JP4250914B2 - 記憶装置システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、情報処理システムなどにおける記憶装置システムのデータ管理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、異なるアーキテクチャや異なるオペレーティングシステムをもつ複数の計算機から、ネットワークを経由して1つの記憶装置を共有しようという技術が考案されている。NAS(Network Attached Storage)は、記憶装置にオペレーティングシステムを付加した記憶装置システムである。NASを使用することにより、ネットワークに接続された計算機が、NASに格納されたファイルを単位としたデータを共有することができる。
【0003】
NASのようなネットワーク共有型の記憶装置システムでは、複数の計算機からのデータ参照を効率よく処理し、高速な応答を要求されるとともに、何らかの原因で共有データを失うことを防ぐ安全性が期待される。
【0004】
一般の記憶装置では、高速な応答のためにキャッシュメモリが利用される。
また、高速な応答のために、オペレーティングシステムの機能であるスティッキビットを用いる方法もある。
【0005】
記憶装置が有するディスク装置から計算機の主記憶にファイルが読み込まれると、スティッキビットが付加されているファイルは、そのファイルの実行中および実行後も主記憶に常駐される。
【0006】
一般にディスク装置よりも主記憶に格納されているデータの方が高速に参照できる。したがって、主記憶にファイルを常駐させることにより、そのファイルの実行が高速に行える。
【0007】
一方、データの安全性のために、記憶装置自身が、該装置に格納されているデータを別の媒体に複製する技術がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
一般的に、記憶装置は所定のデータ単位であるブロックでデータを管理している。したがって、記憶装置にキャッシュを設けると、ブロック単位でのデータの高速参照が可能になる。
【0009】
ここで、NAS装置にキャッシュを採用した場合、NASの利用者はファイルを単位としたデータ参照を行うので、ファイルを構成するブロックすべてがキャッシュに格納されることが望ましい。
【0010】
しかし、NASが有する記憶装置はファイルの構造が分からないため、ブロックの一部だけがキャッシュに格納されている状態や、時間の経過とともにキャッシュ上のデータがキャッシュから追い出される現象が発生する。このような現象が発生すると、ファイル単位でデータを参照しようとした場合に、データ参照の効率が上がらない。
【0011】
また、スティッキビットによる方法では、ファイルを主記憶に常駐させることができる。しかし、複数の計算機から同一ファイルへの読み出し要求が発生するNAS装置の場合、NAS装置へのデータ読み出し要求が頻繁に発生する可能性がある。しかし、NASが有する記憶装置が、ファイルを構成するブロックをキャッシュに保存するとは限らないため、記憶装置におけるデータ更新の負荷が高まり、高速な応答ができないことがあり得る。
【0012】
さらに、従来の技術では、データの複製を取る単位がディスク全体であり、ファイルとして未使用の部分のブロックもまとめてコピーしてしまう。この場合、複製されたデータが格納される記憶媒体が物理的に離れた場所であると、データを流す回線の容量(一定の時間に転送できるデータ量)が小さいことが多いため、複製にかかる時間が非常に増大してしまう。
【0013】
本発明の目的は、ネットワークに接続される記憶装置システムにおいて、ファイル単位のデータの処理を高速にする技術を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を解決するために、本発明では、記憶装置システムにおける記憶装置とオペレーティングシステムを実行する計算機とが連携して動作するように、ファイルシステムのファイルの属性に特定の属性を設ける。そして、計算機が記憶装置に対してファイル単位で所定の命令を発行することで、記憶装置は、所定の処理を実行する。
【0015】
具体的な実施態様としては、記憶装置は、指定されたファイルに対応するデータブロックを、キャッシュメモリに保持する。この場合、ファイルの属性としてキャッシュ装置への常駐の要否を表す情報が与えられる。
