JP4148589B2 - 円板状物品の振動バレル研磨方法 - Google Patents

円板状物品の振動バレル研磨方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、研磨しようとする円盤状物品のバリ、返り、酸化皮膜などの除去や表面の所望の粗さへの加工、コーナーの丸み付け等の目的で使用される振動バレル研磨方法及び円盤状物品の振動バレル研磨方法に関し、特には、複数の円盤状物品を相互に係止することなしに一つの研磨区域に挿入して研磨しても円盤状物品が相互に衝突して物品表面に痕を生ずることを少なくなるように改良された振動バレル研磨方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
前記のような物品の表面処理には、従来より振動バレル研磨装置を用いた振動バレル研磨方法が慣用的に行なわれている。代表的な振動バレル研磨方法としては、上方を開口させた箱形の研磨槽に複数の研磨しようとする物品とメディアを装入し、研磨槽を略円形に振動運動させて行う。このような振動バレル研磨方法は、特に複雑な制御をすることなしに一度に大量の物品を研磨することができる特徴があって、効率の追求を求められる自動車部品などの生産工程に普及している。
【0003】
しかしながら、これらの振動バレル研磨方法においては、比較的寸法の小さなメデイアは略円形に流動するものの、比較的寸法の大きな被研磨物品は複雑な軌道を描いて流動するため被研磨物品が相互に衝突し、その表面に打痕と呼んでいる痕を生じる問題があった。特に、被研磨物品が円盤状物品であるときは、それを自由に流動させるとすれば、数枚の円盤状物品が重なって流動し、重なった部分が研磨されない研磨むらを生ずる問題があり、また、一般に鈍く形成されたコーナー部が深い打痕を生じ易い問題があった。
【0004】
このような問題を解決する方法には、例えば、特開平10−138117号公報に開示されている方法がある。この方法においては、壁部材により研磨槽を複数の研磨区域に分割し、各研磨区域には1個の物品を挿入して研磨を行うようにしたから研磨中に物品が相互に衝突して打痕を生ずることがない。しかし、このような方法を例えばクラッチプレートのような扁平な物品の研磨に応用するとすれば、研磨槽を膨大な数の研磨区域に分割する必要があり、このため、装置が高価となるうえに、消耗部材である壁部材の数が多いからランニングコストの点において満足できるものではなかった。
【0005】
また、特公昭60−4035l 号公報に開示されているジャイロ研磨機と呼ばれる装置を応用する方法を検討したが、この方法においては複数の円盤状物品を治具に固定して研磨槽に装入させるから打痕を生ずることがないが、このような研磨方法を例えばクラッチプレートのような全面研磨の必要な物品に応用するとすれば、治具の陰になって研磨されない部位を研磨するために別の治具を使用して再度研磨を実施する必要があって効率的ではなく、また、治具への取り付け取り外しに時間がかかって効率的ではないことが分かった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は以上の状況を鑑みてなされたもので、複雑な制御なく、一度に大量の物品を比較的安価に研磨することができる振動バレル研磨法の特長を生かしつつ、打痕を伴わない円盤状物品を効率的に研磨可能な改良された円盤状物品の振動バレル研磨方法を提供することを目的としている。
【0007】
本発明者らは、前記課題を解決するための種々の検討の課程において、振動バレル研磨中の円盤状物品が相互に影響しあって一体的に流動することを発見し、この作用を積極的に打痕防止に利用すべく鋭意研究の結果、本発明に至ったものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記のようにして完成された本発明の基本構成とするところは、研磨しようとする複数の円盤状物品をそれぞれ流動方向と平行な姿勢に間隔をあけて流動方向とは垂直の方向に直線状に並べて研磨槽に装入して行う振動バレル研磨方法において、
