従来のプラズマCVD装置を用い、原料ガスの流量比を制御して組成比を変化させる場合、原料ガスの入れ替えに時間を要するため、原料ガスの流量比を所要の値に変化させた時点と、反応室1内の原料ガスの存在比が所要の値になる時点との間に時差が生じて迅速に制御することができず、このため、特に膜材料の堆積速度が早いとき、膜材料の組成比を精密に変化させることが困難になるという問題があった。
また、原料ガスの詳細な流れを考慮して設計した複雑な流量制御系7aが必要であるという問題もあった。
従来のスパッタ装置は、異なる物性(導電体、半導体、絶縁体の種別、組成、組成比、伝導型、導電率等)の膜を形成する場合に、ターゲットの変更が必要になることから、成膜中のデバイスをスパッタ装置から一旦取り出す必要があり、製造プロセス数の増加、スループットの長期化、製品歩留まりの低下、つまり、製造コストの増加をもたらす等の問題があった。
また、従来のスパッタ方法により価電子制御をする場合は、複数のターゲット又は複数のスパッタガスを準備する必要があり、プロセスが増加し、スループットが遅くなり、ひいては製造コストが高くなるという問題があった。
また、ガス流量比を制御する従来のスパッタ装置は、反応が鈍く、迅速な制御はできず、また、複雑な流量制御系による制御を必要とするという問題があった。
本発明は斯かる事情に鑑みなされたものであり、その目的とするところは膜を形成する基板を配置すべき第1電極の部分と第2電極との間の距離を可変制御する構成とすることにより形成する膜の物性を容易に制御でき、また、生産性良く膜の形成が可能な制御性の良い成膜装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、第1電極と第2電極との間の電極間距離を変更する手段を備えることにより、流量制御手段による複雑な制御をする必要がなく(複雑な制御手段を備えることなく)、製造が容易であるプラズマCVD装置を提供することを目的とする。
本発明の他の目的は、第1電極又は第2電極の移動方向に傾斜している複数の斜面を有する第2電極を備えることにより、流量制御手段による複雑な制御をする必要がなく(複雑な制御手段を備えることなく)、製造が容易であるプラズマCVD装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、基板を配置してある第1電極に、第2電極を接近又は離隔させることにより、例えば請求項2に記載のプラズマCVD装置を用いて、原料ガスの流量又は放電条件等の他の形成条件を変えることなく、膜材料の組成比を精密に変化させることができる成膜方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、第1電極又は第2電極の移動方向に傾斜している複数の斜面を有する第2電極を用いることにより、例えば請求項3に記載のプラズマCVD装置を用いて、請求項4に記載の成膜方法と同様の効果を得ることができる成膜方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、第1電極と第2電極との間の電極間距離を変更する手段を備えることにより、単一のスパッタ装置、単一のターゲット、単一のプロセスで異なる物性(導電体、半導体、絶縁体の種別、組成、組成比、伝導型、導電率等)の膜を連続的に任意に形成できるスパッタ装置、及び該スパッタ装置による成膜方法を提供することにある。例えば、酸化物材料をターゲットに用いた場合に、膜の種類を導電体、半導体、絶縁体と連続的に作り分けることができるスパッタ装置、及び成膜方法を提供することを目的とする。
また、本発明の他の目的は、第1電極又は第2電極の移動方向に傾斜している複数の斜面を有する第2電極を備えることにより、単一のスパッタ装置、単一のターゲット、単一のプロセスで異なる物性(導電体、半導体、絶縁体の種別、組成、組成比、伝導型、導電率等)の膜を連続的に任意に形成できるスパッタ装置、及び該スパッタ装置による成膜方法を提供することにある。例えば、酸化物材料をターゲットに用いた場合に、膜の種類を導電体、半導体、絶縁体と連続的に作り分けることができるスパッタ装置、成膜方法を提供することを目的とする。
また、本発明の他の目的は、第1電極との間の距離が異なる複数の部分電極を有する第2電極を備えることにより、単一のスパッタ装置、単一のターゲット、単一のプロセスで異なる物性(導電体、半導体、絶縁体の種別、組成、組成比、伝導型、導電率等)の膜を連続的に任意に形成できるスパッタ装置、該スパッタ装置による成膜方法を提供することにある。例えば、酸化物材料をターゲットに用いた場合に、膜の種類を導電体、半導体、絶縁体と連続的に作り分けることができるスパッタ装置、及び成膜方法を提供することを目的とする。
また、例えば、複数の元素を含む化合物系薄膜、合金系薄膜等の形成において、組成比を精密に制御することができるスパッタ装置、及び該スパッタ装置による成膜方法を提供することを目的とする。
また、例えば、複数元素のうち気体となる性質を有する元素を含む金属酸化物薄膜、窒化物薄膜等の形成において、組成比を精密に制御することができるスパッタ装置、及び該スパッタ装置による成膜方法を提供することを目的とする。
また、例えば、II−VI族半導体薄膜を形成するに際し、電極間距離を制御することにより、膜厚方向において価電子制御された膜を形成することにより、II−VI族半導体薄膜を形成時に膜の種類をp型、n型と作り分けることができるスパッタ装置、及び該スパッタ装置による成膜方法を提供することを目的とする。
また、例えば、反応性ガス中に含まれる元素の膜中の濃度を制御することができるスパッタ装置、及び該スパッタ装置による成膜方法を提供することを目的とする。
また、特に、量産に適したスパッタ装置、量産に適した該スパッタ装置による成膜方法を提供することを目的とする。
第1発明に係るプラズマCVD装置は、反応室内に、膜を形成すべき基板を配置する第1電極と、該第1電極の前記基板を配置すべき部分に対向して配置してある第2電極と、該第2電極又は前記第1電極の内、少なくとも一方を、前記第1電極と前記第2電極との対向方向に交叉する方向に移動させる駆動部と、前記反応室内に原料ガスを供給する手段と、前記第1電極と前記第2電極との間に前記原料ガスのプラズマを発生させるべく電圧を印加する手段とを備えるプラズマCVD装置において、前記第2電極は、該第2電極の前記第1電極に対向する側に複数の斜面を有し、該斜面が、前記第1電極又は前記第2電極の移動方向に傾斜していることを特徴とする。
第1発明にあっては、膜厚方向の組成比を連続的に変化させた膜を形成するためのプラズマCVD装置を製造する場合、基板を配置すべき第1電極、又は第2電極の内、少なくとも一方が移動し、そのため原料ガスの流量比を制御して組成比を変化させることが困難である従来のプラズマCVD装置に、従来の平板状の第2電極に代えて、第1電極又は第2電極の移動方向に傾斜している複数の斜面を前記第1電極に対向する側に有する第2電極を備えるため、流量制御手段による複雑な制御をする必要がなく(複雑な制御手段を備えることなく)、製造が容易であり、また、制御性の良いプラズマCVD装置を提供できる。
