JP4269612B2 - トランスファープレスのワーク搬送装置 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明はプレスステーションへのワークの搬送や１つのプレスステーションでプレス加工されたワークを保持して次のプレスステーションへ搬送させて順次プレス成形させるようにするトランファープレスのワーク搬送装置に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
トランスファープレスは、各プレスステーションにてプレス成形されるワークを、上金型の昇降動作に同期させて次のプレスステーションへ順次搬送させながらプレス作業を行わせるようにするもので、ワーク保持具を備えたクロスバーを、隣接するプレスステーションの間で略矩形運動となる搬送モーションで動作させて、上流側のプレスステーションでプレス成形されたワークをワーク保持具で保持して持ち上げ、次の下流側のプレスステーションまで搬送させてから下降動作させて当該プレスステーションの下金型上に移すようにするワーク搬送装置が備えられている。
【０００３】
このようなトランスファープレスのワーク搬送装置には、種々の形式のものがあるが、その多くは、各プレスステーション毎に用意されているクロスバー付きのキャリアを一体として送り動作と昇降動作させるようにしたものである。
【０００４】
図９はその一例の概略を示すもので、プレスラインＬに沿うよう敷設したベッド１上におけるプレスラインＬに沿う複数個所に、ボルスタ２を介して設置した下金型３と、該下金型３の上方にてスライド４により昇降作動できるように設けた上金型５とからなるプレス金型によりワークを成形するプレスステーション６を所要間隔を隔てて配設し、且つ上記プレスラインＬの左右両側に、該プレスラインＬを挟んで左右対称的に１対のリフトビーム７をプレスラインＬ方向に平行に配置して、該左右各リフトビーム７を上方位置のＡＣサーボモータ８によりラック・ピニオン機構９を介して上下方向へ移動（昇降）できるようにしてある。又、上記左右の各リフトビーム７には、プレスステーション６の配列間隔に合わせて配置した複数のキャリア１０をプレスラインＬ方向に走行可能に取り付け、左右方向に対向するキャリア１０間に、プレスラインＬ方向と直角に延び且つワーク保持具１２を取り付けているクロスバー１１を配して、該クロスバー１１の両端部を、左右のキャリア１０に支持させ、一方、プレスラインＬ方向に隣接する各キャリア１０同士は、連結棒１３を介して連結すると共に、プレスラインＬ方向の一端部のキャリア１０に、ＡＣサーボモータ１４を取り付けたラック・ピニオン機構１５を連結棒１６を介して連結した構成としてあり、上記ＡＣサーボモータ８によるリフトビーム７の昇降作動によりキャリア１０とともにワーク保持具１２付きクロスバー１１を上下方向に稼動させることができるようにし、又、上記ＡＣサーボモータ１４によりラック・ピニオン機構１５及び連結棒１６，１３を介してすべてのキャリア１０を同期してプレスラインＬ方向に移動させることにより、ワーク保持具１２付きのクロスバー１１をプレスラインＬ方向へ移動させることができるようにしてある（例えば、特許文献１参照）。
【０００５】
【特許文献１】
特開平１０−３２８７６６号公報
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来のトランスファープレスのワーク搬送装置では、リフトビーム７に取り付けられている各キャリア１０にクロスバー１１が支持されていて、各クロスバー１１の上下方向の移動及びプレスラインＬ方向への移動は、すべて同時に且つ一様に行われるため、プレスステーション６毎に異なるモーションでのワーク搬送を実施することができない。そのため、各プレスステーションのワーク搬送モーション（干渉カーブ）は同一動作しかできず、干渉を回避するために金型形状の制約が生じ、ワーク成形の多様化には問題がある。
