JP4270140B2 - 窒化珪素回路基板およびそれを用いた半導体モジュール - Google Patents

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Description

本発明はセラミックス回路基板等の技術に関し、特に冷熱サイクルに対する高信頼性が求められるパワー半導体モジュールに有効に適用することができる技術である。
以下に説明する技術は、本発明を完成するに際し、本発明者によって検討されたものであり、その概要は次のとおりである。
従来のパワー半導体モジュールは、半導体素子を搭載したセラミックス回路基板を放熱ベースにはんだを介して接合した構成を有している。パワー半導体モジュールに搭載される半導体素子からの発熱量が大きく、動作安定性を確保するためから高い放熱特性が求められている。かかる放熱特性を保証する構成として、上記の如くセラミックス回路基板をはんだを介して放熱ベースに接合する構成が採用されている。
かかる半導体モジュールで使用されるセラミックス回路基板としては、例えば、窒化アルミニウム基板(AlN基板)の一方の面に、回路パターン形成用金属板としてCuあるいはAlが設けられ、他方の面の放熱用金属板としてCuあるいはAlが設けられる。また、当該セラミックス回路基板の放熱ベースとして、Cu-MoあるいはAl−SiC等の低熱膨張材が取り付けられた半導体モジュールの構成が知られている。
さらに、特許文献1には、セラミックス基板の表面に回路、裏面に放熱板が形成されてなる回路基板を、熱膨張係数が10ppm以上である金属を主成分とするベースに、Sn-Sb系半田を用いて接合し、セラミックス基板が窒化アルミニウムまたは窒化ケイ素で、回路及び放熱板がAl又はAl合金である構成が提案されている。
放熱特性は、実際には、−40℃から125℃までの冷熱サイクル試験を所定回数経た上でも保証されることが要求されている。使用分野に応じて、例えば、200回以上、1000回以上、さらには3000回以上の冷熱サイクル試験にパスすることが求められる。特に、ハイブリッド車、電気自動車、電車および航空機等に搭載される場合には、高い耐冷熱サイクル性を有した高信頼性が要求されている。
かかる冷熱サイクルに対しての信頼性の向上を図るセラミックス回路基板の技術としては、例えば、特許文献2には、セラミックス基板の一方の側に接合した放熱側金属板の厚さを、セラミックス基板の他方の側に接合した素子搭載側金属板の1/2以下に規定することが提案されている。
また、放熱特性を確保するためには、素子搭載側の金属板、放熱側の金属板等とセラミックス基板との接合部の剥離が発生しないようにすることが当然に求められるが、かかる点に着目した技術として、例えば、特許文献3には、放熱側金属板の体積/素子搭載側の金属板の体積との体積比を1.0未満に規定することが提案されている。
さらに、特許文献4では、セラミックス基板として窒化珪素基板を用いた場合に、窒化珪素基板の厚みを、素子搭載側の金属回路板の厚みの2倍以下に規定することが提案されている。
また、窒化珪素基板の厚みに着目した技術としては、例えば、特許文献5に、熱伝導率が90W/m・K以上、3点曲げ強度が700MPa以上の窒化珪素基板の厚さをtcとした場合に、かかる窒化珪素基板に接合した金属層(金属板)の厚さをtmとすると、2tm≦tc≦20tm等と規定することが提案されている。
特開2002−50841号公報 特開平8−102570号公報 特開平7−86703号公報 特開平9−69672号公報 特開2000−128654号公報
ところが、上記セラミックス回路基板、あるいはそれを用いた半導体モジュールの技術では、以下の課題があることを本発明者は見出した。
Al配線基板を用いた場合には、前述の如く、Cu-Mo、あるいはAl-SiC等の低熱膨張材を放熱ベースとして用いる構成が必須となっている。しかし、かかる構成はコスト高となり、低コスト化の要請に十分に応えることができない。また、近年パワー半導体モジュールに搭載される半導体素子のパワー密度の増大により、半導体素子動作時に発生する熱量が大きくなり、上記の従来構造では、素子に発生する熱を速やかに、冷却システムへ伝えることができず、放熱性の点で難点がある。
かかる低コスト化および高放熱性付与の方策として、Cu板ベースを放熱ベースとして使用する構成が検討されている。すなわち、セラミックス回路基板をはんだを介してCu板に構成した放熱ベースに接合する構成が検討されている。しかし、かかる構成では、Al配線基板と放熱ベースのCu板との熱膨張係数の差が非常に大きく、はんだを介して接合する構造では、前述の如き冷熱サイクルにおいてはんだ接合部の剥離が生じ、放熱特性を保証することができない。
また、かかる半導体モジュールの放熱特性に関しては、素材面から検討すると、生産性を考慮すれば、高い熱伝導率を有し生産コストも低く抑えられるCu材を用いたセラミックス回路基板の採用が望ましい。セラミックス回路基板において、回路パターン形成用金属板、及び放熱用金属板をCuに変えることは比較的に簡単に行えるが、本発明者は、Cu材を回路パターン形成用金属板、放熱用金属板に使用する場合のセラミックス回路基板の開発が必要と考えた。
