤としてカルシウム、亜鉛、ステアリン酸、ラウリン酸、滑剤、酸化防止剤等を配合しても良い。
前記の記載では、もっとも気体透過性や柔軟性が細胞の保存に影響を与えると考えられる血小板保存を目的とする場合について本発明を説明したが、勿論医療用容器は、赤血球や白血球、血しょう等のその他の血液成分、或いは全血を保存する目的でも、好適に使用することができる。ただ、赤血球や血しょうのみを保存する容器、或いは収納部分の気体透過性や柔軟性は前記のような範囲に限定されることを必要とするものではない。これらの容器や収納部分の気体透過性や柔軟性は必要に応じて変えることも可能である。凍結用保存容器や凍結用収納部分のシート肉厚は、血小板保存用や赤血球保存用のものよりやや厚くなるように0.4〜0.5mmにすると、破袋防止に有効である。
本発明の容器の1実施態様を図1に示す。血小板保存容器1は、DUPを添加して得られた塩化ビニル樹脂製の容器である。該血小板保存容器1は、採血容器(図示せず)に連なる柔軟な導入チューブ2と保存した血小板を輸注するための輸血口3、4及び血小板保存に収納した血小板浮遊液から分別した成分を取り出すための排出チューブ5とを有して構成される。前記血小板保存容器1の導管2の先端には、採血容器に代えて血しょう保存容器等を連結することができる。
本発明の特定の物性を有する塩化ビニル系樹脂シートで形成された容器は前記特定の物理的性状を有するものであれば、全血および種々の血液成分の保存対象、保存方法、保存条件に対応可能である。また、前記特定の物理的性状の塩化ビニル系樹脂シートで作製された容器を使用すれば、該容器の複数個を連結して使用する場合であっても、保存する内容物や保存方法、温度条件によって容器を換たり、あるいは選択する煩わしさが無くなるので、本発明の容器は非常に有用である。さらに、本発明の容器は他の可塑剤を同量配合した容器に比較して可塑剤の溶出量が少ない。そのため、本発明の容器は溶出した可塑剤による血液細胞の損傷や機能低下等の欠点が緩和され、血液適合性の点においても優れた特徴を有する。さらに低温時における柔軟性の低下や凍結時の破袋が抑制できる血液細胞の凍結保存用容器を得ることができた。
容器の製造と評価
実施例1
1.容器の製造
塩化ビニル樹脂100重量部レジンに対し、65、80および90重量部のDUPを配合した塩化ビニル樹脂製シートおよびポリオレフィンシートから、容量が200mlのバッグを作製した。なお、シートの膜厚は400マイクロメートルに統一した。塩化ビニル樹脂レジンとして、S−1004(商品名:鐘淵化学社製、重合度1400、開孔度28)を使用した。なお、本実施例を含めて本発明では、塩化ビニル樹脂の開孔度とは、水銀圧入法ポロティーメーター(米国AMINOCO社製、5−7118型)を使用して、絶対圧31psiから1011psiに高める間に樹脂100gに圧入される水銀の容量を言う。
2.血小板濃厚液(以下、PCと略す)の準備
アフェレーシス(成分採血)法により所定の濃度(8.0×105個/mm3)に調製された濃厚血小板(PC)を採取した。
3.PCの細胞分散性の評価
前記バッグにヒト由来の血小板6単位(含血小板数:1.2×1011個)を含むPC約150mlを分注した。そして各容器を水平振盪機に乗せ、22℃、60rpm/minにて5日間保存した。5日間保存後、各バッグの表面を観察した。
4.気体透過性の測定
上記で作製した血小板保存容器のシートを使用して、気体透過性を測定した。これらのシートを境として酸素高圧部(2〜3kg/cm2)と酸素低圧部(真空)の状態をつくり、シートを透過して高圧部から低圧部に移行する酸素量を測定して酸素の透過性を測定した。二酸化炭素の透過性も同様な方法によって行った。なお、上記の気体透過性についてはガス透過率測定装置(GTR−10:柳本製)を使用した。
(結果)
5.血小板の分散性評価それぞれの材料から成形した血小板保存容器内の血小板分散性を表1に示した。ポリオレフィン製容器に比較して、DUPを配合した塩化ビニル樹脂製容器の内壁への血小板の沈殿、付着は少ない。また、DUPを配合した容器の中ではDUPの配合量が増加するに従って、血小板の沈殿、付着が減少することが判る。この血小板の沈殿が少ない程、内容液の撹拌性が優れていることを示し、細胞保存した場合に沈殿、付着しない方が代謝、ガス交換等が効率的に行われるので、好ましい。その作用機構は不明であるが、恐らく可塑剤を配合したために容器の柔軟性が増加し、その結果振盪した際の撹拌性が改善されたためではないかと考えられる。
Figure 0004270285
[++:多数沈着、+:少量沈着、+/−:微量沈着、−:沈着なし]
6.容器の気体透過性
上記の血小板保存容器の気体透過性を表2に示す。この表より、ポリオレフィン製の容器や可塑剤としてDEHPを配合した塩化ビニル樹脂製の容器よりも、DUPを配合した塩化ビニル樹脂製の容器の方が気体透過性に優れており、さらにDUPを配合した塩化ビニル樹脂製の容器の中ではDUPの配合量が多いほど、気体透過性が優れていることが判る。
Figure 0004270285
実施例2
1.容器の成形