【０００７】
そこで、本発明は、上記従来の装置を更に一歩進め、各プレスステーション毎に個々に異なる搬送モーションを設定してワーク搬送ができるようにし、又、任意のキャリアに取り付けたワーク保持具付きのクロスバーは同じ動作ができるようにもしたトランスファープレスのワーク搬送装置を提供しようとするものである。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために、プレスラインを挟む左右両側に、ガイドビームをリフト装置により昇降できるように配置し、該左右のガイドビームに、複数のキャリアをプレスライン方向へ移動できるように支持させ、プレスライン方向の最上流側に位置するキャリアを除き他のすべてのキャリアのうち隣接する複数組のキャリアの昇降体を昇降させる駆動系同士を動力伝達機構で連結し、該各組内のいずれかの駆動装置で複数組ごとに各昇降体が同時に昇降できるようにして、左右相対向するキャリアの昇降体間に、ワーク保持具を有しプレスラインに直交する方向へ延びるクロスバーを取り付け、且つプレスライン方向の最上流側に位置するキャリアを除き他のすべてのキャリアは隣接するキャリア同士を連結棒で連結して、これらすべてのキャリアが一体としてプレスライン方向へ移動できるようにして、プレスライン方向の最上流側に位置するキャリアと、その下流側の上記すべてのキャリアとを別々の搬送機構でプレスライン方向へ送るようにした構成とする。
【０００９】
プレスラインに沿って配置されている複数のキャリアのうち、最上流側のキャリアと、その下流側にある複数のキャリアとが別々に搬送できるので、プレスラインに供給されたシート材は、最上流側のキャリア単独の動きで第１プレスステーションへ搬送することができる。又、各キャリア毎に独立してシフト作用をさせることができるようにすることにより、個々に搬送モーションを設定することができて、搬送、昇降量に制限されない金型設計、製作が可能となる。
【００１０】
又、プレスライン方向の最上流側に位置するキャリアを除き他のすべてのキャリアのうち隣接する複数組のキャリアの昇降体を昇降させる駆動系同士を動力伝達機構で連結し、該各組内のいずれかの駆動装置で複数組ごとに各昇降体が同時に昇降できるようにした構成としてあるので、隣接する複数のキャリアについては、いずれかの駆動装置が故障しても同時に搬送、昇降させることが可能となる。
【００１１】
更に、プレスラインを挟む左右両側に、フィードビームをプレスライン方向へ移動できるように配置し、該フィードビームの所要個所に、複数の昇降体を昇降可能に取り付け、且つフィードビームの上方位置に、昇降体に対応させてリフト装置を設置し、該各リフト装置と各昇降体とを連結棒を介し揺動自在に連結し、左右のフィードビーム上の相対向する昇降体間に、ワーク保持具を有するクロスバーを取り付けた構成としても、各プレスステーション毎に昇降量を個々に設定できて、搬送、昇降量に制約されない金型の設計が可能となる。
【００１２】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【００１３】
図１乃至図４は本発明のトランスファープレスのワーク搬送装置の基本的な構成例の概要を示すもので、プレスフレーム１７の下部に、プレスラインＬの上流側から下流側に所要間隔を隔てて第１プレスステーションＳ１、第２プレスステーションＳ２、第３プレスステーションＳ３、第４プレスステーションＳ４、第５プレスステーションＳ５を順に設定して、各プレスステーションＳ１，Ｓ２，Ｓ３，Ｓ４，Ｓ５に、基台１８上のボルスタ１９上に下金型２０をそれぞれ設置すると共に、プレスフレーム１７の上部に、スライド２１をスライド駆動装置２２により上下方向へ移動できるように設置して、上記各プレスステーションＳ１，Ｓ２，Ｓ３，Ｓ４，Ｓ５の下金型２０に対応する上金型（図示せず）を上記スライド２１の下面に取り付けるようにし、上金型と下金型２０とからなるプレス金型により各プレスステーションＳ１，Ｓ２，Ｓ３，Ｓ４，Ｓ５でワークのプレス成形加工が行われるようにしてあるプレス機に、下記構成を組込む。