セラミックス回路基板としては、どのような素材が適しているかの素材選択の検討が必要である。かかる素材選択は、セラミックス回路基板における耐冷熱サイクル性を有した放熱特性の確保を選択基準として行なう必要がある。すなわち、セラミックス回路基板としての熱的挙動の把握が求められる。
しかし、現行の技術では、異種材料の接合構造を有したセラミックス回路基板の冷熱サイクル時の熱的挙動まで把握することはできない。全ての組み合わせに対して、実際に冷熱サイクル試験を行い、その適否を判断するしか無い状況である。ある意味では、最適組み合わせを見つけるには、闇雲に膨大な実験を行なわなければならない場合も十分に想定される。
本発明者は、異種材料の接合構造であるセラミックス回路基板としての熱的挙動は、セラミックス回路基板全体としての熱膨張係数からある程度予見できるのではないかと考えた。しかし、現実には、異種材料の接合構造であるセラミックス回路基板の熱膨張係数の実測は行えない。
そこで、本発明者は、実測は行えないものの、セラミックス回路基板を構成する異種材料のそれぞれの熱的挙動が、全体としてのセラミックス回路基板の熱的挙動に大きな影響を与えるのではないかと着想した。すなわち、本発明者は、セラミックス回路基板の熱的挙動を、かかるセラミックス回路基板を構成する異種材料の熱的挙動の総和として把握することができるのではないかと、着想した。
また、冷熱サイクル時の問題となる現象は、放熱ベースとセラミックス回路基板との剥離であり、かかる剥離は、両者の熱膨張係数の差に起因して発生する現象である。そこで、本発明者は、セラミックス回路基板の熱的挙動の把握は、セラミックス回路基板を構成する異種材料の個々の構成要素を考慮した熱膨張係数として把握することが好ましいと発想した。かかる異種材料の接合構造であるセラミックス回路基板の熱膨張係数は実測することはできないが、個々の異種材料の構成要件は十分に前もって知ることができる筈で、かかる構成要件から、セラミックス回路基板全体としての計算上の、すなわち見掛けの熱膨張係数を算出することができるのではないかと発想した。
かかる異種材料の接合構造を有するセラミックス回路基板の見掛けの熱膨張係数を算出できれば、逆に、例えば、放熱ベースのCu材の熱膨張係数に近づけるように異種材料の構成条件を制御することで、冷熱サイクルに対しての高い耐性を有し、且つ放熱特性の優れたセラミックス回路基板を提供できる筈であるとも考えた。
さらに、セラミックス回路基板には、Alよりも降伏応力の大きいCuを、回路パターン形成用金属板、及び放熱用金属板に用いることを想定した場合、冷熱繰り返しに伴う、セラミックス基板への負荷応力が増大するため、基板自身の機械強度ならびに破壊靱性に優れた適切な素材選択が必要となる。
本発明の目的は、回路パターン形成用金属板、放熱用金属板としてCu材を用いたセラミックス回路基板ならびにこれらを用いた半導体モジュールの技術を提供することにある。
本発明の目的は、異種材料の接合構造を有するセラミックス回路基板の熱的挙動を把握する技術を提供することにある。
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
すなわち、本発明はセラミックス基板の一方の面に回路パターン形成用金属板が設けられ、前記セラミックス基板の他方の面に放熱用金属板が設けられたセラミックス回路基板であって、前記回路パターン形成用金属板は、CuまたはCu合金で形成され、前記放熱用金属板は、CuまたはCu合金で形成され、前記セラミックス基板、前記回路パターン形成用金属板、前記放熱用金属板の各々のヤング率、線膨張率、板厚に基づき算出される前記セラミックス回路基板の見掛けの熱膨張係数が、8ppm/k以上、14ppm/k以下であることを特徴とする。
セラミックス回路基板の見掛けの熱膨張係数を、セラミックス回路基板を構成するセラミックス基板、回路パターン形成用金属板、放熱用金属板のそれぞれのヤング率、線膨張率、板厚ヤング率から算出し、かかる見掛けの熱膨張係数を8ppm/k以上、14ppm/k以下に規定することで、放熱ベースにCuあるいはCu合金を用いた場合の冷熱サイクルに対しての高信頼性を有したセラミックス回路基板を提供することができる。
見掛けの熱膨張係数が8ppm/k未満では、CuまたはCu合金で形成される放熱ベースとの熱膨張係数の差が大きくなり、冷熱サイクル時のセラミックス回路基板と放熱ベースとの剥離現象が発生し易くなる。一方、14ppm/kを超える場合には、回路パターン形成用金属板および放熱用金属板の厚みが大きく、接合後にセラミックス基板に与える負荷応力が大きくなり、冷熱サイクル試験下では、低サイクルで回路パターン形成用金属板とセラミックス基板との界面で剥離が生じ、所望の信頼性を求めることが困難となる。すなわち、8ppm/k以上、14ppm/k以下の範囲であれば、かかる不具合現象を有効に抑制して、高い耐冷熱サイクル性を有した放熱特性の高いセラミックス回路基板を提供することができる。さらに望ましい範囲は、9ppm/k以上、12ppm/k以下である。
