以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
本発明は、例えば、図1に示すように、体験者に仮想空間映像を視認させながら、体験者に歩行動作を促し、当該歩行動作に同期して映像を更新することにより、体験者に仮想空間を提供する仮想空間内歩行システムに適用される。この仮想空間内歩行システムによって体験者に提示する仮想空間としては、コンピュータによって処理可能な3次元モデルデータとして生成可能なものであればよく、様々な空間を対象とすることができる。
体験者の自然な歩行による移動によって仮想空間を提供する有効な一例としては、街区を3次元モデルデータとして用意しておいて提示する住宅物件紹介システムなどが挙げられる。具体的には、図1に示すように、体験者が住宅の購入を検討するに際して、販売対象となる住宅及び周辺街区を実際のスケール感で表示し、駅やスーパーマーケット、学校といった施設への経路を歩行動作によって疑似体験させることにより、実際に現地に行かなくても、住宅途中の景観や、住宅から各施設までの所要時間を疑似体験させることができる。
[第1実施形態]
本発明を適用した仮想空間内歩行システムは、図1及び図2に示すように、プロジェクタ1によって、体験者の前方に設置した大型のスクリーン2に3次元映像である仮想空間映像Lを投光することにより、体験者の視野をスクリーン2に投影した仮想空間映像Lで覆うことにより、実際のスケール感や臨場感を表現して仮想空間を提供する。ここで、体験者には、プロジェクタ1からスクリーン2に投影する映像提示方式(例えば偏光方式)に応じた3次元映像視認用メガネ(偏光メガネ)を装着させることにより、両眼の視差に対応する3次元映像を生成し、奥行き感のある立体映像を体験させる。
[第1実施形態に係る仮想空間内歩行システムの構成]
この仮想空間内歩行システムは、図2に示すように、プロジェクタ1からスクリーン2に仮想空間映像を更新しながら投光するための構成として、スクリーン2から所定距離だけ離れた床面に設置された足動作検出スイッチ3、当該足動作検出スイッチ3と接続された仮想空間内移動装置4及び仮想空間提示装置5を備える。
足動作検出スイッチ3は、体験者の左右の足のそれぞれに対応して設けられたシート状の右足用足踏みスイッチ3R及び左足用足踏みスイッチ3Lを並べて構成される。この足動作検出スイッチ3は、右足用足踏みスイッチ3Rに体験者の右足が載せられ、左足用足踏みスイッチ3Lに体験者の左足が載せられた状態で足踏み動作がなされて、当該足踏み動作を検出する。
この足動作検出スイッチ3は、体験者の足の着地及び離間に同期してオン及びオフの状態が変化する接点信号を、右足用足踏みスイッチ3R、左足用足踏みスイッチ3Lのそれぞれについて生成して、仮想空間内移動装置4に出力する。これにより、足動作検出スイッチ3は、体験者が静止した状態では双方がオンである右足接点信号及び左足接点信号を出力する。
仮想空間内移動装置4は、例えばパーソナルコンピュータ等で構成され、足動作検出スイッチ3とケーブル11を介して接続された信号入力部21、仮想空間提示装置5と接続された通信部22を備え、仮想空間提示装置5は、仮想空間内移動装置4と接続された通信部31を備える。これにより、仮想空間内歩行システムでは、足動作検出スイッチ3からの接点信号を仮想空間内移動装置4で入力し、仮想空間内移動装置4によって体験者の歩行状態及び体験者の視点情報を演算し、仮想空間提示装置5によってプロジェクタ1からスクリーン2に投影する映像を更新する。
更に詳しくは、仮想空間内移動装置4及び仮想空間提示装置5は、図3に示すような機能的な各部を備える。仮想空間内移動装置4は、信号入力部21に相当する信号入力部41、設定部42、記憶部43、演算部44及び通信部22に相当する通信部45を備える。
信号入力部41は、パーソナルコンピュータにとって汎用的な入力ボードであって、所定時間毎に右足接点信号及び左足接点信号を取り込む。具体的には、信号入力部41は、左足用スイッチ入力部51及び右足用スイッチ入力部52、接点信号入力ボード53を備え、左足用スイッチ入力部51で入力した信号を左足接点信号、右足用スイッチ入力部52で入力した信号を右足接点信号であると接点信号入力ボード53で認識し、A/D変換処理等を施して記憶部43に記憶させる。
記憶部43は、例えばハードディスク装置等からなり、信号入力部41から入力した接点信号を含む体験者の状態データ、設定部42により決定されたパラメータ、体験者の3次元(仮想)空間内での視点に相当する座標位置である視点情報を記憶する。この記憶部43は、内部の記憶領域がパラメータ記憶領域61、状態データ記憶領域62及び視点情報記憶領域63に区分され、演算部44及び設定部42により各領域61〜63を指定した読み込みや書き込みが可能となっている。
設定部42は、体験者の歩行状態を判断するための時間間隔情報、仮想空間内での基準視点位置情報、体験者の歩行動作に同期した仮想空間の移動速度である単位移動速度情報、体験者の1度の歩行転換によって仮想空間を体験者の位置を中心として回転させる角度である単位移動角度情報等のパラメータの設定を行う。ここで、単位移動速度は、仮想空間の移動速度であって仮想空間内の体験者の視点の移動速度でもあり、単位移動角度は、仮想空間の回転角度であって仮想空間内の体験者の視点の移動角度でもある。また、パラメータは、個々の体験者ごとに設定しても良く、更には大人や子供、男女、年齢ごとに設定しても良い。