第2発明に係る成膜方法は、反応室内に備えられた第1電極に、膜を形成すべき基板を配置し、前記反応室内に、複数種類の原料ガスを供給し、前記第1電極と、前記基板に対向して配置してあり、該基板に対向する側に複数の斜面を有する第2電極との間に電圧を印加して前記原料ガスのプラズマを発生させ、成膜中に、前記第2電極又は前記第1電極の内、少なくとも一方を前記第1電極と前記第2電極との対向方向に交叉する方向に移動させることを特徴とする。
第2発明にあっては、膜を形成すべき基板を第1電極に配置し、反応室中に、複数の物質を用いてなる膜材料の原料ガスを供給し、前記第1電極と複数の斜面を有する第2電極との間に電圧を印加し、次いで、第1電極又は第2電極の内、少なくとも一方を、例えば第1電極の平面方向に移動させる。このとき、原料ガスがプラズマ分解して、前記物質が夫々前駆体となり、拡散速度が小さい前駆体は、拡散速度が大きい前駆体に比べて第2電極近傍で濃度が高く、該第2電極から離れるに従って濃度が低くなって、該濃度が等しい層が、第2電極の前記斜面に沿って生じる。このため、第1電極が各前駆体の濃度が夫々異なる複数の層を順に通過することとなり、該第1電極と第2電極との間の電極間距離が小さいときは前記前駆体の濃度が高い層を通過して該前駆体の蒸着量が多くなり、電極間距離が大きい場合は前記濃度が低い層を通過して前記蒸着量が少なくなるため、例えば第1発明のプラズマCVD装置を用いて、原料ガスの流量又は放電条件等の他の形成条件を変えることなく、膜材料の組成比を精密に変化させることができる。
また、反応室内でプラズマを発生させている場合、反応室内の圧力が高ければ高いほど、プラズマは極端に第2電極側に局在するようになり、該第2電極から離れるに従って前記濃度がより急激に、規則正しく低下するため、膜材料の組成比をより精密に変化させることができる。
また、第2電極付近では拡散速度が小さい前駆体の濃度が高くなるため、前駆体の濃度比が原料ガスの流量比より大きくなり、前駆体の拡散速度が小さい膜材料の堆積量が増加して、該膜材料の利用効率が向上する。
第3発明に係るスパッタ装置は、反応室内に、膜を形成すべき基板を配置する第1電極と、前記基板に対向してターゲットを配置する第2電極と、該第2電極又は前記第1電極の内、少なくとも一方を他方に対する接離方向に移動させる駆動部と、前記反応室内に放電ガスを供給する手段と、前記第1電極と前記第2電極との間に前記放電ガスによるスパッタを発生させるべく電圧を印加する手段とを備えるスパッタ装置において、前記第1電極と前記第2電極との間の電極間距離の変更データを記憶する手段と、該変更データに従って前記駆動部を制御する手段とを備えることを特徴とする。
第4発明に係るスパッタ装置は、反応室内に、膜を形成すべき基板を配置する第1電極と、前記基板に対向してターゲットを配置すべき第2電極と、該第2電極又は前記第1電極の内、少なくとも一方を、前記第1電極と前記第2電極との対向方向に交叉する方向に移動させる駆動部と、前記反応室内に放電ガスを供給する手段と、前記第1電極と前記第2電極との間に前記放電ガスによるスパッタを発生させるべく電圧を印加する手段とを備えるスパッタ装置において、前記第2電極は、前記第1電極に対向する側に複数の斜面を有し、該斜面は、前記第1電極又は前記第2電極の移動方向に傾斜していることを特徴とする。
第5発明に係るスパッタ装置は、反応室内に、膜を形成すべき基板を配置する第1電極と、前記基板に対向してターゲットを配置すべき第2電極と、該第2電極又は前記第1電極の内、少なくとも一方を、前記第1電極と前記第2電極との対向方向に交叉する方向に移動させる駆動部と、前記反応室内に放電ガスを供給する手段と、前記第1電極と前記第2電極との間に前記放電ガスによるスパッタを発生させるべく電圧を印加する手段とを備えるスパッタ装置において、前記第2電極は、前記第1電極との間の距離が異なる複数の部分電極を備えることを特徴とする。
第6発明に係る成膜方法は、反応室内に備えられた第1電極に膜を形成すべき基板を配置し、第2電極に前記基板に対向してターゲットを配置し、前記反応室内に放電ガスを供給し、前記第1電極と前記第2電極との間に電圧を印加して前記放電ガスによるスパッタを発生させ、成膜中に、前記第2電極又は前記第1電極の内、少なくとも一方を他方に対する接離方向に移動させることを特徴とする。
第7発明に係る成膜方法は、反応室内に備えられた第1電極に膜を形成すべき基板を配置し、前記基板に対向する側に複数の斜面を有する第2電極に前記基板に対向してターゲットを配置し、前記反応室内に放電ガスを供給し、前記第1電極と第2電極との間に電圧を印加して前記放電ガスによるスパッタを発生させ、成膜中に、前記第2電極又は前記第1電極の内、少なくとも一方を前記第1電極と前記第2電極との対向方向に交叉する方向に移動させることを特徴とする。
第8発明に係る成膜方法は、反応室内に備えられた第1電極に膜を形成すべき基板を配置し、前記第1電極との間の距離が異なる複数の部分電極を備える第2電極に前記基板に対向してターゲットを配置し、前記反応室内に放電ガスを供給し、前記第1電極と前記第2電極との間に電圧を印加して前記放電ガスによるスパッタを発生させ、成膜中に、前記第2電極又は前記第1電極の内、少なくとも一方を前記第1電極と前記第2電極との対向方向に交叉する方向に移動させることを特徴とする。
第3発明、第6発明においては、第1電極と第2電極との間の電極間距離を変更する手段を備えることとしたので、単一のスパッタ装置、単一のターゲット、単一のプロセスで異なる物性(導電体、半導体、絶縁体の種別、組成、組成比、伝導型、導電率等)の膜を任意に連続的に形成できるスパッタ装置、及び該スパッタ装置による成膜方法を提供でき、例えば、酸化物材料をターゲットに用いた場合に、膜の種類を導電体、半導体、絶縁体と連続的に作り分けることができるスパッタ装置、及び成膜方法を提供することができる。
第4発明、第7発明においては、第1電極又は第2電極の移動方向に傾斜している複数の斜面を有する第2電極を備えることとしたので、単一のスパッタ装置、単一のターゲット、単一のプロセスで異なる物性(導電体、半導体、絶縁体の種別、組成、組成比、伝導型、導電率等)の膜を任意に連続的に形成できる量産性に優れたスパッタ装置、及び該スパッタ装置による成膜方法を提供でき、例えば、酸化物材料をターゲットに用いた場合に、膜の種類を導電体、半導体、絶縁体と連続的に作り分けることができるスパッタ装置、及び成膜方法を提供する
ことができる。
第5発明、第8発明においては、第1電極との間の距離が異なる複数の部分電極を有する第2電極を備えることとしたので、単一のスパッタ装置、単一のターゲット、単一のプロセスで異なる物性(導電体、半導体、絶縁体の種別、組成、組成比、伝導型、導電率等)の膜を任意に連続的に形成できる量産性に優れたスパッタ装置、該スパッタ装置による成膜方法を提供でき、例えば、酸化物材料をターゲットに用いた場合に、膜の種類を導電体、半導体、絶縁体と連続的に作り分けることができるスパッタ装置、成膜方法を提供することができる。
