JP4174016B2 - 競合法によるサイロシン類のイムノクロマトグラフィー検出法及びテストキット - Google Patents

競合法によるサイロシン類のイムノクロマトグラフィー検出法及びテストキット Download PDF

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Description

本発明は、サイロシン類を検出するのに好適なイムノクロマトグラフィー検出法およびそれに用いられるイムノクロマトグラフィーテストキットに関する。
イムノクロマトグラフィー検出法は、従来、病原性ウィルス抗原やその他の蛋白質の検出や測定に用いられており、たとえば、特開平9−171019号公報には、担体に固定されたアデノウイルス抗原に対するポリクローナル抗体とアデノウイルス抗原に対する標識モノクローナル抗体とを用いたイムノクロマトグラフィーテストストリップが開示されている。また、非蛋白性物質に対する抗体の検出方法として、特開2002−372539号公報には、担体に固定された非蛋白性物質と検出対象抗体に特異的に結合する標識抗体とを用いたイムノクロマトグラフィーテストストリップが開示されている。
しかし、これらのイムノクロマトグラフィー検出法は、いずれも、サンドイッチ法を応用したものであり、例えば、エピトープが1つしか存在しない低分子化合物の場合には、このようなサンドイッチ法によって検出することはできない。
近年、麻薬であるサイロシン(psilocin、すなわち(3-[2-ジメチルアミノエチル]-インドール-4-オール)、サイロシビン(psilocybin、すなわち(3-[2-ジメチルアミノエチル]-インドール-4-イルリン酸エステル)などのサイロシン類を多量に含有するきのこ類、所謂、『マジックマッシュルーム』が社会問題となっている。2002年6月に「麻薬、向精神薬及び麻薬向精神薬原料を指定する政令」が改正され、マジックマッシュルームは取締りの対象となった。
従来、サイロシン類を検出する方法としては、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法やガスクロマトグラフィー(GC)法による機器分析的手法が用いられていた(非特許文献1、2および3参照)。しかし、これらの手法は、有機溶媒等を使用して検体から抽出液を得た後、HPLC法やGC法を用いて分離し、各種検出器(紫外線(UV)、マススペクトル(MS)など)により同定する工程を要し、感度が比較的高く、同定・定量等が可能である反面、大掛かりな分析機器を使用しなければならず、また、その操作技術の習得も必要とするので簡便でなく、現場向きでない。
このような機器分析的手法の欠点を解決するために、種々の分析法が開発されている。例えば、有機化学反応による分析法として、インドール骨格に対して反応するエールリッヒ反応を利用したものが知られている。そして、この分析法を利用した製品として、PSILOTEST(商品名:Nectar株式会社製)が知られており、サイロシン類の他、トリプタミン(Tryptamine)、5-メトキシトリプタミン(5-methoxy-triptamine)、DMT、DETといった麻薬成分の検出にも利用されている。しかし、この分析法は、トリプトファンやセロトニンのようなインドール環を有する非麻薬成分に対しても反応するため、擬陽性が現れる可能性が高かった。
また、覚せい剤および麻薬取締りの現場では、金コロイド標識した抗体を利用した製品であるトライエージDOA(商品名;国際試薬株式会社製)が使用されている。この製品は、競合的結合免疫学的測定法により、尿中に排泄された乱用薬物を検出するものであって、フェンサイクリジン類、ベンゾジアゼピン類、コカイン類、覚醒剤、大麻、モルヒネ類、バルビツール酸類および三環系抗うつ剤を検出することが可能であるが、検出項目にはサイロシン類は含まれていない。
競合法によるイムノクロマトグラフィーを低分子化合物の検出に応用することについては、国際公開第96/18904号および同第96/38720号パンフレットなどに記載されているが、サイロシン類の検出については一切言及されていない。
特開平9−171019号公報 特開2002−372539号公報 国際公開第96/18904号パンフレット 国際公開第96/38720号パンフレット J. Chromatogr. B. Biomed. Sci. Appl. 2000, Oct. 1:748(1):p. 3-19, 「Liquid chromatography-mass spectrometry as a routine methods in forensic sciencies:a proof of maturity.」 Forensic Sci. Int. 1999, Jan. 11; 99(2): p. 93-105, 「Analysis of psilocin and psilocybin in Psilocybe subcubesis Guzman by ion mobility spectrometry and gas chromatography-mass spectrometry.」 Grieshaber AF, Moore KA, Levine B. J Forensic Sci 2001: 46(3): p. 627-630, 「The Detection of psilocin in human urine.」
このように、実際の現場において所持していたきのこが本当にマジックマッシュルームであるか瞬時にしかも確実に鑑定する測定法が確立されていないのが現状である。
