JP4142289B2 - 広帯域望遠鏡 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、広帯域望遠鏡に関し、さらに詳細には、広いエネルギー帯域の光が入射する天体観測に用いて好適な広帯域望遠鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、表面に多層膜が形成されて当該多層膜に対応する所定のエネルギーの光のみを高い反射率で反射する反射鏡と、当該反射鏡によって反射された反射光が集光されて所定のエネルギーの光を検出する半導体検出器などの検出器とを有し、所定のエネルギーの光を観測する直入射望遠鏡が知られている。
【0003】
一方、天体観測においては、見かけのエネルギー準位が集団運動および赤方変移でかなり変動するため、静止系で予想されるエネルギー帯域では観測されない。従来の反射鏡の多層膜は、所定のエネルギーの光のみを高い反射率で反射する狭帯域のため、大きく変動する天体での線スペクトルの発見が望めないものである。
【0004】
即ち、上記したような天体観測においては、広いエネルギー帯域の光を観測することができるような望遠鏡が望まれており、特に、極端紫外線からX線の領域においては、複素屈折率が1に近く、δ(=1−n)も消衰係数κも1より十分に小さいために、垂直入射の反射率がバルクで1%にも満たない。また、極端紫外線からX線の領域の光は大気によって吸収されてしまうため、大気圏の外側において観測できる望遠鏡が望まれている。
【0005】
しかしながら、従来の直入射望遠鏡においては、反射鏡の表面に形成されている多層膜が所定のエネルギーの光に対してのみ高い反射率を有するものであるので、当該多層膜が形成された反射鏡によって高い反射率で反射された所定のエネルギーの光しか観測することができず、広いエネルギー帯域の光、例えば、可視光からX線の領域の光を観測することができないという問題点があった。
【0006】
また、従来の直入射望遠鏡においては、1台の望遠鏡では反射鏡の多層膜に応じた所定のエネルギーの光しか観測することができないので、こうした従来の直入射望遠鏡によって広いエネルギー帯域の光を観測するためには、それぞれ異なるエネルギーの光を反射する多層膜が形成された反射鏡を有する複数の直入射望遠鏡を用いる必要がある。その結果、コストアップや複数の直入射望遠鏡を配置するための広いスペースの確保など新たな問題点を生起することとなる。
【0007】
さらに、それぞれ異なるエネルギーの光を反射する多層膜が形成された反射鏡を有するようにして従来の直入射望遠鏡を複数台用いると、当該複数の直入射望遠鏡を制御する必要があり、効率が低下するという問題点があった。
【0008】
一方、斜入射光学系は可視光からX線に領域に関して高い反射率が得られることが知られているが、こうした斜入射光学系は視野が狭く、有効面積が小さいなどの各種の問題点があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記したような従来の技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、直入射光学系と斜入射光学系それぞれの長所の部分を上手く利用し、広いエネルギー帯域の光を観測することができるようにした広帯域望遠鏡を提供しようとするものである。
【0010】
また、本発明の目的とするところは、直入射光学系と斜入射光学系との複合望遠鏡によって、例えば、可視光からX線の領域の広いエネルギー帯域の光それぞれを高い反射率で反射するようにして、コストの低減や省スペース化を図ることができるとともに効率よく広いエネルギー帯域の光を観測することができるようにした広帯域望遠鏡を提供しようとするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載の発明は、入射された光を反射する表面部に光が斜めに入射する斜入射光学系部と、入射された光を反射する表面部に光が略垂直に入射する直入射光学系部と、上記斜入射光学系部の表面部において反射された反射光と上記直入射光学系部の表面部において反射された反射光とが入射され、当該入射された光を分光検出する検出器と、上記斜入射光学系部の表面部において反射された反射光のうち上記直入射光学系部の表面部において反射された反射光より高いエネルギーの光のみを選択的に上記検出器に入射させるフィルターとを有するようにしたものである。
【0012】
従って、本発明のうち請求項1に記載の発明によれば、広いエネルギー帯域の光が斜入射光学系部の表面部と直入射光学系部の表面部とに入射すると、当該広いエネルギー帯域、例えば、可視光からX線の領域の広いエネルギー帯域の光がそれぞれ、斜入射光学系部の表面部と直入射光学系部の表面部とによって高い反射率で反射され、当該斜入射光学系部の表面部と直入射光学系部の表面部とにおいて反射された光が検出器によって分光検出されるので、直入射光学系ならびに斜入射光学系それぞれの長所の部分が上手く利用され、広いエネルギー帯域の光それぞれを観測することができる。
【0013】
