JP4203961B2 - 回転速度検出装置付き車輪用軸受装置 - Google Patents

回転速度検出装置付き車輪用軸受装置 Download PDF

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本発明は、自動車等の車輪を回転自在に支承すると共に、この車輪の回転速度を検出する回転速度検出装置が内蔵された回転速度検出装置付き車輪用軸受装置に関するものである。
自動車の車輪を懸架装置に対して回転自在に支承すると共に、アンチロックブレーキシステム(ABS)を制御し、車輪の回転速度を検出する回転速度検出装置が内蔵された回転速度検出装置付き車輪用軸受装置は一般的に知られている。従来、このような車輪用軸受装置は、転動体を介して転接する内方部材および外方部材の間にシール装置が設けられ、円周方向に磁極を交互に並べてなる磁気エンコーダを前記シール装置に一体化させると共に、磁気エンコーダと、この磁気エンコーダに対面配置され、車輪の回転に伴う磁気エンコーダの磁極変化を検出する回転速度センサとで回転速度検出装置が構成されている。
前記回転速度センサは、懸架装置を構成するナックルに車輪用軸受装置が装着された後、当該ナックルに装着されているものが一般的である。しかし、この回転速度センサと磁気エンコーダとのエアギャップ調整作業の煩雑さを解消すると共に、よりコンパクト化を狙って、最近では、回転速度センサをも軸受に内蔵した回転速度検出装置付き車輪用軸受装置が提案されている。
このような回転速度検出装置付き車輪用軸受装置の一例として図6に示すような構造が知られている。この回転速度検出装置付き車輪用軸受装置はナックルNに支持固定され、固定部材となる外方部材51と、この外方部材51に複列のボール53、53を介して内挿された内方部材52とを備えている。外方部材51は車体取付フランジ51bを外周に一体に有し、内周には複列の外側転走面51a、51aが形成されている。一方、内方部材52は、前記した外方部材51の外側転走面51a、51aに対向する複列の内側転走面55a、56aが形成されている。これら複列の内側転走面55a、56aのうち一方の内側転走面55aはハブ輪55の外周に一体形成され、他方の内側転走面56aは、ハブ輪55の内側転走面55aから軸方向に延びる円筒状の小径段部55bに圧入された内輪56の外周に形成されている。そして、複列のボール53、53がこれら両転走面間にそれぞれ収容され、保持器57、57によって転動自在に保持されている。
ハブ輪55は、外周に車輪(図示せず)を取り付けるための車輪取付フランジ54を一体に有し、この車輪取付フランジ54の円周等配位置には車輪を固定するためのハブボルト54aが植設されている。また、ハブ輪55の内周にはセレーション55cが形成され、等速自在継手を構成する外側継手部材60のステム部61が内嵌されている。さらに、外方部材51の端部にはシール58、59が装着され、軸受内部に封入された潤滑グリースの漏洩と、外部から軸受内部に雨水やダスト等が侵入するのを防止している。
ここで、外方部材51の端部には回転速度検出装置62が取り付けられている。この回転速度検出装置62はエンコーダ63とセンサ64とを備えている。図7に拡大して示すように、エンコーダ63は、周方向交互に異なる磁性の磁極が設けられた円筒形のプラスチックマグネット65と、その内周側に一体的に重合された非磁性材料からなるベース66とからなる。
一方、センサ64は、ICチップを合成樹脂からなる保護カバーでモールドされたホールICからなる。センサ64の保護カバーは、ICチップが埋設される直方体形状の本体部67と、この本体部67に連接されるL字形状の係止片68とからなり、側面から見てコの字形となるように形成されている。また、係止片68の内面に凸部69が設けられ、本体部67の上面からコード線70が引き出されている。そして、センサ64は、外方部材51の端部に支持環体71を介して装着されている。
支持環体71は、複数段にプレス成形された環状鉄板からなり、外方部材51の端部内周に圧入される第1円筒部72と、この第1円筒部72から径方向外方に立ち上がる第1環状板部73と、第1環状板部73から外端に連接される第2円筒部74と、第2円筒部74から径方向内方に立ち下がる第2環状板部75と、第2環状板部75から軸方向に延びる第3円筒部76とを備えている。なお、第2環状板部74の周方向の一箇所には、径方向に貫通するセンサポケット77が開口され、また、このセンサポケット77に対応して、第2環状板部75には係合孔78が設けられている。そして、支持環体71のセンサポケット77にセンサ64の本体部67を径方向から差し入れて、係止片69を支持環体71の係合孔78に係入させて固定している。
