JP4268664B2 - 嚥下性に優れたおはぎ - Google Patents

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本発明は、嚥下性に優れたおはぎに関する。
おはぎは、糯米を又は糯米に粳米を加えたものを炊き、軽くついて小さく丸め、餡などで包んだ食べ物であり、代表的な和菓子の一つである。おはぎは、ぼたもちと呼ばれることもある。
おはぎの製造方法は大別して二通りある。一つは、和菓子職人などのプロフェッショナルが行っている製造方法である。水漬けした糯米を蒸し、熱い砂糖液の中に入れ、蓋をして数時間蒸らして砂糖液を糯米粒に吸収させる。その後、すりこ木で潰して半殺し(米粒がある程度残るように潰すこと)にしておはぎ生地とし、おはぎ生地を餡で包む。この製造方法においては、原料として粳米が使用されることはなく糯米が100%使用される。もう一つは、一般家庭で行われている製造方法である。糯米と粳米とをおよそ5:5で混ぜたものを炊飯器で炊き、すりこ木で潰して半殺しにしておはぎ生地とし、おはぎ生地を餡で包む。おはぎの食感を変化させるために、糯米と粳米の混合割合を変えることはあるものの、適度な粘り気を出すために糯米を必ず混入する必要がある(糯米と粳米の比率は、通常3:7〜7:3の範囲であり、より一般的には5:5又は6:4である)。なお、現在では、おはぎが一般家庭で作られることは少なく、和菓子屋、スーパーマーケット、コンビニエンスストア等で購入されることがほとんどである。
ところで、高齢になるにつれ人間の様々な身体機能は低下していく。その一つとして、嚥下機能の低下が挙げられる。嚥下が困難な人は嚥下時に食品が誤って気管に流入する誤嚥が生じるおそれがあり、肺炎や窒息死等の原因となる。誤嚥を防止するために、ミキサー食(だし汁又は水ととろみ剤とともに食品をミキサーにかける)や刻み食(だし汁又は水ととろみ剤とともに食品をフードカッターにかける)が嚥下が困難な人に供される。しかしながら、そのような態様で供される食品には自ずと限りがある。おはぎをミキサーやフードカッターで処理することはできず、たとえ処理できたとしてもおはぎ本来の食感を楽しむことはできない。しかしながら、おはぎは日本人が大好きな和菓子の一つであり、たとえ嚥下が困難になったとしても、子どもの頃から慣れ親しんだおはぎを食べたいとの欲求を抑えることは難しい。
特開平9−98721 特開昭55−85363
本発明の目的は、嚥下が困難な人でも容易に食することができる、嚥下性に優れたおはぎ及びその製造方法を提供することにある。
おはぎの食感は、原料の米を半殺しにした結果生じる、ある程度残った米粒及び潰れた米の粘り気に由来する。プロフェッショナル用の製造方法においては、糯米のみが原料であるため、残る米粒も潰れる米粒もともに糯米である。しかし、後述の実施例において示すように、一般家庭用の製造方法においては、半殺しにした際に潰れるのは専ら糯米であり、米粒が残るのは専ら粳米であることが判明した。上述の通り、おはぎの原料として糯米は必須であるが、糯米は少しでも潰れていると喉に引っかかり易く誤嚥を誘発し易い。もし、糯米と同様の食感を有しながらも喉越しの良い食材があれば、嚥下が困難な人でも容易に食することができ、しかも本来の食感を備えたおはぎを提供できるのではないかと本発明者は代用食材を探し求めた。その結果、驚くべきことに里芋が糯米の代用となり得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のおはぎは、おはぎ生地を餡で包んだ又はおはぎ生地で餡を包んだおはぎであって、前記おはぎ生地は、米を含むことなく、茹でて又は蒸して潰してペースト状にした里芋からなる。