本発明は、サイロシン類を簡便な方法で特異的にかつ高感度に検出できるイムノクロマトグラフィー検出法及びテストキットを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的の下に鋭意研究した結果、サイロシン類の抗原決定基を備えた物質を予め膜担体に固定しておき、サイロシン類に対する抗体(I)と被験試料との混合液を該膜担体中にクロマト展開させ、該膜担体に固定された前記物質と被験試料中に含まれるサイロシン類との前記抗体(I)に対する競合反応により前記被験試料中に含まれるサイロシン類を検出することにより、迅速、かつ、簡便に、しかも、高感度でサイロシン類を検出し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の局面によれば、サイロシン類の抗原決定基を備えた物質を予め所定位置に固定せしめて形成された第一の捕捉部位を備える膜担体を用意し、サイロシン類に対する抗体(I)と被験試料との混合液を、前記第一の捕捉部位に向けて前記膜担体中をクロマト展開せしめ、前記第一の捕捉部位に固定された前記物質と前記被験試料中に含まれるサイロシン類との前記抗体(I)に対する競合反応により前記被験試料中に含まれるサイロシン類を検出するようにしたことを特徴とするイムノクロマトグラフィー検出法が提供される。
また、本発明の第2の局面によれば、サイロシン類の抗原決定基を備えた物質と、サイロシン類に対する抗体(I)と、膜担体とを少なくとも備え、前記物質は前記膜担体の所定位置に予め固定されて第一の捕捉部位を形成し、前記抗体(I)は前記第一の捕捉部位に向けて前記膜担体中をクロマト展開可能なように配置されてなるイムノクロマトグラフィーテストキットが提供される。
なお、本発明において、サイロシン類とは、サイロシン、サイロシビン、これらの誘導体及びこれらの塩を包含する概念である。
本発明によれば、被験試料中に含まれるサイロシン類の量が多いほど、前記第一の捕捉部位に捕捉される抗体の量は少なくなり、逆に、被験試料中に含まれるサイロシン類の量が少ないほど、第一の捕捉部位に捕捉される抗体の量が多くなる。したがって、第一の捕捉部位に捕捉される抗体の量を適当な手段で検出することにより、被験試料中に含まれる抗原の量を判定できる。
本発明において、膜担体には、第一の捕捉部位のクロマト展開下流側に、前記抗体(I)に対する抗体(II)を固定せしめて形成された第二の捕捉部位をコントロールラインとして設けることが好ましい。第二の捕捉部位には、前記サイロシン類の抗原決定基を備えた物質が固定された第一の捕捉部位に捕捉されなかった抗体(I)が捕捉されるので、第一の捕捉部位と第二の捕捉部位のそれぞれに集積した抗体の量を対比することにより、一層、被験試料中に含まれる抗原の量を正確に判定できるようになる。
本発明によれば、サイロシン類の抗原決定基を備えた物質を予め膜担体に固定しておき、サイロシン類に対する抗体(I)と被験試料との混合液を該膜担体中にクロマト展開させ、前記膜担体に固定された前記物質と被験試料中に含まれるサイロシン類との前記抗体(I)に対する競合反応により前記被験試料中に含まれるサイロシン類を検出することとしたので、サイロシン類は低分子化合物であるにも拘わらず、迅速、かつ、簡便に、しかも、高感度で検出できる。
本発明において、第一の捕捉部位を形成するために膜担体に固定される物質としては、サイロシン類の抗原決定基を備えた物質であれば特に制限されないが、具体的には、サイロシン、サイロシビン、これらの誘導体及びこれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を含んでなる物質が用いられる。すなわち、サイロシン類の抗原決定基を備えた物質は、サイロシン類自体であってもよいが、サイロシン類は低分子化合物であってハプテンとして機能するので、サイロシン類と免疫原性物質との結合物(conjugate)であってもよい。ここにおいて、結合物には、サイロシン類と免疫原性物質とが共有結合したものや、両者が単に物理的に結合したものも含まれる。免疫原性物質としては、蛋白質などの高分子物質、特に、表面に親水基の多い蛋白質を用いることが好ましい。かかる蛋白質としては、ヒト血清アルブミンやウシ血清アルブミン等の血清アルブミン及び卵アルブミンなどのアルブミン類の他、キーホールリムペットヘモシアニン、ウシガンマグロブリン等が挙げられる。
サイロシン類の抗原決定基を備えた物質として用いるに好適なサイロシン類としては、インドール骨格の1位の環窒素原子又は4位に結合した水酸基に、末端に反応性官能基を備えた置換基が導入されたサイロシン誘導体を用いることが好ましい。かかるサイロシン誘導体としては、下記式(1)または(2)で示される化合物またはこれらの化合物と免疫原性物質との結合物が挙げられる。
Figure 0004174016
Figure 0004174016
上記式(1)および(2)のそれぞれにおいて、Yは−(CH−、−(CH−(NHCO)−(CH−、−(CH−(NHCO)−CH(COOH)−CH−、−(CH−(NHCO)−CH(NH)−CH−、−(CH−(NHCO)−CH(COOH)−CH(CH)−、又は、−(CH−(NHCO)−CH(NH)−CH(CH)−で示される二価の基(n、k及びlはそれぞれ2〜5の整数)、XはCN、NH、COOH、OH又はSHで示される反応性官能基を表わす。
