JP4243923B2 - プリプレグ、複合材料及び積層体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は産業用資材として好適な主にプリント配線基板の製造に用いられるプリプレグ及び積層板に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、通信用、産業用、民生用の電子機器の分野における実装方法の小型化、高密度化への指向は著しいものがあり、それに伴って材料の面でもより優れた耐熱性、寸法安定性、電気特性が要求されつつある。例えばプリント配線基板としては、ガラス布を基材とするプリプレグを用いて製造されるガラス布基材銅張り積層板が従来多く使用されてきた。しかし軽量化を図る目的で有機繊維使いのプリプレグが主流になりつつある。他方、環境問題への関心の高まりから電子基板材料分野において、加工用半田の鉛フリー化が進んでいる。半田合金が鉛からス錫/銀、錫/亜鉛半田等に取って代わられるため、必然的に加工温度が上がり、有機繊維づかいのプリプレグが加工中に焦げる等の問題が生じている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は以上の事情に鑑みてなされたものであり、有機繊維を基材とし耐熱性を改良したプリプレグ、積層板を提供することを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
即ち本発明は下記の構成からなる。
1.X線子午線回折半値幅因子が0.3゜/GPa以下であるポリベンザゾール繊維と硬化性エポキシ樹脂組成物とを複合してなることを特徴とするプリプレグ。
2.ポリベンザゾール繊維が、プロトンのT1H緩和時間が5.0秒以上を示すことを特徴とする1記載のプリプレグ。
3.ポリベンザゾール繊維が、カーボン13のT1C緩和時間が2000秒以上であることを特徴とする1記載のプリプレグ。
4.ポリベンザゾール繊維の熱伝導率が0.23W/cmK以上であることを特徴とする1記載のプリプレグ
5.厚さが3mm以下、強度1MPa以上であることを特徴とする1記載のプリプレグ。
6.1記載のプリプレグを硬化してなることを特徴とする複合材料。
7.6記載の複合材料と金属箔とからなることを特徴とする積層体。
【0005】
以下本発明を繊維の製造法からはじめてプリプレグの作成法まで詳しく述べる。
繊維の究極物性を実現する手段としては、いわゆるラダーポリマーなどの剛直ポリマーが考えられてきたが、こうした剛直なポリマーは可撓性が無く、有機繊維としてのしなやかさや加工性を持たせるためには、直線上のポリマーであることが必須条件である。
【0006】
S.G.WierschkeらがMaterial Research Society Symposium Proceedings Vol.134, p.313 (1989年)に示したように、直線状のポリマーで最も高い理論弾性率を持つのはシス型のポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾールである。この結果は田代らによっても確認され(Macromolecules vol. 24, p.3706(1991年))、ポリベンザゾールのなかでも、シス型のポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾールが475GPaの結晶弾性率を持ち(P. GalenらMaterial Research Society Symposium Proceedings Vol. 134, p.329 (1989年))、究極の一次構造を持つと考えられた。従って究極の弾性率を得るためには、ポリマーとしてポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾールを素材とするのが理論的な帰結である。
【0007】
