JP4261846B2 - 液体吐出ヘッドの駆動方法及び駆動装置 - Google Patents

液体吐出ヘッドの駆動方法及び駆動装置 Download PDF

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    • B41J2202/01Embodiments of or processes related to ink-jet heads
    • B41J2202/10Finger type piezoelectric elements

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷だけでなく、カラーフィルタ、薄膜トランジスタ、発光素子、DNA素子などの作製にも用いることができる液体吐出ヘッドの駆動方法及び駆動装置関する。
【0002】
【従来技術】
液体吐出装置は、印刷物の作製だけでなく、カラーフィルタ、薄膜トランジスタ、発光素子、DNA素子などの作製におけるパターニング工程にも用いられるようになってきている。
このような、産業用のパターニング方法としては、フォトリソ工程が広く採用されている。しかし、フォトリソ工程は工程数が多くしかも装置コストが莫大であるとともに材料の使用効率が極めて低い。また、オフセット印刷は精度の点で産業用のパターニング技術としては用途が限定されている。
【0003】
そこで、液体吐出ヘッドを用いたパターニング方法は、インクジェット方法とも呼ばれ、脚光を浴びるようになってきた。インクジェット方法はパターニング個所に直接描画するため材料の使用効率が極めて高いとともに工程数も少なくて済むので、ランニングコストの安さを持ち合わせた有望なパターニング技術である。
【0004】
インクジェットの方式としては特公昭53−12138号公報に記載されているカイザー型、あるいは特公昭61−59914号公報(米国特許第5,754,194号明細書)に開示されているサーマルジェット型が広く知られている。
また、特開昭63−247051号公報(米国特許第4,879,568号明細書)には圧電セラミックスを利用したせん断モード型のインクジェット方法が記載されている。
【0005】
図9に示すように、せん断モード型の圧力発生素子を備えたインクジェットヘッド(液体吐出ヘッド)500は、底壁501、天壁502及びそのせん断モードアクチュエータ壁503からなる。そのアクチュエータ壁503は、底壁501に接着され、且つ矢印511方向に分極された下部壁507と、天壁502に接着され、且つ矢印509方向に分極された上部壁505とからなっている。隣接する2個のアクチュエータ壁503は一対となって、そのインク流路(圧力作用部)506を形成している。さらに、インク流路の間にはインクが存在しない空隙部分からなる空気室508が形成されている。
【0006】
各インク流路506の一端には、ノズル510を有するオリフィスプレート512が接着されて、各アクチュエータ壁503の両側面には電極513、514が金属化層として設けられている。具体的にはインク流路506側のアクチュエータ壁には電極514が設けられ、空気室508側のアクチュエータ壁には電極513が設けられている。空気室508に面している電極513はアクチュエータ駆動信号を与える制御回路520に接続され、インク流路506内に設けられている電極514はアースに接続されている。
【0007】
各空気室508の電極514に制御回路520が電圧を印加することによって、各アクチュエータ壁503がインク流路506の容積を増加する方向にせん断ひずみ変形を起こす。例えば、図10に示すように空気室508の電極513に駆動電圧が印加されると、アクチュエータ壁505、507にそれぞれ分極方向と直交する矢印方向に電界が発生し、アクチュエータ壁505、507がインク流路506の容積を増加する方向にせん断ひずみ変形を起こす。このときノズル510付近を含むインク流路内の圧力が減少し、インク供給側のインク共通流路(不図示)からインクが供給される。
【0008】
このとき、インク流路内の流体力学的共振周波数をFrとし、その逆数をTr(=1/Fr)としたとき、電圧印加時間をTr/2とすることにより元々せん断ひずみとして得られる変形量(非共振)に比べて系の共振を利用するために変形量を増大することが可能となる。流体力学的共振周波数Frは、周知のインピーダンス測定器を用いた電気的測定によって求めることができる。図11は、インピーダンス測定器による測定データ(インピーダンスの周波数依存性)と流体力学的共振周波数Frとの関係を示している。
【0009】
電圧印加時間Tr/2後に空気室508の電極513に印加されている電圧を0Vに戻す。すると、アクチュエータ505、507が変形前の(真っ直ぐな)状態よりもさらにインク流路が縮まるように変形し、インクに圧力が加えられる。これにより、インクがノズル方向に流れを生じインク液滴がノズルから噴射される。
【0010】
従来、この種のインク噴射装置では、前記インク流路の形状や駆動電圧等により、噴射されるインク液滴の体積が決まる。そのため目的とするインク液滴を得るために、インク流路の形状及び駆動電圧が決定される。しかし、産業用の描画装置としてインクジェットを利用することを考えると、インクジェットの性能としてはより高精細化が求められてきているとともにその描画時間の短縮が望まれている。描画時間の短縮に関しては、描画にかかるパルス数をできるだけ少なくする必要がある。高精細化に関しては、インク流路のピッチを狭くすることにより、高精細化が可能となる。インク流路のピッチを狭くするということは加工上の制約からインク流路の体積を変形させる圧電セラミックスであるPZT(ジルコン酸−チタン酸鉛)の壁の厚さを狭くしさらにインク流路の深さも浅くする必要がある。そのため、駆動電圧の制約も発生することとなってしまう。結局、高精細化用ヘッドはPZTの変形体積量が小さくなってしまうために、1ドット当たりの吐出量が小さくなってしまう。