研磨槽内で研磨した1枚の円盤状物品を取り出すと新たに研磨しようとする別の1枚の円盤状物品を装入して、研磨中の円盤状物品の数を維持しながら行う連続的な研磨方法であって、
流動方向とは垂直の方向の一端に位置する研磨済みの円盤状物品を取り出し、他端に新たに研磨しようとする円盤状物品を装入して、円板状物品の間隔が平均化するように円板状物品を流動方向とは垂直の方向の前記一端に移動させつつ研磨することを特徴とする。
【0009】
ここにおいて、流動方向とは、振動駆動手段であるカウンターウェイトの回転軸と垂直な方向であって、例えば、カウンターウェイトが左回転であれば水平左方向をいう。また、流動方向とは垂直の方向とは、前記カウンターウェイトの回転軸と平行な方向をいい、さらに、流動方向と平行な姿勢とは、円盤状物品の回転中心がカウンターウェイトの回転軸と平行な姿勢をいう。
【0010】
このような振動バレル研磨方法によれば、研磨しようとする複数の円盤状物品をそれぞれ流動方向に平行な姿勢に間隔をあけて装入するから、メディアは円盤状物品と隣接する円盤状物品または研磨槽壁面との間を容易に流動して、研磨槽の振動運動に伴う略円形の研磨槽内のメディアの流動が保たれる。また、円盤状物品は流動方向とは垂直の方向に直線状に並べて装入されるから、相互に作用しあって円盤状物品の姿勢が保たれるのである。
【0011】
次に、本発明の作用を、研磨中の円盤状物品周辺を模式的に拡大して示した図2を参照しながら、さらに詳しく説明する。
円盤状物品20は、Aの間隔で円盤状物品21と隣接し、その間にはメディア23aが手前から奥に向かって流動している。円盤状物品21はBの間隔で円盤状物品22と隣接し、その間にはメディア23bが同じく手前から奥に向かって流動している。
【0012】
ここで、Bの間隔をAの間隔より広くして円盤状物品20、21、22を装入した場合、メディア23aの流動抵抗24はメディア23bの流動抵抗26より大きいから、円盤状物品22と円盤状物品21の間隔を押し広げようとする力27は円盤状物品21と円盤状物品20の間隔を押し広げようとする力2Sよりも小さく、円盤状物品21は左右から受けるアンバランスな力を平均化するように、すなわち、Aの間隔とBの間隔を平均化するように、図では左側へ移動して安定する。同様の作用は円盤状物品が傾倒する場合にも働くから、円盤状物品は装入された姿勢を保ちつつ間隔を平均化させて相互に衝突することなしに安定に研磨を継続できるのである。
【0013】
また、このように円盤状物品間をメディアが流動することにより円盤状物品が相互に衝突することなしに、相互に作用してその姿勢が保たれるのであるから、円盤状物品と隣接する円盤状物品または研磨槽壁面との間はメディアが容易に流動可能な間隔をあけて装入しなければならないのであって、この寸法はメディアの大きさの1.5倍以上である。また、隣接する円盤状物品または研磨槽壁面との間の間隔を大きくすれば、前記のような相互作用が小さくなるからその間隔は小さく設定しなくてはならず、少なくとも使用するメディアの大きさの5倍以下としなければ安定に研磨を続けることができない。
【0014】
また、別の発明においては、注意深く選定されたメディアを使用することを提案する。よく知られている一般的な現象として、メディアを大きくすれば、研磨効率を高くできるから、高能率な研磨を行うためには少なくとも3mm以上の大きさのメディアを選定することが好ましい。しかし、前記のような相互作用はメディアが大きくなるほど不安定になるのであって、大きさの異なるメディアを混合して使用するような場合でなければ、円盤状物品の直径の10分の1以下のメディアを選定することが好ましい。
【0015】
さらに、別の発明においては、注意深く選定された研磨槽を使用することを提案する。流動方向を遮ったり突然変更するよう流路を形成すれば、その流動に乱流を生じ易いことがよく知られているが、本発明の方法は、先に詳しく説明した通り、安定的な流動状態により円盤状物品相互の衝突を防止するのであって、断面U字型の研磨槽を採用すれば乱流を生ずることが少なくて好ましい。また、先に説明した通り、円盤状物品は少なくとも流動方向とは垂直な方向には自由に移動できなくては安定な相互作用を保ち難いのであって、そのような研磨槽の研磨空間の流動方向の寸法(幅という)は円盤状物品の直径の1.2 倍以上である。