【００１４】
すなわち、プレスラインＬを挟んで左右両側部に、ガイドビーム２３をプレスラインＬ方向に平行に配置して、左右各ガイドビーム２３をプレスフレーム１７に沿いリフト装置２４により昇降できるようにし、且つ該左右のガイドビーム２３に、複数個（図ではプレスライン方向に７つ）のキャリア２５ａ、２５ｂ、２５ｃ、２５ｄ、２５ｅ、２５ｆ、２５ｇを各々左右対称的に配置してプレスラインＬ方向へ移動できるよう支持させ、プレスラインＬの最上流側にあるキャリア２５ａを除き他のすべてのキャリア２５ｂ，２５ｃ，２５ｄ，２５ｅ，２５ｆ，２５ｇは隣接するキャリア同士を連絡棒２６で連結して、これらのキャリア２５ｂ，２５ｃ，２５ｄ，２５ｅ，２５ｆ，２５ｇが一体としてプレスラインＬ方向へ移動できるようにし、プレスラインＬの上流側に、上記キャリア２５ａに連結棒２７を介し連結されて、該キャリア２５ａをプレスラインＬ方向へ移動させる第１搬送機構２８を設け、又、プレスラインＬの下流側に、最下流側に位置するキャリア２５ｇに連結棒２９を介し連結されて、該連結棒２９にプレスライン方向への送り運動を与えるようにする第２搬送機構３０を設ける。更に、上記左右のガイドビーム２３に支持されている各左右相対向するキャリア２５ａ，２５ｂ，２５ｃ，２５ｄ，２５ｅ，２５ｆ，２５ｇには、プレスラインＬに直交する方向へ延びるクロスバー１１の両端部を支持させるためのクロスバーヘッド３１を昇降可能に支持させ、各クロスバー１１には、ワーク保持具１２が取り付けられている。
【００１５】
詳述すると、左右の各ガイドビーム２３は、図３、図４に示す如く、断面四角筒状のビーム３２の外側面の上下両端縁部に、矩形断面としたガイドレール３３を全長に亘り配置すると共にそれぞれ上下方向に突出させて一体的に取り付け、各ガイドレール３３の上下方向への突出部分をレール面３３ａ，３３ｂ，３３ｃとするようにしてあり、上記ビーム３２の上端面の所要個所に、リフト装置２４のラック棒２４ａの下端が取り付けられ、上部位置に設置された駆動装置としてのサーボモータ２４ｂに、上記ラック棒２４ａのラックと噛合するピニオンを連結して、サーボモータ２４ｂの駆動によりピニオンが回転してラック棒２４ａとともにガイドビーム２３が昇降できるようにしてある。
【００１６】
キャリア２５ａ，２５ｂ，２５ｃ，２５ｄ，２５ｅ，２５ｆ，２５ｇは、図２乃至図４に示す如く、上記ガイドビーム２３の上下のガイドレール３３に係合するように、レール面３３ｂと３３ｃを転動する水平ガイドローラ３４とレール面３３ａを転動する垂直ガイドローラ３５とからなるガイド機構３６を、下端を開口させたケーシング３７の内側面の前後、上下の４個所に取り付けると共に、該ケーシング３７の項部に、駆動装置としてサーボモータ３８を設置し、且つケーシング３７の内部に、下端にクロスバーヘッド３１を取り付けた昇降体３９を、ケーシング３７内のガイド部材に沿い上下方向（軸心方向）にのみ自在に昇降できるように下方より挿入して、該昇降体３９にナット部材４０を取り付け、更に、上記サーボモータ３８の出力軸４１に連結したスクリュー部材４２を上記ナット部材４０に螺合させて上下方向に挿通させ、サーボモータ３８の駆動によりスクリュー部材４２を介して昇降体３７が昇降することによって、クロスバーヘッド３１が上下方向へ移動できるようにした構成としてあり、かかる構成のキャリア２５ａ，２５ｂ，２５ｃ，２５ｄ，２５ｅ，２５ｆ，２５ｇを、上部及び下部に取り付けてある各ガイド機構３６の水平のガイドローラ３４をガイドレール３３の上下に突出している部分の両側面に形成したレール面３３ｂ、３３ｃを内外方向から挟むように係合させるようにすると共に、垂直ローラ３５をガイドレール３３の上下の端面に形成したレール面３３ａに沿い転動できるよう係合させるようにしてガイドビーム２３に組み付け、各キャリア２５ａ，２５ｂ，２５ｃ，２５ｄ，２５ｅ，２５ｆ，２５ｇをガイドビーム２３のガイドレール３３に沿いプレスラインＬの方向へ移動できるようにする。