上記式(1)の化合物は新規化合物であり、例えば、下記スキーム1又は2に従って合成できる。すなわち、スキーム1によれば、サイロシン(3-[(2-dimethylamino)ethyl]-indole-4-ol)と4-ブロモブチロニトリル(4-bromobutyronitrile)などのアルキル化剤とを、炭酸セシウムなどの塩基の存在下にアセトニトリルなどの溶媒中で反応させることにより、末端にCN基を備えた化合物(4-[3-(2-dimethylaminoethyl)-indole-4-yloxy]-butyronitrile)を合成できる。得られた化合物の末端のCN基を、リチウムアルミニウムハイドライド(LiAlH4)などの還元剤の存在下にテトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)などの溶媒中で還元することにより、末端にNH基を備えた化合物(4-[3-(2-dimethylaminoethyl)-indole-4-yloxy]-butylamine)を合成できる。さらに、得られた化合物の末端のNH基に無水コハク酸などのジカルボン酸又はその無水物を作用させることにより、末端にCOOH基を備えた化合物(N-{4-[3-(2-dimethylaminoethyl)-indole-4-yloxy]-butyl}succinamic acid)を合成できる。
また、スキーム2によれば、上記スキーム1と同様にして得られた末端にCN基を備えた化合物(例えば、4-[3-(2-dimethylaminoethyl)-indole-4-yloxy]-butyronitrile)を合成した後、これを酸または塩基(10%KOHなど)の存在下、エタノールなどの溶媒中で加熱して末端CN基を加水分解することにより、末端にCOOHを備えた化合物(例えば、4-[3-(2-dimethylaminoethyl)-indole-4-yloxy]-butyric acid)を合成できる。
Figure 0004174016
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上記式(2)の化合物は、例えば、J. Pharmacy and Pharmacology, 2002, 54, 1265-1270に記載の方法によって合成できる。なお、上記式(1)又は(2)で示される化合物のうち、末端にSH基やOH基を備えた化合物は、例えば、末端のCOOH基またはNH基にシステイン、セリン、トレオニンなどのアミノ酸を反応させることにより誘導できる。
上記式(1)又は(2)で示される化合物は、サイロシン類のインドール骨格の1位又は4位の末端に反応性官能基を備えているため、前記免疫原性物質と容易に結合するので、抗体(I)との反応性が高められ、また、膜担体への固定も容易に行える点で好都合である。末端の反応性官能基はカルボキシル基であることが好ましく、この場合、蛋白質などの免疫原性物質との結合が容易に形成される。したがって、第一の捕捉部位を形成する上記物質として有用であるのみならず、ラジオイムノアッセイやその他の免疫測定法で用いる試薬として有用である。また、サイロシン類の抗体を取得する際に動物を免疫するための免疫原として使用できる。
本発明で使用される膜担体は、サイロシン類の抗原決定基を備えた前記物質を適当な手段で固定化し得るものであって、被験試料自体またはこれを含む液体のクロマト展開がそれ自体の毛細管現象で自動的に行なわれる程度の溶液浸透性を持つ膜担体であればよい。かかる膜担体としては、例えば、セルロース類膜(濾紙、ニトロセルロース膜等)、ナイロン膜、ガラス繊維膜などの膜担体が挙げられ、なかでもニトロセルロース膜が好ましい。
本発明において、サイロシン類の抗原決定基を備えた前記物質は、上記膜担体の所定位置に予め固定され、第一の捕捉部位を形成する。該物質は、膜担体に物理的または化学的に直接固定しても良い。サイロシン類の抗原決定基を備えた前記物質として、サイロシン類と親水基の多い免疫原性物質との結合物を使用する場合は、通常、当該結合物の溶液を膜担体の所定位置にスポット状またはライン状に塗布し、これを室温で十分に乾燥させることで容易に固定化できる。サイロシン類の抗原決定基を備えた前記物質として、サイロシン類自体を使用する場合、リンカーを介して膜担体に固定すると好都合である。リンカーとしては、例えば、前記免疫原性物質として例示したアルブミン類、キーホールリムペットヘモシアニン、ウシガンマグロブリン等の蛋白質を使用することができる。その他、ポリリシンなどの合成ポリアミノ酸やポリスチレン系、ポリメチルメタクリレート系のラテックスもリンカーとして使用できる。固定化は、サイロシン類とリンカーとを適当な濃度で混合した溶液を調製し、例えば、膜担体の所定位置に該溶液をスポット状またはライン状に塗布し、これを室温で十分に乾燥させることにより行える。
サイロシン類の抗原決定基を備えた前記物質は、通常、膜担体の表面1mm当たりサイロシン類の量を基準として1〜240ngの量を固定することが好ましく、100〜120ngの量を固定することがさらに好ましい。1ng/mm未満の場合、充分な量の未反応の抗体(I)を捕捉できず、特に抗体(I)を呈色標識した場合に肉眼による判別がしにくくなるが、240ng/mmを越えて固定しても、呈色度合いはそれ以上高まらず、経済的でない。
本発明で使用するサイロシン類に対する抗体(I)は、サイロシン類に対して特異的に結合する抗体であればよく、単クローン抗体及び多クローン抗体のいずれであってもよいが、単クローン抗体であることが好ましい。単クローン抗体は、たとえば、ケラー−ミルシュタインの方法によって得られる。また、多クローン抗体は、例えば、マウスやウサギを免疫して得た抗血清から精製して得られる。