かかる構成において、前記セラミックス基板は板厚t1が0.2mm以上、1mm以下であり、前記回路パターン形成用金属板は板厚t2が0.3mm以上、4mm以下であり、前記放熱用金属板は板厚t3が0.3mm以上、4mm以下であり、(前記回路パターン形成用金属板と前記放熱用金属板との総和板厚)/前記セラミックス基板の板厚とで示される板厚比(t2+t3)/t1が、2以上、30未満であることが望ましい。
かかる構成を採用することで、実際に使用するセラミックス回路基板を想定した回路パターン形成用金属板、放熱用金属板、セラミックス回路基板の実用的な板厚の範囲内で、板厚を指標として、セラミックス回路基板の接合構造におけるセラミックス回路基板の割合を少なくして、すなわち、CuあるいはCu合金からなる回路パターン形成用金属板と放熱用金属板の割合を多くして、セラミックス回路基板の全体としての見掛けの熱膨張係数を、CuあるいはCu合金からなる放熱ベースの熱膨張係数により近づけることができる。そのため、冷熱サイクル時のセラミックス回路基板と放熱ベースとの剥離障害ならびにセラミックス回路基板において、回路パターン形成用金属板とセラミックス基板との界面での剥離障害を抑制することができる。
(前記回路パターン形成用金属板と前記放熱用金属板との総和板厚)/前記セラミックス基板の板厚とで示される板厚比が、2未満ではセラミックス回路基板の積層構造に占めるセラミックス基板の割合が大きくなり、見掛けの熱膨張係数を十分に放熱ベースの熱膨張係数に近づけることができず、場合によっては冷熱サイクル時に前記剥離障害が発生する問題がある。また、30を越えるとセラミックス基板の接合構造に占める割合が少な過ぎて、セラミックス回路基板の破損障害が発生する問題がある。望ましい範囲は2以上〜10以下、更に望ましい範囲は2以上〜5以下である。
上記いずれかの構成で、前記セラミックス基板は、窒化珪素板であることを特徴とする。セラミックス基板に窒化珪素板を使用すれば、接合構造におけるセラミックス基板の割合を、セラミックス回路基板の強度を確保しつつ少なくすることができる。そのため、セラミックス回路基板の見掛けの熱膨張係数をより放熱ベースの熱膨張係数に近づけることができる。
特に、前述の如く、セラミックス回路基板にAlよりも降伏応力の大きいCuを、回路パターン形成用金属板、及び放熱用金属板に用いることを想定した場合、冷熱繰り返しに伴う、セラミックス基板への負荷応力が増大するが、かかる窒化珪素基板を採用すれば、基板自身の機械強度ならびに破壊靱性が優れているため、上記負荷応力にも十分な対応が取れることとなる。
本発明の半導体モジュールは、上記いずれかの構成を有するセラミックス回路基板と、前記セラミックス回路基板の前記回路パターン形成用金属板の素子搭載部に搭載された半導体素子と、前記セラミックス回路基板が、はんだを介して接合されるCuまたはCu合金で形成される放熱ベースとを有することを特徴とする。かかる構成を採用することで、半導体モジュールの冷熱サイクルの耐性を向上させて、放熱効果を確保することができる。
さらに、かかる構成で、前記はんだは、Sn-Pb系はんだ、あるいはSn-Ag-Cu系またはSn-Sb系のPbフリーはんだであり、前記はんだには、粒径が20μm以上、300μm以下のNi、Cu、Mo、Wの粉末が1質量%以上、30質量%以下の範囲で含まれているものを使用することが好ましい。かかる構成を採用すると、回路パターン形成用金属板および放熱用金属板として厚みの大きなCuあるいはCu合金を用いたセラミックス回路基板においても、上記粉末がスペーシング材として機能する。
見掛けの熱膨張係数を放熱ベースのCuに近づけるために、上記の如くセラミックス基板に比してCu材を用いた回路パターン形成用金属板、放熱用金属板の割合を多くすることがその対策の一つとして有効ではあるが、しかし、セラミックス回路基板の全体重量は増大する。そのため、セラミックス回路基板と放熱ベースとを接合するために使用するはんだにスペーシング材として機能する上記粉末を混ぜておかないと、セラミックス回路基板の重量により放熱ベースとの間における上記はんだが周囲に押し出される現象が発生する場合がある。
厚みがあって重量もあるセラミックス回路基板と放熱ベースとの間に介在させるはんだが、上記の如く、必要以上に周囲に押し出されると、はんだ接合部分に引け巣が発生し、かかる引け巣に基づく気泡がはんだ接合部分に残留し、結果として熱伝導を妨げることとなる。すなわち、スペーシング材として機能する上記粉末をはんだ材料に含有させておくことで、上記引け巣に基づく気泡の残留を抑制し、結果として、セラミックス回路基板から放熱ベースへの良好な熱伝導が確保されることとなる。
粒径が20μm未満ではスペーシング材としての効果がなく、一方300μmを越えるとはんだ層の厚みが大きくなり、放熱性の低下を招聘する。また、粉末が1質量%未満ではこの場合もスペーシング材としての効果がなく、30質量%を越える場合にはセラミックス回路基板と放熱ベースの接合に必要なはんだ層の割合が低減するため、接合不良を招聘する。望ましくは、粒径が50μm以上、200μm以下のNi、Cu、Mo、Wの粉末が2質量%以上、15質量%以下の範囲で含まれていることである。
