JP4213316B2 - 洗浄液の発泡防止方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属おもに鋼板を洗浄する際に、水酸化ナトリウム、ケイ酸ナトリウムもしくはリン酸ナトリウム等のアルカリ水溶液をベースとした金属洗浄液の発泡を防止する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
金属おもに鋼板を洗浄する方法としては、例えば冷間圧延後の鋼板の洗浄では、浸漬、スプレー、ブラッシング、電解洗浄等の工程を組み合わせて行う方法が使用され、これにより鋼板表面に付着した圧延油、鉄粉またはこれらの反応生成物等が除去されている。
【0003】
このような洗浄方法においては、現在、図1のような装置を用いて洗浄液を循環使用する方法が一般的に用いられている。このような装置では、洗浄槽1と循環槽2の間で洗浄液3を循環させながら、鋼板4を洗浄槽1内の洗浄液3中を通過させ(浸漬洗浄)、あるいは洗浄槽1内を通過する鋼板4に接近させて電極を設ける(電解洗浄)等して鋼板の洗浄を行う。しかしながら、この方法によると洗浄液の循環流動中に空気の巻き込み等により洗浄液が発泡し、気泡が系外に流出することにより、洗浄液原単位、排水処理性、更に作業環境性等が悪化するなど、種々の問題が生じる。また電解洗浄工程を有する場合、発生した気泡により電解電流密度の低下が生じる場合もある。
【0004】
このような発泡の原因は、主に洗浄剤中に含まれる界面活性剤、洗浄後蓄積する圧延油が分解されてできる脂肪酸石ケンによるものであるが、中でも、脂肪酸石ケンによる発泡が非常に大きく寄与している。
【0005】
金属帯と洗浄液を接触させて電解洗浄を行う場合の対策として、洗浄液が留まっている洗浄槽に高級アルコール等の消泡剤を直接添加する方法が提案されている(特公昭60−56439号公報)。しかし、これらの消泡剤は、消泡効果を十分なものとするためには、ある程度その使用量を増やさなければならず、使用量が多い場合には洗浄性に対し悪影響を及ぼし、洗浄不良が発生するといった問題も生じた。また近年、鋼板の製品品質の向上が重要視されている中で、これら消泡剤等の使用量をできる限り少なくして洗浄性を高めることにより品質を向上させつつ、なおかつ、上記発泡による種々の問題を解決する方法が熱望されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記の課題を解決すべく、消泡剤の使用量をできるかぎり少なくして洗浄後の鋼板の品質を向上させ、かつ十分な消泡効果により、発泡による種々の問題を解決することができる発泡防止方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、アルカリ洗浄工程における前記の課題を克服すべく鋭意検討を重ねた結果、高級アルコール等の消泡剤を、洗浄装置の所定の位置に連続的もしくは断続的に一定量添加することにより、消泡剤の消泡性能を効果的に発揮させ、消泡剤の使用量を軽減し、それに起因して洗浄性の低下を抑えることによる品質向上が可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明の要旨は、洗浄液の循環使用が可能な洗浄槽を有する洗浄装置を用いて金属帯を洗浄液中に浸漬された状態で洗浄するに際し、後述の一般式(A)、(B)、(C)および(D)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する消泡剤を該洗浄槽を除く洗浄液の循環系内に、連続的もしくは断続的に添加することを特徴とする洗浄液の発泡防止方法に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の発泡防止方法では、洗浄液に一般式(A)〜(D)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を消泡剤として洗浄液に添加する。以下、これらの化合物について説明する。
一般式(A)で表される化合物は、次式で示されるアルコールである。
【0010】
【化5】
【0011】
(式中、R1 は飽和もしくは不飽和の直鎖もしくは分岐鎖の炭素数8〜22の炭化水素基を示す。)