【0011】
一方、特公平3−30506号公報(米国特許第4,563,689号)には、主パルスが印加される前に、ノズル内のメニスカスの先端位置を決めるための付加パルスを印加することで、インク液滴の体積を制御することが記載されている。これによれば、付加パルスを印加することによりインク液滴の体積をやや増加させることが可能であるが十分な体積増加は困難である。
【0012】
また、特開2000−280463公報には、主噴射(第2噴射)パルスが印加される前に、付加噴射(第1噴射)パルスとして主噴射パルスのパルス幅Tに対し0.30T〜1.10Tの幅を有するパルスを設けることによるインク体積の増加を試みが記載されている。この方式によれば、1ドットを形成するにあたり2個の液滴を吐出させることにより、最大でインク液滴の体積は1.5程度まで増加させることが可能となる。しかし、これ以上の吐出量増加は困難である。
【0013】
さらに、吐出量の増加を試みる手段として、特公平6−55513号公報(米国特許第5,202,659号明細書)には、共振周波数を利用して連続して噴射した複数のインク液滴を空中で合体させ、インク液滴の体積を制御することが提案されている。これによれば十分な体積増加が望まれる。しかし、産業用のインクジェットではその着弾精度を上げるためにノズルと描画基体との距離を極端に短くする場合に、複数の液滴が空中で合体せず、個々に基体に着弾してしまう。つまり、1ドットの描画に対して着弾の時間のずれが発生して、着弾状態が真円状にならず着弾精度不良が発生してしまう。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、液滴の体積を増加させ且つヘッドノズルと描画基体との距離が短い場合であっても高精度に着弾させることが可能な液体吐出ヘッドの駆動方法及び駆動装置を提供することを目的とする。
本発明の別の目的は、産業用パターニング装置としても好適に用いることができる液体吐出ヘッドの駆動方法及び駆動装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため本発明の骨子は、液体を吐出するための吐出口と該吐出口に連通し液体を吐出するための圧力が液体に作用する圧力作用部と前記圧力を発生するせん断モード型の圧力発生素子とを有する液体吐出ヘッドを駆動するための、液体吐出ヘッドの駆動方法において、1ドットの吐出命令に対して、液体を吐出できる第1の吐出パルスと液体を吐出できる第2の吐出パルスとを続けて前記圧力発生素子に印加する工程を含み、前記第1の吐出パルスにより吐出される第1の液体の体積が、前記第2の吐出パルスにより吐出される第2の液体の体積りも大きく、且つ、前記第1の液体の吐出速度が、前記第2の液体の吐出速度より小さくなるように、前記第1の吐出パルスのパルス幅T1と、前記第2の吐出パルスのパルス幅T2とを、Nを3以上の奇数、前記液体吐出ヘッドにおける流体力学的共振周波数の逆数をTrとしたときに、下記式
T1=k1×N×Tr/2、0.9≦k1≦1.1
T2=k2×Tr/2、0.9≦k2≦1.1
を満たすように定められていることを特徴とする。
【0016】
本発明の別の骨子は、液体を吐出するための吐出口と該吐出口に連通し液体を吐出するための圧力が液体に作用する圧力作用部と前記圧力を発生するせん断モード型の圧力発生素子とを有する液体吐出ヘッドを駆動するための、液体吐出ヘッドの駆動装置において、1ドットの吐出命令に対して、液体を吐出できる第1の吐出パルスと液体を吐出できる第2の吐出パルスとを続けて前記圧力発生素子に印加する駆動回路を有し、前記第1の吐出パルスにより吐出される第1の液体の体積が、前記第2の吐出パルスにより吐出される第2の液体の体積りも大きく、且つ、前記第1の液体の吐出速度が、前記第2の液体の吐出速度より小さくなるように、前記第1の吐出パルスのパルス幅T1と、前記第2の吐出パルスのパルス幅T2とを、Nを3以上の奇数、前記液体吐出ヘッドにおける流体力学的共振周波数の逆数をTrとしたときに、下記式
T1=k1×N×Tr/2、0.9≦k1≦1.1
T2=k2×Tr/2、0.9≦k2≦1.1
を満たすように定められていることを特徴とする。
【0017】
本発明の更に別の骨子は、液体を吐出するための吐出口と該吐出口に連通し液体を吐出するための圧力が液体に作用する圧力作用部と前記圧力を発生するせん断モード型の圧力発生素子とを有する液体吐出ヘッドと、1ドットの描画命令に対して、液体を吐出できる第1の吐出パルスと液体を吐出できる第2の吐出パルスとを続けて前記圧力発生素子に印加する駆動回路と、前記液体を受容するための液体受容部材を支持する支持体と、前記液体吐出ヘッドと前記支持体とを相対的に位置決めする手段と、を有し、前記駆動回路においては、前記第1の吐出パルスにより吐出される第1の液体の体積が、前記第2の吐出パルスにより吐出される第2の液体の体積より大きく、且つ、前記第1の液体の吐出速度が、前記第2の液体の吐出速度より小さくなるように、前記第1の吐出パルスのパルス幅T1と、前記第2の吐出パルスのパルス幅T2とを、Nを3以上の奇数、前記液体吐出ヘッドにおける流体力学的共振周波数の逆数をTrとしたときに、下記式