【００１７】
上記プレスラインＬを挟んで相対向する左右のキャリア２５ａ，２５ｂ，２５ｃ，２５ｄ，２５ｅ，２５ｆ，２５ｇに昇降可能に支持されているクロスバーヘッド３１には、プレスラインＬに直交する方向に水平状態に延びるクロスバー１１の両端部を回動可能に連結させて支持させ、キャリア２５ａ，２５ｂ，２５ｃ，２５ｄ，２５ｅ，２５ｆ，２５ｇ毎にサーボモータ３８を独立に駆動させることにより、クロスバー１１の昇降量を個々に設定できるようにする。
【００１８】
又、上記各キャリア２５ａ、２５ｂ、２５ｃ、２５ｄ、２５ｅ、２５ｆ、２５ｇの隣接する方向となる前後の両端面には、先端にフランジ４３を有する連結棒取付部４４を突設させて、該連結棒取付部４４のフランジ４３と、連結棒２６，２７，２９の先端に取り付けられているフランジ４５とを接合することによって、最上流側のキャリア２５ａには連結棒２７を、又、その他の各キャリア２５ｂ，２５ｃ，２５ｄ，２５ｅ，２５ｆ，２５ｇには連結棒２６と２９をそれぞれ取り付けることができるようにしてある。
【００１９】
更に、最上流側のキャリア２５ａをプレスラインＬ方向へ移動させるための第１搬送機構２８は、図１に示す如く、ガイドビーム２３の上下のガイドレール３３にローラを介し組み付けて、ガイドレール３３に沿い移動できるようにした移動体４６に、サーボモータ４７と該サーボモータ４７で駆動されるようにしたピニオン４８とを取り付け、且つガイドビーム２３にラック４９を平行に取り付けて固定し、該ラック４９にピニオン４８を噛合させ、更に、上部移動体４６とキャリア２５ａを連結棒２７を介して連結し、サーボモータ４７を駆動してピニオン４８を回転させることにより、該ピニオン４８が固定されたラック４９上を転動することによって移動体４７がガイドレール３３に沿いプレスライン方向へ移動し（自走し）、連結棒２７を介してキャリア２５ａをワークの搬入位置と最初のプレスステーションＳ１との間で送り運動させてワーク搬送作業が行えるようにしてある。
【００２０】
又、上記キャリア２５ａを除く他のキャリア２５ｂ，２５ｃ，２５ｄ，２５ｅ，２５ｆ，２５ｇをプレスラインＬ方向へ移動させるための第２搬送機構３０は、図１に示す如く、基台５０上に、ガイドビーム２３とほぼ同じ高さ位置となるように架台５１を、プレスラインＬを挟むように設置して、該架台５１の上部フレーム５２に、ラック５３をプレスラインＬ方向へ移動できるように支持させ、該ラック５３のプレスライン方向上流側の端部と最下流側に位置するキャリア２５ｇとを連結棒２９で連結して、ラック５３とともに各キャリア２５ｂ，２５ｃ，２５ｄ，２５ｅ，２５ｆ，２５ｇを移動できるようにし、且つ該ラック５３を移動させる駆動装置として、サーボモータ５４により回転駆動されるピニオン５５を、固定台５６上に設置し、該ピニオン５５を上記ラック５３に噛合させて、ピニオン５５の回転によりラック５３が架台５１の上部フレーム５２に沿い移動して各キャリア２５ｂ，２５ｃ，２５ｄ，２５ｅ，２５ｆ，２５ｇに送り運動を与えてワーク搬送作業が行えるようにしてある。なお、上記ラック５３とキャリア２５ｇへの連絡棒２９の連結部は、上下方向への回動できるようにしてあり、ガイドビーム２３のセット位置が上下方向へ変位してラック５３とキャリア２５ｇの高さ位置に変動が生じても支障なくラック５３の移動に伴う送り運動がキャリア２５ｇに伝えられるようにしてある。