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
セラミックス回路基板の見掛けの熱膨張係数を放熱ベースに近づけることができるため、セラミックス回路基板の冷熱サイクルの耐性を向上させることができる。その結果、かかるセラミックス回路基板を用いたパワー半導体モジュール等の半導体モジュールの熱破壊を抑制することができる。
セラミックス回路基板の構成材としてCuあるいはCu合金を多く使用することで、セラミックス回路基板の生産コストの低減かつ熱抵抗の低減を図ることができる。その結果、かかるセラミックス回路基板を用いた、安価で高放熱性に優れるパワー半導体モジュール等の半導体モジュールを提供することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明に係るセラミックス回路基板、及びそれを使用した半導体モジュールについて説明する。
図1は、本発明に係るセラミックス回路基板の全体構成を示す断面説明図である。図2はセラミックス回路基板における見掛けの熱膨張係数の算出結果を示す説明図である。図3は、図1に示すセラミックス回路基板を用いて本発明に係る半導体モジュールを構成した場合の全体構成を示す断面説明図である。
本発明に係るセラミックス回路基板10は、図1に示すように、絶縁層として機能するセラミックス基板11と、セラミックス基板11の一方の面にろう材を介して接合された回路パターン形成用金属板12と、セラミックス基板11の他方の面にろう材を介して接合された放熱用金属板13とを有している。
セラミックス基板11は、例えば、窒化珪素板(Si3N4板)11aに構成されている。セラミックス基板11の板厚は、例えば、実用的範囲として、0.2m以上、1mm以下に設定しておけばよい。
回路パターン形成用金属板12は、例えば、Cu板12aに構成されている。回路パターン形成用金属板の板厚は、例えば、実用的範囲としては、0.3mm以上、4mm以下に設定しておけばよい。尚、図1に示す場合には、回路パターン形成用金属板12は、エッチング処理により、回路パターンPが形成されている場合を示している。
放熱用金属板13は、例えば、Cu板13aに構成されている。放熱用金属板13の板厚は、例えば、実用的範囲としては、0.3mm以上、4mm以下に設定されている。
セラミックス基板11と回路パターン形成用金属板12、放熱用金属板13をそれぞれ接合するろう材には、例えば、Ag-Cu-Ti系の活性ろう材が使用されている。さらにInおよびSnなどの低融点金属を含有したAg-Cu-In-TiおよびAg-Cu-Sn-Ti系ろう材を用いた場合には、接合処理温度を低下させることができ、接合処理後のセラミックス回路基板の接合構造において、セラミックス基板への負荷応力を低減することができるので望ましい。
また、セラミックス回路基板10を構成するセラミックス基板11の板厚t1、回路パターン形成用金属板12の板厚t2、放熱用金属板13の板厚t3との間には、(回路パターン形成用金属板12と放熱用金属板13との総和板厚)/セラミックス基板11の板厚とで示される板厚比:(t2+t3)/t1が、2以上、30未満であるように設定されている。
尚、図1に示す場合には、セラミックス基板11、回路パターン形成用金属板12、放熱用金属板13の各々の板厚は、図面の分かり易さを優先させるために、正確な板厚比を再現するものではない。
かかる構成のセラミックス回路基板10では、その見掛けの熱膨張係数が放熱ベース(図3参照)として使用されるCu板の熱膨張係数に近い値に設定されていることとなる。すなわち、見掛けの熱膨張係数は、8ppm/k以上、14ppm/k以下に設定されている。
図2の右欄には、図1に示すセラミックス回路基板10において、セラミックス基板11の板厚t1=0.3mm、回路パターン形成用金属板12の板厚t2=0.6mm、放熱用金属板13の板厚t3=0.5mmに設定した場合の見掛けの熱膨張係数を示した。ここで、見掛けの熱膨張係数は、セラミックス基板(図中、基板と表示)11、回路パターン形成用金属板(図中、回路板と表示)12、放熱用金属板(図中、放熱板と表示)13の各々のヤング率(E)、熱膨張係数(σ)、板厚(t)を基に算出される。すなわち、回路板、基板、放熱板の各々の部材のE・σ・tの積の総和を一体化セラミックス回路基板と見なし、Σ(E×σ×t)/Σ(E×t)の値を求めて見掛けの熱膨張係数(平均熱膨張係数)を算出している。かかる算出結果から分かるように、図1に示すセラミックス回路基板の見掛けの熱膨張係数は11.12ppm/kに設定されている。
図2に例示するように、本発明に係るセラミックス回路基板10では、その見掛けの熱膨張係数が、Cuの熱膨張係数に類似の値をとるように制御されているため、例えば、図3に示す半導体モジュール100に構成した際の放熱ベース20にCu板20aを用いた場合には、はんだを介して接合したセラミックス回路基板10と放熱ベース20とは、冷熱サイクル試験では、略似た熱的挙動を示すこととなり、両者の熱膨張係数の差に起因する大きな残留応力に基づく剥離現象が発生しない。
