JP4266938B2 - 非隠蔽性塗料の色合わせ装置、そのプログラム、塗装物製造装置、非隠蔽性塗料の色合わせ方法、及び塗装物の製造方法 - Google Patents

非隠蔽性塗料の色合わせ装置、そのプログラム、塗装物製造装置、非隠蔽性塗料の色合わせ方法、及び塗装物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、透明被膜成分と1または複数の基本色材とからなる非隠蔽性塗料を下地材に塗布した状態で、色見本とほぼ同じ色となるように、非隠蔽性塗料における透明被膜成分と各基本色材の配合比を決定する装非隠蔽性塗料の色合わせ装置、そのコンピュータプログラム、塗装物製造装置、色合わせ方法、及び塗装物の製造方法、に関する。
従来より、下地材を隠蔽するエナメル系塗料について、所望の色の着色塗料を配合するための色材の配合比を求める場合、クベルカムンクの式による光学濃度を用いるコンピュータカラーマッチング(以下、CCMという)により、色材の配合比を求めることで、十分な精度の色合わせが可能となっている。
たとえば、特許文献1では、色見本の色に対し、予め記憶してある色の中から色差の小さな色を検索し、この色をさらに修正(補正)することによって、色見本により近い色を呈する色材について、その中の基本色の色材の配合率を得るものが記載されている。
特公平5−27813号公報
しかしながら、たとえば下地材として木質材を用いる場合には、下地が透けて見える非隠蔽性の塗料を用いることが多い。この場合には、塗装物の色には、下地材(たとえば木質材)の持つ素材色の影響が含まれているため、上述のような隠蔽性塗料についてのCCMを適用しても、見本物の色(目標とする色)によっては、基本色材の配合比が算出できなかったり、算出できても適切な色合わせとならない場合があるなど、適切な色材の配合比が得られないことがある。
また、クベルカムンクの式を用いるカラーマッチングでは、基本色材の光学濃度を用いるものであり、その性質上、非隠蔽性塗料に適用する場合には、非隠蔽塗料に配合される基本色材の合計割合(合計配合比)を固定して、基本色材の配合比を調整することとなる。つまり、色見本に或る程度近似した色の塗料の配合比が得られた場合に、さらに、色を近づけるに当たって、この手法では、塗料における基本色材の合計配合比を固定し、基本色材同士の配合割合を調整するしかなかった。
このため、このような手法では、非隠蔽性塗料の色合わせについては限界があり、適切に色合わせされた塗料が、確実に得られるとは限らない。このため、熟練した作業者が目視により透明被膜成分及び各々の基本色材を適宜追加するなどして、塗料の配合比を補正し、徐々に目的とする色に近づける手法を取らざるを得ないことが多かった。しかしこのような手法では、作業者の熟練度に依存する上、塗料の試作回数が多くなりがちであった。
これに対し、発明者は、色見本に或る程度近似した色の塗料が得られた場合には、塗料にさらに透明皮膜成分を加えて色を薄くするなど、得られた塗料における基本色材の合計配合比を変化させることで、容易に色合わせができる場合があることを見いだした。
さらに、非隠蔽性塗料を塗布した塗装物においては、この塗装物の明度L*と、下地材の明度L* 0と、使用した非隠蔽性塗料における合計配合比Dとの間に、一定の関係が存在することを見いだした。
一方で、クベルカムンクの式を用いたカラーマッチングによって、適切に色合わせが可能な場合も存在する。
そして、発明者は、塗料の色合わせにあたり、塗料における基本色材の合計配合比を固定し、各基本色材の配合割合を調整する場合と、塗料における各基本色材の配合比を固定し、基本色材の合計配合比を調整する場合とを適宜選択することで、少ない塗料の試作回数で、色合わせを行いうることを見出した。
本発明は、かかる知見に鑑みてなされたものであって、透明被膜成分と各基本色材の少なくともいずれかとからなる非隠蔽性塗料について、透明被膜成分と各基本色材の配合比や追加量を算出できる色合わせ装置、色合わせ装置を用いた塗装物製造装置、及び、コンピュータを色合わせ装置の各手段として機能させるためのプログラムを提供することを目的とする。また、透明被膜成分と各基本色材の少なくともいずれかとからなる非隠蔽性塗料について、透明被膜成分と各基本色材の配合比や追加量を適切に算出できる色合わせ方法、塗装物の製造方法を提供することを目的とする。
その解決手段は、透明被膜成分と複数の基本色材とからなる非隠蔽性塗料の色合わせ装置であって、色見本の色データである見本色データを取得する見本色データ取得手段と、下地材に非隠蔽性の補正前塗料を塗布した補正前塗装物の色データである補正前塗装物色データを取得する補正前データ取得手段と、上記補正前塗料とは、基本色材の合計配合比が同じで、基本色材同士の配合割合が異なる色変化型推薦塗料の上記透明被膜成分及び各基本色材の推薦配合比を算出する色変化型配合比算出手段と、上記補正前塗料とは、基本色材同士の配合割合が同じで、上記基本色材の合計配合比が異なる濃度変化型推薦塗料の基本色材の推薦合計配合比を算出する濃度変化型配合比算出手段と、上記見本色データ及び補正前塗装物色データを用いて、上記色変化型配合比算出手段による上記色変化型推薦塗料の透明被膜成分及び各基本色材の推薦配合比の算出、上記濃度変化型配合比算出手段による上記濃度変化型推薦塗料の推薦合計配合比の算出、のいずれを行うかを選択する算出法選択手段と、を有する非隠蔽性塗料の色合わせ装置である。
本発明の非隠蔽性塗料の色合わせ装置においては、補正前塗料を色合わせして推薦塗料を得るにあたり、算出法選択手段によって、色変化型配合比算出手段と、濃度変化型配合比算出手段の2つのいずれかを選択する。
このうち、色変化型配合比算出手段では、補正前塗料とは、基本色材の合計配合比が同じで、基本色材同士の配合割合が異なる色変化型推薦塗料について、その透明被膜成分及び各基本色材の推薦配合比を算出する。つまり、補正前塗料における各基本色材の合計の比率は保ったまま、基本色材同士の配合割合を異ならせた色変化型推薦塗料についての透明被膜成分及び各基本色材の推薦配合比を算出する。
一方、濃度変化型配合比算出手段では、補正前塗料とは、基本色材同士の配合割合が同じで、基本色材の合計配合比が異なる濃度変化型推薦塗料について、その基本色材の推薦合計配合比を算出する。つまり、補正前塗料における基本色材同士の配合割合を保ったまま、補正前塗料に透明被膜成分を加えるなどして、着色成分の濃度(基本色材の合計配合比)を変化させた色変化型推薦塗料についての基本色材の推薦合計配合比を算出する。
しかも、本発明の非隠蔽性塗料の色合わせ装置では、算出法選択手段において、見本色データ及び補正前塗装物色データを用いて、この2つの配合比算出手段のいずれを使用するかを選択する。これにより、見本色と補正前塗装物の色との差異などに応じて、適切な配合比算出手段を選択することができる。例えば、見本色に比して補正前塗装物が黄色み掛かっている場合には、色変化型配合比算出手段を用いて、基本色材同士の配合割合を異ならせた色変化型推薦塗料の推薦配合比を算出して、黄色みを押さえるようにする。一方、色見本に比して補正前塗装物は全体に色が濃い場合などには、濃度変化型配合比算出手段を用いて、基本色材の合計配合比が異なる濃度変化型推薦塗料の推薦合計配合比を算出して、全体に色を薄くする。このようにすることで、適切に色合わせされた推薦塗料を得ることができるから、熟練作業者によらなくても、少ない回数で、色見本に色合わせされた塗装物が得られる非隠蔽性塗料を得ることができる。
なお、本明細書において、色合わせ装置は、透明被膜成分と各基本色材の適切な配合比(推薦配合比)を算出あるいは指示できる装置で有ればよく、たとえば、透明被膜成分及び各基本色材の推薦配合比をディスプレイやプリンタなどを通じて作業者等に提示する装置が含まれる。またさらに、別途用意したディスペンサ等に、算出した推薦配合比に従って、透明被膜成分及び各基本色材の吐出量を指示するデータを出力することまで行う装置を含む。さらには、ディスペンサを含み、算出された推薦配合比に従って、ディスペンサから透明被膜成分及び各基本色材を吐出させ、混合して調色を行った塗料を製造する装置をも含む。
また、下地材とは、非隠蔽性塗料が塗布される下地となる物を指し、たとえば、木質板などの木質材、金属板、紙その他が挙げられる。
透明被膜成分とは、透明な被膜を形成しうる成分であり、たとえば樹脂や単量体などが挙げられる。
基本色材とは、塗料に含有させる有色成分であり、たとえば、白、黒、赤、黄などを呈する顔料ペースト等が挙げられる。
また、見本色データとしては、見本色データと、補正前塗装物の色データとを用いて、サンプル塗装物と見本色の違いを評価できる種類のデータで有ればよい。たとえば、色見本の分光反射率、CIELAB(L*,a*,b*)、三刺激値(X,Y,Z)などが挙げられる。
また、見本データ取得手段としては、分光光度計などによって、直接、色見本とする見本物の分光反射率を計測した見本色データをインターフェースを通じて取得する手段が挙げられる。このほか、別途、作成あるいは測定しておいた分光反射率データ、CIELAB等のデータを、インターネットなどの通信や、CD−ROMなどの記憶媒体を通じて見本色データとして取得する手段をも含む。
なお、見本物を用いて見本色データを得る場合、見本物としては、色見本とするもので有ればいずれでも良い。たとえば、本発明の色合わせ装置によって同色の塗装物を再現しようとする現品など、下地材に未知または既知の非隠蔽の塗料を塗布してなる見本塗装物が挙げられる。
また本明細書において、補正前塗装物の色データとは、補正前塗装物の色を表すことができるデータであり、このデータと見本色データとを用いて、色差の算出や光学濃度の比較などが可能で、補正前塗装物の色と見本色の違いを評価できる種類のデータで有ればよい。たとえば、補正前塗装物の分光反射率、CIELAB(L*,a*,b*)、三刺激値(X,Y,Z)などが挙げられる。
また、本明細書において、補正前塗料には、配合比が既知の塗料、予め用意されていたサンプル塗料データベースから選択した、塗装したときに色見本に近似した塗装物となる近似色サンプル塗料などを選択することができる。また、色合わせのための塗料の試作を繰り返す場合には、試作塗料もこの補正前塗料に該当する。
また、推薦塗料の推薦配合比など、「配合比」というときは、透明被膜成分及び各基本色材の各成分についての、塗料における配合比をいう。従って、具体的には、透明被膜成分a%、黒b%、赤c%…というように表される比率を指す。
一方、推薦塗料の推薦合計配合比など、「合計配合比」というときは、各基本色材を合計した着色成分の塗料に占める割合をいう。従って、例えば、黒b%、赤c%、黄d%の3種の基本色材を含む塗料の場合、合計配合比は(b+c+d)%となる。
また、基本色材同士の配合割合など、「配合割合」と言うときは、基本色材同士を比較した場合の比率を言う。例えば、黒b%、赤c%、黄d%の3種の基本色材を含む塗料の場合、配合割合は、b:c:dとなる。
さらに、本明細書において、「色変化型」というときは、基準となる塗料、塗装物などに対して、基本色材の合計配合比が同じで、基本色材同士の配合割合が異なる塗料、このような塗料を用いた塗装物などを指す。
また、本明細書において、「濃度変化型」というときは、基準となる塗料、塗装物などに対して、基本色材同士の配合割合が同じで、上記基本色材の合計配合比が異なる塗料、このような塗料を用いた塗装物などを指す。
また、請求項1に記載の非隠蔽性塗料の色合わせ装置であって、前記下地材は、少なくとも前記非隠蔽性塗料を塗布する塗面が木質材からなり、前記見本色データ取得手段は、少なくともL* ST,a* ST,b* STを含む前記見本色データを取得し、前記算出法選択手段は、前記見本色データのL* ST,a* ST,b* ST、及び前記補正前塗装物色データのL*,a*,b*が、下記式(1)及び(2)の両者を満たしたときには、前記濃度変化型配合比算出手段を選択し、それ以外のときには、前記色変化型配合比算出手段を選択する
(L*−L* ST)×(b*−b* ST)>0 …式(1)
|a*−a* ST|≦C (Cは正の定数) …式(2)
非隠蔽性塗料の色合わせ装置とすると良い。
発明者は、少なくとも塗面が木質材からなる下地材に非隠蔽性塗料を塗布する場合には、基本色材同士の配合割合を同じとしつつ、基本色材の合計配合比を異ならせた非隠蔽性塗料、つまり、透明被膜成分の量を調整して色の濃さを変更した非隠蔽性塗料を塗布すると、着色成分の濃さ(基本色材の合計配合比)が高くなるに従い、明度L*及び色度b*がともに小さくなる傾向にあることを見出した。一方、色度a*は、着色成分の濃さ(基本色材の合計配合比)との間に、一定傾向が無く、また余り変化しないことも見出した。