第3発明乃至第8発明においては、例えば、複数元素のうち気体となる性質を有する元素を含む金属酸化物薄膜、窒化物薄膜等の形成において、組成比を精密に制御することができるスパッタ装置、該スパッタ装置による成膜方法を提供することができる。
また、例えば、II−VI族半導体薄膜を形成するに際し、電極間距離を制御することにより、膜厚方向において価電子制御された膜を形成することにより、II−VI族半導体薄膜を形成時に膜の種類をp型、n型と作り分けることができるスパッタ装置、該スパッタ装置による成膜方法を提供することができる。
また、例えば、反応性ガス中に含まれる元素の膜中の濃度を制御することができるスパッタ装置、スパッタ法による成膜方法を提供することができる。
また、本発明のプラズマCVD装置によれば、基板を配置してある第1電極又は第2電極の移動方向に傾斜している複数の斜面を有する第2電極を備えることにより、膜厚方向の組成比を連続的に変化させた膜を形成するためのプラズマCVD装置を提供できる。基板を配置すべき第1電極、又は第2電極の内、少なくとも一方が移動し、そのため原料ガスの流量比を制御して組成比を変化させることが困難である従来のプラズマCVD装置に、従来の平板状の第2電極に代えて、第1電極又は第2電極の移動方向に傾斜している複数の斜面を前記第1電極に対向する側に有する第2電極を備えるため、複雑な制御手段を備えることなく、製造が容易であり、また、制御性の良いプラズマCVD装置を提供できる。
また、第1電極又は第2電極の移動方向に傾斜している複数の斜面を有する第2電極を用いることにより、膜を形成すべき基板を第1電極に配置し、反応室中に、複数の物質を用いてなる膜材料の原料ガスを供給し、前記第1電極と複数の斜面を有する第2電極との間に電圧を印加し、次いで、第1電極又は第2電極の内、少なくとも一方を、例えば第1電極の平面方向に移動させる。このとき、原料ガスがプラズマ分解して、前記物質が夫々前駆体となり、拡散速度が小さい前駆体は、拡散速度が大きい前駆体に比べて第2電極近傍で濃度が高く、該第2電極から離れるに従って濃度が低くなって、該濃度が等しい層が、第2電極の前記斜面に沿って生じる。このため、第1電極が各前駆体の濃度が夫々異なる複数の層を順に通過することとなり、該第1電極と第2電極との間の電極間距離が小さいときは前記前駆体の濃度が高い層を通過して該前駆体の蒸着量が多くなり、電極間距離が大きい場合は前記濃度が低い層を通過して前記蒸着量が少なくなるため、例えば請求項1に記載のプラズマCVD装置を用いて、原料ガスの流量又は放電条件等の他の形成条件を変えることなく、膜材料の組成比を精密に変化させることができる。
また、反応室内でプラズマを発生させている場合、反応室内の圧力が高ければ高いほど、プラズマは極端に第2電極側に局在するようになり、該第2電極から離れるに従って前記濃度がより急激に、規則正しく低下するため、膜材料の組成比をより精密に変化させることができる。
また、第2電極付近では拡散速度が小さい前駆体の濃度が高くなるため、前駆体の濃度比が原料ガスの流量比より大きくなり、前駆体の拡散速度が小さい膜材料の堆積量が増加して、該膜材料の利用効率が向上する。
本発明のスパッタ装置、及び該スパッタ装置を用いた成膜方法によれば、第1電極と第2電極との間の電極間距離を変更する手段を備えることとしたので、単一のスパッタ装置、単一のターゲット、単一のプロセスで異なる物性(導電体、半導体、絶縁体の種別、組成、組成比、伝導型、導電率等)の膜を任意に形成できるスパッタ装置、及び成膜方法を提供でき、例えば、酸化物材料をターゲットに用いた場合に、膜の種類を導電体、半導体、絶縁体と作り分けることができるスパッタ装置、及び成膜方法を提供することができる。
本発明のスパッタ装置、及び該スパッタ装置を用いた成膜方法によれば、第1電極又は第2電極の移動方向に傾斜している複数の斜面を有する第2電極を備えることとしたので、単一のスパッタ装置、単一のターゲット、単一のプロセスで異なる物性(導電体、半導体、絶縁体の種別、組成、組成比、伝導型、導電率等)の膜を任意に形成できる量産性に優れたスパッタ装置、及び成膜方法を提供でき、例えば、酸化物材料をターゲットに用いた場合に、膜の種類を導電体、半導体、絶縁体と作り分けることができるスパッタ装置、及び成膜方法を提供することができる。
本発明のスパッタ装置、及び該スパッタ装置を用いた成膜方法によれば、第1電極との間の距離が異なる複数の部分電極を有する第2電極を備えることとしたので、単一のスパッタ装置、単一のターゲット、単一のプロセスで異なる物性(導電体、半導体、絶縁体の種別、組成、組成比、伝導型、導電率等)の膜を任意に形成できる量産性に優れたスパッタ装置、及び成膜方法を提供でき、例えば、酸化物材料をターゲットに用いた場合に、膜の種類を導電体、半導体、絶縁体と作り分けることができるスパッタ装置、及び成膜方法を提供することができる。
本発明のスパッタ装置、及び該スパッタ装置を用いた成膜方法によれば、例えば、複数元素のうち気体となる性質を有する元素を含む金属酸化物薄膜、窒化物薄膜等の形成において、組成比を精密に制御することができるスパッタ装置、及び成膜方法を提供することができる。
また、例えば、II−VI族半導体薄膜を形成するに際し、電極間距離を制御することにより、膜厚方向において価電子制御された膜を形成することにより、II−VI族半導体薄膜を形成時に膜の種類をp型、n型と作り分けることができるスパッタ装置、及び成膜方法を提供することができる。
また、例えば、反応性ガス中に含まれる元素の膜中の濃度を制御することができるスパッタ装置、及び成膜方法を提供することができる。
本発明のスパッタ装置、及び該スパッタ装置を用いた成膜方法によれば、形成する膜の物性を変更制御するに際して、膜が形成される基板をスパッタ装置の外部に取り出さずに、成膜することができるから、デバイス作成プロセスの簡略化が可能となり、スループットが早くなり、ひいては製造コストの低減、特性の改善が可能となる。
また、膜の制御が任意にできることから、新規構造デバイスの作成、変調ドープ材料、多層膜、エネルギギャップ変調非晶質材料の効率的形成が可能となる。
さらに、流量制御系の精密な制御は全く不要となるという効果もある。
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
<参考の形態1>
図1は、本発明の参考の形態1に係るプラズマCVD装置の模式図である。
図中1は、排気系2を用いて内部を真空排気してある反応室である。反応室1内には、対向面が夫々平面状のアノード電極3とカソード電極4とが対向配置されている。アノード電極3は接地されており、カソード電極4は反応室1外部の高周波電源6に接続されている。アノード電極3のカソード電極4との対向面側には、成膜すべきガラス製の基板5が載置されている。基板5の面積は225cm2 であり、カソード電極4の対向面の面積よりも小さい。また、反応室1は、該反応室1外部から原料ガスを供給する供給管7、流量制御系7aを備えている。