T1=k1×N×Tr/2、0.9≦k1≦1.1
T2=k2×Tr/2、0.9≦k2≦1.1
を満たすように定められ、前記位置決め手段は、前記第1の液体と前記第2の液体とが合体して前記液体受容部材に付与されるように、前記液体吐出ヘッドと前記支持体とを位置決めすることを特徴とする。
【0018】
これらの発明によれば、第1及び第2の液滴が短い吐出距離内で合体するので、合体された大きな液滴を、液体受容部材等に高精度に着弾させることができる
【0020】
本発明においては、前記第1の吐出パルスと前記第2の吐出パルスとの間の休止時間をK12としたときに、下記式
12=k3×(3Tr/4−T2/2)、0.9≦k3≦1.1
たすとよい。こうすれば、第1の液滴に比べて、第2の液滴の体積を若干小さくしつつその吐出速度を速めることができるので、短い吐出距離内で2つの液滴を合体させることができる。
【0021】
そして、これらの発明においては、前記第2の吐出パルスに続いて液体を吐出しない非吐出パルスを印加し、このとき、前記非吐出パルスのパルス幅をT3、前記第2の吐出パルスと前記非吐出パルスとの間の休止時間をK23としたとき、下記式
T3=k4×Tr/2、0.2≦k4≦0.5
K23=k5×(3Tr/2−T2/2−T3/2)、0.9≦k5≦1.1
を全て満たすことが好ましい。
この場合、従来より大きくなりがちな液滴吐出後の振動を早く抑えることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
図1、図2は本発明の一実施形態による液体吐出ヘッドの駆動方法を説明するための図である。本発明においても、液体吐出ヘッドとしては、図9、図10に示したものと同じ構成のヘッドを用いることができる。
図1のa)は、液体を吐出するための吐出口と該吐出口に連通し液体を吐出するための圧力が液体に作用する圧力作用部と前記圧力を発生する圧力発生素子とを有する液体吐出ヘッドを駆動するための駆動信号(1ドットの吐出命令)を示している。図1のb)は、上記液体吐出ヘッドの圧力発生素子の振動状態を示しており、図中正(+)方向が圧力作用部の容積が定常状態より増大する方向の変位に対応し、負(−)方向が圧力作用部の容積が定常状態より減少する方向の変位に対応している。図2は、図1の駆動波形の時間軸に対応させた吐出液の状態を示す。
【0027】
時刻t0において、駆動パルス(第1の吐出パルスVA)が立ち上がり電圧Vopとなると、圧力発生素子がせん断ひずみ変形を起こし始め、圧力作用部の容積が増大し、そこに液体が上流から導入される。時刻t1において、駆動パルスが立ち下がると、圧力発生素子のせん断ひずみ変形は解除されるので、圧力発生素子の変形を元に戻そうとする力により圧力作用部の容積が小さくなり、中の液体が加圧され始める。こうして、後には、振動によって、時刻t0の時よりも圧力作用部の容積は小さくなり、液体は加圧され、吐出口から吐出される。すなわち、時刻t2において、再び駆動パルス(第2の吐出パルスVB)が立ち上がる頃に、吐出された液体は大きな液滴22となる。その後、第2の吐出パルスVBによって、圧力作用部は再び拡がる。時刻t3において、第2の吐出パルスVBが立ち下がる時には、圧力発生素子の振動振幅が最大となる。そして、再び圧力作用部は収縮し、第2の液滴23となる液体の吐出を始める。すなわち、時刻t4の頃には吐出された液体は第2の液滴23となり吐出口から離れる。第2の液滴23は時刻t3の時の振動振幅が大きいために、第1の液滴22よりも早い速度で吐出される。
【0028】
以上要するに、1ドットの吐出命令に対し2つの吐出パルスにより2つの液滴が噴射される。その際、第1の吐出パルスにより吐出される第1の液滴22の吐出速度は第2の吐出パルスにより吐出される第2の液滴23の吐出速度よりも15%〜20%程度遅くすることができる。このため、吐出口と描画基体(液体受容部材)との間の距離が500μm以下のように短い距離であっても、第1の液滴22が液体受容部材に着弾する前に、第2の液滴23と空中で合体し大きな液滴24となる。しかも、第1の液滴22の体積は第2の液滴23と同じか或いは若干小さい程度の大きさとなる。
よって、1ドットの吐出命令に対し第1又は第2の吐出パルスのみで駆動した場合に比べて、1ドットの吐出命令に対して第1及び第2の吐出パルスで駆動した場合には、1.8〜2.0倍の体積を持つ液滴を同一ドットとして着弾させることが可能となる。尚、各液滴の体積は、図2のように、平面に液滴を投影し、液滴を円又は楕円で近似して求めることができる。
【0029】
また、本発明実施の形態においては、第2の吐出パルスに続いて非吐出パルスである第3のパルスを時刻t5付近で印加することも好ましいものである。これにより、吐出後、圧力作用部内の液体の振動を効果的に減少し、比較的粘度の低いインクの高周波数での噴射も可能となる。
【0030】
上述した液滴の形成を可能にするためには、駆動パルス列を以下のように設定するとよい。Nを3以上の奇数、前記液体吐出ヘッドにおける流体力学的共振周波数の逆数をTr、前記第1の吐出パルスのパルス幅をT1、前記第2の吐出パルスのパルス幅をT2、前記第1の吐出パルスと前記第2の吐出パルスとの間の休止時間をK12としたときに、下記3つの式
T1>Tr
T2=T1/N
K12=3T1/2N−T2/2
を満たすことが好ましい。
【0031】
より好ましくは、前記第2の吐出パルスに続いて液体を吐出しない非吐出パルスを印加し、このとき、前記非吐出パルスのパルス幅をT3、前記第2の吐出パルスと前記非吐出パルスとの間の休止時間をK23としたとき、
