JP4156697B2 - 水系美爪料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、美爪料に関する。詳しくは、特定の水溶性共重合体と水性エマルションポリマーとを含有することにより耐水性に優れ、爪に対する安全性の高い水系の美爪料に関する。
【0002】
【従来技術】
従来より、美爪料は爪先のメイク化粧料として広く汎用されてきており、その剤型はトルエン、酢酸エステル類を中心とした溶剤タイプのものが主流であった。しかしながら、近年の安全性嗜好の高まりに伴い、有機溶剤を使用しないタイプの美爪料、例えば水系のもの(以下[水系美爪料]という)が検討されるようになってきた。
【0003】
水系美爪料の場合、従来の溶剤タイプの美爪料とは異なり、硝化綿のような強固な皮膜を形成する成分が使用できないため、溶剤タイプと同等の付着性、膜強度、耐水性といった塗膜性能を有する製品の開発が主体となってきている。とりわけ耐水性が低いと、日常生活の炊事、入浴などの時に、塗膜のはがれ、かけが急速に進行し美爪料としての機能を果たさない。このため使用時の耐水性は製品の使用性を決定する重要な因子となってきている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来、この欠点を解消すべく水系美爪料の皮膜形成剤として水性エマルションポリマーの検討が種々行われてきた。具体的には製造時に使用される乳化剤を低減化させるためのソープフリー重合や耐水性の高いスチレン、シリコンあるいはフッ素モノマー等を共重合させる方法あるいはエマルションポリマーの粒径を細かくする、エマルションポリマー自体を多層構造にする等の塗膜の耐水性を向上させる試みがなされてきたが、日常生活に耐えうる品質を得るには至っていない。本発明は、爪に対する安全性が高く、さらに化粧持ちの良い水系美爪料を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる課題を解決すべく鋭意研究した結果、特定の水溶性共重合体と水性エマルションポリマーとを含有させることにより、塗膜表面の撥水性を向上させて、耐水性に優れ、爪に対する安全性の高い水系美爪料が得られることを見出し、本発明の完成に至った。
【0006】
すなわち本発明は、(a)フルオロアルキル(メタ)アクリレート成分と、カルボキシル基又はその塩、スルホン基又はその塩、燐酸基又はその塩、フェノール基又はその塩、4級アンモニウム塩基、アミド基、ホルミル基、及びポリエーテル鎖含有基から選ばれる官能基を有する水溶性ビニル化合物成分或は加水分解可能基を有するビニル化合物成分とを10:90〜90:10の重量割合で含む共重合体であり、且つGPC測定によるポリエチレングリコール換算数平均分子量が2,000〜200,000であって、pH3〜12の30℃の水に1重量%以上溶解する水溶性共重合体、及び(b)水性エマルションポリマーを含有することを特徴とする水系美爪料である。
【0007】
【本発明の実施の形態】
以下、本発明について詳述する。本発明で用いる(a)成分は、フルオロアルキル(メタ)アクリレートと、上記の水溶性ビニル化合物又は加水分解可能基を有するビニル化合物との共重合体、或はフルオロアルキル(メタ)アクリレートと、上記の水溶性ビニル化合物又は加水分解可能基を有するビニル化合物と、他の共重合可能な単量体との共重合体である。この共重合体中のフルオロアルキル(メタ)アクリレート成分と上記の水溶性ビニル化合物成分又は加水分解可能基を有するビニル化合物成分との割合は重量で10:90〜90:10である。また、他の共重合可能な単量体成分を用いる場合、その割合は共重合体に対し50重量%(以下、「重量%」を単に「%」で示す)未満である。
【0008】
本発明で使用する(a)成分の水溶性共重合体の共重合成分であるフルオロアルキル(メタ)アクリレートは、アクリル酸又はメタクリル酸とフルオロアルキル基とのエステルであり、好ましくは次の一般式(1)で示されるビニル系化合物である。
CH2=C(R)・COOCmH2mCnF2n+1 ・・・(1)
(式中、Rは水素又はメチル基を、mは1又は2の整数を、nは5〜10の整数を示す。)
【0009】
例えば、下記のような化合物が挙げられる。
CH2=C(CH3)・COOCH2(CF2)4CF3
CH2=CH・COO(CH2)2(CF2)5CF3
CH2=CH・COO(CH2)2(CF2)5CF(CF3)2
CH2=CH・COOCH2(CF2)9CF3
【0010】
特に好ましいフルオロアルキル(メタ)アクリレートは、次の一般式(2)で示される化合物である。
CH2=C(R)COO(CH2)2(CF2)pCF3 ・・・(2)
(式中、RはCH3又はHであり、pは4〜9の整数を示す。)