シール59は、断面L字状に形成された第1のシール板79と、この第1のシール板79に対向し、断面L字状に形成された第2のシール板80とからなる。この第2のシール板80は、内輪56に外嵌される円筒部80aと、この円筒部80aから径方向外方に延びる立板部80bとからなる。
一方、第1のシール板79は、前記支持環体71の第3円筒部76に内嵌され、断面L字状に形成された芯金81と、この芯金81に一体に加硫接着され、前記第2のシール板80の立板部80bに摺接するサイドリップ82aと、円筒部80aに摺接する一対のラジアルリップ82b、82cとからなるシール部材82とを有している。
このように、支持環体71において、センサ64よりも外側にシール59が設けられているので、エンコーダ63とセンサ64との対向間隙に外部からの異物が侵入するのを防止することができると共に、センサ64を支持環体71に対して径方向に差し入れて取り付けるようにしているので、エンコーダ63とセンサ64との相対位置のずれを防止することができ、検出精度を長期間に亘って高精度に維持することができる。
特開2000−225931号公報
こうした従来の回転速度検出装置付き車輪用軸受装置は、外方部材51の端部に、複数段にプレス成形された環状鉄板からなる支持環体71を介してセンサ64が装着され、このセンサ64をエンコーダ63に対向配置させているため、エンコーダ63とセンサ64との相対位置のずれを防止することができ、検出精度を高精度に維持することができる特徴を有しているが、以下に列挙する問題点も内在している。
1.センサ64が支持環体71の径方向に差し入れられているため、センサ64およびハーネス70が外方部材51から径方向外方側に張り出してナックルNと干渉する。この干渉を回避するためには、ナックルNに凹所等の何らかの追加工が必要となり、コストアップの要因となる。
2.センサ63の本体部67は、支持環体71に対して、この本体部67に連接されるL字形状の樹脂製係止片68で固定されているため、飛び石等による樹脂の欠けや脱落、あるいは腐食等が発生し、耐久性の面で信頼性が低い。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、軽量・コンパクト化を図ると共に、検出部に異物が侵入するのを防止し、耐久性と信頼性を向上させた回転速度検出装置付き車輪用軸受装置を提供することを目的としている。
係る目的を達成すべく、本発明のうち請求項1記載の発明は、内周に複列の外側転走面が形成された外方部材と、一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有し、外周に軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に圧入された内輪とからなり、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、この内方部材と前記外方部材のそれぞれの転走面間に転動自在に収容された複列の転動体と、前記内輪に外嵌された磁気エンコーダと、前記外方部材の端部に装着された円環状の嵌合環、およびこの嵌合環に結合され、前記磁気エンコーダに所定のエアギャップを介して対峙する回転速度センサが埋設された保持部とからなるセンサホルダとを備えた回転速度検出装置付き車輪用軸受装置において、前記磁気エンコーダが円環状をなし、その円周方向に関する特性が交互にかつ等間隔に変化するように構成され、この磁気エンコーダのインボード側に前記センサホルダを介してシールが配設されると共に、前記外方部材のインボード側の側端面が前記内輪のインボード側の側端面よりもアウトボード側に位置するように形成され前記外方部材の外周面の径方向内方に、かつ、内輪の外径側の位置において、前記回転速度センサからの出力信号を取り出す端子が径方向外方に立ち上げられ、前記外方部材の端部に沿って周方向に導出されたハーネスに接続されており、前記保持部、前記シール、及び前記端子と前記ハーネスとを接続する導出部が前記外方部材の外周面の径方向内方に、かつ、内輪の外径側に配置されている構成を採用した。