そして、直入射光学系と斜入射光学系との共焦点の複合望遠鏡によって、広いエネルギー帯域の光それぞれを高い反射率で反射するので、コストの低減や省スペース化を図ることができるとともに効率よく広いエネルギー帯域の光を同時観測することができる。さらに、直入射光学系部の表面部において反射された反射光に応じて、斜入射光学系部の表面部において反射された反射光のうちの所定のエネルギーの光のみが選択的に検出器に入射するようにできるので、フィルターによって斜入射光学系部と直入射光学系部とのそれぞれから検出器に入射する反射光のエネルギーの範囲を変更することが可能になる。
【0014】
また、本発明のうち請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、上記斜入射光学系部に比べて上記直入射光学系部は内側に位置し、上記検出器は光軸上に位置するようにしたものである。このようにすると、より一層の省スペース化が実現され、望遠鏡全体を小型化することも可能になる。
【0015】
また、本発明のうち請求項3に記載の発明は、回転放物面からなる第1の表面部において入射された光を反射する第1の反射鏡と、回転双曲面からなる第2表面部において上記第1の反射鏡の上記表面部において反射された光を反射する第2の反射鏡とを有する斜入射光学系部と、周期長を深さ方向において連続的に変化させ、真空紫外線から極端紫外線の領域における所定のエネルギーの光をそれぞれ反射するとともに、可視光の領域にわたって全反射による高い反射率を有する多層膜が形成された第3の表面部を有し、当該第3の表面部において入射された光を反射する第3の反射鏡と、上記第3の反射鏡の上記第3の表面部に対応させて、周期長を深さ方向において連続的に変化させ、真空紫外線から極端紫外線の領域における所定のエネルギーの光をそれぞれ反射するとともに、可視光の領域にわたって全反射による高い反射率を有する多層膜が形成された第4の表面部を有し、当該第4の表面部において上記第3の反射鏡の上記第3の表面部において反射された光を反射する第4の反射鏡とを有する直入射光学系部と、上記第2の反射鏡の上記第2の表面部において反射された光と上記第4の反射鏡において反射された光とが入射され、当該入射された光を分光検出する検出器とを有するようにしたものである。
【0016】
従って、本発明のうち請求項3に記載の発明によれば、広いエネルギー帯域の光が、斜入射光学系部の第1の反射鏡の第1の表面部と直入射光学系部の第3の反射鏡の第3の表面部とに入射すると、斜入射光学系部によって、広いエネルギー帯域の光のうち可視光から硬X線の領域の光それぞれが高い反射率で反射され、直入射光学系部によって、広いエネルギー帯域の光のうち可視光から極端紫外線の領域の光それぞれが高い反射率で反射され、当該斜入射光学系部の表面部と直入射光学系部の表面部とにおいて反射された光が検出器によって分光検出されるので、広いエネルギー帯域の光、特に、可視光からX線の領域における光を観測することができる。
【0017】
そして、直入射光学系と斜入射光学系との共焦点の複合望遠鏡によって、広いエネルギー帯域の光それぞれを高い反射率で反射するので、コストの低減や省スペース化を図ることができるとともに効率よく広いエネルギー帯域の光を同時観測することができる。
【0018】
また、本発明のうち請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、上記斜入射光学系部の上記第1の反射鏡と上記第2の反射鏡とにより略円筒状の非球面反射鏡が構成され、当該非球面反射鏡の内径側に上記直入射光学系部は位置し、上記検出器は光軸上に位置するようにしたものである。このようにすると、より一層の省スペース化が実現され、望遠鏡全体を小型化することも可能になる。
【0019】
また、本発明のうち請求項5に記載の発明は、請求項3または請求項4のいずれか1項に記載の発明において、上記斜入射光学系部の表面部において反射された反射光のうち上記直入射光学系部の表面部において反射された反射光より高いエネルギーの光のみを選択的に上記検出器に入射させるフィルターを有するようにしたものである。
【0020】
従って、本発明のうち請求項5に記載の発明によれば、直入射光学系部の表面部において反射された反射光に応じて、斜入射光学系部の表面部において反射された反射光のうちの所定のエネルギーの光のみが選択的に検出器に入射するようにできるので、フィルターによって斜入射光学系部と直入射光学系部とのそれぞれから検出器に入射する反射光のエネルギーの範囲を変更することが可能になる。
【0021】
また、本発明のうち請求項6に記載の発明は、請求項1、請求項2、請求項3、請求項4または請求項5のいずれか1項に記載の発明において、上記検出器は、超伝導トンネル接合素子であるようにしたものである。
【0022】
従って、本発明のうち請求項6に記載の発明によれば、赤外線からX線までの広帯域において高い感度と分光能力とを有する検出器として機能する超伝導トンネル接合素子によって、単一または複数の反射鏡によって反射された広いエネルギー帯域の光それぞれを単一の検出器で分光検出することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明による広帯域望遠鏡の実施の形態を詳細に説明するものとする。
【0024】
図1には、本発明による広帯域望遠鏡の実施の形態の一例を示す概念構成説明図が示されており、図2には、本発明による広帯域望遠鏡の実施の形態の一例を示す概略構成説明図が示されている。
【0025】