T3<Tr/2
K23=3T1/N−T2/2−T3/2
を全て満たすことが好ましい。
ここでは、流体力学的共振周波数に基づいて、T1をTr/2のN倍とすることが好ましいものである。
図1では、N=3の例を挙げたが、N=5、7、9・・・でもよい。
【0032】
以下、図3、図4を例に挙げて、本発明の好適な液体吐出ヘッドの駆動方法について、より詳しく説明する。
図3のa)、b)はパルス幅Tr/2の吐出パルスVA’のみを印加した時の圧力発生素子の振動の様子を示している。周期Trにて、振幅を減少させながら振動を繰り返し、振動ゼロに収束していく。この周期Trは実際には圧力発生素子のみならず、吐出口の形状や大きさ、圧力作用部の形状や大きさ、ヘッド内にある液体の体積や密度などに基づいて決まる液体吐出ヘッドの流体力学的共振周波数Frによって決まる。つまり、Tr=1/Frである。特に多数の液体吐出ヘッドを集合させた液体吐出ヘッド集合体の場合には、各吐出口、つまり各ヘッド毎にFrがばらつくこともある。この流体力学的共振周波数Frは、圧力発生素子に周知のインピーダンス測定器を接続して、そのインピーダンスの周波数依存性から求めることができる(図11参照)。
【0033】
このような特性をもつ液体吐出ヘッドに対して、N=3として、パルス幅T1=N×Tr/2の吐出パルスVAを印加すると、図3のc)、d)に示すような振動が得られる。Nを3以上の奇数とすれば、共振を利用して、効率よく液滴を吐出することができる。
図3のc)と同じ第1の吐出パルスVAを引加した後、続いて、第2の吐出パルスを印加する場合には、図3のe)に示すようなタイミングにする。第2の吐出パルスVBのパルス幅T2としては、吐出効率のよいパルス幅Tr/2を選択する。第2の吐出パルスVBの印加タイミングとしては、液体を加圧する方向に圧力発生素子が変位してから逆方向に変位する期間において、その速度が最も速くなる時とする。つまり、その時とは、時刻t1から時間M12が経過した時刻となる。この時間M12はTr/2の3/2倍の期間である。よって、時刻t1〜時刻t2までの期間(休止期間)はK12=3T1/2N−T2/2、換言すれば、K12=3Tr/4−T2/2となる。
【0034】
こうすると、時刻t3における最大振幅により、第2の液滴は第1の液滴より早い速度で吐出され、その体積もほぼ同じような値になる。
そして、液体吐出ヘッド集合体を駆動する場合には、製造ばらつきなどにより、正確には各ヘッド毎に、流体力学的共振周波数Frが異なることが多い。これに対応して、ヘッド毎に、各パルス幅と休止期間を最適化しようとすると、駆動回路が複雑になってしまう。液体吐出ヘッド集合体の特性ばらつきを考慮すると、上述した作用が得られる範囲内の条件として、最適値の0.9倍〜1.1倍くらいの許容度(k1,k2,k3)をもつ範囲内に、各パルス幅と休止期間を設定すればよい。こうして、選択範囲として、
T1=k1×N×Tr/2、0.9≦k1≦1.1
T2=k2×Tr/2、0.9≦k2≦1.1
K12=k3×(3Tr/4−T2/2)、0.9≦k3≦1.1
を定める。
【0035】
図4は、図3のe)に示した駆動信号に非吐出パルスを付加した時の液体吐出ヘッドの圧力発生素子の振動状態を示している。
パルスVBの中間タイミング、即ち立ち上がり時刻t2と立ち下がり時刻t3との中間時点から期間M23が経過した時刻t5に非吐出パルスVCを印加する。M23=3×Tr/2であることが好ましい。
図3のd)やf)に示したとおり、時刻t5においては、圧力発生素子により圧力作用部内の容積が膨張から収縮に向かう時期、即ち液体と吐出口から押し出そうとする力が加わる時期であって、且つ、理論的にはその速度が最も速い時刻である。したがって、この時刻t5付近において、逆向きの力を圧力発生素子に加えれば、圧力発生素子の振動は抑制され、液体を吐出させようとする力はより一層弱まる。
特に、図3のe)、f)の場合には、吐出パルスVBにより、第2の液滴23の吐出後の振動が増幅されるので、図4のg)、h)に示すように非吐出パルスを印加することが有効である。
【0036】
第2の吐出パルスVBに続いて印加される非吐出パルスVCのパルス幅をT3とすると、T3<Tr/2、より好ましくは、T3≦0.5×Tr/2であり、特に、複数の吐出口を有する液体吐出ヘッド集合体の場合には、T3=k4×Tr/2、0.2≦k4≦0.5、とすることが好ましいものである。ここでk4は許容度を意味する。
第2の吐出パルスVBの立下り時刻t3から非吐出パルスVCの立ち上がり時刻までの間、即ち第2の吐出パルスVBと非吐出パルスVCとの間の休止時間をK23とすると、
K23=3T1/N−T2/2−T3/2
とすることが好ましい。
より好ましくは、M23から第2の吐出パルスのパルス幅の半分と、非吐出パルスのパルス幅の半分を引いた値、即ち、K23=3Tr/2−T2/2−T3/2を基にして、
K23=k5×(3Tr/2−T2/2−T3/2)、0.9≦k5≦1.1
とすることが好ましいものである。
【0037】
(液体吐出ヘッド)
本発明に用いられる液体吐出ヘッドとしては、電気信号の印加に応じて、少なくとも一部分が変位して、圧力作用部に導入された液体に圧力を加えることができる圧力発生素子が設けられ、該圧力作用部に連通する吐出口を有する構成が好ましく用いられる。とりわけ、一極性の電圧の印加により変位して液体を減圧し、その電圧の解除とともに変位が戻り液体を吐出させる圧力を生じさせる圧電素子アクチュエータが好ましく用いられる。
【0038】
