JP4143482B2 - 耐震補強構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、土台、梁、桁、胴差といった水平部材と、柱といった垂直部材とにおける結合部の結合強度を補強する耐震補強構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、限られた宅地の有効利用やゆとりある住環境の実現を目指して木造多層階住宅が求められる傾向にあり、特に準防火地域を対象とする3階建て木造住宅に対する制限の合理化を含む昭和62年の建築基準法改正を受けて3階建てを含む多層階木造住宅が広く普及している。
【0003】
わが国においては、準防火地域を対象として永い間3階建て木造住宅に対する厳しい制限が行われている。これは、周知の通り限られた宅地を有効利用しなければならないにも関わらず地震多発国であることから、安全を期することを目的としているためである。
【0004】
しかしながら、上述したように、多層階木造建築物の建築制限が緩和されたとは言っても、安全な建築物を確保すべきことは当然であり、耐震性や耐風圧性の向上をはじめとする各種の補強手段や防火対策が取られており、補強のための用具や施工方法も多く提案されている。
【0005】
具体的に、木造住宅に対する補強手段としては、例えば在来工法で周知の木材を斜めに配設して固定する筋交いを利用するものや、土台のような水平部である直交部隅の近くに小形補強材を斜めに配設する火打ち工法等がある。
【0006】
しかしながら、このような在来の補強工法には次のような欠点があり十分に機能させることは困難である。すなわち、在来工法の木材の筋交いや火打ち工法による補強においては、補強用木材を取り付ける際に木材同士に切り込み加工を行う必要があり、その結果主建築材の強度を低下させてしまう虞がある。また、補強用木材を取り付けるための取り付け手段、例えば釘打ちまたはボルト締め箇所自体の強度が不足すること等が挙げられる。さらに、各部材同士のほぞとほぞ穴若しくはほぞ溝とによる結合部等が、地震や風圧等の繰り返し応力を受けた際に、外れてしまう虞がある。
【0007】
このような事態を回避するために、土台、梁、桁又は胴差等の水平部材と、柱等の垂直部材との結合部を部分的に補強する補強金具、例えば平金物、羽子板ボルト、各種形状のホールダウン金物等で結合部を補強する(特許文献1を参照。)。
【0008】
【特許文献1】
特開平7−247599号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
具体的には、図14に示すように、上述した補強金具101を用いて例えば柱102と梁103との結合部104を補強する場合、柱102の梁103を臨む主面102aと、梁103の柱を臨む主面103aとがなす角部105に補強金具101が取り付けられて結合部104を補強する。また、図15に示す補強金具201は、平板部202と、この平板部202に接合されたボルト203とからなる、いわゆる羽子板ボルトであり、例えば平板部202を柱102に取り付けた場合、梁103の方にボルト203が挿通される孔部等を設け、その孔部に挿通されたボルト203にナット204を螺合して締め付けていくことで結合部104を補強する。
【0010】
しかしながら、角部105には、木造建築物を建築する際に、例えば配線や配管等を固定し易いため配線や配管等が配設されることが多く、補強金具101、201を取り付けることが困難になることがある。
【0011】
このような不具合を解決する手段としては、図16に示すように、例えば柱102の主面102aと隣り合う側面102bと、梁103の主面103aと隣り合う側面103bとに取り付けられ、角部105に配設される配線106を避けて結合部104を補強する平金物301がある。
【0012】
しかしながら、平金物301は、配線106が配設される角部105を避けて結合部104を補強できるものの、例えば一本の柱102に複数の梁103が結合された場合、柱102の側面102bに結合された梁103が邪魔になって取り付け困難になる。
【0013】
すなわち、上述した補強金具101、201や平金物301は、図17に示すように、角部105に配線106が配設され、且つ一本の柱102に複数の梁103が結合されているような箇所には取り付けることが困難となる。
【0014】
また、柱102と梁103との結合部104の補強は、例えば木造建築物を新築する場合に止まらず、既存の住宅を改装するときにもの行う場合がある。この場合も、すでに配線106等が角部105に配設されている場合が多く、上述した補強金具101、201等では十分な方策が得られていないのが現状である。すなわち、既存の木造建築物を改装するときに、耐震性や耐風圧性の向上を図る補強工事を行うことは困難であるのが現状である。
【0015】