【0011】
本発明で使用する(a)成分の水溶性共重合体の共重合成分である水溶性ビニル化合物又は加水分解能を有するビニル化合物について説明する。先ず、水溶性ビニル化合物について説明すると、この水溶性ビニル化合物は、カルボキシル基又はその塩、スルホン基又はその塩、燐酸基又はその塩、フェノール基又はその塩、4級アンモニウム塩基、アミド基、ホルミル基、ポリエーテル鎖含有基から選ばれる官能基を有する水溶性ビニル化合物である。
【0012】
具体的には、(メタ)アクリル酸又はその塩(Na、K、アンモニウム等)、スチレンスルホン酸又はその塩、p−ビニルベンジルホスホニウムスルホネート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸又はその塩、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、4−ビニル安息香酸、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、N−ビニルホルムアミド、グルコースやフラクトース等の糖とアクリル酸のエステル、ポリエーテル鎖を有する化合物、例えばポリエーテル鎖の中間又は末端に炭化水素基を有しない下記一般式群で示されるポリエーテル等が挙げられる。
【0013】
CH2=CH・COO(CH2CH2O)kH
CH2=C(CH3)COO(CH2CH2O)kH
CH2=C(CH3)COO(CH2CH2O)kCOC(CH3)=CH2
CH2=CH・COOCH(CH3)(CH2O)kH
(上記式中、kは4〜20の整数を示す。)
【0014】
これらの中でも水溶性の高い、(メタ)アクリル酸又はその塩、スチレンスルホン酸又はその塩、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸又はその塩、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、N−ビニルホルムアミド、糖とアクリル酸とのエステル、下記一般式群で表わされる中間又は末端に炭化水素基を有さないポリエーテル鎖を有する化合物が好ましい。
【0015】
CH2=CHCOO(CH2CH2O)lH
CH2=C(CH3)COO(CH2CH2O)lH
CH2=CHCOO(CH(CH3)CH2O)lH
(上記式中、l(エル)は5〜10の整数を示す。)
【0016】
また、加水分解能を有するビニル化合物は、それ自体は水にはほとんど溶解しないが、30℃でpH2.0の酸性水溶液又はpH13.0のアルカリ水溶液を用いて加水分解した場合、8時間以内に75%以上が加水分解して水溶性を示すビニル化合物のことで、具体的には、(メタ)アクリル酸ベンジル、酢酸ビニル、無水マレイン酸のような化合物が挙げられる。なお、上記条件では、フルオロアルキル(メタ)アクリレートは実質上加水分解されず、水溶性共重合体の撥水性能付与は確保される。好ましくは、加水分解後の水溶性の特に高く、加水分解度の調節が比較的容易な酢酸ビニルがよい。
【0017】
本発明に使用される(a)成分の水溶性共重合体は、フルオロアルキル(メタ)アクリレートと水溶性ビニル化合物又は加水分解可能基を有するビニル化合物とを共重合させることによって得られる。共重合体中の両者の割合は重量で10:90〜90:10である。そして、水性美爪料に用いられる樹脂成分との親和性の向上や共重合性の改良のために、さらに他の共重合可能な化合物、例えばスチレン、アルキル(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート等を50%未満の割合で共重合させてもよい。
重合方法は、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合等の公知の方法で行われ、重合反応の制御の容易さの点でラジカル重合が好ましい。ラジカル重合の場合は、公知の種々のラジカル重合開始剤、例えば、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリル等のラジカル重合開始剤の存在下で、60〜90℃の温度下で4〜7時間共重合させる。
【0018】
フルオロアルキル(メタ)アクリレートと水溶性ビニル化合物又は加水分解能を有するビニル化合物との比率は、重量比で10:90〜90:10の範囲で共重合させるが、フルオロアルキル(メタ)アクリレートの比率が90を超える場合は、水溶性に乏しい共重合体が得られ、逆に水溶性のラジカル重合可能な化合物の比率が90を超えると、最終的な塗膜で十分な撥水性を付与することが難しくなる。但し、水溶性を特に重視せざるを得ない時は、水溶性のラジカル重合可能な化合物の比率を70以上にした方がよく、撥水性を特に重視する時はフルオロアルキル(メタ)アクリレートの比率を70以上にした方がよい。
