この実施例の炭化炉兼用型焼却炉1は、図1に示すように、廃棄物等の燃焼物10を収容して燃焼させる一次燃焼室2を形成する炉体3と、該炉体3の上部に連通して二次燃焼室4を形成すると共に上端に排気口5を有する煙突を兼ねた二次燃焼筒6とを有するものである。
炉体3は、図1に示すように、内部が空洞にされた縦長箱型形状に形成されると共に、鋼板とその内側面に耐火セメントを設けたことによる耐火構造とされ、炉体3の前面は開口されている。この前面開口部7には、図2に示すように炉体3に固設されたヒンジ9a、9a…により開閉する前面開口扉9が設けられている。また、図5に示すように、炉体3側に設けられたロック金具11を前面開口扉9に係止することによって該前面開口扉9の閉塞状態を密閉状にロックすることができる。
また、図1に示すように、前面開口扉9の上下位置には上部投入口12と下部投入口13とが設けられ、以下に説明するように、いずれの投入口12、13も外気から遮断された状態で燃焼物10を炉体3内に投入可能とする外気遮断型に構成されている。
これらの上部投入口12と下部投入口13とは同様の構成からなり、その外形を成す燃焼物収納箱14は、図5に示すように、鉄板による左右側板14aと上板14bと前板14cと湾曲形状の底板14dとから構成され、燃焼物収納箱14の枠体8に固定されている。
この燃焼物収納箱14の枠体8は、図2に示すように、前面開口扉9にヒンジ8a、8aで回動自在に枢設されている。そして、図1に示すように、燃焼物収納箱14を開くと、前面開口扉9の上下に形成された開口部16a、16bを開放状態にすることができる。また、前面開口扉9側に設けたロック金具17を回動することによって燃焼物収納箱14の枠体8を密閉状に係止してロック状態にすることができる。
また、図5に示すように、燃焼物収納箱14の片側側板14aにはヒンジ18で開閉自在に枢設された投入口密閉扉19が設けられている。この投入口密閉扉19はロック金具21によって閉塞状態を密閉状にロックすることができる。また、投入口密閉扉19に固設された取手22で該投入口密閉扉19を開くことにより、図5に示す上部の燃焼物収納箱14の側面に点線で示す燃焼物投入口23が露呈する。この燃焼物投入口23は、図6(a)〜(c)に示す燃焼物収納箱14内の燃焼物収容室24に連通している。
図6(a)〜(c)に示すように、燃焼物収納箱14の内部には前面開口扉9の開口部16に通じる燃焼物収容室24が設けられ、燃焼物収容室14の枠体8付近には、開口部密閉扉25が燃焼物収納箱14の上部に設けられた支持軸26で開閉自在に枢設されている。
また、上記の支持軸26には開口部密閉扉25の前方へ略直角に燃焼物移動板27が枢設されると共に、図5に示すように、燃焼物収納箱14の外側に露出させた支持軸26の端部には操作レバー28が固設されている。なお、上部投入口12の操作レバー28は手動によって操作するものであるが、下部投入口13の操作レバーは足で操作するフットレバー29として構成されている。いずれにしても、操作レバー28又はフットレバー29の回動によって支持軸26が回動すると、開口部密閉扉25と燃焼物移動板27とが回動する。
さらに、図6(a)〜(c)において、燃焼物移動板27は燃焼物収納箱14の内幅と略同幅に形成され、支持軸26に枢設された上端部から前方へ水平に伸びる水平板部27aと、この水平板部27aの途中から所定の角度で下向きに折曲された下向傾斜板部27bと、この下向傾斜板部27bの端部にヒンジ31で回動自在に枢設された押出板部27cとを有し、該押出板部27cの下端折曲部27dは燃焼物収納箱14の底板14dの湾曲形状に沿って当接状態を保ったまま摺動する。
上記の構成により、図5における燃焼物収納箱14の投入口密閉扉19を開けて廃棄物等の燃焼物10を投入すると、該燃焼物10は、図6(a)に示す燃焼物収容室24に収容される。次いで、投入口密閉扉19を閉じると、内部の燃焼物収容室24に燃焼物10を収納した状態で燃焼物収納箱14を密閉状態にすることができる。この状態で、操作レバー28又はフットレバー29を手動又はフット操作で回動すると、図6(b)或は図6(c)に示すように、開口部密閉扉25と燃焼物移動板27とが共に回動し、その内部に収容された燃焼物10を炉体3側へ移動し、炉体3内に落下させることができる。
一方、本実施例においては、図1に示すように、炉体3の下部にロストル33を設置し得る支持台34が設けられている。この支持台34は、炉体3の内部両側に沿って固設された段差形状を有し、両側の段差部34a、34aにロストル33の両端を係止することにより設置する(図9参照)。このように設置されたロストル33の下方空間(35)は、炉体3を燃焼炉として使用する場合は燃焼灰受室として機能するが、炉体3を炭化炉として使用する場合は下部燃焼室35として機能する。
また、図2に示すように、前面開口扉9の下部には、炉体3内における燃焼状態を調整するために、前面開口扉9の下部に外気吸入口36が設けられている。この外気吸入口36は、その拡大図を図3に示すように、長方形状の外気調整扉37の上下を枠金具38、38で摺動自在に係止して取手37aで横方向にスライド自在にする構成としてあり、この外気調整扉37の開度を調整することによって炉体3内に吸入される空気量を調整することができる。
本実施例による炉体3を炭化炉として使用する場合、図1に示すように、両側の支持台34、34からロストル33を取り除いた状態にして、一次燃焼室2内に炭化キット40を設置するようにするものである。