本発明による広帯域望遠鏡10は、反射鏡30に光が斜めに入射する斜入射光学系部12と、反射鏡40に光が略垂直に入射する直入射光学系部14と、斜入射光学系部12からの反射光と直入射光学系部14からの反射光とが集光される検出器たる超伝導トンネル接合素子(Superconduting Tunnel Junction:STJ)16とを有して構成されている。
【0026】
なお、図2に示すように本発明による広帯域望遠鏡10は、内部20aが中空な円筒状の本体部20を備えている。この本体部20の一方の端部は略円形形状の底部20bによって閉塞されており、他方の端部は略円形形状の開口部20cで開口している。また、本体部20を前方側20dと後方側20eとに分ける壁部20fと、壁部20fから延設された支持部20gとを有するものである。
【0027】
また、この本体部20の中心軸は、斜入射光学系部12の光学系の中心を通る軸であるとともに直入射光学系部14の光学系の中心を通る軸、即ち、広帯域望遠鏡10の光軸O−O(図2における一点鎖線参照。)に一致しているものである。
【0028】
ここで、斜入射光学系部12は、斜入射望遠鏡において用いられる、所謂、ウォルター(Wolter)I型の略円筒状の非球面反射鏡12cと、本体部20の壁部20fに配設されたフィルター34とを有して構成されている(図3参照)。
【0029】
この非球面反射鏡12cは、本体部20の前方側20dの開口部20c近傍に配設された複数の反射鏡30からなる放物面12aと、本体部20の壁部20f近傍に配設された複数の反射鏡32からなる双曲面12bとにより構成される。
【0030】
放物面12aを構成する複数の反射鏡30はそれぞれ、全体は略円筒状体であり、回転放物面として形成された表面部30aを備えている。一方、双曲面12bを構成する複数の反射鏡32はそれぞれ、全体は略円筒状体であり、回転双曲面として形成された表面部32aを備えている。そして、反射鏡30の表面部30aならびに反射鏡32の表面部32aには、Au(金)またはPt(白金)のコーティングが施されている。
【0031】
そして、複数の反射鏡30それぞれと複数の反射鏡32のそれぞれとが1対1で対応するようにして、光軸O−Oを中心とした同心円状に多重に配設され、本体部20の開口部20c側から放物面12a、双曲面12bの順で位置するようになされている。即ち、放物面12aの反射鏡30の一方の端部30bは、本体部20の開口部20c近傍に位置し、反射鏡30の他方の端部30cと反射鏡32の一方の端部32bとが近接し、反射鏡32の他方の端部32cが本体部20の壁部20f側に位置している。
【0032】
フィルター34は、中央部位に略円形形状の孔34aが穿設された略リング形状体であって、本体部20の壁部20fに配設されて反射鏡32の端部32cの近傍に位置している。このフィルター34は、極端紫外線のエネルギー以下の光を遮断するものである。
【0033】
一方、直入射光学系部14は、斜入射光学系部12の放物面12aと双曲面12bとからなる略円筒状の非球面反射鏡12cの内径側に位置しており、本体部20の前方側20dにおいて支持部20gに支持された反射鏡40と、支持部20gから延設された前方腕部20hに支持された反射鏡42と、支持部20gから延設された後方腕部20iに支持されたフィルター44とを有して構成されている(図4参照)。
【0034】
これら反射鏡40、反射鏡42ならびにフィルター44からなる直入射光学系部14は、斜入射光学系部12の非球面反射鏡12cの内径側において、所謂、カセグレンタイプの望遠鏡を構成している。
【0035】
つまり、主鏡たる反射鏡40の表面部40bと副鏡たる反射鏡42の表面部42aとが対向し、副鏡たる反射鏡42によって光路が折り返されて、主鏡たる反射鏡40の背面部40c側において焦点が結ばれるようになされている。なお、この実施の形態においては、上記焦点が結ばれる位置に、超伝導トンネル接合素子16が配置されている。また、反射鏡40、反射鏡42ならびにフィルター44はそれぞれ、反射鏡40の中心、反射鏡42の中心、ならびにフィルター44の中心が、広帯域望遠鏡10の光軸O−Oに一致するようにして配設されている。
【0036】
反射鏡40は、全体が円形の皿状体40aであり、中心部位には表面部40bと背面部40cとにおいて開口する孔部40dが穿設されている。また、皿状体40aの表面部40bは、孔部40dを中心として凹状に窪んで形成された回転放物面として形成されている(図4ならびに図5(a)(b)参照)。
【0037】
そして、この略リング形状の表面部40bの全領域において、所定の屈折率を有する第1の層40e−1を形成し、当該第1の層40e−1上に当該第1の層40e−1の屈折率とは異なる屈折率を有する第2の層40e−2を積層する。さらに、これら第1の層40e−1と当該第1の層40e−1に積層された第2の層40e−2との2つの層を一組として所定の積層数n(ただし、「n」は正の整数である。)分だけ積層して、表面部40bには多層膜40eが形成されている。
【0038】
具体的には、第1の層40e−1は、例えば、Ni(ニッケル)、Mo(モリブデン)などの重元素によって形成されるものであり、第2の層40e−2は、例えば、C(炭素)、Si(ケイ素)などの軽元素によって形成されるものである。
【0039】
