JP4177938B2 - 気管チューブ装置 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、呼吸器組立体に関するものであり、本組立体は、呼吸器装置と、この呼吸器装置に取り付けたハウジングと、ハウジングに取り付けた表示器組立体とを含み、表示器組立体は、ハウジングを貫通する管腔内に延在するように取り付けた表示要素を含むものである。
【０００２】
本発明は、より詳細には、気管チューブの正しい位置を検知するため、または患者の呼吸を表示するために用意された組立体についてのものである。
【０００３】
【従来の技術】
気管チューブの使用に関する大きな問題の一つは、チューブの患者側端部の、食道ではなく気管内部への正しい配置を確実にすることである。正しく挿管を行う種々の方法が見出されている。通常の方法は、チューブの装置側端部を、二酸化炭素のレベルに敏感なカプノグラフ(capnograph)に接続することである。チューブを正しく挿入した時、二酸化炭素のレベルは患者の呼吸に伴って上昇および下降することとなる。この二酸化炭素のレベルの交互の変化を検出することにより、正しい挿管が示される。もしチューブが正しく挿入されておらず、食道内に挿入されている場合には、消化器システムにより生成する二酸化炭素は比較的不変のレベルとなる。カプノグラフは正しい挿管の信頼性の高い表示を可能とするが、この装置は比較的大型かつ高価であり、そのため設備の整った手術室でのみ使用可能である。
【０００４】
化学的な色変化による表示部を含む、二酸化炭素を検出可能な他の装置が、例えば国際特許出願公開第94/24054号、欧州特許第509998号、米国特許第 5005572号、米国特許第 4879999号、欧州特許第257916号、米国特許第 4691701号、米国特許第 4790327号、国際特許出願公開第 89/07956号、英国特許第 2218515号および米国特許第 4728499号などに記載されている。こうした形式の装置は、通常、紙または他の幾つかの材料の基板を具え、これら基板にはpH感受性の標識用染料を含む化学物質を染み込ませ、あるいは被覆してあり、これら基板をチューブの装置側端部に取り付けた、幾つかの形式の透明なコネクタに設けることが望ましい。こうした表示器は低コストであり、またチューブが正しく挿入されていることを明瞭に示すものとなる。もし表示器の色が変化しなければ、臨床医はチューブが正しく挿入されていないことを直ちに知ることとなる。こうした従来の表示器は、チューブの使用中には、コネクタの当該表示器の取り付け位置に残るように設計されている。しかしながら、これは不利なことである。なぜならば、表示器を効果的なものとするためには、これを最大のガス流に曝さなければならず、それによって必然的にガス流に対する障害が生じることとなるからである。この他、表示器を主ガス流路内に配置した場合、吸い込みカテーテルまたはその類似物によるチューブへのアクセスを妨げることとなる。
【０００５】
幾つかの環境においては、他の呼吸器装置、例えば顔面マスクまたはその類似物で患者が呼吸していることを確認する、容易に視認できる表示器もまた有用である。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、改良した呼吸器組立体および表示器を提案することにある。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、上述したような呼吸器組立体が提案され、本組立体は、表示器組立体をハウジングに取り外し可能に固定し、それによって前記表示器組立体を前記ハウジングの装置側端部より取り外し可能としたことを特徴とする。
【０００８】
ハウジングは透明プラスチック材料製であることが望ましく、またコネクタであることが望ましい。表示器組立体は、これコネクタに固定する間、前記コネクタが他のコネクタと結合することを避けるように形成することが望ましい。表示器組立体は、前記ハウジングの装置側端部に押し込んで嵌め込むこととしても良い。表示器組立体は、フレームと、このフレームに支持される表示要素とを具えることが望ましい。フレームは、前記ハウジングの一端に同心に取り付けた円形リングと、前記ハウジングのほぼ軸線方向に延在する突出部材とを具え、前記表示要素が前記突出部材で支持されることとしても良い。表示要素は、紙製で、二酸化炭素により色が変化する表示用の化学物質を含むことが望ましい。表示器組立体は、前記ハウジングの外側に沿って延在するハンドルを含み、このハンドルによって前記表示器組立体を前記ハウジングから取り外すために、前記表示器組立体を握ることができることが望ましい。本呼吸器装置は気管チューブであっても良い。
【０００９】
【発明の実施の形態】