尚、冷熱サイクル試験は、例えば、冷熱サイクル試験機(エスペック社製TAS-201S)に、セラミックス回路基板と放熱ベースからなる半導体モジュールを挿入し、−40℃×30分保持、室温×10分保持、125℃×30分保持の低温域から高温域までの試験条件に試験体を置いて、どの程度のサイクル数で剥離破壊が発生するかを、超音波画像診断装置(日立建機製マイスコープ)を用いて観察する。冷熱サイクル試験の規格では、例えば、一般産業用半導体モジュールとしては、1000サイクル以上、ハイブリッド車、電車用半導体モジュールとしては3000サイクル以上の高信頼性が要求されている。
上記説明では、回路パターン形成用金属板12としてCu板12a、放熱用金属板13としてCu板13aをそれぞれ用いた場合を示したが、Cu合金板を用いても一向に構わない。Cu合金板としては、例えば、Cu-Mo合金(アライドマテリアル社製)およびCu/Mo/Cuのクラッド材も一例として挙げることができる。
すなわち、回路パターン形成用金属板12と放熱用金属板13の双方にCu-Mo合金板を使用しても、あるいは、回路パターン形成用金属板12と放熱用金属板13のいずれか一方にCu-Mo合金板あるいはCu/Mo/Cuを使用し、他方にCu板を用いても構わない。ただし、回路パターン形成用金属板としては、通電側であるため、高い導電性ならびに回路パターン形成が必要なため、易エッチング性が求められる。したがって、Cu-Mo合金板およびCu/Mo/Cuクラット゛材は、放熱用金属板として用いる方が望ましい。
かかる構成のセラミックス回路基板10を用いて構成した半導体モジュール100は、図3に示すように、セラミックス回路基板10を構成する回路パターン形成用金属板12の素子搭載部に半導体素子30が1番はんだ41を介して接合されている。半導体素子30は、回路パターン形成用金属板12に、金線31a等のワイヤー31でワイヤーボンディングされて電気的接続が形成されている。
このように半導体素子30が搭載された回路パターン形成用金属板12を有するセラミックス回路基板10は、その放熱用金属板13が2番はんだ42を介して、放熱ベース20に接合されている。尚、放熱ベース20には、ねじ止め用のねじ孔21が設けられている。
2番はんだ42は、例えば、リフロー処理で行われる。リフロー処理で使用する2番はんだとしては、例えば、Sn-Pb系はんだ、あるいはSn-Ag-Cu系またはSn-Sb系のPbフリーはんだが使用されている。勿論、それ以外の組成のはんだを使用しても構わないが、かかる構成のはんだを用いると、よりセラミックス回路基板10と放熱ベース20との接合剥離を発生させない構成とすることができる。
かかるはんだには、図示はしないが、粒径が20μm以上、300μm以下のNi、Cu、Mo、Wの粉末が1質量%以上、30質量%以下の範囲で含まれている。セラミックス回路基板10における見掛けの熱膨張係数を放熱ベース20のCu板20aの熱膨張係数に近づけるために、回路パターン形成用金属板12のCu板12aの板厚を大きく設定しているが、粒径20〜300μmのNi、Cu、Mo、Wの粉末が1質量%以上、30質量%以下の範囲で含まれているため、前述の如く、回路パターン形成用金属板12のセラミックス基板11に対しての相対厚みを大きくしたことに基づくセラミックス回路基板10の重量化による2番はんだ42の押しつぶしが発生しない。
かかる所定粒径の粉末が含まれていない場合には、2番はんだ42が押しつぶされて、2番はんだ42がセラミックス回路基板10の放熱用金属板13と放熱ベース20との間から押し出され、放熱用金属板13と放熱ベース20との間に気泡が残るような状態で接合されることとなる。かかる放熱用金属板13と放熱ベース20とは、半導体素子30の熱を逃がす放熱ルートとして機能するため、両者の接合部に気泡が残留することは、前述の如く、その半導体モジュールの放熱性を低下させることとなり好ましくない。
本発明の半導体モジュール100は、上記のように、2番はんだ42にスペーシング機能を発揮する所定粒径の粉末を所定量だけ含有させることで、見掛けの熱膨張係数を放熱ベース20の熱膨張係数に近づけるために回路パターン形成用金属板12の板厚を厚くしても、2番はんだ42を押しつぶすことなく、半導体素子30の放熱パスを確保した構成を有している。
図4には、本発明に係るセラミックス回路基板10、半導体モジュール100とその効果を従来構成と比較するために、比較例として、セラミックス基板11として窒化アルミニウム板11bを用い、回路パターン形成用金属板12、放熱用金属板13にそれぞれCuを用いた構成のセラミックス回路基板10a、半導体モジュール100aを示した。
図4に示す構成では、例えば、セラミックス基板11は、板厚t1=0.635mmの窒化アルミニウム板11bに構成されている。回路パターン形成用金属板12は板厚t2=0.4mmのCu板12aに、放熱用金属板13は板厚t3=0.2mmのCu板13aにそれぞれ構成されている。窒化アルミニウム板11bに構成したセラミックス基板11と、回路パターン形成用金属板12、放熱用金属板13は、それぞれ図示はしないがろう材により接合されている。かかる接合に使用するろう材は、例えば、Ag-Cu-In-Ti活性ろう材を使用した。