この炭化キット40の構成を詳細に述べると、図1に示すように、炭化筒43と燃焼台42とを有し、燃焼台42は前方から筒ダンパ41を挿入するための挿入口42aを備えている。この燃焼台42には炭化筒43の下部開口45と連通する通気穴46を有して、該炭化筒43が固設されている。
なお、筒ダンパ41は、図1に示すように、板部材の両端を折曲して両側枠41a、41aを形成すると共に、その前面にも起立部41bを折曲形成してあり、この起立部41bを持って筒ダンパ41の挿入或は取出し作業に役立たせることができる。
また、図1に示すように、燃焼台42はその下方空間を下部燃焼室35として使用し得る高さの4本の脚部47、47…で支持されると共に前後のローラ48、48が設けられ、これらのローラ48、48で転動して燃焼台42を炉体3内の床面3aに移動することができるようにしている。このように燃焼台42のローラ48を転動する際、炉体3の床面3aが地面よりも高い位置を有する場合、その高さを補う傾斜台49を設置することにより、燃焼台42のローラ48を連続的に転動して炭化キット40を炉体3の床面3aに移動することができる。
また、図7において、炭化筒43は鋼板を円筒形に形成してなり、上下部は開口され、その上部は着脱自在の鋼板による天蓋44によって密閉状に閉塞され、天蓋44の取手44aを持ち上げることによって天蓋44を取り外すことができる。この炭化筒43の下部開口45には金属網51を張った下部ネット52を挿着すると共に、炭化筒43の下部周囲の所要箇所に突設したピン53に下部ネット52の周囲に形成したL形溝52aを嵌めて係止することにより、該下部ネット52を着脱自在に固定するようにしている。
さらに、炭化筒43に下部ネット52を取り付けた状態で該下部ネット52よりも下方に位置する炭化筒43の側部には連結管54が固設され、炭化筒43内と通気状態にされている。
上記の連結管54は、図8に示すように、炭化キット40を炉体3の床面3aに設置したとき、該連結管54が炉体3の背板3bに設けられた排気穴55に挿入される位置関係に設けられている。この排気穴55は炉体3の外側に設けられた排気管56に結合され、図4に示すように、この排気管56は二次燃焼室4を成す二次燃焼筒6に連結されている。
上記の排気管56の下部には、図8に示すように排煙ダンパ57が設けられている。この排煙ダンパ57は、排気管56を貫通する回転軸58に固設された円形板を回転軸58の周りに回動することによって排気管56内を開閉するようにしたものである。また、排気管56の外側であって回転軸58の軸端部には取手59が設けられ、該取手59を手動で回動することにより、排気管56内の排煙ダンパ57を回転し、排気管56内を閉塞したり、開度を調整したりすることができる。
なお、図4または図8に示すように、排気管56の下部には炉体3の背面の近傍に流下穴61が形成されている。この流下穴61は木酢液を採取するために設けられたもので、排気管56を通過する排煙が排気管56内で冷却されて液化することにより、この木酢液が排気管56内の内壁を伝い流れて流下穴61から流下するものである。流下穴61の下方位置には、図4に示すように木酢液採取容器62が設置台63上に置かれ、この容器62内に木酢液を採取することができる。
一方、図9に示すように、ロストル33を支持する左右の支持台34、34の上方には炉体3の側壁内面に沿って一次燃焼室2内に加圧空気を供給する左右一対の一次空気供給管65、65が配設されている。図1に示すように、この一次空気供給管65、65の先端は閉塞されているが、途中は一次燃焼室2側へ向けて噴射可能な多数の空気噴射孔67、67…が設けられている。
図4に示すように、左右の一次空気供給管65、65の後部は、一次空気送風管68と該一次空気送風管68の途中に設けられた一次空気送風バルブ69を介してブロアー70に連通されている。
このような構成において、一次空気送風バルブ69を開けた状態にしてブロアー70を駆動すると、該ブロアー70から送風される空気は一次空気送風管68を経て左右の一次空気供給管65、65に供給され、各空気噴射孔67、67…を経て炉体3内に噴射される。このような強制送風により、炉体3内での燃焼物10の焼却に最適な酸素を供給することができる。
一方、図1に示すように、炉体3の上部に連通して二次燃焼室4を形成する二次燃焼筒6が固設されると共に、この二次燃焼筒6の下部には炉体3内からの通気量を調整し得る煙突ダンパ71が設けられている。
この煙突ダンパ71の構成は、図1に示すように、取手72を設けた板部材を炉体3の上部に固設したダンパ枠体74の薄厚の隙間74aに挿通するようにしてある。また、ダンパ枠体74の上下面には通気孔73が形成され、その上方は二次燃焼筒6の内部の二次燃焼室4に連通され、下方は炉体3の上部通気孔3cに連通されている。
このような構成により、図10に示すように、ダンパ枠体74の隙間74aに煙突ダンパ71を挿着したり、引き出したりすることによって炉体3内から二次燃焼筒6に流通する排気量を調整することが可能とされている。また、煙突ダンパ71、排煙ダンパ57、外気調整扉37を閉じることによって炉体3内を密閉状態にすることができる。
上記の構成において、煙突ダンパ71の引き出し方向を炉体の側方に向けて引き出し可能とすることができる。即ち、図1、図2、図10等に示す構造は、煙突ダンパ71を炉体3の上部にて前方向に引き出し可能としたものであるが、炉体3の前面開口扉9に設けられた上部投入口12或いは下部投入口13に燃焼物収納箱14が形成されたり、後述するシュータ90が形成された場合、炉体3の上部の高い位置に設けられた煙突ダンパ71に手が届きにくいという不都合が生じる。