具体的には、例えばオクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール、トリデシルアルコール、パルミチルアルコール、ミリスチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の飽和の一級又は二級の直鎖アルコール;イソヘプチルアルコール、2─エチルヘキシルアルコール、3,5,5−トリメチルヘキサノール、イソトリデシルアルコール、イソパルミチルアルコール、イソステアリルアルコール等の分岐鎖アルコール;オレイルアルコール、リノレイルアルコール、ノニルフェノール、オクチルフェノール、ビスフェノール等の不飽和の直鎖、分岐鎖および芳香族アルコール等が挙げられる。中でも、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール、2─エチルヘキシルアルコール、イソトリデシルアルコール、イソステアリルアルコール等の炭素数8〜18の直鎖または分岐鎖を持ったアルコールが消泡効果の点から好ましく、特に分岐鎖アルコールが好ましい。
【0012】
一般式(B)で表される化合物は、次式で示されるアルコールのエチレンオキサイド付加物である。
【0013】
【化6】
【0014】
(式中、R1 は一般式(A)と同じ意味を示し、xは1〜5である。)
具体的には、例えばオクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール、トリデシルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ノニルフェニルアルコール、オクチルフェニルアルコール等のエチレンオキサイド1〜5モル付加物等が挙げられる。中でも、炭素数8〜18の分岐鎖を持ったアルコールのエチレンオキサイド1〜3モル付加物が消泡効果の点から好ましい。
これらは前記のアルコールやアルキルフェノール等とエチレンオキサイドの付加反応により得ることができる。
【0015】
一般式(C)で表される化合物は、次式で示されるプロピレンオキサイドの重合物もしくはアルコールのプロピレンオキサイド付加物である。
【0016】
【化7】
【0017】
(式中、R2 は水素原子、飽和もしくは不飽和の直鎖もしくは分岐鎖の炭素数1〜22のn価のアルコールの炭化水素残基を示す。mは1〜50、nは1〜6である。但し、多価アルコールの場合、n個のmの合計は50以下である。)
具体的には、例えばオクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル等の一価アルコールもしくは多価アルコールのプロピレンオキサイド1〜50モル付加物、または、ポリプロピレングリコール、グリセリンのプロピレンオキサイド付加物等である。中でも、ポリプロピレングリコールもしくはグリセリンのプロピレンオキサイド付加物は、付加モル数5〜30モルが好ましく、またその他のアルコールのプロピレンオキサイド付加物は、付加モル数1〜20モルが好ましい。
【0018】
一般式(D)で表される化合物は、次式で示されるエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの共重合物もしくは、アルコールのエチレンオキサイドとプロピレンオキサイド付加物である。
【0019】
【化8】
【0020】
(式中、R3 は水素原子、飽和もしくは不飽和の直鎖もしくは分岐鎖の炭素数1〜22のn価のアルコールの炭化水素残基を示し、pは1〜20、qは1〜20、nは1〜6である。)
ここで、n価のアルコールとは、一価のアルコールの場合、一級アルコールのみであり、二価以上のアルコールの場合、一級、二級及び三級アルコールを含む。具体的には、例えば上記一価アルコールもしくはグリセリン等の多価アルコール残基のエチレンオキサイド1〜20モル、プロピレンオキサイド1〜20モル付加物等が挙げられる。
【0021】
以上の一般式(A)〜(D)で表される化合物等の消泡剤の添加量は、十分な添加効果を得る観点から、洗浄液中0.05重量%以上が好ましく、0.5重量%以上がより好ましい。また、該添加量の上限は、特に制限はないが、良好な洗浄性が得られる観点から、洗浄液中10重量%以下が好ましく、3重量%以下がより好ましい。
【0022】
本発明に用いられる洗浄液としては、アルカリ剤または、アルカリ剤とキレート剤、界面活性剤との混合液が挙げられる。
アルカリ剤としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、またはケイ酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム等が一般的に用いられる。また、キレート剤としては、例えばグルコン酸ナトリウム等のオキシカルボン酸、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン、エチレンジアミン4酢酸ナトリウム等のアミノカルボン酸が用いられ、界面活性剤としては、アニオン型、およびノニオン型界面活性剤が一般的に用いられる。アルカリ剤濃度は、洗浄液中0.5〜10重量%、好ましくは1〜4重量%が望ましく、キレート剤濃度は、洗浄液中0.05〜3重量%、好ましくは0.1〜1重量%が望ましく、界面活性剤濃度は、洗浄液中0.01〜3重量%、好ましくは0.03〜1重量%が望ましい。