【0016】
別の実施態様としては、記憶装置は、指定されたファイルに対応するデータブロックを、他の記憶装置へ転送する。この場合、ファイルの属性として複製の要否を表す情報が与えられる。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明を適用した計算機システムの第一の実施形態の構成を示す図である。
計算機システムは、記憶装置システム及びクライアントが使用する計算機(以下「クライアント計算機」)11を有し、これらがネットワーク12を介して接続される。
【0018】
記憶装置システムは、ホスト計算機13、記憶装置14、およびホスト計算機と記憶装置の状態を管理する管理端末15とを有する。ホスト計算機13は、ネットワーク12を介してクライアント計算機11a及び11bに接続される。尚、図1では簡単のために2台のクライアント計算機を記しているが、クライアント計算機の数は本発明には影響を与えない。
【0019】
ホスト計算機13は、ネットワーク12と接続するためのインターフェース131、記憶装置14と接続するためのインターフェース134、演算部及びメモリを有する。メモリには、記憶装置機能拡張をクライアント計算機11aと11bに提供するためのAPI(Application Program Interface)132及びオペレーティングシステム133が格納される。API等は、演算部にて実行されるプログラムである。
【0020】
また、オペレーティングシステム133は、記憶装置の機能拡張を実施するためのファイル属性制御プログラム1331を有する。API132は、クライアント計算機11から受けた指示を、ファイル属性制御プログラム1331に伝える際に、制御部で実行されるプログラムである。
【0021】
記憶装置14は、ホスト計算機11と接続されるインターフェース141、ディスク装置143、キャッシュ装置144、およびディスク装置143とキャッシュ装置144を制御するコントローラ142とを有する。一般にはディスク装置143には磁気媒体が用いられることが多いが、光学的媒体を利用する装置であってもよい。
【0022】
また、記憶装置14は、一つのディスク装置143を有する装置であっても、RAIDといった、複数のディスク装置143を有する装置でも良い。
【0023】
クライアント計算機11aと11b(まとめて「クライアント計算機11」)は、ネットワークと接続されるインターフェース113、制御部及びメモリ(図示しない)を有する。メモリには、ホスト計算機13の機能を利用するクライアントプログラム111、オペレーティングシステム112が格納される。
【0024】
クライアント計算機11からの指示は、インターフェース113及びホスト計算機13のインターフェース131を経由してホスト計算機の制御部に伝えられる。
【0025】
図2は、ディスク装置143に格納され、コントローラ142に管理されるブロック属性表の例を示す図である。
ディスク装置143は、特定の大きさのブロックに分割されており、そのブロック位置はLBA(Logical Block Address)で一意に定められる。例えばオペレーティングシステム133からのデータ参照は、LBAを用いて、ディスク装置上の位置とブロック数を指定して行われる。
【0026】
ブロック属性表は、LBAエントリ201及び属性ビット列エントリ202を有する。属性ビット列エントリ202には、0と1とからなるビット列が登録される。登録されるビット列の特定のビット又はビット列は、何らかの属性を示す情報であることが、予め定義されている。記憶装置14は、予め定義された属性に従って動作する。
【0027】
本発明においては、属性ビット列エントリ202に登録されるビット列の一部の予め定義されたビット又は新たに追加されたビット203(以下「属性ビット203」)が、オペレーティングシステム133を通して制御される。記憶装置14は、LBAと属性ビット位置、ビット値の組を命令としてホスト計算機13から受け取り、指定の値をブロック属性表に設定する。
【0028】
図3は、属性ビット203に、ディスクブロックのキャッシュ常駐属性が定義されている場合の処理の流れを示す図である。キャッシュ常駐属性とは、データブロックのキャッシュにおける常駐の可否に関する情報を示す属性である。本処理は、ユーザ等がファイルの常駐を指示した時に実行される。
【0029】