そこで、本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、新築の木造建築物又は既存の木造建築物に関わらずピン結合により直交して結合される第1の部材と第2の部材との結合部を容易且つ適切に補強する優れた耐震補強構造を提供することを目的としている。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る耐震補強構造は、厚みが4.5mm以上25mm以下の金属板材により第1の取付部と第2の取付部と略円弧状の連結部を一体に形成した全体がコーナ部を円弧状とした略L字状の板状部材からなる耐震補強具が用いられて、ピン結合により直交して結合される第1の部材と第2の部材との結合部を補強する。耐震補強構造は、耐震補強具の第1の取付部が、第1の部材に対して結合部側の一端とは反対側の他端が結合部を基準にして所定の間隔で並んで設けられた隣り合う第2の部材間の距離の5分の1以上2分の1以下の範囲に配置される長さを有し、長さ方向に並んで第1の部材に設けた複数の貫通孔と相対して複数の取付孔が設けられて第1の部材の側面に取り付けられる。耐震補強構造は、耐震補強具の第2の取付部が、第1の部材に対して所定の間隔を以って結合される第2の部材に対して結合部側の一端とは反対側の他端が上記結合部を基準にして第1の部材間の距離の5分の1以上2分の1以下の範囲に配置される長さを有し、長さ方向に並んで第2の部材に設けた複数の貫通孔と相対して複数の取付孔が設けられて第1の部材の側面と同一面を構成する第2の部材の側面に取り付けられる。耐震補強構造は、耐震補強具の連結部が、第1の取付部の第2の部材側の端部と第2の取付部の第1の部材側の端部とを第1の部材と第2の部材との結合部を避けて略円弧状に連結する。
【0017】
耐震補強構造は、耐震補強具が、相対する取付孔と貫通孔にそれぞれ嵌挿した螺合部材により、第1の取付部を第1の部材の側面に取り付けるとともに第2の取付部を第2の部材の側面に取り付ける。耐震補強構造は、耐震補強具の連結部が、第1の部材と第2の部材との結合部を補強するとともに、第1の部材と第2の部材とで囲まれた配線や配管を挿通させる10mm以上100mm以下の空間部を形成する。
【0018】
本発明によれば、所定の厚みと長さを有し第1の取付部と第2の取付部を連結部を介して一体に形成した耐震補強具を第1の部材と第2の部材に跨って取り付けることにより結合部を補強することから、木造建築物の耐震性を向上させることが可能となる。本発明によれば、耐震補強具が連結部と結合部との間に所定の大きさの空間部を形成して第1の取付部と第2の取付部を第1の部材と第2の部材に取り付けることから、空間部に例えば配線や配管等を配設できる。したがって、本発明によれば、例えば既存の木造建築物のように結合部に沿って配線や配管等がすでに配設されていても、これら配線や配管等を避けて耐震補強具による耐震補強が容易且つ適切に補強できる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した耐震補強構造について図面を参照にして説明する。図1に示す耐震補強構造1は、多層木造建築物において水平部材である梁2と、垂直部材である柱3と、梁2と柱3との結合部Aを部分的に補強する耐震補強具4と、梁2と柱3と耐震補強具4とによって囲まれた空間部5とによって構成される。なお、以下では、梁2と柱3とが結合された結合部A、いわゆる木造建築のピン結合を耐震補強具4が補強する補強構造について説明する。
【0020】
梁2は、例えば木材等で形成される円柱状、角柱状の部材であり、端部に先細に形成された突出部、いわゆるほぞ2aが設けられている。なお、ここでは、水平部材として梁2を例に挙げて説明するが、水平部材としては、梁2の他に例えば土台、桁、胴差等が挙げられる。
【0021】
柱3は、例えば木材等で形成される円柱状、角柱状の部材であり、所定の位置に梁2に設けられたほぞ2aが嵌入される有底孔若しくは貫通孔からなるほぞ孔3aが設けられている。そして、柱3は、ほぞ孔3aに梁2のほぞ2aが嵌入されることで梁2とピン結合する。
【0022】
耐震補強具4は、水平部材である梁2に取り付けられる第1の取付部11と、垂直部材である柱3に取り付けられる第2の取付部12と、第1の取付部11と第2の取付部12とを連結する連結部13とを有し、これら第1の取付部11と第2の取付部12と連結部13とが一体形成されたものである。また、耐震補強具4は、図2に示すように、連結部13が梁2と柱3との結合部Aを避けて第1の取付部11と第2の取付部12とを連結させていることから、梁2と、柱3と、連結部13とで囲まれた空間部5を形成させる。
【0023】
第1の取付部11は、平板状をなしており、梁2の柱3を臨む主面2bと隣り合う側面2cに取り付けられる。具体的に、第1の取付部11は、図3に示すように、梁2の側面2cから対向する側面2dに貫通する複数の貫通孔2eと相対する位置に複数の孔部11aが設けられ、これら孔部11a及び貫通孔2eにそれぞれ挿通させたボルト14aにナット14bを螺合し、ボルト14aに螺合したナット14bをさらに締め付けていくことで梁2の側面2cに取り付けられる。このように、第1の取付部11は、複数のボルト14a及びナット14bを対とする螺合部材14により梁2に取り付けられる。第1の取付部11を1つの螺合部材14だけで取り付けた場合、螺合部材14を支点にして耐震補強具4が回動する虞があり、梁2に第1の取付部11を適切に保持することが困難になる。したがって、第1の取付部11は、梁2の側面2cに複数の螺合部材14によって取り付けられる。