本発明による気管チューブ組立体およびその使用方法を、例示によって説明する。
【００１０】
まず、図１を参照すると、本組立体は気管チューブ１、チューブの装置側端部に取り付けたコネクタ２および、このコネクタに取り付けた表示器組立体３を具える。
【００１１】
気管チューブ１は従来型構造のものであり、湾曲した管状軸10、管状軸10の患者側端部12の開口部近傍でこの軸を取り囲む膨張性カフ11を具える。チューブ１の装置側端部14もまた開口しており、コネクタ２が強固に接続している。コネクタ２は、図２〜４により詳細に示すように呼吸表示器の形を取る。
【００１２】
コネクタ２は堅い透明なプラスチック材料より成型され、比較的小さい直径を有する先細の前端部20を有する。コネクタ２はチューブ１の装置側端部14に押し込まれて嵌合し、溶剤または接着剤によって接着される。コネクタの長手方向の中間部には半径方向に突出するフランジ21があり、コネクタ２の前端部20を、後または装置側端部22から分離する。後端部22は、外径15mmに拡大され、浅い案内用の先細部が、これと係合する雌型の先細コネクタを収容するように適合されている。前端部20および後端部22の内部は互いに連通し、コネクタを通して穴または管腔24を形成する。
【００１３】
表示器組立体３は、成型したプラスチック製支持フレーム30および、このフレームに保持される表示要素31を具える。フレーム30は外側の円形リング32を有し、このリングの断面は傾斜状をなし、組立体３のためのハウジングを提供するコネクタ２の後端部22の端に同心に置かれる水平部33を有する。フレーム30は垂直部34を有し、この垂直部34はコネクタの後端部で強固に嵌め込まれ、コネクタ２内側での握りを改善するために棘状部またはフィンを有する。フレーム30はまたリング32を横切って延在する横棒36を有し、この横棒の中央部は下方または前方に折り曲げられて、コネクタ２の軸線方向に突出するＶ字形部37をなす。棒36の下側部には二つの固定用ラグ38があり、これらラグ38はＶ字形部37の両側で下向きに突出する矢形の頭部を有する。フレーム30はまたレバー39を有し、このレバー39は矩形をなし、厚さが減少した二つのヒンジ部分35によってリング32の外側に取り付けられる。レバー39はコネクタ２の後部22の外側に沿って下方または前方に垂直に延在する。
【００１４】
表示器組立体３は表示要素31によって完成する。表示要素31は、従来の、二酸化炭素によって色の変化を示す化学物質を吸収させた紙製の帯材であり、本明細書の導入部で引用したあらゆる特許に記載されている種類のものである。表示帯材31は、フレーム30のＶ字形部37の形状に合わせて、中央のＶ字形部40を形成するように折り曲げられる。帯材31の端部41は外向きに水平に延在し、固定用ラグ38の頭部を収容するために形成かつ位置決めされる固定用穴42を有する。帯材31は横棒36の下に、そのＶ字形部40が横棒36のＶ字形部37の周りに延在するように取り付けられ、端部41は固定用ラグ38に保持される。表示用帯材31はコネクタ２の管腔24を横切って延在し、下側の中央部40がコネクタ２の後端部22の長さの大部分に沿って下方に突出する。表示器組立体３および表示用帯材31の大きさは、当該帯材がコネクタ２の壁を通して見えるように、またコネクタの管腔24に沿って空気が流れることができるようなものとする。
【００１５】
図４に示すように、表示器組立体３はコネクタ２の後端部より取り外しが可能であり、その取り外しは、レバー39の下端部を握り、この部分を持ち上げてヒンジ部分35に対して開くようにし、その後レバーによって表示器をコネクタの外へ後方に引くことにより行う。
【００１６】
同様の表示器組立体をコネクタに取り付ける方法として、前述した押し込んで摩擦嵌めする以外に種々の方法がある。例えば、表示器組立体およびコネクタにねじ山を設けることができ、それによって組立体は、ねじを逆に回すことにより取り外される。この他、表示器組立体およびコネクタに、互いにスナップ嵌めするような係合する面を設けることもできる。他の配置形態においては、表示器組立体を引き裂き式のシール(tear seal)、あるいはスポット式またはタック式の溶接によってコネクタに取り付けることもできる。図５に別の形態を示すが、ここでは表示器組立体３’はヒンジ式または可撓性のクリップ39’を有し、このクリップはコネクタ２’の外方へ突出するラグ21’を越えて固定される。
【００１７】