かかる構成のセラミックス回路基板10aの回路パターン形成用金属板12上には、図4に示すように、素子搭載部に半導体素子30が1番はんだ41を介して搭載されている。併せて、セラミックス回路基板10aの放熱用金属板13側は、2番はんだ42を介して、Cu板20aに構成した放熱ベース20に接合されている。
かかる構成の半導体モジュール100aで使用されているセラミックス回路基板10aについて、図2の左欄に示すように、見掛けの熱膨張係数を算出した。見掛けの熱膨張係数は、図1の例と同様に回路板、基板、放熱板の各々の部材のE・σ・tを基に算出し7.77と、図1に示す本発明に係るセラミックス回路基板10の11.12に比べて低い値となった。すなわち、セラミックス基板11に窒化アルミニウム板11bを用いた場合には、放熱ベース20としてCu板20aを使用すると、両者の熱膨張係数の差が大きく、冷熱サイクルにおいて放熱用金属板13と放熱ベース20との接合剥離障害が発生する可能性が大きいことを示唆している。
また、図2に示すように、熱抵抗値も、図1に示す本発明に係るセラミックス回路基板10の方(熱抵抗値:0.14℃/W)が、図4に示す上記構成の場合(熱抵抗値:0.20℃/W)に比べて70%に低減されていることが確認される。図4に示す上記構成では、図1に示す構成で使用した窒化珪素板11aの熱伝導率90W/m.Kよりも大きな熱伝導率170W/m.Kの窒化アルミニウム板11bを使用したにもかかわらず、熱抵抗値は低くなっている。
これは、本発明に係る構成の方が熱放散性に優れる銅を用いた回路板を厚く構成しているので、Siチップの動作中に生じる熱を速やかに回路内で面内方向へ拡散することができ、当構成での熱抵抗が低減されている。なお、セラミックス基板に窒化アルミニウム板を用いた場合には、基板自身の機械特性が窒化珪素と比較して低いため、図4に示す構成では、産業用として十分に使用可能なセラミックス回路基板を実現することはできない。
なお、図2に示す熱抵抗値は、図3および図4の構成のモジュールを試作し、熱抵抗評価システム(キャッツ電子製モデルDV240)用いて評価したものである。評価に供したSiチップは、ダイオードチップで、これを3枚、回路基板上に実装したものである。
使用するセラミックス基板11を、窒化珪素板11aから窒化アルミニウム板11bに変えるだけで、図2に示すように、見掛けの熱膨張係数が大きく異なり、その結果が放熱ベース20との冷熱サイクル時の熱的挙動の差異を広げ、剥離障害に発展するものと考えられる。
窒化珪素板11aが窒化アルミニウム板11bよりも有効である理由の一つには、窒化珪素板11aの方が窒化アルミニウム板11bよりも機械的強度、破壊靱性が大きく、その分回路パターン形成用金属板12として板厚を厚くしたCu板12aを載せても、薄い板厚で済ませることができ、結果としてセラミックス回路基板10の異種材の接合構造における窒化珪素板11aの割合を減じて、セラミックス回路基板10の見掛けの熱膨張係数を放熱ベース20のCu板20aに近づけることができるのである。
本発明に係るセラミックス回路基板10における見掛けの熱膨張係数は、上記比較からも分かるように、使用する素材を変更することで所定範囲に制御することができるが、使用する素材を変更することなく、板厚を種々変更することでもその制御が容易に行える。
例えば、図5に示す場合には、図1に示すセラミックス回路基板10の構成で、セラミックス基板(Si3N4板基板)11の板厚t1を0.6mmに固定した状態で、回路パターン形成用金属板(Cu回路板)12、放熱用金属板(Cu放熱板)13の板厚t2、t3をそれぞれ変化させた場合の見掛けの熱膨張係数の変化を示している。板厚を変えることで、見掛けの熱膨張係数は、約6.64から約11.7まで大きく変化していることが分かる。
6.64の見掛けの熱膨張係数を示す回路基板では、耐冷熱サイクル試験では1000回未満で剥離が発生する場合が見られる等好ましくない結果が発生した。一方、見掛けの熱膨張係数が8.63の回路基板では、板厚比が限度ギリギリではあるが、耐冷熱サイクル試験では、少なくとも1000回までは剥離現象等が発生しておらず、本発明における見掛けの熱膨張係数を8ppm/k以上、14ppm/k以下と設定したことの有効性を示す一例となる。
図6には、セラミックス基板(Si3N4板基板)11の板厚t1を0.3mmと0.6mmにそれぞれ固定しておき、回路パターン形成用金属板(Cu回路板)12の板厚t2と放熱用金属板(Cu放熱板)13の板厚t3との両者の総和板厚を変化させた場合の見掛けの熱膨張係数と板厚比(t2+t3)/t1を示し、さらに図3に示す半導体モジュールを構成して上述の冷熱サイクル試験を行って評価した。図6に剥離サイクル数と外観検査の結果を示す。
尚、本発明の開発においては、発明品の耐冷熱サイクル性は、図6に示すように、前記冷熱サイクル試験においては1000回以上の結果となるものを有効と評価した。かかる評価基準は、後述する図10、11でも採用した。