該ポリマーの繊維化は米国特許5296185号、米国特許5385702号に記載された方法で行われ、熱処理方法は米国特許5296185号に提案がなされている方法で行わるが、かかる方法で得られるヤーンの音波伝搬速度は高々 1.3 x 10 6 cm/sec 程度である。従ってこれらの方法の改良について研究の必要性を痛感し鋭意研究の結果、次に示す方法により所期の物性を工業的に容易に達成出来ることを見出した。
【0008】
OhtaがPolymer Engineering and Science, 23, p697 (1983) 中で示したように、繊維中にはボイドや結晶配向の乱れ、分子末端や非晶部分の存在などいわゆる欠陥構造が存在する。これら欠陥の存在は熱振動や音波の伝幡を妨げる原因となるため、結果として熱伝導率の低下をもたらす。しかしながらポリベンザゾール繊維は重合溶液から溶剤を除去することにより製造されるためにボイドの発生は不可避である。このために繊維中のボイド径を25Å以下に低減させることにより繊維物性の低下を防止する方法が多数提案されているが(例えば特開平6−240653号公報、特開平6−245675号公報及び特開平6−234555号公報、等)、かかる繊維を製造することはコスト面、等の工業的生産を考慮すると容易になし得ることではない。
とは言うもののポリベンザゾール繊維の熱伝導率を高める為には繊維構造中に存する欠陥構造の低減が必須である。
【0009】
ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)とポリ燐酸からなるドープを紡糸口金から紡出する。これ以後凝固、中和、水洗、乾燥、張力下の熱処理を経て製造される。熱伝導率を高めるためには、繊維の熱振動伝幡の妨げとなるアモルファスなどの欠陥構造を極力排除する事が必須である。今回、この目的のために繊維中のボイド径を25.5Å以上であってもポリベンザゾール繊維内部構造を欠陥構造フリーに変化せしめることに成功し且つ音波の伝幡速度の速いポリベンザゾール繊維を工業的に得た。
【0010】
上記の特徴を発現せしめるため、以下の製造例により実現できる。即ち、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾールからなるポリマーのドープを紡糸口金から非凝固性の気体中に押し出して得られた紡出糸を凝固浴中に導入してドープ糸条が含有する燐酸を抽出した後、中和、水洗、乾燥、熱処理を行うが、その際、繊維を一定張力下に500℃以上で熱処理することで繊維内部の欠陥構造が低減したポリベンザゾールを得ることを見いだした。
【0011】
以下、更に繊維の製造方法を詳述する。本発明におけるポリベンザゾール繊維とは、PBOホモポリマー、及び実質的に85%以上のPBO成分を含みポリベンザゾール(PBZ)類とのランダム、シーケンシャルあるいはブロック共重合ポリマーをいう。ここでポリベンザゾール(PBZ)ポリマーは、例えばWolf等の「Liquid Crystalline Polymer Compositions, Process and Products」米国特許第4703103号(1987年10月27日)、「Liquid Crystalline Polymer Compositions, Process and Products」米国特許第4533692号(1985年8月6日)、「Liquid Crystalline Poly(2,6-Benzothiazole) Compositions, Process and Products」米国特許第4533724号(1985年8月6日)、「Liquid Crystalline Polymer Compositions, Process and Products」米国特許第4533693号(1985年8月6日)、Eversの「Thermooxidative-ly Stable Articulated p-Benzobisoxazole and p-Benzobisoxazole Polymers」米国特許第4539567号(1982年11月16日)、Tsaiらの「Method for making Heterocyclic Block Copolymer」米国特許第4578432号(1986年3月25日)、等に記載されている。