このことから、色見本の色(L* ST,a* ST,b* ST)に対する補正前塗装物の色(L*,a*,b*)の差(△L*、△a*、△b*)のうち、△L*及び△b*が共に正の場合には、補正前塗料の着色成分の濃さ(基本色材の合計配合比)を上げるように補正することで、塗装物(推薦塗料を塗布した推薦塗装物(試作塗装物))の色を色見本により近づけることができる可能性が高いことになる。なお、△L*=L*−L* ST、△a*=a*−a* ST、△b*=b*−b* STである。なぜならば、色見本の色(L* ST,a* ST,b* ST)に対する推薦塗装物の色(L* RE,a* RE,b* RE)の差(△L* RE、△a* RE、△b* RE)のうち、△L* RE及び△b* REが、△L*及び△b*よりも小さくなるからである。このことから、色差△ERE(=√(△L* RE 2+△a* RE 2+△b* RE 2))が、色差△E(=√(△L*2+△a*2+△b*2))よりも小さくなる可能性が高いからである。つまり、基本色材の合計配合比を上げることで、適切に色合わせを行える可能性が高い。
また、△L*及び△b*が共に負の場合には、補正前塗料の基本色材の合計配合比を下げるように補正することで、同様に、塗装物の色を色見本により近づけることができる可能性が高いことになる。
一方、これとは逆に、△L*及び△b*が共に正、あるいは共に負でない場合、つまり、△L*及び△b*のうち、一方が正で他方が負の場合には、補正前塗料の基本色材の合計配合比を変化させることでは、△L* RE及び△b* REを同時に小さくすることができる可能性が低い。従って、基本色材の合計配合比を変化させる手法を採用すべきでないことも判る。
さらに、色度a*は、基本色材の合計配合比を変化させても、余り変化しない。このことから、△a*が大きな値となっている場合には、補正前塗料の基本色材の合計配合比を補正しても、a*に比してa* REが大きく変化して、△a* REが十分小さな値となる可能性は低い。従って、|△a*|が所定値C(下地材の塗面が、「ぶな」、「かば」、「なら」の場合にはC=2)よりも大きい場合には、色度a*を色見本に近づけることを優先させるべく、この手法を採用しない方が好ましいことも判る。
これらの知見より、本発明の色合わせ装置では、算出法選択手段において、式(1),(2)の両者を満たしたときには、濃度変化型配合比算出手段を選択し、それ以外のときには、色変化型配合比算出手段を選択することとした。これにより、色見本と補正前塗装物の色との差異の性質に応じて、適切な算出法を選択することができるから、熟練作業者によらなくても、少ない回数で、色見本に色合わせされた塗装物が得られる非隠蔽性塗料を得ることができる。
さらに、請求項2に記載の非隠蔽性塗料の色合わせ装置であって、前記下地材の塗面は、ぶな、かば、ならからなり、前記算出法選択手段において、前記式(2)における定数Cを、C=2としてなる非隠蔽性塗料の色合わせ装置とすると良い。
前述したように、色度a*は、基本色材の合計配合比を変化させても、余り変化しない。特に、下地材の塗面が、「ぶな」、「かば」、「なら」の場合には、基本色材の合計配合比を変化させても、その色度a*の変化は、ほぼ2以内と見込まれる。従って、|△a*|=|a*−a* ST|>2の場合には、色度a*を色見本に近づけることを優先させるべく、色変化型配合比算出手段を選択するのが好ましい。このようにすることで、色見本と補正前塗装物とで、色度a*が大きく違っている場合にも、適切に色合わせを行うことができるから、少ない回数で、色見本に色合わせされた塗装物が得られる非隠蔽性塗料を得ることができる。
さらに、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の非隠蔽性塗料の色合わせ装置であって、前記濃度変化型配合比算出手段は、前記下地材の明度L* 0と、前記色見本の明度L* STと、前記補正前塗装物の明度L*と、前記補正前塗料における基本色材の合計配合比Dと、を用いて、上記補正前塗料とは基本色材同士の配合割合が同じである前記濃度変化型推薦塗料の合計配合比DREを算出する非隠蔽性塗料の色合わせ装置とすると良い。
本発明の色合わせ装置では、下地材の明度L* 0と、色見本の明度L* STと、補正前塗装物の明度L*と、補正前塗料における基本色材の合計配合比Dとを用いて、推薦配合比算出手段において、補正前塗料とは、基本色材同士の配合割合が同じで、基本色材の合計配合比DREが異なる濃度変化型推薦塗料の推薦配合比を得る。このため、この色合わせ装置では、補正前塗料とは合計配合比DREが異なり、かつ、色合わせされた推薦塗料の推薦配合比を容易に得ることができる。
なお、本明細書において、下地材の明度L* 0は、下地材の塗面の材質に応じて、予め与えられた値を取得するようにしても良いし、実在する下地材について明度を実測して得ても良い。具体的には、透明被膜成分の影響を除くため、各基本色材を含まずベース(透明皮膜成分)を含む無色透明の塗料を指定された下地材に塗布して、下地材の明度実測用の塗装物を別途作成し、これを用いて下地材の明度L* 0を実測することができる。
その他、所望する塗装物が、非隠蔽性塗料を塗布した後にさらに無色透明のクリア塗料を1または複数回塗布して完成させる塗装物である場合には、下地材に非隠蔽性塗料を塗布せずに、クリア塗料を所定回塗布して下地材の明度実測用の塗装物を製作し、この明度を計測して下地材の明度としても良い。
さらに、この場合には、L*実測用の補正前塗装物の一部に、補正前塗料の未塗布部分を形成しておき、その後、この未塗布部分を含む全体にクリア塗料を所定回塗布して補正前塗装物を製作し、この実測用の補正前塗装物の明度L*を実測するのと相前後して、このうちの非隠蔽性塗料未塗布部分の明度を実測し、これを下地材の明度L* 0としても良い。
下地材の明度L* 0として予め記憶しておいたデータ上の値を用いるのか実測した値を用いるかは、予め下地材の種類を指定して記憶させておく下地材の明度L* 0に対し、実際に用いる下地材の明度L*0のバラツキの大きさを勘案して決めると良い。
さらに、請求項4に記載の非隠蔽性塗料の色合わせ装置であって、前記濃度変化型配合比算出手段は、前記明度L* 0、L*、及び前記合計配合比Dを用いて、定数K及び指数nを決定する定数指数決定手段と、前記色見本の明度L* ST、及び上記定数K及び指数nを用いて、前記濃度変化型推薦塗料の推薦合計配合比DREを下記式(3)に従って決定する合計配合比決定手段と、を含む
REn√((L* 0−L* ST)/K) …式(3)
非隠蔽性塗料の色合わせ装置とすると良い。
発明者は、様々な色の非隠蔽性塗料について、基本色材同士の配合割合を一定としつつ、塗料に対する基本色材の合計配合比を変化させた非隠蔽性塗料について調査した結果、下地材の明度L* 0及び塗布後の塗装物の明度L*と、塗布した塗料における合計配合比Dとの間に、一般的に、式(4):L* 0−L*=K・Dnの関係が成立することを発見した。なお、K、nは定数であり、指数nは、一般にn=0.4となる場合が多く、指数nを仮にn=0.4としてKを算出した場合に、Kが小さくなる塗料では、nを大きくすると上記式(4)の関係が維持されることも発見した。具体的には、n=0.4と仮定してKを求めた場合に、K≧30となるような色(つまり基本色材の配合割合)を持つ塗料では、n=0.4としておけば良い。一方、n=0.4と仮定してKを求めた場合に、20≦K<30となる色を持つ塗料では、n=0.6とした上で、式(4)を用いてKを再計算すると良いことが判った。また、n=0.4と仮定してKを求めた場合に、0<K<20となる色を持つ塗料では、n=0.8とした上で式(4)を用いてKを再計算すると良いことが判った。
この知見より、下地材の明度L* 0と、補正前塗装物の明度L*と、この補正前塗装物に用いた補正前塗料における合計配合比Dと、が判れば、式(4)によって定数K、指数nを決定することができることが判る。さらに、目標となるべき色見本の明度L* STが判れば、推薦塗料の合計配合比DREを幾つとすればよいかが、式(3)により判る。このようにして得た濃度変化型推薦塗料は、補正前塗料と同じ基本色材同士の配合割合である一方、この補正前塗料とは異なる基本色材の合計配合比を持つ(つまり色の濃さが異なる)ものとなっている。従って、この濃度変化型推薦塗料を塗布した推薦塗装物(試作塗装物)は、補正前塗装物よりも、その明度を色見本の明度L* STにほぼ等しい明度に近づけたものであるから、色見本とよくカラーマッチングした推薦塗装物(試作塗装物)とすることができる。かくして、この色合わせ方法によれば、適切に色合わせされた非隠蔽性塗料を容易に得ることができる。
さらに、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の非隠蔽性塗料の色合わせ装置であって、色変化型配合比算出手段は、前記見本色データと、上記各基本色材についての光学濃度と、を用いて、前記下地材に塗布する前記色変化型推薦塗料の上記透明被膜成分及び各基本色材の推薦配合比を算出する非隠蔽性塗料の色合わせ装置とすると良い。
本発明の色合わせ装置では、色変化型配合比算出手段において、見本色データ、及び、各基本色材についての光学濃度を用いて、色変化型推薦塗料の推薦配合比を算出する。このように各基本色材の光学濃度を用いることで、クベルカムンクの式に従って、透明被膜成分及び各基本色材の推薦配合比を算出することで、推薦塗料を塗布した推薦塗装物(試作塗装物)の明度L* TRのみならず色度a* TR,b* TRにも変化を与え、適切に色合わせされた非隠蔽性塗料を容易に得ることができる。
なお、非隠蔽性塗料は、透明皮膜成分に各基本色材を適宜配合してなり、非隠蔽性塗料に配合される基本色材の合計量は、0付近から数10%となる場合が多い。この場合において、基本色材の種類によっては、非隠蔽性塗料中の濃度(配合比)に対して光学濃度が非線形的に変化するものがある。このため、非隠蔽性塗料では、使用する基本色材同士の割合(配合比)によって呈する色が変化するほか、上述のような特性の基本色材を用いた場合、非隠蔽性塗料における基本色材の合計配合比の値によっても塗料や塗装物の色に対する各基本色材の影響(効き)が変化する。
そこで、各基本色材についての光学濃度は、使用する基本色材の特性を考慮した上で、予め各基本色材に与えられた光学濃度の値を用いるほか、異なる合計配合比に対応して予め得ておいた各基本色材の光学濃度の組の中から、補正前塗料における合計配合比と同じあるいは近似した合計配合比に掛かる光学濃度の組を選択して用いるようにしても良い。また、補正前塗料と同じあるいは近似した合計配合比とした光学濃度算出用の標準塗料を作成し、この標準塗料を用いて光学濃度を算出しても良い。
さらに、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の非隠蔽性塗料の色合わせ装置であって、前記見本色データと前記補正前塗装物色データとを比較し、色に関する差異が所定範囲内であるか否かを判断する色差異判断手段を備える非隠蔽性塗料の色合わせ装置とすると良い。
本発明の色合わせ装置では、色差異判断手段を備えるので、見本色データと補正前塗装物色データとを比較し、色に関する差異が所定範囲内であれば、色合わせが完了したと判断して、色合わせを終了することができる。また、色に関する差異が所定範囲よりも大きければ、さらに、色合わせを継続して、色見本により近い推薦塗料を得るようにすることができる。
なお、色に関する差異としては、Labにおいて、色差(△E)のほか、彩度差(△C)、明度差(△L)が挙げられる。またその他、2つの対比される色の差異を示す各種パラメータで評価することもできる。
さらに、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の非隠蔽性塗料の色合わせ装置と、前記下地材に、前記透明被膜成分及び各基本色材を前記推薦配合比に従って配合した色変化型推薦塗料を、または前記透明被膜成分及び各基本色材を前記推薦合計配合比に従って配合した濃度変化型推薦塗料を塗布する塗布手段と、を備える塗装物製造装置とすると良い。
本発明の塗装物製造装置では、前述した色合わせ装置と、色変化型推薦塗料あるいは濃度変化型推薦塗料を塗布する塗布手段とを有している。このため、この塗装物製造装置によれば、色見本に関する見本色データと色合わせされた推薦塗装物(試作塗装物)を適切に得ることができる。
さらに他の解決手段は、透明被膜成分と複数の基本色材とからなる非隠蔽性塗料の色合わせ装置であって、色見本の色データである見本色データを取得する見本色データ取得手段と、下地材に非隠蔽性の補正前塗料を塗布した補正前塗装物の色データである補正前塗装物色データを取得する補正前データ取得手段と、上記補正前塗料に追加する色変化型追加分であって、上記複数の基本色材のうち少なくともいずれかの基本色材と上記透明被膜成分とからなり、上記補正前塗料とは、基本色材の合計配合比が同じで、基本色材同士の配合割合が異なる色変化型追加分について、上記透明被膜成分及び各基本色材の色変化型追加量を算出する色変化型追加量取得手段と、上記補正前塗料に追加する濃度変化型追加分であって、上記複数の基本色材及び上記透明被膜成分の少なくともいずれかからなり、上記補正前塗料とは、基本色材同士の配合割合が同じで、上記基本色材の合計配合比が異なる濃度変化型追加分について、上記透明被膜成分及び各基本色材の濃度変化型追加量を算出する濃度変化型追加量取得手段と、上記見本色データ及び補正前塗装物色データを用いて、上記色変化型追加量取得手段及び上記濃度変化型追加量取得手段のいずれを行うかを選択する追加量取得法選択手段と、を有する非隠蔽性塗料の色合わせ装置である。