【0019】
本発明の共重合体においては、撥水性に寄与するフルオロアルキル(メタ)アクリレートと水溶性に寄与するビニル化合物とを併用することにより、pH3〜12の30℃の水に対して1%以上溶解するような水溶性の共重合体が得られる。この水溶性共重合体の分子量は、以下の条件下で、pH4の酢酸緩衝液にメチルアルコールを10%又は40%添加した混合液を用いて測定したGPC(ゲルパーメイションクロマトグラフィー)測定によるポリエチレングリコール換算の数平均分子量が2,000〜200,000、好ましくは5,000〜80,000のものである。
【0020】
(条件)
機 器:TOSOH(東ソー)社製 system 8010
カラム:TOSOH(東ソー)社製 TSKgel GMPW1本+GP2500PW1本
温 度:40℃
流 速:1ml/分
注入量:100μl
濃 度:注入濃度0.1重量%
検出器:RI(屈折器計)
【0021】
水溶性共重合体の分子量が2,000未満の場合は高分子量化した利点が失われ、最終的皮膜から共重合体がブリードアウトし易くなり、長期的に撥水性能を付与することができない。一方、水溶性共重合体の分子量が200,000を超える場合は水溶性において劣り好ましくない。
本発明の(a)成分である水溶性共重合体の水系美爪料への配合量は、効果の発現、製品の粘性及び使用性の点において、固形分換算で0.1〜50%が好ましく、更に0.1〜30%がより好ましい。
【0022】
本発明に使用される(b)成分の水性エマルションポリマーは、重合可能な二重結合を有する単量体の重合体又はその2種以上の共重合体である。重合法は、必要な各単量体を、反応性乳化剤を使用したソープフリー重合や、乳化剤を含まない水媒体不均一重合等の公知の方法が挙げられる。また、これらの単量体は得られたポリマーの構造も1層状もしくは多層状であってもかまわない。
【0023】
上記単量体としてはアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸;スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、アルキルスチレン、ジビニルベンゼン等の芳香族モノ及びジビニル化合物;メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ターシャリーブチルアクリレート、ターシャリーブチルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート等のアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルが挙げられる。
【0024】
更に、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロ−ルアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等のエチレン性アミド;酢酸ビニル等のビニルエステル;塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニル;アミノエチルアクリレート、アミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート等のエチレン性アミン;トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート、2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロブチルメタクリレート、パ−フルオロオクチルメタクリレート、パ−フルオロオクチルアクリレート等のフッ素系単量体;シリコーンマクロマーなどが挙げられる。
【0025】
上記(b)成分として使用できる市販の水性エマルジョンには、例えばボンコート9422、ボンコート40−418(大日本インキ化学工業(株)製)、J775、J537(ジョンソンポリマー(株)製)、ヨドゾールGH28、ヨドゾールGH41(カネボウ・エヌエスシー(株)製)、プライマールC−72、プライマールGL−618(ローム・アンド・ハース・ジャパン(株)製)ポリゾールAM−200、AP−2679、AP−2683(昭和高分子(株)製)などが挙げられる。(b)成分の水性エマルションポリマーの配合量は特に規定されるものではないが、皮膜形成能、粘性及び使用性の点においては、好ましくは固形分換算で2〜60%、更に好ましくは5〜40%である。これらの水性エマルションポリマーは単独で用いても良いし、2種以上組み合わせて用いても良い。
【0026】