【0012】
PBZポリマーに含まれる構造単位としては、好ましくはライオトロピック液晶ポリマーから選択される。モノマー単位は構造式(a)〜(h)に記載されているモノマー単位から成り、更に好ましくは、本質的に構造式(a)〜(d)から選択されたモノマー単位から成る。
【0013】
【化1】
【0014】
【化2】
【0015】
実質的にPBOから成るポリマーのドープを形成するための好適溶媒としては、クレゾールやそのポリマーを溶解し得る非酸化性の酸が含まれる。好適な酸溶媒の例としては、ポリ燐酸、メタンスルフォン酸及び高濃度の硫酸或いはそれ等の混合物があげられる。更に適する溶媒は、ポリ燐酸及びメタンスルフォン酸である。また最も適する溶媒は、ポリ燐酸である。
【0016】
溶媒中のポリマー濃度は好ましくは少なくとも約7重量%であり、更に好ましくは少なくとも10重量%、最も好ましくは14重量%である。最大濃度は、例えばポリマーの溶解性やドープ粘度といった実際上の取り扱い性により限定される。それらの限界要因のために、ポリマー濃度は20重量%を越えることはない。
【0017】
好適なポリマーやコポリマーあるいはドープは公知の手法により合成される。例えばWolfe等の米国特許第4533693号(1985年8月6日)、Sybert等の米国特許第4772678号(1988年9月20日)、Harrisの米国特許第4847350号(1989年7月11日)に記載される方法で合成される。実質的にPBOから成るポリマーはGregory等の米国特許第5089591号(1992年2月18日)によると、脱水性の酸溶媒中での比較的高温、高剪断条件下において高い反応速度での高分子量化が可能である。
【0018】
この様にして重合されるドープは紡糸部に供給され、紡糸口金から通常100℃以上の温度で吐出される。口金細孔の配列は通常円周状、格子状に複数個配列されるが、その他の配列であっても良い。口金細孔数は特に限定されないが、紡糸口金面における紡糸細孔の配列は、吐出糸条間の融着などが発生しないような孔密度を保つことが肝要である。
【0019】
紡出糸条は十分な延伸比(SDR)を得るため、米国特許第5296185号に記載されたように十分な長さのドローゾーン長が必要で、かつ比較的高温度(ドープの固化温度以上で紡糸温度以下)の整流された冷却風で均一に冷却されることが望ましい。ドローゾーンの長さ(L)は非凝固性の気体中で固化が完了する長さが要求され、大雑把には単孔吐出量(Q)によって決定される。良好な繊維物性を得るにはドローゾーンの取り出し応力がポリマー換算で(ポリマーのみに応力がかかるとして)2g/d以上が望ましい。
【0020】
ドローゾーンで延伸された糸条は次に抽出(凝固)浴に導かれる。紡糸張力が高いため、抽出浴の乱れなどに対する配慮は必要でなく如何なる形式の抽出浴でも良い。例えばファンネル型、水槽型、アスピレータ型あるいは滝型などが使用出来る。抽出液は燐酸水溶液や水が望ましい。最終的に抽出浴において糸条が含有する燐酸を99.0%以上、好ましくは99.5%以上抽出する。本発明における抽出媒体として用いられる液体に特に限定はないが好ましくはポリベンザゾールに対して実質的に相溶性を有しない水、メタノール、エタノール、アセトン、エチレングリコール等である。また抽出(凝固)浴を多段に分離し燐酸水溶液の濃度を順次薄くし最終的に水で水洗しても良い。さらに該繊維束を水酸化ナトリウム水溶液などで中和し、水洗することが望ましい。この後乾燥、熱処理を施して繊維を製造する。
【0021】
繊維構造から限りなく欠陥の存在を低減(欠陥フリー化)するためには、凝固速度を遅くして、丁寧に繊維構造を形成せしめた物を乾燥の後、更に張力下で熱処理することが特に重要であることを鋭意検討の結果見出した。そのためには凝固温度の管理が重要で、浴温を摂氏−20度から0度、望ましくは摂氏−15度から−5度、更に望ましくは摂氏−12度から−8度に保つ。凝固剤としては水系でも良いが、水に相溶な有機溶媒の方が良好な結果を示した。とくにメタノールなどの低級アルコールやエチレングリコールなどの、分子量400以下の-OH基を有する化合物が特に有効であった。浴温を−20℃未満にすると糸物性が劇的に減少する傾向にあり好ましくない。
