JP4243094B2 - 重合性化合物及び位相差板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶ディスプレイ用セルおよび光学フィルムなどに利用される新規な重合性化合物及び、それを用いた位相差板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶ディスプレイ及び位相差板等に用いる液晶は、有機溶媒に対する溶解性が高いこと、液晶温度範囲が広いこと等の条件を満たすことが必要であり、用途に応じて、様々な構造の化合物が開発されている。
重合性基を有する化合物を重合させて光学フィルムを形成した例が知られている(例えば、特許文献1参照)。しかし開示されている化合物は、含ハロゲン溶媒(クロロホルム等)以外の有機溶媒に対する溶解性が低く、これを改善することが望まれている。
【0003】
下記比較化合物Aが知られている(例えば、非特許文献1参照)が、この化合物は、本発明の一般式(I)のB1およびB2に相当する部分に重合性の置換基を有しないため、固定化して光学フィルムを形成する目的には使用することができなかった。また重合性基に関する開示はされていない。
【0004】
比較化合物A
【化3】
【0005】
また、ネマチック液晶相の温度範囲が狭いため、光学補償フィルムとして必要な大きさの複屈折を有するフィルムを光学的に均一に製造するのに用いることが困難であった。これらを解決するための化合物の開発が望まれている。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−80081号公報
【非特許文献1】
J.Am.Chem.Soc.97(1975),6658−6652
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、液晶ディスプレイ用セル、位相差板などの作製に有用である、有機溶媒に対する溶解性が高く、ネマチック液晶相温度範囲が広く、且つレタデーション値の制御が容易な化合物を提供すること、および該化合物を利用した、容易に且つ安定的に作製可能な位相差板を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は以下の手段により解決された。
[1] 下記一般式(I)で表される化合物。
【0009】
一般式(I)
【化4】
【0010】
式中、R1及びR2はそれぞれ独立に置換基であり、k及びlはそれぞれ0〜2の整数であるが、k及びlが同時に0であることはない。m及びnは0〜4の整数である。A1及びA2はそれぞれ独立に、*−COO−、*−OCO−(*は式中のベンゼン環との結合位置を示す)又は単結合である。B1及びB2はそれぞれ水素原子又は置換基であり、B1及びB2の少なくとも一方は重合性基を含む。Xは、A1又はA2と橋頭位で結合したビシクロ環を表す。
【0011】
[2] 一般式(I)のXは下記式(X−1)〜(X−4)から選ばれる2価の基である[1]の化合物。
【0012】
【化5】
【0013】
[3] 一般式(I)のXがX−1又はX−2である[1]または[2]の化合物。
[4] 一般式(I)のB1又はB2にアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を有する置換基である[1]〜[3]のいずれかの化合物。
[5] 液晶性を有する[1]〜[4]のいずれかの化合物。
[6] 透明支持体と、該支持体上に、少なくとも[1]〜[5]のいずれかに記載の化合物を用いて形成された光学異方性層を有する位相差板。
[7] 透明支持体と、該支持体上に、[1]〜[5]のいずれかに記載の化合物を単独でまたは他の重合性モノマーとともに重合してなる光学異方性層を有する位相差板。
[8] [1]〜[5]のいずれかの化合物を単独でまたは他の重合性モノマーとともに重合してなる光学異方性層。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の化合物についてさらに詳細に説明する。
【0015】
一般式(I)
【化6】
【0016】