図6の結果から、セラミックス回路基板10の見掛けの熱膨張係数が、前記の如く、8ppm/k以上、14ppm/k以下の範囲になるように制御すると、耐冷熱サイクル性が向上することが確認された。また、見掛けの熱膨張係数を満足し、さらに板厚比が2以上、9以下の範囲にあるとさらに望ましいことが分かる。
かかる結果は、セラミックス回路基板10を構成するセラミックス基板11、回路パターン形成用金属板12、放熱用金属板13の素材が同じである場合には、見掛けの熱膨張係数を所定範囲に制御するためには、一々見掛けの熱膨張係数を算出するまでもなく、簡便には、板厚比を確認することで大まかにその有効性の評価が容易に行えることが分かる。
しかし、板厚比での判定は、その上限値、下限値の近辺ではその判定性を一義的に判断することができない場合も存在するため、厳密には、前述の算出式を用いて個々に見掛けの熱膨張係数を試算してみることが必要である。すなわち、板厚比は、その上下の限界値近辺では熱膨張係数の算出結果と併せて使用すべきもので、あくまで、大まかな有効性の評価を行う簡便な判定基準であると、その精度の限界性を認識した上で使用すべきものと考えるのが好ましい。
以上に説明の本発明に係るセラミックス回路基板10の製造は、図7に模式的に示す手順で行う。すなわち、セラミックス回路基板10の構成原料をステップS100でボールミル混合する。混合した原料スラリーを脱泡・増粘した後、ステップS200で、ドクターブレードで所定板厚でシート成形して成形体を得る。ステップS300で成形したシートを焼結炉内で1800℃〜1900℃×5時間保持の0.92MPaの窒素雰囲気で焼結し、更に1700℃〜1800℃×5時間保持にて焼結時の反り矯正を行い、更にサンドブラストにより表面を整えセラミックス基板11として使用する焼結体の窒化珪素板11aを得る。
その後、ステップS400で、セラミックス基板11の一方の面にAg-Cu-Ti系の活性ろう材を介して回路パターン形成用金属板12としてのCu板12aを、他方の面に同様のろう材を介して放熱用金属板13としてのCu板13aをそれぞれ接合する。その後、ステップS500で、セラミックス基板11上の回路パターン形成用金属板12をエッチング処理して回路パターンを形成する。ステップS600で回路パターン形成後の回路パターン形成用金属板12上にメッキを施し、セラミックス回路基板10が製造される。
(実施の形態2)
前記実施の形態1では、本発明に係るセラミックス回路基板10の耐冷熱サイクル性の向上効果、及びそれを用いた半導体モジュール100について、回路パターン形成用金属板12、放熱用金属板13の双方にCu板12a、13aを用いた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明に係るセラミックス回路基板10、半導体モジュール100では、前述の如く、Cuとは別にCu合金を使用しても構わなく、本実施の形態では、かかる場合についての本発明の有効性について説明する。
本実施の形態で説明するセラミックス回路基板10は、図1に示す構成で、回路パターン形成用金属板12あるいは放熱用金属板13の双方をCu合金に、あるいはいずれか一方をCu合金に、他方をCuとする場合である。その他の構成は、ろう材を含めて、前記実施の形態1で述べたと同様の構成を有している。
Cu合金として、Cu-Mo合金を例に挙げて説明する。図8、9では回路パターン形成用金属板12としてCu板12aを用い、放熱用金属板13としてCu-Mo合金板を用いた場合について示している。図8、図9ではMoが合金組成の35質量%含まれ、セラミックス基板11の窒化珪素板の板厚が0.6mm、0.3mmの場合を示している。
図8、図9に示すように、放熱ベース20としてCu板20aを使用する場合には、セラミックス基板10の見掛けの熱膨張係数は、実施の形態1で述べたように、8ppm/k以上、14ppm/k以下の範囲になるように制御することが好ましい。
かかる熱膨張係数の範囲に収めるには、図8からは、例えば、回路パターン形成用金属板12のCu板12aの板厚を1mmあるいは1.2mm、1.4mm(1〜1.4mm)とし、放熱用金属板13のCu-Mo合金板の板厚をそれぞれ0.8mm、1mm、1.2mm(0.8〜1.2mm)に設定すれば可能であることが分かる。同様に、図9からも、例えば、回路パターン形成用金属板12のCu板12aの板厚を0.6〜1.4mmとし、放熱用金属板13のCu-Mo合金板の板厚を0.5〜1.2mmに設定すれば可能であることが分かる。
このようにして、本発明に係るセラミックス回路基板10では、Cu合金を使用した場合にも十分に適用できることが確認される。
Cu合金を使用する本実施の形態2でも前記実施の形態1と同様に、半導体モジュールを構成して冷熱サイクル試験を行った。その結果、見掛けの熱膨張係数と板厚比に関しては、同様の相関関係があることが確認された。かかる結果を、図10に示す。この結果より、放熱ベース20にCu板20aを使用する場合には、前述の如く、Cu合金を回路パターン形成用金属板12あるいは放熱用金属板13の少なくともいずれか一方に使用するに際して、形成されるセラミックス回路基板10の見掛けの熱膨張係数は、8ppm/k以上、10ppm/k以下の範囲になるように制御することが好ましい。
