JP4168826B2 - 自動車のエンジンマウント構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジン側に取り付けられたエンジン側マウントブラケットと、車体側に取り付けられた車体側マウントブラケットとを有する自動車のエンジンマウント構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車のエンジンマウント構造としては、例えば、特許文献1に示されるように、エンジンやトランスミッションを有するパワーユニット側に取り付けられた第1のマウントブラケットとしてのエンジン側マウントブラケット(エンジンマウント)と、車体側に取り付けられた第2のマウントブラケットとしての車体側マウントブラケット(エンジンマウントブラケット)とを、弾性部材等でなるインシュレータラバ(マウントブッシュ)を介して結合することにより、エンジンを車体に搭載するものが知られている。
【0003】
通常、自動車のエンジンルームは、車体前方に左右の側壁として配設されるフードリッジパネルと、このフードリッジパネル間の車体前方側に架設されたラジエータコアサポートと、前記フードリッジパネル間の車体後方側に架設されたダッシュパネルとにより区画形成されている。
【0004】
そして、前記車体側マウントブラケットは、フードリッジパネルに固定されるショックアブソーバを収納支持するためのストラットハウジングより前方にて、車体前後方向に延設されるフロントサイドメンバに取り付けられている。
【0005】
【特許文献1】
特開平5−155255号公報(第1図、第3図および第4図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような車体側マウントブラケットとしては、一般的に薄板状のパネル部品からなるものが広く使われている。しかしながら、この場合、マウントブラケットとして必要な強度や剛性を、パネル部品の板厚を厚くするなどの質量を増加することにより対応せざるを得ないため、重量や生産コストの増加を招く問題がある。
【0007】
また、このように、マウントブラケットとしての強度や剛性を向上するべく、パネル部品の質量を増加する場合、車体前方から荷重が加わった際に潰れることにより、この荷重に応じたエネルギを吸収するべきフロントサイドメンバやフードリッジパネルのストロークを犠牲にしてしまうおそれがある。
【0008】
そこで、本発明はかかる従来の課題に鑑みてなされたものであり、重量や生産コストの増加を招くことなく、強度や剛性を実用上十分に向上し得るとともに、車体前方からの荷重に応じたエネルギの吸収効率に優れた自動車のエンジンマウント構造を提供することを目的とする。
【0009】
本発明にあっては、エンジンやトランスミッションを有するパワーユニット側に取り付けられた第1のマウントブラケットと、車体側に取り付けられた第2のマウントブラケットとが接合されることにより、パワーユニットを車体にマウントする自動車のエンジンマウント構造において、第2のマウントブラケットが、車体前後方向に所定間隔を存する一対の角柱状でなる骨格部材と、底面部と背面部を有して略L字状をなし、これら一対の骨格部材の間を連結するように設けられ、上記底面部に上記第1のマウントブラケット接合さる連結部材とを具え、車体前方に左右の側壁として配設されるフードリッジパネルと、車体前後方向に延設されるフロントサイドメンバとの間に跨設されており上記骨格部材間を、車体前方から加わる荷重による潰れストロークとして機能させたことを特徴としている。
【0010】
【発明の効果】
本発明によれば、第2のマウントブラケットを車体前後方向に所定間隔を存する一対の骨格部材と、これら一対の骨格部材の間を連結するように設けられた連結部材とで構成し、これら骨格部材がフードリッジパネルとフロントサイドメンバとの間に跨設されるようにしたことにより、重量の増加や、これに伴う生産コストの増加を回避しつつ、エンジンマウントとして必要な強度、剛性を実用上十分に向上することができる。
【0011】
しかも、この第2のマウントブラケットが車体前後方向に所定間隔を存する一対の角柱状でなる骨格部材で構成されることから、車体前方から荷重が加えられる場合、これら骨格部材間を潰れストロークとして機能させることができるため、前記荷重に応じたエネルギの吸収効率を格段と向上させることができる。
【0012】
かくして、重量や生産コストの増加を招くことなく、強度や剛性を実用上十分に向上し得るとともに、車体前方からの荷重に応じたエネルギの吸収効率に優れた自動車のエンジンマウント構造を提供することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面と共に詳述する。
【0014】
図1および図2は、本発明にかかる自動車のエンジンマウント構造の第1実施形態を示し、図1は本実施形態によるエンジンマウント構造の概略構成を示す斜視図、図2は図1における要部を拡大して示す斜視図である。なお、図2においては、図1における車体の左側部分についてのみ拡大して示すが、勿論、車体の右側部分についても同様に構成される。
【0015】
図1において、10は車体を示し、その前方には左右の側壁としてのフードリッジパネル11、12と、このフードリッジパネル11、12間の車体前方側に架設されたラジエータコアサポート13と、フードリッジパネル11、12間の車体後方側に架設されたダッシュパネル14とによりエンジンルーム15が区画形成されている。