抗体(I)は、予め標識しておくことが好ましい。標識に用いられる標識物質としては、特に制限はなく、例えば、呈色標識物質、酵素標識物質、放射線標識物質などが挙げられるが、迅速に検査結果が得られることから、呈色標識物質であることが好ましい。呈色標識物質としては、コロイド金属および着色ラテックスなどが挙げられる。コロイド金属の代表例としては、白金コロイド、金コロイドなどが挙げられる。コロイド金属の粒子の大きさは、通常は、直径3〜100nm程度とされる。着色ラテックスの代表例としては、赤色および青色などのそれぞれの顔料で着色されたポリスチレンラテックスなどの合成ラテックスが挙げられる。ラテックスとして天然ゴムラテックスのような天然ラテックスも使用できる。着色ラテックスの大きさは、直径数拾nm乃至数百nm程度から選択することができる。これらの呈色標識物質は、市販品をそのまま使用できるが、場合によりさらに加工し、または、それ自体公知の方法で製造することもできる。また、呈色標識としては、蛍光標識なども使用することができる。
呈色標識抗体の調製は、各呈色標識物質に応じた常法に従って行なわれる。たとえば、呈色標識物質が金コロイド粒子の場合には、通常は、抗体(I)と金コロイド溶液とを室温乃至常温下で数分間、長くても10分間、混合することによって両者を物理的に結合せしめることが可能である。
抗体(I)は、膜担体にクロマト展開可能に配置されていればよいが、適当な溶液透過性の含浸部材に含浸させて膜担体に連接させておくと好都合である。含浸部材としては、あらかじめ抗体(I)の溶液を含浸させる際に、それをすみやかに吸収・保持・乾燥し得るものであって、かつ、クロマト展開される被験試料の水分により、該部材の抗体(I)が容易に再溶解され、それ以降のクロマト展開がスムーズに進行するものであればよく、特にその材質を選ばない。かかる含浸部材として、例えば、ガラス繊維布、セルロース類布(濾紙、ニトロセルロース等)、ポリエチレン、ポリプロピレン等の多孔質プラスチック布類が挙げられるが、特にガラス繊維布が好ましい。
また、被験試料注入部として、上記含浸部材に、溶液浸透性部材を連接させてもよい。かかる注入部を構成する部材としては、たとえば、多孔質ポリエチレンおよび多孔質ポリプロピレンなどのような多孔質合成樹脂のシートまたはフィルム、ならびに、濾紙および綿布などのようなセルロース製の紙または織布もしくは不織布を用いることができる。
なお、膜担体のクロマト展開下流側には、膜担体の毛細管現象によるクロマト展開を補助するとともに、クロマト展開において捕捉部位でトラップされなかったものを吸収、保持するために、吸収用部材を連接してもよい。吸収用部材の材料としては、液体をすみやかに吸収、保持できる材質のものであればよく、綿布、濾紙、およびポリエチレン、ポリプロピレン等からなる多孔質プラスチック不織布等を挙げることができるが、特に濾紙が最適である。この吸収用部材は、そのクロマト展開上流側領域をクロマト展開用膜担体の上面に載置させた状態で、その下流側領域において粘着シートに貼着するとよい。
被験試料としては、特に制限はないが、例えば、マジックマッシュルームなどの固形状の試料の場合は、適当な溶媒を用いた抽出液とすることができ、血液、(全血でも、血清でも、血漿でもよい)、唾液、尿等の体外に採取された体液の場合は、そのまま、または、適当な希釈液で希釈したものとすることができる。
なお、全血を被験試料として用いるときで、特に標識抗体の標識物質として金コロイドなどの呈色標識物質が用られる場合、前記被験試料注入部に血球捕捉膜部材を配置しておくことが好ましい。血球捕捉膜部材は、膜担体の標識抗体含浸部と被験試料注入部とを構成する各溶液透過性部材の間に積層することが好ましい。これにより、赤血球が膜担体に展開されるのが阻止されるので、膜担体の捕捉部における呈色標識の集積の確認が容易になる。血球捕捉膜部材としては、カルボキシメチルセルロース膜が用いられ、具体的には、アドバンテック東洋株式会社から販売されているイオン交換濾紙CM(商品名)や、ワットマンジャパン株式会社から販売されているイオン交換セルロースペーパーなどを用いることができる。
しかして、被験試料を被験試料注入部に灌注すると、抗体(I)の含浸部に浸透し、被験試料中にサイロシン類が含まれている場合は、当該サイロシン類は抗体(I)と抗原抗体反応することにより複合体を生成し、さらに、該複合体は溶液浸透性の膜担体上にクロマト展開されるが、第一の捕捉部位で捕捉されずに通過する。一方、サイロシン類と反応しなかった抗体(I)は、第一の捕捉部位で捕捉されて集積する。したがって、被験試料中に含まれるサイロシン類が少ないほど、第一の捕捉部位における抗体(I)の集積量は増大する。抗体(I)を呈色標識した場合には、第一の捕捉部位における呈色の度合いを判定することにより、被験試料中のサイロシン類の存否および含有量を判定できる。