このような不都合を解消するために、図14に示すように、炉体3の上部に固設したダンパ枠体74’の隙間74a’を炉体3の側方に向けて設けることにより、煙突ダンパ71’を側方に向けて引き出す構造とすることができる。このように煙突ダンパ71’を横方向に引き出し可能としたことにより、炉体3の前面側に燃焼物収納箱14が形成されたり、後述するシュータ90が形成された場合にも邪魔とならずに炉体3の上部の煙突ダンパ71に手が楽に届いて挿入又は引き出し操作を容易に行うことが可能となる。
図1に示すように、二次燃焼筒6は耐久性に優れたステンレス管を用いてフランジ6aを介して複数のボルト及びナットにより連結され、また二次燃焼筒6には二次燃焼室4に連通する二次燃焼バーナ75が取付けられている。
なお、この二次燃焼バーナ75は、不図示の燃料供給管を介して燃料タンクに連結され、燃焼タンク内のポンプ動作によって燃料が供給されるもので、そのバーナ75自体の構造は周知であるので詳細な説明は省略する。
さらに、二次燃焼筒6内には同心状に二次空気送風管76が配設され、該二次空気送風管76から二次燃焼筒6内に加圧空気を供給するようにしている。また、二次燃焼筒6内における二次空気送風管76の周壁には多数の空気噴射孔77、77…が穿設されると共に、下端部は閉塞されている。
これらの空気噴射孔77は、二次空気送風管76の上半分を適宜な孔径に設定するとともに下半分を上半分の孔径に対し若干大きめに設定され、各空気噴射孔77から噴射される噴射空気が渦巻き状に噴射するように形成されている。このような構成により、二次空気送風管76の空気噴射孔77は、二次燃焼筒6内において遠心分離過流方式或は多量通気方式としてサイクロン効果を発揮することができ、未燃焼ガスを再燃焼して煤塵等を除去することができる。
上記の二次空気送風管76はその上部が二次燃焼筒6から外方に導き出されると共に下方に折曲され、図4に示すように、その下端部を連結送風管66を介してブロアー70に連通している。このような構成によって、ブロアー70から二次空気送風管76を経て供給される空気は、空気噴射孔77、77…を通して二次燃焼筒6内に噴射され、上記のようにサイクロン効果を発揮して、ダイオキシン類が吸着する煤塵等を除去することができる。
また、二次燃焼筒6の上端の排気口5にはフランジ78が設けてあり、このフランジ78に雨水防止用傘79が複数の支持片79aにより取付けられている。なお、フランジ78の内径は二次燃焼筒6の内径より適宜小径に形成されている。これにより、二次燃焼筒6の排気口5はフランジ78の内縁が突出され、これにより煤塵を遮ってその排出量を少なくすることができる。
なお、図1に示すように炭化筒43の側部には貫通孔81が形成され、炭化キット40を炉体3内に設置したとき炭化筒43の貫通孔81と、図2に示す炉体3の側部に形成された挿入孔82との高さを一致させることによって、棒状の温度センサ83を挿通し、図11に示す状態にして炭化筒43内の温度を検出可能としている。
この棒状の温度センサ83の挿入作業を容易且つ確実にするために、図15(a)〜(c)に示す構造としてもよい。即ち、図15(a)に示すように、炭化筒43の側部に形成された貫通孔81の外側に案内部材85を固設し、該案内部材85の入口端部をテーパ形状86に窄ませることによって、上記のように炉体3の側部の挿入孔82から挿入した棒状の温度センサ83の先端を容易に炭化筒43の入口に挿入して貫通孔81を経て炭化筒43の内部に至らしめることができる。なお、図15(b)に示すように、案内部材85の外形を円形にしてその内部にテーパ形状86を形成するほか、案内部材85の外形を楕円、四角形、半円等に形成してその内部にテーパ形状86を形成したものとしてもよい。
以下に、本実施例に係る炭化炉併用型燃焼炉1の使用方法について説明する。本実施例の炭化炉併用型燃焼炉1を焼却炉として使用するには、図9及び図10において、煙突ダンパ71と排煙ダンパ57を開放した状態にし、炉体3内は前面開口扉9を開いて上記の炭化キット40を除去した状態で左右の支持台34、34にロストル33を設置する。この状態でロストル33上に廃棄物等の燃焼物10を置き、該燃焼物10に点火した油布等により着火する。
また、燃焼物10を焼却中には、二次燃焼バーナ75を作動すると共に、一次空気送風バルブ69を所定位置まで開いて両側の一次空気供給管65、65に送給する送気量を調節した後、ブロアー70をONにする一方、外気調節扉37を開けて外気吸入口36の開度を調節する。
このようにして燃焼が進行すると、一次燃焼室2内の燃焼物10は、外気吸入口36から吸入される適量の空気と、両側の一次空気供給管65、65の空気噴射孔67、67…から噴射される空気によって燃焼し、燃焼ガス化する。この燃焼ガスは、炉体3の上方の煙突ダンパ71を開放した状態にしてあるため二次燃焼筒6内へ流入する。
二次燃焼筒6へ流入した燃焼ガスは、二次燃焼バーナ75の火炎(800〜1000°C)によって引火点以上に熱せられ、二次燃焼室4内を上昇する途中で二次空気供給管76の空気噴射孔77、77…から噴射される空気中の酸素に触れて二次燃焼する。