【0016】
また、各フードリッジパネル11、12のエンジンルーム15内に面した部分には、図外のショックアブソーバが収納支持されるストラットハウジング16、16と、フードリッジパネル11、12の下縁部に配置されて、車体前部の前後方向骨格部を構成するフロントサイドメンバ17とが、フードリッジパネル11、12に形成されたホイールハウス部18と一体に設けられており、フロントサイドメンバ17におけるストラットハウジング16より車体前方には、フードリッジパネル11、12に跨って第2のマウントブラケットとしての車体側マウントブラケット19が固定されている。
【0017】
より具体的には図2に示すように、この車体側マウントブラケット19は、車体前後方向に所定間隔を存して立設された一対の角柱状でなる骨格部材20、21を備えており、これら骨格部材の一端側20a、21aをフードリッジパネル11に、他端側20b、21bをフロントサイドメンバ17に、それぞれ結合部材であるボルト23を用いて結合されるとともに、これら骨格部材20、21の対向する面20c、21cには、車体前後方向に延設される底面部22aと、車体上下方向に延設される背面部22bとからなる連結部材としての連結部22を備えている。
【0018】
また、この車体側マウントブラケット19は、インシュレータラバ25が固着された台座26からなるマウント部材24を有しており、前記連結部22の底面部22aには、台座26を取り付けるためのボルト用孔22cが穿設されている。これとともに、この実施形態の場合、車体側マウントブラケット19は、正面視H形の形状をなしていることから、剛性向上を図るため、連結部22における背面部22bを車体上下方向に長く形成している。この結果、背面部22bには、台座26を底面部22aに取り付けた際、インシュレータラバ25が当接するのを回避するための開口部22cが設けられている。このマウント部材24は、台座26をボルト28によって連結部22の底面部22aに締結するようになっている。
【0019】
そして、図外のエンジンやトランスミッションを有するパワーユニット側に取り付けられた第1のマウントブラケットとしてのエンジン側マウントブラケット27が、インシュレータラバ25を介して車体側マウントブラケット19に接合されることにより、パワーユニットを車体に搭載するようになっている。
【0020】
このように、本実施形態のエンジンマウント構造では、車体側マウントブラケット19を骨格部材20、21と連結部22とで構成し、これら骨格部材20、21がフードリッジパネル11とフロントサイドメンバ17との間に跨設されるようにしたことにより、パネル部品で車体側マウントブラケットを構成する場合に比較して、板厚の増加等による重量の増加や、これに伴う生産コストの増加を回避しつつ、エンジンマウントとして必要な強度、剛性を実用上十分に向上することができる。
【0021】
しかも、この車体マウントブラケット19が骨格部材20、21で構成されることから、車体前方から荷重が加えられる場合、これら骨格部材20、21間を潰れストロークとして機能させることができるため、前記荷重に応じたエネルギの吸収効率を格段と向上させることができる。
【0022】
また、車体側マウントブラケット19は、フロントサイドメンバ17におけるストラットハウジング16近傍(この場合、ストラットハウジング16より車体前方)に配設されるため、車体10の強度剛性に寄与させることができる。
【0023】
さらに、この車体側マウントブラケット19は、ボルト23によってフードリッジパネル11とフロントサイドメンバ17との間に跨って設けられる(所謂、トリム・マウンティングされる)ため、エンジンマウント位置等が車体、エンジン等のバリエーションに応じて異なる位置に設定される場合においても、車体10の形状を変えることなく、この車体側マウントブラケット19の形状のみを変更する容易な作業で対応することができる。
【0024】
これにより、従来のようなスポット溶接等の手法によって接合されてなるパネル部品で車体側マウントブラケットを構成していた場合に、エンジンマウント位置等が車体、エンジン等のバリエーションに応じて異なる位置に設定されることにより招くおそれのあった、パネル部品(車体側マウントブラケット)の周辺に設けられる様々な部品にまで変更が及び、前記バリエーションに伴った車体アッセンブリの種類の増加、すなわち車体を構成する部品点数の増加を回避することができる。
【0025】
次に、本発明にかかる自動車のエンジンマウント構造の第2実施形態について、図面と共に詳述する。
【0026】
図2との対応部分に同一符号を付した図3は、本発明による第2実施形態のエンジンマウント構造の概略構成を示す斜視図であり、第2のマウントブラケットとしての車体側マウントブラケット19に代わって、車体側マウントブラケット30が設けられている点を除いて、上述した第1実施形態における自動車のエンジンマウント構造とほぼ同様に構成されている。なお、この図3は図2と同様に、図1における車体の左側部分についてのみ拡大して示すが、勿論、車体の右側部分についても同様に構成される。
【0027】