図10には、Moの含有量が合金組成の35質量%である場合において、セラミックス基板11の板厚を0.6mm、0.3mmにそれぞれ固定しておき、回路パターン形成用金属板12と放熱用金属板13との両者の総和板厚を変化させた場合の見掛けの熱膨張係数の変化と耐冷熱サイクル特性を示した。また、図11では、Moの含有量が60質量%である場合において、同様に見掛けの熱膨張係数の変化と耐冷熱サイクル特性の評価結果を示した。
かかる観点から、図10、図11の結果を観察すると、かかる熱膨張係数の範囲に制御するためには、板厚比を約2から約10までの範囲に調整すれば良いことが分かる。前記実施の形態1で得られた板厚比とは、その上限側の値が若干大きくなっているが、大部分の板厚比の範囲が前記実施の形態1の場合と重複していることが分かる。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
本発明はセラミックス回路基板、及びそれを使用した半導体モジュールの分野で、冷熱サイクルの耐性を向上させるのに有効に利用することができる。
本発明の一実施の形態であるセラミックス回路基板の全体構成を示す断面説明図である。 本発明の一実施の形態であるセラミックス回路基板における見掛けの熱膨張係数の算出結果を表形式で示す説明図である。 本発明の一実施の形態であるセラミックス回路基板を用いた半導体モジュールの全体構成を示す断面説明図である。 窒化アルミニウムをセラミックス基板に構成したセラミックス回路基板を用いた半導体モジュールの全体構成を示す断面説明図である。 セラミックス回路基板の見掛けの熱膨張係数が、回路パターン形成用金属板、放熱用金属板の板厚で制御可能なことを表形式に示す説明図である。 見掛けの熱膨張係数と板厚比との関係を表形式に示す説明図である。 本発明に係るセラミックス回路基板の製造手順を模式的に示すフロー図である。 本発明の構成にCu合金の使用が可能であることを表形式で示す説明図である。 本発明の構成にCu合金の使用が可能であることを表形式で示す説明図である。 本発明の構成にCu合金を使用した場合でも、セラミックス回路基板の見掛けの熱膨張係数が、回路パターン形成用金属板、放熱用金属板の板厚で制御可能なことを表形式に示す説明図である。 本発明の構成に他のCu合金を使用した場合でも、セラミックス回路基板の見掛けの熱膨張係数が、回路パターン形成用金属板、放熱用金属板の板厚で制御可能なことを表形式に示す説明図である。
符号の説明
10 セラミックス回路基板
10a セラミックス回路基板
11 セラミックス基板
11a 窒化珪素板
11b 窒化アルミニウム板
12 回路パターン形成用金属板
12a Cu板
13 放熱用金属板
13a Cu板
20 放熱ベース
20a Cu板
21 ねじ孔
30 半導体素子
31 ワイヤー
31a 金線
41 1番はんだ
42 2番はんだ
100 半導体モジュール
100a 半導体モジュール
P 回路パターン
S100、S200、S300、S400、S500、S600 ステップ
t1 板厚
t2 板厚
t3 板厚

Claims (4)

  1. 窒化珪素基板の一方の面に回路パターン形成用金属板が設けられ、前記窒化珪素基板の他方の面に放熱用金属板が設けられた窒化珪素回路基板であって、
    前記回路パターン形成用金属板は、CuまたはCu合金で形成され、
    前記放熱用金属板は、CuまたはCu合金で形成され、
    前記窒化珪素基板、前記回路パターン形成用金属板、前記放熱用金属板の各々のヤング率(E)、線膨張率(α)、板厚(t)に基づき、Σ(E×α×t)/Σ(E×t)の式にて算出される前記窒化珪素基板の見掛けの熱膨張係数が、8ppm/k以上、14ppm/k以下であることを特徴とする窒化珪素回路基板。
  2. 請求項1記載の窒化珪素回路基板において、
    前記窒化珪素基板は、板厚t1が0.2mm以上、1mm以下であり、
    前記回路パターン形成用金属板は、板厚t2が0.3mm以上、4mm以下であり、
    前記放熱用金属板は、板厚t3が0.3mm以上、4mm以下であり、
    (前記回路パターン形成用金属板と前記放熱用金属板との総和板厚)/前記窒化珪素基板の板厚とで示される板厚比(t2+t3)/t1が、2以上、30未満であることを特徴とする窒化珪素回路基板。
  3. 請求項1または2のいずれか1項に記載の窒化珪素回路基板と、
    前記窒化珪素回路基板の前記回路パターン形成用金属板の素子搭載部に搭載された半導体素子と、
    前記窒化珪素回路基板が、はんだを介して接合されるCuまたはCu合金で形成される放熱ベースと、
    を有することを特徴とする半導体モジュール。
  4. 請求項3に記載の半導体モジュールにおいて、
    前記はんだには、粒径が20μm以上、300μm以下のNi、Cu、Mo、Wのいずれかの粉末が1質量%以上、30質量%以下の範囲で含まれている
    ことを特徴とする半導体モジュール。
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