前記一般式(I)において、R1及びR2はそれぞれ独立して置換基を表す。R1及びR2の例には、ハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を含む)、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ、アミノ基(アニリノ基を含む)、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール及びヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基等が含まれるが、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ホルミル基、シアノ基が好ましく、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、メトキシ基、エトキシ基がより好ましく、塩素原子、メチル基が特に好ましい。
R1及びR2に含まれる炭素数はそれぞれ0〜8個が好ましく、0〜5個が、より好ましい。m又はnが2〜4の場合、置換基は同じものでもよいし、異なっていてもよい。
【0017】
前記一般式(I)中、m及びnはそれぞれ0〜4の整数であり、0〜2が好ましく、0〜1がより好ましく、1であるのが最も好ましい。
k及びlはそれぞれ0〜2の整数であり、双方が1であるのが好ましい。
【0018】
前記一般式(I)中、B1及びB2はそれぞれ水素原子又は置換基であるが、B1及びB2の少なくとも一方は重合性基を含む。B1及びB2は、前記一般式(I)で表される化合物が広い液晶温度範囲を示すために、それぞれアルキル基、アルキニル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基又はアルコキシカルボニル基が好ましい。これらの置換基に含まれる炭素数は1〜20個が好ましく、3〜15個がより好ましい。これらの基はさらに置換基を有していてもよい。その場合の置換基の例は、R1およびR2の例で挙げたものと同じものである。
【0019】
B1及びB2の少なくとも一方は、重合性基を含む。この重合性基の存在によって、前記一般式(I)で表される化合物の配向を重合により固定化し、安定的に光学異方性層を形成することが可能となる。重合性基としては、重合性エチレン性不飽和基又は開環重合性基が好ましい。重合性エチレン性不飽和基の例としては下記の(M−1)〜(M−6)が挙げられる。
【0020】
【化7】
【0021】
式中、Rは水素原子又は置換基を表すが、水素原子又はアルキル基が好ましく、水素原子又はメチル基が特に好ましい。
中でも(M−1)又は(M−2)が好ましく、(M−1)が最も好ましい。
開環性重合性基として好ましいのは、環状エーテル基であり、中でもエポキシ基又はオキセタン基がより好ましく、エポキシ基が最も好ましい。
B1及びB2の両方に重合性基を含むことが好ましい。
【0022】
B1及びB2として最も好ましいのは、下記一般式(B)で表される基である。
一般式(B) −L−M
式(B)中、Mは重合性基であり、Lは−CH2CH2−(M)、−O(CH2)n−(M)、−COO(CH2)n−(M)、−OCO(CH2)n−(M)、−OCOO(CH2)n―(M)、−CH2CH2OCO(CH2)n−(M)、−OCH2COO(CH2)n−(M)、−OCH2C≡CH2−(M)、−OCOOCH2C≡CCH2−(M)、−C≡C−(CH2)n−(M)、−CH2CH2−O−(M)、−O(CH2)n−O−(M)、−COO(CH2)n−O−(M)、−OCO(CH2)n−O−(M)、−OCOO(CH2)n―O−(M)、−CH2CH2OCO(CH2)n−O−(M)、−OCH2COO(CH2)n−O−(M)、−OCH2C≡CH2−O−(M)、−OCOOCH2C≡CCH2−O−(M)又は−C≡C−(CH2)n−O−(M)で表される2価の基である。式(B)中、nは1〜10の自然数である。
【0023】
上記のLの例示の中でも、用途によって特に好ましい構造が存在する、例えば、Δnの波長分散が小さいことが要求される場合、―CH2CH2−(M)及び―O(CH2)n−(M)が好ましく、Δn及び有機溶媒に対する溶解性が高いことが要求される場合、−COO(CH2)n−(M)が好ましく、高いΔnと低い波長分散を両立することが要求される場合、−C≡C−(CH2)n−(M)が好ましい。
【0024】