このように、本発明に係る回転速度検出装置付き車輪用軸受装置は内輪回転タイプであって、内輪に外嵌された磁気エンコーダと、外方部材の端部に装着された円環状の嵌合環、およびこの嵌合環に結合され、磁気エンコーダに所定のエアギャップを介して対峙する回転速度センサが埋設された保持部とからなるセンサホルダとを備えた回転速度検出装置付き車輪用軸受装置において、磁気エンコーダが円環状をなし、その円周方向に関する特性が交互にかつ等間隔に変化するように構成され、この磁気エンコーダのインボード側にセンサホルダを介してシールが配設されると共に、回転速度センサからの出力信号を取り出す端子が径方向外方に立ち上げられ、外方部材の端部に沿って周方向に導出されたハーネスに接続されているので、過酷な環境となる実走時においても、磁気エンコーダと回転速度センサの検出部との間に外部から磁性粉末等の異物が侵入するのを確実に防止することができ、車輪の回転速度検出の信頼性を格段に向上させることができる。また、回転速度センサ周りの取り巻きを簡素化でき、組立作業性が一段と向上すると共に、保持部やハーネスが外方部材から径方向外方側に張り出して懸架装置と干渉するのを防止できる。
また、請求項2に記載の発明は、前記嵌合環が、外方部材の外周に圧入される円筒状の嵌合部と、この嵌合部から径方向内方に延び、前記外方部材の端面に密着される鍔部と、この鍔部から軸方向に延びる円筒部とからなり、この円筒部と前記内輪との間に形成される環状空間に前記シールが装着されているので、端子の導出部をシールの径方向外方の空間内に配置することができ、保持部のコンパクト化を図ることができる。
好ましくは、請求項3に記載の発明のように、前記嵌合環が、耐食性を有する非磁性体の鋼鈑からプレス成形によって形成されていれば、長期間に亘って耐久性を維持できると共に、回転速度センサの感知性能に悪影響を及ぼすのを防止することができ、検出精度を高精度に維持することができる。
また、請求項4に記載の発明は、前記回転速度センサが複数の磁気検出素子で構成され、これらの磁気検出素子と前記端子、およびこれらの端子と前記ハーネスとを接続する導出部とが、前記保持部に合成樹脂によって一体にモールド成形されているので、車両の走行中に飛び石等による保持部の欠けや脱落、あるいは腐食等が発生するのを防止でき、耐久性の面で信頼性が高い。
また、請求項5に記載の発明のように、前記シールが、前記嵌合環の円筒部と前記内輪の外径にそれぞれ装着され、互いに対向して配置された環状の第1および第2のシール板からなると共に、この第2のシール板が内輪に外嵌される円筒部と、この円筒部から径方向外方に延びる立板部とを有し、この立板部が前記内輪の大端面から突出して配置されていれば、内輪の幅寸法を必要最小限に抑制することができ、車輪用軸受装置の軽量・コンパクト化を一層図ることができる。
本発明に係る回転速度検出装置付き車輪用軸受装置は、内周に複列の外側転走面が形成された外方部材と、一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有し、外周に軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に圧入された内輪とからなり、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、この内方部材と前記外方部材のそれぞれの転走面間に転動自在に収容された複列の転動体と、前記内輪に外嵌されたエンコーダと、前記外方部材の端部に装着された円環状の嵌合環、およびこの嵌合環に結合され、前記磁気エンコーダに所定のエアギャップを介して対峙する回転速度センサが埋設された保持部とからなるセンサホルダとを備えた回転速度検出装置付き車輪用軸受装置において、前記磁気エンコーダが円環状をなし、その円周方向に関する特性が交互にかつ等間隔に変化するように構成され、この磁気エンコーダのインボード側に前記センサホルダを介してシールが配設されると共に、前記外方部材のインボード側の側端面が前記内輪のインボード側の側端面よりもアウトボード側に位置するように形成され前記外方部材の外周面の径方向内方に、かつ、内輪の外径側の位置において、前記回転速度センサからの出力信号を取り出す端子が径方向外方に立ち上げられ、前記外方部材の端部に沿って周方向に導出されたハーネスに接続されており、前記保持部、前記シール、及び前記端子と前記ハーネスとを接続する導出部が前記外方部材の外周面の径方向内方に、かつ、内輪の外径側に配置されているので、過酷な環境となる実走時においても、磁気エンコーダと回転速度センサの検出部との間に外部から磁性粉末等の異物が侵入するのを確実に防止することができ、車輪の回転速度検出の信頼性を格段に向上させることができる。また、回転速度センサ周りの取り巻きを簡素化でき、組立作業性が一段と向上すると共に、保持部やハーネスが外方部材から径方向外方側に張り出して懸架装置と干渉するのを防止できる。