このとき、二次空気送風管76の空気噴射孔77は、二次空気送風管76の上半分に設けられた孔径を適宜に設定するとともに下半分を上半分の孔径より若干大きめの孔径に設定してあるため、二次燃焼室4に供給される酸素供給量は、上下均等か、下部がやや多目となる。このような状態で、燃焼ガスが充満している二次燃焼室4に酸素ガスを噴射する状態を形成し、同時に発熱して燃焼ガスを加熱させる。
一方、二次燃焼室4にて酸化を免れた燃焼ガスは二次燃焼筒6内を上昇する途中で新たな噴射空気に触れて、そこで燃焼、発熱するといったプロセスを繰り返すことにより、燃焼ガスが二次燃焼筒6の上端排気口5に到達するまでには完全に二酸化炭素に変化し、不完全燃焼によって生じた煤も完全に酸化され、また臭気の原因となる化学成分も高温雰囲気で酸化され、或は分解されることによって無臭となった状態で上端の排気口5から排出される。
また、炉体3内で一次燃焼されることにより発生した燃焼ガスが、二次燃焼室4で800〜1000°Cの高温で二次燃焼されるため、二次燃焼筒6の上端排気口5から排出される排気ガス中のダイオキシンは大幅に抑制され、極微量となる。
さらに、二次燃焼筒6内を上昇する燃焼ガスは、渦巻き状に二次燃焼筒6の内面に吹き付けられながら上昇していくため、排気口5から外気中に排出される際に、二次燃焼筒6の内面に沿って上昇する燃焼ガスがフランジ78の内縁で阻止され、煤煙の噴出しを大きく減少させることができる。
炉体3内に燃焼物10を追加するには、上部投入口12の投入口密閉扉19を開いて燃焼物収容室24内に投入した後、再び投入口密閉扉19を閉じてロックし、操作レバー28を引くことによって開口部密閉扉25と燃焼物移動板27とを共に回動して燃焼物10を炉体3側へ移動し、ロストル33上へ落下させる。
このように、燃焼物10を炉体3内へ投入した後は、投入口密閉用扉19を閉じてロック金具21によりロックする。このとき、操作レバー28が上方位置へ戻ると開口部密閉扉25が枠体8内の開口部を閉塞するように復帰する。
なお、本発明の炭化炉兼用型焼却炉1で燃焼物10を焼却処理中に大気中に排出される排出ガスの測定結果は次の通りである。
焼却物(質量比)
木材屑 85%
紙屑 10%
廃プラスチック類 5%
測定結果
ダイオキシン濃度 0.3ngTEQ/m3N
煤塵 0.0073g/m3N
塩化水素 29mg/m3N
焼却灰の中に含まれるダイオキシン類 0.087ngTEQ/g
従って、本発明の炭化炉兼用型焼却炉によれば、廃棄物等の燃焼物を焼却処理する際に、大気中に排出される排出ガスに含まれるダイオキシン濃度は、環境庁が制定するダイオキシン排出基準値に対して約1/17以下に抑制される。
また、本発明の炭化炉兼用型焼却炉1において、上部投入口12と下部投入口13とは、上記のように外気遮断型の構成とされているため、廃棄物等の燃焼物10を焼却処理中に新たな燃焼物を追加したい場合、炉体3の一次燃焼室2に外気と遮断された状態で燃焼物10を投入することができる。従って、燃焼時に発生するダイオキシン類の大気中への排出を微量(排出基準の約1/17)に抑えることができる。さらに、燃焼物の投入時に、炉体3の一次燃焼室2への過剰な酸素の流入を防ぐことができ、炉体3内の燃焼温度を維持することができ、不燃ガスの大気中への排出を極めて少なくすることができる。
一方、本実施例の炭化炉兼用型焼却炉1を炭化炉として使用するには、図11又は12に示すように、炉体3の内部からロストル33を除去する一方、炭化筒43に廃木材等の木材又は竹材等の被炭化物30を収容して天蓋44を閉じる。なお、炭化筒43内に廃木材等の木材又は竹材等の被炭化物30を収容する際には、これらの被炭化物30を立てた状態にすれば下部ネット52を介して下方から送られてくる熱気を各被炭化物30間に効率良く触れさせることが可能となる。
次いで、上記の炭化キット40を炉体3内へ設置する。このとき、炭化筒43の背後の連結管54を炉体の背板3bに設けられた排気穴55に挿入することによって、炭化筒43の内部を排気管56に連通状態にする。また、炉体3の側部の挿入孔82から温度センサ83を挿通すると共に炭化筒43の側部の貫通孔81に挿入して、炭化炉43の内部の温度を検出するようにする。
また、炉体3の内部で燃焼を開始するにあたり、炭化キット40の燃焼台42の筒ダンパ41を取り除くことによって炭化筒43の内部と燃焼台42の下部燃焼室35とを連通状態にする。
次いで、燃焼台42の下部燃焼室35に廃棄物等の燃焼物10を入れて着火し、前面開口扉9を閉じる。このように炉体3内で燃焼を行なう際には、上記で説明したように、炉体3を燃焼炉として使用する場合と同様に、煙突ダンパ71は開放して炉体3内部と二次燃焼筒6内の二次燃焼室4とを連通状態にし、また排煙ダンパ57の取手59を廻して該排煙ダンパ57を開放状態にしておく。
さらに、二次燃焼バーナ75を作動状態にすると共に、一次空気送風バルブ69を所定位置まで開いて両側の一次空気供給管65、65に送給する送気量を調節した後、ブロアーをONにし、外気調節扉37を開けて外気吸入口36の開度を調節する。
上記のように、二次燃焼筒6の下部の煙突ダンパ71を開放することによって下部燃焼室35にて発生した燃焼熱を炭化筒43の外側に導いて二次燃焼筒6から排気することができる。また、炭化筒43の連結管54を炉体3の排気管56に挿通結合すると共に、該排気管56に設けられた煙突ダンパ57及び筒ダンパ41を開放してあるため、下部燃焼室35にて燃焼物10を燃焼することによって発生した燃焼熱が炭化筒43の下方から下部ネット52の金属網51を通過して炭化筒43内に導かれ、その炭化筒43内の被炭化物30の間を効率良く巡りながら流通し、排気管56を経て二次燃焼筒6内に導入することができる。