一般式(I)のXで表される基はビシクロ環であり、かつXで表される基はビシクロ環はA1又はA2と橋頭位で結合している。分子内に前記ビシクロ環を有することによって、化合物の融点を低下させたり、有機溶媒に対する溶解性が向上できる。
【0025】
上記Xとしては、ビシクロ[2,2,2]オクタン環、ビシクロ[2,2,1]ヘプタン環、又は、ビシクロ[1,1,1]ペンタン環が好ましく、分子が、直線的な構造を取ることによって高い液晶性を発現できる点で、ビシクロ[2,2,2]オクタン環が最も好ましい。化合物の融点低下や溶解性の向上のために、これらの環はA1又はA2と、それぞれ橋頭位で結合していることが好ましい。XはX−1〜X−4の中から選ばれる基であることが好ましいが、液晶性、溶解性、合成適性から、X−1、X−2、又はX−3が好ましく、X−1又はX−2がより好ましく、X−1が最も好ましい。
【0026】
本発明の化合物は、一般式(I)においてB1又はB2が、―CH2CH2−、―O(CH2)n−、−COO(CH2)n−又は−C≡C−(CH2)n−を連結基として有するアクリロイルオキシ基、又はメタクリロイルオキシ基であり、かつXが、X−1、又はX−2である組合せを有する化合物が好ましい。
【0027】
さらに、本発明の化合物は、一般式(I)において、k=l=1であり、かつA1又はA2は*−O−C(=O)−(*は式中のベンゼン環との結合位置を示す)であり、かつB1又はB2が、―CH2CH2−、―O(CH2)n−、−COO(CH2)n−又は−C≡C−(CH2)n−を連結基として有するアクリロイルオキシ基、又はメタクリロイルオキシ基であり、かつXが、X−1、又はX−2である組合せを有する化合物が好ましい。
【0028】
【化8】
【0029】
前記一般式(I)において、A1及びA2はそれぞれ独立に、*−COO−、*−OCO−(*は式中のベンゼン環との結合位置を示す)又は単結合であるが、液晶性の高い−COO−又は−OCO−が好ましく、−OCO−X−COO−型の結合が最も好ましい。
また、前記一般式(I)で表される化合物は液晶性を有していることが好ましい。
【0030】
本発明の化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0031】
【化9】
【0032】
【化10】
【0033】
【化11】
【0034】
【化12】
【0035】
【化13】
【0036】
【化14】
【0037】
【化3】
【0038】
本発明の化合物は、Aust.J.Chem.,No.38(1985),1705−1718等に記載の公知の方法で合成した、ビシクロ[2,2,2]オクタン1,4−ジカルボン酸クロリドや、Tetrahedron Letters No.40(1967),3889−3891等に記載された公知の方法で合成した、1,4−ジヒドロキシビシクロ[2,2,2]オクタンを合成中間体として用いることにより容易に合成できる。
【0039】
本発明の化合物は、Aust.J.Chem.,No.38(1985),1705−1718等に記載の公知の方法で合成した、ビシクロ[2,2,2]オクタン1,4−ジカルボン酸クロリドなどと、下記の(Y−1)で表される、市販もしくは既知の方法で合成できる化合物を反応させることなどにより合成できる。
【0040】
【化16】
【0041】
式中Rは置換基であり、mは0〜4の整数である。Bは水素原子または置換基である。
【0042】
前記化合物(Y−1)は、ビシクロ[2,2,2]オクタン1,4−ジカルボン酸クロリドに対して1.5〜4倍モル用いて反応させることが好ましく、2〜3倍モル用いることが、より好ましい。
前記化合物(Y−1)とビシクロ[2,2,2]オクタン1,4−ジカルボン酸クロリドとの反応において、塩基(例えば、トリエチルアミン、水素化ナトリウム、ピリジンなど)を共存させることが好ましく、その際、塩基は、ビシクロ[2,2,2]オクタン1,4−ジカルボン酸クロリドに対して1.5〜5倍モル用いることが好ましく、2〜4倍モル用いることが、より好ましい。
【0043】
前記化合物(Y−1)とビシクロ[2,2,2]オクタン1,4−ジカルボン酸クロリドとの反応において、反応溶媒は、例えば、テトラヒドロフラン、トルエン、クロロホルム、ジメチルホルムアミド、水などを用いることが好ましい。さらに必要に応じてジメチルアミノピリジンなどの触媒を加えても良い。
