JP4172679B2 - 盤用熱交換器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、配電盤、制御盤、通信盤等に取り付け、キャビネットの内部に収容した機器が発生する熱をキャビネットの外部に放散し、キャビネット内部の温度上昇を抑制するために使用される盤用熱交換器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
配電盤、制御盤、通信盤等においては、キャビネットの内部に収容した機器が発生する熱によってキャビネット内部の温度が上昇し、収容した機器の誤動作したり故障したりすることがある。キャビネット内部の温度上昇を防ぐためには通風をよくすればよいが、埃を吸い込んだり盤が設置された周囲の悪性雰囲気を吸い込んだりすることになる。埃や悪性雰囲気の吸入を防止するためにはキャビネットを密閉することが好ましく、密閉した状態でキャビネット内の熱をキャビネットの外部に伝えて放熱する盤用熱交換器が多く使用されるようになってきている。
【0003】
こうした盤用熱交換器にはキャビネットの天井に取り付ける図5に示すようなものがある。図5に示す熱交換器は、筐体1を上下に仕切る仕切り板2を縦方向に貫通するヒートパイプ3、3が設けられており、該ヒートパイプ3、3の上下部分にはフィン5、6がそれぞれ取り付けられている。筐体1の下部にはヒートパイプ3及びフィン6を挟んで一方にファン9、他方に空気流出口10が設けられており、上部には一方にファン11、他方に外気吸入口12が設けられている。この熱交換器では、キャビネットの内部の空気は矢印で示すようにファン9により下方から吸入され、フィン6を通って流出口10からキャビネット内に戻り、フィン6を通る間に熱がフィン6に移行する。一方、外気は矢印で示すように外気吸入口12から吸入され、フィン5を通ってファン11により放出されるが、フィン5にはフィン6に移行したキャビネット内の熱がヒートパイプ3を通して移行してきており、この熱が外気に移行することになる。このようにしてキャビネット内部の空気の熱は外気へ放熱される。
【0004】
このような熱交換器では、その能力はヒートパイプとヒートパイプに取り付けられたフィンの面積、ファンの風量によって決定され、能力を確保するためにはある程度以上の大きさのファンを使用する必要があった。このファンの寸法上の制約から熱交換器の上下方向の寸法を小さくすることができず、設置場所の関係からキャビネット上面と天井面との距離が短い場合には充分な能力のある熱交換器を取り付けられないという問題があった。
【0005】
また、このような熱交換器においては、盤内側と盤外側との密閉性が良好であることが求められ、密閉性を良くするためにパッキングを貼付することが一般的である。フィンに埃が堆積すると熱交換の能力が低下するため定期的にフィンを清掃する必要があり、ヒートパイプとフィンを一体にして取り外し、圧縮空気の吹き付けあるいは洗剤を溶解した水による浸漬洗浄をするが、パッキングの貼付によりヒートパイプとフィンの取り外しが面倒であり、また、ヒートパイプとフィンを取り外す際にパッキングがはがれるという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の問題点を解決し上下方向の寸法を小さくすることができ、盤内側と盤外側との密閉性が良好で、メンテナンスも容易な盤用熱交換器を提供するためになされたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するためになされた本発明の盤用熱交換器は、筐体を上下に仕切る仕切り板を貫通するヒートパイプを設け、該ヒートパイプの上下部分にフィンを取り付け、ヒートパイプの下部に取り付けたフィンに冷却する対象のキャビネット内部の空気を、ヒートパイプの上部に取り付けたフィンに外部の空気をそれぞれ通すファンを設けた盤用熱交換器において、ヒートパイプとヒートパイプを取り付けた取り付け板とを一体として放熱ユニットとし、放熱ユニットを仕切り板に設けた透孔に取り付け、放熱ユニットと筐体の側壁との間に生ずる隙間に隔壁を設け、該隔壁は仕切り板の上部では放熱ユニットに、仕切り板の下部では側壁にそれぞれ取り付けるとともに、筐体の上半分に設けた外部の空気が通る外気通路の端部を上下方向に拡張し、外気通路の拡張した部分に対応するように外気を送るファンを設けたことを特徴とするものである。