また、設定部42は、仮想空間内の方向転換をさせるに際して、仮想空間を平行移動させるか回転移動させるかを設定する描画設定情報も生成する。これにより、実空間との違いとして、仮想空間内の方向転換では回転よりも平行移動の方が生理的な不快感が軽減される場合があるが、描画設定情報の設定を変更するだけで、体験者に同一の動作をさせても簡単に回転移動又は平行移動に切り替えることができ、対象とする仮想空間に柔軟に対応可能となる。
この設定部42は、例えばポテンショメータやディップスイッチ等の操作機構であるハードウェア構成、又はグラフィックユーザインタフェースを備えた機器と汎用インタフェースを介して接続された構成を有する。この設定部42は、ハードウェア構成やグラフィックユーザインタフェース等によって、体験者やシステム管理者等の設定操作を入力すると、当該設定操作に応じたパラメータを生成する。そして、設定部42は、生成したパラメータを記憶部43のパラメータ記憶領域61に記憶させる。
演算部44は、記憶部43や他のメモリに記憶された処理プログラム71を実行することにより、体験者の歩行状態に応じて仮想空間を更新するための処理を行うCPU(Central Processing Unit)やRAM(Random Access Memory)等からなる。この演算部44は、記憶部43に記憶された状態データに基づいて体験者の歩行状態を認識する状態判定処理を実行する。このとき、演算部44は、予め用意しておいた歩行状態ごとの接点信号のパターンと、所定期間に亘る接点信号の変化状態とを比較して、予め設定された複数の歩行状態のうちの何れかの歩行状態であるかを判定する。
そして、演算部44は、認識した歩行状態に応じて、記憶部43に記憶されたパラメータ及び状態データを用いて視点の移動速度及び移動方向を求め、現在の視点情報を生成することにより、足動作検出スイッチ3からの接点信号に基づいて、仮想空間内の視点位置をリアルタイム且つインタラクティブに変更する。そして、演算部44は、視点情報記憶領域63に記憶する現在の視点情報を更新して、通信部45を介して仮想空間提示装置5に送信させる。なお、この仮想空間内の視点位置を更新する処理の手順については後述する。
通信部45は、シリアルポートなどの汎用インタフェース回路である汎用入出力ボード81を備える。この通信部45は、演算部44によってリアルタイムで更新されている視点情報記憶領域63に記憶された視点情報を読み出すことにより、仮想空間提示装置5にリアルタイムに送信する。
仮想空間提示装置5は、通信部45と同様の通信方式によってシリアルデータを受信する通信部31に相当する通信部91、仮想空間生成部92、プロジェクタ1と接続された映像提示部93を備える。この仮想空間提示装置5は、仮想空間内移動装置4から視点情報であるシリアルデータを通信部91によって受信すると、当該視点情報を仮想空間生成部92に送る。
仮想空間生成部92は、プロジェクタ1からスクリーン2に投影するための三次元モデルデータである仮想空間映像データを記憶するハードディスク装置や、視点情報に応じた仮想空間映像を生成する演算部等からなる。この仮想空間生成部92は、通信部91から視点情報が送られることに応じて、当該視点情報によって示される仮想空間内の座標位置をスクリーン2の中心位置となるような仮想空間映像データを生成して、映像提示部93に出力する。
映像提示部93は、仮想空間生成部92から仮想空間映像データを入力すると、当該仮想空間映像データをプロジェクタ1で処理可能な信号とする変換処理等を行って、プロジェクタ1に出力する。これにより、仮想空間提示装置5は、仮想空間内移動装置4によって演算された体験者の視点に対応した仮想空間映像をスクリーン2に投影する。
「状態判定処理」
つぎに、演算部44により実行する状態判定処理について説明する。
先ず、体験者が足動作検出スイッチ3上で歩行し始めると、足動作検出スイッチ3によって検出されて記憶部43に状態データとして記憶される接点信号の時間変化は、図4に示すようになる。すなわち、歩行開始から通常歩行動作となる場合には、右足接点信号及び左足接点信号が共にオン状態の静止状態から、右足接点信号のみがオフ状態となって歩行開始動作となった後、右足接点信号及び左足接点信号が共にオン状態とオフ状態とで周期的に変化し、且つ、双方の接点信号がオン状態とオフ状態との間で切り換わる一時的な期間で双方の接点信号が共にオン状態になる通常歩行動作となる。
ここで、通常歩行動作において、接点信号のオン状態からオフ状態となる期間及び接点信号のオフ状態からオン状態となる時間は0.2秒程度〜2秒程度であり、双方の接点信号が共にオン状態となる時間は0.05秒程度となる。したがって、設定部42は、当該接点信号のパターンの範囲をパラメータとして記憶部43に記憶させておき、当該記憶された接点信号のパターンの範囲の状態データである場合には、演算部44は、体験者の歩行状態を通常歩行状態と判定する。
これにより、演算部44は、各接点信号のオン状態とオフ状態との切り替わりを一歩としてカウントし、当該カウント値が更新されるたびに、視点を単位移動速度に応じた距離だけ平行移動させるように更新することになる。
なお、通常歩行状態を判定する接点信号の時間間隔、単位移動速度は、設定部42によって変更しても良く、体験者に応じて選択しても良い。また、各接点信号の変化が不連続となり、接点信号のパターンに該当しない場合には、接点信号のパターンに該当する時の接点信号に基づいて視点位置を更新することにより、滑らかに加速及び減速を行うこともできる。