本発明の非隠蔽性塗料の色合わせ装置のうち、色変化型追加量取得手段では、補正前塗料とは、基本色材の合計配合比が同じで、基本色材同士の配合割合が異なる色変化型追加分について、透明被膜成分及び各基本色材の色変化型追加量を算出する。なお、このような色変化型追加分を補正前塗料に追加して推薦塗料を得たとしても、この推薦塗料における基本色材の合計配合比に変化は生じない。
一方、濃度変化型追加量取得手段では、補正前塗料とは、基本色材同士の配合割合が同じで、基本色材の合計配合比が異なる濃度変化型追加分について、透明被膜成分及び各基本色材の濃度変化型追加量を算出する。なお、このような濃度変化型追加分を補正前塗料に追加して推薦塗料を得たとしても、この推薦塗料における基本色材同士の配合割合は変化しない。
しかも、本発明の非隠蔽性塗料の色合わせ装置では、追加量取得法選択手段において、見本色データ及び補正前塗装物色データを用いて、この2つの追加量取得手段のいずれを使用するかを選択する。これにより、見本色と補正前塗装物の色との差異などに応じて、適切な追加量取得手段を選択することができる。例えば、見本色に比して補正前塗装物が黄色み掛かっている場合には、色変化型追加分を追加するようにして、基本色材同士の配合割合を異ならせた推薦塗料として、黄色みを押さえるようにする。一方、色見本に比して補正前塗装物は全体に色が濃い場合などには、濃度変化型追加分を追加するようにして、基本色材の合計配合比を異ならせた推薦塗料として、全体に色を薄くするする。このようにすることで、適切に色合わせされた推薦塗料を得ることができるから、熟練作業者によらなくても、少ない回数で、色見本に色合わせされた塗装物が得られる非隠蔽性塗料を得ることができる。
さらに、本発明の色合わせ装置では、色変化型追加量取得手段及び濃度変化型追加量取得手段のいずれにおいても、補正前塗料に追加する透明被膜成分や各基本色材の追加量が算出されるので、この算出された追加量に従って透明被膜成分や各基本色材を追加すれば、色合わせされた推薦塗料とすることができるから、調合作業も容易である。
なお、濃度変化型追加分としては、補正前塗料に比して推薦塗料における基本色材の合計配合比を低下させる場合には、基本色材同士の配合割合を同じとした基本色材と透明被膜成分とを合わせて濃度追加型追加分とすることもできる。しかし、透明被膜成分のみを濃度追加型追加分とする、つまり濃度追加型追加分における基本色材の合計配合比をゼロとすればよい。また、基本色材の合計配合比を増加させる場合にも、基本色材同士の配合割合を同じとした基本色材と、透明被膜成分とを合わせて濃度追加型追加分としても良い。しかし、基本色材同士の配合割合を同じとした基本色材のみを濃度追加型追加分とする、つまり、濃度追加型追加分における基本色材の合計配合比を100%としても良い。
さらに、請求項9に記載の非隠蔽性塗料の色合わせ装置であって、前記色変化型追加量取得手段は、前記補正前塗料とは、前記基本色材の合計配合比が同じで、基本色材同士の配合割合が異なる色変化型推薦塗料の前記透明被膜成分及び各基本色材の推薦配合比を算出する色変化型配合比算出手段と、上記補正前塗料の透明被膜成分及び各基本色材の配合比、上記補正前塗料の重量、及び上記色変化型推薦塗料の透明被膜成分及び各基本色材の推薦配合比に基づいて、前記色変化型追加分における上記透明被膜成分及び各基本色材の色変化型追加量を算出する色変化型追加量算出手段と、を含む非隠蔽性塗料の色合わせ装置とすると良い。
本発明の色合わせ装置では、色変化型追加量取得手段は、色変化型配合比算出手段と色変化型追加量算出手段とを含んでいる。この色変化型配合比算出手段は前述と同様、補正前塗料とは、前記基本色材の合計配合比が同じで、基本色材同士の配合割合が異なる色変化型推薦塗料の推薦配合比を算出する。そしてその上で、色変化型追加量算出手段において、色変化型推薦塗料の透明被膜成分及び各基本色材の推薦配合比に基づいて、色変化型追加量を算出する。従って、適切に色変化型追加量を算出することができる。
さらに、請求項9または請求項10に記載の非隠蔽性塗料の色合わせ装置であって、前記濃度変化型追加量取得手段は、前記補正前塗料とは、前記基本色材同士の配合割合が同じで、上記基本色材の合計配合比が異なる濃度変化型推薦塗料の推薦合計配合比を算出する濃度変化型配合比算出手段と、上記補正前塗料の透明被膜成分及び各基本色材の推薦配合比、上記補正前塗料の重量、及び上記濃度変化型推薦塗料の推薦合計配合比に基づいて、前記濃度変化型追加分における上記透明被膜成分及び各基本色材の濃度変化型追加量を算出する濃度変化型追加量算出手段と、を含む非隠蔽性塗料の色合わせ装置とすると良い。
本発明の色合わせ装置では、濃度変化型追加量取得手段は、濃度変化型配合比算出手段と濃度変化型追加量算出手段とを含んでいる。この濃度変化型配合比算出手段は前述と同様、補正前塗料とは、基本色材同士の配合割合が同じで、基本色材の合計配合比が異なる濃度変化型推薦塗料の推薦合計配合比を算出する。そしてその上で、濃度変化型追加量算出手段において、濃度変化型推薦塗料の推薦合計配合比に基づいて、濃度変化型追加量を算出する。従って、適切に濃度変化型追加量を算出することができる。
さらに、請求項9〜請求項11のいずれか1項に記載の非隠蔽性塗料の色合わせ装置と、前記下地材に、前記透明被膜成分及び各基本色材を前記色変化型追加量に従って追加した色変化型推薦塗料、または上記透明被膜成分及び各基本色材を前記濃度変化型追加量に従って追加した濃度変化型推薦塗料を塗布する塗布手段と、を備える塗装物製造装置とすると良い。
本発明の塗装物製造装置では、前述した色合わせ装置と、色変化型推薦塗料あるいは濃度変化型推薦塗料を塗布する塗布手段とを有している。このため、この塗装物製造装置によれば、色見本に関する見本色データと色合わせされた推薦塗装物(試作塗装物)を適切に得ることができる。
さらに、コンピュータを、請求項1〜請求項7,請求項9〜請求項11のいずれか1項に記載の非隠蔽性塗料の色合わせ装置の各手段として機能させるためのプログラムとすると良い。
本発明のプログラムによれば、コンピュータを各手段として機能させることにより、安価かつ容易に非隠蔽性塗料の色合わせ装置を実現できる。
さらに他の解決手段は、透明被膜成分と複数の基本色材とからなる非隠蔽性塗料の色合わせ方法であって、色見本の色データである見本色データを取得する見本色データ取得ステップと、下地材に非隠蔽性の補正前塗料を塗布した補正前塗装物の色データである補正前塗装物色データを取得する補正前データ取得ステップと、上記補正前塗料とは、基本色材の合計配合比が同じで、基本色材同士の配合割合が異なる色変化型推薦塗料の上記透明被膜成分及び各基本色材の推薦配合比を算出する色変化型配合比算出ステップと、上記補正前塗料とは、基本色材同士の配合割合が同じで、基本色材の合計配合比が異なる濃度変化型推薦塗料の各基本色材の推薦合計配合比を算出する濃度変化型配合比算出ステップと、上記色変化型配合比算出ステップ及び上記濃度変化型配合比算出ステップの実行に先立ち、上記見本色データ及び補正前塗装物色データを用いて、上記色変化型配合比算出ステップ及び上記濃度変化型配合比算出ステップのいずれを行うかを選択する配合比算出法選択ステップと、を有する非隠蔽性塗料の色合わせ方法である。
本発明の非隠蔽性塗料の色合わせ方法においては、補正前塗料を色合わせして推薦塗料を得るにあたり、配合比算出法選択ステップによって、色変化型配合比算出ステップと、濃度変化型配合比算出ステップの2つのいずれかを選択する。
このうち、色変化型配合比算出ステップでは、補正前塗料とは、基本色材の合計配合比が同じで、基本色材同士の配合割合が異なる色変化型推薦塗料の透明被膜成分及び各基本色材の推薦配合比を算出する。
一方、濃度変化型配合比算出ステップでは、補正前塗料とは、基本色材同士の配合割合が同じで、基本色材の合計配合比が異なる濃度変化型推薦塗料の基本色材の推薦合計配合比を算出する。
しかも、本発明の非隠蔽性塗料の色合わせ方法では、配合比算出法選択ステップにおいて、見本色データ及び補正前塗装物色データを用いて、この2つの配合比算出ステップにいずれを行うかを、見本色データ及び補正前塗装物色データを用いて選択する。これにより、見本色と補正前塗装物の色との差異などに応じて、適切に色合わせされた推薦塗料を得ることができるから、熟練作業者によらなくても、少ない回数で見本色に色合わせされた塗装物が得られる非隠蔽性塗料を得ることができる。
さらに、請求項14に記載の非隠蔽性塗料の色合わせ方法であって、前記下地材は、少なくとも前記非隠蔽性塗料を塗布する塗面が木質材からなり、前記見本色データ取得ステップでは、少なくともL* ST,a* ST,b* STを含む前記見本色データを取得し、前記配合比算出法選択ステップは、前記見本色データのL* ST,a* ST,b* ST、及び前記補正前塗装物色データのL*,a*,b*が、下記式(1)及び(2)の両者を満たしたときには、前記濃度変化型配合比算出ステップを選択し、それ以外のときには、前記色変化型配合比算出ステップを選択する
(L*−L* ST)×(b*−b* ST)>0 …式(1)
|a*−a* ST|≦C (Cは正の定数) …式(2)
非隠蔽性塗料の色合わせ方法とすると良い。
前述したように、本件の発明者は、塗面が木質材からなる下地材に非隠蔽性塗料を塗布する場合、基本色材同士の配合割合を同じとしつつ、基本色材の合計配合比を異ならせた非隠蔽性塗料を塗布すると、基本色材の合計配合比が高くなるに従い、明度L*及び色度b*がともに小さくなる傾向にあることを見出した。一方、色度a*は、基本色材の合計配合比が変化しても、余り変化しないことも見出した。
このことから、△L*及び△b*が共に正または負の場合には、補正前塗料の基本色材の合計配合比を変化させることで、推薦塗料(試作塗料)を塗布した推薦塗装物(試作塗装物)の色を色見本により近づけることができる可能性が高いことが判る。
一方、△L*と△b*が異なる符号の場合には、基本色材の合計配合比を変化させても、推薦塗装物の色が色見本により近くなる可能性が低いことも判る。
さらに、△a*が大きな値となっている場合には、補正前塗料の基本色材の合計配合比を変化させても、色度a*が色見本に近づく可能性は低いから、|△a*|が所定値Cよりも大きい場合には、色度a*を色見本に近づけることを優先させるべく、色変化型配合比算出ステップを実行した方が好ましいことも判る。
かくして、本発明の色合わせ方法では、算出法選択ステップにおいて、式(1),(2)の両者を満たしたときには、濃度変化型配合比算出ステップを選択し、それ以外のときには、色変化型配合比算出ステップを選択する。これにより、色見本と補正前塗装物の色との差異の性質に応じて、適切な配合比算出ステップを選択できるから、熟練作業者によらなくても、少ない回数で、色見本に色合わせされた塗装物が得られる非隠蔽性塗料を得ることができる。
さらに、請求項15に記載の非隠蔽性塗料の色合わせ方法であって、前記下地材の塗面は、ぶな、かば、ならからなり、前記配合比算出法選択ステップにおいて、前記式(2)における定数Cを、C=2としてなる非隠蔽性塗料の色合わせ方法とすると良い。
前述したように、色度a*は、基本色材の合計配合比を変化させても、余り変化しない。特に、下地材の塗面が、「ぶな」、「かば」、「なら」の場合には、基本色材の合計配合比を変化させても、その色度a*の変化は、ほぼ2以内と見込まれる。従って、|△a*|=|a*−a* ST|>2の場合には、色変化型配合比算出ステップを選択するのが好ましい。このようにすることで、色見本と補正前塗装物とで、色度a*が大きく違っている場合にも、適切に色合わせを行うことができるから、少ない回数で、色見本に色合わせされた塗装物が得られる非隠蔽性塗料を得ることができる。
さらに、請求項14〜請求項16のいずれか1項に記載の非隠蔽性塗料の色合わせ方法であって、前記濃度変化型配合比算出ステップは、前記下地材の明度L* 0と、前記色見本の明度L* STと、前記補正前塗装物の明度L*と、前記補正前塗料における基本色材の合計配合比Dと、を用いて、上記補正前塗料とは基本色材同士の配合割合が同じである前記濃度変化型推薦塗料の合計配合比DREを算出する非隠蔽性塗料の色合わせ方法とすると良い。
本発明の色合わせ方法では、推薦配合比算出ステップにおいて、明度L* 0、L* ST、L*と、補正前塗料における基本色材の合計配合比Dとを用いて、補正前塗料とは、基本色材同士の配合割合が同じで、基本色材の合計配合比DREが異なる濃度変化型推薦塗料の推薦配合比を得る。このため、この色合わせ方法によれば、補正前塗料とは合計配合比DREが異なり、かつ、色合わせされた推薦塗料の推薦配合比を容易に得ることができる。
さらに、請求項17に記載の非隠蔽性塗料の色合わせ方法であって、前記濃度変化型配合比算出ステップは、前記明度L* 0、L*、及び前記合計配合比Dを用いて、定数K及び指数nを決定する定数指数決定ステップと、前記明度L* ST、及び上記定数K及び指数nを用いて、前記濃度変化型推薦塗料の推薦合計配合比DREを下記式(3)に従って決定する合計配合比決定ステップと、を含む
REn√((L* 0−L* ST)/K) …式(3)
非隠蔽性塗料の色合わせ方法とすると良い。