【0024】
第2の取付部12は、図2に示すように、平板状をなしており、上述した第1の取付部11と同様に、複数の螺合部材14等によって柱3の梁2を臨む主面3bと隣り合う側面3cに取り付けられる。
【0025】
連結部13は、第1の取付部11の結合部A側の一端15と第2の取付部12の結合部A側の一端16とに接続されることで第1の取付部11と第2の取付部12とを一体に連結する。また、連結部13は、結合部Aを避けるようにして第1の取付部11と第2の取付部12とを連結している。これにより、耐震補強構造1には、梁2と、柱3と、連結部13とで囲まれた空間部5が形成されることになる。
【0026】
この連結部13は、梁2に取り付けられた第1の取付部11と柱3に取り付けられた第2の取付部12とを連結することで、例えば地震等が起こってほぞ孔3aからほぞ2aを抜き取るような図2中矢印A方向の応力が結合部Aに加わったとしても、ほぞ孔3aからほぞ2aが抜かれてしまうことを防止するように作用する。また、連結部13には、後述する結合部A側とは反対側に向かって耐震補強具4を引っ張るブレース17が例えば螺合部材14等によって取り付けられている。
【0027】
以上のような構成の耐震補強具4で梁2と柱3との結合部Aを補強する際は、先ず、図3に示すように、柱3のほぞ孔3aに梁2のほぞ2aを嵌入するピン結合により結合された梁2の側面2cに、螺合部材14のボルト14aを挿通させるための貫通孔2eを、耐震補強具4における第1の取付部11の孔部11aに対応する位置に形成する。柱3の側面2cにも、梁2と同様にして螺合部材14のボルト14aを挿入させるための図示しない貫通孔を形成する。
【0028】
次に、梁2の側面2cには、耐震補強具4の第1の取付部11を螺合部材14で取り付ける。また、柱3の側面3cには、耐震補強具4の第1の取付部12を螺合部材14で取り付ける。これにより、耐震補強具4は、梁2と柱3とに保持されて梁2と柱3との結合部Aを補強することになる。すなわち、耐震補強構造1が形成される。このとき、梁2と柱3と耐震補強部4の連結部13とで囲まれた部分には、連結部13が結合部Aを避けた状態で、第1の取付部11及び第2の取付部12が梁2及び柱3にそれぞれ取り付けられることから空間部5が形成される。なお、ここでは、ボルト14aとナット14bとからなる螺合部材14によって梁2及び柱3に耐震補強具4を取り付けているが、このことに限定されることはなく、例えばボルト14aを挿通させるための貫通孔2eの内周面等に螺旋状の溝、いわゆる雌ねじを設け、ナット14bを用いることなく、ボルト14aを梁2や柱3に設けた雌ねじに直接螺合させる螺合方法によって耐震補強具4を梁2や柱3に取り付けるようにしても良い。
【0029】
このようにして梁2と柱3とに保持される耐震補強具4は、例えば地震による振動や台風による風圧等の外力を木造建築物が受けて結合部Aにほぞ孔3aからほぞ2aを抜き取るような応力が加わっても、連結部13により梁2に取り付けられた第1の取付部11と柱3に取り付けられた第2の取付部12とが適切に連結されていることから、結合部Aの剛性が高まり、梁2と柱3とが離間することがないように適切に結合部Aを補強する。
【0030】
また、上述した構成の耐震補強具4は、例えば鉄、ステンレス、又はこれらの金属を一種以上含む合金等といった金属材料で第1の取付部11、第2の取付部12及び連結部13を一体形成したものである。具体的に、耐震補強具4は、金属材料をプレス加工、打ち抜き加工等といった金属加工技術によって形成される。
【0031】
この耐震補強具4は、第1の取付部11、第2の取付部12及び連結部13を一体形成した際に、第1の取付部11及び第2取付部3と連結部13との連結位置における厚み方向からの輪郭が曲線になるようにされている。この場合、耐震補強具4では、第1の取付部11及び第2取付部3と連結部13との結合位置の輪郭が曲線にされることで、例えば地震等による外部からの応力が結合位置に集中することなく分散されることから、結合部Aをより大きな強度で補強できる。
【0032】
この耐震補強具4において、梁2に取り付けられる第1の取付部11の長さは、図5に示すように、例えば所定の間隔で複数並んだ柱3に梁2が橋渡しされたときに、第1の取付部11の一端15とは反対側の他端18が、結合部Aを基準にして隣り合う柱3の間の距離の2分の1以下、隣り合う柱3の間の距離の5分の1以上の範囲に配置されるような長さにされている。第1の取付部11の他端18が結合部Aを基準にして隣り合う柱3の間の距離の2分の1より遠い長さを有する場合、第1の取付部11が長すぎて、隣の柱2における結合部Aを補強するために取り付けられた耐震補強具4の第1の取付部11と先端部が互いに重なり合ってしまい取り付けが困難になる。一方、第1の取付部11の他端18が結合部Aを基準にして隣り合う柱3の間の距離の5分の1より近い長さを有する場合、第1の取付部11が短すぎて梁2に固定される部分が少ないことから、例えば地震等による応力が耐震補強具4に加わったときに第1の取付部11が梁2より脱落してしまう虞がある。したがって、耐震補強具4においては、第1の取付部11の他端18が、結合部Aを基準にして隣り合う柱3の間の距離の2分の1以下、隣り合う柱3の間の距離の5分の1以上の範囲に取り付けられることで、第1の取付部11が適切な長さにされて梁2に固定されることから、結合部Aを適切に補強できる。なお、ここでは、梁2と柱3との結合部Aを補強するときを例に挙げて説明したが、例えば土台、桁又は胴差等の水平部材と柱3との結合を補強するときも、水平部材に取り付けられる第1の取付部11を同じような長さにすることで同様の作用効果が得られる。