こうして屈折率の異なる薄膜が多層状に重ねられるとともに、1組の第1の層40e−1と第2の層40e−2との膜厚たる周期長dがブラッグ反射を利用するようにして形成されると、この多層膜に入射した光は第1の層40e−1と第2の層40e−2との境界面で反射され、当該第1の層40e−1と第2の層40e−2との境界面で反射された反射光の干渉が生じて、所定のエネルギーの光が高い反射率で反射されることになるものである。
【0040】
ここで、反射鏡40の表面部40bに形成された多層膜40eは、周期長dの異なる多層膜である。つまり、多層膜40eの周期長dが多層膜40eの深さ方向(図5(b)参照)において連続的に変化している。より詳細には、反射鏡40の表面部40bの多層膜40eにおいては、多層膜40eの深さ方向に沿って、表面40eeから遠ざかるほど周期長dが短く、表面40eeに近づくに従って周期長dが長くなるようになされている。
【0041】
従って、図5(b)に示すように、表面40eeから遠い周期長dと、深さ方向における中位の周期長dと、多層膜40eの表面40ee近傍の周期長dとは、周期長d<周期長d<周期長dの関係となる。
【0042】
こうした反射鏡40の表面部40bの多層膜40eの周期長dは、真空紫外線から極端紫外線の領域の所定のエネルギーの光それぞれに対応するようにして多層膜40eの深さ方向において連続的に変化するようになされている。従って、反射鏡40の多層膜40eの異なる周期長d(例えば、周期長d、d、d)それぞれの第1の層40e−1と第2の層40e−2との境界面でブラッグ反射を利用して反射される光のエネルギーが異なるようになる。
【0043】
なお、本明細書においては、当該「周期長dを深さ方向において連続的に変化させた多層膜」を、「スーパーミラー」と適宜称することとする。
【0044】
一方、反射鏡42の表面部42aは凸面で、スーパーミラーにより構成されている。この反射鏡42のスーパーミラーは、反射鏡40の凹面たる表面部40bを構成するスーパーミラーの種類や焦点距離などの各種条件に応じて設計するようになされている。そして、反射鏡42の表面部42aは、反射鏡40の表面部40bにおいて反射された光を、高い反射率で反射するようになされている。
【0045】
なお、反射鏡40の表面部40bならびに反射鏡42の表面部42aにスーパーミラーを形成するには、公知の技術を用いることができ、その成膜装置ならびに成膜方法の詳細な説明は省略することとする。
【0046】
また、フィルター44は、略円盤状体であって、本体部20の後方支持部20iに支持されて、反射鏡40の背面部40c側であって孔部40dの近傍に位置している。このフィルター44は、光量の調節を行うものである。
【0047】
次に、超伝導トンネル接合素子16は、ジョセフソン素子の一種であり、薄い絶縁膜(例えば、アルミナ)を超伝導金属薄膜(例えば、ニオブ)で挟み込んだ構造を有している。
【0048】
当該超伝導トンネル接合素子16は、上記したように斜入射光学系部12からの反射光と直入射光学系部14からの反射光が集光される検出器である。より詳細には、0.3K程度の極低温で動作し、当該超伝導トンネル接合素子16に光が入射すると、当該入射した光のエネルギーは超伝導金属薄膜に吸収される。
【0049】
そして、超伝導トンネル接合素子16の超伝導金属薄膜に入射した光のエネルギーが吸収されると、当該超伝導金属薄膜中のクーパー対の解離とフォノンの発生とが引き起こされる。さらに、発生したフォノンがクーパー対を解離するという過程が10−12秒程度の時間内で生起されることとなる。
【0050】
この際、準粒子が生じ、当該準粒子が量子力学的トンネル効果で絶縁膜を通過することにより、入射した光のエネルギーに比例した電流が発生し、所定の回路系を用いて信号として取り出されて検出器として動作するものである。
【0051】
このように、当該超伝導トンネル接合素子16は、赤外線からX線までの広帯域において高い感度と分光能力とを有する検出器として機能する。
【0052】
具体的に、図6(a)には、超伝導トンネル接合素子16の表面の反射率が示されており、図6(b)には、超伝導トンネル接合素子16の表面の透過率が示されている。これら超伝導トンネル接合素子16の反射率ならびに透過率から明らかなように、当該超伝導トンネル接合素子16の光子の吸収率は95%以上である。
【0053】
また、超伝導トンネル接合素子16は極端紫外線から軟X線の領域における光子の吸収率が非常に高く、上記したようにして光子の吸収により信号を作り出す性質を有する超伝導トンネル接合素子16を用いることにより、可視光から硬X線の領域における光の分光検出が実現されるものである。
【0054】
なお、図7には、超伝導トンネル接合素子16の極端紫外線からX線の領域におけるエネルギー分解能の一例を示すグラフが示されており、図8には、超伝導トンネル接合素子16のX線の領域におけるエネルギー分解能の一例を示すグラフが示されており、図9(a)(b)(c)(d)には、超伝導トンネル接合素子16の軟X線の領域におけるエネルギー分解能の一例を示すグラフが示されており、図9(e)(f)(g)(h)には、超伝導トンネル接合素子16の極端紫外線の領域におけるエネルギー分解能の一例を示すグラフが示されいる。
【0055】
そして、超伝導トンネル接合素子16の前段には、フィルター50が配設されている。フィルター50は略円盤状体であって、赤外線を遮断するものである。このため、フィルター50によって赤外線が遮断され、超伝導トンネル接合素子16に赤外線が入射するようなことはない。従って、超伝導トンネル接合素子16の温度上昇が防止されて良好な動作環境が維持され、より正確な検出結果を得ることができる。