コントローラ142は、指定されたLBAに対する属性ビットを、ブロック属性表から求める(ステップ301)。その後、コントローラ142は、求めた属性ビットの内、キャッシュ常駐の要否を表す属性ビット203の値が1かどうかを判定する(ステップ302)。もし1であれば、コントローラ142は、指定されたLBAに対するブロックがキャッシュ装置144に保存されていないかを判定する(ステップ303)。
【0030】
キャッシュ装置144に、指定されたLBAに対応するブロックが保存されていない場合、コントローラ142は、指定されたブロックをディスク装置143から読み出して、キャッシュ装置144に保存する。キャッシュ装置144に指定されたブロックが保存されていない場合、コントローラ142は、処理を終了する。
【0031】
一方、ステップ302で属性ビット203の値が0である場合、コントローラ142は、指定のLBAに対するブロックが既にキャッシュ装置144に保存されているかを判定する(ステップ305)。指定のLBAに対するブロックがキャッシュ装置144に保存されている場合、コントローラ142は、指定されたブロックをキャッシュ装置144から除去する。指定のLBAに対するブロックがキャッシュ装置144に保存されていない場合、コントローラ142は処理を終了する(ステップ306)。
【0032】
図4は、ディスク装置143に構築されるファイルシステムの構成例を示す図である。
オペレーティングシステム133は、ディスク装置143にファイルシステムを構築し、ファイルを単位としてデータを管理する。ファイルシステムは、ファイルシステム管理情報領域401、ファイル属性配列領域402、及びデータブロック配列領域403とから構成される。
【0033】
また、ファイルシステム管理情報領域401及びファイル属性配列領域402を合わせてメタデータ領域404と呼ぶ。これらの領域は、ディスク装置143に、図4の左から右の順に配置される。
【0034】
ファイルシステム管理情報領域401には、ファイル属性数、データブロック数、及びブロックサイズを示す情報が登録される。ファイル属性数は、ファイル属性配列402の要素数を表す。データブロック数は、データブロック配列403の要素数を表す。
【0035】
ファイル属性数及びデータブロック数は、ファイルシステムが構築される時に設定される。ブロックサイズは、ディスク装置143のデータブロックの大きさである。ファイルはこのブロックサイズを単位として分割され、ディスク装置143に保存される。
一つのファイルは、ファイルのデータそのものを構成する複数のデータブロックと、ファイルに関する情報を保持するファイル属性とからなる。
【0036】
ファイル属性配列領域402には、ファイルの種別、ファイルの作成日、ファイルの所有者、ファイルの参照権、及びデータブロック番号の配列を示す情報が登録される。
ファイルの種別は、ファイルが通常のファイルかディレクトリファイルかを表す情報である。ディレクトリファイルは、ファイルシステムでは通常のファイルと同じように扱われる。ディレクトリファイルには、ディレクトリ内に格納されているファイルのファイル名、及びファイル名に対応するファイル属性番号(ファイル属性番号配列402の要素番号)の対応関係の一覧を示す情報が含まれる。
【0037】
ファイル参照権は、そのファイルを参照する権利を指定する情報である。参照権についての詳細は「The Design and Implementation of the 4.3BSD UNIX Operating System」(Samuel J. Leffler, et al, Addison-Wesley, 1989)第58ページから第60ページに示されるので、本明細書では説明を省略する。
【0038】
データブロック番号の配列は、ファイルを構成するディスク上のデータブロック番号(データブロック配列403の要素番号)を順に列挙した配列である。データブロック番号配列の要素数は、通常は固定値である。尚、その固定要素数とブロックサイズの積を超えるサイズを持つファイルの場合は、ブロック番号を収めるためのデータブロックを別途割り当て、その新データブロックの番号をデータブロック番号配列の末端に保持させる。詳細については「The Design and Implementation of the 4.3BSD UNIX Operating System」(Samuel J. Leffler, et al, Addison-Wesley, 1989)第191ページから第195ページに開示された従来技術なので、本明細書では説明を省略する。