前述したように、発明者は、非隠蔽性塗料について、下地材の明度L* 0及び塗布後の塗装物の明度L*と、塗布した塗料における合計配合比Dとの間に、一般的に、式(4):L* 0−L*=K・Dnの関係が成立することを発見した。なお、K、nは定数であり、指数nは、一般にn=0.4となる場合が多く、指数nを仮にn=0.4としてKを算出した場合に、Kが小さくなる塗料では、n=0.6あるいは0.8とすると上記式(4)の関係が維持されることも発見した。
この知見より、式(4)によって定数K、指数nを決定することができる。さらに、色見本の明度L* STが判れば、推薦塗料の合計配合比DREを幾つとすればよいかが、式(3)により判る。このようにして得た濃度変化型推薦塗料は、補正前塗料と同じ基本色材同士の配合割合である一方、この補正前塗料とは異なる基本色材の合計配合比を持つ。従って、この濃度変化型推薦塗料を塗布した推薦塗装物(試作塗装物)は、補正前塗装物よりも、その明度を色見本の明度L* STに近づけたものとなる。かくして、この色合わせ方法によれば、適切に色合わせされた非隠蔽性塗料を容易に得ることができる。
さらに、請求項14〜請求項18のいずれか1項に記載の非隠蔽性塗料の色合わせ方法であって、色変化型配合比算出ステップは、前記見本色データと、上記各基本色材についての光学濃度と、を用いて、前記下地材に塗布する前記色変化型推薦塗料の上記透明被膜成分及び各基本色材の推薦配合比を算出する非隠蔽性塗料の色合わせ方法とすると良い。
本発明の色合わせ方法では、色変化型配合比算出ステップにおいて、見本色データ、及び、各基本色材についての光学濃度を用いて、色変化型推薦塗料の推薦配合比を算出する。このように各基本色材の光学濃度を用いることで、クベルカムンクの式に従って、透明被膜成分及び各基本色材の推薦配合比を算出することで、推薦塗料を塗布した推薦塗装物(試作塗装物)の明度L* TRのみならず色度a* TR,b* TRにも変化を与え、適切に色合わせされた非隠蔽性塗料を容易に得ることができる。
さらに、請求項14〜請求項19のいずれか1項に記載の非隠蔽性塗料の色合わせ方法であって、前記見本色データ取得ステップ及び補正前データ取得ステップの後、前記配合比算出法選択ステップの前に、前記見本色データと前記補正前塗装物色データとを比較し、色に関する差異が所定範囲内であるか否かを判断する色差異判断ステップを備え、上記色差異判断ステップにおいて、色に関する差異が所定範囲内でないと判断された場合には、前記配合比算出法選択ステップに進み、色に関する差異が所定範囲内であると判断された場合には、非隠蔽性塗料の色合わせを終了する非隠蔽性塗料の色合わせ方法とすると良い。
本発明の色合わせ方法では、見本色データ取得ステップ及び補正前データ取得ステップの後で、配合比算出法選択ステップの前に、色差異判断ステップを備える。このため、見本色データと補正前塗装物色データとを比較し、色に関する差異が所定範囲内であるか否かにより、色合わせを終了するか、さらに継続するかを適切に判断することができる。
さらに、請求項20に記載の非隠蔽性塗料の色合わせ方法であって、前記推薦配合比または前記推薦合計配合比に従って試作塗料を調合する試作調合ステップと、前記下地材に上記試作塗料を塗布して試作塗装物を作成する試作塗装ステップと、を含み、上記試作塗料及び上記試作塗装物を、前記補正前塗料及び前記補正前塗装物とみなして、前記色差異判断ステップに戻り、この色差異判断ステップにおいて、前記見本色と上記試作塗装物との色に関する差異が所定範囲内であると判断されるまで、上記色差異判断ステップ以降の処理を繰り返す非隠蔽性塗料の色合わせ方法とすると良い。
本発明の色合わせ方法では、試作調合ステップと試作塗装ステップとを含み、試作塗料及び試作塗装物を、補正前塗料及び補正前塗装物とみなして、色差異判断ステップにおいて、色に関する差異が所定範囲内であると判断されるまで、色合わせを繰り返す。このようにすることで、色見本との色の差異が所定範囲内の非隠蔽性塗料を、確実に得ることができる。
さらに他の解決手段は、透明被膜成分と複数の基本色材とからなる非隠蔽性塗料の色合わせ方法であって、色見本の色データである見本色データを取得する見本色データ取得ステップと、下地材に非隠蔽性の補正前塗料を塗布した補正前塗装物の色データである補正前塗装物色データを取得する補正前データ取得ステップと、上記複数の基本色材のうち少なくともいずれかの基本色材と上記透明被膜成分とからなり、上記補正前塗料とは、基本色材の合計配合比が同じで、基本色材同士の配合割合が異なる色変化型追加分を上記補正前塗料に追加する色変化型追加ステップと、上記複数の基本色材及び上記透明被膜成分の少なくともいずれかからなり、上記補正前塗料とは、基本色材同士の配合割合が同じで、上記基本色材の合計配合比が異なる濃度変化型追加分を上記補正前塗料に追加する濃度変化型追加ステップと、上記色変化型追加ステップ及び上記濃度変化型追加ステップの実行に先立ち、上記見本色データ及び補正前塗装物色データを用いて、上記色変化型追加ステップ及び上記濃度変化型追加ステップのいずれを行うかを選択する追加型選択ステップと、を有する非隠蔽性塗料の色合わせ方法である。
本発明の非隠蔽性塗料の色合わせ方法のうち、色変化型追加量算出ステップでは、補正前塗料とは、基本色材の合計配合比が同じで、基本色材同士の配合割合が異なる色変化型追加量を算出する。なお、この色変化型追加分を補正前塗料に追加して推薦塗料を得たとしても、この推薦塗料における基本色材の合計配合比に変化は生じない。
一方、濃度変化型追加量算出ステップでは、補正前塗料とは、基本色材同士の配合割合が同じで、基本色材の合計配合比が異なる濃度変化型追加分について、透明被膜成分及び各基本色材の濃度変化型追加量を算出する。なお、このような濃度変化型追加分を補正前塗料に追加して推薦塗料を得たとしても、この推薦塗料における基本色材同士の配合割合は変化しない。
そしてこれらの実行に先立って、追加型選択ステップにおいて、見本色データ及び補正前塗装物色データを用いて、この2つの追加量算出ステップのいずれを実行するかを選択する。これにより、見本色と補正前塗装物の色との差異などに応じて、適切な追加量算出ステップを選択することができる。このようにすることで、適切に色合わせされた推薦塗料を得ることができるから、熟練作業者によらなくても、少ない回数で、色見本に色合わせされた塗装物が得られる非隠蔽性塗料を得ることができる。
さらに、本発明の色合わせ方法では、色変化型追加量算出ステップ及び濃度変化型追加量算出ステップのいずれにおいても、補正前塗料に追加する透明被膜成分や各基本色材の追加量が算出されるので、この算出された追加量に従って透明被膜成分や各基本色材を追加すれば、色合わせされた推薦塗料とすることができるから、調合作業も容易である。
また、請求項22に記載の非隠蔽性塗料の色合わせ方法であって、前記色変化型追加ステップは、前記補正前塗料とは、前記基本色材の合計配合比が同じで、基本色材同士の配合割合が異なる色変化型推薦塗料の前記透明被膜成分及び各基本色材の推薦配合比を算出する色変化型配合比算出ステップと、上記補正前塗料の透明被膜成分及び各基本色材の配合比、上記補正前塗料の重量、及び上記色変化型推薦塗料の透明被膜成分及び各基本色材の推薦配合比に基づいて、前記色変化型追加分における上記透明被膜成分及び各基本色材の色変化型追加量を算出する色変化型追加量算出ステップと、上記補正前塗料に上記色変化型追加量だけ上記透明被膜成分及び各基本色材を追加して、上記色変化型推薦塗料を調合する色変化型推薦塗料調合ステップと、を含む非隠蔽性塗料の色合わせ方法とすると良い。
本発明の色合わせ方法のうち、色変化型追加ステップは、色変化型配合比算出ステップと色変化型追加量算出ステップと色変化型推薦塗料調合ステップとを含んでいる。この色変化型配合比算出ステップは前述と同様、補正前塗料とは、基本色材の合計配合比が同じで、基本色材同士の配合割合が異なる色変化型推薦塗料の推薦配合比を算出する。そしてその上で、色変化型追加量算出ステップにおいて、色変化型推薦塗料の透明被膜成分及び各基本色材の推薦配合比に基づいて、色変化型追加量を算出する。従って、適切に色変化型追加量を算出することができ、色変化型推薦塗料を容易に調合できる。
さらに、請求項22または請求項23に記載の非隠蔽性塗料の色合わせ方法であって、前記濃度変化型追加ステップは、前記補正前塗料とは、前記基本色材同士の配合割合が同じで、上記基本色材の合計配合比が異なる濃度変化型推薦塗料の推薦合計配合比を算出する濃度変化型配合比算出ステップと、上記補正前塗料の透明被膜成分及び各基本色材の推薦配合比、上記補正前塗料の重量、及び上記濃度変化型推薦塗料の推薦合計配合比に基づいて、前記濃度変化型追加分における上記透明被膜成分及び各基本色材の濃度変化型追加量を算出する濃度変化型追加量算出ステップと、上記補正前塗料に上記濃度変化型追加量だけ上記透明被膜成分及び各基本色材を追加して、上記濃度変化型推薦塗料を調合する濃度変化型推薦塗料調合ステップと、を含む非隠蔽性塗料の色合わせ方法とすると良い。
本発明の色合わせ方法のうち、濃度変化型追加ステップは、濃度変化型配合比算出ステップと濃度変化型追加量算出ステップと濃度変化型推薦塗料調合ステップを含んでいる。この濃度変化型配合比算出ステップは前述と同様、補正前塗料とは、基本色材同士の配合割合が同じで、基本色材の合計配合比が異なる濃度変化型推薦塗料の推薦合計配合比を算出する。そしてその上で、濃度変化型追加量算出ステップにおいて、濃度変化型推薦塗料の推薦合計配合比に基づいて、濃度変化型追加量を算出する。従って、適切に濃度変化型追加量を算出することができ、濃度変化型推薦塗料を容易に調合できる。
さらに、請求項14〜請求項24のいずれか1項に記載の非隠蔽性塗料の色合わせ方法を用いて、色合わせされた非隠蔽性塗料を得る色合わせ遂行ステップと、前記下地材に、色合わせされた非隠蔽性塗料を塗布する塗布ステップと、を備える塗装物の製造方法とすると良い。
この塗装物の製造方法によれば、遂行ステップで前述の非隠蔽性塗料の色合わせ方法を用いて色合わせされた色合わせ済みの非隠蔽性塗料を得、塗布ステップで下地材にこの色合わせ済みの非隠蔽性塗料を塗布するので、色合わせされた塗装物を容易に得ることができる。
本発明にかかる色合わせ装置及び塗装物製造装置、プログラム、色合わせ方法、塗装物の製造方法を、以下の実施例に従って説明する。
実施例1にかかる色合わせ装置100は、図1にその概要を示すように、コンピュータ10、分光光度計20,ディスペンサ30,及び攪拌装置40を含んでいる。この色合わせ装置100は、コンピュータ10にインストールされたプログラムにより制御される。このコンピュータ10は、CPU,ROM,RAM等の公知の構成を有しており、ハードディスク等の記憶媒体にインストールされたプログラムに従って、各種の機能を実現する手段となる。このコンピュータ10内のハードディスク等の記憶媒体には、後述する各製品のデータが格納される製品見本データベース11、及び標準塗装物データの組が下地材の種類別に格納される標準塗装物データベース12a,12b,12cが構築されている。このコンピュータ10は、ディスプレイ10aに各種の表示を行うことができる上、キーボード15あるいはマウス16を用いて、作業者が適宜必要な指示あるいはデータ入力を行うことができるようになっている。
分光光度計20は、見本物MH、補正前塗装物51、試作塗装物52などの色に関する色データを得るための機器であり、たとえば、HunterLab.社製、MiniScan(商標名)を用いることができる。この分光光度計20によって、色見本である見本物MHや試作塗装物51を測色し、分光反射率を計測し、そのデータをコンピュータ10に入力するようになっている。
また、ディスペンサ30は、塗料タンクに蓄えられた塗料成分を、たとえばギアポンプ等を用いて所定量だけ吐出ノズルから吐出することができるように構成されており、複数の塗料について、それぞれ吐出量を調整することができるようになっている。本実施例のディスペンサ30では、透明皮膜成分となるベース、及びホワイト、ブラック、エロー、レッドの4種の基本色材の合計5つの塗料成分を、コンピュータ10からの指示に従って、それぞれ吐出量を調整しつつ吐出できるようにされている。このため、後述するように、これらの塗料成分の配合比が推薦配合比となるように、それぞれの塗料成分を調合することができる。
さらに、攪拌装置40は、ディスペンサ30から所定量ずつ吐出された塗料成分を攪拌混練して、均一な非隠蔽性塗料とする。
出来上がった非隠蔽性塗料は、塗装装置50に供給され、所望の下地材に塗布される。具体的には、ロールコータ、リバース掻き取りロール、スプレーコータ、カーテンコータ、及びUV照射装置、熱風乾燥機等からなる。
本例では、ロールコータによって下地材に塗布された非隠蔽性塗料(ステイン)は、リバース掻き取りロールによって、下地材表面の化粧板(突板)の導管内に注入塗布されるとともに、表面の非隠蔽性塗料が掻き取られ、乾燥される。その後、無色透明のUVクリア塗料をロールコータで下塗りし、UV乾燥する。さらに無色透明のUVクリア塗料を中塗りし、UV乾燥する。さらに無色透明のUVクリア塗料を上塗りし、UV乾燥することで、塗装物53(製品A1)が出来上がる。かくして、塗装物製造装置1100により、下地材に色合わせされた塗料が塗布された塗装物53が製造される。