その一例を図9を参照して説明する。本発明に用いられる液体吐出ヘッド(インクジェットヘッドの一例は、図9に示したものと同様に、底壁501、天壁502及びその間のせん断モードアクチュエータ壁(圧力発生素子)503からなる。そのアクチュエータ壁503は、底壁501に接着され、且つ矢印511方向に分極された下部壁507と、天壁502に接着され、且つ矢印509方向に分極された上部壁505とからなっている。隣接する2個のアクチュエータ壁は一対となって、そのインク流路(圧力作用部)506を形成している。さらに、インク流路の間にはインクが存在しない空隙部分からなる空気室508が形成されている。
【0039】
各インク流路506の一端には、ノズル(吐出口)510を有するオリフィスプレート512が接着されて、各アクチュエータ壁503の両側面には電極513、514が金属化層として設けられている。具体的にはインク流路506側のアクチュエータ壁には電極514が設けられ、空気室508側のアクチュエータ壁には電極513が設けられている。空気室508に面している電極513はアクチュエータ駆動信号を与える制御回路(駆動回路)520に接続され、インク流路506内に設けられている電極514はアースに接続されている。
【0040】
(駆動回路)
本発明に用いられる駆動回路は、図1や図4に示したような駆動信号を、1ドットの吐出命令に応じて、ヘッドに供給できる回路であればよい。
図5は、本発明に用いられる駆動回路520の具体例を示す。本発明において、図9の液体吐出ヘッドを用いる場合、図5の駆動回路520は、図9における従来の駆動回路520に代えて用いられる。図5に示す回路520は充電回路201と放電回路202とパルスコントロール回路203から構成されている。入力端子204と205は、それぞれ空気室508(図9)内の電極513に与える電圧をE(V)及び0(V)にするためのパルス信号を入力する入力端子である。充電回路201は、抵抗R101、R102、R103、R104及びR105と、トランジスタTR101及びTr102から構成されている。
【0041】
入力端子204にオン信号(+5V)が入力されると、抵抗R101を介し、トランジスタTR101が導通し、正の電源101から抵抗R103を介し電流がトランジスタTR101のコレクタからエミッタ方向に流れる。したがって、正の電源101に接続されている抵抗R104及びR105にかかる電圧の分圧が上昇し、トランジスタTR102のベースに流れる電流が増加し、トランジスタTR102のエミッタとコレクタ間が導通する。これにより、正の電源101から+20Vの電圧がトランジスタTR102のコレクタ及びエミッタ、抵抗R120を介して空気室508内の電極513に印加される。このタイミングが、図6に示すタイミングチャートにおけるTm1、Tm3及びTm5である。
【0042】
図6は、制御回路520の入力端子204、205に印加される入力信号のタイミングチャートを示す。充電回路201の入力端子204に入力される信号は、図6に示すタイミングチャート(a)のように、通常オフ状態であり、インクを噴射するための所定のタイミングTm1にてオンされ、タイミングTm2にてオフされる。その後のタイミングTm3にて再びオンされタイミングTm4にてオフ状態に戻る。さらに、タイミングTm5にて再びオンされTm6にてオフ状態に戻る。図5の放電回路202の入力端子205に入力される信号は、図6に示すタイミングチャート(b)に示すように、充電回路201への入力信号がオン状態の時にはオフ状態となり、オフのときにオン状態となる。放電回路は圧電素子に蓄電された電荷を素早く放電させるための機構回路である。
【0043】
次に、充電回路201の入力端子204及び放電回路202の入力端子205に入力される上記タイミングTm1、Tm2、Tm3、Tm4、Tm5、Tm6を有するパルス信号を発生するパルスコントロール回路203について説明する。実際に印加される電圧を示したものが図6のタイミングチャート(c)であり、電圧の立ち上がり時間と立ち下がり時間に波形のなまりが発生してしまう。だが、波形のなまりが3μs以下となるように回路の時定数を設計すれば、コントロールすると波形のなまりの影響(吐出効率の減少)は少なくなってくる。制御上は、この波形のなまりを3μs以下に制御し、かつ駆動電圧の1/2の電圧でパルス幅を制御するようにタイミングを設定することが好ましい。
【0044】
図5において、パルスコントロール回路203には、各種の演算処理を実施するCPU210が設けられ、CPU210には描画データや各種のデータを記録するRAM211とパルスコントロール回路203の制御プログラム及び前記Tm1、Tm2、Tm3、Tm4、Tm5、Tm6のタイミングでオンあるいはオフ信号を発生するシーケンスデータを記録しているROM212が接続されている。また、CPU210は各種のデータのやりとりを実行するためのI/Oバス213に接続され、当該I/Oバス213には、描画データ受信回路214とパルスジェネレータ215及び216が接続されている。パルスジェネレータ215の出力は充電回路201の入力端子に、パルスジェネレータ216の出力は放電回路202の入力端子に接続されている。
【0045】
例えば、パルスジェネレータ215、216は、それぞれレジスタ31、33とカウンタ32、34とを有しており、パルスVA、VB、VCの立ち上がり及び立ち下りタイミングに対応したカウンタ値がROM212からレジスタ31、33に格納され、カウンタ32、34がそのカウンタ値まで基準クロックに基づいてカウントすると、入力端子204、205に上述したタイミングで信号が供給される。