なお、膜担体の第一の捕捉部位のクロマト展開下流側に、抗体(I)に対する抗体(II)を固定して第二の捕捉部位を設けることが好ましい。この場合、サイロシン類と抗体(I)との複合体は第一の捕捉部位を通過して該第二の捕捉部位に捕捉されて集積する。したがって、被験試料中に含まれるサイロシン類が少ないほど、第二の捕捉部位における抗体(I)の集積量は減少する。このように、第一の捕捉部位と第二の捕捉部位における抗体(I)の各集積量は、被験試料中に含まれるサイロシン類の量に対して逆の関係にある。すなわち、被験試料中に含まれるサイロシン類の量が少ない場合には、第一の捕捉部位における抗体(I)の集積量が多くなり、第二の捕捉部位における抗体(I)の集積量は少なくなり、他方、被験試料中に含まれるサイロシン類の量が多い場合には、第一の捕捉部位における抗体(I)の集積量が少なくなり、第二の捕捉部位における抗体(I)の集積量は多くなる。したがって、抗体(I)を呈色標識した場合は、これら第一の捕捉部位および第二の捕捉部位のそれぞれにおける呈色の度合いを対比して判定することにより、被験試料中のサイロシン類の存否および含有量をより一層正確に判定できる。なお、第二の捕捉部位における抗体(I)の集積により、クロマト展開の終了を確認することもできる。
抗体(II)は、抗体(I)に対して特異的に結合する抗体であればよく、単クローン抗体及び多クローン抗体のいずれであってもよいが、単クローン抗体であることが好ましい。例えば、抗体(I)がマウスモノクローナルIgG抗体であれば、抗体(II)として抗マウスIgG単クローン抗体または抗マウスIgG多クローン抗体を用いることができる。当該抗体(II)の膜担体への固定化は、常法により行うことができ、代表的には、抗体(II)とヒト血清アルブミンやウシ血清アルブミン等の血清アルブミンとの混合液を膜担体の所定位置にスポット状またはライン状に塗布し、これを室温で十分に乾燥させることで容易に行える。
本発明の検出方法は、イムノクロマトグラフィーテストキットを用いて簡便に実施できる。イムノクロマトグラフィーテストキットは、代表的には、前記第一の捕捉部位を備えるとともに、サイロシン類に対する抗体(I)が前記第一の捕捉部位に向けてクロマト展開可能なように配置されてなる帯状の膜担体からなるイムノクロマトグラフィーテストストリップを少なくとも備えてなる。具体的には、例えば、図1に示されるイムノクロマトグラフィーテストストリップが挙げられる。
図1において、数字1は粘着シート、2は含浸部材、3は膜担体、31は第一の捕捉部位、32は第二の捕捉部位(コントロールライン)、4は吸収用部材、5は試料添加用部材を示している。図示の例では、膜担体3は、幅5mm、長さ36mmの細長い帯状のニトロセルロース製メンブレンフィールターで作成されている。該膜担体3には、そのクロマト展開始点側の末端から6.0mmの位置に、サイロシン類の抗原決定基を備えた前記物質が前述の方法により固定され、第一の捕捉部位31が形成されている。また、該膜担体3には、第一の捕捉部位31からクロマト展開開始点とは逆の側に8.5mmの間隔をおいて、抗体(I)に対する抗体(II)が前述の方法により固定され、第二の捕捉部位32がコントロールラインとして形成されている。
含浸部材2は、金コロイド等で標識された抗体(I)を非固定状態で含浸せしめた部材である。なお、含浸部材2は、前記第一の捕捉部位31から離隔した位置にて膜担体3に接続配置される。図示の例では、含浸部材2として、5mm×15mmの帯状のガラス繊維不織布を用いている。当該含浸部材2は、標識された抗体(I)の懸濁液をガラス繊維不織布に含浸せしめ、これを乾燥させることなどによって作製できる。
図1に示されるように、膜担体3を粘着シート1の中程に貼着し、該膜担体3のクロマト展開の開始点側、すなわち、図1における左側(以下「上流側」と記す。なお、その逆の側、すなわち、図1の右側は、以下「下流側」と記す)の末端の上に、含浸部材2の下流側末端を重ね合わせて連接するとともに、この含浸部材2の上流側部分を粘着シート1に貼着して本発明のイムノクロマトグラフィーテストストリップを作成できる。さらに、必要に応じて、含浸部材2の上面に試料添加用部材5の下流側部分を載置するとともに、該試料添加用部材5の上流側部分を粘着シート1に貼着して被験試料注入部としてもよく、また、膜担体3の下流側部分の上面に吸収用部材4の上流側部分を載置するとともに、該吸収用部材4の下流側部分を粘着シート1に貼着せしめることもできる。
さらに、市販品の場合、図1のイムノクロマトグラフィーテストストリップは、図2に示されるように、該イムノクロマトグラフィーテストストリップが載置される本体61と、試料添加用部材5および両捕捉部位31,32のそれぞれ上方に被験試料注入部621と判定部622が開口された蓋体62とからなるプラスチック製ケース6内に収容されて提供される。
かくして、適当な展開溶媒と所定量の被験試料とを混合してクロマト展開可能とされた混合液を被験試料液として得た後、当該被験試料液を図1に示されるイムノクロマトグラフィーテストストリップの試料添加用部材5上に注入すると、該被験試料液は、該試料添加用部材5を通過して含浸部材2において、標識された抗体(I)と混合して混合液となる。その際、該被験試料中にサイロシン類が存在する場合、抗原抗体反応により被験試料中のサイロシン類と抗体(I)との複合体が形成される。この複合体は、膜担体3中をクロマト展開されて第一の捕捉部位31を通過し、第二の捕捉部位32に固定された抗体(II)と抗原抗体反応して捕捉され、集積する。他方、該被験試料中にサイロシン類が存在しない場合、抗体(I)は、膜担体3中をクロマト展開されて第一の捕捉部位31に固定された抗原(I)と抗原抗体反応して捕捉され、集積する。抗体(I)は金コロイドによって予め標識されているので、両捕捉部位31及び32に捕捉された複合体及び抗原(I)の量は、両捕捉部位31及び32の発色の度合いを肉眼で容易に判定できる。被験試料中に含まれるサイロシン類の量が少ないほど、第一の捕捉部位31の発色は強くなり、被検試料中に含まれるサイロシン類の量が多いほど、第一の捕捉部位31の発色は弱くなる。したがって、第一の捕捉部位31の発色の強度によって、被験試料中に含まれるサイロシン類の存否を肉眼で容易に判定できる。また、被験試料中に含まれるサイロシン類の量が少ないほど、第二の捕捉部位32の発色は弱くなり、被検試料中に含まれるサイロシン類の量が多いほど、第二の捕捉部位32の発色は強くなる。したがって、第一の捕捉部位31と第二の捕捉部位32の両者の発色の程度を対比することにより、被験試料中に含まれるサイロシン類の存否を肉眼で一層正確に判定できる。