本発明の水系美爪料は上記必須成分の他に可塑剤又は成膜助剤を配合することができる。可塑剤、成膜助剤の配合量は、重合安定性、貯蔵安定性及び塗膜の耐水性、耐久性、乾燥性等を考慮すると全体量に対し0.1〜30%が好ましく、0.1〜20%がさらに好ましい。また、配合方法はエマルションポリマーの重合時でも重合終了後、添加剤として配合してもよい。
【0027】
可塑剤、成膜助剤の具体例は、セロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類;カルビトール、ジメチルカルビトール、ジエチルカルビトール、ブチルカルビトール、ジブチルカルビトール等のカルビトール類;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート類;セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート、スクロースアセテート等のアセテート類;ヘキサノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール等のアルコール類;ヘキシレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のジオール類;フタル酸ジエステル類、アジピン酸ジエステル類、コハク酸ジエステル類、セバシン酸ジエステル類、アビエチン酸エステル類、カプリル酸エステル類、カプロン酸エステル類、酢酸エステル類、エナント酸エステル類、ミリスチン酸エステル類、クエン酸エステル類等のエステル類;スクロースベンゾエート等の安息香酸エステル;ジエチルベンゼンなどである。
【0028】
本発明の水系美爪料は実質的に水性組成物であるが、製品品質を損なったり皮膚刺激等を起こさない範囲で有機溶剤を含有しても良い。このような有機溶剤の例としては、エタノール、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。また、本発明の樹脂塗膜の乾燥の促進、殺菌等の目的で、微量の揮発性水性有機溶剤を添加することができる。このような揮発性水性有機溶剤として、エタノールやイソプロパノールが挙げられる。これらの有機溶剤の配合量は総重量に対して10%以下で使用される。
【0029】
本発明の水系美爪料には、本発明の効果を損なわない範囲で、粘度調整剤を水系美爪料の使用性の向上及び顔料の沈降を防止する目的で配合することができる。具体的にはベントナイト、塩化ジメチルジステアリルアンモニウム処理ヘクトライト、塩化ベンジルジメチルステアリルアンモニウム処理ヘクトライト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース等を挙げることができる。
【0030】
本発明の水系美爪料には更に、本発明の効果を損なわない範囲で顔料、色素あるいはその他の化粧品用粉体を配合することができる。これらの粉体はそのまま使用しても差し支えないが、もちろん必要に応じて油剤、シリコン、フッ素化合物、界面活性剤等で処理して配合しても良い。
また、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて上記必須成分以外に顔料分散用の界面活性剤、油分、保湿剤、キレート剤、pH調整剤、樹脂、水溶性高分子、防腐剤、酸化防止剤、香料、紫外線吸収剤、美容成分等を適宜配合することができる。
本発明の水系美爪料は、水系もしくは水−アルコール混合系の美爪料で、ネイルエナメル、エナメルベースコート、トップコート等に用いることができる。
【0031】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
製造実施例1 (水溶性共重合体1の製造)
1H、1H、2H、2Hヘプタデカフルオロデシルアクリレート(大阪有機化学工業(株)製「ビスコート17F」)4g、ポリエチレングリコールモノメタクリレート(日本油脂(株)製「ブレンマーPME400」)12gをメチルイソブチルケトン48gに溶解させ、80mgのアゾビスイソブチロニトリルをラジカル重合開始剤として加え、攪拌下、70℃に昇温して同温度で、7時間重合させた後、ヘキサン中に再沈殿させて共重合体を得た。
【0032】
製造実施例2 (水溶性共重合体2の製造)
1H、1H、2H、2Hヘプタデカフルオロデシルアクリレート4g、N−ビニルホルムアミド8gをN−メチルピロリドン48gに溶解させ、アゾビスイソブチルニトリル80mgをラジカル重合開始剤として添加し、攪拌下、70℃で7時間重合させた後、ジエチルエーテル中に再沈殿させて共重合体を得た。
【0033】
製造実施例3 (水溶性共重合体3の製造)