【００２１】
更に、プレスラインＬ方向の下流側には、最終のプレスステーションＳ５で成形された製品がクロスバー１１の搬送モーションで当該プレスステーションＳ５より搬送されると、これを受けて下流側へ移送させるようにするコンベヤ装置５７が高さ調整可能に設置されている。
【００２２】
プレスラインＬと平行に配置されている左右のガイドビーム２３は、ワークのプレス成形に際して、金型に合わせて予め高さ位置を調整する。この場合はリフト装置２４を作動させてラック棒２４ａを介しガイドビーム２３を上下方向へ移動させるようにする。
【００２３】
ガイドビーム２３が所定の高さ位置に設定されると、一連のプレス作業が終了するまでは、ガイドビーム２３は固定状態に置かれるようにする。
【００２４】
上記ガイドビーム２３に支持されている各キャリアのうち、プレスラインＬの最上流側にあるキャリア２５ａは、第１搬送機構２８の移動体４６に連結棒２７を介し連結して、第１搬送機構２８により単独に送り運動が与えられるようにし、又、他のキャリア２５ｂ，２５ｃ，２５ｄ，２５ｅ，２５ｆ，２５ｇは、互に連結棒２６で連結すると共に最下流側に位置するキャリア２５ｇを、第２搬送機構３０のラック５３に連結棒２９を介して連結し、第２搬送機構３０により送り運動が与えられるようにして、プレス作業を行わせるようにする。
【００２５】
プレス作業は、第１のプレスステーションＳ１から第５プレスステーションＳ５へ順次ワークを搬送して所定のプレス成形を与えるように行われる。
【００２６】
第１プレスステーションＳ１では、材料の深絞りを行うようにするため、第１プレスステーションＳ１の上流側へ供給されたワークを、自走式の第１搬送機構２８のサーボモータの駆動によるキャリア２５ａの送りと、該キャリア２５ａに備えられているサーボモータ３８の駆動によるクロスバー１１の昇降動作とが遠隔操作で行われて、新しいワークをクロスバー１１上のワーク保持具１２で保持して第１プレスステーションＳ１の上方へ搬送してから、該第１プレスステーションＳ１の下金型２０上に載せるように、クロスバー１１が図示の如き搬送モーションを形成するように動作されて、ワークを第１プレスステーションＳ１へ搬送させる。
【００２７】
ワークを第１プレスステーションＳ１へ搬送する上記キャリア２５ａを除く他のキャリア２５ｂ，２５ｃ，２５ｄ，２５ｅ，２５ｆ，２５ｇは、遠隔操作で第２搬送機構３０のサーボモータ５４を駆動させることによる同時の送りと、各キャリア２５ｂ，２５ｃ，２５ｄ，２５ｅ，２５ｆ，２５ｇ上のサーボモータ３８の独立した駆動によるクロスバー１１の個々の昇降動作とが行われ、各プレスステーションＳ１，Ｓ２，Ｓ３，Ｓ４，Ｓ５毎に搬送モーションが形成されて各プレスステーションＳ１，Ｓ２，Ｓ３，Ｓ４，Ｓ５毎に所定のプレス成型加工が行われ、ワークは順次第１プレスステーションＳ１から第２、第３、第４、第５プレスステーションＳ２，Ｓ３，Ｓ４，Ｓ５を経て下流側のコンベヤ装置５７へ移され、該コンベヤ装置５７によりプレス機外へ搬出される。
【００２８】
上記においては、プレスラインＬ方向の最上流側に位置するキャリア２５ａと、その他のキャリア２５ｂ，２５ｃ，２５ｄ，２５ｅ，２５ｆ，２５ｇとを切り離して、別々に送りが行えるようにすると共に、各キャリア２５ａ，２５ｂ，２５ｃ，２５ｄ，２５ｅ，２５ｆ，２５ｇは独立した昇降動作ができるようにしてあることから、各プレスステーションＳ１，Ｓ２，Ｓ３，Ｓ４，Ｓ５の金型に制約されることなく最適な搬送モーションを設定することができるので、板形状の多様化が可能となり、又、搬送時間が短縮可能となり、単位時間当りのプレス回数を多くすることができて、生産性を向上させることが可能となる。
【００２９】