また、体験者が歩行方向を転換する場合、接点信号の時間変化は、図5に示すように、バスケットボールでのターン動作のように、一方の足を軸にして、他方の足を何度か踏み変える動作となり、この動作を検出した場合に、演算部44は、方向転換である判定する。すなわち、右足接点信号及び左足接点信号が共にオン状態の静止状態から、右に歩行方向の転換をして再度静止状態となる場合には、左足接点信号がオン状態に保持された状態で、右足接点信号がオン状態とオフ状態との間で変化し、そして、再度右足接点信号及び左足接点信号が共にオン状態となる。これに対し、左に歩行方向の転換をする場合には、右足接点信号がオン状態に保持された状態で、左足接点信号がオン状態とオフ状態との間で変化する。
そして、演算部44は、記憶部43に図5に示すような状態データが記憶された場合に、体験者の歩行状態が方向転換であると判定する。また、演算部44は、一方の接点信号がオン状態に保持された状態で、他方の接点信号がオン状態とオフ状態を繰り返した数によって方向転換歩数をカウントし、当該カウント値が更新されるたびに、視点を単位移動角度に応じた距離だけ、右又は左方向に体験者の実際の視点位置を中心とした角度だけ回転移動させるように更新することになる。
なお、方向転換の歩行状態を判定した接点信号のオンオフに対する単位移動角度は、設定部42によって変更しても良く、体験者に応じて選択しても良い。また、各接点信号の変化が不連続となり、接点信号のパターンに該当しない場合には、接点信号のパターンに該当する時の接点信号に基づいて視点位置を更新しても良い。
更に、体験者の歩行動作の他の例としては、ジャンプや走行、走行しながらの方向転換などがある。
これに対し、演算部44は、図6に示すように、右足接点信号及び左足接点信号が共に同時又は短い時間間隔のずれでオン状態とオフ状態との間で変化する場合には、ジャンプ動作であると判定する。そして、演算部44は、予めパラメータとして設定された所定高さだけ視点位置を一時的に高くした後に、元の視点位置とする視点情報を生成することになる。
また、演算部44は、歩行状態をジャンプであると判定した場合において、上下方向に視点位置の高さを移動させる場合には、双方の接点信号が共にオフ状態となった時間を計測することにより、視点位置の高さの移動距離を変更させることが望ましく、視点位置の上下方向の移動に関して、一方的に上昇或いは下降と仮定するのが不自然となることがあり、別の入力スイッチを用いるなどの手法を組み合わせて移動方向を変更することが望ましい。更に、演算部44は、連続して複数回に亘るジャンプ動作を認識した場合には、ジャンプ動作の回数が多いほど、視点位置を高くするようにしても良い。
また、演算部44は、図7に示すように、右足接点信号と左足接点信号とが交互にオン状態とオフ状態との間で切り換わり、且つ右足接点信号と左足接点信号が共に同時にオン状態となる期間がない場合には、体験者が走行している状態であると判定する。これにより、同時に双方の接点信号が共にオン状態となる期間が有るか否かによって、通常歩行状態と、走行状態とを区別して判定可能となる。そして、演算部44は、予めパラメータとして設定された走行時の単位移動速度に応じて仮想空間を移動させるような視点情報を生成することになる。
更に、演算部44は、図8に示すように、一方の接点信号がオフ状態に保持された状態で、他方の接点信号がオン状態とオフ状態との間で切り換わる場合には、走行しながらの方向転換或いは横移動と判定する。そして、演算部44は、予めパラメータとして設定された走行時の単位移動角度に応じて仮想空間を移動させるような視点情報を生成することになる。
このような状態判定処理によれば、走行状態での一歩が歩行状態での一歩より移動距離が大きいことを視点位置の移動に反映することで、より自然な移動感覚を体験者に与えることが可能となる。
なお、仮想空間内の地面に沿って視点位置を移動させる場合には、必ずしもジャンプ動作をさせて視点位置の高さを変更させる必要はなく、歩行進行方向での地面の高さの変化、すなわち階段等の段差や斜面に沿って、視点位置を変化させる。
また、設定部42により、体験者の歩幅や方向転換の角度を実測して、一歩での単位移動速度(距離)や単位移動角度として設定することにより、例えば大人と子供の歩幅の差などを反映させることができ、より実際の歩行感覚に近い視点位置の移動を実現することが可能となる。
更に、足動作検出スイッチ3としてシート状のものを使用しているので、実際には、歩行に近い足踏みを行うことになるが、足動作検出スイッチ3に体験者の歩行方向に沿って回転する回転機構を組み込んでも良く、更には、足動作検出スイッチ3に方向転換に沿って回転する回転機構を組み込んでも良い。これにより、体験者の動きをより自然な歩行に近づけることもできる。
更にまた、オン状態とオフ状態とが切り換わる足側に方向転換したり、あるいは平行移動するのが体験者にとっては自然であるが、オン状態とオフ状態とが切り換わる足側とは反対側へ平行移動させてもよく、設定部42で設定可能としても良い。この場合、ローラースケートでの移動を模擬した動作によって、仮想空間内を移動することが可能となり、パラメータの設定を変えることで、対象とする様々な仮想空間に柔軟に対応できる。
[仮想空間内移動処理]