また、本発明のおはぎは、おはぎ生地を餡で包んだ又はおはぎ生地で餡を包んだおはぎであって、前記おはぎ生地は茹でて又は蒸して潰してペースト状にした里芋、及び糯米を含むことなく炊いて又は蒸して糖液を吸収させた粳米からなり、里芋由来のおはぎ生地部材:粳米由来のおはぎ生地部材の重量比が3:7以上10:0未満である。ここで、里芋由来のおはぎ生地部材:粳米由来のおはぎ生地部材の重量比は4:6以上6:4以下であることが好ましい。さらに、前記おはぎ生地の里芋は潰してペースト状にしながら又はした後に砂糖を吸収させた里芋であることが好ましい。なお、おはぎ生地で餡を包んだおはぎを、塩漬け桜葉で包んで桜餅としてもよく、椿の葉で包んで椿餅としてもよい。
里芋は加熱後もぬめりを有しており、飲み込み易いという特性を備えている。また、驚くべきことに里芋の味及び食感はおはぎの味及び食感と非常にマッチしており、おはぎの原料として使用しても全く違和感がない。したがって、糯米の代わりに里芋を原料として製造したおはぎは、嚥下が困難な人でも容易に食することができ、しかもおはぎ本来の味及び食感を維持している。
おはぎの原料として里芋を使用することは、例えば特許文献1に開示されている。しかしながら、特許文献1において、里芋を混入する目的は食感及び風味を斬新にして食用感を良くすることや日持ちを良くすることであって、糯米の代用とするものではない。また、特許文献1のおはぎは糯米の割合が高く、里芋の割合が低い。そして、おはぎはプロフェッショナルな製造方法にしろ一般家庭用の製造方法にしろ半殺しを行うため、糯米は半ば潰れ、半ばでも潰れると糯米は非常に喉に引っかかり易くなる。したがって、特許文献1のおはぎは、嚥下が困難な人が容易に食することができるものとは考えられない。他方、本発明のおはぎでは、糯米がペースト状の里芋に分散しており、糯米が含まれていても喉越しに優れた粘性を持つ里芋にくるまれているため、嚥下性に優れる。
また、特許文献2には、里芋を原料に使用した和菓子の製造方法として、「うるち米を製粉した米粉を蒸煮し、それを臼でつき、次に山芋と里芋を加えた後さらに臼でついて生地になし、その生地を延伸させた後適宜形状に形切し、しかる後同生地の中にあんを入れ、それをさらに蒸煮してなる和菓子製造法」が開示されている。この製造方法で製造されるものはおはぎとは異なる食感を有する和菓子である。粳米を製粉した米粉とは、いわゆる上新粉を指し、上新粉がおはぎの原料とされることはなく、上新粉は団子や柏餅の原料として使用される。また、和菓子の製造にあたって上新粉と糯米とを混ぜて使われることもない。したがって、特許文献2において山芋と里芋が糯米の代用原料として使用されていないことは明らかである。
本発明に係るおはぎは、嚥下が困難な人でも容易に食することができ、しかもおはぎ本来の味及び食感を維持している。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
本発明の実施形態に係るおはぎは、茹でて若しくは蒸して潰してペースト状にした里芋からなるおはぎ生地を餡で包んでいる又は前記おはぎ生地で餡を包んでいることを特徴とする。
本発明の実施形態に係るおはぎは、茹でて又は蒸して潰してペースト状にした里芋をおはぎ生地として使うことにより、おはぎ本来の味及び食感を維持し、かつ、潰した里芋により優れた嚥下性を発揮している。おはぎ生地を餡で包んだおはぎ、おはぎ生地で餡を包んだおはぎのいずれであっても、おはぎ本来の味及び食感が維持され、優れた嚥下性が発揮されるが、おはぎ生地を餡で包んだおはぎの方が味、食感及び嚥下性において優れる。