【0016】
しかしながら、楕円形状に近い不均一な振動を生ずる一般的な振動バレル研磨装置においては、流動方向と平行に装入された円盤状物品であっても、自転運動と共に公転運動を生じ、隣接する円盤状物品が相互にずれて前記の相互作用が損なわれることがある。このような現象を防止するためには前記した研磨槽の研磨空間の流動方向の幅を小さくすると効果的であって、そのような幅は円盤状物品の直径の2倍以下である。
【0017】
また、別の発明においては注意深く選定されたメディアの装入方法について提案する。通常の振動バレル研磨作業においては、メディアを研磨槽から飛び出すことのない最大量を装入して行うことが多い。しかしながら、先に詳しく説明したように、円盤状物品に公転運動を生ずる場合においては、同じ理由で円盤状物品が上下方向に大きくずれないようにメディアの装入量を減じれば好ましい。このようなメディアの装入量は、円盤状物品の直径の1.5倍以下の深さ(メディア上面から研磨空間底面までの距離をいう)である。一方、メディアの装入量が過少であれば、前記のような円盤状物品が相互に作用してその姿勢が保たれる作用が有効に働かないばかりか、研磨を効率よく行うことができないのは自明であり、このため、メディアの装入量は円盤状物品の直径の0.8倍以上の深さとすることが好ましい。
【0018】
また、別の発明においては前記のような円盤状物品の装入を実際の研磨作業において具現化するために好適な作業手順について提案する。まず、振動駆動手段を停止させた研磨槽にメディアを装入する。次に、研磨しようとする円盤状物品を少なくともその直径の3分の2以上が前記メディアに埋没するようにし、次いで、振動駆動手段を動作させる。このような手順で行なえば、振動駆動手段を動作させると共に生ずるメディアの流動運動により円盤状物品はメディア中に引き込まれ、メディア中において所定の間隔で直線状に位置させることができる。そして、所定時間の研磨を終了すれば、振動駆動手段を停止したうえ、研磨を終えた円盤状物品を研磨槽より取り出せば、研磨中は常に円盤状物品を所定の間隔に保つことができる。
【0019】
また、別の発明においては前記のような円盤状物品の装入を実際の研磨作業において具現化するために好適な別の作業手順について提案する。まず、先に詳しく説明した方法などにより円盤状物品をメディア中において所定の間隔で直線状に位置させた所定の研磨状態とし、流動方向とは垂直の方向の一端に位置する円盤状物品を取り出し、他端に新たに研磨する円盤状物品を挿入する。このようにすれば研磨空間中の円盤状物品の数を所定の数に保って連続的に研磨することが可能となる。
【0020】
例えば、20枚の円盤状物品を所定の装入量とし、その場合の円盤状物品の間隔をメディアの大きさの2倍とし、円盤状物品の厚みは無視できる程であるとする。この場合、一端から1枚の円盤状物品を取り出せば、先に詳しく説明した作用が生じて各円盤状物品が移動し、平均化された円盤状物品の間隔はメディアの大きさの2.1倍となる。次いで、他の一端に別の円盤状物品を挿入すれば、同じ作用により平均化された円盤状物品の間隔は当初の大きさであるメディアの大きさの2倍に復帰する。
【0021】
また、例えば、研磨開始時に連続する19枚をダミーの円盤状物品とし、挿入側の一端のみに研磨すべき円盤状物品を挿入して研磨を開始し、次いで、所定研磨時間の20分の1の時間間隔で排出側の一端より円盤状物品を取り出すと共に装入側へ研磨すべき別の円盤状物品を挿入するとすれば、所定の一定の研磨時間で連続的に研磨を行うことができる。更にロボットにより円盤状物品の挿入、排出を行わせるとして無人運転を続けることも可能である。
【0022】