つぎに、上述した仮想空間内移動装置4により状態判定処理及び視点情報更新処理を行って、仮想空間提示装置5及びプロジェクタ1により提示する仮想空間を移動させる仮想空間内移動処理の処理手順について図9乃至図11のフローチャートを参照して説明する。
この仮想空間内移動処理は、先ず、ステップS1において、仮想空間内移動装置4の演算部44により、初期パラメータ設定を行う。すなわち、演算部44は、パラメータ記憶領域61に記憶されているパラメータのうち、各人に共通するパラメータを読み込む処理や、体験者に応じたパラメータを読み出す処理を行って、以降に行う処理の初期設定を行う。
次のステップS2において、例えば設定部42を構成するハードウェア構成やグラフィックユーザインタフェースに対して体験者やシステム管理者の設定操作がなされたか否かを判定し、設定部42により設定入力を検出していない場合には、ステップS5に処理を進め、設定部42により設定入力を検出した場合には設定モードに移行してステップS3及びステップS4の処理を行ってステップS5に処理を進める。
この設定モードにおいて、設定部42は、ステップS2で検出した設定入力に応じたパラメータを生成し、当該生成したパラメータを今回の処理で使用するパラメータとして設定更新して(ステップS3)、パラメータ記憶領域61に保存する(ステップS4)。
次に仮想空間内移動装置4は、ステップS5において、足動作検出スイッチ3からの接点信号を信号入力部41の左足用スイッチ入力部51及び右足用スイッチ入力部52により入力し、接点信号入力ボード53を介して記憶部43に記憶することにより状態データを取得する。
次に仮想空間内移動装置4は、ステップS6において、演算部44により、体験者の歩行状態を判定する状態判定処理を行う。
このとき、演算部44は、図10に示すように、ステップS11において、先ずステップS5で記憶された状態データを読み出して、最新の所定期間内の状態データにおけるオン状態及びオフ状態を検出し、ステップS12において、ステップS11で検出した状態変化の検出結果から、オン状態が継続している時間、オフ状態が継続している時間をそれぞれを右足及び左足のそれぞれについて算出する。
次に演算部44は、ステップS13において、ステップS12で検出した右足及び左足のそれぞれについてのオン状態継続時間及びオフ状態継続時間と、予め記憶しておいた歩行状態ごとの接点信号のパターンとを比較して体験者の状態を算出し、ステップS14において、ステップS13で動作状態の認識の算出が可能であったか否かを判定する。
すなわち、右足及び左足のそれぞれについてのオン状態継続時間及びオフ状態継続時間が、予め記憶しておいた歩行状態ごとの接点信号のパターンに該当しなかった場合には、動作状態の認識ができなかったと判定して図9のステップS7に処理を戻す。一方、該当した場合には、ステップS15に処理を進める。次に演算部44は、ステップS15において、ステップS13で算出した体験者の状態を状態データとして記憶部43に出力して記憶させて、ステップS7に処理を進める。このとき、演算部44は、体験者の状態として、図4〜図8を参照して説明した通常歩行状態(前進又は後進)、方向転換状態(右方向又は左方向)、ジャンプ状態、走行状態、走行時の方向転換状態(右方向又は左方向)の何れかであるかを状態データとして記憶させる。また、演算部44は、何れかの状態における歩数も状態データとして記憶させる。このような処理を行う演算部44は、状態判定手段として機能することになる。
なお、このステップS13は、予めパラメータとして設定されている判断のための時間間隔ごとに実行することになり、以降の処理及び後述する図11に示す視点情報更新処理も、パラメータとして設定されている判断のための時間間隔ごとに実行することになる。
ステップS7において、仮想空間内移動装置4は、ステップS6の状態判定処理を行った結果、体験者の動作状態が判定されて、記憶部43に記憶されているか否かを判定し、体験者の動作状態が判定された場合にはステップS8において、視点情報更新処理に移行する。動作状態が判定されていない場合にはステップS9に処理を進め、仮想空間内移動処理を終了させることを入力した場合には処理を終了し、そうでない場合にはステップS2以降の処理を繰り返す。
ステップS8の視点情報更新処理は、図11に示すように、演算部44により、先ずステップS21において、以前の状態判定処理で認識されて状態データとして記憶されている体験者の動作状態と、今回の状態判定処理で認識されて状態データとして記憶されている体験者の動作状態とを比較する。
次に演算部44は、ステップS22において、ステップS21での比較の結果から、視点情報の変更量を算出する。このとき、演算部44は、図10のステップS15で記憶された体験者の状態及び当該状態での歩数から、仮想空間内での視点位置の変更量を算出する。例えば通常歩行状態である場合には、歩数に単位移動速度を乗じて視点位置の変更量を求め、方向転換状態である場合には、歩数に単位移動角度を乗じて視点位置の変更量を求める。
次に演算部44は、ステップS23において、ステップS22で求めた視点位置の変更量を最新の状態データとして記憶し、ステップS24において、視点情報の変更を行う。このとき、演算部44は、現在の視点位置をステップS22で求めた変更量だけずらした仮想空間内での座標を求める。ここで、演算部44は、前進の歩行動作である場合には仮想空間の奥行き方向に視点位置を平行移動させ、方向転換の動作である場合には予め設定された描画設定情報に従って、仮想空間の右方向又は左方向に平行移動又は回転移動させるように視点位置を決定する。