【0039】
ファイルシステムが構築される時には、固定要素数のファイル属性の配列と固定要素数のデータブロックの配列が作成される。新規にファイルを作成する場合は、ホスト計算機13のオペレーティングシステム133は、データブロック配列403からファイルのデータを収めるのに十分な数のブロックを確保してデータを書き込んだ後、ファイル属性配列402から未使用の要素を一つ取り出し、その要素にファイルの属性を設定する。
【0040】
図5は、ディレクトリとファイルの関連関係を表す図である。
ファイル属性801には、ファイル種別としてディレクトリ601aが設定されており、データブロック番号605aとして100番が格納されている。100番のデータブロック802は、ディレクトリファイルであり、ファイル名”file1”(701a)とそのファイルのファイル属性番号20番(702a)、およびファイル名”dir2”(701b)とそのファイルのファイル属性番号23番(702b)が格納されている。
【0041】
ファイル属性番号20番(803)は、種別がファイル(601b)であり、そのファイルを構成するデータブロックは102番と115番と130番であることが格納されている(605b)。ファイル属性804と806、ディレクトリファイル805も同様の仕方で関連付けされる。
尚、ディレクトリとファイルの接続関係において、最も上位にあるディレクトリをルートディレクトリと呼ぶ。
【0042】
以下、簡単に拡張ファイル属性の構成について説明する。拡張ファイル属性とは、先に説明したファイル属性のエントリに、キャッシュ要否を表す属性が追加されたものである。キャッシュ要否を示す属性の真偽によって、対応するファイルのすべてのデータブロックを記憶装置14のキャッシュ装置144に常駐させるか否かをコントローラ142が指示する。この動作の詳細は、図6から図9を用いて詳しく説明する。
【0043】
尚、本実施例において、属性ビット203の属性は、データのキャッシュ装置144への常駐が行われるか否かであるとし、属性ビット203の値が1の場合はデータがキャッシュに常駐されることを示し、0の場合はデータがキャッシュに常駐されないことを示すものとする。
【0044】
図6は、第一の実施形態におけるキャッシュ常駐機能の登録・解除のフローチャートである。
キャッシュ常駐機能を登録・解除する対象のファイルまたはディレクトリが決定される。このステップはクライアント計算機11、あるいは管理端末15上で実行される。この詳細については後に詳しく説明する。決定されたファイル等の情報は、ネットワーク12を介して、ホスト計算機13に転送される(ステップ1001)。
【0045】
ステップ1002からステップ1004の処理は、ホスト計算機13がファイル属性制御プログラム1331を実行することで行われる。
ホスト計算機13は、転送された情報に基づいて、指定されたファイルをファイルシステムから一つ選択し、そのファイル名、キャッシュ常駐機能変更後の状態、キャッシュ常駐機能をディレクトリに対して指定した場合にディレクトリ以下のファイルを再帰的に設定するか否かを指定する真偽値をそれぞれ変数N、C、Rに代入し、以降の処理で使用できるようにする(ステップ1002)。
【0046】
その後、ホスト計算機13は、指定したファイルNに対してキャッシュ常駐機能の登録・解除を設定する。この詳細については後述する(ステップ1003)。
その後、ホスト計算機13は、処理すべきファイルがまだあるか検査し、あればステップ1002に戻って処理を繰り返す。無ければキャッシュ常駐機能の登録・解除を終了する(ステップ1004)。
【0047】
図7は、キャッシュ常駐機能を登録・解除するファイルを指定するための画面例を示す図である。
図7の画面は、クライアント計算機11で実行されるクライアントプログラム、あるいはホスト計算機13に接続されている管理端末15が、キャッシュ常駐機能の登録・解除を行う使用者に、各々の計算機等が有する表示画面を介して提示するものである。
【0048】
画面には、現在対象となっているディレクトリを示す領域1101、領域1101に表示されたディレクトリに格納されるファイルとディレクトリの一覧を示す領域1102、各々のファイルの常駐状態を表示し、さらに常駐機能の登録・解除を指定するためのチェックボタン1103、表示されたディレクトリに対して再帰的にキャッシュ常駐機能を設定するか否かを指示するチェックボタン1104とが表示される。