また、着火後において燃焼物10を追加することによって追い炊きをする場合、下部投入口13から燃焼物10を供給することによって火力を強めることができる。この際、下部投入口13の使用方法は、上記の上部投入口12と同様であり、下部投入口13の投入口密閉扉19を開いて燃焼物収容室24内に投入した後、再び投入口密閉扉19を閉じてロックする。次いで、フットレバー29を踏み込むことによって開口部密閉扉25と燃焼物移動板27とを共に回動して燃焼物10を炉体3側へ移動して該燃焼物10を燃焼台42の下部燃焼室35へ投入する。
また、このように燃焼物10を投入した後は、投入口密閉用扉19を閉じてロック金具21によりロックする。フットレバー29が上方位置へ戻ると、開口部密閉扉25が枠体8内の開口部を閉塞するように復帰する。
なお、上記のように排煙ダンパを開放した状態で燃焼を行なうと、炭化筒内で発生する排煙が排気管56内で冷却されて液化する。この木酢液を排気管56の流下穴61から落下させ、木酢液採取容器62に採取することができる。
そして、着火から所定時間後に前面開口扉9を開け、図13に示すように、燃焼台42の挿入口42aに筒ダンパ41を挿入して炭化筒43の下部開口45を閉じ、また排煙ダンパ57を閉塞状態にすることによって炭化筒43内を密閉状態にし、さらに煙突ダンパ71を閉じ、この状態で所定時間放置する。このように炭化筒43内が無酸素状態にされると、炭化筒43の内部で被炭化物30は蒸し焼きの状態になり、有機物の状態から発熱反応によって熱分解を進め、無機物へと変化させることにより、灰の状態ではなく、炭の状態となる。
このような炭化終了後に、前面開口扉9を開けて炭化キット40を炉体3内から外部へ移動し、天蓋44を開けて炭化筒43内の炭化物を取り出す。
なお、本実施例において、炉体3を炭化炉として使用する場合、焼却能力が15Kg/hであって、被炭化物30を入れる炭化筒43の容量が120リットルである場合、着火から1時間後及び2時間後に下部投入口13から燃焼物を約10Kg供給し、着火から4時間後に筒ダンパ41と排煙ダンパ57を閉じて炭化筒43内を密閉にした状態で20時間放置することによって、良好な炭化物(炭)を得ることができた。
一方、図1に示すように、炉体3の上部に連通して二次燃焼室4を形成する二次燃焼筒6が固設されると共に、この二次燃焼筒6の下部には炉体3内からの通気量を調整し得る煙突ダンパ71が設けられている。
この煙突ダンパ71の構成は、図1に示すように、取手72を設けた板部材を炉体3の上部に固設したダンパ枠体74の薄厚の隙間74aに挿通するようにしてある。また、ダンパ枠体74の上下面には通気孔73が形成され、その上方は二次燃焼筒6の内部の二次燃焼室4に連通され、下方は炉体3の上部通気孔3cに連通されている。
このような構成により、図10に示すように、ダンパ枠体74の隙間74aに煙突ダンパ71を挿着したり、抜き出したりすることによって炉体3内から二次燃焼筒6に流通する排気量を調整することが可能とされている。また、煙突ダンパ71、排煙ダンパ57、外気調整扉37を閉じることによって炉体3内を密閉状態にすることができる。
本実施例の炭化炉兼用型焼却炉1’は、図16に示すように、前面開口扉9の下方に設けられた下部投入口13の外方に炉体3の内部に連通するシュータ90が設けられた構造を有するもので、それ以外の構造は上記の実施例と同様である。なお、図16は、下部投入口13に設けられたシュータ90に関して説明するためのもので、図1、図4等に示す一次空気供給管65等については図示を省略してある。
また、本実施例の炭化炉兼用型焼却炉1’は、図16に示すように、炉体3の上部に固設したダンパ枠体74’の隙間74a’を炉体3の側方に向けて設けることにより、煙突ダンパ71’を側方に向けて引き出す構造としてある。このような構造により、炉体3の前面側に燃焼物収納箱14やシュータ90等の突出物が設けられた場合にも邪魔とならずに煙突ダンパ71’に楽に手が届いて挿入又は引き出し操作を容易に行うことができる。
ここで本実施例のシュータ90についてより詳細に説明すると、図16に示すように、前面開口扉9の下方の下部投入口13を覆う部位には枠体8’が開閉自在に設けられ、図17に示すように枠体8’の閉塞時にはロック金具17によって密閉された状態を確保するようにしている。この枠体8’における下部投入口13の外側にシュータ90が固設されている。
図16〜図19に示すように、シュータ90は角型筒形を成す鋼板により形成され、炉体3の内部に向けて下り勾配(例えば約45°)を有する形状の傾斜通路91を有する形状を成し、該シュータ90の傾斜通路91の上部には蝶番92によって外蓋93が開閉自在に枢設されている。また、外蓋93の上面両側にはハンドル付きのロック金具94を支持する棒部材94aが固着され、ロック金具94を回動することによって棒部材94aを係止し、外蓋93を密閉状に閉塞するようにしている。
なお、外蓋93の上部にはハンドル93aが固設され、外蓋93を開閉する際にこのハンドル93aを把持する。また、図20に示すように、外蓋93を開いた状態で該外蓋93を略水平状態に保持する鎖部材93bが設けられている。