実施例1と同じように、DUPを配合した3種類の塩化ビニル樹脂製の血小板保存容器を作製した。また比較のため、前記容器と同じ塩化ビニル樹脂レジン100重量部に対して、可塑剤DEHP(ジ−2−エチルヘキシルフタレート)を50重量部配合して血小板保存容器を作製した。該容器はDUP添加血小板保存容器と比較して、シート膜厚及び容量は同一である。
2.PCの採取
実施例1と同じ方法によってPCを準備した。
3.長期保存後の血小板機能の評価
血小板機能の評価は以下の各パラメーターによって行った。
a.血小板自動血球計数装置(Sysmex Model E−5000;東亜医用電子社製)を使用して行った。
b.血しょうpHpHメーター〔EA−920:(株)日科機〕を使用して行った。
c.低浸透圧ショック回復率細胞の脆弱性を表わし、その数値が大きい程、血小板膜が変性を受けていないことを示しより好ましい。その測定は血小板浮遊液を水で希釈し、低浸透圧状態に保持した際の細胞形態の維持性を測定したものであり、その測定には分光光度計(UV160A、
島津製作所製)を使用して行った。
d.コラーゲン凝集能〔Maximal aggregation〕
血小板の凝集能を表わし、その数値が大きい程血小板凝集能が残存していることを示しより好ましい。その測定はヘマトレーサー 1(NKK製)を使用し、血小板に凝集素のコラーゲンを添加して血小板の凝集能を測定することによって行った。
e.ラクトース濃度(g/l)
嫌気的条件下における細胞のグルコース消費を示し、酸素濃度が低いとラクトース濃度は増加する。その数値が大きい程好ましい。
(結果)
4.血小板機能性の評価表3に上記の各項目の評価結果を示した。この結果より血小板を長期保存する場合に、DUP配合の塩化ビニル樹脂製容器の方がDEHP配合の容器よりもダメージが少なく、血小板機能を良好に保持することが判る。
Figure 0004270285
実施例3
1.容器の成形
実施例1と同じように、DUPを配合した3種類の塩化ビニル樹脂製の容器を作製した。また比較のため、実施例1、2で作製したと同じようにポリオレフィン製の容器とDEHP配合塩化ビニル樹脂製の容器を作製した。
2.低温下での容器の柔軟性の測定
前記により作製した各容器に230mlの水を分注し、さらにその容器を4℃で5日間保存した後、触感を確認した。
3.凍結させた容器の破損試験前記によって作製した各容器に100mlの水を分注し、さらにその容器を−20℃で24hr保存し凍結させた後、高さ1mの所から落下させ、容器の破損を調べた。
(結果)
4.低温下での容器の柔軟性
表4に4℃で保存した場合の各容器の触感を示す。DEHPを配合した塩化ビニル樹脂製の容器に比較して、DUPを配合した塩化ビニル樹脂製の容器は柔軟性を保持していること、そしてDUP配合の塩化ビニル樹脂製容器はDUPの配合量によって柔軟性が保持され易くなることが判る。
Figure 0004270285
[++:かなり柔軟、+:柔軟、+/−:やや硬め、−:硬い]
5.凍結させた容器の破損試験
表5に前記によって凍結させた容器を前記と同様に落下させ、破損した頻度を示す。DUP配合の塩化ビニル樹脂製容器はDEHP配合の塩化ビニル樹脂製容器に比較して破損しにくいことが判る。また、DUP配合の塩化ビニル樹脂製容器はDUPの配合量(80部以上)によって破袋防止の効果が向上することが判る。
Figure 0004270285
実施例4
1.容器の成形実施例2と同様に行った。
2.可塑剤の溶出量の測定実施例1と同じように準備した200mlのPCを各容器に分注した後、室温で120hr保存した。その後、容器内から1mlの血小板浮遊液を回収して、可塑剤の溶出量を測定した。
(結果)
3.可塑剤の溶出量表6に各容器から容器内液体への可塑剤の溶出量を示した。DEHP配合の塩化ビニル樹脂製容器に比較してDUP配合の塩化ビニル樹脂製容器は可塑剤の溶出量が少ないことが判る。
Figure 0004270285
ポリ塩化ビニル樹脂製の血小板保存容器の模式的断面図である。
符号の説明
1 ポリ塩化ビニル樹脂製の血小板保存容器
2 導入チューブ
3 血小板を輸注するための輸血口
4 血小板を輸注するための輸血口
5 排出チューブ

Claims (3)

  1. 少なくとも収納部が、開口度(Porosity)が10〜50cc/100gの塩化ビニル樹脂レジンの100重量部に対して70〜120重量部のフタル酸ジウンデシル(DUP)を配合した塩化ビニル樹脂のシートで形成され、かつ該シートの酸素透過性が9.0×10-10〜22.0×10-10cc・cm/cm2・sec・cmHg/22℃および二酸化炭素透過性が6.0×10-9〜19.0×10-9cc・cm/cm2・sec・cmHg/22℃であることを特徴とする血液成分(血小板を除く)収納用容器。
  2. 血液成分が血しょうである請求項1記載の血液成分収納用容器。
  3. フタル酸ジウンデシル(DUP)の配合量が80〜90重量部である凍結血しょうの収納用である請求項2記載の血液成分収納用容器。
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