次に演算部44は、ステップS25において、ステップS24で変更した更新後の視点情報を記憶部43に保存し、通信部45を介して仮想空間提示装置5に送出する。これにより、仮想空間提示装置5では、新たな視点情報を通信部91で受信完了すると、仮想空間生成部92により視点位置を仮想空間内の中心位置とした仮想空間映像データを生成する。そして、映像提示部93によってプロジェクタ1を駆動させることにより、体験者の動作に応じた視点位置を視野中心とした仮想空間映像をスクリーン2に投影する。これにより、演算部44は、視点位置更新手段として機能することになる。
[第1実施形態の効果]
以上詳細に説明したように、本発明を適用した第1実施形態に係る仮想空間内歩行システムによれば、足動作検出スイッチ3という単純、安価な構成であって設置が簡単なセンサを使用するので、非常に単純な機構で特別な装着物なしで体験者の動作として方向転換動作を検出して仮想空間映像を更新することができる。
また、この仮想空間内歩行システムによれば、足動作検出スイッチ3からの接点信号のオンオフを検出するのみで方向転換を検出することができ、複雑な機構や複雑な演算を必要とせず安価に構成でき、歩行状態の誤認識も起こしにくい。また、誤認識を起こした場合でも、問題箇所を明確化にしやすく、状態判断のための時間間隔等のパラメータを設定しなおすことで認識率の改善が可能である。
すなわち、人間の2足歩行という歩行動作の特徴を簡略化し、左右の足に対応した右足用足踏みスイッチ3R及び左足用足踏みスイッチ3Lのオンオフ状態を検出するという単純なデータの時間変化に基づいて、静止状態、歩行状態のみならず、方向転換状態という基本状態に分割することができる。また、各動作状態に対してオンオフの回数に単位移動距離又は単位移動角度を乗ずるといった簡単な演算により移動速度及び移動方向を算出することができ、自然な感覚に近い歩行動作によって仮想空間を体験させることができる。
また、一方の足を軸に少しずつ他方の足を回転したり、横滑りしたり、急な方向転換の場合にたたらを踏むような動きをすることは、日常行われる動きであり、自然な歩行動作からのずれは大きくない。これに対し、左右の足ふみを検出するのみで方向転換を認識することができるので、歩行動作の誤認識により体験者の意図に沿わない方向に仮想空間を移動させることなく、更には、転換方向に対応した複数のスイッチを設けて転換方向によってボタン等を押し分けるために足元を確かめながら方向転換をさせたりという、不自由さを体験者に与えることがなく、直感的に自由な仮想空間を体験させることができる。
したがって、特に、大型のスクリーン2を用いた広い視野を実現するプロジェクタ1により仮想空間を実際のスケール感で表示する場合には、実際の歩行に近い形で仮想空間内を移動させることが求められるが、大掛かりな装置を用いたり、体験者に様々なセンサを装着させたりする必要がなく自然な歩行に近い感覚で仮想空間を体験させることができ、仮想空間内歩行システムの応用範囲を拡げることができる。
また、等身大スケールの仮想空間映像を使用した仮想空間の体験をさせる場合であっても、スクリーン2やシート状の足動作検出スイッチ3を丸めてコンパクトに携帯でき、プロジェクタ1としてモバイルプロジェクタを使用したり、仮想空間内移動装置4及び仮想空間提示装置5としてノートパソコンを使用する組み合わせにより体験システムを構成でき、個人レベルでの運搬、利用場所を選ばないという効果も発揮することができる。
更にまた、この仮想空間内歩行システムによれば、歩幅などの個々の体験者によって異なる歩行特性によってパラメータを調節することにより、個々の体験者に適合した歩行動作に応じた仮想空間を実現して体験させることができ、逆に、例えば大人が子供の歩行感覚で距離感を体験して評価したり、高齢者の歩行感覚を体験したり、マラソンコースに沿って走行動作を体験させることが簡単にできるという効果をも発揮することができる。
[第2実施形態]
つぎに、本発明を適用した第2実施形態に係る仮想空間内歩行システムについて説明する。なお、上述した実施形態と同様の部分については同一の番号を付することによりその詳細な説明を省略する。
この第2実施形態に係る仮想空間内歩行システムは、図12に示すように、足動作検出スイッチ3を構成する右足用足踏みスイッチ3R及び左足用足踏みスイッチ3Lのそれぞれを仮想空間の前後方向に分割して構成したことを特徴とする。この足動作検出スイッチ3は、図13(A)に示すように、右足用足踏みスイッチ3R−1及び左足用足踏みスイッチ3L−1に両足が載せられた場合には体験者が前進歩行状態であると認識し、図13(B)に示すように、右足用足踏みスイッチ3R−2及び左足用足踏みスイッチ3L−2に両足が載せられた場合には体験者が後進歩行状態であると認識する。
すなわち、足動作検出スイッチ3は、スクリーン2に対して前方に位置する右足用足踏みスイッチ3R−1及び左足用足踏みスイッチ3L−1、スクリーン2に対して右足用足踏みスイッチ3R−1及び左足用足踏みスイッチ3L−1よりも離間して配置された右足用足踏みスイッチ3R−2及び左足用足踏みスイッチ3L−2からなる。換言すれば、足動作検出スイッチ3は、右足用と左足用の一対の足踏みスイッチが、前後して2組並べられて構成されている。