外周に懸架装置に取り付けるための車体取付フランジを一体に有し、内周に複列の外側転走面が形成された外方部材と、一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有し、外周に前記複列の外側転走面に対向する一方の内側転走面と、この内側転走面から軸方向に延びる円筒状の小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に圧入され、前記複列の外側転走面に対向する他方の内側転走面が形成された内輪とからなる内方部材と、この内方部材と前記外方部材のそれぞれの転走面間に転動自在に収容された複列の転動体と、前記内輪に外嵌されたエンコーダと、前記外方部材の端部に装着された円環状の嵌合環、およびこの嵌合環に結合され、前記磁気エンコーダに所定のエアギャップを介して対峙する回転速度センサが埋設された保持部とからなるセンサホルダとを備えた回転速度検出装置付き車輪用軸受装置において、前記磁気エンコーダが円環状をなし、その円周方向に関する特性が交互にかつ等間隔に変化するように構成され、この磁気エンコーダのインボード側に前記センサホルダを介してシールが配設されると共に、前記外方部材のインボード側の側端面が前記内輪のインボード側の側端面よりもアウトボード側に位置するように形成され前記外方部材の外周面の径方向内方に、かつ、内輪の外径側の位置において、前記回転速度センサからの出力信号を取り出す端子が径方向外方に立ち上げられ、前記外方部材の端部に沿って周方向に導出されたハーネスに接続されており、前記保持部、前記シール、及び前記端子と前記ハーネスとを接続する導出部が前記外方部材の外周面の径方向内方に、かつ、内輪の外径側に配置されている。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明に係る回転速度検出装置付き車輪用軸受装置の第1の実施形態を示す縦断面図、図2は図1の側面図、図3は図1の要部拡大図である。なお、以下の説明では、車両に組み付けた状態で車両の外側寄りとなる側をアウトボード側(図面左側)、中央寄り側をインボード側(図面右側)という。
この回転速度検出装置付き車輪用軸受装置は駆動輪用であって、ハブ輪1と複列の転がり軸受2とをユニット化した、所謂第3世代と称される構成を備えている。
複列の転がり軸受2は、外方部材4と内方部材3と複列の転動体(ボール)5、5とからなる。外方部材4は、S53C等の炭素0.40〜0.80wt%を含む中炭素鋼からなり、外周に懸架装置(図示せず)に取り付けるための車体取付フランジ4bを一体に有し、内周に複列の外側転走面4a、4aが形成されている。この複列の外側転走面4a、4aには、高周波焼入れによって表面硬さを58〜64HRCの範囲に硬化層が形成されている。
一方、ハブ輪1は、アウトボード側の端部に車輪(図示せず)を取り付けるための車輪取付フランジ7を一体に有し、この車輪取付フランジ7の円周等配位置にハブボルト8が植設されている。また、外周には前記複列の外側転走面4a、4aに対向する一方(アウトボード側)の内側転走面1aと、この内側転走面1aから軸方向に延びる円筒状の小径段部1bが形成され、内周にはセレーション(またはスプライン)1cが形成されている。そして、内輪6は小径段部1bに圧入され、その外周に前記複列の外側転走面4a、4aに対向する他方(インボード側)の内側転走面6aが形成されている。ここで、内方部材3は、ハブ輪1と、このハブ輪1に圧入された内輪6を指している。
外方部材4の外側転走面4a、4aと、これらに対向する複列の内側転走面1a、6a間には複列の転動体5、5がそれぞれ収容され、保持器9、9によって転動自在に保持されている。また、外方部材4の端部にはシール10、11が装着され、軸受内部に封入された潤滑グリースの漏洩と、外部から軸受内部に雨水やダスト等が侵入するのを防止している。
ハブ輪1は、S53C等の炭素0.40〜0.80wt%を含む中炭素鋼からなり、アウトボード側のシール10が摺接するシールランド部から内側転走面1aおよび小径段部1bに亙って高周波焼入れによって表面硬さを58〜64HRCの範囲に硬化層が形成されている。これにより、車輪取付フランジ7の基部となるシールランド部は耐摩耗性が向上するばかりでなく、車輪取付フランジ7に負荷される回転曲げ荷重に対して充分な機械的強度を有し、ハブ輪1の耐久性が一層向上する。