【0049】
画面が最初に表示されたときは、各表示は、現在の登録・解除状態を表示する。使用者は、必要に応じて各々のチェックボタンを操作して、画面に表示されたファイル等の状態を変更することができる。
【0050】
ホスト計算機13は、図7の画面で使用者が状態を変更したファイルまたはディレクトリの情報を取得し、API132を通してファイル属性制御プログラム1331に渡し、記憶装置14へファイル等を指定するコマンドを作成する。
【0051】
キャッシュ常駐機能を登録・解除するファイルを指定するためのコマンドは、クライアント計算機11で動作するオペレーティングシステム112が持つコマンドを拡張するか、あるいは新規にコマンドをオペレーティングシステムに登録することで設定される。具体的には、以下のようなコマンドである。
【0052】
chmod cache on /user/home/somebody/file1.txt
ここで、「cache」は、キャッシュ常駐機能の登録・解除を表す指示子、「on」は、登録・解除を表す文字列、「/user/home/somebody/file1.txt」は、登録・解除されるファイルまたはディレクトリ名を示す。
【0053】
図8は、図6のステップ1003の内容を詳細に説明した流れ図である。
【0054】
ホスト計算機13は、ファイルNを構成する各データブロックに対して、キャッシュ常駐機能の登録・解除状態Cを設定する。ファイルNがディレクトリであっても、ファイルシステムではファイルと同じ扱いなので、ここでは特別な処理は不要である。この処理の詳細については後述する(ステップ1301)。
【0055】
ホスト計算機13は、ファイルNがディレクトリファイルかどうかを検査する。ファイルNがディレクトリファイルでなければ、ホスト計算機13は、本処理を終了する(ステップ1302)。
【0056】
ファイルNがディレクトリファイルであれば、ホスト計算機13は、ディレクトリを再帰的に処理、即ち、ディレクトリ内のファイルについて、登録、解除状態を設定するか否かを判定する。再帰的に処理しないのであれば、ホスト計算機13は、本処理を終了する(ステップ1303)。
【0057】
ディレクトリを再帰的に処理するのであれば、ディレクトリファイルNに対するデータブロックには、ディレクトリが持つファイルの一覧が保存されているので、ホスト計算機13は、そのファイル一覧を集合Sとする(ステップ1304)。
【0058】
その後、ホスト計算機は集合Sが空かどうかを検査する。集合Sが空であれば、ホスト計算機13は本処理を終了する(ステップ1305)。
集合Sが空でなければ、集合Sからファイルを一つ取り出しN'とする(ステップ1306)。
【0059】
その後、ホスト計算機13は、N'を所与のファイルとして、ステップ1003の処理、即ち本処理を再帰的に実行する(ステップ1307)。
【0060】
図9は、ステップ1301の内容を詳細に説明した流れ図である。
ホスト計算機13は、ファイルNに対する拡張ファイル属性Aを取り出す。拡張ファイル属性Aは、ファイルNが格納されているディレクトリを、ルートディレクトリから、ディレクトリファイルのファイルNとファイル名が一致するファイル名に対応するファイル属性番号をたどることで得られる(ステップ1401)。
【0061】
次に、ホスト計算機13は、キャッシュ常駐の登録・解除のどちらを行うかを判定する(ステップ1402)。
常駐登録の場合は、ホスト計算機13は、拡張ファイル属性Aのキャッシュ要否を真にする(ステップ1403)。一方、常駐解除の場合には、ホスト計算機13は、拡張ファイル属性Aのキャッシュ要否属性を偽にする(ステップ1404)。これによってファイルNのキャッシュ常駐状態を設定する。
【0062】
その後、ホスト計算機13は、拡張ファイル属性Aのデータブロック番号配列から、データブロック番号を一つ取り出す。以下、このデータブロック番号Lとする(ステップ1405)。
その後、ホスト計算機13は、ステップ1405で求めたブロック番号Lを、ディスク装置143のブロック位置を表すLBAに変換する。以下、このLBAをPとする。LからPへの変換は、オペレーティングシステム133が持つ変換表に基づいて行われる(ステップ1406)。
【0063】
ホスト計算機13は、再びキャッシュ常駐の登録・解除のどちらを行うかを判定する(ステップ1407)。