【0056】
また、超伝導トンネル接合素子16に光が入射すると、入射された光のエネルギーに比例した電流が発生するが、こうして発生した電流に基づいて信号を取り出す回路系として、信号レベルに応じた2つの回路系が備えられている。具体的には、主にX線のような高エネルギー用の回路と、主に可視光のような低エネルギー用の回路とが配設されている。
【0057】
以上の構成において、本発明による広帯域望遠鏡10を天体観測に用いると、広いエネルギー帯域の光が、斜入射光学系部12の反射鏡30の表面部30aに斜めに入射されるとともに、直入射光学系部14の反射鏡40の表面部40bに略垂直に入射される。
【0058】
そして、斜入射光学系部12においては、反射鏡30の表面部30aに斜めに入射した広いエネルギー帯域の光のうち、硬X線のエネルギー以下の光が、斜入射光学系部12の非球面反射鏡12cで2回反射される。
【0059】
即ち、斜入射光学系部12の放物面12aを構成する複数の反射鏡30それぞれの端部30b側から広いエネルギー帯域の光が入射すると、反射鏡30の表面部30aに斜めに入射した広いエネルギー帯域の光のうちの硬X線のエネルギー以下の光が、反射鏡30の表面部30aにおいて反射される。そして、反射鏡30の表面部30aにおいて反射された光は、斜入射光学系部12の双曲面12bを構成する複数の反射鏡32それぞれの表面部32aに斜めに入射し、反射鏡32の表面部32aにおいて反射される。
【0060】
こうして反射鏡32の表面部32aにおいて反射された光、即ち、反射鏡30の表面部30aに入射された広いエネルギー帯域の光のうち可視光から硬X線の領域の光がフィルター34に入射する。そして、フィルター34によって極端紫外線のエネルギー以下の光が遮断され、軟X線から硬X線の領域の光がフィルター34を透過して、超伝導トンネル接合素子16に集光される(図10参照)。
【0061】
一方、直入射光学系部14においては、主鏡たる反射鏡40の表面部40bに略垂直に入射した広いエネルギー帯域の光のうち、所定のエネルギーの光それぞれが、エネルギーの大きさに応じて反射鏡40の表面部40bの多層膜40eを深さ方向に透過し、対応するの周期長dの第1の層40e−1と第2の層40e−2との境界面で反射される。
【0062】
そして、当該第1の層40e−1と第2の層40e−2との境界面で反射された反射光の干渉が生じて、その結果、入射された広いエネルギー帯域の光のうちの真空紫外線から極端紫外線の領域の光それぞれが、高い反射率で反射される。
【0063】
一方、当該真空紫外線から極端紫外線の領域よりもエネルギーの低い可視光の領域の光はそれぞれ、反射鏡40の表面部40bの多層膜40eの表面40eeによって全反射(鏡面反射)により高い反射率で反射される。
【0064】
その結果、反射鏡40の表面部40bの反射率は、多層膜40eの所定の周期長dの第1の層40e−1と第2の層40e−2との境界面それぞれの反射率との多層膜40eの表面40eeの反斜率とが重ね合わされた反射率となる(図10参照)。従って、反射鏡40の表面部40bによって、入射された広いエネルギー帯域の光のうちの可視光から極端紫外線の領域の光それぞれが、高い反射率で反射されることになる。
【0065】
こうして反射鏡40の表面部40bを構成するスーパーミラーによって反射された光は、副鏡たる反射鏡42の表面部42aを構成するスーパーミラーによって反射される。
【0066】
ここで、反射鏡42の表面部42aを構成するスーパーミラーは、反射鏡40の表面部40bにおいて反射された光を高い反射率で反射するように、反射鏡40の表面部40bを構成するスーパーミラーに応じて設計されている。このため、反射鏡40の表面部40bに入射された広いエネルギー帯域の光のうち、反射鏡40の表面部40bによって高い反射率によって反射された可視光から極端紫外線の領域の光それぞれが、反射鏡42の表面部42aにおいて高い反射率で反射される。
【0067】
そして、反射鏡42の表面部42aで反射された光、即ち、反射鏡40の表面部40bに入射された広いエネルギー帯域の光のうち可視光から極端紫外線の領域の光それぞれが、反射鏡40の孔部40dを通り抜けて、フィルター44を透過して、超伝導トンネル接合素子16に集光される。
【0068】
こうして、広帯域望遠鏡10に入射した広いエネルギー帯域の光のうち、斜入射光学系部12からの反射光である軟X線から硬X線の領域の光と、直入射光学系部14からの反射光である可視光から極端紫外線の領域の光とが、超伝導トンネル接合素子16に集光されて入射されると、上記したようにして入射された光のエネルギーに比例した電流が発生する。
【0069】
この際、斜入射光学系部12からの反射光である軟X線から硬X線の領域の光に基づいて電流が発生すると、高エネルギー用の回路で信号が取り出され、直入射光学系部14からの反射光である可視光から極端紫外線の領域の光に基づいて電流が発生すると、低エネルギー用の回路で信号が取り出されて、可視光から硬X線の領域における光の分光検出が行われる。
【0070】