なお、非隠蔽性塗料の色合わせを行う場合には、出来上がった補正前塗装物51や試作塗装物52が見本物MHと同様な色に仕上がっているかを確認し、色合わせが不適切な場合には、さらにベースや基本色材の配合比を微調整(補正)して、より近い色となるようにする必要がある。そこで、塗装装置50で塗装された補正前塗装物51及び試作塗装物52をも、分光光度計20で測色し、色の適否の判断や更なる調整の要否判断を行うようにしている。
ついで、コンピュータ10内に構築される製品見本データベースに格納される製品見本データの例について、図2を参照して説明する。本実施例における製品見本データは、それぞれ、下地材の種類、ベース、及びホワイト、ブラック、エロー、レッドの4種の基本色材の合計5つの塗料成分の配合比、4種の基本色材を合計した色材の合計配合比、分光反射率、L* ST、a* ST、b* STを含んでいる。図2には製品A1等についての製品見本データを示す。
この製品見本データには、下地材の塗面をなす木質材(化粧材)などの材質(本例では、「なら」)のほか、4種の基本色材相互の配合比のみならず、ベースの配合比、及び4種の基本色材の合計配合比が判るようにされている。
なお、図2に例示する製品見本データには、色データとして、分光反射率のほか、L* ST、a* ST、b* STが含まれているが、L* ST、a* ST、b* STを含めないでおくこともできる。この場合には、後述する色合わせ方法において、色差等を算出するに当たり、予めL* ST、a* ST、b* STを算出しておけばよい。
ついで、コンピュータ10内に構築される標準塗装物データベースに格納される標準塗装物データの組の例について、図3を参照して説明する。標準塗装物データベース12a,12b,12cは、下地材の種類「なら」、「かば」、「ぶな」にそれぞれ対応した標準塗装物データを格納している。下地材の種類によって、下地材自身の色が異なるため、この影響を加味するためである。そこで、これらに格納される標準塗装物データは、それぞれ該当する種類の下地材(例えば「なら」)を用いた場合における各基本色材の光学濃度を適切に算出できるように、各基本色材の合計配合比を固定した上で、適切な配合比で一又は複数の基本色材を配合した塗料を該当する種類の下地材に塗布した標準塗装物の色に関するデータである。この標準塗装物データは、基本色材の標準合計配合比の等しいデータが組をなしている。本実施例では、すなわち、1−1,1−2,…で表される第1組に属する標準塗装物データは、いずれも、色材の標準合計配合比が25/1000(2.5%)に固定されたものである。同様に、第2組は色材の標準合計配合比が50/1000(5.0%)、第3組は色材の標準合計配合比が100/1000(10.0%)、第4組は色材の標準合計配合比が250/1000(25.0%)に固定されたものである。なお、図3に示す標準塗装物データは、「なら」を下地材とした場合のデータである。
また、本実施例で色合わせを行うのは、非隠蔽性塗料であるため、各基本色材単独の光学濃度を用いても、適切な色合わせを行うことはできない。ベース(透明被膜成分)に基本色材が含まれた状態で、各基本色材の色に対する影響(効き)を考慮する必要があるからである。しかも、前述したように、非隠蔽性塗料では、透明皮膜成分(ベース)との割合、つまり、色材の合計配合比が異なると、基本塗料の透明皮膜成分中での濃度によって、非隠蔽性塗料の光学濃度が非線形的に大きく変化する場合がある。このため、各基本色材の光学濃度を得るのに用いる標準塗装物データの組として、1つの標準合計配合比にかかる1組の標準塗装物データのみを用意しただけでは、見本色データによっては、合計配合比が大きく異なるサンプル塗装物データの配合比を補正することとなり、適切な推薦配合比を得ることができない場合がある。
そこで、本実施例では、異なる色材の合計配合比にかかる標準塗装物データの組を、予め複数組(本例では、4組)用意してある。これにより、本実施例の色合わせ装置によれば、広い範囲の見本色データに対して、適切に色合わせされた非隠蔽性塗料を提供することができる。
また、図3に示す標準塗装物データベース12a等に格納される標準塗装物データは、各組の標準合計配合比をその大きさの順に並べると、25/1000、50/1000、100/1000、250/1000となる。このように、標準合計配合比が低いほど、隣り合う標準合計配合比との値の差が小さくなるように標準合計配合比の値が選択されてなる。このようにすることで、近似色サンプル塗装物データにかかる近似色サンプル塗料における色材の合計配合比の値が小さくて、塗料の色に対する各基本色材の影響が変化しやすい場合でも、合計配合比の値が大きい場合でも、適切に推薦配合比を得ることができるようにされている。
ついで、本実施例にかかる色合わせ装置100における色合わせ手順について、図4〜図8を参照して説明する。まず、コンピュータ10を用いて、製品見本データベース11から、製造しようと考える製品(本例では製品A1)を指定し、色見本となる製品(例えば製品A1)の色データである分光反射率及びCIELAB(L* ST,a* ST,b* ST)を取得する(ステップS1)。
なお、上述のように、製品に関する分光反射率やCIELABが予め判っている場合には、製品見本データベース11に登録しておき、必要に応じてこれを呼び出すようにすればよい。一方、製品が現存している場合には、これを見本物MHとして分光光度計で測色し、分光反射率やL* ST,a* ST,b* STなどの製品見本についての色データ(見本色データ)を取得することもできる。また、LAN,インターネットなどのネットワークシステムを通じて、L* ST,a* ST,b* STなどを取得することもできる。
なお、本実施例では、このステップS1を実行するコンピュータ10が、見本色データ取得手段に相当する。
ついで、ステップS2では、製品見本データベース11(図2参照)から、この製品に使用した非隠蔽性塗料の配合比を取得する。
ついで、ステップS3では、下地材の明度L* 0を取得する。例えば、使用する下地材の塗面に、非隠蔽性塗料(補正前塗料)を塗布することなく、前述した無色透明のUVクリア塗料を、下塗り、中塗り、及び上塗りした上で、それを分光光度計20で測色して得た下地材の明度L* 0を用いる。
なお、下地材の塗面の材質に応じて、予め設定した下地材の明度L* 0を用いても良い。この場合には、下地材の明度L* 0を、色見本の明度L*など共に製品見本データベース11に格納しておくほか、通信によって取得することもできる。
ついで、ステップS4では、ステップS2で取得した非隠蔽性塗料の配合比に従って、塗料を調合する。この塗料が、補正前塗料に相当する。具体的には、コンピュータ10により、ディスペンサ30を用いて、透明皮膜成分となるベース、及びホワイト、ブラック、エロー、レッドの4種の基本色材は上述の配合比となるように、吐出量を調整する。さらに吐出された各色の塗料を、攪拌装置40で攪拌して、塗料(補正前塗料)とする。
なお、ステップS2で取得した非隠蔽性塗料(補正前塗料)の配合比に従って調合された塗料を、購入するなどにより入手することもできる。
続いて、ステップS5において、この補正前塗料を、塗装装置50を用いて下地材に塗布し、さらに前述した無色透明のUVクリア塗料を、下塗り、中塗り、及び上塗りして、塗装物(補正前塗装物)51を作製する。
ついで、ステップS6では、この補正前塗装物51を分光光度計20を用いて測色し、補正前塗装物色データるCIELAB(L*,a*,b*)を取得する。本実施例では、このステップS6を実行する分光光度計20及びコンピュータ10が、補正前データ取得手段に相当する。
続いて、ステップS7では、補正前塗装物51と色見本(例えば製品A1)との色の差異が、所定範囲内であるか否かを判定する。具体的には、補正前塗装物51のCIELAB(L*,a*,b*)と色見本のCIELAB(L* ST,a* ST,b* ST)とを比較して、色差△Eが、1未満であるか否かを判定する。
なお、色差△Eは、△E=√(△L*2+△a*2+△b*2)で与えられる。ここで、△L*=L*−L* ST、△a*=a*−a* ST、△b*=b*−b* STである。
ステップS7においてYes、つまり、色差△Eが所定の範囲内(本例では1未満)である場合には、補正前塗装物51と色見本との色の差異がほとんど無いことから、塗料の色合わせは完了(この場合は不要)と判断して、色合わせ作業を終了する。
なお、調合した塗料53は、塗装装置50を用いて、塗装物の製造に用いる(ステップSC)。
一方、ステップS7においてNo、つまり、色差△Eが1以上である場合には、補正前塗装物51と色見本(製品A1)との色の差異が存在することから、引き続いて、ステップS8以降に進み、この補正前塗料の色合わせを行う。
本実施例では、このステップS7を実行するコンピュータ10が、色差異判断手段に相当する。
ステップS8では、補正前塗料の配合比を補正して、具体的には、補正前塗料に、さらに、ベースや基本色材を追加して、推薦塗料(試作塗料)を調合作製する。
このステップS8のサブルーチン(図5参照)では、まずステップS81において、後述する色変化型追加分を追加して調合する場合(ステップS82〜S84)と、濃度変化型追加分を追加して調合する場合(ステップS85〜S87)のいずれに進むかを選択する。
具体的には、色見本の見本色データのCIELAB(L* ST,a* ST,b* ST)及び補正前塗装物51のCIELAB(L*,a*,b*)が、下記式(1)及び(2)を共に満たしているか否かを判定する。
(L*−L* ST)×(b*−b* ST)>0 …式(1)
|a*−a* ST|≦C (Cは正の定数) …式(2)
ここで、式(1),(2)に関連して、本件発明者が、非隠蔽性塗料に関して見出した知見について、図6を参照して説明する。
図6は、塗装物に塗布した塗料に含まれる基本色材同士の配合割合は変えずに、基本色材の合計配合比を変化させた場合の、塗装物のCIELABの変化を示す図表である。つまり、図6は、基本色材同士の配合割合は変えずに、基本色材全体とベースとの比率(色の濃さ)を変化させた場合の、塗装物のCIELABの変化を示す図表である。
この図6の図表では、A色系列からL色系列まで合計12種類の色系列について、基本色材の合計配合比と塗装物のCIELABとの関係が示してある。また、各色系列のいずれについても、基本色材の合計配合比は、2.5%,5.0%,10.0%,25.0%の4段階に変化させてある。
なお、この図6の図表では、塗面が「なら」からなる下地材について、非隠蔽性塗料を塗布し、前述のように、無色透明のUVクリア塗料を下塗り、中塗り、及び上塗りした塗装物について、分光光度計20を用いて測色し、CIELAB(L*,a*,b*)を得ている。
この図6の図表によれば、A色系列からL色系列までのいずれの色系列においても、基本色材の合計配合比が大きくなるほど、明度L*が小さくなる傾向にあることが判る。また同様に、いずれの色系列においても、基本色材の合計配合比が大きくなるほど、色度b*が小さくなる傾向にあることが判る。一方、色度a*は、着色成分の濃さ(基本色材の合計配合比)との間に、一定傾向が無く、また余り変化しないことが判る。
このことから、目標となる色見本(例えば、製品A1)の明度L* STが、補正前塗装物の明度L*よりも小さい場合には、補正前塗料にベースを加えて、基本色材の合計配合比を下げる(色を薄くする)ことによって、より色見本の明度L* STに近づけることができる可能性が高いことになる。逆に、色見本の明度L* STが、補正前塗装物の明度L*よりも大きい場合には、基本色材の合計配合比を上げる(色を濃くする)ことによって、より色見本の明度L* STに近づけた推薦塗料が得られる可能性が高いことになる。
同様に、目標となる色見本の色度b* STが、補正前塗装物の色度b*よりも小さい場合には、基本色材の合計配合比を下げることで、大きい場合には、基本色材の合計配合比を上げることで、より色見本の色度b* STに近づけた推薦塗料が得られる可能性が高いことになる。
但し、△L*(=L*−L* ST)及び△b*(=b*−b* ST)が共に正または負(つまり同符号)でなければ、一方について逆効果となるので、全体として色差が小さくなる可能性は低い。従って、△L*×△b*>0の場合には、基本色材同士の配合割合は変えずに基本色材の合計配合比を変化させる色合わせ方法を採用するのが好ましいことが判る。
さらに、この図6の図表によれば、色度a*は余り変化せず、一部の例外(C色系列(最大2.57),G色系列(最大2.05))を除き、いずれの色系列についても、色度a*の変化は、最大でも絶対値で2以内である。
従って、目標となる色見本の色度a* STと補正前塗装物の色度a*の差が、2よりも大きい場合には、基本色材の合計配合比を変化させる色合わせ方法では、より色見本の色度a* STに近づけた推薦塗料が得られる可能性は少ない。従って他の色合わせ方法によって、色度a*を近づける方が好ましいことになる。