そして、足動作検出スイッチ3は、右足用足踏みスイッチ3R−1、左足用足踏みスイッチ3L−1、右足用足踏みスイッチ3R−2、左足用足踏みスイッチ3L−2のそれぞれから接点信号を仮想空間内移動装置4に出力する。
仮想空間内移動装置4は、足動作検出スイッチ3からのそれぞれの接点信号を信号入力部41で入力する。そして、信号入力部41は、右足用足踏みスイッチ3R−1からの接点信号を前方右足接点信号、左足用足踏みスイッチ3L−1からの接点信号を前方左足接点信号、右足用足踏みスイッチ3R−2からの接点信号を後方右足接点信号、左足用足踏みスイッチ3L−2からの接点信号を後方左足接点信号として、記憶部43の状態データ記憶領域62に記憶させる。
ここで、仮想空間内移動装置4は、前方の右足用足踏みスイッチ3R−1及び左足用足踏みスイッチ3L−1からの接点信号を前進歩行時と認識し、後方の右足用足踏みスイッチ3R−2及び左足用足踏みスイッチ3L−2からの接点信号を後方歩行時と認識するように設定部42によりパラメータ設定が行われている。これにより、演算部44は、足動作検出スイッチ3からの接点信号によって、歩行状態が前方又は後方であると認識できる状態判定処理を行う。そして、演算部44は、歩行状態が前方であると判定した場合には仮想空間の奥行き方向に平行移動する視点位置を決定し、歩行状態が後方であると判定した場合には仮想空間の手前方向に平行移動する視点位置を決定する。
このような第2実施形態に係る仮想空間内歩行システムによれば、仮想空間内での歩行については前進のみが可能なインタフェースが多いが、スクリーン2に対して前方と後方とに2分割して足動作検出スイッチ3を構成することにより、上述した第1実施形態で説明した処理をほとんどそのまま行って、自然な仮想空間の奥行き及び手前への移動を実現することができる。
また、この仮想空間内歩行システムによれば、足動作検出スイッチ3をシート状に構成しているので、可搬性、低コストで仮想空間を実現することができる。
更に、この仮想空間内歩行システムによれば、足動作検出スイッチ3を前後の2対で構成したことにより、前進及び後進のみならず、前方の右足用足踏みスイッチ3R−1及び左足用足踏みスイッチ3L−1からの接点信号を入力して方向転換させる時には仮想空間を平行移動させ、後方の右足用足踏みスイッチ3R−2及び左足用足踏みスイッチ3L−2からの接点信号を入力して方向転換させる時には仮想空間を回転移動させるように設定しても良く、更には、前方の右足用足踏みスイッチ3R−1及び左足用足踏みスイッチ3L−1からの接点信号を入力した場合には仮想空間を上昇移動させ、後方の右足用足踏みスイッチ3R−2及び左足用足踏みスイッチ3L−2からの接点信号を入力した場合には仮想空間を下降移動させるように設定しても良い。これにより、各足踏みスイッチに割り当てる内容を設定部42によって設定することにより、更に体験者の仮想空間内での移動を直感的なものとすることができ、且つ移動の自由度を高めることができる。
[第3実施形態]
つぎに、本発明を適用した第3実施形態に係る仮想空間内歩行システムについて説明する。なお、上述した実施形態と同様の部分については同一の番号を付することによりその詳細な説明を省略する。
この第3実施形態に係る仮想空間内歩行システムは、図14に示すように、体験者の操作によって伸縮する伸縮レバー100を仮想空間内移動装置4に接続して構成したことを特徴とするものである。
この伸縮レバー100は、体験者に操作されるレバー部101と、当該レバー部101を支持する台座部102とからなる。この伸縮レバー100は、台座部102とレバー部101との接続部分であって、台座部102に伸縮位置計測機構が設けられる。また、レバー部101は、所定の位置が体験者の握り位置としてマーク又は提示されており、当該握り位置が握られて伸縮する。ここで、伸縮位置計測機構は、レバー部101の下部をマグネット等によって床面に対して緩やかな反力で固定する構造となっている。
これにより、伸縮レバー100は、体験者にレバー部101が握られ、例えば体験者の腰位置等の所定高さに握り位置を合わせるように操作をさせることにより、図15(A)に示す背の高い体験者の伸縮位置と、図15(B)に示す背の低い体験者の伸縮位置とで操作量及び操作方向が異なる伸縮位置信号を仮想空間内移動装置4に供給する。
これに対し、仮想空間内移動装置4は、信号入力部41で伸縮位置信号を入力すると、パラメータとして記憶部43のパラメータ記憶領域61に記憶する。そして、設定部42は、仮想空間映像を表示させる前に、視点の基準位置を伸縮位置信号によって上下方向に補正することにより、体験者に応じた視点の高さ位置とする。
このような第3実施形態に係る仮想空間内歩行システムによれば、体験者に伸縮レバー100を操作させることにより、仮想空間内で基準となる視点位置を体験者の実際の視点位置に変更することができ、更に体験者にとって違和感が少ない自然な仮想空間を提供することができる。
また、この仮想空間内歩行システムでは、パラメータの設定時に体験者の背の高さを決定したことに応じて基準となる単位移動速度や単位移動角度を変更しても良く、具体的には背が高い体験者ほど、単位移動速度及び単位移動角度を大きな値とする。