上記したようにして、本発明による広帯域望遠鏡10においては、非球面反射鏡12cを有する斜入射光学系部12と、可視光から極端紫外線の領域における光に対応するスーパーミラーが形成された反射鏡40を有する直入射光学系部14と、赤外線からX線までの広帯域において高い感度と分光能力とを有する超伝導トンネル接合素子16とを有するようにしたので、直入射光学系ならびに斜入射光学系それぞれの長所の部分が上手く利用され、直入射光学系と斜入射光学系との共焦点の複合望遠鏡である単一の望遠鏡によって、可視光から硬X線の領域の広いエネルギー帯域の光がそれぞれ高い反射率で反射されて、超伝導トンネル接合素子16によって分光検出される。
【0071】
このため、本発明による広帯域望遠鏡10においては、広いエネルギー帯域の光、特に、可視光からX線の領域における光を観測することができる。
【0072】
また、本発明による広帯域望遠鏡10においては、単一の望遠鏡、即ち、直入射光学系と斜入射光学系との共焦点の複合望遠鏡によって、可視光から硬X線の領域の広いエネルギー帯域の光を高い反射率で反射するので、複数の望遠鏡を用いる必要がなくなり、コストの低減や省スペース化を図ることができるとともに効率よく広いエネルギー帯域の光を同時観測することができる。
【0073】
さらにまた、本発明による広帯域望遠鏡10においては、単一の望遠鏡によって可視光から硬X線の領域の広いエネルギー帯域の光を高い反射率で反射するので、斜入射光学系部12からの反射光と直入射光学系部14からの反射光とが集光される超伝導トンネル接合素子16は1つ配設すればよく、コスト低減を図ることができるとともに当該超伝導トンネル接合素子16を冷却する冷却装置が1つで済むので、天体観測に際して当該広帯域望遠鏡10が搭載される天体衛星などにおいて、より一層の省スペース化を実現することができる。
【0074】
なお、斜入射光学系部12の非球面反射鏡12cの開口部(即ち、反射鏡30の端部30b側)の背面側、ならびに、直入射光学系部14の主鏡たる反射鏡40の背面側に超伝導トンネル接合素子16が配設されるので、超伝導トンネル接合素子16を冷却する冷却装置などの冷却系の組み込みが容易になる。
【0075】
また、本発明による広帯域望遠鏡10は、所謂、ウォルターI型の斜入射望遠鏡において非球面反射鏡の内径側に形成されてしまう略円柱状のデッドスペースに、直入射光学系部を配設するようにして構成することができる。このため、広帯域望遠鏡全体の小型化が容易であり、その際、斜入射望遠鏡における設計ノウハウなどを利用することもできる。
【0076】
そして、直入射光学系部14においては、主鏡たる反射鏡40と副鏡たる反射鏡42との2つの鏡面により、収差補正を行うことができる。また、超伝導トンネル接合素子16は赤外線からX線までの1光子分光検出が可能な検出器であるため、斜入射光学系部12と直入射光学系部14との観測視野が異なっていても分別して識別することができる。
【0077】
なお、上記した実施の形態は、以下の(1)乃至(7)に説明するように変形することができる。
【0078】
(1)上記した実施の形態においては、斜入射光学系部12のフィルター34が極端紫外線のエネルギー以下の光を遮断するものであって、反射鏡40の表面部40bの多層膜40eの周期長dは、真空紫外線から極端紫外線の領域の所定のエネルギーの光それぞれに対応するようにしたが、これに限られるものではないことは勿論である。
【0079】
例えば、フィルター34を軟X線のエネルギー以下の光を遮断するように変更し、反射鏡40の表面部40bの多層膜40eの周期長dは、真空紫外線から軟X線の領域の所定のエネルギーの光それぞれに対応するように変更してもよい。その結果、斜入射光学系部12においては硬X線のエネルギー以下の光が反射されているので、斜入射光学系部12と直入射光学系部14との合成反射率は図10とは異なり、図11に示すようになる。
【0080】
このように、直入射光学系部14からの反射光より高いエネルギーの光のみを選択的に透過するようにしてフィルター34を変更すると、フィルターによって斜入射光学系部と直入射光学系部とのそれぞれに割り当てられるエネルギーの範囲を変更することが可能になる(図10ならびに図11参照)。
【0081】
また、上記した実施の形態においては、フィルター44は光量の調節を行うようにしたが、これに限られるものではないことは勿論であり、フィルター44は直入射光学系部14からの反射光の光量調節やバンド選択に用いるようにしてもよい。あるいは、フィルター44を配設しないようにして、直入射光学系14の構成を簡潔化するようにしてもよい。
【0082】
(2)上記した実施の形態においては、斜入射光学系部12の反射鏡30の表面部30aならびに反射鏡32の表面部32aには、Au(金)またはPt(白金)の成膜がなされるようにしたが、これに限られるものではないことは勿論であり、反射鏡30の表面部30aならびに反射鏡32の表面部32aに、多層膜あるいはスーパーミラーを形成するようにしてもよい。このようにすると、硬X線まで高い反射率を維持することができる。
【0083】
(3)上記した実施の形態において、直入射光学系12のスーパーミラーにより構成される反射鏡40と反射鏡42との最上層、例えば、反射鏡40の場合には図5(b)に示す表面部40bの多層膜40eの最上層である表面40eeに、Ptなどのトップコーティングを施すようにしてもよい。このようにすると、真空紫外線から極端紫外線の領域よりもエネルギーの低い可視光の領域の光の反射率をさらに向上させることができる。