前記化合物(Y−1)とビシクロ[2,2,2]オクタン1,4−ジカルボン酸クロリドの反応において、反応温度は−80〜200℃が好ましいが、−10〜120℃がより好ましく、0〜30℃がさらに好ましい。反応時間は5分〜24時間が好ましく、15分〜8時間がより好ましい。
上記反応で合成した化合物を必要に応じてさらに修飾することにより、本発明の化合物を合成してもよい。
【0044】
本発明の化合物は、Tetrahedron Letters No.40(1967),3889−3891等に記載された公知の方法で合成した、1,4−ジヒドロキシビシクロ[2,2,2]オクタンなどと、下記(Y−2)を用いて、前記化合物(Y−1)と同様の条件で反応を行うことによって合成することもできる。
【0045】
【化17】
【0046】
R、mおよびBは、前記(Y−1)中のそれぞれと同義である。
また、上記反応で合成した化合物を必要に応じてさらに修飾することにより、本発明の化合物を合成してもよい。
【0047】
本発明の製造方法において、反応速度や反応収率を最適化するために、反応物質の量比を変更してもよいし、反応系に塩基以外の適宜、触媒や塩等を添加してもよい。
【0048】
次に、本発明の位相差板について説明する。
本発明の位相差板は、透明支持体上に、少なくとも前記一般式(1)で表される化合物を用いて形成された光学異方性層を有する位相差板である。前記光学異方性層は、前記一般式(1)で表される化合物を単独で重合させて形成してもよいし、他の重合性モノマーとともに重合させて形成してもよい。本発明の位相差板は、例えば、透明支持体上に、配向膜などの手段により本発明の化合物を有機溶媒等に溶解した溶液を塗布して、配向させ、乾燥後、重合(光重合が好ましい)によって配向を固定化することによって製造できる。本発明の位相差板の構成としては、特開2001―100036号公報の第[0013]欄〜第[0022]欄に記載の支持体、前記公報の第[0023]欄〜第[0058]欄に記載の光学異方性層、前記公報の第[0059]欄〜第[0060]欄に記載の配向膜等を好ましく用いることができる。本発明の化合物は、液晶性を有することが好ましいが、液晶性を有しない場合でも、他の液晶性化合物と混合して用いて光学異方性層を形成できる。
【0049】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、操作等は本発明の主旨から逸脱しない限り適宜変更することができる従って本発明の範囲は以下の具体例に制限されるものではない。
【0050】
[例1:例示化合物(I−7)の合成]
窒素気流中で、4−メタンスルホニルオキシブチルアクリレート24.4g(110ミリモル)とハイドロキノン36.48g(331ミリモル)と炭酸カリウム45.75(331ミリモル)とをジメチルホルムアミド200mLに加え、80℃で3時間攪拌した。反応液を氷−塩酸にあけて、酢酸エチルで抽出し、有機層を水洗した後無水硫酸マグネシウムで脱水し、減圧濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=2/3(体積比))で精製し、化合物(7−a)14.4g(60.8ミリモル)を得た。
【0051】
化合物(7−a)2.81g(11.9ミリモル)をクロロホルム10mLに溶解し、60%オイル分散水素化ナトリウム571mg(14.3ミリモル)を加え、15分間攪拌した。そこに公知の方法で合成したビシクロ[2,2,2]オクタン1,4−ジカルボン酸クロリド(5.50ミリモル)のトルエン溶液を滴下した。1時間攪拌した後、クロロホルム20mLを加えて塩酸水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで脱水した後、減圧濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/塩化メチレン=1/19(体積比))で精製し、化合物(I−7)2.23g(3.52ミリモル)を得た。
NMR(CDCl3):δ=6.94(d、4H)、6.86(d、4H)、6.40(d、2H)、6.15(dd、2H)、5.83(d、2H)、4.24(t、4H)、3.98(t、4H)、2.03(s、12H)、1.95〜1.75(m、8H)