【0046】
ここで、パルスジェネレータ215及び216ならびに充電回路201及び放電回路202はインクジェットヘッドのノズル数と同じ数だけ設けられている。本実施の形態では、一つのノズルについて説明しているが、他のノズルに対しても同様の制御を行うものとする。
パルスVA、VB、VCの電圧値は、それぞれ独自に定めてもよいし、上述したように同じ値に統一してもよい。パルスVBの電圧値をパルスVAのそれより大きくすれば、より吐出速度が高まるし、パルスVCの電圧値をパルスVA、VBのそれより小さくすることもできる。
【0047】
(液体吐出装置)
本発明の液体吐出ヘッドの駆動装置を有する液体吐出装置について説明する。図7は、液体吐出装置の構成を説明するための模式的斜視図である。
1は液体吐出ヘッド集合体であり、前述した充電回路や放電回路を有している。2は液体吐出ヘッドに供給する液体を収容する容器、3はヘッド集合体1のX方向への移動を案内するガイド部材、4は容器2のX方向への移動を案内するガイド部材である。5は、ガイド部材3、4をX方向と直交するY方向に案内するリニアガイドである。6は、ヘッド集合体1の駆動装置であり、前述したようなパルスコントロール回路を有し、フレキシブルケーブルにてヘッドに接続されている。
7は液体受容部材10を支持する支持体としての基板ステージ、8はヘッド集合体1をX方向に往復動させる駆動手段としてのステッピングモーター、9は容器2をX方向に往復動させる駆動手段としてのステッピングモーターである。
【0048】
基板ステージ7に液体受容部材10を載置する。ヘッド集合体1はX方向に移動しながら、上述した方法により液体を吐出し、ドットパターンを形成する。一行のドットパターン形成が終了したら、Y方向に一行分移動し、次の行のドットパターンを形成する。このような動作を繰り返し、液体受容部材10にドットパターンによる描画を行う。ヘッド集合体1のみが固定された基板ステージに対して移動する例を説明したが、これらは相対的に移動すればよく、例えば、X方向はヘッド集合体の移動、Y方向は基板ステージの移動によるものであっても良い。
液体受容部材10としては、半導体ウエハ、ガラス基板、プラスティック基板、織物、などであり、液体受容層をそれらの上にコートしたものであってもよい。
本発明は、有機トランジスタのソース、ドレイン、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極など、又は、有機EL素子の発光層、アノード電極、カソード電極など、或いは、カラーフィルタの着色層、遮光層など、又は、発光素子の電極、電子放出層など、の作製に用いられ、更には、DNAチップの作製などにも適用できる。勿論、通常の紙などへの印刷にも適用できる。
【0049】
(実施例1)
せん断モードのアクチュエータを有する図9に示したような構成のヘッド集合体を用意した。インク流路506の長さL1は8.0mmである。ノズル510の寸法は、インク噴射側の径φ1が25μm、インク流路側の径φ2が40μm、長さ(オリフィスプレート512の厚み)L2が50μmである。また、実験に使用したインクの粘度は25℃における粘度が6mPa・s、表面張力が50mN/mであった。このインク流路内のインクと加圧手段との連成系における流体力学的共振周波数Frをインピーダンス測定器により測定し、その逆数Trを求めるとTr=20μsecであった。
基板ステージに液体受容部材を置き、その表面とヘッドのオリフィスプレート表面との距離を300μmに設定した。
【0050】
次に空気室508内の電極513に図8に示した駆動波形を印加した。この駆動波形は図4に示したもの同じであり、インク液滴を噴射するための噴射パルス信号A、Bと前記インク流路506内の残留振動を減少させるための非噴射パルス信号Cからなり、噴射パルス信号A、Bと非噴射パルス信号Cのどちらも電圧値は同じである。噴射パルス信号Aの幅T1は、T1=3×Tr/2=30μsecとした。第2の噴射パルス信号Bの幅T2は、T2=Tr/2=10μsecとした。また、噴射パルスAの立ち下がりタイミングから噴射パルスBの立ち上がりタイミングまでの時間間隔K12は、K12=Tr/2=10μsecとした。非噴射パルス信号Cの幅T3は、T3=0.4×Tr/2=4μsecとした。噴射パルス信号Bの立ち下がりタイミングから非噴射パルス信号Cの立ち上がりまでの時間間隔K23とし、K23=3×Tr/2−T2/2−T3/2=23μsecとした。
【0051】
こうして、1ドットの噴射信号に対して、噴射パルス信号A、Bと非噴射パルス信号Cが続いて、アクチュエータに印加されるようにし。複数のドットが液体受容部材の同じ位置に付与されないように、ヘッド集合体を移動しながら描画を行った。噴射パルスAにより大きな液滴を噴射し、噴射パルスBにより大きさは若干小さくなることもあるが速度が早い液滴を噴射することで、体積の大きな液滴が1ドットとして付与された。また、非噴射パルス信号Cを、噴射パルス信号によるインク流路内の残留振動による圧電素子が拡大状態から縮小状態に移行する定常位置のタイミングで印加したので、圧電素子に拡大方向の力が加わり、これにより、圧電素子の縮小方向の変形と拡大方向の変形を相殺し、圧電素子の残留振動を減少させることができた。
【0052】
(実施例2)
上記した実施例1と同様の形態にてヘッド集合体を駆動し、噴射テストを行った。その結果を表1を参照して説明する。表1は、図8に図示している駆動波形のうち第1の噴射パルスと第2の噴射パルスを印加した場合の結果を示しており、パラメータとして噴射パルスAのパルス幅を取っている。また、使用したインクとしては25℃における粘度が6mPa・s、表面張力が50mN/mであり、インク粘度としては比較的粘度の高い液体を使用した。