【0023】
なお、前記洗浄液の残部は水であり、その添加量は、洗浄液中74〜99.3重量%、好ましくは95〜99重量%が望ましい。
【0024】
本発明の洗浄液の発泡防止方法においては、洗浄液の循環使用が可能な洗浄槽を有する洗浄装置を用いて、洗浄中に前記の消泡剤を洗浄槽を除く洗浄液の循環系内に添加するが、このように消泡剤の添加場所を適当に選択することにより、消泡剤の消泡効果を高めることができる。ここで、洗浄槽を除く洗浄液の循環系内とは、金属帯が浸漬している洗浄槽のように洗浄液が溜まっている場所以外の場所であり、好ましくは流速がより速く空気の巻き込み等による発泡が起こり易い場所である。好ましい場所の具体例としては、洗浄槽が2重構造の場合は図2(1)に示すように洗浄液のオーバーフロー穴8付近、またその他の構造の場合は図2(2)の戻り配管の入口9付近、戻り配管6の出口付近等である。
【0025】
本発明では、上記の場所に消泡剤を連続的もしくは断続的に一定量添加するが、連続的とは時間当たりの添加量が常に一定していることをいい、断続的にとは一定の時間間隔をおいて一定量づつ添加するか、あるいはその時間間隔、量を変えながら添加することをいう。断続的に添加する際の時間間隔は、より短い方がよく、即ち、連続添加がより好ましい。
【0026】
このように、発泡が起こり易い場所の近傍に消泡剤を所定量づつ継続して添加することにより、消泡剤の消泡性能を効果的に発揮させることができ、その結果消泡剤の使用量を軽減し、それに起因して洗浄性の低下を抑えることにより品質向上が可能となる。このような消泡剤の添加方法により、このような効果が得られるのは、発生する泡膜に消泡剤がより効率的に配向し、消泡するためと推定できる。また、消泡剤の分散性は不安定であり、時間と共に少しずつ浮上分離するため、消泡剤は少量ずつ分けて投入する方が良い。洗浄槽(図1中の1)の液中に消泡剤を投入した場合、消泡剤は液中に分散されるため、液中に存在する消泡剤量が多くなる。この事により、消泡効果が大きくなるが、投入した消泡剤が洗浄後の金属帯に付着するなどの洗浄不良が発生しやすいため現実的ではない。
【0027】
また、消泡剤の添加方法としては、人為的に一定の時間間隔で一定量投入するか、もしくは自然落下、定量ポンプ等で単位時間あたり一定量供給する方法等が挙げられる。
【0028】
【実施例】
実施例1
図3に示す装置を用い、洗浄液としてアルカリ洗浄液を用いて、以下のようにして洗浄工程の模擬発泡試験を実施した。この方法によると、実際の設備による洗浄工程を行うことなく、洗浄時の発泡状態、特に発泡量を知ることができ、その結果が実機に直接適用できる。
【0029】
(発泡試験装置)
A槽10の容量は5リットル、A槽10内には添加された洗浄液を滞留させる場所が設けられており、その容量は2リットル、B槽11の容量は50リットルである。送り配管5の管径は1/4インチ、戻り配管6の長さは1000mm,管径は1インチである。送り配管出口の高さはB槽11内の滞留された洗浄液の液面から200mmの位置に設置されている。なお、A槽10は洗浄槽に、B槽11は循環槽に相当する。
【0030】
(洗浄液の調製)
まず、下記の組成からなる洗浄液10リットルをB槽11(循環槽)にて調製した。
水酸化ナトリウム:2.0重量%
エチレンジアミン4酢酸ナトリウム:0.5重量%
ポリオキシエチレン(6)ノニルフェニルエーテル:0.5重量%
牛脂脂肪酸石ケン:1.0重量%
イオン交換水:96.0重量%
但し、括弧内の数字は付加モル数を示す(以下、同じ)。
【0031】
(洗浄液の循環)
液温をヒーターで80℃に保持しながら、循環ポンプ12を用いて6.0L/minの循環流量で洗浄液をA〜B槽間で循環させた。このときA槽10中には2リットルの洗浄液が貯蔵されるが、それ以上流入した洗浄液はオーバーフローして、発生する泡と共に戻り配管6を通ってB槽11に戻る。
【0032】
(消泡剤の種類)
消泡剤としては、以下のものをそれぞれ用いた。
1.オクチルアルコール
2.ラウリルアルコール
3.ステアリルアルコール
4.オレイルアルコール
5.ノニルフェノール
6.2─エチルヘキシルアルコール
7.イソトリデシルアルコール
8.イソステアリルアルコール
【0033】
(消泡剤の添加方法)
消泡剤の添加は、次のA、Bの各方法で行った。