駆動部8は、カソード電極4を支持する支柱を備え、反応室1外部の制御部9に制御されて該支柱を該支柱の軸長方向に直線的に駆動することによって、カソード電極4をアノード電極3に対する接離方向に移動する。制御部9は、例えばパーソナルコンピュータを用いてなり、成膜開始から成膜終了までのアノード電極3とカソード電極4との間の電極間距離の変更のデータの入力を受け付けて該データを記憶し、記憶したデータに従って、カソード電極4がアノード電極3上の基板5に接触しないようにして駆動部8を制御する。
前記データは、成膜開始からの時間及び該時間が経過したときの電極間距離のデータであって、アノード電極3とカソード電極4との間の電極間距離と、所要の成膜条件下にて該電極間距離で成膜したときの膜材料の組成比との関係、及び、該組成比を有する膜が基板5上に形成されるために必要な時間を予め調査しておいて決定してある。
以上のようなプラズマCVD装置は、原料ガスの詳細な流れを考慮せずに設計することができ、また、流量制御系7aにおいて、ガス流量比の精密な制御を行なう必要が無いため、装置の設計が容易である。
なお、前記プラズマCVD装置は、電極間距離が任意に変更できる構成であれば、例えば原料ガスをカソード電極を通して供給する構成であっても良い。
次に、前記プラズマCVD装置を用いて成膜するときの成膜方法について説明する。
表1は、前記プラズマCVD装置を用いてシリコンゲルマニウム膜を形成するときの成膜条件を示している。
前記プラズマCVD装置を用いて、膜厚方向の組成比が連続的に変化するシリコンゲルマニウム膜を形成する場合、まず、アノード電極3とカソード電極4との間の電極間距離を4cm以上にして基板5をアノード電極3の対向面に載置し、次いで、供給管7を用いて反応室1中にシリコンゲルマニウムの原料ガス(シラン及びゲルマン)を供給する。次に、高周波電源6を用いてアノード電極3とカソード電極4との間に高周波電圧を印加し、アノード電極3とカソード電極4との間に原料ガスのプラズマを発生させる。このときプラズマ分解したシラン及びゲルマンが、シリコン前駆体及びゲルマニウム前駆体となる。
圧力を100Pa以上にしたとき、他の部分より高密度のプラズマがカソード電極4の対向面に沿って厚さ1.5cm以内の領域に局在してシート状になる。
前記領域では、シリコン前駆体に対するゲルマニウム前駆体の割合が、シランに対するゲルマンの割合より大きくなり、該領域からの電極間距離に比例して、ゲルマニウム前駆体の割合は減少する。
シリコンゲルマニウム膜は、基板5に各前駆体が蒸着することによって形成されるため、制御部9は駆動部8を制御して、まず前記電極間距離を4cmにして成膜を開始し、次に、該電極間距離が0.8cmになるまで徐々にカソード電極4を移動し、次いで、急激にカソード電極4を移動して前記電極間距離を1.5cmにして、適宜の時間の間、該電極間距離を保持し、次いで、急激にカソード電極4を移動して前記電極間距離を0.8cmにして、最後に、前記電極間距離が4cmになるまで徐々にカソード電極4を移動して成膜を終了する。
表2は、従来のプラズマCVD装置を用いて膜厚方向の組成比が連続的に変化するシリコンゲルマニウム膜を形成するときの成膜条件を示している。
本参考の形態のCVD装置を用いる場合はゲルマン流量を一定(1sccm)にして電極間距離を0.8〜4(cm)の間で変化させるが、従来のプラズマCVD装置を用いる場合は電極間距離を一定(3cm)にしてゲルマン流量を0〜1.6(sccm)の間で変化させる。
図2は、本発明の参考の形態1に係るプラズマCVD装置を用いて成膜するときの電極間距離と組成比との関係を示すグラフである。
該グラフは、2次イオン測定装置(SIMS)を用いて測定した膜中におけるシリコンゲルマニウムの組成比(ゲルマニウム/シリコン(%))の膜厚(Å)方向の分布と、該膜厚位置形成時の電極間距離(cm)を示している。
図3は従来のプラズマCVD装置を用いて成膜するときの流量比と組成比との関係を示すグラフである。
該グラフは、SIMSを用いて測定した膜中におけるシリコンゲルマニウムの組成比(ゲルマニウム/シリコン(%))の膜厚(Å)方向の分布と、該膜厚位置形成時のゲルマン/シラン流量比(%)を示している。
図2より、電極間距離を用いて組成比を制御した場合は、電極間距離の変更と略同時に組成比が変化しており、また、電極間距離を急激に変更したとき、組成比も急激に変化することがわかる。図3より、流量を用いて組成比を制御した場合は、流量比の変更より少し遅れて組成比が変化しており、また、流量を急激に変更したとき、組成比は緩やかに変化することがわかる。
流量を用いて組成比を制御した場合、特に大型のプラズマCVD装置を用いたとき、流量比の変化に比べて反応室内の原料ガスの存在比の変化が遅くなるため、組成比の変化もより遅く、緩やかになるが、電極間距離を用いて組成比を制御した場合は、大型のプラズマCVD装置を用いたときであっても、電極間距離の変化に追随して組成比も変化する。
また、電極間距離が1.5cm以下のとき、組成比=ゲルマニウム/シランは40%以上、成膜速度は1.5Å/s以上である。このとき、原料ガスの利用効率={組成比×原子密度(cm-3)×成膜速度(cm/min )×基板面積(cm2 )}/{(アボガドロ数/22.4(l))×ゲルマン流量(l/min )}=15%以上になる。
以上のような成膜方法は、カソード電極4を移動させることで容易に制御できる電極間距離を変更することによって、原料ガスの流量又は放電条件等の他の形成条件を変えることなく、膜材料の組成比を精密に変化させることができる。
図4は、本発明の参考の形態1に係るプラズマCVD装置を用いて製造したpin構造を有する光起電力素子の模式的断面図である。該光起電力素子は非晶質のp層、i層、n層を積層してなり、表3は、p層及びn層の形成条件を示している。
前記光起電力素子は、ガラス製の透光基板50上に、SnO2 を用いて凹凸表面形状を有する透光性電極膜51を形成し、該透光性電極膜51上に、従来のプラズマCVD法を用いてp層52を形成し、該p層52上に、前記成膜方法を用い、電極間距離を制御することによって膜厚方向の組成比が連続的に変化するi層53を形成し、該i層53上に前記プラズマCVD法を用いてn層54を形成し、該n層54上に銀を用いた金属電極膜55をスパッタ法を用いて形成してなる。
表4は、前記光起電力素子(本参考例)と、原料ガスの流量比を制御することによって膜厚方向の組成比が連続的に変化するi層を形成してなる従来の光起電力素子(従来例)との製造直後の特性(初期特性)及びAM−1.5、100mW/cm2 、25℃、500時間の条件で光を照射した後の特性(光照射後特性)を示している。
表より、本実施例の光起電力素子は、開放電圧、短絡電流、曲線因子、及び変換効率の値が従来例の光起電力素子と比べて高い数値を夫々示しており、光電効率が向上していることがわかる。
なお、p層、i層、n層は、非晶質のみならず、結晶質であっても良い。また、p層又はn層に本発明を用いて組成比を変化させても良い。
また、遮光性の基板上に、電極膜、n層、i層、p層、透光性電極膜を形成しても良い。
更に、前記pin構造をユニットセルとし、該ユニットセルを複数積層した積層型光起電力素子であっても、同様の効果を得ることができる。
<実施の形態1>