【0053】
【表1】
Figure 0004261846
【0054】
表1には、駆動電圧が24Vであり、噴射パルスA、Bに対応し2つのインク液滴が噴射され、2つのインク液滴の合計吐出量およびインクが空中で合体した後の主滴の吐出速度およびその着弾精度を示している。ここで、着弾評価の指標としては、着弾液滴の位置精度のばらつき(揺らぎ)およびその着弾インクの真円度を評価している。
噴射パルス幅依存性について、すべての評価に対して良好であったのは27μs〜33μsであった。本実施例では、インク流路内のインクと加圧手段との連成系における流体力学的共振周波数をFrとし、Tr=1/Frとしたとき、Tr=20μsであったので、良好なパルス幅は、0.9×3×Tr/2≦T1≦1.1×3×Tr/2に対応することがわかった。
【0055】
(実施例3)
実施例2と同様にして、噴射パルスBのパルス幅を変動パラメータとして、同様の評価を実施した。他のパラメータはT1=30μsとし、他は実施例2と同様である。本例の場合に、良好な結果を得られたパルス幅T2は、9μs≦T2≦11μsであった。つまり、T2=k2×Tr/2、0.9≦k2≦1.1を満たしていた。
【0056】
(比較例)
比較として、図4に図示していないが、単一噴射パルス(基準波形:パルス幅10μs)一つのみで駆動した場合には、液滴の吐出量は15pl、吐出速度は8.2m/sであった。よって、噴射パルスA、Bを印加した場合には、単一噴射パルス(10μs)一つのみで駆動した場合に比べて約2倍の吐出量増加が達成可能であることがわかった。
【0057】
(実施例4)
次に、低粘度インクを用いて実施例2と同様の実験を行ったところ、実施例2と同様の結果が得られた。また、噴射パルスA、Bのみで駆動を行ったところ、実施例2(高粘度インク使用)に比べて、駆動周波数を上げた場合(例えば10kHz以上)では、吐出状態が不安定になることがわかった。そこで、図8のとおり非噴射パルスCを付加させたところ、高周波数(15kHz)でも安定に吐出させることができた。
良好なパルス幅T3は、2μs〜5μsであり、良好な休止期間K23は、20.7μs〜25.3μsであった。つまり、T3=k4×Tr/2、0.2≦k4≦0.5、K23=k5×(3Tr/2−T2/2−T3/2)、0.9≦k5≦1.1を満たしていた。
【0058】
以上の実施形態および実施例で述べられているように、インク流路内のインクと加圧手段との連成系における流体力学的共振周波数をFrとし、Tr=1/Frとした時、1ドット当たりの描画に対する最初に印加する駆動パルスの第1のパルス幅T1をTr/2とするのではなく(つまり、圧電素子にパルスを印加したときに圧電素子が最初にその振幅が最大となるタイミングで圧電素子を収縮方向に戻すのではなく)、第1のパルス幅T1を3×Tr/2とする(つまり、2回目に圧電素子の振幅が最大となるタイミングにて、圧電素子を収縮方向に戻す)ことにより、第1の噴射パルスによる液滴の吐出における吐出量の低下を起こすことなく、吐出速度を低下させることができる。そのため、第1の噴射液滴と第2の噴射液滴が液体受容部材に着弾する前に液滴が合体する。液滴が空中で合体した場合には、合体後に液滴が球状に変形するまで任意の楕円体の変形形態の振動をしばらく繰り返しながら、球状に安定化する。本実施形態では、合体後の振動も収まり、球状液滴となり基体に着弾する。なお、空中での合体の振動を早く収めるためには、第1の液滴と第2の液滴の運動量の差をできるだけ少なくする必要がある。本実施形態では、第1の液滴と第2の液滴の運動量の差を少なくすることが可能となり、合体後の振動をすばやく減少させることができた。
【0059】
以上、一実施の形態を詳細に説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。また、上記実施の形態では、正の電源を使用したが、圧電素子の分極方向を逆にし、負の電源を使用しても良い。また、圧電素子の分極方向を逆にし、インク室側を正の電源を接続し、空気室側をアースに接続してもかまわない。さらに、インクへの加圧部をインク流路の一部に設ける構造でもよい。つまり、本発明は、インクへの加圧構造や加圧の電源供給構造等限定されるものではない。
【0060】
【発明の効果】
上述したように、本発明によれば、1ドットの吐出命令に対して所定のタイミングで2つの吐出パルスを印加することにより、必要な吐出量が得られる。さらに、着弾状態も極めて良好であり、特に産業用の描画に適した液体の噴射が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態による液体吐出ヘッドの駆動方法を説明するための図である。
【図2】 本発明の一実施形態による液体吐出の様子を説明するための模式図である。
【図3】 液体吐出ヘッドの各種駆動方法とそれに対応した圧力発生素子の変位を説明するための図である。
【図4】 液体吐出ヘッドの別の駆動方法とそれに対応した圧力発生素子の変位を説明するための図である。
【図5】 本発明に用いられる液体吐出ヘッドの駆動回路を示す図である。
【図6】 図5の駆動回路の駆動タイミングチャートを示す図である。
【図7】 本発明の一実施形態による液体吐出装置を示す模式的斜視図である。
【図8】 本発明の一実施の形態に係るインク噴射装置の駆動波形を示す図である。