おはぎの餡は、通常のおはぎに使用される餡であれば特に限定されず、例えば、小豆餡、白餡、ずんだ、芋餡、栗餡、鶯餡、胡麻餡などが挙げられる。また、餡は、粒餡、潰し餡、漉し餡のいずれもよい。粒餡では小豆粒が、潰し餡では皮が喉に引っかかることがあるため、嚥下性の観点からは漉し餡を使うことが好ましい。また、おはぎ生地で餡を包む場合、黄粉、胡麻又は青海苔などをまぶしてもよいが、これらをまぶすことで嚥下性が悪くなることがあるため、まぶさない方が好ましい。おはぎ生地と餡の比率は一般的なおはぎと同程度でよく、例えば、おはぎ生地を餡で包む場合は、おはぎ生地:餡=1:1〜1:2(重量比)程度の比率とすることができる。また、嚥下が困難な人でも食べ易いように、一般的なおはぎよりも小振りの大きさ(出来上がりの重さとして20〜40g程度)のおはぎであることが好ましい。
おはぎ生地で餡を包んだおはぎを、塩漬け桜葉で包むと桜餅となる。桜餅の場合、おはぎ生地を食紅などで桃色に染めることが多い。また、おはぎ生地で餡を包んだおはぎを、椿の葉で包むと椿餅となる。
おはぎ生地は、里芋の他に、炊いて又は蒸して糖液を吸収させた米を含んでもよい。おはぎ本来の味及び食感を出すためには、おはぎ生地の原料として里芋だけではなく里芋及び米を使用することが好ましいからである。おはぎ本来の味及び食感を出すためには、米由来のおはぎ生地部材の割合が高いほうが良く、おはぎの嚥下性を高めるためには、里芋由来のおはぎ生地部材の割合が高いほうが良い。おはぎの味・食感及び嚥下性を両立させるためには、里芋由来のおはぎ生地部材:米由来のおはぎ生地部材の重量比が3:7以上10:0未満である。より好ましくは、4:6以上6:4以下であり、最も好ましくは5:5である。ここで、重量比は、茹でて又は蒸して潰してペースト状にした後の里芋(さらに砂糖を吸収させた場合は、砂糖を吸収させた後の里芋)の重量及び炊いて又は蒸して糖液を吸収させた米の重量の比である。
おはぎ生地の原料として使用する米は、粳米、糯米又はこれらの混合物のいずれでもよいが、嚥下性の観点から粳米であることが好ましい。ただし、おはぎ生地における里芋の重量比が十分高い場合(例えば5割以上)、粳米を単独で使用しても糯米を単独で使用しても嚥下性にほとんど差はなく、粳米を単独で使用した場合が若干優れている程度である。これは、ペースト状の里芋に十分に米粒が分散され、里芋ペーストが米粒を十分に包み込み、ペースト状の里芋の嚥下し易い粘性が発揮されるためと考えられる。また、米は半殺しにしてもよいが、嚥下性の観点からは、半殺しにせずにそのまま使用することが好ましい。
おはぎ生地の原料である米に糖液を吸収させるのは、おはぎの日持ちを良くするためである。同時に、おはぎの味を良くすることもでき、さらに嚥下性を若干良くすることもできる。また、米に吸収させる糖液の量は、米に対して0.7〜1倍(重量比)程度である。糖液には、砂糖液、水飴、異性化糖、水添水飴などが含まれる。
おはぎ生地は、茹でて又は蒸して潰してペースト状にしながら又はした後に砂糖を吸収させた里芋を使用することが好ましい。おはぎ生地の原料である里芋を砂糖で処理することにより、おはぎの日持ちを良くすることができ、おはぎの味を良くすることもでき、さらに嚥下性を若干良くすることもできる。里芋に吸収させる砂糖の量は、里芋に対して0.0〜0.5倍(重量比)程度であり、望ましくは0.2〜0.3倍程度である。
本発明の実施形態に係るおはぎは、寒天を混ぜることでさらに嚥下性を良くすることが可能である。寒天を混ぜる場合、おはぎ生地に混ぜても、餡に混ぜても、又は両方に混ぜても良い。
本発明の実施形態に係るおはぎは以下の方法で製造することができる。まず里芋の皮を剥き、里芋が軟らかくなるまで茹でるか蒸す。次に、茹でた又は蒸した里芋がまだ熱いうちにポテトマッシャーなどのマッシャーを使って潰してペースト状にする。次に、潰してペースト状にした里芋の形を整えておはぎ生地とする。このようにして準備したおはぎ生地を餡で包むか、又は、おはぎ生地で餡を包むことで、本発明のおはぎが出来上がる。