図5は、本発明の実施の形態1に係るプラズマCVD装置の模式図である。
図中31はロール状に形成された基板電極であり、成膜開始前は巻き取りロール81に巻き取られている。該巻き取りロール81に巻き取られている基板電極31の一端を巻き取り・BR>香[ル82に取り付け、該巻き取りロール82が回転駆動するとき、基板電極31は、巻き取りロール81から巻き取りロール82へ連続的に移動して、巻き取りロール82に巻き取られる。
基板電極31の一面に対向して板状のカソード電極41が配置されており、該カソード電極41の前記一面に対する対向面は、巻き取りロール81側の一端から巻き取りロール82側の他端へ、まず、該カソード電極41と基板電極31との間の電極間距離が小さくなるよう緩やかに傾斜し、次いで、前記電極間距離が大きくなるように急激に傾斜し、次に、前記電極間距離が一定であるよう平面状となり、次いで、前記電極間距離が小さくなるように急激に傾斜し、最後に、前記電極間距離が大きくなるよう緩やかに傾斜するようにして形成されている。
その他、参考の形態1と同一部分には同一符号を付してそれらの説明を省略する。
移動する基板に成膜する場合、原料ガスの流量比を制御して膜材料の組成比を変化させることはできないため、膜厚方向の組成比が連続的に変化するシリコンゲルマニウム膜を形成する場合、供給管7を用いて反応室1中にシリコンゲルマニウムの原料ガス(シラン及びゲルマン)を供給し、高周波電源6を用いて、基板電極31とカソード電極41との間に高周波電圧を印加し、基板電極31とカソード電極41との間に原料ガスのプラズマを発生させ、基板電極31に、前記プラズマ中を移動させる。
シラン及びゲルマンがプラズマ分解してシリコン前駆体及びゲルマニウム前駆体が生じ、シリコン前駆体に比べて拡散速度が小さいゲルマニウム前駆体は、カソード電極41近傍で濃度が高く、該カソード電極41から離れるに従って濃度が低くなって、該濃度が等しい層が、カソード電極41の対向面の形状に沿って生じる。このため、基板電極31は各前駆体の濃度が夫々異なる複数の層を順に通過し、基板電極31とカソード電極41との間の電極間距離が小さいときはゲルマニウム前駆体の濃度が高い層を通過してゲルマニウム前駆体の蒸着量が多くなり、電極間距離が大きい場合は前記濃度が低い層を通過して前記蒸着量が少なくなるため、膜厚方向の組成比が連続的に変化するシリコンゲルマニウム膜を形成することができる。
なお、実施の形態1のプラズマCVD装置は反応室1のみを備えた単室構造であるが、複数の成膜室を備えた構造であっても良い。
また、基板として絶縁体を用いた場合には、基板の背後に電極を別途設けるようにしても良い。
また、ロール状でない基板電極の場合は、該基板電極を移動する手段を備えるプラズマCVD装置を用いて本実施の形態同様に成膜しても良い。
なお、本発明は2種類以上の物質の組成比を成膜中に変化させるために用い、シリコンゲルマニウム膜に限らず、例えばシリコンカーボン膜を形成する場合であっても同様の効果を得ることができる。また、超格子構造の半導体層を形成する場合に本発明を用いても良い。
また、基板となる第1電極の移動方向に傾斜している複数の斜面を有する第2電極を備えることとした場合には、膜厚方向の組成比を連続的に変化させた膜を形成するためのプラズマCVD装置を製造する場合、基板となる第1電極が移動し、そのため原料ガスの流量比を制御して組成比を変化させることが困難である従来のプラズマCVD装置に、従来の平板状の第2電極に代えて、第1電極の移動方向に傾斜している複数の斜面を前記第1電極に対向する側に有する第2電極を備えるため、複雑な制御手段を備えることなく、製造が容易であり、また、制御性の良いプラズマCVD装置を提供できる。
また、基板となる第1電極の移動方向に傾斜している複数の斜面を有する第2電極を用いることとした場合には、膜を形成すべき基板となる第1電極を反応室内に配置し、複数の物質を用いてなる膜材料の原料ガスを前記反応室中に供給し、前記第1電極と、該第1電極の移動方向に傾斜している複数の斜面を前記第1電極に対向する側に有する第2電極との間に電圧を印加し、次いで、第1電極を、該第1電極の平面方向に移動させる。このとき、原料ガスがプラズマ分解して、前記物質が夫々前駆体となり、拡散速度が小さい前駆体は、拡散速度が大きい前駆体に比べて第2電極近傍で濃度が高く、該第2電極から離れるに従って濃度が低くなって、該濃度が等しい層が、第2電極の前記斜面に沿って生じる。このため、第1電極は各前駆体の濃度が夫々異なる複数の層を順に通過し、該第1電極と第2電極との間の電極間距離が小さいときは前記前駆体の濃度が高い層を通過して該前駆体の蒸着量が多くなり、電極間距離が大きい場合は前記濃度が低い層を通過して前記蒸着量が少なくなるため、例えば請求項1に記載のプラズマCVD装置を用いて、原料ガスの流量又は放電条件等の他の形成条件を変えることなく、膜材料の組成比を精密に変化させることができる。
また、シラン及びゲルマンを原料ガスとして用いることにより、シリコン前駆体より質量が大きく拡散速度が小さいゲルマニウム前駆体は、シリコン前駆体に比べて第2電極近傍では気相中の濃度が高く、該第2電極から離れるに従って濃度が低くなっていく。このため、第1電極と第2電極との間の電極間距離を小さくして、ゲルマニウム前駆体の蒸着量を増加し、前記電極間距離を大きくして前記蒸着量を減少することができるため、例えば請求項1乃至3の何れかに記載のプラズマCVD装置を用いて、シリコンゲルマニウム膜を形成し、該シリコンゲルマニウム膜の組成比を精密に変化させることができる。
また、シラン及びゲルマンを原料ガスとして用いたとき、反応室内の圧力を100Pa以上とし、第1電極と第2電極との間の電極間距離を1.5cm以下とすることにより、他の部分より高密度のプラズマが第2電極から1.5cm以内の領域にシート状に局在し、該領域ではシランの前駆体に対するゲルマンの前駆体の割合が、原料ガス中のシランに対するゲルマンの割合より大きくなるため、第2電極を移動させて第1電極を前記領域に接するまで近づけることによって、シランよりも高価なゲルマンの利用効率を向上することができる等、本発明は優れた効果を奏する。
<実施の形態2>
図7は、本発明の実施の形態2に係るスパッタ装置の模式図である。図1と同一部分については、同一の符号を付して、詳細な説明は省略する。反応室1は、排気系2を用いて内部を適宜真空排気してあり、放電ガスが供給管7、流量制御系7aを介して適宜導入される。反応室1内には、対向面が夫々平面状のターゲット電極10と基板電極12とが対向配置されている。ターゲット電極10には放電用の高周波電源6が接続され、基板電極12は接地されている。なお、各電極の電位は、ターゲット電極10と基板電極12との間にプラズマ領域13が生じるように適宜設定する。基板電極12には、ターゲット電極10に対向する面に成膜の対象である基板5、例えばガラス製の基板が、配置される。ターゲット電極10には、成膜の原材料となるターゲット11、例えば金属酸化物材料等が、基板5に対向して配置される。プラズマ領域13からのイオンがターゲット11に衝突して、スパッタ現象を生じ、基板5にターゲット11に応じた所定の材料の膜が成膜される。