次に、図５は前記した図１乃至図４に示すトランスファープレスのワーク搬送装置の構成に基づく本発明の実施の形態を示すもので、図１における各キャリア２５ａ，２５ｂ，２５ｃ，２５ｄ，２５ｅ，２５ｆ，２５ｇのサーボモータ３８を遠隔操作で個々にリフト駆動させるようにした構成に代えて、最上流側のキャリア２５ａを除く他のキャリア２５ｂ，２５ｃ，２５ｄ，２５ｅ，２５ｆ，２５ｇのうち、隣接する２組又は３組のキャリア、たとえば、２５ｂと２５ｃと２５ｄ、又は２５ｅと２５ｆと２５ｇについては、リフト駆動を連動させて、クロスバー１１が同期して昇降できるようにしたものである。
【００３０】
すなわち、各キャリア２５ｂ，２５ｃ，２５ｄ，２５ｅ，２５ｆ，２５ｇに設置されているサーボモータ３８の出力軸４１に連結されたスクリュー部材４２に、プーリ又はチェンホイール（図ではチェンホイールを示す）５８を１段は２段（中間に位置するものには２段設ける）取り付けて、各キャリア２５ｂと２５ｃ、２５ｃと２５ｄのスクリュー部材４２間、又は各キャリア２５ｅと２５ｆ、２５ｆと２５ｇのスクリュー部材４２間に、それぞれ無端のベルト又はチェン５９を掛け渡し、３組のキャリア２５ｂ、２５ｃ、２５ｄ又は２５ｅ、２５ｆ、２５ｇのいずれか１つのサーボモータ３８が駆動しなくてもベルト又はチェン５９により同時に動力が伝えられて、複数のキャリア２５ｂ、２５ｃ、２５ｄ又は２５ｅ、２５ｆ、２５ｇが同時に且つ同期されてリフト駆動されて、各クロスバー１１が同時に同じ昇降量で昇降させられ、ワークのリフト作用が行われるようにしたものである。
【００３１】
この実施の形態によれば、隣接するプレスステーション間の搬送モーションが同じ場合には１組の駆動装置としてのサーボモータ３８で動作できることになって、制御を必要とするアクチュエータを低減することができると共に、いずれかのサーボモータ３８が故障しても１組のサーボモータ３８が駆動できればリフト作用を可能とすることができる。
【００３２】
又、図６は本発明の実施の他の形態として、図１の実施の形態において、ガイドビーム２３上のガイドレール３３に沿いキャリア２５ａ、２５ｂ、２５ｃ、２５ｄ、２５ｅ、２５ｆ、２５ｇをプレスラインＬ方向へ移動させるようにし、且つ各キャリアに各々リフト駆動装置としてのサーボモータ３８を搭載し、該サーボモータ３８によりクロスバー１１を昇降させるようにした構成に代えて、フィードビーム６０をプレスラインＬ方向へ移動できるようにし、該フィードビーム６０に、独立して駆動できるリフト装置６１を取り付けて、該リフト装置６１でクロスバー１１を昇降できるようにしたものである。
【００３３】
すなわち、プレスラインを挟んで左右に配してあって、図示しない駆動機構で送り方向へ移動できるようにしてあるフィードビーム６０に、所要間隔を隔てて上下方向への貫通孔６２を設け、該貫通孔６２に昇降体６３を上下方向へ移動できるように挿通させて、該昇降体６３を、フィードビーム６０の下面に取り付けたスライドフレーム６５に上下方向へスライドできるように通して支持させると共に、昇降体６３の上端部にラック６４を設け、フィードビーム６０上に設置した駆動装置６６により回転させられるピニオン６７を、上記ラック６４に噛合させ、且つプレスラインＬと直角の方向に延びるクロスバー１１の両端部を、上記昇降体６３の下端部のクロスバーヘッド３１に回動できるように取り付け、ピニオン６７、ラック６４により昇降体６３を昇降させることによりクロスバー１１を昇降できるようにしたものである。
【００３４】