これらの知見より、上記式(1),(2)が得られ、ステップS81では、この式(1)及び(2)を共に満足する場合(Yes)には、基本色材同士の配合割合は変化させず、基本色材の合計配合比を変化させる色合わせ手法(ステップS85〜S87)を選択する。一方、Noの場合には、他の色合わせ方法(ステップS82〜S84)を選択する。
なお、後述するように、ステップS82〜S84で行う色合わせ方法は、基本色材の合計配合比を変化させず、基本色材同士の配合割合(各基本色材の配合比)を変化させる。
ステップS81では、このような2種類の色合わせ方法の中から適切な色合わせ方法を選択して色合わせを行うため、少ない試作回数で、適切に色合わせされた塗料及び塗装物を得ることができる。
本実施例では、このステップS81を実行するコンピュータ10が、算出法選択手段、及び追加量取得法選択手段に相当する。
また付言するに、「ぶな」、「かば」等の木質材についても同様に、式(1),(2)の関係となることが判っており、特に「ぶな」、「かば」については、「なら」と同様に、|a*−a* ST|≦2となる。
ついで、ステップS82の色変化型配合比算出サブルーチンについて、図7を参照して説明する。このサブルーチンでは、推薦塗料の推薦配合比を算出する。具体的には、ステップS2で取得した色見本に塗布した塗料の配合比から、ステップS821において、その基本色材の合計配合比Dを取得する。例えば、図2に示す製品見本データのうち、製品A1に用いた塗料の色材の合計配合比Dとして50/1000(5.0%)を取得する。
ついで、ステップS822において、ステップS3で取得した下地材の種類を参照し、複数ある標準塗装物データベース12a等のうち、この指定された種類の下地材にかかる標準塗装物データベースを選択する。例えば、ステップS3で「なら」が指定された場合には、「なら」に関する標準塗装物データベース12a(図3参照)を選択する。
その上で、これに格納された複数組の標準塗装物データの組(例えば図3参照)のうち、ステップS821で得た合計配合比Dに適合する標準合計配合比にかかる標準塗装物データの組を選択する。例えば、ステップS821で得た近似色サンプル塗装物データにかかる合計配合比が50/1000である場合、これと同じ値である50/1000という標準合計配合比にかかる第2組(No2−1,2−2,…)の標準塗装物データの組を選択する。
なお、合計配合比Dに適合する標準合計配合比にかかる標準塗装物データの組を選択する具体的な手法としては、まず、ステップS821で得た合計配合比Dに等しい標準合計配合比にかかる標準塗装物データの組が存在する場合には、その標準塗装物データの組を選択する。一方、ステップS821で得た合計配合比Dに等しい標準合計配合比にかかる標準塗装物データの組が存在しない場合には、各組の標準合計配合比(例えば、図3の例においては、25/1000,50/1000,100/1000,250/1000)のうち、ステップS41で得た合計配合比に近い値の標準合計配合比にかかる組を選択する。
これにより、適切な標準合計配合比にかかる標準塗装物データの組を選択することができる。
ついで、ステップS823では、ステップS822で選択され、標準塗装物データベース12a等に格納された標準塗装物データの組(例えば、「なら」の第2組)を用いて、各基本色材の光学濃度を算出する。これにより、標準合計配合比に固定した状態での各基本色材の光学濃度が得られる。
ついで、ステップS824において、ステップS1で取得した色見本の分光反射率となるように、ステップS823で得た各基本色材の光学濃度の組を用いて、推薦塗料のベース及び各基本色材の推薦配合比を算出する。この手法としては、例えば、公知のクベルカムンク式を用いる手法を採用することができる。
なお、補正前塗料の合計配合比Dと、光学濃度の組を算出した標準塗装物データの組の標準合計配合比とが異なっている場合には、このステップS824において得られた推薦配合比を修正して、その合計配合比が補正前塗料の合計配合比Dと一致するように修正する。
また、本実施例では、このステップS82(ステップS821〜S824)を実行するコンピュータ10が、色変化型配合比算出手段に相当する。
なお、後述するステップSAにおいて、試作塗装物の測色を行った以降にステップS824を実行する場合には、図7において破線で示すように、ステップSAで得た試作塗装物の分光反射率や、CIELAB(L* TR、a* TR、b* TR)、試作塗料の配合比(推薦配合比)を用いる。具体的には、試作塗装物データの色(分光反射率)を、色見本物の分光反射率に近づけるべく、各基本色材の光学濃度の組を用いて、試作塗料のベース及び各基本色材の配合比の補正値を算出する。この手法としては、例えば、公知のクベルカムンク式を用いる手法を採用することができる。
その後、推薦塗料調合のサブルーチンS8(図5参照)に戻り、ステップS83において、現在の補正前塗料に追加すべき色変化型追加分について、補正前塗料の透明被膜成分及び各基本色材の配合比、残存している補正前塗料の重量、及び色変化型推薦塗料の透明被膜成分及び各基本色材の推薦配合比に基づいて、ベース及び各基本色材の追加量を算出する。これにより、現時点で存在する補正前塗料に、ベース及び各基本色材をどれだけ追加すればよいかが判るので、以降の調合処理が容易になる。
本実施例では、ステップS82,S83を実行するコンピュータ10が、色変化型追加量取得手段に、ステップS83を実行するコンピュータ10が、色変化型追加量算出手段に相当する。
さらに、ステップS84では、算出した各々の追加量に従い、ベース及び各基本色材を追加することで、補正前塗料に色変化型追加分を追加する。具体的には、ディスペンサ30によって、ベース及び各基本色材についての追加分を、補正前塗料に追加し、攪拌装置40を用いて、攪拌して、推薦配合比を有する推薦塗料(試作塗料、色変化型推薦塗料)を作製して、メインルーチンに戻る。
一方、ステップS81でYesと判断された場合には、ステップS85の濃度変化型配合比算出サブルーチンに進み、推薦塗料の推薦合計配合比DREを算出する。このサブルーチンでは、図8に示すように、まずステップS851において、ステップS2で取得した色見本に塗布した塗料の配合比から、その基本色材の合計配合比(補正前塗料の合計配合比)D、補正前塗装物の明度L*、下地材の明度L* 0等のデータを取得する。
ついで、ステップS852において、まず、指数n=0.4と仮定して、下記式(3)に従って、定数Kを算出する。
K=(L* o−L*)/Dn …式(4)
さらに、ステップS853に進み、Kの値を評価する。前述したように、n=0.4と仮定して定数Kを求めたときに、定数Kの大きさが、小さい場合には、指数nを大きな値に代えて再計算するのがよいことが判っている。そこで、このステップS853において、K≧30のときは、Kの値ををそのままとして、ステップS856に進む。一方、20≦K<30のときは、ステップS854に進み、指数をn=0.6として、上記式(3)によって、定数Kを再計算してからステップS856に進む。する。また、0<K<20のときは、ステップS855に進み、指数をn=0.8として、上記式(3)によって、定数Kを再計算してからステップS856に進む。
本実施例では、このステップS852〜S855を実行するコンピュータ10が、定数指数決定手段に相当する。
その後、ステップS856では、下地材のL* 0、得られた定数K、指数n、及びステップS1で得た色見本の明度L* STを用いて、式(3)に従って推薦塗料の合計配合比DREを算出する。
REn√((L* 0−L* ST)/K) …式(3)
推薦塗料では、基本色材の合計配合比を補正前塗料の合計配合比Dとは異なるDREとする一方、基本色材同士の配合割合については、補正前塗料と同じとする。
かくして、補正前塗料及び補正前塗装物のデータを用いて、補正前塗料の合計配合比Dを補正し、色見本に近づけ色あわせを行った推薦塗料(試作塗料)の推薦合計配合比DREを得て、推薦塗料調合のサブルーチンS8(図5参照)に戻る。
本実施例では、このステップS85(ステップS851〜S856)を実行するコンピュータ10が、濃度変化型配合比算出手段に相当する。また、このステップS856を実行するコンピュータ10が、合計配合比決定手段に相当する。
ついで、ステップS86では、補正前塗料の透明被膜成分及び各基本色材の推薦配合比、残存している補正前塗料の重量、及び濃度変化型推薦塗料の推薦合計配合比に基づいて、現在の補正前塗料に追加すべき濃度変化型追加分について、ベース及び各基本色材の追加量を算出する。これにより、現時点で存在する補正前塗料に、ベース及び各基本色材をどれだけ追加すればよいかが判るので、以降の調合処理が容易になる。本実施例では、ステップS85,S86を実行するコンピュータ10が、濃度変化型追加量取得手段に、ステップS86を実行するコンピュータ10が、濃度変化型追加量算出手段に相当する。
さらに、ステップS87では、算出した各々の追加量に従い、ベース及び各基本色材を追加することで、補正前塗料に濃度変化型追加分を追加する。具体的には、ディスペンサ30によって、ベース及び各基本色材についての追加分を、補正前塗料に追加し、攪拌装置40を用いて、攪拌して、推薦配合比を有する推薦塗料(試作塗料、濃度変化型推薦塗料)を作製して、メインルーチンに戻る。
このステップS8に引き続き、ステップS9では、塗装装置50により、この推薦塗料(試作塗料)を下地材に塗布し、UVクリア塗料を塗布、硬化させて、推薦塗装物(試作塗装物)52を作製する。
さらに、ステップSAで、この試験塗装物51の色を確認する。具体的には、目視による評価のほか、分光光度計20で測色してその分光反射率、CIELAB(L* TR、a* TR、b* TR)等を取得する。
ついで、ステップSBにおいて、試作塗料及び試作塗装物52を、ステップS4,S5で作製した補正前塗料及び補正前塗装物51とみなして、ステップS7に戻る。具体的には、図4に示すように、ステップSBにおいて、推薦塗料の配合比及び合計配合比DREを、補正前塗料の配合比及び合計配合比Dに代入する。また同様に、試作塗装物のCLELAB(L* TR、a* TR、b* TR)を、補正前塗装物のCLELAB(L*、a*、b*)とする。
その上で、ステップS7において、補正前塗装物(試作塗装物)と色見本との色の差異が所定範囲内(色差△E<1)であるか否かを判定する。
かくして、補正前塗装物(試作塗装物)と色見本との色の差異が所定範囲内になるまで、ステップS8〜SBが繰り返され、この差異が所定範囲内となれば、色合わせを終了する。
このようにして得られた塗料は、これを塗布した塗装物53が色見本に十分近似した色を呈する塗料となっている。かくして、塗装装置50を用いて、あるいは別途の装置を用いて、この塗料を下地材に塗布すれば、色合わせされた塗装物53が作製できる。
特に、本実施例では、色変化型の配合比算出手法と、濃度変化型の配合比算出手法とを、ステップS81で適切に選択している。このため、より少ない回数で、色見本との色差が十分小さな試作塗装物52及び試作塗料を得ることができる。
(具体例)
ついで、図2に示す製品No.A1に用いる塗料について、色合わせを行った場合の例を数値を挙げて説明する(図9参照)。図2に示すように、製品No.A1は、下地材として「なら」を用い、ベース及びホワイト、ブラック、エロー、レッドの基本色材の配合比を、950.0,37.5,1.5,5.5,5.5(いずれも千分率)とした非隠蔽性塗料を塗布してなる。またこの塗料の合計配合比は、50/1000(=5.0%)である。この製品見本A1のCIELAB(L* ST,a* ST,b* ST)は、)は、L* ST=53.17,a* ST=10.26,b* ST=28.83である。
また、下地材の明度を取得したところ、L* 0=62.70であった。
そこで、上述の配合比で調合(ステップS4)した補正前塗料(10kg)を、塗装装置50にセットし、下地材に塗布し、さらに所定のUVクリア塗料の塗布及び硬化を行って、補正前塗装物51を得た(ステップS5)。この補正前塗装物51を測色したところ、そのCIELABは、L*=52.40,a*=10.41,b*=27.41であった(ステップS6)。従って、色見本(製品見本No.A1)と、補正前塗装物51との色の差異は、△L*(=L*−L* ST)=−0.77、△a*(=a*−a* ST)=0.15、△b*(=b*−b* ST)=−1.42、色差△E=1.62となり、△E<1の範囲外であった(ステップS7)。目視によっても評価はNGであった。
そこで、ステップS81に進み、式(1),(2)について判定した。△L*×△b*>0、|△a* |<2であることから、ステップS81においてYesと判定され、ステップS85で濃度変化型の推薦配合比を算出した。ステップ852において、Kを算出した。式(4)によれば、K=(62.70−52.40)/(0.05)0.4=34.14となる。K≧30であるから、指数n=0.4のままで良い。そこで、式(3)により、推薦塗料の合計配合比DREを算出する。DRE0.4√((62.70−53.17)/34.14)=0.041となった(ステップS856)。