1H、1H、2H、2Hヘプタデカフルオロデシルアクリレート4g、アクリル酸8g、ポリエステルアクリレート(ダイセル化学工業(株)製PLACCEL FA−1)0.2gをジオキサン48gに溶解させ、アゾビスイソブチロニトリル20mgをラジカル重合開始剤として添加し、攪拌下70℃で7時間重合させた後、ヘキサン中に再沈殿させて共重合体を得た。
【0034】
製造実施例4 (水溶性共重合体4の製造)
1H、1H、2H、2Hヘプタデカフルオロデシルアクリレート4g、アクリル酸8g、ポリエステルアクリレート(ダイセル化学工業(株)製PLACCEL FA−1)0.2gをジオキサン48gに溶解させ、アゾビスイソブチロニトリル20mgをラジカル重合開始剤として添加し、攪拌下70℃で7時間重合させた後、28%アンモニア水を3.6g加えて沈殿物(共重合体)を得た。
【0035】
製造実施例5 (水溶性共重合体5の製造)
1H、1H、2H、2Hヘプタデカフルオロデシルアクリレート4g、ベンジルメタクリレート16gを1,4−ジオキサン60gに溶解させ、アゾビスイソブチロニトリル80mgをラジカル重合開始剤として添加し、攪拌下70℃で7時間重合させた後、0.5M水酸化ナトリウム水溶液45gを添加し、直ちに沈殿物(加水分解された共重合体)を得た。
【0036】
製造比較例1 (水溶性共重合体6の製造)
1H、1H、2H、2Hヘプタデカフルオロデシルアクリレート12g、N−ビニルホルムアミド1gをN−メチルピロリドン48gに溶解させ、アゾビスイソブチロニトリル80mgをラジカル重合開始剤として添加し、攪拌下70℃で7時間重合させた後、ジエチルエーテル中に再沈殿させて共重合体を得た。
【0037】
製造比較例2 (水溶性共重合体7の製造)
1H、1H、2H、2Hヘプタデカフルオロデシルアクリレ−ト0.1g、アクリル酸15gを1,4−ジオキサン60gに溶解させ、アゾビスイソブチロニトリル100mgをラジカル重合開始剤として添加し、攪拌下70℃で7時間重合させた後、ヘキサン中に再沈殿させて共重合体を得た。
【0038】
製造実施例6 (水性エマルションポリマー1の製造)
メチルメタクリレート48g、エチルアクリレート48g及びアクリル酸4gに乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム3g、ラジカル重合開始剤として過硫化カリウム0.5gに水230gを加え、これを攪拌下、85℃に昇温して開始剤で8.5時間乳化重合させ、アクリル系樹脂エマルジョンを得た。このアクリル系樹脂エマルジョンの樹脂固形分濃度は41%であった。
【0039】
製造実施例7 (水性エマルションポリマー2の製造)
メタクリル酸メチル70g、スチレン10g、メタクリル酸−2−エチルヘキシル16g、アクリル酸4g、メチルエチルケトン(溶媒)35g及びアゾビスイソ酪酸ジメチル2gの混合物を、滴下ロートから80℃に加温したメチルエチルケトン50gに撹拌下で2時間かけて滴下し、更に2時間撹拌した。重合を完了させるため、アゾビスイソ酪酸ジメチル2gとメチルエチルケトン10gを加え、更に3時間反応させた。その後室温まで冷却し、トリエチルアミン5.6gを加え中和し、撹拌しながら水400gを加えて混合した。これを減圧蒸留してメチルエチルケトンを留去し、更に濃縮して固形分40%のアクリル系エマルジョンを得た。
【0040】
製造実施例1〜5及び製造比較例1、2の水溶性共重合体について下記の方法により分子量、撥水性(接触角)及び溶解性を測定し、表1に示した。
(測定方法)
1.溶解性
各フッ素系水溶性共重合体の精製水100重量部に対する溶解性を目視にて判断した。
2.接触角
各フッ素系水溶性共重合体10重量部をアクリル系エマルションポリマー100重量部に混合し、#80バーコーターでポリカーボネート基板上に塗布し乾燥させて、厚さ40ミクロンの皮膜を形成し、水との接触角をJIS K6800に準拠して測定した。
3.分子量
各フッ素系水溶性共重合体について、pH4の酢酸緩衝液にメタノールを40%添加した混合溶媒を溶離液とするGPC(ゲルパーメイションクロマトグラフィー)測定によるポリエチレングリコール換算数平均分子量を測定した。
【0041】
【表1】
【0042】
実施例1〜6及び比較例1〜4
表2に示す組成の水系美爪料を調製した。各製品について化粧持ち(はがれ難さ、かけ難さ)、光沢を下記の方法によりそれぞれ評価を行った。その結果も併せて表2に示した。
【0043】
【表2】
【0044】
(製法)
成分(1)〜(17)を混合攪拌し、最後に脱気し、容器に充填して製品とする。
【0045】
(評価方法及び判定基準)
官能評価
各試料について、専門パネル20名による使用テストを行ない、2日後の化粧持ち(はがれ難さ、かけ難さ)、光沢について、下記評価基準に基づいて、5段階に評価し、その平均点により下記4段階基準で判定した。