【0033】
この耐震補強具4において、柱3に取り付けられる第2の取付部12の長さは、例えば水平部材である土台6から略垂直に建て付けられた柱3に梁2が取り付けられたときに、第2の取付部12の一端16とは反対側の他端19が、梁2側の結合部Aを基準にして梁2と土台6との間の距離の2分の1以下、梁2と土台6との間の距離の5分の1以上の範囲に配置されるような長さにされている。第2の取付部12の他端19が梁2側の結合部Aを基準にして梁2と土台6との間の距離の2分の1より遠い長さを有する場合、第2の取付部12が長すぎて、例えば柱3と土台6と結合部Aを補強するために取り付けられた耐震補強具4の第2の取付部12と先端部が互いに重なり合ってしまい取り付けが困難になる。一方、第2の取付部12の他端19が梁2側の結合部Aを基準にして梁2と土台6との間の距離の5分の1より近い長さを有する場合、第2の取付部12が短すぎて柱3に固定される部分が少ないことから、例えば地震等による応力が耐震補強具4に加わったときに第2の取付部12が柱3より脱落してしまう虞がある。したがって、耐震補強具4においては、第2の取付部12の他端19が、梁2側の結合部Aを基準にして梁2と土台6との間の距離の2分の1以下、梁2と土台6との間の距離の5分の1以上の範囲に取り付けられることで、第2の取付部12が適切な長さにされて柱3に固定されることから、梁2側の結合部Aを適切に補強できる。なお、ここでは、梁2と柱3との結合部Aと補強するときを例に挙げて説明したが、例えば土台、桁又は胴差等の水平部材と柱3との結合を補強するときも、柱3に取り付けられる第2の取付部12を同じような長さにすることで同様の作用効果が得られる。また、土台6に柱3が略垂直に取り付けられる場合、柱3の土台6側の端部に梁2と同様の図示しないほぞが設けられ、土台6の所定の位置に柱3のほぞが嵌入される図示しないほぞ孔が設けられ、土台6のほぞ孔に柱3のほぞが嵌入されることで土台6と柱3とが結合される。
【0034】
この耐震補強具4においては、第1の取付部11及び第2の取付部12の長さを略同じにさせることも可能である。この場合、耐震補強具4では、第1の取付部11及び第2の取付部12を区別しないで梁2若しくは柱3等に取り付けることができ、梁2や柱3等に取り付けるときの作業性を向上できる。
【0035】
この耐震補強具4においては、その厚みが4.5mm以上、25mm以下、好ましくは4.5mm以上、12mm以下の範囲にされている。耐震補強具4の厚みが25mmより厚い場合、耐震補強具4の重量が重くなって梁2や柱3等への取り付け作業が重労働になってしまう。また、耐震補強具4の厚みが厚いと、例えば金属材料等で形成するときの金属加工にも多大な労力が必要となる。一方、耐震補強具4の厚みが4.5mmより薄い場合、耐震補強具4が薄すぎて厚み方向の曲げ強度が弱くなって結合部Aを適切に補強することが困難になる。したがって、耐震補強具4においては、その厚みを4.5mm以上、25mm以下、更に好ましくは4.5mm以上、12mm以下の範囲にすることで、梁2や柱3等への取り付けが容易になり、且つ結合部Aを適切に補強できる。
【0036】
耐震補強構造1における空間部5は、図1に示すように、梁2と柱3と連結部13とで囲まれた部分であり、例えば梁2の主面1bと柱3の主面2bとがなす角部Bに電気配線や水道管等を固定、配設するための空間となる。これにより、例えば既存の住宅を改装する、いわゆる住宅をリフォームするとき等、すでに電気配線や水道管等が角部Bに配設されているときでも、電気配線や水道管等を避けて耐震補強具4を取り付けることが可能となる。
【0037】
この空間部5は、電気配線や水道管等が挿通させる程度の空間でよく、大きすぎると耐震補強具4の連結部13が長くなって取付部11,12の長さが短くなり結合部Aを適切に補強することが困難となり、小さすぎると電気配線等を挿通させることが困難となる。具体的に、空間部5は、梁2及び柱3に沿った結合部Aと連結部13との間の距離が1cm以上、10cm以下程度の範囲にされることで、電気配線等を適切に挿通し、結合部Aを適切に補強することが可能となる。
【0038】
以上のような構成の耐震補強構造1では、例えば地震による振動等により外部より応力を木造建築物が受けてほぞ孔3aからほぞ2aを抜き取るような応力が結合部Aに加わっても、連結部13により梁2に取り付けられた第1の取付部11と柱3に取り付けられた第2の取付部12とが適切に連結された耐震補強具4によって結合部Aの剛性が高まり、梁2と柱3とが離間することがないように適切に結合部Aが補強される。