乾燥温度は繊維強度の低下をもたらさない温度とし、具体的には150℃以上400℃以下、好ましくは200℃以上300℃以下、更に好ましくは220℃以上270℃以下とする。熱処理の条件に関しては温度は500℃以上700℃未満、好ましくは550℃以上650℃未満、更に好ましくは580℃以上630℃未満で実施する。この時付与する張力は、4.0g/d以上12g/d未満、好ましくは5.0g/d以上11g/d未満、更に好ましくは5.5g/d以上10.5g/d未満とする。熱処理に供する繊維の水分率は3%以下1%以上、好ましくは2.7%以下1.7%以上に調整しておく。
【0022】
本発明にかかる繊維は、X線子午線回折半値幅因子が0.3゜/GPa以下、好ましく0.25゜/GPa以下、更に好ましくは0.2゜/GPa以下、最も好ましくは0.15゜/GPa以下のものとなる。更に好ましくは、分子配向変化による弾性率減分Erが30GPa以下、好ましくは25Gpa以下、更に好ましくは20Gpa以下、プロトンのT1H緩和時間が5.0秒以上、好ましくは6.5秒以上、更に好ましくは8秒以上を示す、カーボン13のT1C緩和時間が2000秒以上、好ましく2300秒以上、更に好ましくは2700秒以上、熱伝導率が0.23W/cm K以上好ましくは0.3W/cmK以上更に好ましくは0.36W/cmK以上、膨張率の異方性因子がー100万分の4.5以下、好ましくはー100万分の6以下、更に好ましくはー100万分の8以下、又は、繊維弾性率は300GPa以上好ましくは340GPa以上更に好ましくは380GPa以上を示す繊維を得ることができる。ボイド径は25.5Å以上、好ましくは30Å以上150Å未満、更に好ましくは35Å以上90Å未満である。
【0023】
以下欠陥フリーな構造の実現を証明するための解析方法について述べる。ポリベンザゾール繊維は有機繊維としては非常に剛直な構造を呈しているため、超薄切片を作成して電子顕微鏡で観察することは容易ではない。結晶としてはアキシャルシフトと呼ばれる構造不斉が存在し、確固とした完全な結晶を形成しないため、静的な広角X線回折や小角X線散乱法を用いた解析でも十分な情報が得られなかった。そこで、繊維に刺激(応力)を与えながらX線回折を測定したり、固体のNMRをもちいて緩和時間を評価することで構造解析を行った。
【0024】
(X線半値幅因子の測定方法)
繊維に張力を付与する装置を作成し、リガク製ゴニオメーター(Ru-200X線発生機, RAD-rAシステム)にのせ、(00 10)回折線幅の応力依存性を測定した。出力40kV x 100mAで運転し、銅回転ターゲットからCuKα線を発生させた。
回折強度はフジフィルム社製イメージングプレート(フジフィルム FDL UR-V)上に記録した。回折強度の読み出しは、日本電子社製デジタルミクロルミノグラヒィー(PIXsysTEM)を用いた。得られたピークプロファイルの半値幅を精度良く評価するため、ガウス関数とローレンツ関数の合成を用いてカーブフィッティングを行った。さらに得られた結果を繊維にかけた応力に対してプロットした。データ点は直線に並ぶがその傾きから半値幅因子(Hws)を評価した。
【0025】
(配向変化因子の測定方法)
上に述べた繊維に応力を付与する装置をリガク製小角X線散乱装置に取り付け、(200)回折点の方位角方向のピークの拡がりを測定し、配向変化に起因する弾性率Erを測定した。
【0026】
配向変化<sin 2 φ>は(200)回折強度の方位角プロファイルI(φ)から以下の式を用いて計算した。
【式1】
方位角の原点は子午線上をφ=0とした。
【0027】
ノーソルトの提案した理論(Polymer 21, p1199 (1980))に従えば、繊維全体の歪み(ε)は結晶の伸び(εc)と回転の寄与(εr)の合成として記述できる。