A:発泡試験開始後、5分間隔(5、10、15、20、25分後)で各0.2重量%の消泡剤を断続的に添加した(総量:1重量%)。
B:発泡試験開始直後より25分間連続的に、一定量を添加した(総量:1重量%)。
添加する場所として、図3中の▲1▼、▲3▼、▲4▼の各位置より添加した。
【0034】
(発泡量の評価)
前記のようにして消泡剤を添加し、または添加しながら洗浄液の循環を30分間行った後に、B槽11の液表面上(図3の▲4▼の位置)に発生した泡の液面からの高さを発泡量として測定した。それらの結果を表1に示す。
【0035】
比較例1
実施例1において、前記の消泡剤の代わりに
比較品1 ブチルアルコール
比較品2 ヘキシルアルコール
を用いるか、あるいは消泡剤を用いずに発泡試験を行った。また、消泡剤の添加方法として、前記のA、Bの方法を用いた。
また、添加する場所として、図3中の前記の▲3▼の位置の他に、▲1▼、▲4▼の各位置より添加した。
以上により実施例1と同様にして洗浄工程の模擬発泡試験を実施し、発泡量の評価を行った。それらの結果を表1に併せて示す。
【0036】
【表1】
【0037】
実施例2
実施例1において洗浄液、消泡剤として以下のものを用いる以外は、実施例1と同様にして洗浄工程の模擬発泡試験を行い、同様にして発泡量の評価を行った。
【0038】
(洗浄液組成)
オルソケイ酸ナトリウム:2.0重量%
エチレンジアミン4酢酸ナトリウム:0.5重量%
ポリオキシエチレン(9モル)ノニルフェニルエーテル:0.5重量%
牛脂脂肪酸石ケン:1.0重量%
イオン交換水:96.0重量%
【0039】
(消泡剤の種類)
1.ポリオキシエチレン(1)オクチルエーテル
2.ポリオキシエチレン(3)オクチルエーテル
3.ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル
4.ポリオキシエチレン(5)ラウリルエーテル
5.ポリオキシエチレン(3)オレイルエーテル
6.ポリオキシエチレン(2)2−エチルヘキシルエーテル
7.ポリオキシエチレン(3)イソトリデシルエーテル
8.ポリオキシエチレン(4)イソミリスチルエーテル
その結果を表2に示す。
【0040】
比較例2
実施例2において、消泡剤として
比較品1 ポリオキシエチレン(10)n−ラウリルエーテル
比較品2 ポリオキシエチレン(20)ノニルフェニルエーテル
比較品3 ポリオキシエチレン(6)2−エチルヘキシルエーテル
を用いるか、あるいは消泡剤を用いずに発泡試験を行った。また、比較例1と同様に消泡剤の添加方法、添加場所を変えて実施例2と同様にして洗浄工程の模擬発泡試験を実施し、発泡量の評価を行った。それらの結果を表2に併せて示す。
【0041】
【表2】
【0042】
実施例3
実施例1において洗浄液、消泡剤として以下のものを用いる以外は、実施例1と同様にして洗浄工程の模擬発泡試験を行い、同様にして発泡量の評価を行った。
【0043】
(洗浄液組成)
水酸化カリウム:1.0重量%
リン酸ナトリウム:1.0重量%
グルコン酸ナトリウム:0.5重量%
ポリオキシエチレン(6)ラウリルエーテル:0.5重量%
パーム脂肪酸石ケン:1.0重量%
イオン交換水:96.0重量%
【0044】
(消泡剤の種類)
1.ポリオキシプロピレン(5)オクチルエーテル
2.ポリオキシプロピレン(10)ラウリルエーテル
3.ポリオキシプロピレン(20)2−エチルヘキシルエーテル
4.ポリオキシプロピレン(20)イソデシルエーテル
5.ポリオキシプロピレン(30)グリセロールエーテル
その結果を表3に示す。
【0045】
比較例3
実施例3において、消泡剤として
比較品1 ポリオキシプロピレン(100)グリセロールエーテル
比較品2 ポリオキシプロピレングリコール(100)
を用いるか、あるいは消泡剤を用いずに発泡試験を行った。また、比較例1と同様に消泡剤の添加方法、添加場所を変えて実施例3と同様にして洗浄工程の模擬発泡試験を実施し、発泡量の評価を行った。それらの結果を表3に併せて示す。
【0046】
【表3】
【0047】
実施例4
実施例1において洗浄液、消泡剤として以下のものを用いる以外は、実施例1と同様にして循環を行い、同様にして発泡量の評価を行った。
【0048】
(洗浄液組成)
水酸化ナトリウム:3.0重量%
エチレンジアミン4酢酸ナトリウム:0.5重量%
ポリオキシエチレン(15)オレイルエーテル:0.5重量%
牛脂脂肪酸石ケン:1.0重量%
イオン交換水:95.0重量%
【0049】
(消泡剤の種類)
1.ポリオキシエチレン(2)ポリオキシプロピレン(5)ラウリルエーテル
2.ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(20)グリコールエーテル