駆動部8、制御部9は、参考の形態1(図1)の場合と同様に動作し、ターゲット電極10を基板電極12に対する接離方向に移動する。つまり、駆動部8は、ターゲット電極10の昇降を駆動する昇降装置であり、制御部9は、昇降装置を制御する昇降制御装置である。制御部9は、成膜開始から成膜終了までのターゲット電極10と基板電極12との間の電極間距離(以下単に電極間距離という)の変更データを記憶し、記憶したデータに従って、駆動部8を適宜制御する。
記憶したデータは、成膜開始からの時間及び該時間が経過したときの電極間距離のデータであり、電極間距離と、所要の成膜条件下にて該電極間距離で成膜したときの膜材料の組成比との関係、及び、該組成比を有する膜が基板5上に形成されるために必要な時間を予め調査しておいて決定する。
なお、駆動部8、制御部9は、電極間距離が成膜中に任意に変更可能であればどのような構造であっても良い。RFスパッタ法(RFスパッタ装置)として、説明するが、これに限るものではなく、例えば、DCスパッタ法、ECRスパッタ法、ヘリコン波プラズマスパッタ法等への適用も可能である。
実施の形態2に係るスパッタ装置を用いた成膜方法について説明する。例えば、ターゲット11の材料として金属酸化物を用い、電極間距離を変更すると、基板5の上に形成する膜におけるターゲット成分元素の組成比を制御でき、膜の物性(例えば導電率)を変化させることができる。つまり、電極間距離の制御により膜の組成比を制御でき、膜を絶縁体(酸化物)、半導体、導電体(金属)のいずれかにすることができる。また、併せて、半導体、導電体の導電率をも精密に制御できる。具体的には、電極間距離を制御することにより、ターゲット11の金属酸化物の酸素が基板5に到達する量を制御する。電極間距離が短い場合には、酸素が十分基板5に到達することから絶縁体(酸化物)を形成でき、電極間距離が長い場合には、酸素が基板5に到達できないことから、導電体(金属)を形成でき、電極間距離が中間の場合には、絶縁体と導電体の中間の導電率である半導体を形成することができる。
表5は、ターゲット11として、SrCu(ストロンチウム銅)系酸化物、具体的にはK(カリウム)ドープSrCu2 Ox を用いて、電極間距離を変えて基板5の上に成膜した場合の成膜条件を示す。形成した膜の厚さは100nmである。なお、ガス流量は、固定しておけばよく、精密な制御は全く不要であり、制御性の良いスパッタ装置、及びスパッタ方法となる。この効果は、実施の形態3以降についても同様である。
表6は、ターゲット11として、ZnO(酸化亜鉛)、具体的にはノンドープZnOを用いて、電極間距離を変えて基板5の上に成膜した場合の成膜条件を示す。形成した膜の厚さは200nmである。
図8は、表5、表6の成膜条件により成膜したSrCu系酸化物薄膜、ZnO薄膜の導電率の基板ターゲット間距離依存性を示すグラフである。グラフにおいて、横軸は「基板−ターゲット間距離」(基板ターゲット間距離)、縦軸は「導電率」を示す。なお、導電率の目盛りにおいて、1.00E+02は1×102 を意味する。図から明らかなように、SrCu系酸化物薄膜、ZnO薄膜のいずれにおいても、絶縁体から金属までの広い導電率を持つ膜が形成されている。理由は上述したとおり、基板ターゲット間距離(電極間距離)が短いと金属原子のみならず、活性な酸素原子が基板5に到達し、金属原子が酸化され絶縁体が形成されるのに対し、基板ターゲット間距離(電極間距離)が長いと活性な酸素が基板5にまで到達しにくくなり、酸化が起こりにくくなり、金属組成に近い材料が形成されるからである。
図9は、実施の形態2に係るスパッタ装置により作成した半導体装置の断面構造を示す構造図である。同図(a)が、本発明に係る実施例の半導体装置(pn接合デバイス)であり、(b)は、参考のために示す従来の方法により作成した半導体装置(pn接合デバイス)である。同図(a)において、ガラス(glass)基板14の上に、膜厚600nmのZnO膜15を表6に示す条件により形成する。この際、基板ターゲット間距離を10cmから4cmまで連続的に変化させて、単一のスパッタ装置により外気にさらすことなく(スパッタ装置の外部に取り出すことなく)、ZnO金属膜15MからZnO半導体薄膜15Sへと連続的に形成する。ZnO半導体薄膜15Sはn型半導体となるから、ZnO金属膜15Mはn端子電極に相当する。ZnO半導体薄膜15S形成後、膜厚200nmのSrCu系酸化物薄膜16を表5に示す条件により形成する。この際、基板ターゲット間距離を6cmから10cmまで連続的に変化させて、単一のスパッタ装置により外気にさらすことなく(スパッタ装置の外部に取り出すことなく)、SrCu系酸化物半導体薄膜16SからSrCu系酸化物金属薄膜16Mへと連続的に形成する。SrCu系酸化物半導体薄膜16Sはp型半導体となるから、SrCu系酸化物金属薄膜16はp端子電極に相当する。
同図(b)において、ガラス基板14の上に、従来のスパッタ法により、膜厚300nmのITO(インジウム酸化スズ)膜17を形成し、次に、膜厚400nmのn−ZnO(n型ZnO)膜18を形成する。この際のZnO成膜条件は、表6の条件で、基板ターゲット間距離を4cmと固定した場合に相当する。この後さらに、膜厚150nmのp−SrCu(p型SrCu)系酸化物膜19を形成する。この際のSrCu系酸化物の成膜条件は、表5の条件で、基板ターゲット間距離を6cmと固定した場合に相当する。p−SrCu系酸化物膜19の上に膜厚30nmのAl(アルミニウム)膜20を蒸着法により形成する。ITO膜17はn端子電極に、Al膜20はp端子電極に対応する。
図10は、図9における半導体装置の特性を示す特性図である。図中、横軸は接合への印加電圧V(V)、縦軸は接合に流れる電流I(mA)である。曲線Aは、本発明に係る実施例の半導体装置(pn接合デバイス)であり、曲線Bは、従来の方法により作成した半導体装置(pn接合デバイス)である。本発明に係る半導体装置は直列抵抗が小さく、従来の方法により作成した半導体装置に比較して良好な整流特性が得られている。この相違は電流が大きくなるほど顕著である。本発明に係る半導体装置の直列抵抗が小さくできるのは、ZnO薄膜15においては、金属膜(ZnO金属薄膜15M)から半導体膜(ZnO半導体薄膜15S)へと接続部を連続的に形成できること、SrCu系酸化物薄膜16においては、半導体膜(SrCu系酸化物半導体薄膜16S)から金属膜(SrCu系酸化物金属薄膜16M)へと接続部を連続的に形成できることから、各接続部における接触抵抗を小さくでき、いわゆるコンタクト特性が向上したためと考えられる。
また、従来の方法により作成した半導体装置においては、ITO膜17形成プロセス、n型ZnO膜18形成プロセス、p型SrCu系酸化物膜19形成プロセス、Al膜20形成プロセスの4工程が必要であり、しかも異なる製造装置を必要とするのに対し、本発明に係る実施例の半導体装置においては、ZnO薄膜15形成プロセスとSrCu系酸化物薄膜16形成プロセスの2工程でよく製造コストが大幅に低減できる。