被験試料液は、たとえば、サイロシン類の含有が疑われるキノコ類の抽出液や、涙、目脂、喀痰、唾液および大便などの生体試料を、生理食塩水、りん酸緩衝液などの展開溶剤と混合し、または、生体試料を清拭したガーゼおよびスワブなどから前記の展開溶剤で洗滌・抽出して得られる洗滌液などであってもよい。
以下、本発明を実施例によって、さらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(サイロシン誘導体の合成)
上記スキーム1に従い合成した。すなわち、3-[(2-ジメチルアミノ)エチル]-インドール-4-オール(3-[(2-dimethylamino)ethyl]-indole-4-ol、LR-FABMS m/z: 205 (MH+), HR-FABMS calcd. for C12H17N2O (MH+): 205.1341, Found: 205.1357)のインドール環の4位の水酸基をアルキル化するために、アルキル化剤として4-ブロモブチロニトリル(4-bromobutyronitrile)、塩基として炭酸セシウム、そして溶媒としてアセトニトリルを用い、アルゴン気流下にて14時間室温にて反応させた。生成した4-[3-(2-ジメチルアミノエチル)-インドール-4-イルオキシ]-ブチロニトリル(4-[3-(2-dimethylaminoethyl)-indole-4-yloxy]-butyronitrile、LR-FABMS m/z: 272 (MH+), HR-FABMS calcd. for C16H22N3O (MH+): 272.1749, Found: 272.1756)をテトラヒドロフラン中にて、アルゴン気流下で3時間、リチウムアルミニウムハイドライド還元することにより4-[3-(2-ジメチルアミノエチル)-インドール-4-イルオキシ]-ブチルアミン(4-[3-(2-dimethylaminoethyl)-indole-4-yloxy]-butylamine、LR-FABMS m/z: 276 (MH+), HR-FABMS calcd. for C16H26N3O (MH+): 276.2076, Found: 272.2082)を得た。さらに無水コハク酸処理を行いN-{4-[3-(2-ジメチルアミノエチル)-インドール-4-イルオキシ]-ブチル}コハク酸(PSI-COOH)(N-{4-[3-(2-dimethylaminoethyl)-indole-4-yloxy]-butyl}succinamic acid、LR-FABMS m/z: 376 (MH+), HR-FABMS calcd. for C20H30N3O4 (MH+): 376.2237, Found: 376.2258)を得た。
(サイロシン結合ヘモシアニン(PSI-KLH)およびサイロシン結合ウシ血清アルブミン(PSI-BSA)の調製)
ヘモシアニン(以下、「KLH」と記す)およびウシ血清アルブミン(以下、「BSA」と記す)のそれぞれへのPSI-COOHの結合は、混合無水物(mixed anhydride)法を若干改変して行った。すなわち、実施例1で得られたPSI-COOHに等モル数のイソブチルクロロホルメート(isobutyl choloroformate)およびトリブチルアミン(tributylamine)を加え、20℃以下にて30分撹拌し、反応終了後、KLHまたはBSAを加え、pH8.5に調整した後、4℃で撹拌しながら4時間反応させて行った。この反応溶液を、水に対して透析した後、凍結乾燥してPSI-KLH ならびに PSI-BSA の粉末を得た。得られたPSI-BSAは、BSA1分子に対してPSI-COOH10分子程度が結合していた。
(抗サイロシンIgG抗体の精製)
実施例2で得られたPSI-KLHをリン酸緩衝液(PBS)で溶解し、TiterMax(アレキシス社の商品)と等量で充分に混和し、Balb/c系マウス(雌、6週齢)に2週間間隔で6回免疫した。さらに脾臓細胞を調製後、ミエローマ細胞(PAI)とポリエチレングルコール法により融合させた。抗サイロシンモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞はPSI-BSAに対する反応性で選択した。
抗体を含む溶液を20mM リン酸緩衝液(pH7.0)にて透析した。その後、20mM リン酸緩衝液(pH7.0)にて平衡化したProtein G-Sepharoseカラム(Protein G Sepharose 4FF、ファルマシアバイオテク株式会社の商品)に供した。20mM リン酸緩衝液(pH7.0)溶液にて十分に洗浄した後、0.1M グリシン緩衝液(pH2.7)にて溶出させた。溶出画分には1M トリス塩酸緩衝液(pH9.0)を添加し、直ちに中和した。溶出されたIgG抗体を含むタンパク質画分を集め、20mM リン酸緩衝液(pH7.0)にて透析し、サイロシンに対するマウスモノクローナル抗体を精製した。
(抗サイロシンIgG抗体の金コロイド標識)
(1)金コロイド溶液の調製