また、図16に示すように、上記のシュータ90における下部投入口13の傾斜通路91の下方に内蓋95が開閉自在に設けられている。この内蓋95はその上部に沿って支持軸96が設けられ、該支持軸96がシュータ90の両側に支持されると共に該シュータ90の外側部に設けたフットペダル97に連結してあり、該フットペダル97の先端に固設されたフット部材97aを足で踏み込むことによって内蓋95を回動して下部投入口13を開口し、フットペダル97を離すことによって内蓋95は自重で垂下方向に復帰して下部投入口13を閉塞する。
さらに、図18及び図19に示すように、上記のフットペダル97にはロックが掛けられるように構成されている。そのロック構造は、フットペダル97の下部近傍と外蓋93の側部近傍とに至る長さを有する長尺板状のフットロック98の略中心を支持部材99で回動自在に枢設し、フットロック98の下端をフットペダル97側に係止し得るフック形状98aに形成する一方、フットロック98の上端を外蓋93の側部側に屈曲形成してなる端部にリング部材98bが回動自在にネジ止めされている。
さらに、このフットロック98において、支持部材99の枢設位置のやや上部にコイルバネ98cの一端を掛止して該コイルバネ98cの他端をシュータ90の側部に掛止することによってフットロック98が支持部材99の上方においてフットペダル97側にバネ力で付勢されるようにしている。
このような構成により、図18に示すように、シュータ90の外蓋が閉じられているときは、フットロック98の上端のリング部材98bが閉塞状態の外蓋93に当接することによって側方に押し出される結果、フットロック98の下端のフック形状98aがフットペダル97から離脱する方向に回動し、フットロック98はロック状態から解除される。このため、図21に示すように、フットペダル97のフット部材97aを踏み込むことによって内蓋93を回動して下部投入口13を開口状態にすることができる。
また、図19に示すように、シュータ90の外蓋93が開かれているときは、フットロック98の上端のリング部材98bがコイルバネ98cによって外蓋93方向に引張られるが、外蓋93が開かれていると、フットロック98の上端のリング部材98bがシュータ90側に近接する結果、フットロック98の下端のフック形状98aがフットペダル97を係止する方向に回動してロック状態となり、フットペダル97の踏み込み動作を阻止し、内蓋95の回動を制止して下部投入口13を閉塞状態に保つことができる。
なお、図19に示すように、シュータ90の外蓋93を開いた状態でシュータ90の上端のフランジ90aにおいてフットロック98の上端のリング部材98bが入り込むための凹部90bを形成することによって、コイルバネ98cによるフットロック98の引張り量を確保し、フットロック98の下端のフック形状98aがフットペダル97を係止する動作を確実にすることができる。
上記のように構成されたシュータ90から燃焼物10を投入するには、図20に示すように、シュータ90の上端の外蓋93を開けて燃焼物10を投入する。この状態においては、上記のようにフットペダル97にロックが掛かって内蓋95が開かないようにされているため、炉体3内で燃焼が行なわれている際中であっても、炉体3内の燃焼熱や炎が外部に放出されることがなく、安全に使用することができる。また、この状態で投入した燃焼物10は内蓋95の手前側にてシュータ90内に蓄積される。
次いで、図21に示すように、外蓋93を閉じることによってフットペダル97のロック状態を解除してから、低位置にあるフットペダル97のフット部材97aに足を載せて踏み込むことにより、楽な姿勢でシュータ90の内蓋95の開操作を行うことができる。
このとき、シュータ90は炉体3の内部に向けて下り勾配を有する傾斜通路91を有するため、シュータ90内の燃焼物10は下り勾配の傾斜通路91に沿って滑り落ち、その加速力で炉体3内の奥の方へ到る。このため、次に投入した燃焼物10が下部投入口13付近に溜まることなく炉体3内に収納することができる。ついで、フットペダル97の踏み込みを離すと、図22に示すように、内蓋95が自重で復帰して下部投入口13が閉塞される。
また、図22に示すように、炉体3内部の手前側にある燃焼物10を奥の方へ移動するには、外気調整扉37を開けて外気吸入口36から掻き棒100を挿入する。この掻き棒100は先端が屈曲された長尺の金属棒からなり、先端の屈曲部101を炉体3の外で回すことによって炉体3内の燃焼物10をかき混ぜることが可能となる。
本実施例の炭化炉兼用型焼却炉1”は、図23に示すように、燃焼物を一次燃焼室2に収容して燃焼させる炉体3と、該炉体3の上部に連通して二次燃焼室4を形成すると共に上端に排気口5を有する二次燃焼筒6とを有し、また二次燃焼筒6の下部に二次燃焼バーナ75を設けて二次燃焼室4とした構成を有するもので、これらの構成は実施例1と同様である。従って、炉体3から二次燃焼筒6へ流入した燃焼ガスは、二次燃焼バーナ75の火炎によって引火点以上に熱せられ、二次燃焼室4内を上昇する途中で二次空気供給管76の空気噴射孔77、77…から噴射される空気中の酸素に触れて二次燃焼させることができる。
さらに、本実施例において、炉体3の前面開口部7に設けられた前面開口扉9の上下位置には上部投入口12と下部投入口13とが設けられ、そのうち下部投入口13の外方には炉体3の内部に連通するシュータ90が設けられている。このシュータ90は、実施例2の構成と同様であり、図16〜図22に示すように、炉体3の内部に向けて下り勾配の傾斜通路91を有し、この傾斜通路91の上部開口に外蓋93が開閉自在に枢設され、さらに外蓋93の上面両側に設けられたハンドル付きのロック金具94及び棒部材94a、ハンドル93aを有し、傾斜通路91の下方に設けられた内蓋95、また内蓋95を開閉するフットペダル97を備えている。