本実施形態では、外方部材4のインボード側の端部にセンサホルダ12が装着されている。図3(a)に拡大して示すように、このセンサホルダ12は、嵌合環13と、この嵌合環13に結合された保持部14とからなる。嵌合環13は、外方部材4の外周に圧入される円筒状の嵌合部13aと、この嵌合部13aから径方向内方に延びる鍔部13bと、この鍔部13bから軸方向に延びる円筒部13cとからなり、全体が円環状に形成されている。この嵌合環13は、耐食性を有するステンレス鋼板等をプレス加工にて形成されている。特に、この嵌合環13は、後述する回転速度センサ16の感知性能に悪影響を及ぼさないように、非磁性体の鋼鈑、例えば、オーステナイト系ステンレス鋼鈑(JIS規格のSUS304系等)で形成されるのが好ましい。これにより、長期間に亘って耐久性が維持できると共に、検出精度を高精度に維持することができる。
また、円筒部13cの周方向複数箇所には穿孔15が形成され、保持部14が一体モールド成形されている。そして、シール11が嵌合環13の円筒部13cに内嵌されると共に、嵌合環13の鍔部13bを外方部材4の端面に密着させた状態で、センサホルダ12が外方部材4の端部に圧入固定されている。なお、ここでは、保持部14が嵌合環13に一体モールド成形されたものを例示したが、これに限らず、図示はしないが、穿孔からその一部が径方向内方に突出するように保持部を嵌合環に装着するようにしても良い。
保持部14は、PA(ポリアミド)66等の合成樹脂で断面が略L字状に形成されている。この保持部14には、その内部に後述する磁気エンコーダ23に所定の軸方向すきま(エアギャップ)を介して対峙する回転速度センサ16が包埋されている。回転速度センサ16は、ホール素子、磁気抵抗素子(MR素子)等、磁束の流れ方向に応じて特性を変化させる磁気検出素子と、この磁気検出素子の出力波形を整える波形成形回路が組み込まれたICとからなる。
ここで、図3(b)に模式的に示すように、回転速度センサ16からの出力信号を取り出す端子17が径方向外方に立ち上げられ、外方部材4の端部に沿って周方向に導出されたハーネス18に導出部18aを介して接続されている。回転速度センサ16と端子17、およびハーネス18に接続される導出部18aとが前記保持部14に合成樹脂によって一体にモールド成形されている。これにより、車両の走行中に飛び石等による保持部の欠けや脱落、あるいは腐食等が発生するのを防止でき、耐久性と信頼性を向上させる。また、保持部14やハーネス18が外方部材4から径方向外方側に張り出して懸架装置(図示せず)と干渉するのを防止できると共に、導出部18aをシール11の径方向外方の空間内に配置することができ、保持部14のコンパクト化を図ることができる(図3(a)参照)。
インボード側のシール11は、断面略L字状に形成された環状の第1および第2のシール板19、20からなり、センサホルダ12における嵌合環13の円筒部13cと内輪6の外径にそれぞれ嵌合され、互いに対向して配置されている。第1のシール板19は、センサホルダ12に内嵌される円筒部19aと、この円筒部19aの一端から径方向内方に延びる立板部19bとからなる。第1のシール板19には、サイドリップ21aとグリースリップ21bおよび中間リップ21cとを一体に有し、ゴム等の弾性部材からなるシール部材21が一体に加硫接着されている。
一方、第2のシール板20は、オーステナイト系ステンレス鋼鈑(JIS規格のSUS304系等)、あるいは、防錆処理された冷間圧延鋼鈑(JIS規格のSPCC系等)をプレス加工にて形成され、内輪6に外嵌される円筒部20aと、この円筒部20aから径方向外方に延びる立板部20bとを有している。
前記サイドリップ21aは第2のシール板20の立板部20bに摺接し、グリースリップ21bおよび中間リップ21cは第2のシール板20の円筒部20aに摺接している。また、第2のシール板20における立板部20bの先端は、前記第1のシール板19の円筒部19aに僅かな径方向すきまを介して対峙し、ラビリンスシール22を構成している。これにより、インボード側のシール11の密封性を一層向上させることができる。
ここで、第2のシール板20の円筒部20aは、所定の引抜耐力を確保できる程度の嵌合幅をもって内輪6の外径に嵌合され、円筒部20aの一部および立板部20bが内輪6の大端面から突出して配置されている。これにより、内輪6の幅寸法を必要最小限に抑制することができ、車輪用軸受装置の軽量・コンパクト化を一層図ることができる。