ε=εc + εr
εc は結晶弾性率Ecと応力σを用いて、εr は上で<sin 2 φ>をσの関数として測定した結果を利用して、εを以下の式の様に書き直し、算出することが出来る。
ε=σ/Ec + ( <cosφ>/<cosφ0> - 1 )
ここでφ0 は応力0の時の配向角、φは応力σの時の配向角を表す。
【0028】
配向変化に起因する弾性率減分Erは次式で定義する
【式2】
ここで上式右辺弟2項の括弧の内側は、εのσ=0における接線の傾きである。
【0029】
(固体のNMRの測定方法)
固体13C−NMRの測定は、Varian社製XL−300分光器(1H測定300MHZ、13C測定75MHz)、THAMWAY社製固体用アンプA55−8801,A55−6801MR,DOTY社製固体用プローブを用いて行った。測定は、CP−MASにより、1H核および13C核の縦緩和時間測定を行った。測定は、室温下、試料回転数4KHz、1H90度パルス4.5マイクロ秒、ロッキング磁場強度55.5KHz、デカップラー強度55.5KHz、コンタクトタイム3ミリ秒、パルス待ち時間40秒とした。1H核縦緩和時間(T1H)は、CP−MAS反転回復法により測定し、128ppmに現れるピークの保持時間(t)に伴うピーク強度I(t)の減衰を、I(t)=A・exp(−t/T1H)式でカーブフィットして求めた。13C核の縦緩和時間(T1C)は、Torchia法により、保持時間を0,0.001,1.56,3.12,6.24,12.5,25.0,50.0,100,150,200,300,400,500,600,700,800秒として測定した。128ppmに現れるピークの保持時間(t)に伴うピーク強度I(t)の減衰を、I(t)=Ao・exp(−t/0.1)+Aa・exp(−t/T1Ca)+Ab・exp(−t/T1Cb)+Ac・exp(−t/T1Cc)式でカーブフィットして求めた。ここでは、T1Cc(T1Ca ≦T1Cb ≦T 1Cc )を13C炭素核の緩和時間 T 1C とする。
【0030】
(熱伝導率の測定)熱伝導率の測定は、Fujishiroらの方法(Jpn. J. Appl. Vol. 36 (1997) p5633)に準じて温度100Kにおいて測定した。
【0031】
(膨張率の異方性因子の評価)
膨張率の異方性因子μは以下の式で定義する。
μ=(Δε/ΔT) /(Δεa/ΔT)
ここで(Δε/ΔT)は繊維軸方向の線膨張係数を、εaは結晶a軸方向格子の歪みを、(Δεa/ΔT)はその温度変化に対する膨張係数を表す。
線膨張係数は、マックサイエンス社製熱機械分析装置を用いて測定した。温度を30℃から600℃まで上昇させたときの繊維軸方向の寸法変化を実測し、区間100℃‐400℃における(Δε/ΔT)の実測値から評価した。ここでεは歪み(各温度でのでの実測繊維長を30℃における繊維長で除した後1を差し引いた値)を表す。
(Δεa/ΔT)は次式を用いて、(200)面のX線回折角2θ200の温度を30℃から250℃まで変化させたときの変量を実測する事で求めた。
Δεa/ΔT= -cotθ200 (Δθ200/ΔT)
回折角の測定は上述のイメージングプレートを用いることで精度良く求めることが出来た。
【0032】
音速伝幡速度の測定はトーヨーボールドウィン製レオバイブロンDDV-5-Bを用いて測定した。支長10cmから50cm、張力0GPaから1GPaの間でそれぞれ条件を変えながら合計25点以上測定し、支長0cm、張力0GPaに外挿して求めた。
【0033】
<小角X線散乱の測定方法>