里芋に砂糖を吸収させる場合は、熱い里芋を潰してペースト状にする際に砂糖を加えて混ぜるか、又は潰してペースト状にした直後の熱い里芋に砂糖を混ぜて吸収させる。里芋が熱いうちに砂糖を加えると、里芋の熱で砂糖が溶けるため容易に均一に混ぜることができる。また、里芋に寒天を加える場合は、熱い里芋を潰してペースト状にする際に寒天液を加えて混ぜるか、又は潰してペースト状にした直後の熱い里芋に寒天液を混ぜて吸収させる。里芋が熱いうちに寒天液を加えると、里芋の熱で寒天が溶けるため容易に均一に混ぜることができる。砂糖及び寒天の両方を加える場合、どちらを先に加えてもよく、同時に加えてもよい。
米を含むおはぎ生地を使ったおはぎは以下の方法で製造することができる。
まず、粳米、糯米又はこれらの混合物を炊くか蒸す。いずれも炊くことも蒸すことも可能だが、粳米単独は炊くのに向いており、糯米は蒸すのに向いている。粳米を蒸す場合は特に十分に吸水させる必要があり、吸水前又は吸水後に破砕すれば蒸しやすい。粳米は打ち水の量を非常に多くすることで上手に蒸すことができる。また、それぞれ別々に炊いた又は蒸した米を混ぜ合わせてもよい。米を炊く場合、電気炊飯器、ガス炊飯器、釜などの一般に炊飯に使用されている調理器具を使用することが可能である。加える水の量は、米の種類や使用する調理器具によって異なるが、例えば、電気炊飯器で粳米を炊く場合、粳米に対して1.5〜1.9倍程度の水を加えることが好ましい。この水の量は一般的な炊飯よりも多めである。
次に、炊いた又は蒸した米に糖液を吸収させる。炊き上がった又は蒸しあがった米を熱した糖液の中に漬け込み、蓋をして数時間蒸すことで糖液を吸収させることができる。または、火蒸らしの終わった熱々の米が入っている炊飯器の中に熱い糖液を入れ、炊飯器の中の温度を約50℃以上に保持して数時間経過させることで、糖液を吸収させることができる。使用する糖液の濃度は50〜60%(w/w)であることが好ましい。
炊いて又は蒸して糖液を吸収させた米は、茹でて若しくは蒸して潰してペースト状にした里芋と混ぜ合わせて、形を整えておはぎ生地とする。このようにして準備したおはぎ生地を餡で包むか、又は、おはぎ生地で餡を包むことで、本発明のおはぎが出来上がる。
(実施例1)
粳米に、青色1号(ブリリアントブルーFCF)水溶液を加えて電気炊飯器で炊飯した。火蒸らしが終わって炊き上がった後、粳米と同重量の熱い糖度60%の砂糖液を注ぎ、蓋を閉めて保温状態を維持した。1時間経過後、時々、炊飯スイッチを入れて釜の温度が下がらないようにしながら、ご飯が砂糖液を吸収するのを助けた。炊飯スイッチを入れっぱなしにするとご飯が焦げるため、釜の温度が上がった段階で炊飯スイッチを切って保温にした。すべての砂糖液を吸収させるのに約3時間かかった。
一方、里芋の皮を剥き、軟らかくなるまで茹で、熱いうちにポテトマッシャーで潰してペースト状にして、里芋の重量の20%の砂糖を加えてよく混ぜ合わせると熱で砂糖が溶けて均一に混ざった。
糖液を吸収させた粳米と砂糖を吸収させた里芋とを同重量混ぜ合わせて、おはぎ生地を製造した。おはぎ生地の形状を整えた後、写真を撮影した。その写真を図1に表した。
(比較例1)
一般家庭用の製造方法に従い、おはぎを製造した。粳米に青色1号水溶液を加えて炊飯器で炊いた。一方、粳米と同重量の糯米に水を加えて炊飯器で炊いた。なお、通常は、粳米も糯米も同じ炊飯器で一緒に炊くが、粳米と糯米を染め分けるために別々に炊いた。炊き上がった粳米と糯米とを混ぜ合わせた後、すりこ木を使って半殺しにし、おはぎ生地を製造した。おはぎ生地の形状を整えた後、写真を撮影した。その写真を図2に表した。
(実施例1のおはぎ生地と比較例1のおはぎ生地の対比)