図3(a)に示すように、センサホルダ12の保持部14を挟んでシール11の反対側、すなわち、アウトボード側には磁気エンコーダ23が配設されている。この磁気エンコーダ23は、断面略L字状に形成されたベース24に接合されている。このベース24は、強磁性体の鋼鈑、例えば、フェライト系のステンレス鋼鈑(JIS規格のSUS430系等)や、防錆処理された冷間圧延鋼鈑(JIS規格のSPCC系等)をプレス加工によって形成され、内輪6に外嵌される円筒部24aと、この円筒部24aから径方向外方に延びる立板部24bからなる。そして、この立板部24bのインボード側の側面には、ゴム等のエラストマにフェライト等の磁性体粉が混入された磁気エンコーダ本体23が一体に加硫接着されている。この磁気エンコーダ23は、周方向に交互に磁極N、Sが着磁され、車輪回転速度の検出用のロータリエンコーダを構成している。
このように、本実施形態では、円環状のセンサホルダ12に回転速度センサ16が配設され、この回転速度センサ16のインボード側にシール11が配設されているので、過酷な環境となる実走時においても、磁気エンコーダ23と回転速度センサ16の検出部との間に外部から磁性粉末等の異物が侵入するのを確実に防止することができる。したがって、車輪の回転速度検出の信頼性を格段に向上させることができる。また、コンパクト化ができると共に、回転速度センサ16周りの取り巻きを簡素化でき、組立作業性が一段と向上する。
なお、本実施形態では、回転速度検出装置として、磁気エンコーダ23と、ホール素子等の磁気検出素子からなる回転速度センサ16とで構成されたアクティブタイプの回転速度検出装置を例示したが、本発明に係る回転速度検出装置はこれに限らず、例えば、磁気エンコーダと、磁石と巻回された環状のコイル等からなるパッシブタイプであっても良い。
図4は本発明に係る回転速度検出装置付き車輪用軸受装置の第2の実施形態を示す縦断面図、図5は図4の要部拡大図である。なお、この実施形態は、基本的には前述した実施形態と検出部の構成が異なるだけで、その他同一部位、同一部品、あるいは同一の機能を有する部位には同じ符号を付けてその詳細な説明を省略する。
本実施形態では、外方部材4のインボード側の端部に円環状のセンサホルダ25が装着されている。図5に拡大して示すように、このセンサホルダ25は、嵌合環13と、この嵌合環13に結合された保持部26とからなる。嵌合環13の円筒部13cの周方向複数箇所には穿孔15が形成され、円環状の保持部26が一体モールド成形されている。そして、シール27が、嵌合環13の円筒部13cと内輪6とで形成される環状空間に装着されると共に、嵌合環13の鍔部13bを外方部材4の端面に密着させた状態で、センサホルダ25が外方部材4の端部に圧入固定されている。
保持部26は、PA(ポリアミド)66等の合成樹脂で断面が略L字状に形成されている。この保持部26には、その内部に後述する磁気エンコーダ30に所定の径方向すきま(エアギャップ)を介して対峙する回転速度センサ27が包埋されている。回転速度センサ27は、ホール素子、磁気抵抗素子(MR素子)等、磁束の流れ方向に応じて特性を変化させる磁気検出素子と、この磁気検出素子の出力波形を整える波形成形回路が組み込まれたICとからなる。
ここで、回転速度センサ27からの出力信号を取り出す端子17が径方向外方に立ち上げられ、外方部材4の端部に沿って周方向に導出されたハーネス(図示せず)に、導出部18aを介して接続されている。これにより、前述した実施形態と同様、保持部27やハーネスが外方部材4から径方向外方側に張り出して懸架装置(図示せず)と干渉するのを防止できると共に、回転速度センサ27周りの取り巻きを簡素化でき、保持部26のコンパクト化を図ることができる。
インボード側のシール28は、センサホルダ25と内輪6にそれぞれ装着され、断面略L字状に形成された環状の第1および第2のシール板19、29からなり、互いに対向して配置されている。第2のシール板29は、内輪6に外嵌される円筒部29aと、この円筒部29aから軸方向に延びる円筒状の大径段部29bと、この大径段部29bから径方向外方に延びる立板部29cとを有している。なお、第2のシール板29は、オーステナイト系ステンレス鋼鈑(JIS規格のSUS304系等)、あるいは、防錆処理された冷間圧延鋼鈑(JIS規格のSPCC系等)をプレス加工にて形成されている。
第1のシール板19におけるサイドリップ21aは第2のシール板29の立板部29cに摺接し、また、グリースリップ21bおよび中間リップ21cは第2のシール板29の大径段部29bに摺接している。また、第2のシール板29における円筒部29aの外周面にはゴム等のエラストマにフェライト等の磁性体粉が混入された磁気エンコーダ30が一体に加硫接着されている。この磁気エンコーダ30は、周方向に交互に磁極N、Sが着磁され、車輪回転速度の検出用のロータリエンコーダを構成している。