加熱によって沸騰させた超純水99mlに、1%(v/w)塩化金酸水溶液1mlを加え、さらに、その1分後に1%(v/w)クエン酸ナトリウム水溶液1.5mlを加えて加熱し5分間沸騰させた後、室温に放置して冷却した。次いで、この溶液に200mM炭酸カリウム水溶液を加えてpH9.0に調製し、これに超純水を加えて全量を100mlとして金コロイド溶液を得た。
(2)金コロイド標識抗サイロシンIgG抗体溶液の調製
実施例3で得られた抗サイロシンIgG抗体と上記の金コロイド溶液1mlとを混合し、室温で2分間静置してこの抗体のことごとくを金コロイド粒子表面に結合させた後、金コロイド溶液における最終濃度が1%になるように10%ウシ血清アルブミン(BSA)水溶液を加え、この金コロイド粒子の残余の表面をことごとくこのBSAでブロックして、金コロイド標識抗サイロシンIgG抗体(以下、「金コロイド標識抗体」と記す)溶液を調製した。この溶液を遠心分離(7000rpm、25℃、25分間)して金コロイド標識抗体を沈殿せしめ、上清液を除いて金コロイド標識抗体を得た。この金コロイド標識抗体を10%サッカロース・1%BSA・0.5%トリトン(Triton)-X100を含有する50mMトリス塩酸緩衝液(pH7.4)に懸濁して金コロイド標識抗体溶液を得た。
(サイロシン及びサイロシビン検出用イムノクロマトグラフィーテストストリップの作成)
(1)第一の捕捉部位の形成
幅5mm、長さ36mmの細長い帯状のニトロセルロース膜をクロマトグラフ媒体すなわちクロマト展開用膜担体として用意した。
実施例2で得られたPSI-BSA 1mg/mlが含まれる溶液0.5μlを、このクロマト展開用膜担体におけるクロマト展開開始側の末端から6.0mmの位置にライン状に塗布して、これを室温にて乾燥し、未反応の金コロイド標識抗体を捕捉する第一の捕捉部位とした。
(2)第二の捕捉部位の形成
抗マウスIgG抗体(ダコ・サイトメトリー株式会社の商品)0.2mg/mlが含有されてなる溶液0.5μlを、このクロマト展開用膜担体におけるクロマト展開開始側の末端から14.5mmの位置にライン状に塗布して、これを室温で乾燥し、サイロシンと反応した金コロイド標識抗体を捕捉する第二の捕捉部位とした。
(3)金コロイド標識抗体含浸部材
5mm×20cmの帯状のガラス繊維不織布に、実施例4で得られた金コロイド標識抗体溶液600μlを含浸せしめ、これを室温で乾燥させて、15mm×5mmの大きさに切断し、金コロイド標識抗体含浸部材とした。
(4)イムノクロマトグラフィーテストストリップの作成
上記クロマト展開用膜担体および上記金コロイド標識抗体含浸部材の他に、被験試料注入部を構成する部材として綿布を用意し、吸収用部材として濾紙を用意した。そして、これらの部材を図1に示されるように配置して、イムノクロマトグラフィーテストストリップを作成した。
実施例2で得られたPSI-BSAをリン酸緩衝液(PBS)で希釈し、各種濃度(1.0, 12.5, 25.0, 50.0μg/mL)になるよう調製し、被験試料とした。そして、被験試料100μLを実施例5で得られたテストストリップの被験試料注入部にマイクロピペットで滴下してクロマト展開し、室温で15分放置後、第一の捕捉部位および第二の捕捉部位における赤紫色の呈色度合いを肉眼で観察した。その結果を表1に示す。なお、ブランクとして、リン酸緩衝液のみからなる被験試料を100μL滴下したものを示した。呈色度合いは、−(着色なし)、+(微弱な着色)、++(明確な着色)、+++(強力な着色)の4段階に区分して判定した。その結果を表2に示した。表2から、第一の捕捉部位の呈色の度合いによってサイロシンの存否を判定でき、これと第二の捕捉部位の呈色の度合いとを対比することにより、サイロシンの含有量を半定量できることがわかる。
Figure 0004174016
(被験試料中のサイロシン及びサイロシビンの検出)
被験試料としてサイロシンおよびサイロシビンを含有するマジックマッシュルームを用意し、対照試料としてサイロシンおよびサイロシンの何れも含有しないぶなしめじ、しいたけ、まいたけ及びエリンギを用意した。被験試料及び対照試料のそれぞれは、乾燥させたものをすりつぶして粉末状にし、25mgを抽出用チューブに入れ、1mlの10%メタノール含有抽出液にて抽出した。そして、得られた抽出液をマイクロピペットで採取し、100μLを実施例5で得られたテストストリップの被験試料注入部に滴下してクロマト展開し、室温で15分放置後、第一の捕捉部位および第二の捕捉部位における赤紫色の呈色度合いを肉眼で観察した。なお、ブランクとして抽出液単独を用いた以外、上記と同様に試験した。呈色度合いは、−(着色なし)、+(微弱な着色)、++(明確な着色)、+++(強力な着色)の4段階に区分して判定した。その結果を表2に示した。表2から、マジックマッシュルームと普通のキノコとの判別が可能であることがわかる。
Figure 0004174016
aはイムノクロマトグラフィーテストストリップの平面図、bはaで示されたイムノクロマトグラフィーテストストリップの縦断面図。 aは図1のイムノクロマトグラフィーテストストリップを収容するためのプラスチックケースを示す平面図、bはaで示されたケースの縦断面図。
符号の説明
1 粘着シート
2 含浸部材
3 膜担体
31 第一の捕捉部位
32 第二の捕捉部位
4 吸収用部材
5 試料添加用部材
6 プラスチック製ケース
61 ケース本体
62 蓋体
621 被験試料注入部
622 判定部

Claims (20)