【0039】
この耐震補強構造1では、耐震補強具4の連結部13と、梁2と、柱3とに囲まれた空間部5が形成されていることから、例えは住宅をリフォームする場合等、角部Bに電気配線や水道管等の生活配線が配設、固定されているときでも、電気配線や水道管等を避けて取り付けることができる。したがって、この耐震補強構造1では、例えば角部Bに電気配線や水道管等が配設されていても、耐震補強具4を電気配線や水道管等を避けて取り付け、結合部Aを容易且つ適切に補強できる。
【0040】
この耐震補強構造1は、図6に示すように、耐震補強具4の連結部13が梁2と柱3との結合部Aを避けて第1の取付部11と第2の取付部12とを連結させていることから、従来のように一本の柱3に複数の梁2を結合させている箇所で梁2が邪魔になって耐震補強具4の取り付け困難になることが無く、容易に耐震補強具4を取り付けることができる。したがって、この耐震補強構造1では、例えば一本の柱3に複数の梁2を結合させている場合でも容易に耐震補強具4を梁2と柱3取り付けることができ、耐震補強具4が取り付けられた梁2と柱3との結合部Aを適切に補強できる。
【0041】
この耐震補強構造1は、図5に示すように、例えば土台6に複数の柱3を略垂直に建て付け、これら複数の柱3を梁2が橋渡したとき、すなわち水平部材と垂直部材とで方形構造体を形成したときに、梁2と柱3との結合部A及び土台6と柱3との結合部A、すなわち四隅に設けられた結合部Aを耐震補強具4で全て補強することにより方形構造体の耐震強度を大幅に向上できる。
【0042】
このとき、対角位置の耐震補強具4は、連結部13にブレース17を例えば螺合部材14等で取り付け、互いに連結させることも可能である。ブレース17は、両端に設けられた平板状をなすブレースシート17aが連結部13に螺合部材14により取り付けられており、このブレースシート17aを基準にして対角位置の耐震補強具4をそれぞれ結合部A側とは反対側に向かって引っ張るように作用する。また、ブレース17は、両端に設けられたブレースシート17aの間に、対角位置の耐震補強具4を結合部A側とは反対側に向かって引っ張る張力を調整する例えばターンバックル等といった張力調整部材20を備えており、所定の張力で耐震補強具4を引っ張ることが可能となる。
【0043】
したがって、耐震補強構造1においては、例えばブレース17の張力調整部材20を調整することで、方形構造体を水平部材及び垂直部材が正確な直交状態にさせることが可能となり、結合部A、螺合部材14、梁2、柱3、土台6、耐震補強具4等に加わる応力を平衡でき、方形構造体に歪み等が発生することを防止できる。
【0044】
上述した耐震補強構造1においては、耐震補強具4を梁2や柱3の側面2c、3cに直接取り付けているが、このことに限定されることはなく、図7に示すように、例えば既存の木造建築等をリフォームする場合、外壁31を介して梁2や柱3の側面2c,3cに取り付けて結合部Aを補強するようにしても良い。この場合、梁2や柱3の側面2c,3cには、図8に示すように、例えば中空筒状をなして内側面に螺旋状の溝部32a、いわゆる雌ねじが設けられた螺合部材31や、略円柱状をなして一方端部の外周面に螺旋状の溝部33a、いわゆる雄ねじが設けられた螺合部材33が外壁31を貫通させた状態で埋め込まれる。すなわち、外壁31には、これら螺合部材32,33を挿通させるための孔部31aが梁2や柱3と対向する位置に設けられる。また螺合部材32,33には、梁2や柱3に埋め込まれる部分の外周面に、軸を中心に回転してしまうことを防止するための外方に突出する回転防止爪32b,33bが設けられる。このため、梁2や柱3には、螺合部材32,33の外径程度の内径を有する螺合部材32,33を軸方向に挿入させるための挿入穴2f、3dが、外壁31の孔部31aと対向する位置に設けられる。また、外壁31の孔部31a及び梁2や柱3に設けられた挿入孔2f、3dは、耐震補強具4の取付部11,13に設けられたボルト14aと挿通させるための孔部11a、12aと対向する位置に設けられる。
【0045】
そして、耐震補強具4を外壁31を介して梁2と柱3に取り付けて結合部Aを補強する際は、先ず、柱3のほぞ孔3aに梁2のほぞ2aを嵌入するピン結合により結合された梁2の側面2c及び外壁31における耐震補強具4の第1の取付部11の孔部11aと対向する位置に、螺合部材32,33の何れかを挿入させるための挿入穴2f及び螺合部材32,33の何れかを挿通させるための孔部31aを一括して形成する。また、柱3の側面2c及び外壁31における耐震補強具4の第2の取付部12の孔部12aと対向する位置にも、梁2と同様にして螺合部材32,33挿入、挿通させるための挿入穴3d及び孔部31aを一括して形成する。
【0046】
次に、梁2に設けられた挿入穴2fには、螺合部材32,33の何れかが外壁31の孔部31aを貫通した状態で挿入され、柱3に設けられた挿入穴3dには、螺合部材32,33の何れかが外壁31の孔部31aを貫通した状態で挿入される。
【0047】