なお、第2のシール板29における大径段部29bと内輪6の外径との環状空間にはOリング等の弾性部材31が装着され、嵌合部から軸受内部へ雨水やダスト等が侵入するのを防止している。また、ここでは、第2のシール板29の磁気エンコーダ30が一体に接合されたものを例示したが、これに限らず、第2のシール板29と磁気エンコーダ30とを別体に構成しても良い。
このように、本実施形態では、円環状のセンサホルダ25に回転速度センサ27が配設され、この回転速度センサ27のインボード側にシール28が配設されているので、過酷な環境となる実走時においても、磁気エンコーダ30と回転速度センサ27の検出部との間に外部から磁性粉末等の異物が侵入するのを確実に防止することができる。したがって、車輪の回転速度検出の信頼性を格段に向上させることができる。また、回転速度センサ27周りの取り巻きが簡素化でき、組立作業性が一段と向上する。
以上、本発明の実施の形態について説明を行ったが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、あくまで例示であって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
本発明に係る回転速度検出装置付き車輪用軸受装置は、回転速度検出装置が内蔵された内輪回転タイプの車輪用軸受装置に適用することができる。
本発明に係る回転速度検出装置付き車輪用軸受装置の第1の実施形態を示す縦断面図である。 図1の側面図である。 図1の要部拡大図である。 本発明に係る回転速度検出装置付き車輪用軸受装置の第2の実施形態を示す縦断面図である。 同上、要部拡大図である。 従来の回転速度検出装置付き車輪用軸受装置を示す縦断面図である。 同上、要部拡大図である。
符号の説明
1・・・・・・・・・・・・・・・・ハブ輪
1a、6a・・・・・・・・・・・・内側転走面
1b・・・・・・・・・・・・・・・小径段部
1c・・・・・・・・・・・・・・・セレーション
2・・・・・・・・・・・・・・・・複列の転がり軸受
3・・・・・・・・・・・・・・・・内方部材
4・・・・・・・・・・・・・・・・外方部材
4a・・・・・・・・・・・・・・・外側転走面
4b・・・・・・・・・・・・・・・車体取付フランジ
5・・・・・・・・・・・・・・・・転動体
6・・・・・・・・・・・・・・・・内輪
7・・・・・・・・・・・・・・・・車輪取付フランジ
8・・・・・・・・・・・・・・・・ハブボルト
9・・・・・・・・・・・・・・・・保持器
10・・・・・・・・・・・・・・・アウトボード側のシール
11、28・・・・・・・・・・・・インボード側のシール
12、25・・・・・・・・・・・・センサホルダ
13・・・・・・・・・・・・・・・嵌合環
13a・・・・・・・・・・・・・・嵌合部
13b・・・・・・・・・・・・・・鍔部
13c、20a、24a、29a・・円筒部
14、26・・・・・・・・・・・・保持部
15・・・・・・・・・・・・・・・穿孔
16、27・・・・・・・・・・・・回転速度センサ
17・・・・・・・・・・・・・・・端子
18・・・・・・・・・・・・・・・ハーネス
18a・・・・・・・・・・・・・・導出部
19・・・・・・・・・・・・・・・第1のシール板
19b、20b、24b、29c・・立板部
20、29・・・・・・・・・・・・第2のシール板
21・・・・・・・・・・・・・・・シール部材
21a・・・・・・・・・・・・・・サイドリップ
21b・・・・・・・・・・・・・・グリースリップ
21c・・・・・・・・・・・・・・中間リップ
22・・・・・・・・・・・・・・・ラビリンスシール
23、30・・・・・・・・・・・・磁気エンコーダ
24・・・・・・・・・・・・・・・ベース
29b・・・・・・・・・・・・・・大径段部
31・・・・・・・・・・・・・・・弾性部材
51・・・・・・・・・・・・・・・外方部材
51a・・・・・・・・・・・・・・外側転走面
51b・・・・・・・・・・・・・・車体取付フランジ
52・・・・・・・・・・・・・・・内方部材
53・・・・・・・・・・・・・・・ボール
54・・・・・・・・・・・・・・・車輪取付フランジ
54a・・・・・・・・・・・・・・ハブボルト
55・・・・・・・・・・・・・・・ハブ輪
55a、56a・・・・・・・・・・内側転走面
55b・・・・・・・・・・・・・・小径段部
55c・・・・・・・・・・・・・・セレーション
57・・・・・・・・・・・・・・・保持器
58、59・・・・・・・・・・・・シール
60・・・・・・・・・・・・・・・外側継手部材