また、別の発明においては注意深く選定された研磨液の供給、排出方法について提案する。バレル研磨において研磨液を使用する場合には、研磨の進行に伴って研磨液中に切り屑が滞留し、それが研磨効率を低下させることがある。特に、表面積の大きな円盤状物品を多数装入して研磨する場合には、切り屑が多く発生するから頻繁に研磨液を交換しなくては効率のよい研磨を続けられない。このような場合には、連続的または間欠的に研磨液を供給し、余剰の研磨液を切り屑と共に排出しながら行うとすれば、研磨槽中に過剰の切り屑が滞留することが無くて好適であり、研磨はメディア間に合まれる研磨液によって良好に継続させることができる。
【0023】
また、別の発明においては前記研磨方法を具現化するための注意深く構成された研磨装置について提案する。本発明の研磨装置は、安価に構成可能な楕円形状の振動を生ずる一般的な振動駆動手段を具備させた研磨装置において、前記研磨方法を具現化させることを目的としたものであって、研磨槽に流動方向への円盤状物品の移動を制限する邪魔板を設けたことを特徴とする。この邪魔板は単に流動方向を遮る棒部材であってもよく、また、円盤状物品の直径にあわせて調節可能に構成することもできる。邪魔板の損耗は避けられないものの、邪魔板を取り付けることにより、既存の振動バレル研磨装置を利用して先に詳しく説明した本研磨方法を具現化することが可能となる。なお、円盤状物品は流動方向とは直角方向に自由に移動できることが必要であって、円盤状物品を係止するための所謂治具は邪魔板には含まない。
【0024】
また、別の発明においては前記研磨方法を具現化するための注意深く構成された別の研磨装置について提案する。本発明の研磨装置は、安価に構成可能な楕円形状の振動を生ずる一般的な振動駆動手段を具備させた振動バレル研磨装置において、前記研磨方法を具現化させることを目的としたものであって、研磨槽を交換可能に基体に固定し、基体には回転駆動手段を連結したカウンターウェイトを回転自在に固定すると共に振動自在に機枠に固定したことを特徴とする。
【0025】
先に詳しく説明した通り、邪魔板のような消耗部材を使用して研磨空間が過大である研磨層を具備した振動バレル研磨装置を使用することができるが、研磨目的に合致した研磨空間の大きさの研磨槽を使用する利点はいうまでもない。研磨槽のみを交換できるように構成すれば、被研磨物品の大きさに合わせて複数台の振動バレル研磨装置を設置する無駄を省くことができて好適である。
【0026】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づき図面を参照して説明する。
図1及び図3において、上部を開口させた断面U字型の箱形の研磨槽1を基体2に交換可能にねじによって固着する。基体2はその四角を機枠3につるまきバネ4により振動自在に固定する。基体2にはベアリング5によりカウンターウェイト6を固定させた回転軸7を回転自在に固定する。回転軸7は振動は遮断するが回転は伝えるカップラ8によりモータ9に連結する。研磨槽1には所定量のメディア10を装入し、メディア10には所定間隔をあけて振動方向と平行に円盤状物品11としてのクラッチプレートを直線的に並べて埋没させる。
【0027】
また、研磨槽1の上方には研磨液タンク12を配設し、研磨液タンク12の排出パイプ13はボールバルブ14に連結し、このボールバルブ14には他端を研磨槽1の上方においてその内部に臨ませた研磨液供給パイプ15を連結し、所定量の研磨液16を連続的に研磨槽1へ供給する。また、研磨槽1の底部には廃液口を穿孔し、廃液口には廃液パイプ18を連結し、研磨槽1内の切り屑を含む余剰の研磨液19は廃液パイプ18により工場内の廃液溝に導かれる。
【0028】
このような振動バレル研磨装置において、図示しない慣用的な電気回路によりモーターを作動させれば、カウンターウェイト6の回転に応じて基体2が振動し、基体と共に研磨槽1が振動し、円盤状物品11であるクラッチプレートを相互に衝突することなしに研磨を行うことができる。所定の時間を過ぎれば前記の電気回路を操作してモータ9を停止し、研磨を終了する。また、連続的に研磨を継続する場合には、図では例えば左端の円盤状物品11であるクラッチプレートを抜き取ると共に右端へ新たに研磨する円盤状物品11としてのクラッチプレートを補充する。
【0029】