図2から明らかなように、一般家庭用の方法で製造したおはぎ生地において、半殺しの結果、潰れているのは専ら糯米であり、米粒が残っているのは専ら粳米であった。このおはぎの糯米の潰れた部分は、喉に詰まったり、くっついたり、ひっかかったりする粘性を示す。一方、本発明に係るおはぎ生地(図1)のペースト状に潰した里芋の粘性は、なめらかさのある喉越しの良い粘性で、米粒を抱き込んでするりと嚥下し、両者の粘性のタイプは大きく異なる。しかしながら、本発明に係るおはぎ生地(図1)は、一般家庭用の方法で製造したおはぎ生地(図2)と米粒の分散が酷似しているため非常に近い食感を示した。一般家庭用の方法で製造するおはぎは、現在の和菓子市場ではまぼろしとなり、和菓子市場に存在するのは、企業や和菓子店が製造するプロフェッショナル用の方法で製造するおはぎのみである。また、一般家庭においておはぎはほぼ作られなくなっている。昔は家庭方式のおはぎを食していた人も、今では何の抵抗もなくプロフェッショナル用の方法で製造するおはぎを食している。ということは、一般家庭用の方法で製造したおはぎと構造的に酷似し、同様の食感を有する本発明に係るおはぎは、プロフェッショナル用の方法で製造したおはぎと同等の位置に置くことが可能と考えた。そこで、本発明に係るおはぎとプロフェッショナル用の方法で製造したおはぎと比較して、食感や嚥下性が優れているのか否かを調べるため、実際に試食を行い評価することにした。
(実施例2)
粳米に、280g(約2合)の粳米に434mlの水(粳米の重量の1.55倍)を加えて電気炊飯器で炊飯した。火蒸らしが終わって炊き上がった後、炊飯器の蓋を開け、280gの熱い糖度60%の砂糖液を注ぎ、蓋を閉めて保温状態を維持した。1時間経過後、時々、炊飯スイッチを入れて釜の温度が下がらないようにしながら、ご飯が砂糖液を吸収するのを助けた。炊飯スイッチを入れっぱなしにするとご飯が焦げるため、釜の温度が上がった段階で炊飯スイッチを切って保温にした。すべての砂糖液を吸収させるのに約3時間かかり、糖液を吸収させた炊飯粳米934gを得た。
一方、皮を剥いた里芋800gを軟らかくなるまで茹で、熱いうちにポテトマッシャーで潰してペースト状にして、里芋の重量の20%の砂糖を加えてよく混ぜ合わせると熱で砂糖が溶けて均一に混ざった。里芋ペースト954gを得た。
糖液を吸収させた炊飯粳米と砂糖を吸収させた里芋とを同重量混ぜ合わせて、おはぎ生地を製造した。
小豆漉し餡18gで丸めたおはぎ生地9gを包んで、小振りのおはぎを製造した。
(実施例3)
里芋の皮を剥き、軟らかくなるまで茹で、熱いうちにポテトマッシャーで潰してペースト状にして、里芋の重量の20%の砂糖を加えてよく混ぜ合わせると熱で砂糖が溶けて均一に混ざった。これを、おはぎ生地とした。小豆漉し餡18gで丸めたおはぎ生地9gを包んで、小振りのおはぎを製造した。
(実施例4)
実施例2と同様に、糖液を吸収させた粳米と砂糖を吸収させた里芋を用意し、糖液を吸収させた粳米:砂糖を吸収させた里芋=7:3の重量比で混ぜ合わせて、おはぎ生地を製造した。小豆漉し餡18gで丸めたおはぎ生地9gを包んで、小振りのおはぎを製造した。
(比較例2)
プロフェッショナル用の製造方法に従い、小振りのおはぎを製造した。すなわち、水漬けした糯米を蒸し、熱い砂糖液の中に入れ、蓋をして数時間蒸らして砂糖液を糯米粒に吸収させた。その後、すりこ木で潰して半殺しにしておはぎ生地とし、小豆漉し餡18gで丸めたおはぎ生地9gを包んで、小振りのおはぎを製造した。なお、ブンセン株式会社の和菓子部門は、この方法でおはぎを製造し出荷している。
(試験例1)
本発明のおはぎの飲み込み易さ、噛み易さ、美味しさ、見た目の良さについて客観的な評価を行うため、健常人(嚥下に困難のない人)を評価者とした官能試験を行った。実施例2で製造したおはぎ(A)及び比較例2で製造したおはぎ(B)を用意し、被験者にはA及びBのどちらが本発明のおはぎであるかを伏せて試食してもらった。評価は以下の5段階で行った:AはBよりも非常に優れる(5)、AはBよりも優れる(4)、AとBは同等である(3)、AはBよりも劣る(2)、AはBよりも非常に劣る(1)。