3.ポリオキシエチレン(10)ポリオキシプロピレン(10)グリセロールエーテル
その結果を表4に示す。
【0050】
比較例4
実施例4において、消泡剤として
比較品1 ポリオキシエチレン(30)ポリオキシプロピレン(10)ラウリルエーテル
比較品2 ポリオキシエチレン(30)ポリオキシプロピレン(5)グリセロールエーテル
を用いるか、あるいは消泡剤を用いずに発泡試験を行った。また、比較例1と同様に消泡剤の添加方法、添加場所を変えて実施例4と同様にして洗浄工程の模擬発泡試験を実施し、発泡量の評価を行った。それらの結果を表4に併せて示す。
【0051】
【表4】
【0052】
参考例
実施例1〜4、比較例1〜4の模擬発泡試験において、消泡剤の添加場所を図3中の前記の▲2▼の位置に変えること以外は、実施例1〜4、比較例1〜4と同様にして洗浄工程の模擬発泡試験を実施し、発泡量の評価を行った。それらの結果を表1〜4に併せて示す。
【0053】
表1〜4の結果が示すように、本発明の洗浄液の発泡防止方法による実施例1〜4では、発泡量を少なくすることができた。これに対して、消泡剤を変えて行った比較例では発泡量が非常に多くなり、B槽より泡のオーバーフローに至った。
【0054】
一方、参考例も実施例1〜4と同様に発泡量が少ないものもあったが、実際に金属帯の洗浄を行う場合には、参考例のように洗浄槽(図3の▲2▼)に直接消泡剤を添加すると、添加した消泡剤が洗浄後の金属帯に付着して洗浄不良を起こすため、事実上この方法を用いることはできない。
【0055】
実施例5
実施例1の実験により、洗浄液の発泡量を求めると同時に鋼板の消泡剤の再付着性を以下の方法により調べた。それらの結果を表5に示す。
【0056】
(再付着性の評価)
市販冷延鋼板(SPCC−D、JIS G 3141)を予めアルカリ電解洗浄したものを供試材として用いた。実施例1の実験の中で発泡試験開始25分経過後(消泡剤の投入を前記Aの方法で行う場合は、5回目の消泡剤の投入直後)、供試材を図3のA槽10内の洗浄液中に2秒間浸漬後、温水(80℃)でリンスし、乾燥した。浸漬後の供試材の表面カーボン量をカーボンメーターで測定し、浸漬前の供試材のものと比較することにより、消泡剤の再付着性を評価した。なお、表中の「○」は表面カーボン量が5mg/m2 以下(これは浸漬前の鋼板の表面カーボン量と同じ)、「×」は表面カーボン量が5mg/m2 を超えることを示す。
【0057】
【表5】
【0058】
表5の結果より、消泡剤を▲1▼、▲3▼、▲4▼で添加した場合は、図3のB槽11内で消泡剤の浮上分離が起き、A槽10に持ち込まれる消泡剤はほとんどなくなることから、消泡剤を▲2▼で添加した場合に生じるような鋼板への再付着が認められないと考えられる。
【0059】
【発明の効果】
本発明の洗浄液の発泡防止方法によると、消泡剤の使用量が少なくても十分な消泡効果が得られ、発泡による種々の問題を解決することができる。また、消泡剤の使用量が少ないため高い洗浄効果が得られ、洗浄後の鋼板の品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、洗浄液を循環使用する一般的な洗浄方法に用いられる装置の概略図を示すものである。
【図2】図2は、洗浄液を循環使用する一般的な洗浄方法に用いられる装置の部分概略図を示すものである。
【図3】図3は、実施例及び比較例で用いた発泡試験装置の概略図を示すものである。
【符号の説明】
1 洗浄槽
2 循環槽
3 洗浄液
4 鋼板
5 送り配管
6 戻り配管
7 オーバーフロー受け槽
8 オーバーフロー穴
9 戻り配管入口
10 A槽
11 B槽
12 循環ポンプ
13 仕切板
14 気泡
Claims (3)
- 洗浄液の循環使用が可能な洗浄槽を有する洗浄装置を用いて金属帯を洗浄液中に浸漬して洗浄するに際し、一般式(A)、(B)、(C)および(D)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する消泡剤を該洗浄槽を除く洗浄液の循環系内に、連続的もしくは断続的に添加することを特徴とする洗浄液の発泡防止方法。
- 洗浄装置が洗浄槽のオーバーフロー穴から洗浄液をオーバーフローさせて循環使用する装置であり、消泡剤を添加する場所が、前記オーバーフロー穴付近である、請求項1記載の発泡防止方法。
- 洗浄装置が洗浄槽に戻り配管を備えた装置であり、消泡剤を添加する場所が、前記戻り配管の入口付近及び/又は戻り配管の出口付近である、請求項1記載の発泡防止方法。
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