相転移:Cr 97℃ S 125℃ N 145℃ I
【0052】
【化18】
【0053】
[例2:例示化合物(I−9)の合成]
窒素気流中で、6−ブロモ−1−ヘキサノール20g(110ミリモル)とハイドロキノン36.48g(331ミリモル)と炭酸カリウム45.75(331ミリモル)とを、ジメチルホルムアミド200mLに加え、80℃で3時間攪拌した。反応液を氷−塩酸にあけて、酢酸エチルで抽出し、有機層を水洗した後、無水硫酸マグネシウムで脱水し、減圧濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=1/1(体積比))で精製し、化合物(9−a)13g(61.8ミリモル)を得た。
【0054】
化合物(9−a)9.25g(44ミリモル)をクロロホルム100mLに溶解させ、塩化スルフリル3.53g(44ミリモル)を加え1時間攪拌した。減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=2/3(体積比))で精製し、化合物(9−b)9.7g(39.6ミリモル)を得た。
化合物(9−b)9.7g(39.6ミリモル)をテトラヒドロフラン50mLに溶解し、氷冷しながらジメチルアニリン6.02mL(47.52ミリモル)を加え、ついで塩化アクリロイル3.38mL(41.62ミリモル)を加えた。室温で2時間攪拌した後、氷−塩酸に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を水洗した後、無水硫酸マグネシウムで脱水し、減圧濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=3/17(体積比))で精製し、化合物(9−c)10.1g(33.81ミリモル)を得た。
【0055】
化合物(9−c)3.56g(11.9ミリモル)をクロロホルム10mLに溶解し、60%オイル分散水素化ナトリウム571mg(14.3ミリモル)を加え、15分間攪拌した。そこに公知の方法で合成したビシクロ[2,2,2]オクタン1,4−ジカルボン酸クロリド(5.50ミリモル)のトルエン溶液を滴下した。1時間攪拌した後、塩酸水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで脱水した後、減圧濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/塩化メチレン=3/97(体積比))で精製し、化合物(I−9)2.67g(3.52ミリモル)を得た。
NMR(CDCl3):δ=6.96(s、2H)、6.97(d、2H)、6.80(d、2H)、6.40(d、2H)、6.14(dd、2H)、5.82(d、2H)、4.17(t、4H)、3.92(t、4H)、2.09(s、12H)、1.90〜1.55(m、8H)1.53〜1.40(m、8H)
相転移:Cr 69℃ N 103℃ I
【0056】
【化19】
【0058】
[例3:例示化合物(I−3)の合成]
4−ヒドロキシ安息香酸13.81g(100ミリモル)をジメチルホルムアミド150mLに溶解させ、炭酸水素ナトリウム12.6g(150ミリモル)を加え、次いで、4−メタンスルホニルオキシブチルアクリレート24.4g(110ミリモル)を加えた。100℃で3時間攪拌した後、希塩酸に注ぎ酢酸エチルで抽出した。無水硫酸マグネシウムで脱水した後、減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=2/3(体積比))で精製し、化合物(3−a)14.0g(53ミリモル)を得た。これを用いて(I−7)の合成と同様の方法で(I−3)を得た。
NMR(CDCl3):8.07(d、4H)、7.12(d、4H)、6.43(d、2H)、6.12(dd、2H)、5.83(d、2H)、4.36(t、4H)、4.24(t、4H)、2.07(s、12H)、2.00〜1.70(m、8H)
相転移:Cr 64℃ N 79℃ I
【0059】
【化20】
【0060】
同様の方法で例示化合物(I−5)及び例示化合物(I−11)を合成した。
例示化合物(I−5)