常駐登録の場合には、ホスト計算機13は、Pに対する属性ビット203に1をセットするよう、記憶装置14に命令を送る(ステップ1408)。一方、常駐解除の場合は、ホスト計算機13は、Pに対する属性ビット203に0をセットするよう、記憶装置14に命令を送る(ステップ1409)。命令を受信した記憶装置14は、図3に示すステップで、指定されたブロックのキャッシュ常駐の処理を行う。
【0064】
その後、ホスト計算機13は、ファイルNに未処理のデータブロックがあるかどうかを判定する。未処理のデータブロックがあれば、ホスト計算機13は、ステップ1405に戻り処理を繰り返す。未処理のデータブロックが無ければ、ホスト計算機13は、ステップ1301の処理を終了する(ステップ1410)。
【0065】
図10は、本発明を適用した計算機システムの第二の実施形態の構成を示す図である。
本実施形態においては、記憶装置14は、別の記憶装置14aとインターフェース1501および1502を介して接続される。記憶装置間は、公衆網などを介して接続される場合や、一つの筺体の中で隣接して接続される場合などがある。また、記憶装置14aは、記憶装置14と同じ構成である。
【0066】
また、本実施形態における拡張ファイルシステム管理情報には、第一の実施形態で説明したファイルシステム管理情報の内容に加え、複製実行の有無を表す属性が含まれる。この属性は、ファイルシステム中の、一つ以上のファイルの複製が、記憶装置14aに作成されているか否かを表す。
【0067】
さらに、本実施形態における拡張ファイルシステム属性は、第一の実施形態におけるファイル属性に、複製実行の要否を表す属性が追加されたものである。本属性は、対応するファイルに対する複製を記憶装置14a上に作成することの要否を指示するための属性である。
【0068】
本実施形態においては、属性ビット203の意味として、複製作成の要否を与え、その値が1の場合は複製を作成することを表し、0の場合は複製を作成しないことを表すものとする。
【0069】
図11は、第二の実施形態における複製機能の登録・解除の流れを示す図である。
まず、複製機能を登録・解除する対象のファイルまたはディレクトリが決定される。この処理は、クライアント計算機11、又は管理端末15で実行される。この詳細については後に詳しく説明する(ステップ1801)。
【0070】
ステップ1802からステップ1806は、ホスト計算機13がファイル属性制御プログラム1331を実行することで実行される。
ホスト計算機13は、ステップ1801で得られたファイルをファイルシステムから一つ選択し、そのファイル名、複製機能変更後の状態をそれぞれ変数N、Cに代入し、以降の処理で使用できるようにする(ステップ1802)。
【0071】
ホスト計算機13は、ファイルNの複製登録を行うか否かを検出する(ステップ1803)。
ファイルNの複製登録を行う場合、ホスト計算機13は、ファイルの複製に先立ってファイルシステムのメタデータ404を複製する処理を行う。この処理の詳細は後述する(ステップ1804)。
ファイルNの複製登録を行わない場合、ホスト計算機13は、ファイルNに対して複製機能の登録・解除を設定する。この詳細についても後述する(ステップ1805)。
【0072】
その後、ホスト計算機13は、処理すべきファイルがまだあるかどうかを判定し、あるならばステップ1802に戻って処理を繰り返し、無ければ複製実行機能の登録・解除の処理を終了する(ステップ1806)。
【0073】
図12は、ステップ1804の処理手順を示した図である。
ホスト計算機13は、ファイルNの属するファイルシステムの拡張ファイルシステム管理情報を取り出す。以下、この情報をSとする(ステップ1901)。
【0074】
その後、ホスト計算機13は、拡張ファイルシステム管理情報Sの複製実行属性の真偽を判定する。真ならばすでにメタデータは複製されたものとしてステップ1804の処理を終了する(ステップ1902)。
複製実行属性の値が偽であれば、ホスト計算機13は、メタデータ領域のLBA範囲を求める。メタデータ領域はディスク装置143上で連続した領域に保存されているため、複製をとるべきLBAの範囲は一つである(ステップ1903)。
【0075】