現在の補正前塗料(10kg)の合計配合比DはD=0.05(5.0%)であるから、これをDRE=0.041(4.1%)にまで低下させるのに要するベースの量は、0.5/0.041−10=2.195kgである(ステップS86)。そこで、ベース2195gのみ(濃度変化型追加分に相当)を補正前塗料に追加し(ステップS87)、推薦塗料(第1試作塗料)を作製した(ステップS8)。さらにこの第1試作塗料を用いて、推薦塗装物(第1試作塗装物)52を作製し(ステップS9)、これを測色した(ステップSA)。
すると、この第1試作塗装物52のCIELABは、L* TR=53.50,a* TR=10.68,b* TR=27.92であった。
そこで、ステップSBに従い、この第1試作塗料及び第1試作塗装物52を、補正前塗料及び補正前塗装物とみなして(L*←L* TR,a*←b* TR,b*←b* TR)、ステップS7に戻り、色見本(製品見本No.A1)と、補正前塗装物とみなされた第1試作塗装物52との色の差異を判定した。色見本(製品見本No.A1)と、補正前塗装物(第1試作塗装物52)との色の差異は、△L*(=L*−L* ST)=0.33、△a*(=a*−a* ST)=0.42、△b*(=b*−b* ST)=−0.91、色差△E=1.06となった。この第1試作塗装物52は、ステップS5において得た補正前塗装物51よりも、色見本に近い色となった。しかしながら、△E<1の範囲外であり(ステップS7)。目視によっても、ほぼ良好であるが、やや黄味不足とされ、評価はNGであった。
そこで、さらに、ステップS81に進み、式(1),(2)について判定した。ここで、△L*×△b*<0となり、式(1)を満たさないことから、ステップS81においてNoと判定され、ステップS82で色変化型の推薦配合比を算出した。ステップS821で取得したこの補正前塗料(第1試作塗料)の合計配合比Dは、D=41/1000(=0.041)である。そこで、ステップS822では、標準データベース12a〜12cのうち、下地材が「なら」である標準塗装物データベース12a(図3参照)を選択し、さらに、このうちで、合計配合比Dに最も近い標準合計配合比(50/1000)を有する第2組を選択した。
ついで、選択された標準塗装物データの組(「なら」の第2組)を用いて、各基本色材の光学濃度を算出し(ステップS823)、この光学濃度を用いて、補正前塗装物(第1試作塗装粒52)の色(分光反射率)を、色見本(製品見本No.A1)の分光反射率に近づけるべく、ステップS823で得た各基本色材の光学濃度の組を用いて、推薦塗料のベース及び各基本色材の推薦配合比を算出する。
但し、補正前塗料の合計配合比Dが、D=0.041であったのに対して、標準塗装物データの組(「なら」の第2組)の標準合計配合比(0.05)であるので、得られた推薦配合比を修正する。
その上で、この修正された推薦配合比と補正前塗料(第1試作塗料)の配合比との差、及び補正前塗料の重量(12.195kg)から、現在の補正前塗料(12.195kg)に追加すべき色変化型追加分について、以下のように、ベース及び各基本色材の追加量を得た(ベース:807g,ホワイト:0g,ブラック:7.1g,エロー:21.5g,レッド:5.9g,合計841.5g)。
なお、この色変化型追加分における基本色材の合計配合比も0.041であるから、この色変化型追加分を補正前塗料(第1試作塗料)に追加しても、合計配合比は変化しない。
そこで、色変化型追加分に相当する追加量のベース及び各基本色材を補正前塗料に追加し(ステップS83)、推薦塗料(第2試作塗料)を作製した(ステップS8)。さらにこの第2試作塗料を用いて、推薦塗装物(第2試作塗装物)52を作製し(ステップS9)、これを測色した(ステップSA)。
すると、この試作塗装物52のCIELABは、L* TR=53.06,a* TR=10.50,b* TR=28.44であった。
そこで、ステップSBに従い、この第2試作塗料及び第2試作塗装物52を、補正前塗料及び補正前塗装物とみなして(L*←L* TR,a*←b* TR,b*←b* TR)、ステップS7に戻り、色見本(製品見本No.A1)と、補正前塗装物とみなされた第2試作塗装物52との色の差異を判定した。色見本(製品見本No.A1)と、補正前塗装物(第2試作塗装物52)との色の差異は、△L*(=L*−L* ST)=−0.11、△a*(=a*−a* ST)=0.24、△b*(=b*−b* ST)=−0.39、色差△E=0.47となった。この第2試作塗装物52は、ステップS5において得た補正前塗装物51及び第1試作塗装物よりも、色見本に近い色となり、色差△Eも、△E<1となった(ステップS7)。目視の評価も良好であった。
かくして、本具体例では、補正前塗料から2回の色合わせ(2回の試作塗料の調合、及び3回の塗装物の作製)で、製品見本A1に色合わせされた塗料及び塗装物を得ることができた。
(対比例)
一方、前述の補正前塗料及び補正前塗装物を用いて、製品見本A1に色合わせされた塗料を得るべく、色合わせを熟練者に行わせた。すると、図10に示すように、補正前塗料から、5回の色合わせ(5回の対比試作塗料の調合、及び6回の塗装物の作製)を行い、ようやく製品見本A1に色合わせされた塗料及び塗装物を得ることができた。
但し、上述の具体例の場合よりも、最終的に得られた対比試作塗装物5と色見本との色差は大きなものであった。
従って、本実施例の色合わせ装置100を用いることで、少ない試作回数で、適切に色合わせされた塗料を得ることができることが判る。
また、前述の補正前塗料及び補正前塗装物51を用いて、製品見本A1に色合わせされた塗料を得るにあたり、ステップS81、及びステップS85〜S87を無くして、常に色変化型の推薦塗料を得るようにした場合には、1回目の補正で得られた塗装物の色は、やや白の強調された、いわゆる白ボケた仕上がりとなった。ステップS6で得た補正前塗装物51の色と色見本との色の差異のうち、明度差が△L*=−0.77であることから、明度を上げるべく、必要以上に白を加えることとなったためであると解される。このため、1回目の補正で得られた塗料の配合比、測色した塗装物の色、各基本色材の光学濃度、及び、色見本の色データを用いて、得られた塗料の配合比を補正(2回目の補正)し、これを繰り返した。これにより、色見本と補正された塗料を用いた塗装物との色差△Eは、徐々に小さくできる。しかしながら、得られたいずれの塗装物も、いわゆる白ボケた仕上がり感が残り、目視においても十分満足できるほどの色合わせは出来なかった。
逆に、補正前塗料及び補正前塗装物51を用いて、製品見本A1に色合わせされた塗料を得るにあたり、ステップS81、及びステップS82〜S84を無くして、常に濃度変化型の推薦塗料を得るようにした場合には、適切に色合わせされた塗料及び塗装物を得ることはできなかった。ステップSBに従い、第1試作塗料及び第1試作塗装物52を、補正前塗料及び補正前塗装物とみなして、ステップS7に戻り、色見本(製品見本No.A1)と、補正前塗装物とみなされた第1試作塗装物52との色の差異を判定した際に、△L*=0.33及び△b*=−0.91となり、両者が異なる符号となっている。このため、塗料の合計配合比を上げるあるいは下げるのいずれを採用しても、△L*及び△b*の両者を同時に低下させることが困難であり、色差△Eを十分低下させることが困難だからである。
このことから、本実施例の色合わせ装置のように、2つの色合わせ方法を適宜選択して、推薦塗料の配合比を得ることで、より少ない回数で、確実に適切に色合わせされた塗料及び塗装物を得ることができることが判る。
以上において、本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることはいうまでもない。
例えば、図1に示す色合わせ装置100等においては、ディスペンサ30、攪拌装置40をも色合わせ装置100に含めて説明した。しかしながら、図1において破線で示すように、コンピュータ10で算出した推薦配合比を記載した用紙をプリンタ18から打ち出させたり、ディスプレイ10aに表示する、あるいは、インターネットやLANなど、図示しない通信回線を用いて別の場所のコンピュータに推薦配合比の値を伝送するだけの色合わせ装置とすることもできる。この場合には、別途、推薦配合比に従って、作業者がベースや各基本色材の塗料を秤量して調合したり、作業者の指示によりディスペンサを動作させたりすることで、色合わせされた非隠蔽性塗料を得ることとなる。
また、上述の実施例では、各基本色材の光学濃度の組を得るのに当たり、標準塗装物データベース12a等から、適合する標準塗装物データの組を選択して光学濃度の組を算出した。しかし、図1に破線で示すように、下地材の材質に応じた光学濃度データベース13a,13b,13c等を用意しておき、光学濃度の組を選択するようにしても良い。
実施例にかかる色合わせ装置の概要を示す説明図である。 色合わせ装置内のサンプル塗装物データベースに格納されているサンプル塗装物データの内容を説明する図表である。 色合わせ装置内の標準塗装物データベースに格納されている標準塗装物データの組の内容を説明する図表である。 実施例の色合わせ装置による色合わせの各工程の流れを示すフローチャートである。 推薦塗料調合のサブルーチンの流れを示すフローチャートである。 条件式(1),(2)の基礎となった実験データを示す図表である。 色変化型推薦配合比算出のサブルーチンの流れを示すフローチャートである。 濃度変化型推薦配合比算出のサブルーチンの流れを示すフローチャートである。 具体的な見本物の色合わせを、実施例にかかる色合わせ装置を用いて行った具体例の結果を示す図表である。 具体的な見本物の色合わせを、熟練者によって行った対比例の結果を示す図表である。
符号の説明
100 色合わせ装置
1100 塗装物製造装置
10 コンピュータ
11 製品見本データベース
12a,12b,12c 標準塗装物データベース
13a,13b,13c 光学濃度データベース
15 キーボード
16 マウス
18 プリンタ
20 分光光度計(補正前データ取得手段)
30 ディスペンサ
40 攪拌装置
50 塗装装置(塗布手段)
51 補正前塗装物
52 試作塗装物
53 塗装物
MH 見本物(色見本)

Claims (25)

  1. 透明被膜成分と複数の基本色材とからなる非隠蔽性塗料の色合わせ装置であって、
    色見本の色データである見本色データを取得する見本色データ取得手段と、
    下地材に非隠蔽性の補正前塗料を塗布した補正前塗装物の色データである補正前塗装物色データを取得する補正前データ取得手段と、
    上記補正前塗料とは、基本色材の合計配合比が同じで、基本色材同士の配合割合が異なる色変化型推薦塗料の上記透明被膜成分及び各基本色材の推薦配合比を算出する色変化型配合比算出手段と、
    上記補正前塗料とは、基本色材同士の配合割合が同じで、上記基本色材の合計配合比が異なる濃度変化型推薦塗料の基本色材の推薦合計配合比を算出する濃度変化型配合比算出手段と、
    上記見本色データ及び補正前塗装物色データを用いて、上記色変化型配合比算出手段による上記色変化型推薦塗料の透明被膜成分及び各基本色材の推薦配合比の算出、上記濃度変化型配合比算出手段による上記濃度変化型推薦塗料の推薦合計配合比の算出、のいずれを行うかを選択する算出法選択手段と、を有する
    非隠蔽性塗料の色合わせ装置。
  2. 請求項1に記載の非隠蔽性塗料の色合わせ装置であって、
    前記下地材は、少なくとも前記非隠蔽性塗料を塗布する塗面が木質材からなり、
    前記見本色データ取得手段は、少なくともL* ST,a* ST,b* STを含む前記見本色データを取得し、
    前記算出法選択手段は、
    前記見本色データのL* ST,a* ST,b* ST、及び前記補正前塗装物色データのL*,a*,b*が、下記式(1)及び(2)の両者を満たしたときには、前記濃度変化型配合比算出手段を選択し、
    それ以外のときには、前記色変化型配合比算出手段を選択する
    (L*−L* ST)×(b*−b* ST)>0 …式(1)
    |a*−a* ST|≦C (Cは正の定数) …式(2)
    非隠蔽性塗料の色合わせ装置。
  3. 請求項2に記載の非隠蔽性塗料の色合わせ装置であって、
    前記下地材の塗面は、ぶな、かば、ならからなり、
    前記算出法選択手段において、前記式(2)における定数Cを、C=2としてなる
    非隠蔽性塗料の色合わせ装置。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の非隠蔽性塗料の色合わせ装置であって、
    前記濃度変化型配合比算出手段は、
    前記下地材の明度L* 0と、
    前記色見本の明度L* STと、
    前記補正前塗装物の明度L*と、
    前記補正前塗料における基本色材の合計配合比Dと、を用いて、
    上記補正前塗料とは基本色材同士の配合割合が同じである前記濃度変化型推薦塗料の合計配合比DREを算出する
    非隠蔽性塗料の色合わせ装置。
  5. 請求項4に記載の非隠蔽性塗料の色合わせ装置であって、
    前記濃度変化型配合比算出手段は、
    前記明度L* 0、L*、及び前記合計配合比Dを用いて、定数K及び指数nを決定する定数指数決定手段と、
    前記色見本の明度L* ST、及び上記定数K及び指数nを用いて、前記濃度変化型推薦塗料の推薦合計配合比DREを下記式(3)に従って決定する合計配合比決定手段と、を含む