【図9】 液体吐出ヘッドを示す図である。
【図10】 液体吐出ヘッドの動作を説明するための模式図である。
【図11】 流体力学的共振周波数を説明するための模式図である。
【符号の説明】
1:液体吐出ヘッド集合体、2:液体容器、6:駆動装置、7:基板ステージ、10:液体受容部材、500:インクジェットヘッド、503、:アクチュエータ壁、506:インク流路、508:空気室、520:制御回路。

Claims (7)

  1. 液体を吐出するための吐出口と該吐出口に連通し液体を吐出するための圧力が液体に作用する圧力作用部と前記圧力を発生するせん断モード型の圧力発生素子とを有する液体吐出ヘッドを駆動するための、液体吐出ヘッドの駆動方法において、
    1ドットの吐出命令に対して、液体を吐出できる第1の吐出パルスと液体を吐出できる第2の吐出パルスとを続けて前記圧力発生素子に印加する工程を含み、
    前記第1の吐出パルスにより吐出される第1の液体の体積が、前記第2の吐出パルスにより吐出される第2の液体の体積りも大きく、
    且つ、前記第1の液体の吐出速度が、前記第2の液体の吐出速度より小さくなるように、
    前記第1の吐出パルスのパルス幅T1と、前記第2の吐出パルスのパルス幅T2とを、
    Nを3以上の奇数、前記液体吐出ヘッドにおける流体力学的共振周波数の逆数をTrとしたときに、下記式
    T1=k1×N×Tr/2、0.9≦k1≦1.1
    T2=k2×Tr/2、0.9≦k2≦1.1
    を満たすように定められていることを特徴とする液体吐出ヘッドの駆動方法。
  2. 記第1の吐出パルスと前記第2の吐出パルスとの間の休止時間をK12としたときに、下記式
    12=k3×(3Tr/4−T2/2)、0.9≦k3≦1.1
    たすことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッドの駆動方法。
  3. 前記第2の吐出パルスに続いて液体を吐出しない非吐出パルスを印加し、
    このとき、前記非吐出パルスのパルス幅をT3、前記第2の吐出パルスと前記非吐出パルスとの間の休止時間をK23としたとき下記式
    T3=k4×Tr/2、0.2≦k4≦0.5
    K23=k5×(3Tr/2−T2/2−T3/2)、0.9≦k5≦1.1
    を全て満たす請求項に記載の液体吐出ヘッドの駆動方法。
  4. 液体を吐出するための吐出口と該吐出口に連通し液体を吐出するための圧力が液体に作用する圧力作用部と前記圧力を発生するせん断モード型の圧力発生素子とを有する液体吐出ヘッドを駆動するための、液体吐出ヘッドの駆動装置において、
    1ドットの吐出命令に対して、液体を吐出できる第1の吐出パルスと液体を吐出できる第2の吐出パルスとを続けて前記圧力発生素子に印加する駆動回路を有し、
    前記第1の吐出パルスにより吐出される第1の液体の体積が、前記第2の吐出パルスにより吐出される第2の液体の体積りも大きく、
    且つ、前記第1の液体の吐出速度が、前記第2の液体の吐出速度より小さくなるように、
    前記第1の吐出パルスのパルス幅T1と、前記第2の吐出パルスのパルス幅T2とを、
    Nを3以上の奇数、前記液体吐出ヘッドにおける流体力学的共振周波数の逆数をTrとしたときに、下記式
    T1=k1×N×Tr/2、0.9≦k1≦1.1
    T2=k2×Tr/2、0.9≦k2≦1.1
    を満たすように定められていることを特徴とする液体吐出ヘッドの駆動装置。
  5. 記第1の吐出パルスと前記第2の吐出パルスとの間の休止時間をK12としたときに、下記式
    12=k3×(3Tr/4−T2/2)、0.9≦k3≦1.1
    たすことを特徴とする請求項4に記載の液体吐出ヘッドの駆動装置。
  6. 液体を吐出するための吐出口と該吐出口に連通し液体を吐出するための圧力が液体に作用する圧力作用部と前記圧力を発生するせん断モード型の圧力発生素子とを有する液体吐出ヘッドと、
    1ドットの描画命令に対して、液体を吐出できる第1の吐出パルスと液体を吐出できる第2の吐出パルスとを続けて前記圧力発生素子に印加する駆動回路と、
    前記液体を受容するための液体受容部材を支持する支持体と、
    前記液体吐出ヘッドと前記支持体とを相対的に位置決めする手段と、を有し、
    前記駆動回路においては、前記第1の吐出パルスにより吐出される第1の液体の体積が、前記第2の吐出パルスにより吐出される第2の液体の体積り大きく、
    且つ、前記第1の液体の吐出速度が、前記第2の液体の吐出速度より小さくなるように、
    前記第1の吐出パルスのパルス幅T1と、前記第2の吐出パルスのパルス幅T2とを、Nを3以上の奇数、前記液体吐出ヘッドにおける流体力学的共振周波数の逆数をTrとしたときに、下記式
    T1=k1×N×Tr/2、0.9≦k1≦1.1
    T2=k2×Tr/2、0.9≦k2≦1.1
    を満たすように定められ、
    前記位置決め手段は、前記第1の液体と前記第2の液体とが合体して前記液体受容部材に付与されるように、前記液体吐出ヘッドと前記支持体とを位置決めすることを特徴とする液体吐出装置。
  7. 記第1の吐出パルスと前記第2の吐出パルスとの間の休止時間をK12としたときに、下記式
    12=k3×(3Tr/4−T2/2)、0.9≦k3≦1.1
    たすことを特徴とする請求項に記載の液体吐出装置。
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