図７は本発明の実施の更に別の実施の形態を示すもので、左右のフィードビーム６０に所要間隔を隔ててスライドフレーム６５を嵌め込んで設け、該スライドフレーム６５に、下端部のクロスバーヘッドにクロスバー１１を回動できるように取り付けた昇降体６３を上下方向へスライドできるように通して支持させ、該昇降体６３の上端部に、フィードビーム６０より上方位置に設置したリフト装置６８の昇降体６９の下端部を、連結棒７０を介して揺動自在に連結し、リフト装置６８の昇降体６９を、図６の場合と同様にピニオン７２、ラック７１により昇降させることにより、連結棒７０を介し昇降体６３を昇降させてクロスバー１１の昇降動作が行われ、且つフィードビーム６０に送り動作を与えることにより、実線と破線で示すようにクロスバー１１をプレスライン方向へ変位させることができて、クロスバー１１に送りとリフトの作用をさせることができるようにしたものである。
【００３５】
又、図８は図７の変形例を示すもので、図７のようにプレスラインに沿い左右対称的に配置してあるフィードビームを、上フィードビーム７３ａと下フィードビーム７３ｂからなる上下一体型のフィードビーム７３として、プレスライン方向へ移動できるようにし、下フィードビーム７３ｂに、図７の実施の形態と同様に昇降体６３を昇降自在に取り付けると共に、上フィードビーム７３ａに、図７の実施の形態で上方位置に設置していたリフト装置６８を設置して、該リフト装置６８の昇降体６９に上記昇降体６３の上端部を連結棒７０を介して連結し、上フィードビーム７３ａ上のリフト装置６８の作動により、連結棒７０、昇降体６３を介してクロスバー１１が昇降できるようにしたものである。その他の構成は図７に示したものと同じであり、同一のものには同一符号が付してある。
【００３６】
図６乃至図８に示す如き実施の形態によれば、フィードビームを採用した形式において各リフト装置を独立して作動させることができて、各プレスステーション毎に独立して自由に搬送モーションを形成させることができる。
【００３７】
なお、本発明は、上記した各実施の形態のものに限定されるものではなく、各キャリア２５ａ，２５ｂ，２５ｃ，２５ｄ，２５ｅ，２５ｆ，２５ｇの搬送やリフト作用は、アクチュエータとしてサーボモータ４７、５４や３８を用いたサーボ制御機構で行わせる場合を示したが、サーボ制御は速度可変制御を含むようにすることは任意であること、その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更を加え得ることは勿論である。
【００３８】
【発明の効果】
以上述べた如く、本発明のトランスファープレスのワーク搬送装置によれば、次の如き優れた効果を奏し得る。
（１）プレスラインを挟む左右両側に、ガイドビームをリフト装置により昇降できるように配置し、該左右のガイドビームに、複数のキャリアをプレスライン方向へ移動できるように支持させ、プレスライン方向の最上流側に位置するキャリアを除き他のすべてのキャリアのうち隣接する複数組のキャリアの昇降体を昇降させる駆動系同士を動力伝達機構で連結し、該各組内のいずれかの駆動装置で複数組ごとに各昇降体が同時に昇降できるようにして、左右相対向するキャリアの昇降体間に、ワーク保持具を有しプレスラインに直交する方向へ延びるクロスバーを取り付け、且つプレスライン方向の最上流側に位置するキャリアを除き他のすべてのキャリアは隣接するキャリア同士を連結棒で連結して、これらすべてのキャリアが一体としてプレスライン方向へ移動できるようにして、プレスライン方向の最上流側に位置するキャリアと、その下流側の上記すべてのキャリアとを別々の搬送機構でプレスライン方向へ送るようにした構成としてあるので、プレスライン方向の最上流側のキャリアと、該キャリアを除く他のすべてのキャリアを別々に動かして搬送させることができて、プレスラインに供給されるシート材を、最上流側のキャリア単独の動きで第１プレスステーションへ搬送することができ、又、各プレスステーションの金型に制約されることなく個々に最適モーションを設定することにより搬送時間が短縮可能となり、単位時間当りのプレス回数が多くなり、生産性の向上が図れる。