    REn√((L* 0−L* ST)/K) …式(3)
    非隠蔽性塗料の色合わせ装置。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の非隠蔽性塗料の色合わせ装置であって、
    色変化型配合比算出手段は、
    前記見本色データと、
    上記各基本色材についての光学濃度と、を用いて、
    前記下地材に塗布する前記色変化型推薦塗料の上記透明被膜成分及び各基本色材の推薦配合比を算出する
    非隠蔽性塗料の色合わせ装置。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の非隠蔽性塗料の色合わせ装置であって、
    前記見本色データと前記補正前塗装物色データとを比較し、色に関する差異が所定範囲内であるか否かを判断する色差異判断手段を備える
    非隠蔽性塗料の色合わせ装置。
  8. 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の非隠蔽性塗料の色合わせ装置と、
    前記下地材に、前記透明被膜成分及び各基本色材を前記推薦配合比に従って配合した色変化型推薦塗料を、または前記透明被膜成分及び各基本色材を前記推薦合計配合比に従って配合した濃度変化型推薦塗料を塗布する塗布手段と、を備える
    塗装物製造装置。
  9. 透明被膜成分と複数の基本色材とからなる非隠蔽性塗料の色合わせ装置であって、
    色見本の色データである見本色データを取得する見本色データ取得手段と、
    下地材に非隠蔽性の補正前塗料を塗布した補正前塗装物の色データである補正前塗装物色データを取得する補正前データ取得手段と、
    上記補正前塗料に追加する色変化型追加分であって、上記複数の基本色材のうち少なくともいずれかの基本色材と上記透明被膜成分とからなり、上記補正前塗料とは、基本色材の合計配合比が同じで、基本色材同士の配合割合が異なる色変化型追加分について、上記透明被膜成分及び各基本色材の色変化型追加量を取得する色変化型追加量取得手段と、
    上記補正前塗料に追加する濃度変化型追加分であって、上記複数の基本色材及び上記透明被膜成分の少なくともいずれかからなり、上記補正前塗料とは、基本色材同士の配合割合が同じで、上記基本色材の合計配合比が異なる濃度変化型追加分について、上記透明被膜成分及び各基本色材の濃度変化型追加量を取得する濃度変化型追加量取得手段と、
    上記見本色データ及び補正前塗装物色データを用いて、上記色変化型追加量取得手段及び上記濃度変化型追加量取得手段のいずれを行うかを選択する追加量取得法選択手段と、を有する
    非隠蔽性塗料の色合わせ装置。
  10. 請求項9に記載の非隠蔽性塗料の色合わせ装置であって、
    前記色変化型追加量取得手段は、
    前記補正前塗料とは、前記基本色材の合計配合比が同じで、基本色材同士の配合割合が異なる色変化型推薦塗料の前記透明被膜成分及び各基本色材の推薦配合比を算出する色変化型配合比算出手段と、
    上記補正前塗料の透明被膜成分及び各基本色材の配合比、上記補正前塗料の重量、及び上記色変化型推薦塗料の透明被膜成分及び各基本色材の推薦配合比に基づいて、前記色変化型追加分における上記透明被膜成分及び各基本色材の色変化型追加量を算出する色変化型追加量算出手段と、を含む
    非隠蔽性塗料の色合わせ装置。
  11. 請求項9または請求項10に記載の非隠蔽性塗料の色合わせ装置であって、
    前記濃度変化型追加量取得手段は、
    前記補正前塗料とは、前記基本色材同士の配合割合が同じで、上記基本色材の合計配合比が異なる濃度変化型推薦塗料の推薦合計配合比を算出する濃度変化型配合比算出手段と、
    上記補正前塗料の透明被膜成分及び各基本色材の推薦配合比、上記補正前塗料の重量、及び上記濃度変化型推薦塗料の推薦合計配合比に基づいて、前記濃度変化型追加分における上記透明被膜成分及び各基本色材の濃度変化型追加量を算出する濃度変化型追加量算出手段と、を含む
    非隠蔽性塗料の色合わせ装置。
  12. 請求項9〜請求項11のいずれか1項に記載の非隠蔽性塗料の色合わせ装置と、
    前記下地材に、前記透明被膜成分及び各基本色材を前記色変化型追加量に従って追加した色変化型推薦塗料、または上記透明被膜成分及び各基本色材を前記濃度変化型追加量に従って追加した濃度変化型推薦塗料を塗布する塗布手段と、を備える
    塗装物製造装置。
  13. コンピュータを、請求項1〜請求項7,請求項9〜請求項11のいずれか1項に記載の非隠蔽性塗料の色合わせ装置の各手段として機能させるためのプログラム。
  14. 透明被膜成分と複数の基本色材とからなる非隠蔽性塗料の色合わせ方法であって、
    色見本の色データである見本色データを取得する見本色データ取得ステップと、
    下地材に非隠蔽性の補正前塗料を塗布した補正前塗装物の色データである補正前塗装物色データを取得する補正前データ取得ステップと、
    上記補正前塗料とは、基本色材の合計配合比が同じで、基本色材同士の配合割合が異なる色変化型推薦塗料の上記透明被膜成分及び各基本色材の推薦配合比を算出する色変化型配合比算出ステップと、
    上記補正前塗料とは、基本色材同士の配合割合が同じで、基本色材の合計配合比が異なる濃度変化型推薦塗料の各基本色材の推薦合計配合比を算出する濃度変化型配合比算出ステップと、
    上記色変化型配合比算出ステップ及び上記濃度変化型配合比算出ステップの実行に先立ち、上記見本色データ及び補正前塗装物色データを用いて、上記色変化型配合比算出ステップ及び上記濃度変化型配合比算出ステップのいずれを行うかを選択する配合比算出法選択ステップと、を有する
    非隠蔽性塗料の色合わせ方法。
  15. 請求項14に記載の非隠蔽性塗料の色合わせ方法であって、
    前記下地材は、少なくとも前記非隠蔽性塗料を塗布する塗面が木質材からなり、
    前記見本色データ取得ステップでは、少なくともL* ST,a* ST,b* STを含む前記見本色データを取得し、
    前記配合比算出法選択ステップは、
    前記見本色データのL* ST,a* ST,b* ST、及び前記補正前塗装物色データのL*,a*,b*が、下記式(1)及び(2)の両者を満たしたときには、前記濃度変化型配合比算出ステップを選択し、
    それ以外のときには、前記色変化型配合比算出ステップを選択する
    (L*−L* ST)×(b*−b* ST)>0 …式(1)
    |a*−a* ST|≦C (Cは正の定数) …式(2)
    非隠蔽性塗料の色合わせ方法。
  16. 請求項15に記載の非隠蔽性塗料の色合わせ方法であって、
    前記下地材の塗面は、ぶな、かば、ならからなり、
    前記配合比算出法選択ステップにおいて、前記式(2)における定数Cを、C=2としてなる
    非隠蔽性塗料の色合わせ方法。
  17. 請求項14〜請求項16のいずれか1項に記載の非隠蔽性塗料の色合わせ方法であって、
    前記濃度変化型配合比算出ステップは、
    前記下地材の明度L* 0と、
    前記色見本の明度L* STと、
    前記補正前塗装物の明度L*と、
    前記補正前塗料における基本色材の合計配合比Dと、を用いて、
    上記補正前塗料とは基本色材同士の配合割合が同じである前記濃度変化型推薦塗料の合計配合比DREを算出する
    非隠蔽性塗料の色合わせ方法。
  18. 請求項17に記載の非隠蔽性塗料の色合わせ方法であって、
    前記濃度変化型配合比算出ステップは、
    前記明度L* 0、L*、及び前記合計配合比Dを用いて、定数K及び指数nを決定する定数指数決定ステップと、
    前記明度L* ST、及び上記定数K及び指数nを用いて、前記濃度変化型推薦塗料の推薦合計配合比DREを下記式(3)に従って決定する合計配合比決定ステップと、を含む
    REn√((L* 0−L* ST)/K) …式(3)
    非隠蔽性塗料の色合わせ方法。
  19. 請求項14〜請求項18のいずれか1項に記載の非隠蔽性塗料の色合わせ方法であって、
    色変化型配合比算出ステップは、
    前記見本色データと、
    上記各基本色材についての光学濃度と、を用いて、
    前記下地材に塗布する前記色変化型推薦塗料の上記透明被膜成分及び各基本色材の推薦配合比を算出する
    非隠蔽性塗料の色合わせ方法。
  20. 請求項14〜請求項19のいずれか1項に記載の非隠蔽性塗料の色合わせ方法であって、
    前記見本色データ取得ステップ及び補正前データ取得ステップの後、前記配合比算出法選択ステップの前に、前記見本色データと前記補正前塗装物色データとを比較し、色に関する差異が所定範囲内であるか否かを判断する色差異判断ステップを備え、
    上記色差異判断ステップにおいて、
    色に関する差異が所定範囲内でないと判断された場合には、前記配合比算出法選択ステップに進み、
    色に関する差異が所定範囲内であると判断された場合には、非隠蔽性塗料の色合わせを終了する
    非隠蔽性塗料の色合わせ方法。
  21. 請求項20に記載の非隠蔽性塗料の色合わせ方法であって、
    前記推薦配合比または前記推薦合計配合比に従って試作塗料を調合する試作調合ステップと、
    前記下地材に上記試作塗料を塗布して試作塗装物を作成する試作塗装ステップと、を含み、
    上記試作塗料及び上記試作塗装物を、前記補正前塗料及び前記補正前塗装物とみなして、前記色差異判断ステップに戻り、
    この色差異判断ステップにおいて、前記見本色と上記試作塗装物との色に関する差異が所定範囲内であると判断されるまで、上記色差異判断ステップ以降の処理を繰り返す
    非隠蔽性塗料の色合わせ方法。
  22. 透明被膜成分と複数の基本色材とからなる非隠蔽性塗料の色合わせ方法であって、
    色見本の色データである見本色データを取得する見本色データ取得ステップと、
    下地材に非隠蔽性の補正前塗料を塗布した補正前塗装物の色データである補正前塗装物色データを取得する補正前データ取得ステップと、
    上記複数の基本色材のうち少なくともいずれかの基本色材と上記透明被膜成分とからなり、上記補正前塗料とは、基本色材の合計配合比が同じで、基本色材同士の配合割合が異なる色変化型追加分を上記補正前塗料に追加する色変化型追加ステップと、
    上記複数の基本色材及び上記透明被膜成分の少なくともいずれかからなり、上記補正前塗料とは、基本色材同士の配合割合が同じで、上記基本色材の合計配合比が異なる濃度変化型追加分を上記補正前塗料に追加する濃度変化型追加ステップと、
    上記色変化型追加ステップ及び上記濃度変化型追加ステップの実行に先立ち、上記見本色データ及び補正前塗装物色データを用いて、上記色変化型追加ステップ及び上記濃度変化型追加ステップのいずれを行うかを選択する追加型選択ステップと、を有する
    非隠蔽性塗料の色合わせ方法。
  23. 請求項22に記載の非隠蔽性塗料の色合わせ方法であって、
    前記色変化型追加ステップは、
    前記補正前塗料とは、前記基本色材の合計配合比が同じで、基本色材同士の配合割合が異なる色変化型推薦塗料の前記透明被膜成分及び各基本色材の推薦配合比を算出する色変化型配合比算出ステップと、
    上記補正前塗料の透明被膜成分及び各基本色材の配合比、上記補正前塗料の重量、及び上記色変化型推薦塗料の透明被膜成分及び各基本色材の推薦配合比に基づいて、前記色変化型追加分における上記透明被膜成分及び各基本色材の色変化型追加量を算出する色変化型追加量算出ステップと、
    上記補正前塗料に上記色変化型追加量だけ上記透明被膜成分及び各基本色材を追加して、上記色変化型推薦塗料を調合する色変化型推薦塗料調合ステップと、を含む
    非隠蔽性塗料の色合わせ方法。
  24. 請求項22または請求項23に記載の非隠蔽性塗料の色合わせ方法であって、
    前記濃度変化型追加ステップは、
    前記補正前塗料とは、前記基本色材同士の配合割合が同じで、上記基本色材の合計配合比が異なる濃度変化型推薦塗料の推薦合計配合比を算出する濃度変化型配合比算出ステップと、
    上記補正前塗料の透明被膜成分及び各基本色材の推薦配合比、上記補正前塗料の重量、及び上記濃度変化型推薦塗料の推薦合計配合比に基づいて、前記濃度変化型追加分における上記透明被膜成分及び各基本色材の濃度変化型追加量を算出する濃度変化型追加量算出ステップと、
    上記補正前塗料に上記濃度変化型追加量だけ上記透明被膜成分及び各基本色材を追加して、上記濃度変化型推薦塗料を調合する濃度変化型推薦塗料調合ステップと、を含む
    非隠蔽性塗料の色合わせ方法。
  25. 請求項14〜請求項24のいずれか1項に記載の非隠蔽性塗料の色合わせ方法を用いて、色合わせされた非隠蔽性塗料を得る色合わせ遂行ステップと、
    前記下地材に、色合わせされた非隠蔽性塗料を塗布する塗布ステップと、を備える
    塗装物の製造方法。
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