なお、ターゲットとしては、ZnO、SrCu系酸化物に限る必要は無く、他の酸化物、例えば酸化銅、酸化鉄、酸化チタン等にも同様に適用できる。また、デバイスとしても、pn接合デバイスに限ることは無く、他の半導体装置、例えば薄膜トランジスタ、EL素子、太陽電池等にも同様に適用できる。また、絶縁体から導体までの連続的な導電率の制御により、これまでにない新しい構造のデバイスを実現することが可能となる。例えば、薄膜トランジスタにおいて、絶縁体から導体までの連続的な物性(導電率)変化をもつ新しいゲート電極の形成等が可能となる。
<実施の形態3>
実施の形態3に係る成膜方法は、例えば実施の形態2に係るスパッタ装置を用いる。例えば、ターゲット11の材料として複数の元素を含む物質を用い、電極間距離を変更すると、基板5の上に形成する膜におけるターゲット成分元素の組成比を制御できる。ターゲット11から気相に放出される元素のエネルギーはイオン衝突により決定されることから、一般的に質量の大きな元素の速度は遅くなる。つまり、重い元素ほど遠くの基板5へは到達しにくく、形成された膜における組成比は小さくなる。したがって、この現象を利用すれば、複数の元素を含むターゲット11を用いて、電極間距離を制御することにより形成する膜における元素の組成比を制御できる。この方法によれば、SiGe(シリコンゲルマニウム)等の複数の元素を含む化合物系薄膜、合金系薄膜等の形成において、組成比を精密に制御することができる。
表7は、ターゲット11としてSiGeを用い、電極間距離を変えて基板5の上に成膜した場合の成膜条件を示す。形成した膜の厚さは200nmである。
図11は、表7の成膜条件により成膜したSiGe薄膜の膜厚方向における組成比と電極間距離との関係を示すグラフである。ガラス製の基板5の上に非晶質SiGe薄膜を電極間距離(基板5とターゲット11との距離)を変化させて形成した場合について、Siに対するGeの組成比(%)の分布をSIMSによって測定した結果とSIMS測定ポイントに対応する膜厚(深さ位置)形成時の電極間距離(mm)を示す。また、図における数値は実施例に過ぎず、成膜条件等が変動すれば、電極間距離と組成比とは、異なる数値となるが、電極間距離を変更することにより組成比を正確に制御できることに変わりは無い。
なお、従来のスパッタ法においては、形成する膜において組成比を変えるには、ターゲット11の組成比を変える必要があり、図に示すような薄い膜の中で、連続的に組成比を変えることは不可能である。
<実施の形態4>
実施の形態4に係る成膜方法においては、例えば実施の形態2に係るスパッタ装置を用いる。例えば、ターゲット11の材料として複数の元素を含み、該複数の元素の内に気体となる性質を有する元素を含むものを用いて成膜する場合に、電極間距離を変更すると、基板5の上に形成する膜において、気体となる性質を有する元素の組成比を制御できる。一般に、グロー放電によるプラズマ(プラズマ領域13参照)は、ターゲット電極10の付近に局在する傾向がある。この場合に、気体となる性質を有する元素を含む複数の元素を含む膜をスパッタ法により形成すると、気体となる性質を有する元素は局在するプラズマから離れると気体化し、形成する膜の中に取り込まれにくくなる。
したがって、この現象を利用すれば、複数の元素の内に気体となる性質を有する元素を含む材料のターゲット11を用いて、電極間距離を制御することにより形成する膜における元素の組成比を制御できる。この方法によれば、複数元素のうち気体となる性質を有する元素を含む金属酸化物薄膜、窒化物薄膜等の形成において、組成比を精密に制御することができる。
表8は、ターゲット11としてZnOを用い、電極間距離を変えて基板5の上に成膜した場合の成膜条件を示す。形成した膜の厚さは200nmである。
図12は、表8の成膜条件により成膜したZnO薄膜の膜厚方向における組成比と電極間距離との関係を示すグラフである。ガラス製の基板5の上にZnO薄膜を電極間距離(基板5とターゲット11との距離)を変化させて形成した場合について、Znに対するOの組成比(%)の分布をSIMSによって測定した結果とSIMS測定ポイントに対応する膜厚(深さ位置)形成時の電極間距離(mm)を示す。また、図における数値は実施例に過ぎず、成膜条件等が変動すれば、電極間距離と組成比とは、異なる数値となるが、電極間距離を変更することにより組成比を正確に制御できることに変わりは無い。
なお、従来のスパッタ法においては、形成する膜において組成比を変えるには、ターゲット11の組成比を変える必要があり、図に示すような薄い膜の中で、連続的に組成比を変えることは不可能である。
<実施の形態5>
実施の形態5に係る成膜方法においては、例えば実施の形態2に係るスパッタ装置を用いる。本発明の成膜方法は、例えば、放電ガス(スパッタガス)としてV族原子を含むガスを用いて、II−VI族半導体薄膜を形成する場合に、電極間距離(基板ターゲット間距離)を変化させることにより、II−VI族半導体薄膜の価電子制御(pn制御)を行うものである。電極間距離を変化させることにより、半導体薄膜の価電子制御を行うことができるから、価電子制御を繰返すことにより、複数のpn接合を形成することができ、例えば、pn接合が1つの整流素子(ダイオード)に限らず、pnpまたはnpn接合を有するトランジスタ、その他の電子素子(TFT、FET等)を作成することができる。
V族原子を含むガスとしては、例えば、酸化窒素ガス(NO、NO2 、N2 O等)を用い、II−VI族半導体薄膜としてZnO薄膜を形成する。この場合に、電極間距離を長くすることにより、n型導電性ZnO薄膜を形成し、電極間距離を短くすることにより、p型導電性ZnO薄膜を精密に制御して形成することができる。電極間距離を短くすると、活性な窒素及び酸化窒素ラジカルが基板5に到達しやすくなり、形成する膜中に窒素を取り込みやすくなり、p型導電性となる。電極間距離を長くすると、活性な窒素及び酸化窒素ラジカルが基板5に到達しにくくなり、形成する膜中に窒素を取り込みにくくなり、n型導電性となる。
なお、具体的な成膜条件の例は、次のとおりである。
ZnOはノンドープ(純度99.99%)、基板5はガラス製とした。成膜条件は、基板温度300℃、圧力1Pa、RFパワー密度10W/cmとし、電極間距離(基板5とターゲット11との距離)を2〜10cmの間において変化させ、ZnO薄膜を形成した。形成した膜の厚さは200nmである。また、n型導電性のZnO薄膜は、酸素欠陥量を制御(増加)したり、Al(アルミニウム)や、Ga(ガリウム)等のドナーとなる不純物を添加したターゲット材料を用いることにより、簡単に形成できる。
表9は、ターゲット11としてZnOを、スパッタガスとしてN2 O(一酸化二窒素)を用い、電極間距離を変えて基板5の上に成膜した場合の電極間距離と導電型、導電率の関係を示す。同表に示すように、ZnO薄膜の導電性が、電極間距離が長くなるに従い、p型からn型へと変化し、電極間距離が短くなるに従い、n型からp型へと変化している。