ボイド径の評価は小角X線散乱法を用い下記の方法で行った。測定に供するX線は、(株)リガク製ローターフレックスRU-300を用いて発生させた。ターゲットとして銅対陰極を用い、出力30kV x 30mA のファインフォーカスで運転した。光学系は(株)リガク製点収束カメラを用い、X線はニッケルフィルターを用いて単色化した。検出器は、フジ写真フィルム(株)製イメージングプレート(FDL UR-V)を用いた。試料と検出器間の距離は200mm 乃至350mm の間の適当な距離でよい。空気などからの妨害バックグラウンド散乱を抑えるため、試料と検出器の間は、ヘリウムガスを充填した。露光時間は2時間乃至24時間であった。イメージングプレート上に記録された散乱強度信号の読みとりは、富士写真フィルム(株)製デジタルミクログラフィー(FDL5000) を用いた。得られたデータには、バックグラウンド補正を施した後赤道方向の散乱強度I に対してギニエプロット(バックグラウンド補正後の散乱強度の自然対数ln(I) を散乱ベクトルの2乗k2に対してプロットする)を作成した。ここで散乱ベクトルkはk=(4π/λ)sinθ、λはX線の波長0.1458nm、θは散乱角2θの半分である。
【0034】
本発明のプリプレグ作成のために用いられるポリベンザゾール繊維の形態としては、上記の方法で得たフィラメントをロービングクロス、クロス、チョップ、チョップドマット、パルプ化した物を用いて作製する織布、不織布、抄紙である。密度の調整等の目的で、ガラス、アラミド、天然セルロース系繊維のクロス又はミクロフィブリルを混抄しても良い。
【0035】
本発明に用いられる硬化性エポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂を成分として含有する硬化性樹脂組成物である。上記のエポキシ樹脂としては、一分子中に2個以上のエポキシ基を含有する物であればよく、公知の樹脂が1種若しくは2種以上の組み合わせで用いられる。
【0036】
この様なエポキシ樹脂の代表例としては、フェノール類またはアルコール類とエピクロルヒドリンとの反応によって得られるグリヂジルエーテル型エポキシ樹脂、カルボン酸類とエピクロルヒドリンとの反応によって得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂、アミン類またはシアヌル酸とエピクロルヒドリンとの反応によって得られるグリシジル型エポキシ樹脂、2重結合の酸化によって得られる内部エポキシ樹脂等、又はエポキシ樹脂変成BT樹脂、エポキシ樹脂変成シアネートエステル樹脂である。
【0037】
また、上記のエポキシ樹脂の硬化剤としては、エポキシ樹脂の通常の硬化剤、例えば、ポリアミン系硬化剤、ポリメルカプタン系硬化剤、アニオン重合触媒型硬化剤、カチオン重合触媒型硬化剤、潜在型硬化剤等が使用出来る。本発明に用いられる硬化性エポキシ樹脂組成物に対して、更にその用途に応じて所望の性能を発現せしむる目的で本来の性質を損なわない範囲の量の充填剤や添加物を配合して用いることが出来る。
【0038】
本発明のプリプレグ中におけるポリベンザゾール繊維の割合は5%以上90%以下、好ましくは10%以上80%以下、更に好ましくは20%以上70%以下である。有機繊維の割合が5%未満では硬化後の寸法安定性や強度が不十分である。また、この割合が90%を越えると、接着力不足や金属泊ほはがれが発生する問題が起こる。
【0039】
本発明の樹脂組成物と基材との複合方法については特に限定されることはなく、樹脂生成物を溶融して基材中に含浸させる溶融法、樹脂組成物を溶媒に溶解後基材に含浸させ次いで溶媒を乾燥してプリプレグを得る湿式法等が良好である。成形及び硬化は、温度80℃乃至300℃、時間1分乃至10時間、圧力0.1乃至500kg/cm2の範囲、より好ましくは温度150℃乃至250℃、時間1分乃至5時間、圧力1乃至100kg/cm2の範囲で行うと良い。
【0040】