NMR(CDCl3):8.13(s、2H)、7.93(d、2H)、7.18(d、2H)、6.43(d、2H)、6.13(dd、2H)、5.84(d、2H)、4.36(t、4H)、4.22(t、4H)、2.13(s、12H)、1.95〜1.70(m、8H)
相転移:Cr 58℃ I
【0061】
例示化合物(I−11)
NMR(CDCl3):7.40(s、2H)、7.21(d、2H)、7.05(d、2H)、6.42(d、2H)、6.13(dd、2H)、5.84(d、2H)、4.25〜4.05(m、8H)、3.61(s、4H)、2.11(s、12H)、1.95〜1.65(m、8H)
室温で等方性液体
【0062】
[例4:例示化合物(I−13)の合成]
公知の方法で合成した1,4−ジヒドロキシビシクロ[2,2,2]オクタン3g(21ミリモル)をピリジン50ml中に溶解し、化合物(13−A)13g(46ミリモル)を加え、3時間攪拌した。反応液を希塩酸に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。無水硫酸マグネシウムで脱水した後、減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/塩化メチレン=1/19(体積比)で精製し、化合物(I−13)2.0g(3.1ミリモル)を得た。
NMR(CDCl3):7.95(d、4H)、6.86(d、4H)、6.43(d、2H)、6.15(dd、2H)、5.83(d、2H)、4.34(t、4H)、4.05(t、4H)、2.37(s、12H)、1.90(m、8H)
相転移:Cr 126℃ N 160℃ I
【0063】
【化21】
【0064】
[例5]
本発明の液晶性化合物である、例示化合物(I−9)と比較化合物Bとをそれぞれ用いて作製した位相差フィルムの性能を比較した。
【0065】
比較化合物B
【化22】
【0066】
化合物単独での相転移温度は、それぞれ、
例示化合物(I−9):Cr 69℃ N 103℃ I
比較化合物B :Cr 73℃ N 86℃ I
であった。
また、20℃で、塗布溶媒に適した2−ブタノン 1mLに溶解する量を測定したところ、
例示化合物(I−9):400mg 以上
比較化合物B :250mg 以下
であった。
【0067】
例示化合物(I−9)と、溶媒として2−ブタノンとを用いることにより、充分な濃度の塗布液を調製でき、該塗布液を用いて容易に重合膜を作製できた。一方、比較化合物Bでは、2−ブタノンを溶媒として用いると、充分な濃度の塗布液を調製できず、重合膜を作製することができなかった。従って、下記の実施例では、環境有害物質であるクロロホルムを塗布溶媒として用いて、重合膜を作製し、評価した。
【0068】
ガラス板を透明支持体として用い、日産化学工業(株)製のSE−150の稀釈液を透明支持体の片面に連続塗布し、厚さ0.5μmの配向膜を形成した。該配向膜をラビング処理した後、20質量%の化合物(I−9)と0.4質量%の下記の光重合開始剤と0.02質量%の下記の水平配向剤とを溶解させたクロロホルム溶液をスピンコートし、ホットステージで透明点まで(98℃)まで加熱し、30秒保持した後、15℃降温して(83℃)、窒素雰囲気下、水銀ランプを用いて紫外線照射すると、均一なレタデーション(228nm)を有する位相差板が得られた。
【0069】
比較化合物Bを用いた溶液を同様にスピンコートし、ホットステージで透明点(81℃)まで加熱し、30秒保持した後15℃降温して(66℃)、紫外線照射したところ、部分的に結晶が析出した不均一な重合膜を与え、位相差板としては、使用できなかった。
【0070】
光重合開始剤
【化23】
【0071】
水平配向剤
【化24】
【0072】
【発明の効果】
本発明によれば、有機溶媒に対する溶解性に優れ、且つネマチック相温度範囲が広い化合物が提供でき、容易に製造可能な位相差板が得られる。また、ネマチック相での重合性が高く、短い時間で配向を固定化でき、重合した状態でのΔn(レタデーション/膜厚)が大きいという効果も有する。
Claims (2)
- 透明支持体と、該支持体上に、少なくとも請求項1に記載の化合物を用いて形成された光学異方性層を有する位相差板。
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