図13は、表9における価電子制御により作成した半導体装置(pn接合デバイス)の特性を示す特性図である。図中、横軸は接合へ印加する電圧(V)、縦軸は接合に流れる電流(mA)であり、良好な整流特性を示している。なお、電極間距離は、p型ZnO薄膜形成時には2cmとし、n型ZnO薄膜形成時には10cmとした。製造工程の概要は次のとおりである。透明導電膜付きのガラス(基板5)をスパッタ装置に配置し、電極間距離を2cmに設定し、p型ZnO薄膜を形成した。その後、スパッタ装置内においたまま、電極間距離を10cmに変更して設定し、連続的にn型ZnO薄膜を形成した。その後、金属電極を形成した。同一のスパッタ装置により、連続的にpn接合が形成できることから、スループットを大幅に早くできる。
<実施の形態6>
実施の形態6に係る成膜方法においては、例えば実施の形態2に係るスパッタ装置を用いる。本発明の成膜方法は、例えば、放電ガス(スパッタガス)に反応性ガスを含めて、反応性ガス中に含まれる元素をスパッタにより形成する膜中に含ませる場合に、電極間距離を制御することにより、反応性ガス中に含まれる元素の膜中濃度を制御するものである。一般に、グロー放電によるプラズマ(プラズマ領域13参照)は、ターゲット電極10の付近に局在する傾向がある。反応性ガスを含むガスを用いて膜をスパッタ法により形成する場合、プラズマ領域13において分解した反応性ガスは、局在したプラズマから離れると再度結合して安定なガスに戻ることから、膜に取り込まれにくくなる。
したがって、この現象を利用すれば、電極間距離を変化することにより、同一のターゲット、同一のスパッタガスを用いて、反応性ガスの中に含まれる元素の膜中での濃度を精密に制御することができる。電極間距離の変更により、形成する半導体薄膜のドーピング、水素化等の制御を簡単にできる。
表10は、反応性ガスとしてPH3 (ホスフィン)を用い、電極間距離を変えて基板5の上に成膜した場合の成膜条件を示す。形成した膜の厚さは200nmである。Arに対するPH3の比率は1%である。
図14は、表10の成膜条件により成膜したSi薄膜の膜厚方向におけるP(リン)濃度と電極間距離との関係を示すグラフである。同図(a)が本発明に係り、(b)は参考として示す従来のガス流量の制御により成膜したSi薄膜の膜厚方向におけるP濃度とガス流量比との関係を示すグラフである。同図(a)は、ガラス製の基板5の上にSi薄膜を電極間距離(基板5とターゲット11との距離)を変化させて形成した場合について、Siに対するP濃度(at%)の分布をSIMSによって測定した結果とSIMS測定ポイントに対応する膜厚(深さ位置)形成時の電極間距離(mm)を示す。また、図における数値は実施例に過ぎず、成膜条件等が変動すれば、電極間距離とP濃度とは、異なる数値となるが、電極間距離を変更することによりP濃度分布を正確に制御できることに変わりは無い。なお、実施例ではPH3を用いたn型ドープであったが、B2 H6 (ジボラン)等を用いたp型ドープも可能である。また、半導体材料としてはSi以外のものでも適用可能である。
同図(b)は、Arに対するPH3のガス流量比(%)を変えることにより、形成する膜におけるP濃度(at%)の分布を変えているが、反応が鈍く迅速な制御ができず、本発明の成膜方法と比較して制御性が悪いことが明確である。
表11は、反応性ガスとして水素を用い、電極間距離を変えて基板5の上に成膜した場合の成膜条件を示す。形成した膜の厚さは200nmである。Arに対する水素(H2)の比率は30%である。
図15は、表11の成膜条件により成膜したZnO薄膜の膜厚方向における水素濃度と電極間距離との関係を示すグラフである。同図(a)が本発明に係り、(b)は参考として示す従来のガス流量の制御により成膜したZnO薄膜の膜厚方向における水素濃度とガス流量比との関係を示すグラフである。同図(a)は、ガラス製の基板5の上にZnO薄膜を電極間距離(基板5とターゲット11との距離)を変化させて形成した場合について、ZnOに対する水素濃度(at%)の分布をSIMSによって測定した結果とSIMS測定ポイントに対応する膜厚(深さ位置)形成時の電極間距離(mm)を示す。また、図における数値は実施例に過ぎず、成膜条件等が変動すれば、電極間距離と水素濃度とは、異なる数値となるが、電極間距離を変更することにより水素濃度分布を正確に制御できることに変わりは無い。
同図(b)は、Arに対する水素(H2)のガス流量比(%)を変えることにより、形成する膜における水素濃度(at%)の分布を変えているが、反応が鈍く迅速な制御ができず、制御性が悪いことが明確である。
<実施の形態7>
図16は、本発明の実施の形態7に係るスパッタ装置の模式図である。図1、図5、図7と同一部分については、同一の符号を付して、詳細な説明は省略する。反応室1には、基板電極31がロール状に形成され、配置される。巻き取りロール81に巻き取られている基板電極31は、巻き取りロール81から巻き取りロール82へ連続的に移動して、巻き取りロール82に巻き取られる。基板電極31の基板(図示省略)が配置される一面に対向して、基板電極31の進行方向に沿って複数の斜面を有するターゲット電極10が配置される。ターゲット電極10の斜面は、基板電極31との間の電極間距離が、基板電極31の進行方向において、徐々に変化するように緩やかに傾斜し、電極間距離を狭くする方向と広くする方向とが交互になるように形成されている。なお、ターゲット電極10の基板電極31に対向する面には適宜必要なターゲット(図示省略)が配置され、プラズマ領域13の反応により、基板電極1に配置された基板へ電極間距離に応じた所定の膜を形成する。
基板電極31の形状を変えることによって電極間距離を変更するようにしても良い。反応室1を単室としているが、複数の反応室とすることも可能である。ロール状に限る必要は無く、移動しながら成膜する方法であれば、どのようなものであっても良い。移動は基板電極31ではなく、ターゲット電極10が移動する構成とすることもできる。このスパッタ装置によれば、実施の形態3に係るスパッタ装置に比較して、量産性が大幅に向上する。
また、実施の形態2乃至6に係る成膜方法においても、実施の形態7に係るスパッタ装置を適用することができ、各成膜方法における量産効果を更に高めることができる。
<実施の形態8>
図17は、本発明の実施の形態8に係るスパッタ装置の模式図である。図1、図5、図7、図16と同一部分については、同一の符号を付して、詳細な説明は省略する。基板電極31の進行方向に沿って、基板電極31と平行平面をなして対向する複数の部分電極10a、10b、・・・を備えるターゲット電極10が配置される。複数の部分電極10a、10bは基板電極31との電極間距離を異ならせている。この電極間距離、移動方向における長さは、形成する膜の性状等に応じて適宜設定する。なお、ターゲット電極10の基板電極31に対向する面には適宜必要なターゲット(図示省略)が配置され、プラズマ領域13の反応により、基板電極1に配置された基板へ電極間距離に応じた所定の膜を形成する。
その他、実施の形態7と同様な構成とすることが可能である。このスパッタ装置によれば、実施の形態7と同様、実施の形態2に係るスパッタ装置に比較して、量産性が大幅に向上する。
また、実施の形態2乃至6に係る成膜方法においても、実施の形態8に係るスパッタ装置を適用することができ、各成膜方法における量産効果を更に高めることができる。