本実施例の円盤状物品11は、図4に示した直径130mm、厚さ4mmのクラッチプレートであり、従って、幅200mm、長さ80mmの研磨槽を選定して基体に固着して使用した。研磨は42枚のクラッチプレートを装入して行った。メディアは新東ブレーター株式会社製の商品名ロルコーンの中から商品記号p2−F6を選定し、これを130mmの深さに装入して使用した。このメディアの形状は円錐形であって、底面の直径と高さの寸法は共に6mmである。また、振動バレル研磨装置は、新東ブレーター株式会社製の商品名ロルコ振動式研磨機商品記号VF−1423W を改良して専用に制作したものである。また、研磨液は新東ブレーター株式会社製のコンパウンド商品記号SLM を選定し、これを水道水で10倍に希釈して使用した。研磨液の供給量は毎分100cc とした。
【0030】
以上の条件で研磨を行ったところ、クラッチプレート11は図2に示したように流動方向斜め下方に安定に位置し、研磨時間7分間のバッチ処理も、また、10秒ごとにクラッチプレートを抜き取ると共に装入する連続処理も良好に行うことができた。なお、図2ではカウンターウェイト6の回転方向は反時計回りである。
【0031】
一方、前記したバーベンチにクラッチプレートをランダムに装入して研磨を行った場合には、外周部に大きな歪みを生じた不合格品を多数生じた。観察の結果、このような歪みはクラッチプレート外周の歯車状の突起部分が相互に衝突して生じていることが確かめられた。
【0032】
また、幅394m 、長さ682mm、深さ405mmの研磨空間である別の未改良のバーベンチに、振動停止状態において約8割の深さまで前記メディアを装入し、等間隔に42枚のクラッチプレートをその直径の3分の2以上装入して研磨を開始したところ、クラッチプレートがメディア中に引き込まれると共に振動方向に全転運動を生じ、やがてランダムに装入した前記の場合と同じ無秩序な流動状態を生じ、一部のクラッチプレートは数枚が重なって流動して研磨むらを生じ、また、一部のクラッチプレートは歯車状の外周部が激しくかみ合って大きな打痕を生じて使用できなかった。
【0033】
また、研磨効率の向上を目的として、メディアとして新東ブレーター株式会社製の商品名ロルコーンより商品記号F20 を選定し、その他の条件は前記本実施例の研磨方法と同じに設定して研磨を行ったところ、研磨開始直後からクラッチプレートが大きく首振り運動して、程なく幾つかが衝突して絡み合い、安定な研磨は続けられなかった。このメディアは前記の実施例のメディアと同じく円錐形状であるが、底面の直径及び高さの寸法は共に20mmであった。
【0034】
図5には本発明の別の実施例を示す。図5において、研磨槽28の四隅をバネ29により機枠31に振動可能に固定し、研磨槽28の底にはベアリング31を介してカウンターウェイト32を固定した回転軸33を回転自在に固定する。回転軸33は図では省略したカップラを介してモータに連結する。また、研磨槽28の研磨空間には邪魔板34を配設する。邪魔板34は板状部材であって、長さ方向にさし渡して図では省略したボルトにより研磨槽28に取り外し自在に固着する。
【0035】
本実施例で用いた研磨しようとする円盤状物品は、図4に示した直径130mm厚さ4mmのクラッチプレートである。振動バレル研磨装置には新東ブレーター株式会社製商品名バーベンチをそのまま使用した。従って、邪魔板として幅100mm、長さ682mm、厚さ10mmの銅板を45度傾斜させ、回転軸と平行に研磨槽の長さ方向の壁面にさし渡してねじ止めした。研磨槽の幅方向の内面と邪魔板の中心との間隔は200mmとした。メディアは前記の商品記号p2−F6を選定し、300mmの深さに装入して使用した。この深さはクラッチプレートが邪魔板に当たって停止した場合のクラッチプレートの上端の位置に相当する。研磨液は前記の商品記号SLM を選定し、これを水道水で10倍に希釈して使用した。研磨液の供給量は毎分100cc とした。
【0036】
以上の条件で研磨を行ったところ、クラッチプレート11は図2に示したように邪魔板34の付近にとどまって安定に位置し、研磨時間7分間のバッチ処理も、また10秒ごとにクラッチプレートを抜き取ると共に装入する連続処理も良好に行うことができた。なお、図4ではカウンターウェイト33の回転方向は反時計回りである。