その後、ホスト計算機13は、ステップ1903で求めたLBA範囲を複製するように、記憶装置14に命令を送る。命令を受け取った記憶装置14は、ディスク装置143の指定されたLBAの範囲に格納されているデータを、インターフェース1501と1502を介して記憶装置14aに送信する。データを受信した記憶装置14aのコントローラ142aは、ディスク装置143aに受信したデータを書き込む(ステップ1904)。
その後、ホスト計算機13は、拡張ファイルシステム管理情報Sの複製実行属性を真に設定する(ステップ1905)。
【0076】
図13は、本実施形態における複製機能の登録・解除するファイルを指定するために、クライアント計算機11等が表示画面を用いて表示する例を示した図である。
本図の画面は、クライアント計算機11で実行されるクライアントプログラム、あるいはホスト計算機13に接続されている管理端末15が、複製機能の登録・解除を行う使用者に提示するものである。
【0077】
画面には、現在処理の対象となっているディレクトリの情報を示す領域2001、ディレクトリ2001内にあるファイルとディレクトリの一覧を示す領域2002、及び各々のファイルの複製状態を表示し、さらに複製機能の登録・解除を指定するためのチェックボタン2003が表示される。ボタン2003は、画面が最初に表示されたときには現在の複製登録・解除状態が表示されており、使用者は必要に応じてその状態を変更することができる。
【0078】
ホスト計算機13は、画面上で使用者が状態を変更したファイルまたはディレクトリの一覧を示す情報を、ネットワーク12を介して取得し、ホスト計算機上のAPI132を通して、ステップ1801における出力、即ち、登録・解除するファイルを指定するためのコマンドとする。
【0079】
登録・解除するファイルを指定するためのコマンドは、クライアント計算機11で動作しているオペレーティングシステム112が持つコマンドを拡張するか、あるいは新規にコマンドをオペレーティングシステムに登録することで得られる。具体的なコマンドの例は以下のとおりである。
【0080】
chmod remotecopy on /user/home/somebody/file1.txt
ここで、「remotecopy」は、複製機能の登録・解除を表す指示子、「on」は、登録・解除を表す文字列、「/user/home/somebody/file1.txt」は、登録・解除するファイルまたはディレクトリ名を示す。
【0081】
図14は、ステップ1805の処理を詳細に説明した流れ図である。
ホスト計算機13は、ファイルNに対する拡張ファイル属性Aを取り出す(ステップ2201)。ファイルNに対する拡張ファイル属性Aは、ファイルNが格納されているディレクトリを、ルートディレクトリから、ディレクトリファイルのファイルNとファイル名が一致するファイル名に対応するファイル属性番号をたどることで得られる。
【0082】
ホスト計算機13は、Aに対して複製実行属性の真偽値としてCを設定する(ステップ2202)。
ホスト計算機13は、Aの種別を見て、Nがディレクトリか否かを検査する。ディレクトリで無いならば、ホスト計算機13は、ステップ1805の処理を終了する(ステップ2203)。
【0083】
ディレクトリを再帰的に処理するのであれば、ディレクトリファイルNに対するデータブロックには、ディレクトリが持つファイルの一覧が保存されているので、ホスト計算機13は、そのファイル一覧を集合Sとする(ステップ2204)。
【0084】
その後、ホスト計算機13は、集合Sが空かどうかを検査する。集合Sが空であれば、ホスト計算機13は本処理を終了する(ステップ2205)。
集合Sが空でなければ、集合Sからファイルを一つ取り出しN'とする(ステップ2206)。
その後、ホスト計算機13は、N'を所与のファイルとして、ステップ1805の処理、即ち本処理を再帰的に実行する(ステップ2207)。
【0085】
図15は、本実施形態における複製実行処理を表す流れ図である。この処理は、オペレーティングシステム133が持つファイル更新処理を拡張したものであり、ステップ2301は元々のオペレーティングシステムの処理、ステップ2302からステップ2305は、本実施形態における拡張処理である。
【0086】
ホスト計算機13は、ファイル内容を更新する(ステップ2301)。その後、ホスト計算機13は、更新したファイルNの拡張ファイル属性を取り出すし、これをAとする(ステップ2302)。
その後、ホスト計算機は、拡張ファイル属性Aの複製実行フラグの真偽値を判定し、偽であれば複製を実行する必要が無いので処理を終了する(ステップ2303)。