(評価基準)
5点:非常に良好
4点:良好
3点:普通
2点:やや不良
1点:不良
(判定基準)
◎:4.0点以上5.0点
○:3.0点以上4.0点未満
△:2.0点以上3.0点未満
×:1.0点以上2.0点未満
【0046】
上記結果から明らかなように、本発明に係わる実施例1〜6の水系美爪料は、比較例1〜4に比較して、光沢に優れ、耐水性に優れ、炊事、入浴といった温水を用いた日常作業下においてもはがれ、かけが生じず、優れた特性を有していた。これに対し、水溶性共重合体のフルオロアルキル(メタ)アクリレ−トとビニル化合物との重量比が92.3:7.7である比較例1、その重量比が0.66:99.34である比較例2、及び水溶性共重合体を配合していない比較例3の水系美爪料は、炊事、入浴時に耐水性の不足が原因となったはがれ、かけの進行が顕著であり、美爪料として化粧持ち機能及び光沢ともに満足するものではなかった。また、この結果は水溶性共重合体単独での撥水性の測定結果と一致するものであり、水溶性共重合体が塗膜表面の撥水性を向上させることを裏付けるものであった。
【0047】
(製法)
成分(1)〜(9)を混合攪拌、脱気し、容器に充填して製品とする。
この水系トップコートは使用性に優れ、化粧塗膜に炊事、入浴といた温水を使った日常作業にも十分堪え得る耐水性を付与するものであった。
【0048】
【0049】
(製法)
成分(1)〜(9)を混合攪拌、脱気し、容器に充填して製品とする。
この水系トップコートは使用性に優れ、化粧塗膜に炊事、入浴といた温水を使った日常作業にも十分堪え得る耐水性を付与するものであった。
【0049】
(注)*:ジョンソンポリマー社製の「J537」(固形分45%)
(製法)
成分(1)〜(9)を混合攪拌、脱気し、容器に充填して製品とする。
この水系トップコートは使用性に優れ、化粧塗膜に炊事、入浴といた温水を使った日常作業にも十分堪え得る耐水性を付与するものであった。
【0050】
上記の水溶性共重合体8は次ぎのようにして製造した。すなわち、1H、1H、2H、2H−9−トリフルオロメチル−ヘキサデカフルオロウンデシルメタクリレート4g及びN−ビニルホルムアミド8gをN−メチルピロリドン48gに溶解させ、アゾビスイソブチロニトリル80mgをラジカル重合開始剤として、テルピノレン60gを連鎖移動剤として添加し、攪拌下、70℃で7時間重合させた後、ジエチルエーテル中に再沈殿させて共重合体を得た。この共重合体は、pH7.0の水に40%溶解した。また、pH4の酢酸緩衝液にメタノールを40%添加した混合溶媒を溶離液とするGPC(ゲルパーメイションクロマトグラフィー)測定によるポリエチレングリコール換算数平均分子量は、4×103であった。
【0051】
【発明の効果】
従来から水系ネイルエナメルは水性エマルジョンを必須成分としているが、本発明においては、この水性エマルジョンにフルオロアルキル(メタ)アクリレートと水溶性ビニル化合物とを共重合体成分とする上述の共重合体を配合したので、効果的に撥水性を付与することができ、そのため、本発明の水系美爪料は、化粧塗膜の光沢、耐水性に優れ、炊事、入浴と言った日常生活の下で十分に美爪料としての化粧持ちを有する。
Claims (4)
- (a)フルオロアルキル(メタ)アクリレート成分と、カルボキシル基又はその塩、スルホン基又はその塩、燐酸基又はその塩、フェノール基又はその塩、4級アンモニウム塩基、アミド基、ホルミル基、及びポリエーテル鎖含有基から選ばれる官能基を有する水溶性ビニル化合物成分或は加水分解可能基を有するビニル化合物成分とを10:90〜90:10の重量割合で含む共重合体であり、且つGPC測定によるポリエチレングリコール換算数平均分子量が2,000〜200,000であって、pH3〜12の30℃の水に1重量%以上溶解する水溶性共重合体、及び
(b)水性エマルションポリマー
を含有することを特徴とする水系美爪料。 - フルオロアルキル(メタ)アクリレートが下記一般式(1)であることを特徴とする請求項1記載の水系美爪料。
CH2=C(R)・COOCmH2mCnF2n+1 ・・・(1)
(式中、Rは水素又はメチル基を、mは1又は2の整数を、nは5〜10の整数を示す。) - 水性エマルションポリマーの配合量が固形分換算で2〜60重量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の水系美爪料。
- 水溶性共重合体の配合量が0.1〜50重量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の水系美爪料。
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