なお、健常人を評価者とした官能試験を行ったのは、嚥下が困難な人の試食は危険が伴うからである。嚥下が困難な人が試食し、万が一、誤嚥が生じた場合、嚥下が困難な人は肺炎や窒息死を起こしかねない。特に、通常のおはぎを試食した場合には誤嚥の危険性は非常に高い。嚥下が困難な人を危険にさらす官能試験は行うべきではないため、健常者を評価者とした官能試験を行った。
結果を表1にまとめた。表中の数字は、各評価を下した評価者の人数を表す。
評価者から寄せられたコメントとして、「AはBのように粘りが強くなくて噛み易くて美味しい」、「Bは弾力が強いのでAの方が良い」、「Aは軟らかくて美味しい」というものがあった。
表1からも明らかなように、本発明のおはぎは従来のおはぎと比較して、飲み込み易さ及び噛み易さの点で圧倒的に優れている。美味しさについては好みが分かれるところであるが、評価者のコメントと合わせて考えると、軟らかさや噛み易さから本発明のおはぎが美味しいと感じる人も多く、従来のおはぎよりも美味しいと評価を下した人が多かった。また、見た目についてはほとんど差がなかった。
(試験例2)
試験例1と同様に、官能評価を行った。実施例3で製造したおはぎ(A)及び比較例2で製造したおはぎ(B)を用意し、被験者にはA及びBのどちらが本発明のおはぎであるかを伏せて試食してもらった。評価は試験例1と同じ5段階で行った。
結果を表2にまとめた。表中の数字は、各評価を下した評価者の人数を表す。
表2から明らかなように、実施例3のおはぎは、比較例2のおはぎよりも優れた嚥下性を備えており、ほぼ同等の味及び食感を有していた。
(試験例3)
試験例1と同様に、官能評価を行った。実施例4で製造したおはぎ(A)及び比較例2で製造したおはぎ(B)を用意し、被験者にはA及びBのどちらが本発明のおはぎであるかを伏せて試食してもらった。評価は試験例1と同じ5段階で行った。
結果を表2にまとめた。表中の数字は、各評価を下した評価者の人数を表す。
表3から明らかなように、実施例4のおはぎは、比較例2のおはぎよりも優れた嚥下性を備えており、味及び食感も優れている。
本発明に係るおはぎ生地を撮影した写真を表す図である。青色に着色した部分が粳米に由来する部分であり、着色していない部分が里芋に由来する部分である。里芋マトリックス中に粳米が分散している。 従来の方法で製造したおはぎ生地を撮影した写真を表す図である。青色に着色した部分が粳米に由来する部分であり、着色していない部分が糯米に由来する部分である。糯米マトリックス中に粳米が分散している。

Claims (5)

  1. おはぎ生地を餡で包んだ又はおはぎ生地で餡を包んだおはぎであって、前記おはぎ生地は、米を含むことなく、茹でて又は蒸して潰してペースト状にした里芋からなるおはぎ
  2. おはぎ生地を餡で包んだ又はおはぎ生地で餡を包んだおはぎであって、前記おはぎ生地は茹でて又は蒸して潰してペースト状にした里芋、及び糯米を含むことなく炊いて又は蒸して糖液を吸収させた粳米からなり、里芋由来のおはぎ生地部材:米由来のおはぎ生地部材の重量比が3:7以上10:0未満である、おはぎ。
  3. 里芋由来のおはぎ生地部材:粳米由来のおはぎ生地部材の重量比が4:6以上6:4以下である、請求項2記載のおはぎ。
  4. 前記おはぎ生地の里芋は潰してペースト状にしながら又はした後に砂糖を吸収させた里芋である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のおはぎ。
  5. おはぎ生地で餡を包んだ請求項1〜4のいずれか一項に記載のおはぎを、塩漬け桜葉で包んだ桜餅又は椿の葉で包んだ椿餅。
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