このような構成により、フットペダル97の先端に固設されたフット部材97aを足で踏み込むことによって内蓋95を回動して下部投入口13を開口し、フットペダル97を離すことによって内蓋95は自重で垂下方向に復帰して下部投入口13を閉塞するようにしてある。
さらに、このフットペダル97にロックが掛けられる機能も実施例2と同様である。従って、シュータ90の上端の外蓋93を開けて投入された燃焼物10は、フットペダル97にロックがかかって内蓋95が開かないようにされているため、炉体3内の燃焼熱や炎が外部に放出されることがなく、この状態で投入した燃焼物10は内蓋95の手前側にてシュータ90内に蓄積される。また、外蓋93を閉じることによってフットペダル97のロック状態を解除してから、フット部材97aを踏み込むことにより、シュータ90内の燃焼物10は下り勾配の傾斜通路91に沿って滑り落ち、その加速力で炉体3内の奥の方へ到り、燃焼台42の下部の1次燃焼室2に至る。従って、燃焼台42の脚部47の高さは燃焼台42の下部にシュータ90に連通された下部投入口13の高さに相当するものとしてあり、これによってシュータ90から投入された燃焼物10が下部投入口13を経て燃焼台42の下部に投入される。
なお、本実施例においても、図22に示すように、炉体3内部の手前側にある燃焼物10を奥の方へ移動するには、前面開口部7の下部に設けられた外気調整扉37を開けて外気吸入口36から掻き棒100を挿入し、先端の屈曲部101を炉体3の外で回すことによって炉体3内の燃焼物10をかき混ぜることが可能である。
ところで、本実施例において、炭化筒43は有底(底板43a)であって、上方開口に通気孔44bを有する天蓋44が開閉自在に設けられている。即ち、図25(a)に示すように、炭化筒43は底板43aを有して上方に開口を有し、この開口が鋼板による天蓋44によって密閉状に閉塞され、天蓋44の取手44aを持ち上げることによって天蓋44を取り外すことができる。このような天蓋44には複数個所または一個所に縦方向に形成した通気孔44bが形成され、天蓋44を取り付けた状態で炭化筒43の内部は通気された状態にされている。
さらに、図25(a)に示すように、上記の炭化筒43の側部には、実施例1と同様の温度センサ83を挿入するための貫通孔81が形成されている。この貫通孔81は、棒状の温度センサ83の挿入作業を容易且つ確実に行うために、炭化筒43の側部に案内部材85(図25(b)参照)を固設し、該案内部材85の入口端部をテーパ形状86に窄ませることによって、図26に示すように炉体3の側部に形成された挿入孔82から挿入した温度センサ83の先端を、図25(c)に示すように案内部材85のテーパ形状に沿って挿入し、貫通孔81を経て炭化筒43の内部に至らしめ、これによって炭化筒43の内部の温度を検知することができる。
また、図23に示すように、上記の炭化筒43は、燃焼台42の上面に載置して炉体3の内部に収納するようにしている。この燃焼台42は上面が平面状に形成され、四方に脚部47、47…を有し、夫々の脚部47の下端にはキャスター47aが設けられている。このような燃焼台42のキャスター47aを転動する際、炉体3の床面3aの高さを補う傾斜台49を設置することにより、炭化筒3が設けられた燃焼台42を傾斜台49から炉体3の床面3aへと移動することができる。
また、炉体3の床面3aは、両側のキャスター47aが転動できる幅広の通路3abを有し、その間の床は奥行き方向に複数の通気溝3acが形成されてなる凹凸形状とされている。本実施例の炉体3には、図1のロストル33及び支持台34が設けられていないが、上記のように床面が奥行き方向に複数の通気溝3acを有する凹凸形状としてあり、床面3aに投入された燃焼物の下部にも空気が供給されて不完全燃焼のない燃焼を効率良く行うことができる。
また、本実施例においては、炉体3内には1次燃焼供給管65(図24参照)が分岐して炉体3の背板3bの両側に空気噴射口65a、65aが連結された構成とされ、実施例1のように1次燃焼供給管65が炉体3の内部に延長された構成とはされていない。
また、本実施例の炭化筒43は、上記のように円筒形の側部に温度センサ83のための貫通孔81が形成されているだけで、実施例1のような連結管54も設けられてなく、従って炉体3の背板3bには排気穴55もなく、さらには炉体3の外部後方に排気穴55から2次燃焼室4に至る排気管56(図4参照)も設けられていない。
さらに、本実施例においては、図26に示すように、炉体3の上部に上部通気孔3cが形成され、この上記通気孔3cは炉体3の上面に設けられた2次燃焼筒6に連通されている。従って、本実施例においては実施例1において設けられた煙突ダンパ71とダンパ枠体74が設けられていない。
上記の構成により、炉体3の上部に連通して二次燃焼室4を形成する二次燃焼筒6が固設され、二次燃焼筒6内には同心状に二次空気送風管76が配設され、二次燃焼筒6内の二次空気送風管76の周壁には多数の空気噴射孔77、77…が設けられているため、実施例1と同様に、各空気噴射孔77から噴射空気が渦巻き状に噴射され、二次燃焼筒6内において遠心分離過流方式或は多量通気方式としてサイクロン効果を発揮することができ、未燃焼ガスを再燃焼して煤塵等を除去することができる。