【0037】
【発明の効果】
以上の通り構成したので、本発明は次の効果を奏する。
研磨しようとする多数の円盤状物品を係止することなしに同時に振動バレル研磨加工できるから、搬入、排出が短時間にできて研磨作業の効率を上げることができる。加えて、一つの研磨空間に高い充填率で円盤状物品を装入することができるから、効率的に研磨を行うことができると共に、連続的に研磨を継続することも可能である。更に、円盤状物品の装入状態と研磨空間との関係を考慮すれば足りるから、複雑な運転制御手段を備えた高価な装置を用意したり、専用に熟練のオペレーターを養成するといった必要もないのである。
【0038】
また、研磨中のメディア相互の加工がバレル研磨におけるメディアの損耗の大きな割合を占めていることが指摘されているが、本発明の方法を実施するために必要最小限の大きさの研磨槽を使用すれば、副次的にメディアの無駄な損耗は抑制できて、省エネルギーや環境に配慮することにもつながる。
【0039】
また、研磨槽を交換可能として加工目的によって使い分けるとすれば、効率的に最適な研磨環境を具現化できるのであって、設計上の都合などで生産する円盤状物品の外形が変更されたとしても、生産ラインをそれに効率的に対応させることができる。また、臨時に数千個単位の少ロットの試作品を研磨する必要を生ずることが生産ラインにはよくあるが、このような場合には邪魔板を取り付けることにより専用の研磨槽を製作することなしに試作に応じることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る振動バレル研磨装置の好ましい実施の形態を示す一部切欠正面図である。
【図2】本発明における要部である円盤状物品周辺を模式的に拡大して示した説明図である。
【図3】本発明に係る振動バレル研磨装置の好ましい実施の形態を示す縦断側面図である。
【図4】処理しようとする円盤状物品の1例としてのクラッチプレートを示す正面図である。
【図5】本発明に係る振動バレル研磨装置の好ましい別の実施の形態を示す縦断側面図である。
【符号の説明】
1 研磨槽
2 基体
3 機枠
4 バネ
6 カウンターウェイト
7 回転軸
10 メディア
11 円盤状物品
34 邪魔板

Claims (5)

  1. 研磨しようとする複数の円盤状物品をそれぞれ流動方向と平行な姿勢に間隔をあけて流動方向とは垂直の方向に直線状に並べて研磨槽に装入して行う振動バレル研磨方法において、
    研磨槽内で研磨した1枚の円盤状物品を取り出すと新たに研磨しようとする別の1枚の円盤状物品を装入して、研磨中の円盤状物品の数を維持しながら行う連続的な研磨方法であって、
    流動方向とは垂直の方向の一端に位置する研磨済みの円盤状物品を取り出し、他端に新たに研磨しようとする円盤状物品を装入して、円板状物品の間隔が平均化するように円板状物品を流動方向とは垂直の方向の前記一端に移動させつつ研磨することを特徴とする円盤状物品の振動バレル研磨方法。
  2. 最大寸法が3mm以上で、且つ、研磨しようとする円盤状物品の直径の10分の1以下であるメディアを使用することを特徴とする請求項1記載の円盤状物品の振動バレル研磨方法。
  3. 断面U字型で、その研磨空間の流動方向の寸法を研磨しようとする円盤状物品の直径の1.2倍以上、2倍以下とした研磨槽を使用することを特徴とする請求項1または2に記載の円盤状物品の振動バレル研磨方法。
  4. メディアを、研磨しようとする円盤状物品の直径の0 .8倍以上1.5倍以下の深さまで研磨槽内に装入して行うことを特徴とする請求項1または2または3に記載の円盤状物品の振動バレル研磨方法。
  5. 連続的または間欠的に研磨槽中に研磨液を供給し、余剰の研磨液を研磨槽中より排出しながら研磨を行うことを特徴とする請求項1または2または3または4に記載の円盤状物品の振動バレル研磨方法。
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