本発明の積層体に用いる金属泊としては、例えば銅箔やアルミニウム箔が挙げられる。その厚みは特に限定されないが、3乃至200ミクロンが好ましく、より好ましくは5乃至120ミクロンである。本発明のプリプレグは両面に銅箔を積層して硬化することにより銅張積層板を得ることが出来る。また、プリプレグをプリント配線板の上下に積層し次いでレーザー照射によりビアホールを形成し次いでメッキしてビアホールの接続とパターン形成する、いわゆるブルドアップ工法用プリプレグとして用いることが出来る。この時は予め金属泊の片面にプリプレグ積層した、いわゆる樹脂つき銅箔の形で使用しても良い。またプリント配線板の外側にプリプレグを積層するときに最外層に銅箔を同時に積層することもできる。このときに、最外層の銅箔はレーザーによるビア形成の時に利用できる。さらに本発明のプリプレグにレーザー又は機械的パンチングにより穴加工し、ついでこの穴に導電性ペーストを充填した後に、その両面に銅箔を積層し硬化することによりコア材とする事が出来る。このコア材をパターニングしプリント配線板を作製し、ついで同じく作製された充填剤含有プリプレグを引き続き積層する多層配線板にも用いることが出来る。
【0041】
次の実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0042】
【実施例】
(実施例1〜6)
米国特許第4533693号に示される方法によって得られた、30℃のメタンスルホン酸溶液で測定した固有粘度が24.4dL/gのポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール14.0(重量)%と五酸化リン含有率83.17%のポリ燐酸から成る紡糸ドープを紡糸に用いた。ドープは金属網状の濾材を通過させ、次いで2軸から成る混練り装置で混練りと脱泡を行った後、昇圧させ、重合体溶液温度を170℃に保ち、孔数166を有する紡糸口金から170℃で紡出し、温度60℃の冷却風を用いて吐出糸条を冷却した後、さらに自然冷却で40℃まで吐出糸条を冷却した後、凝固浴中に導入した。凝固液及びその温度を変えて繊維を作成した。次に繊維をゴゼットロールに巻き付け一定速度を与えて第2の抽出浴中でイオン交換水で糸条を洗浄した後、0.1規定の水酸化ナトリウム溶液中に浸漬し中和処理を施した。更に水洗浴で水洗した後、巻き取り、80℃の乾燥オーブン中で乾燥し繊維中に含まれる水分率が2%以下になるまで放置した。更に張力5.0g/d、温度600℃の状態で2.4秒間熱処理を行った。結果を表1に示す。
次にプリプレグの作製について述べる。ビスフェノールAエポキシ樹脂100部、2−メチル−4−メチルイミダゾール3部をメチルエチルケトン100部に溶解してワニスを作製して、ついで上述のPBO繊維から成る不織布を含浸してプリプレグを作製した。このプリプレグにおける樹脂量は50%であった。このプリプレグ8枚の上下に厚み35ミクロンの銅箔を積層して180℃2時間で硬化し銅張り積層板を得た。この銅張り積層板は誘電率2.5、誘電正接0.01(それぞれ1MHzにおける測定値)である。更に、240℃で溶融した錫/銀半田をたらしてプリプレグ表面に押しつけても焦げ目は発生しなかった。また、上記で得られたプリプレグを銅箔にコーティングし溶媒を乾燥して樹脂つき銅箔を得た。この材料は各種レーザー加工が可能でありビルドアップ用材料として好適に用いることが出来た。
【0043】
(比較例1〜4)銅張り積層板の誘電率は4.2、誘電正接0.03であった。240℃で溶融した錫/銀半田をたらして押しつけたところ焦げめが付き、表面がはがれ落ちている様子が確認できた。
【0044】
【表1】
【0045】
本発明のプリプレグは従来のプリプレグに比べて耐熱性の向上が認められ、物性上、極めて優れていることが理解される。
【0046】
【発明の効果】
本発明のプリプレグから得られた積層板は高耐熱性で従来得られなかった良好な特性を有する。特にプリント配線基板材料、特に半導体実装分野や次世代情報携帯電話分野で有用である。
Claims (3)
- X線子午線回折半値幅因子が0.07゜/GPa以下、プロトンのT1 H 緩和時間が5.0秒〜11.1秒、カーボン13のT13 C 緩和時間が2000秒〜3200秒、であるポリベンザゾール繊維と硬化性エポキシ樹脂組成物とを複合してなることを特徴とするプリプレグ。
- 請求項1に記載のプリプレグを硬化してなることを特徴とする複合材料。
- 請求項2に記載の複合材料と金属箔とからなることを特徴とする積層体。
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