61・・・・・・・・・・・・・・・ステム部
62・・・・・・・・・・・・・・・回転速度検出装置
63・・・・・・・・・・・・・・・エンコーダ
64・・・・・・・・・・・・・・・センサ
65・・・・・・・・・・・・・・・プラスチックマグネット
66・・・・・・・・・・・・・・・ベース
67・・・・・・・・・・・・・・・本体部
68・・・・・・・・・・・・・・・係止片
69・・・・・・・・・・・・・・・凸部
70・・・・・・・・・・・・・・・コード線
71・・・・・・・・・・・・・・・支持環体
72・・・・・・・・・・・・・・・第1円筒部
73・・・・・・・・・・・・・・・第1環状板部
74・・・・・・・・・・・・・・・第2円筒部
75・・・・・・・・・・・・・・・第2環状板部
76・・・・・・・・・・・・・・・第3円筒部
77・・・・・・・・・・・・・・・センサポケット
78・・・・・・・・・・・・・・・係合孔
79・・・・・・・・・・・・・・・第1のシール板
80・・・・・・・・・・・・・・・第2のシール板
80a・・・・・・・・・・・・・・円筒部
80b・・・・・・・・・・・・・・立板部
81・・・・・・・・・・・・・・・芯金
82・・・・・・・・・・・・・・・シール部材
82a・・・・・・・・・・・・・・サイドリップ
82b、82c・・・・・・・・・・ラジアルリップ
N・・・・・・・・・・・・・・・・ナックル

Claims (5)

  1. 内周に複列の外側転走面が形成された外方部材と、
    一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有し、外周に軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に圧入された内輪とからなり、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、
    この内方部材と前記外方部材のそれぞれの転走面間に転動自在に収容された複列の転動体と、
    前記内輪に外嵌された磁気エンコーダと、
    前記外方部材の端部に装着された円環状の嵌合環、およびこの嵌合環に結合され、前記磁気エンコーダに所定のエアギャップを介して対峙する回転速度センサが埋設された保持部とからなるセンサホルダとを備えた回転速度検出装置付き車輪用軸受装置において、
    前記磁気エンコーダが円環状をなし、その円周方向に関する特性が交互にかつ等間隔に変化するように構成され、この磁気エンコーダのインボード側に前記センサホルダを介してシールが配設されると共に、
    前記外方部材のインボード側の側端面が前記内輪のインボード側の側端面よりもアウトボード側に位置するように形成され
    前記外方部材の外周面の径方向内方に、かつ、内輪の外径側の位置において、前記回転速度センサからの出力信号を取り出す端子が径方向外方に立ち上げられ、前記外方部材の端部に沿って周方向に導出されたハーネスに接続されており、
    前記保持部、前記シール、及び前記端子と前記ハーネスとを接続する導出部が前記外方部材の外周面の径方向内方に、かつ、内輪の外径側に配置されていることを特徴とする回転速度検出装置付き車輪用軸受装置。
  2. 前記嵌合環が、外方部材の外周に圧入される円筒状の嵌合部と、この嵌合部から径方向内方に延び、前記外方部材の端面に密着される鍔部と、この鍔部から軸方向に延びる円筒部とからなり、この円筒部と前記内輪との間に形成される環状空間に前記シールが装着されている請求項1に記載の回転速度検出装置付き車輪用軸受装置。
  3. 前記嵌合環が、耐食性を有する非磁性体の鋼鈑からプレス成形によって形成されている請求項2に記載の回転速度検出装置付き車輪用軸受装置。
  4. 前記回転速度センサが複数の磁気検出素子で構成され、これらの磁気検出素子と前記端子、およびこれらの端子と前記ハーネスとを接続する導出部とが、前記保持部に合成樹脂によって一体にモールド成形されている請求項1乃至3いずれかに記載の回転速度検出装置付き車輪用軸受装置。
  5. 前記シールが、前記嵌合環の円筒部と前記内輪の外径にそれぞれ装着され、互いに対向して配置された環状の第1および第2のシール板からなると共に、この第2のシール板が内輪に外嵌される円筒部と、この円筒部から径方向外方に延びる立板部とを有し、この立板部が前記内輪の大端面から突出して配置されている請求項1乃至4いずれかに記載の回転速度検出装置付き車輪用軸受装置。
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