使用時においては、本組立体はチューブ１の装置側端部14に既に固定されたコネクタ２および表示器組立体３と共に供給され、そのため臨床医は、さらに他の組立体を必要とすること無しに、容易にチューブを患者の体内に挿入することができる。もしチューブ１を、気管内に配置する患者側端部12を正しく挿入した場合、表示器組立体３は、チューブに沿って流れる患者の吸気および呼気に曝される。呼気は相対的に高い濃度の二酸化炭素を含んでいるため、患者が息を吐く間には、表示帯材31の色が変化することとなる。患者が息を吸うと、帯材31の色は通常時の色に戻る。これにより、表示帯材31の色は患者の呼吸に伴って交互に変化する。臨床医は表示器組立体３を観察し、正しく挿管されていることを確認した時、気管をチューブ１によって密閉するためにカフ11を膨張させ、正しい位置に保持する。その後上述した手順で表示器組立体３をコネクタ２から引き出すことによって取り外すと、図６に示すように、コネクタを経る通路が最大化し、また必要に応じて吸い込み用カテーテルまたはその類似物のアクセスが可能となる。もし患者が自発呼吸する場合には、コネクタ２を開いたままにする。もし補助換気が必要であれば、コネクタ２を、換気装置（図示せず）へと延在する換気チューブに接続した、コネクタ２と係合する雄型コネクタ50と接続することができる。もし表示器組立体を元の位置に残す場合には、換気用コネクタ50による接続が避けられる。このことは、表示器組立体を接続前に取り外すことを確実にする。
【００１８】
本発明は、気管用チューブ以外の他の呼吸器装置にも使用可能である。例えば、本発明による表示器を、患者の呼吸を表示する顔面マスクに設けることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本組立体の側立面図である。
【図２】 本組立体の一部を拡大した斜視図である。
【図３】 図２に示す部分の断面を示す側立面図である。
【図４】 図２および３に示す部分を分解して示す斜視図である。
【図５】 本組立体の別の部分を示す斜視図である。
【図６】 本組立体の使用手順を示すものである。
【符号の説明】
１ 気管チューブ
２ コネクタ
３ 表示器組立体
10 管状軸
11 膨張性カフ
12 気管チューブの患者側端部
14 気管チューブの装置側端部
20 コネクタの前端部
21 フランジ
22 コネクタの後端部
24 管腔
30 表示器組立体の支持フレーム
31 表示要素
32 円形リング
33 支持フレームの水平部
34 支持フレームの垂直部
36 横棒
37 Ｖ字形部
38 固定用ラグ
39 レバー
40 ヒンジ部分
41 表示要素の端部
42 表示要素の固定用穴

Claims (6)

1. 気管チューブ（１）と、この気管チューブ内に取り付けた透明なコネクタ（２，２′）と、このコネクタ内に取り付ける表示器組立体（３，３′）とを含み、前記表示器組立体（３，３′）は、前記 コネクタ（２，２′）を貫通する管腔（２４）内に延在するように取り付けた表示要素（３１）を有するものとした気管チューブ装置であって、
   前記表示器組立体（３，３′）は、前記コネクタ（２，２′）内に取り付け可能でありかつ前記表示要素（３１）を取り付け可能としたフレーム（３０）を有するものとし、前記表示器組立体（３，３′）を前記コネクタ（２，２′）内に取り外し可能に取り付けるものとし、また前記表示器組立体（３，３′）は、手操作で前記コネクタ（２，２′）の外部から操作可能にし、それによって前記表示器組立体（３，３′）を前記コネクタの装置側端部から取り外し可能としたことを特徴とする、気管チューブ装置。
2. 前記表示器組立体（３，３′）を、この表示器組立体（３，３′）を前記コネクタ（２，２′）に取り付けている間には、前記コネクタ（２，２′）を他のコネクタ（５０，５１）と結合することを防止するように形成したことを特徴とする、請求項１記載の気管チューブ装置。
3. 前記表示器組立体（３，３′）を前記 コネクタ（２，２′）の装置側端部に押し込んで嵌合させることを特徴とする、請求項１または２項記載の気管チューブ装置。
4. 前記フレーム（３０）が、前記 コネクタ（２，２′）の一端に同心に取り付ける円形リング（３２）と、前記コネクタ内にほぼ軸線方向に突出する突出部（３７）とを具え、前記表示要素（３１）が前記突出部上に支持されることを特徴とする、請求項１〜３のうちいずれか一項に記載の気管チューブ装置。
5. 前記表示要素（３１）が紙製で、二酸化炭素により色が変化する表示用の化学物質を含むことを特徴とする、請求項１〜４のうちいずれか一項に記載の気管チューブ装置。
6. 前記表示器組立体（３，３′）が前記 コネクタ（２，２′）の外側に沿って延在するハンドル（３９，３９′）を含み、このハンドルによって前記表示器組立体を前記コネクタから取り外すために、前記表示器組立体を握ることができることを特徴とする、請求項１〜５のいずれか１項記載の気管チューブ装置。

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