【0084】
また、スーパーミラーの周期長dの変化なども、上記した実施の形態に限られることなしに、観測上、特定の波長が意味をなさない場合などは、そうした特定の波長を除くようにし、必要な波長にのみ対応するようにして周期長dを変化させるようにしてもよい。
【0085】
さらに、上記した実施の形態においては、直入射光学系12の反射鏡40の表面部40bの全域において同一のスーパーミラーが形成されるように、即ち、反射鏡40には1種類のスーパーミラーが形成されるようにしたが、これに限られるものではないことは勿論であり、反射鏡40の表面部40bを複数の領域に区分し、当該区分毎に異なる種類のスーパーミラーを形成するようにしてもよい。この際、反射鏡40のスーパーミラーの種類に応じて反射鏡42のスーパーミラーの変更を行うようにするとよい。
【0086】
(4)上記した実施の形態における斜入射光学系部12の反射鏡30ならびに反射鏡32や直入射光学系部14の反射鏡40ならびに反射鏡42の大きさや曲率など、あるいは、本体部20の大きさや構成などは、当該反射鏡30,32,40,42の観測対象や、搭載される観測衛星のスペースなどに応じて寸法設定すればよい。
【0087】
なお、例えば、図12ならびに図13に示すように、本発明による広帯域望遠鏡を観測衛星に搭載し、本発明による広帯域望遠鏡を第1ラグランジュ点(図12に示すL1参照)に位置させ、地球周辺の宇宙プラズマ観測を行う場合には、具体的な寸法設定などの各種変更を行うようにすればよい。
【0088】
また、斜入射光学系部12の非球面反射鏡12cを構成する反射鏡30ならびに反射鏡32それぞれの枚数は、所謂、ウォルターI型の斜入射望遠鏡の非球面反射鏡の放物面を構成する反射鏡ならびに双曲面を構成する反射鏡の総数に比べて少なくしてもよい。つまり、斜入射光学系部12の非球面反射鏡12cの内径側に位置する直入射光学系部14の大きさや位置に応じて、反射鏡30や反射鏡32の枚数を調整して斜入射光学系部12の内径側のスペースを変更するようにするとよい。
【0089】
さらに、上記した実施の形態においては、斜入射光学系部12に斜入射望遠鏡において用いられる所謂ウォルターI型の略円筒状の非球面反射鏡を配設するようにしたが、これに限られるものではないことは勿論であり、ウォルターI型の非球面反射鏡とは異なる種類の反射鏡を配設するようにしてもよい。
【0090】
(5)上記した実施の形態において、超伝導トンネル接合素子16の特性から、X線から可視域までの光を同時に検出する際には、エネルギーの高い光が作り出すフォノンイベントにより、低エネルギー側の光のイベントを埋もれさせてしまう可能性がある。
【0091】
このため、X線、軟X線、極端紫外線、紫外線、可視光線をそれぞれ選択するためのバンドパスフィルターを配設するようにすると、X線から可視光の領域における光の分光検出を一層確実に行うことができる。
【0092】
この際、X線から真空紫外線については、物質の吸収構造を利用した薄膜フィルター、例えば、Al/C(アルミニウム/カーボン)金属薄膜フィルターを用いることができ(図14(a)(b)参照)、真空紫外線から可視光線については、物質の吸収構造を利用したフィルターや干渉を利用したバンドパスフィルターなどを用いることができる。
【0093】
また、こうしたバンドパスフィルターを用いることなしに、超伝導トンネル接合素子16に反射光が入射して検出される電気信号の立ち上がり時間により、X線、軟X線、極端紫外線、紫外線、可視光線のそれぞれのイベントとフォノンイベントを分離するようにしてもよい。
【0094】
このようにすると、X線から可視域までの光を一層確実に同時検出することができる。
【0095】
さらに、超伝導トンネル接合素子16の前段に配設するフィルターとして、超伝導トンネル接合素子16に入射する光量調節用のフィルターを用いるようにしてもよい。
【0096】
(6)上記した実施の形態において、さらに、超伝導トンネル接合素子16を複数用いて分光イメージングを行うようにしてもよく、その際には、各種回路系の変更等を行うようにすればよい。
【0097】
(7)上記した実施の形態ならびに上記(1)乃至(6)に示す変形例は、適宜に組み合わせるようにしてもよい。
【0098】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように構成されているので、直入射光学系と斜入射光学系それぞれの長所の部分を上手く利用して、広いエネルギー帯域、例えば、可視光からX線の領域の光を観測することができるという優れた効果を奏する。
【0099】
また、本発明は、以上説明したように構成されているので、直入射光学系と斜入射光学系との複合望遠鏡によって、例えば、可視光からX線の領域の広いエネルギー帯域の光それぞれを高い反射率で反射するようになり、コストの低減や省スペース化を図ることができるとともに効率よく広いエネルギー帯域の光を観測することができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による広帯域望遠鏡の実施の形態の一例を示す概念構成説明図である。
【図2】本発明による広帯域望遠鏡の実施の形態の一例を示す概略構成説明図である。
【図3】本発明による広帯域望遠鏡の斜入射光学系部を中心に示した斜視説明図である。