（２）プレスライン方向の最上流側に位置するキャリアを除き他のすべてのキャリアのうち隣接する複数組のキャリアの昇降体を昇降させる駆動系同士を動力伝達機構で連結し、該各組内のいずれかの駆動装置で複数組ごとに各昇降体が同時に昇降できるようにした構成としてあるので、隣接する複数のキャリアについては、いずれかの駆動装置が故障しても同時に搬送、昇降を行わせることができる。
（３）更に、プレスラインを挟む左右両側に、フィードビームをプレスライン方向へ移動できるように配置し、該フィードビームの所要個所に、複数の昇降体を昇降可能に取り付け、且つフィードビームの上方位置に、昇降体に対応させてリフト装置を設置し、該各リフト装置と各昇降体とを連結棒を介し揺動自在に連結し、左右のフィードビーム上の相対向する昇降体間に、ワーク保持具を有するクロスバーを取り付けた構成とすることにより、フィードビームで送りを与えるようにしたものであっても、各プレスステーション毎に昇降量を個々に設定することができて、搬送、昇降量に制約されない金型の設計、製作が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明のトランスファープレスのワーク搬送装置の実施の一形態を示す概要図である。
【図２】図１に示すキャリアの詳細を示す平面図である。
【図３】図２のＡ−Ａ方向から見た側面図である。
【図４】図２のＢ−Ｂ方向から見た切断側面図である。
【図５】本発明の実施の他の形態を示す概略図である。
【図６】本発明の実施の更に他の形態を示す概略図である。
【図７】本発明の実施の更に別の形態を示す概略図である。
【図８】図７の変形例を示す概略図である。
【図９】従来のトランスファープレスのワーク搬送装置の一例を示す図である。
【符号の説明】
１１ クロスバー
１２ ワーク保持具
２３ ガイドビーム
２４ リフト装置
２５ａ〜２５ｇ キャリア
２６ 連結棒
２７ 連結棒
２８ 第１搬送機構
２９ 連結棒
３０ 第２搬送機構
３８ サーボモータ（駆動装置）
３９ 昇降体
４２ スクリュー部材（駆動系）
５８ プーリ又はチェンホイール
５９ ベルト又はチェン（動力伝達機構）
６０ フィードビーム
６１ リフト装置
６３ 昇降体
６８ リフト装置
７０ 連結棒
７３ フィードビーム

Claims (2)

1. プレスラインを挟む左右両側に、ガイドビームをリフト装置により昇降できるように配置し、該左右のガイドビームに、複数のキャリアをプレスライン方向へ移動できるように支持させ、プレスライン方向の最上流側に位置するキャリアを除き他のすべてのキャリアのうち隣接する複数組のキャリアの昇降体を昇降させる駆動系同士を動力伝達機構で連結し、該各組内のいずれかの駆動装置で複数組ごとに各昇降体が同時に昇降できるようにして、左右相対向するキャリアの昇降体間に、ワーク保持具を有しプレスラインに直交する方向へ延びるクロスバーを取り付け、且つプレスライン方向の最上流側に位置するキャリアを除き他のすべてのキャリアは隣接するキャリア同士を連結棒で連結して、これらすべてのキャリアが一体としてプレスライン方向へ移動できるようにして、プレスライン方向の最上流側に位置するキャリアと、その下流側の上記すべてのキャリアとを別々の搬送機構でプレスライン方向へ送るようにしたことを特徴とするトランスファープレスのワーク搬送装置。
2. プレスラインを挟む左右両側に、フイードビームをプレスライン方向へ移動できるように配置し、該フィードビームの所要個所に、複数の昇降体を昇降可能に取り付け、且つ上記フィードビームの上方位置に、昇降体に対応させてリフト装置を設置し、該各リフト装置と各昇降体とを連結棒を介し揺動自在に連結し、左右のフィードビーム上の相対向する昇降体間に、ワーク保持具を有するクロスバーを取り付けたことを特徴とするトランスファープレスのワーク搬送装置。

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