さらに、二次燃焼筒6から外方へ導き出された二次空気送風管76は、図24に示すように、炉体3の後方に至って連結送風管66を介してブロアー70に連通してあるため、ブロアー70から二次空気送風管76を経て供給される空気は、空気噴射孔77、77…を通して二次燃焼筒6内に噴射される。
一方、ブロアー70に連通してある一次空気送風管68の途中には一次空気送風バルブ69が設けられると共に、一次空気送風管68は左右に分岐した1次空気供給管65、65に連結され、夫々の1次空気供給管65の管口である空気噴射口65aが炉体3内の1次燃焼室2の背板3bに連結された構成とされている。このような構成により、一次空気送風バルブ69によって調整された量の空気が炉体内の1次燃焼室2内に供給される。
このような構成において、一次空気送風バルブ69を所定量だけ開けた状態にしてブロアー70を駆動すると、該ブロアー70から送風される空気は一次空気送風管68を経て左右の一次空気供給管65、65に供給され、両側の空気噴射口65a、65aを経て炉体3内に噴射される。このような強制送風により、炉体3内での燃焼物10の焼却に最適な酸素を供給することができる。
上記のように構成された本実施例の炭化炉兼用型焼却炉は、実施例1の構成に比べて、極めて簡単な構成によるものであり、安価な製造が可能となり、また木酢液を取り出さないため臭いも発生しない。
このような本実施例の炭化炉兼用型焼却炉を用いて炭を作製するには、図26に示すように、炭化筒43に廃木材等の木材又は竹材等の被炭化物30を収容して天蓋44を閉じ、この状態で燃焼台42を移動することによって炭化筒43を炉体3の内部に収納する。また、このとき、炉体3の側部の挿入孔82から温度センサ83を挿通すると共に炭化筒43の側部の貫通孔81に挿入して、炭化炉43の内部の温度を検出するようにする。
次いで、燃焼台42の下部(一次燃焼室2)に廃棄物等の燃焼物10を入れて着火し、前面開口扉9を閉じる。なお、このように前面開口扉9を閉じた後の追い炊きをする場合、シュータ90を通して下部投入口13から燃焼物10を供給することによって火力を強めることができる。
そして、二次燃焼バーナ75を作動状態にすると共に、一次空気送風バルブ69を所定量だけ開いて送気量を調節した後、ブロアー70をONにし、外気調節扉37(図3参照)を開けて外気吸入口36の開度を調節する。
上記のように、燃焼台42の下部にて発生した燃焼熱は、炉体3の上部通気孔3cを経て二次燃焼室4を通過することによって二次燃焼バーナ75による二次燃焼が行なわれた後に、二次燃焼筒6から排気することができる。また、燃焼台42の下部にて燃焼物10を燃焼することによって発生した燃焼熱が炭化筒43の下方から側部の周囲を流通することによって炭化筒43の内部温度を上昇させる。
このとき、炭化筒43内の被炭化物30は、炭化筒43の天蓋44の通気孔44bより加圧化された筒内のガスを適度に排出しながら炭化筒43の下部及び周囲の温度上昇によって均一な蒸し焼き状態となるが、燃焼物10に最も近い位置の被炭化物30の下部が部分的に燃えて灰の状態になることもなく、均一な温度上昇による熱分解によって良質の炭を得ることができる。このような炭化終了後には、前面開口扉9を開けて燃焼台42を炉体3内から外部へ移動し、天蓋44を開けて炭化筒43内の炭化物を取り出すことができる。
なお、本実施例においては、炭化筒43内の温度上昇によって膨張した内部の空気は天蓋44の通気孔44bを経て外方へ至り、炭化筒43が爆発するというような危険を回避することができる。
1、1’、1”…炭化炉兼用型焼却炉、2…一次燃焼室、3…炉体、3a…床面、3ab…通路、3ac…通気溝、3b…背板、3c…上部通気孔、4…二次燃焼室、5…排気口、6…二次燃焼筒、7…前面開口部、8…枠体、9…前面開口扉、10…燃焼物、11…ロック金具、12…上部投入口、13…下部投入口、14…燃焼物収納箱、16a、16b…開口部、17…ロック金具、19…投入口密閉扉、21…ロック金具、22…取手、23…燃焼物投入口、24…燃焼物収容室、25…開口部密閉扉、26…支持軸、27…燃焼物移動板、28…操作レバー、29…フットレバー、30…被炭化物、31…ヒンジ、33…ロストル、34…支持台、35…下部燃焼室、36…外気吸入口、37…外気調整扉、38…枠金具、40…炭化キット、41…筒ダンパ、42…燃焼台、43…炭化筒、43a…底板、44…天蓋、44b…通気孔、45…下部開口、46…通気穴、47…脚部、47a…キャスター、48…ローラ、49…傾斜台、51…金属網、52…下部ネット、53…ピン、54…連結管、55…排気穴、56…排気管、57…排煙ダンパ、58…回転軸、59…取手、61…流下穴、62…木酢液採取容器、63…設置台、65…一次空気供給管、65a…管口、66…連結送風管、67…空気噴射孔、68…一次空気送風管、69…一次空気送風バルブ、70…ブロアー、71…煙突ダンパ、72…取手、73…板部材、74…ダンパ枠体、75…二次燃焼バーナ、76…二次空気送風管、77…空気噴射孔、78…フランジ、79…雨水防止用傘、81…貫通孔、82………挿入孔、83…温度センサ、85…温度センサの案内部材、86…テーパ形状、90…シュータ、91…傾斜通路、92…蝶番、93…外蓋、94…ロック金具、94a…棒部材、93a…ハンドル、93b…鎖部材、95…内蓋、96…支持軸、97…フットペダル、97a…フット部材、98…フットロック、98a…フック形状、98b…リング部材、98c…コイルバネ、99…支持部材、100…掻き棒、101…屈曲部。