【図4】本発明による広帯域望遠鏡の直入射光学系部を中心に示した斜視説明図である。
【図5】(a)は、本発明による広帯域望遠鏡の直入射光学系部の主鏡である反射鏡の表面部を中心に示す説明図であり、(b)は、(a)におけるA−A線断面図の一部拡大説明図である。
【図6】(a)は、超伝導トンネル接合素子の表面の反射率を示すグラフであり、(b)は、超伝導トンネル接合素子の表面の透過率を示すグラフである。
【図7】超伝導トンネル接合素子の極端紫外線からX線の領域におけるエネルギー分解能の一例を示すグラフである。
【図8】超伝導トンネル接合素子のX線の領域におけるエネルギー分解能の一例を示すグラフである。
【図9】(a)(b)(c)(d)は、超伝導トンネル接合素子の軟X線の領域におけるエネルギー分解能の一例を示すグラフであり、(e)(f)(g)(h)は、超伝導トンネル接合素子の極端紫外線の領域におけるエネルギー分解能の一例を示すグラフである。
【図10】本発明による広帯域望遠鏡の実施の形態の一例における斜入射光学系部と直入射光学系部の合成反射率特性を示すグラフである。
【図11】本発明による広帯域望遠鏡の実施の形態の他の例における斜入射光学系部と直入射光学系部の合成反射率特性を示すグラフである。
【図12】本発明による広帯域望遠鏡を位置させる第1ラグランジュ点(L1)を示す説明図である。
【図13】本発明による広帯域望遠鏡の具体的な寸法設定などの一例を示す説明図である。
【図14】(a)(b)は、Al/C(アルミニウム/カーボン)金属薄膜フィルターの透過率を示すグラフである。
【符号の説明】
10 広帯域望遠鏡
12 斜入射光学系部
12a 放物面
12b 双曲面
12c 非球面反射鏡
14 直入射光学系部
16 超伝導トンネル接合素子
20 本体部
20a 内部
20b 底部
20c 開口部
20d 前方側
20e 後方側
20f 壁部
20g 支持部
20h 前方腕部
20i 後方腕部
30,32 反射鏡
30a,32a 表面部
30b,30c,32b,32c 端部
34,44,50 フィルター
34a 孔
40,42 反射鏡
40a 本体部
40b,42a 表面部
40c 背面部
40d 孔部
40e 多層膜
40e−1 第1の層
40e−2 第2の層
40ee 表面

Claims (6)

  1. 入射された光を反射する表面部に光が斜めに入射する斜入射光学系部と、
    入射された光を反射する表面部に光が略垂直に入射する直入射光学系部と、
    前記斜入射光学系部の表面部において反射された反射光と前記直入射光学系部の表面部において反射された反射光とが入射され、該入射された光を分光検出する検出器と
    前記斜入射光学系部の表面部において反射された反射光のうち前記直入射光学系部の表面部において反射された反射光より高いエネルギーの光のみを選択的に前記検出器に入射させるフィルターと
    を有する広帯域望遠鏡。
  2. 請求項1に記載の広帯域望遠鏡において、
    前記斜入射光学系部に比べて前記直入射光学系部は内側に位置し、前記検出器は光軸上に位置するもの
    である広帯域望遠鏡。
  3. 回転放物面からなる第1の表面部において入射された光を反射する第1の反射鏡と、回転双曲面からなる第2表面部において前記第1の反射鏡の前記表面部において反射された光を反射する第2の反射鏡とを有する斜入射光学系部と、
    周期長を深さ方向において連続的に変化させ、真空紫外線から極端紫外線の領域における所定のエネルギーの光をそれぞれ反射するとともに、可視光の領域にわたって全反射による高い反射率を有する多層膜が形成された第3の表面部を有し、該第3の表面部において入射された光を反射する第3の反射鏡と、前記第3の反射鏡の前記第3の表面部に対応させて、周期長を深さ方向において連続的に変化させ、真空紫外線から極端紫外線の領域における所定のエネルギーの光をそれぞれ反射するとともに、可視光の領域にわたって全反射による高い反射率を有する多層膜が形成された第4の表面部を有し、該第4の表面部において前記第3の反射鏡の前記第3の表面部において反射された光を反射する第4の反射鏡とを有する直入射光学系部と、
    前記第2の反射鏡の前記第2の表面部において反射された光と前記第4の反射鏡において反射された光とが入射され、該入射された光を分光検出する検出器と
    を有する広帯域望遠鏡。
  4. 請求項3に記載の広帯域望遠鏡において、
    前記斜入射光学系部の前記第1の反射鏡と前記第2の反射鏡とにより略円筒状の非球面反射鏡が構成され、該非球面反射鏡の内径側に前記直入射光学系部は位置し、前記検出器は光軸上に位置するもの
    である広帯域望遠鏡。
  5. 請求項3または請求項のいずれか1項に記載の広帯域望遠鏡において、
    前記斜入射光学系部の表面部において反射された反射光のうち前記直入射光学系部の表面部において反射された反射光より高いエネルギーの光のみを選択的に前記検出器に入射させるフィルター
    を有する広帯域望遠鏡。
  6. 請求項1、請求項2、請求項3、請求項4または請求項のいずれか1項に記載の広帯域望遠鏡において、
    前記検出器は、超伝導トンネル接合素子である
    広帯域望遠鏡。
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