【0087】
複製実行フラグの値が真であれば、ホスト計算機13は、拡張ファイル属性AからファイルNを構成するすべてのディスクブロックに対して、ブロック番号をLBAに変換した後、それぞれのLBAに対するデータの複製を作成するよう記憶装置14に命令を送る。命令を受け取った記憶装置14は、データブロックを記憶装置14aに送信する。記憶装置14aは、受信したデータブロックをディスク装置143に書き込む(ステップ2304)。
【0088】
その後、ホスト計算機13は、拡張ファイル属性Aを格納するLBAに対するデータの複製を作成するよう記憶装置14に命令を送る(ステップ2305)。
【0089】
上述した各実施形態に依れば、第一の実施形態では、ファイル参照を高速に行うことが出来、第二の実施形態では、ファイル単位でのデータ複製が可能になる。
【0090】
【発明の効果】
本発明によれば、ファイルに対して付加された情報に応じて記憶装置が動作することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施形態におけるシステム図である。
【図2】ブロック属性表の例を示す図である。
【図3】ディスクブロックのキャッシュ常駐属性が定義されている場合の制御の流れ図である。
【図4】ファイルシステムの構成例を示す図である。
【図5】ディレクトリとファイルの接続関係を表す図である。
【図6】本発明の第一の実施例における、キャッシュ常駐機能の登録・解除処理の流れ図である。
【図7】本発明の第一の実施例における、キャッシュ常駐機能を登録・解除するファイルを指定する画面例である。
【図8】本発明の第一の実施例における、キャッシュ常駐機能の要否をファイルに設定する処理の流れ図である。
【図9】本発明の第一の実施例における、キャッシュ常駐機能の要否をブロックに設定する処理の流れ図である。
【図10】本発明の第二の実施形態における、記憶装置システム図である。
【図11】本発明の第二の実施形態における、複製機能の登録・解除処理の流れ図である。
【図12】本発明の第二の実施形態における、メタデータの複製処理の流れ図である。
【図13】本発明の第二の実施形態における、複製機能を登録・解除するファイルを指定する画面例である。
【図14】本発明の第二の実施形態における、複製機能の要否をファイルに設定する処理の流れ図である。
【図15】本発明の第二の実施形態における、複製実行の流れ図である。
【符号の説明】
11…クライアント計算機、12…ネットワーク、13…ホスト計算機、14…記憶装置、15…管理端末、131…インターフェース、134…インターフェース、141…インターフェース、142…コントローラ、143…ディスク装置、144…キャッシュ装置。
Claims (3)
- ファイル又はディレクトリを制御する計算機と、前記計算機に接続され、第一ディスク装置を含む第一記憶装置と、前記第一の記憶装置に接続され、第二ディスク装置を含む第二記憶装置とを有する記憶装置システムであって、
前記計算機は、他の計算機と接続され、
前記ファイルは、前記ファイルの複製の可否を示すファイル属性配列領域と、前記ファイルのデータを格納する前記第一ディスク装置のデータブロックを示すデータブロック配列領域を用いて管理され、
前記第一記憶装置は、前記ファイルのデータを格納したデータブロックと前記ファイル属性配列領域とデータブロック配列領域とを前記第一ディスク装置に記憶し、
前記計算機は、
前記他の計算機から、複製が実行されるようにファイル属性配列領域の複製の可否に関する情報が変更されたファイルを示す識別情報を取得し、
データブロック配列領域を参照することで特定した当該ファイルのデータを格納した前記第一ディスク装置上のデータブロックを、LBAを用いて指定する複製命令を、前記第一記憶装置に送信し、
前記第一記憶装置は、
前記複製命令に従って、当該ファイルを記憶するディスク装置上のデータブロックを前記第二記憶装置に送信する、
ことを特徴とする記憶装置システム。 - 請求項1記載の記憶装置システムであって、
前記他の計算機は、クライアント計算機である、
ことを特徴とする記憶装置システム。 - 請求項1記載の記憶装置システムであって、
前記他の計算機は、管理端末である、
ことを特徴とする記憶装置システム。
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