【0008】
また、外気通路の拡張部分と拡張されない部分の間の連結部分を傾斜面で構成すること、外気通路の拡張部分と拡張されない部分の間の連結部分を曲面で構成することが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について図を参照しながら具体的に説明する。
図1は本発明の第一の実施の形態を示す縦断側面図であって、筐体1が仕切り板2によって上下に仕切ってあり、該仕切り板2を縦方向に貫通してヒートパイプ3、3が設けてある。ヒートパイプ3、3の略中央部分は取り付け板4に取り付け、ヒートパイプ3、3の取り付け板4より上の部分にはフィン5、5を、取り付け板4より下の部分にはフィン6、6をそれぞれ取り付けて一体化した放熱ユニット7を構成し、取り付け板4を仕切り板2に設けた透孔8に取り付けてある。筐体1の底面の前端部にはファン9が水平に取り付けてあり、後端部には空気流出口10が設けてある。また、筐体1の上部の前端にはファン11が垂直に取り付けてあり、後端には外気吸入口12が設けてある。13は筐体1の蓋であって、該蓋13、筐体1の側壁14と仕切り板2によって外部の空気が通る外気通路15を形成するようにしている。仕切り板2には傾斜した連結部分16及び17が設けてあり、筐体1の上部の前端部及び後端部にそれぞれ外気通路15の拡張部分18及び19を形成している。
【0010】
20はファン11に異物が入るのを防止する防護網、21は外気中の塵埃等を補足するエアフィルタ、22は仕切り板2の透孔8の周囲に貼付して取り付け板4との間の隙間を塞ぐパッキング、23、23は筐体1をキャビネットに取り付けるためのフランジである。筐体1の底部内面には放熱ユニット7の下端と筐体1の底面との間の隙間から空気が漏れるのを抑止する遮蔽板24、24が設けてあり、蓋13の内面には放熱ユニット7の上端と蓋13との間の隙間から空気が漏れるのを抑止する遮蔽板25、25が設けてある。また、放熱ユニット7と筐体1の側壁14、14との間に生ずる隙間には、図2の縦断正面図に示すように仕切り板2の上部には隔壁26、26を、仕切り板2の下部には隔壁27、27をそれぞれ設け、隙間を塞ぐようにしてある。ここで、隔壁26、26は放熱ユニット7に、隔壁27、27は側壁14、14にそれぞれ取り付けてある。
【0011】
前記構成の盤用熱交換器を図示しない内部を冷却する対象のキャビネットの天井にフランジ23、23により取り付け、キャビネットの天井のファン9と空気流出口10に対向する部分には透孔を設けておく。ファン9及び11を回転させると、キャビネットの内部の空気は矢印で示すようにファン9により下方から吸入され、フィン6を通って空気流出口10からキャビネット内に戻り、キャビネットの内部の空気がフィン6を通る間に熱がフィン6に移行する。一方、外気は矢印で示すように外気吸入口12から吸入され、フィン5を通ってファン11により放出されるが、フィン6にはキャビネットの内部の空気フィン5に移行した熱がヒートパイプ3、3を通して移行してきており、この熱が外気に移行することになる。このようにしてキャビネット内部の空気の熱は外気へ放熱される。ファン9、11の何れかを逆回転させれば、キャビネット内部の空気あるいは外気の流れる方向が逆になるわけであるが、図1の矢印で示すように両方の空気を対向して流すことが好ましい。
【0012】
ここにおいて、ファン11は外気通路15の拡張部分18に対応するように取り付けてあるので従来と同様大形のファンを取り付けることができ、放熱ユニット7の上下方向の寸法を小さくすることにより筐体1の上下方向の寸法を小さくすることができることとなる。この実施形態では、ファン11を筐体内部の拡張部分18に取り付けてあるが、拡張部分18に対応する筐体外部に取り付けても同様に作用することはいうまでもない。なお、放熱ユニット7の上下方向の寸法を単純に小さくするとフィン5、6の面積が減少し、能力が低下することになるが、幅方向、前後方向の寸法を大きくすることにより能力を確保することができる。また、外気吸入口12側には必ずしも拡張部分19を形成する必要はないが、外気吸入口12の面積を大きくして、エアフィルタ21の抵抗の影響を緩和するために形成したものである。この第1の実施の形態では連結部分16、17を傾斜した面としているが、連結部分16、17を傾斜した面とすることにより空気の流れが円滑で製作が比較的容易であるという利点がある。この傾斜した連結部分16は、外部の空気の流れを円滑に行なうのみならず、ファン9から吸入されたキャビネット内部の空気がフィン6に向かう際にも案内されて、円滑に流れるという作用がある。