  1. サイロシン類の抗原決定基を備えた物質を予め所定位置に固定せしめて形成された第一の捕捉部位を備える膜担体を用意し、サイロシン類に対する抗体(I)と被験試料との混合液を、前記第一の捕捉部位に向けて前記膜担体中をクロマト展開せしめ、前記第一の捕捉部位に固定された前記物質と前記被験試料中に含まれるサイロシン類との前記抗体(I)に対する競合反応により前記被験試料中に含まれるサイロシン類を検出するようにしたことを特徴とするイムノクロマトグラフィー検出法。
  2. サイロシン類の抗原決定基を備えた前記物質は、サイロシン、サイロシビン、これらの誘導体及びこれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を含んでなる請求項1に記載の検出法。
  3. サイロシン類の抗原決定基を備えた前記物質は、インドール骨格の1位の環窒素原子又は4位に結合した水酸基に、末端に反応性官能基を備えた置換基が導入されたサイロシン誘導体、または該サイロシン誘導体と免疫原性物質との結合物である請求項2に記載の検出法。
  4. 前記膜担体は、前記第一の捕捉部位のクロマト展開下流側に、前記抗体(I)に対する抗体(II)を固定せしめて形成された第二の捕捉部位を備える請求項1に記載の検出法。
  5. 前記抗体(I)は、前記第一の捕捉部位から離隔した位置にて前記膜担体に接続配置された含浸部材に予め含浸されており、被験試料を含有する液体を前記含浸部材に接触させることにより、前記抗体(I)と前記被験試料との混合液をクロマト展開せしめる請求項4に記載の検出法。
  6. 前記抗体(I)は、予め標識されている請求項5に記載の検出法。
  7. 前記抗体(I)は、金属コロイドまたはラテックスで予め標識されたものである請求項6に記載の検出法。
  8. 前記抗体(I)はモノクローナル抗体である請求項7に記載の検出法。
  9. サイロシン類の抗原決定基を備えた物質と、サイロシン類に対する抗体(I)と、膜担体とを少なくとも備え、前記物質は前記膜担体の所定位置に予め固定されて第一の捕捉部位を形成し、前記抗体(I)は前記第一の捕捉部位に向けて前記膜担体中をクロマト展開可能なように配置されてなるイムノクロマトグラフィーテストキット。
  10. サイロシン類の抗原決定基を備えた前記物質は、サイロシン、サイロシビン、これらの誘導体及びこれらの塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を含んでなる請求項9に記載のイムノクロマトグラフィーテストキット。
  11. サイロシン類の抗原決定基を備えた前記物質は、インドール骨格の1位の環窒素原子又は4位に結合した水酸基に、末端に反応性官能基を備えた置換基が導入されたサイロシン誘導体、または該サイロシン誘導体と免疫原性物質との結合物である請求項9に記載のイムノクロマトグラフィーテストキット。
  12. 前記膜担体は、前記第一の捕捉部位のクロマト展開下流側に、前記抗体(I)に対する抗体(II)を固定せしめて形成された第二の捕捉部位を備える請求項9に記載のイムノクロマトグラフィーテストキット。
  13. 前記抗体(I)は、前記第一の捕捉部位から離隔した位置にて前記膜担体に接続配置された含浸部材に予め含浸されており、被験試料を含有する液体を前記含浸部材に接触させることにより、前記抗体と前記被験試料との混合液をクロマト展開できるようにされている請求項12に記載のイムノクロマトグラフィーテストキット。
  14. 前記抗体(I)は、予め標識されている請求項13に記載のイムノクロマトグラフィーテストキット。
  15. 前記抗体(I)は、金属コロイドまたはラテックスで予め標識されたものである請求項14に記載のイムノクロマトグラフィーテストキット。
  16. 前記抗体(I)はモノクローナル抗体である請求項15に記載のイムノクロマトグラフィーテストキット。
  17. 下記式(1)で示されるサイロシン誘導体。
    Figure 0004174016
    (式中、Yは−(CH−、−(CH−(NHCO)−(CH−、−(CH−(NHCO)−CH(COOH)−CH−、−(CH−(NHCO)−CH(NH)−CH−、−(CH−(NHCO)−CH(COOH)−CH(CH)−、又は、−(CH−(NHCO)−CH(NH)−CH(CH)−で示される二価の基(n、k及びlはそれぞれ2〜5の整数)、XはCN、NH、COOH、OH又はSHで示される反応性官能基を表わす。)
  18. N-{4-[3-(2-ジメチルアミノエチル)-インドール-4-イルオキシ]-ブチル}コハク酸である請求項17に記載のサイロシン誘導体。
  19. 下記式(1)または(2)で示されるサイロシン誘導体に対する抗体。
    Figure 0004174016
    Figure 0004174016
    (上記式(1)および(2)のそれぞれにおいて、Yは−(CH −、−(CH −(NHCO)−(CH −、−(CH −(NHCO)−CH(COOH)−CH −、−(CH −(NHCO)−CH(NH )−CH −、−(CH −(NHCO)−CH(COOH)−CH(CH )−、又は、−(CH −(NHCO)−CH(NH )−CH(CH )−で示される二価の基(n、k及びlはそれぞれ2〜5の整数)、XはCN、NH 、COOH、OH又はSHで示される反応性官能基を表わす。)
  20. モノクローナル抗体である請求項19に記載の抗体。
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