次に、梁2の側面2cには、耐震補強具4の第1の取付部11を外壁31を介して螺合部材14で取り付ける。また、柱3の側面3cには、耐震補強具4の第1の取付部12を外壁31を介して螺合部材14で取り付ける。このとき、挿入孔2f,3dに挿入されたのが螺合部材32の場合は、ボルト14aで螺合して耐震補強具4の取付部11,12を梁2又は柱3に保持させ、挿入孔2f,3dに挿入されたのが螺合部材33の場合は、ナット14bで螺合して耐震補強具4の取付部11,12を梁2又は柱3に保持させる。これにより、耐震補強具4は、梁2と柱3とに外壁31を介して保持されて梁2と柱3との結合部Aを補強することになる。
【0048】
なお、螺合部材32,33においては、挿入孔2f,3dに深く挿入されてしまうことを防止するフランジ部32c,33cが設けられている。また、螺合部材32,33を挿入孔2f,3dに挿入する際には、外壁31に設けられた孔部31aと螺合部材32,33との間の隙間に、例えばゴム、シリコン等の樹脂材料等からなるパッキング34を配設することもできる。これにより、例えば孔部31aより木造建築物の内部に雨等による水の浸入や虫の侵入等を防止することが可能となる。さらに、梁2と柱3とに外壁31を介して取り付けられた耐震補強具4は、外部に剥き出しになっていることから、図示しない化粧カバーで外部に露出している部分を覆うようにしても良い。このように外部に露出する耐震補強具4を化粧カバー等で覆うことで、例えば耐震補強具4が雨、風、紫外線等で劣化することや螺合部材32,33に螺合されたボルト14aやナット14bが緩んで外れることを防止できる。耐震補強具4を覆う化粧カバーは、外壁31の色と同じ色にすることで取り付けられていることを目立たなくできる。
【0049】
また、耐震補強構造1においては、柱3と、柱3に略直交するように結合された梁2との結合部Aを補強する場合を例に挙げて説明しているが、このことに限定されることはなく、図9に示すように、例えば柱3と、柱3に対して略斜めにピン結合された梁2との結合部Aを補強する耐震補強具21にも適用可能である。この場合、耐震補強具21は、第1の取付部22が第2の取付部23に対し、柱3と、柱3に対して略斜めにピン結合された梁2とが成す角度に合わせるように所定の角度を以て配置される。これにより、耐震補強具21は、柱3に対して略斜めにピン結合された梁2及び柱3に、取付部22,23をそれぞれ取り付けることが可能となる。したがって、耐震補強具21でも、柱3に対して略斜めにピン結合された梁2と柱3との結合部Aを適切に補強できる。なお、この場合も、梁2と柱3と耐震補強具21の連結部24とにより囲まれた部分に空間部5が形成されるように、耐震補強具21を梁2及び柱3に取り付ける。
【0050】
上述した耐震補強具4,21は、梁2の側面2cや柱3の側面3cに取り付けられる構造であるが、本発明は係る耐震補強具4の構造に必ずしも限定されるものでないことは勿論である。参考例として図10に示す耐震補強具41は、上述した第1の実施の形態における耐震補強具4の構造に対し、例えば梁2の主面2bや柱3の主面3bに取り付けられる構造になっている。なお、以下の説明では、耐震補強具41が上述した耐震補強具4と同様に、例えば土台、梁、桁又は胴差等の水平部材と、柱等の垂直部材との結合部Aを部分的に補強する補強金具であることから、水平部材及び垂直部材について詳細な説明を省略すると共に図面において同じ符号を付するものとする。また、以下の説明では、耐震補強具41の材質、寸法に関わること等、上述した耐震補強具4と同様の構成にすることで同様の作用効果が得られることから、これらのことについて詳細な説明を省略する。さらに、以下の説明では、耐震補強具41が上述した螺合部材14によって梁2及び柱3に保持され、同様の方法でブレース17が取り付けられることから、螺合部材14及びブレース17についても説明を省略し、図面において同じ符号を付すものとする。
【0051】
耐震補強具41は、梁2に取り付けられる第1の取付部42と、柱3に取り付けられる第2の取付部43と、第1の取付部42と第2の取付部43とを連結する連結部44とを有し、これら取付部42,43と連結部44とが一体形成されたものである。また、耐震補強具41は、連結部44が梁2と柱3との結合部Aを避けて第1の取付部42と第2の取付部43とを連結させていることから、梁2と、柱3と、連結部44とで囲まれた空間部5を形成させる。
【0052】
第1の取付部42は、梁2の柱3を臨む主面2bに当接される平板部42aと、この平板部42aを補強するために平板部42aの短手方向の一端から梁2の主面2bに対して略垂直に突出したリブ部42bとを備え、平板部42aが梁2の主面2bに取り付けられる。具体的に、第1の取付部42は、図11に示すように、梁2の主面2bから反対側の主面2gに貫通する貫通孔2hと相対する位置に孔部42cが設けられ、孔部42c及び貫通孔2hに挿通させたボルト14aにナット14bで螺合することで梁2の主面2bに取り付けられる。なお、第1の取付部42も、上述した耐震補強具4と同様、複数の螺合部材14により梁2に保持される。
【0053】