更にまた、この仮想空間内歩行システムでは、通常の歩行動作においては、仮想空間内の床面等の基準面から目線高さに相当する一定の視点位置の高さで仮想空間を移動させるが、体験者に仮想空間の体験中にレバー部101を操作させて、上方向の伸縮位置信号を信号入力部41で入力した場合に、鳥が飛ぶように自由な高さを視点位置とした仮想空間で移動させることもできる。したがって、この仮想空間内歩行システムによれば、足ふみによる歩行動作を妨げることなく、任意の時点で自由に視点位置の高さを変更させることができ、仮想空間内での視点位置の移動の自由度を高めることができる。
また、伸縮レバー100は、レバー部101の上下操作に連動して視点位置の高さを上下させることができるので、直感的な操作が可能であり、体験者が子供の場合は視点位置を低く、背の高い大人の場合は視点位置を高く、腰の曲がったお年寄りの場合は相当する高さに自然な感覚で設定することも可能となる。
[第4実施形態]
つぎに、本発明を適用した第4実施形態に係る仮想空間内歩行システムについて説明する。なお、上述した実施形態と同様の部分については同一の番号を付することによりその詳細な説明を省略する。
この第4実施形態に係る仮想空間内歩行システムは、図16に示すように、体験者の操作によってスクリーン2に対する前後方向に傾倒動作する傾斜レバー110を仮想空間内移動装置4に接続し、足動作検出スイッチ3が設置された床面部分を傾動駆動させることを特徴とするものである。
傾斜レバー110は、体験者に操作されるレバー部111と、当該レバー部111を支持する台座部112とからなる。この傾斜レバー110は、台座部112とレバー部111との接続部分であって、台座部112に傾倒角度計測機構が設けられる。この傾斜レバー110は、所定の操作力がレバー部111に加えられて、傾倒角度及び傾斜方向が仮想空間内移動装置4によって検出される。
また、この仮想空間内歩行システムは、レバー部111の操作に応じて床面を傾動駆動させる駆動回路を備える。この駆動回路は、レバー部111と直接接続され、当該レバー部111の台座部112に対する傾斜操作方向及び傾斜操作角度に応じて床面の傾斜方向及び傾斜角度を変更するようにギヤやモータ等の機構を駆動させても良く、更には仮想空間内移動装置4からの制御信号に応じて床面の傾斜方向及び傾斜角度を変更させても良い。
このような仮想空間内歩行システムは、図17(a)に示すようにスクリーン2に対して後方にレバー部111が操作された場合、図17(b)に示すようにレバー部111の軸方向と床面113の平面方向とが略直角になるように、床面113のスクリーン2側(前方側)を上昇又はスクリーン2に対する後方側を下降させるように駆動させても良く、更には、レバー部111の傾きにより視線方向の仰角、俯角を変化させる場合には、図17(c)に示すように床面113のスクリーン2側(前方側)を下降又はスクリーン2に対する後方側を上昇させるように駆動させても良い。
また、仮想空間内歩行システムは、図17(d)に示すようにスクリーン2に対して前方にレバー部111が操作された場合、図17(e)に示すようにレバー部111の軸方向と床面113の平面方向とが略直角になるように、床面113のスクリーン2側(前方側)を下降又はスクリーン2に対する後方側を上昇させるように駆動させても良く、更には、レバー部111の傾きにより視線方向の仰角、俯角を変化させる場合には、図17(f)に示すように床面113のスクリーン2側(前方側)を上昇又はスクリーン2に対する後方側を下降させるように駆動させても良い。
このようなレバー部111の傾斜方向に対する床面113の傾斜方向は、例えば台座部112のギア機構等によって一意に決定されていても良く、変更可能にして仮想空間内移動装置4の設定部42によりパラメータとして設定可能としても良い。
これに対し、仮想空間内移動装置4は、レバー部111の傾斜方向及び傾斜角度を信号入力部41により入力すると、状態データとして記憶部43に記憶させる。これにより、仮想空間内移動装置4は、ステップS22において視点位置の変更量を上下方向に移動させる。具体的には、仮想空間内移動装置4は、図17(b)、(f)のように床面113を傾動させた場合には、体験者が坂道を登っているような仮想空間を実現するために、床面113の傾動角度に応じた量だけ視点位置を上昇させ、図17(c)、(e)のように床面113を傾動させた場合には、体験者が坂道を下っているような仮想空間を実現するために、床面113の傾動角度に応じた量だけ視点位置を下降させる。
このような第4実施形態に係る仮想空間内歩行システムによれば、レバー部111の傾倒操作に応じて床面113を傾動駆動し、当該床面113の動作と連動して仮想空間内の視点位置を上下に移動させるので、坂道を昇り降りするような自然な感覚での仮想空間内の移動が可能となる。また、歩行動作を妨げることなく歩行による前進や後退に伴う自然な形で視点位置の高さを変化させることができ、仮想空間内での視点位置の移動の自由度を高めることができる。
また、この仮想空間内歩行システムによれば、レバー部111を前に傾けた場合に床面113も前傾させると共に、レバー部111を後に傾けた場合に床面113も後傾させるので、レバー部111の傾きにより視線方向の仰角、俯角も変化させることができ、より自然な歩行動作によって仮想空間を体験させることができる。
[第5実施形態]
つぎに、本発明を適用した第5実施形態に係る仮想空間内歩行システムについて説明する。なお、上述した実施形態と同様の部分については同一の番号を付することによりその詳細な説明を省略する。