具体的に、車体側マウントブラケット30は図3に示すように、2つの角柱状でなる骨格部材30a、30bが車体前後方向に所定間隔を在して立設され、これら骨格部材30a、30bの間、すなわち骨格部材30a、30bの対向する面30c、30dには、これらを連結する連結部材としての連結部31が設けられている。
【0028】
これら骨格部材30a、30bは、一方の端部である一端側30eにおいて一体に連結されているとともに、この一端側30eがボルト23(図2参照)によってフードリッジパネル11に結合されている。また、これら骨格部材30a、30bの他端側30f、30gは、ボルト23(図2参照)によってフロントサイドメンバ17に結合されている。このようにして、車体側マウントブラケット30は、フードリッジパネル11とフロントサイドメンバ17との間に跨って設けられている。
【0029】
さらに、連結部31は底面部31aに、インシュレータラバ25(図2参照)が固着された台座26(図2参照)を有するマウント部材24(図2参照)を取り付けるためのボルト用孔31cが穿設されている。
【0030】
なお、この実施形態の場合、車体側マウントブラケット30は、正面視A形の形状をなしていることから、上述の第1実施形態における車体側マウントブラケット19に比べて剛性向上が図られるため、連結部31における背面部31bを車体上下方向に短く形成することが可能となる。従って、前記台座26(図2参照)を底面部31aに取り付けた際、背面部31bに対してインシュレータラバ25(図2参照)が当接することが未然に回避されるため、この当接を回避するための開口部を設ける必要はない。
【0031】
このように、本実施形態のエンジンマウント構造では、車体側マウントブラケット30を骨格部材30a、30bと連結部31とで正面視A形でなるように構成し、これら骨格部材30a、30bがフードリッジパネル11とフロントサイドメンバ17との間に跨設されるようにしたことにより、上述の第1実施形態のエンジンマウント構造における効果に加えて、この車体側マウントブラケット30の剛性を、より一層向上することができる。
【0032】
しかも、連結部31の背面部31bに、マウント部材24(図2参照)の台座26(図2参照)を底面部31aに取り付けた際、背面部31bに対するインシュレータラバ25(図2参照)の当接を回避するための開口部を設ける必要がない分、この連結部31を容易に形成することができる。
【0033】
なお、本発明における自動車のエンジンマウント構造を、上述した第1および第2実施形態を例に取って説明したが、本発明はこれに限ることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で各種実施形態を採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる第1実施形態の自動車のエンジンマウント構造における概略構成を示す斜視図である。
【図2】図1における車体の要部を拡大して示す斜視図である。
【図3】本発明にかかる第2実施形態の自動車のエンジンマウント構造における要部を拡大して示す斜視図である。
【符号の説明】
10・・・車体
11・・・フードリッジパネル
16・・・ストラットハウジング
17・・・フロントサイドメンバ
19、30・・・車体側マウントブラケット(第2のマウントブラケット)
20、21、30a、30b・・・骨格部材
20a、21a、30e・・・一端側
20b、21b、30f、30g・・・他端側
22、31・・・連結部(連結部材)
22a、31a・・・底面部
22b、31b・・・背面部
23・・・ボルト(結合部材)
24・・・マウント部材
25・・・インシュレータラバ
26・・・台座
27・・・エンジン側マウントブラケット(第1のマウントブラケット)

Claims (3)

  1. エンジンやトランスミッションを有するパワーユニット側に取り付けられた第1のマウントブラケットと、車体側に取り付けられた第2のマウントブラケットとが接合されることにより、上記パワーユニットを車体にマウントする自動車のエンジンマウント構造において、
    上記第2のマウントブラケットが、
    車体前後方向に所定間隔を存する一対の角柱状でなる骨格部材と、
    底面部と背面部を有して略L字状をなし、これら一対の骨格部材の間を連結するように設けられ、上記底面部に上記第1のマウントブラケット接合さる連結部材と
    を具え、
    車体前方に左右の側壁として配設されるフードリッジパネルと、車体前後方向に延設されるフロントサイドメンバとの間に跨設されており
    上記骨格部材間を、車体前方から加わる荷重による潰れストロークとして機能させた
    ことを特徴とする自動車のエンジンマウント構造。
  2. 上記第2のマウントブラケットが、上記フードリッジパネルとフロントサイドメンバとに、それぞれ上記骨格部材の一端側および他端側を結合部材によって結合してなる
    ことを特徴とする請求項1に記載の自動車のエンジンマウント構造。
  3. 上記第2のマウントブラケットの上記骨格部材は、
    一方の端部が一体に連結されてなる
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の自動車のエンジンマウント構造。
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