第2の取付部43は、図10に示すように、柱3の梁2を臨む主面3bに当接される平板部43aと、この平板部43aを補強するために平板部43aの短手方向の一端から柱3の主面3bに対して略垂直に突出したリブ部43bとを備え、上述した第1の取付部42と同様に、複数の螺合部材14等によって柱3の梁2を臨む主面3bに取り付けられる。具体的には、図11に示すように、柱3の主面3bから反対側の主面3eに貫通する貫通孔3fと相対する位置に孔部43cが設けられ、孔部43c及び貫通孔3fに挿通させた螺合部14を係合することで柱3の主面3bに取り付けられる。なお、第2の取付部43も、上述した耐震補強具4と同様、複数の螺合部材14により柱3に保持される。
【0054】
連結部34は、図10に示すように、第1の取付部42の結合部A側の一端42dと第2の取付部43の結合部A側の一端43でとに接続され、結合部Aを避けるようにして第1の取付部42と第2の取付部43とを連結する。また、連結部44も、平板状の平板部44aと、この平板部44aを補強するためのリブ部44bを備えている。なお、連結部44のリブ部44bは、第1の取付部42のリブ部42bと第2取付部43のリブ部43bとを連結させている。
【0055】
この連結部44は、梁2に取り付けられた第1の取付部42と柱3に取り付けられた第2の取付部43とを連結することで、例えば地震等が起こってほぞ孔3aからほぞ2aを抜き取るような図10中矢印A方向の応力が結合部Aに加わったとしても、ほぞ孔3aからほぞ2aが抜かれてしまうことを防止するように作用する。また、連結部44のリブ部44bには、結合部A側とは反対側に向かって耐震補強具31を引っ張るブレース17が上述した耐震補強具4と同じ方法で取り付けられている。
【0056】
以上のような構成の耐震補強具41は、例えば地震等の外力を木造建築物が受けて結合部Aにほぞ孔3aからほぞ2aを抜き取るような応力が加わっても、連結部44の平板部44a及びリブ部44bにより梁2に取り付けられた第1の取付部42と柱3に取り付けられた第2の取付部43とが適切に連結されていることから、結合部Aの梁2と柱3とが離間することを防止する。
【0057】
すなわち、耐震補強構造1では、耐震補強具4の代わりに耐震補強具41を用いて結合部Aを補強しても、上述した作用効果を得ることができる。また、結合部Aを補強するのに耐震補強具41を用いた場合も、空間部5が形成されることから、例えば住宅をリフォームするとき等、角部Bにすでに電気配線等が配設されていても電気配線等を空間部5で避けて耐震補強具41と容易に梁2及び柱3に保持させることが可能であり、耐震補強具41で結合部Aを適切に補強できる。さらに、結合部Aを補強するのに耐震補強具41を用いた場合、連結部44が梁2と柱3との結合部Aを避けて第1の取付部42と第2の取付部43とを連結させていることから、従来のように一本の柱3に複数の梁2を結合させている箇所で梁2が邪魔になって耐震補強具41の取り付けが困難になること無く、容易に耐震補強具41を梁2と柱3に保持できる。すなわち、一本の柱3に複数の梁2を結合させている場合に、耐震補強具41で保持されている梁2と柱3との結合部Aを適切に補強できる。
【0058】
また、耐震補強具41は、図12に示すように、第1の取付部42及び第2取付部43と連結部44との結合位置における梁2の側面2c側から見た輪郭が曲線になるようにしても良い。この場合、耐震補強具41では、第1の取付部42及び第2取付部43と連結部44との結合位置の輪郭が曲線にされることで、例えば地震等による外部からの応力が結合位置に集中することなく分散されることから、結合部Aをより大きな強度で補強できる。
【0059】
さらに、第1の及び第2の実施の形態の形状に限定されることはなく、他の参考例として図13に示す耐震補強具51のように、例えば略筒状に形成されていても上述した第1及び第2の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。この場合、耐震補強具51を梁2及び柱3に取り付けるときに螺合部材14を締め付けるのに用いるドライバ、レンチ等といった締め付け工具等を挿入させるための孔部52や溝部53を設ける必要がある。また、孔部52や溝部53の他に、ブレース17を取り付けるための取付片54を設けても良い。
【0060】
この耐震補強具51では、略筒状をなしていることから、そのもの自体の強度が向上して、例えば第2の実施形態の耐震補強具31よりもさらに大きな強度での結合部Aを補強できる。
【0061】
なお、以上で説明した耐震補強具4,21,41,51は、縦横の土台同士または梁や桁または胴差等によって形成される水平の方形構造体にも適用可能である。また、上述した垂直の方形構造体の補強に加えてこのような水平の方形構造体にも、同様の補強手段を講ずることにより、より堅固な建築物を形成することができる。さらに、以上では、耐震補強具4,21,41,51が土台、梁、桁、胴差等といった木材の水平部材と、柱との結合部Aを補強しているが、このことに限定されることはなく、例えば水平部材としてコンクリート等によって形成された土台と、この土台の上に立てられた柱との結合部を補強する場合にも適用可能である。
【0062】
【発明の効果】