この第5実施形態に係る仮想空間内歩行システムは、図18に示すように、右足用足踏みスイッチ3R及び左足用足踏みスイッチ3Lに対応して、右足用スピーカ121R及び左足用スピーカ121Lからなる床面設置スピーカ(音響出力手段)を設けたことを特徴とするものである。
この床面設置スピーカは、右足用足踏みスイッチ3Rに対する足踏み動作がなされた場合には右足用スピーカ121Rによって音響出力し、左足用足踏みスイッチ3Lに対する足踏み動作がなされた場合には左足用スピーカ121Lによって音響出力する。右足用スピーカ121R及び左足用スピーカ121Lから出力する音響の種類としては、仮想空間内を歩行することに伴う音響であって、例えば足音や床のきしみ音が挙げられる。
これに対し、仮想空間内移動装置4は、信号入力部41で右足用足踏みスイッチ3Rから右足接点信号を入力すると、右足用スピーカ121Rに音響データを出力して音響出力させ、信号入力部41で左足用足踏みスイッチ3Lから左足接点信号を入力すると、左足用スピーカ121Lに音響データを出力して音響出力させる。このとき、仮想空間内移動装置4は、例えば仮想空間において体験者の歩行面の状況を仮想空間提示装置5によって提示している仮想空間映像データから認識し、当該仮想空間映像に応じた足音を音響出力するための音響データを選択しても良く、仮想空間提示装置5から直接音響データを受信して、右足用スピーカ121R及び左足用スピーカ121Lを駆動させても良い。
これにより、仮想空間内歩行システムによれば、足動作検出スイッチ3に対する足ふみに連動した音響を足動作検出スイッチ3部分で発生させることができるので、仮想空間の臨場感を高めることができる。なお、右足用スピーカ121R及び左足用スピーカ121Lとしては、足動作検出スイッチ3のオンオフに連動して、本発明の移動装置内に組み込むことが可能なレベルの簡易な音源からの音響を発生することでも臨場感が高められる。
また、この仮想空間内歩行システムによれば、足動作検出スイッチ3をシート状に構成して、足動作検出スイッチ3の下面に右足用スピーカ121R及び左足用スピーカ121Lを簡単に組み込むことができる。
更に、この仮想空間内歩行システムによれば、足動作検出スイッチ3に対する足踏み感覚を体験者に与える他の構成として、足動作検出スイッチ3にライト等の発行手段を組み込んで所定間隔で点滅させることにより、当該点滅周期に従って体験者に歩行動作を促すこともでき、ペースメーカやトレーニング的な用途にも応用することができる。
[第6実施形態]
つぎに、本発明を適用した第6実施形態に係る仮想空間内歩行システムについて説明する。なお、上述した実施形態と同様の部分については同一の番号を付することによりその詳細な説明を省略する。
この第6実施形態に係る仮想空間内歩行システムは、図19に示すように、右足用足踏みスイッチ3R及び左足用足踏みスイッチ3Lに対応して、右足用バイブレータ131R及び左足用バイブレータ131Lからなる床面設置バイブレータ(接触感覚提示手段)を設けたことを特徴とするものである。
この床面設置バイブレータは、右足用足踏みスイッチ3Rに対する足踏み動作がなされた場合には右足用バイブレータ131Rによって振動出力し、左足用足踏みスイッチ3Lに対する足踏み動作がなされた場合には左足用バイブレータ131Lによって振動出力する。右足用バイブレータ131R及び左足用バイブレータ131Lから出力する接触感覚の種類としては、仮想空間内を歩行することに伴う振動や反発力等の足裏に与える感覚であって、仮想空間内の歩行面の凹凸や障害物が挙げられる。
これに対し、仮想空間内移動装置4は、信号入力部41で右足用足踏みスイッチ3Rから右足接点信号を入力すると、右足用バイブレータ131Rに振動データを出力して振動出力させ、信号入力部41で左足用足踏みスイッチ3Lから左足接点信号を入力すると、左足用バイブレータ131Lに振動データを出力して振動出力させる。このとき、仮想空間内移動装置4は、例えば仮想空間において体験者の歩行面の状況を仮想空間提示装置5によって提示している仮想空間映像データから認識し、当該仮想空間映像に応じた振動をさせるための振動データを選択しても良く、仮想空間提示装置5から直接振動データを受信して、右足用バイブレータ131R及び左足用バイブレータ131Lを駆動させても良い。
これにより、仮想空間内歩行システムによれば、足動作検出スイッチ3に対する足ふみに連動した振動を足動作検出スイッチ3部分で発生させることができるので、仮想空間の臨場感を高めることができる。
また、この仮想空間内歩行システムによれば、足動作検出スイッチ3をシート状に構成して、足動作検出スイッチ3の下面に右足用バイブレータ131R及び左足用バイブレータ131Lを簡単に組み込むことができ、更には確実且つ効率的に接触感覚を体験者に提示することができ、更にリアルな仮想空間の歩行体験を提供することができる。
なお、上述の実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
すなわち、上述した仮想空間内歩行システムは、足動作検出スイッチ3と仮想空間内移動装置4とが離間して設置されている場合について説明したが、マイコンのプログラムとして仮想空間内移動装置4の機能を足動作検出スイッチ3に実装させれば、足動作検出スイッチ3等と一体型のコンパクトな組み込み形態とすることもできる。
更に、仮想空間内歩行システムは、歩行という基本的な移動の仮想空間を実現する技術であるため、体験の対象となる仮想空間が住宅物件紹介に限定されないことは言うまでもない。