【0013】
図3は第2の実施の形態を示すものであって、連結部分を垂直な面としたものである。この第2の実施の形態のものには製作が容易であるという利点がある。また、図4は第3の実施の形態を示すものであって、連結部分を曲面としたものである。この第3の実施の形態のものには空気の流れが円滑であるという利点がある。
【0014】
放熱ユニット7は取り付け板4をパッキング22を介して仕切り板2の上面にねじ等により取り付けてあり、放熱ユニット7と筐体1の側壁14、14との間の隙間は仕切り板2の上部では隔壁26、仕切り板2の下部では隔壁27によってそれぞれ隙間を塞ぐようにしてあるが、隔壁26は放熱ユニット7に、隔壁27は側壁14にそれぞれ取り付けてあることから放熱ユニット7を上方に取り出す際に障害になることがない。したがって、蓋13を外し、取り付け板4の仕切り板2に対する固定を解除すれば放熱ユニット7は上方に抜き出すことができ、放熱ユニットの清掃を容易に行なうことができる。
【0015】
【0016】
【発明の効果】
本発明は前記説明によって明らかなように、外気通風用のファンを外気通路の拡張部分に対応するように取り付けたので、従来と同様の大形のファンを取り付けることができ、放熱ユニットの上下方向の寸法を小さくすることにより筐体の上下方向の寸法を小さくすることができるものである。また、放熱ユニットの取り外しも上方へ容易に引き出すことで可能であり上下方向の寸法が小さく、盤内側と盤外側との密閉性が良好で、メンテナンスも容易な盤用熱交換器を提供するものとして業界に寄与するところ極めて大である。
なお、前記実施の形態では、キャビネットの天井に取り付けるものとしているが、キャビネットの側面に取り付けるように変更できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す要部の縦断側面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態を示す要部の縦断正面図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態を示す要部の縦断側面図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態を示す要部の縦断側面図である。
【図5】従来の盤用熱交換器の例を示す要部の縦断側面図である。
【符号の説明】
1 筐体
2 仕切り板
3 ヒートパイプ
4 取り付け板
5、6 フィン
7 放熱ユニット
8 透孔
9 ファン
10 空気流出口
11 ファン
12 外気吸入口
13 蓋
14 側壁
15 外気通路
16、17 連結部分
18、19 拡張部分
20 防護網
21 エアフィルタ
22 パッキング
23 フランジ
24、25 遮蔽板
26、27 隔壁
Claims (3)
- 筐体を上下に仕切る仕切り板を貫通するヒートパイプを設け、該ヒートパイプの上下部分にフィンを取り付け、ヒートパイプの下部に取り付けたフィンに冷却する対象のキャビネット内部の空気を、ヒートパイプの上部に取り付けたフィンに外部の空気をそれぞれ通すファンを設けた盤用熱交換器において、ヒートパイプとヒートパイプを取り付けた取り付け板とを一体として放熱ユニットとし、放熱ユニットを仕切り板に設けた透孔に取り付け、放熱ユニットと筐体の側壁との間に生ずる隙間に隔壁を設け、該隔壁は仕切り板の上部では放熱ユニットに、仕切り板の下部では側壁にそれぞれ取り付けるとともに、筐体の上半分に設けた外部の空気が通る外気通路の端部を上下方向に拡張し、外気通路の拡張した部分に対応するように外気を送るファンを設けたことを特徴とする盤用熱交換器。
- 外気通路の拡張部分と拡張されない部分の間の連結部分を傾斜面で構成したことを特徴とする請求項1に記載の盤用熱交換器。
- 外気通路の拡張部分と拡張されない部分の間の連結部分を曲面で構成したことを特徴とする請求項1に記載の盤用熱交換器。
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