以上で詳細に説明したように、本発明によれば、木造建築物のピン結合により直交して結合された第1の部材と第2の部材との結合部を、従来のような木造の筋かい等を用いることなく、第1の取付部と第2の取付部と連結部とを有する耐震補強具によって剛性の高い補強を適切に行える。すなわち、本発明によれば、例えば地震等の外力を木造建築物が受けて第1の部材と第2の部材との結合部を脱落させるような応力が加わっても、連結部により第1の部材に取り付けられた第1の取付部と第2の部材に取り付けられた第2の取付部とが適切に連結されていることから、結合部における第1の部材と第2の部材とが脱落するのを防止するように結合部を補強できる。
【0063】
本発明によれば、第1の部材と第2の部材との結合部に空間部が形成されていることから、空間部に例えは配線や配管等を配設させた状態で耐震補強具を取り付けることができる。したがって、本発明によれば、例えば住宅をリフォームするとき等、結合部近傍にすでに電気配線等が配設されていても、電気配線等を避けて結合部を適切に補強できる。
【0064】
本発明によれば、連結部が第1の部材と第2の部材との結合部を避けて第1の取付部と第2の取付部とを連結させていることから、従来のように1つの第1の部材に複数の第2の部材を結合させている箇所で第2の部材が相互に邪魔になって耐震補強具の取り付けが困難になることも無く、容易に耐震補強具を取り付けることができる。したがって、本発明によれば、例えば1つの第1の部材に複数の第2の部材を結合させた結合部を適切に補強できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を適用した耐震補強構造の示す斜視図である。
【図2】 同耐震補強構造を示す正面図である。
【図3】 同耐震補強構造を梁の主面側から見た断面図である。
【図4】 同耐震補強構造における耐震補強具の他の例を示す正面図である。
【図5】 同耐震補強具が方形構造体の結合部を補強している状態を示す正面図である。
【図6】 同耐震補強具が柱に複数の梁が結合された結合部を補強している状態を示す斜視図である。
【図7】 同耐震補強具が外壁を介して結合部を補強する状態を示す斜視図である。
【図8】 同耐震補強具が外壁を介して梁や柱に取り付けられている状態を示す断面図である。
【図9】 同耐震補強具が柱と、この柱に略斜めに結合された梁との結合部を補強している状態を示す正面図である。
【図10】 参考例として示す耐震補強構造の斜視図である。
【図11】 同耐震補強構造を梁及び柱の側面側から見た断面図である。
【図12】 同耐震補強構造の他の例を示す斜視図である。
【図13】 参考例として示す他の耐震補強構造の斜視図である。
【図14】 従来の耐震補強具を示す斜視図である。
【図15】 同耐震補強具の他の例を示す斜視図である。
【図16】 同耐震補強具の他の例を示す斜視図である。
【図17】 柱と梁とがなす角部に配線が固定されている状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 耐震補強構造、2 梁、3 柱、4,21,41,51 耐震補強具、5
空間部、6 土台、11,22,42 第1の取付部、12,23,43 第2の取付部、13,24,44 連結部、14,32,33 螺合部材、31 外壁、17 ブレース、20 張力調整部材
Claims (1)
- 厚みが4.5mm以上25mm以下の金属板材により第1の取付部と第2の取付部と連結部を一体に形成した耐震補強具を用いて、ピン結合により直交して結合される第1の部材と第2の部材との結合部を補強する耐震補強構造であり、
上記第1の部材に対して上記結合部側の一端とは反対側の他端が上記結合部を基準にして所定の間隔で並んで設けられた隣り合う上記第2の部材間の距離の5分の1以上2分の1以下の範囲に配置される長さを有し、長さ方向に並んで上記第1の部材に設けた複数の貫通孔と相対して複数の取付孔が設けられて上記第1の部材の側面に取り付けられる上記第1の取付部と、
上記第1の部材に対して所定の間隔を以って結合される上記第2の部材に対して上記結合部側の一端とは反対側の他端が上記結合部を基準にして上記第1の部材間の距離の5分の1以上2分の1以下の範囲に配置される長さを有し、長さ方向に並んで上記第2の部材に設けた複数の貫通孔と相対して複数の取付孔が設けられて上記第1の部材の側面と同一面を構成する上記第2の部材の側面に取り付けられる上記第2の取付部と、
上記第1の取付部の上記第2の部材側の端部と上記第2の取付部の上記第1の部材側の端部とを上記第1の部材と上記第2の部材との上記結合部を避けて略円弧状に連結する上記連結部と
から構成される全体がコーナ部を円弧状とした略L字状の板状部材からなる上記耐震補強具が用いられ、
上記耐震補強具が、相対する上記取付孔と上記貫通孔にそれぞれ嵌挿した螺合部材により、上記第1の取付部を上記第1の部材の側面に取り付けるとともに上記第2の取付部を上記第2の部材の側面に取り付けることにより、上記連結部によって上記結合部を補強するとともに上記第1の部材と上記第2の部材とで囲まれた配線や配管を挿通させる10mm以上100mm以下の空間部を形成することを特徴とする耐震補強構造。
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