JP4140811B2 - 対象物の面合わせ・調心装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は対象物の面合わせ・調心装置に関するものである。とりわけ、光部品同士をステージ部上で面合わせや調心を行うために用いる対象物の面合わせ・調心装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
対象物の被調整位置を、その対象物に接続等される部材と面合わせや調心を行う場合には、一般に、ステージ部に対象物を保持しておき、ステージ部の位置、傾きを変えながら行っている。特に、対象物が光部品等の場合には、面合わせや調心にミクロンオーダーの高精度が要求されるため、従来からさまざまな対象物の面合わせ・調心装置が提案されている。
【0003】
例えば、特開2000−180658号公報には、光部品の調心装置の技術が開示されている。この従来技術は、直線移動三軸と回転移動三軸の合計六軸の自由度を備えた装置であり、六軸を制御することによりどのような形態の光部品でも高精度に調心が行えるというものである。確かに、この従来技術は六軸を制御しているためあらゆる位置、角度に対象物同士を調整して調心できる。しかし、合計六軸制御してこの被調整位置をその対象物に接続等される部材と面合わせや調心を行うことは、装置が複雑となるばかりでなく、六軸の制御が非常に複雑となってしまうという問題があった。しかも、各軸部自体や軸受け部に負荷がかかるので、摩耗や変形などによって面合わせや調心の精度が低下する問題があった。
【0004】
一方、直線移動軸や回転移動軸の制御をすることなく光部品同士を面合わせする技術も開示されており、例えば、特開2001−66484号公報に記載された技術が挙げられる。この従来技術は、光部品のうち一方を球面状の内部空間に供給される流体により移動・回転自在な球面体を有するジンバル機構により保持しておき、ジンバル機構が内部空間内で自在に傾きを変えながら光部品同士の面合わせや調心を行うものである。この従来技術では、球面体を有するジンバル機構によって複数の軸を制御することなしに任意に光部品の被調整位置の傾きを調整できる利点はあるものの、ジンバル機構の固定は、内部空間に供給される流体の圧力を減圧させて内部空間の片方にジンバル機構を押し付けて行うため、光部品の被調整位置がずれてしまう問題があった。
【0005】
このため、上記の従来技術では弾性機構の復元力によって光部品の被調整位置のずれを復元しなければならず、面合わせや調心の精度に少なからず悪影響を及ぼしてしまう。また、ジンバル機構の移動・回転には流体の供給が必ず必要なため、装置が複雑化してしまう問題もあった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、斯かる実情に鑑み、対象物の被調整位置がずれることのない対象物の面合わせ・調心装置を提供しようとするものである。また、簡単な機構で高精度の面合わせや調心が行える対象物の面合わせ・調心装置を提供することを目的とするものである。さらに、面合わせなどで光部品に荷重をかけた場合であっても、当該加重による変形や摩耗性が少ない、いわゆる耐荷重性の高いステージ構造を有する装置を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明によれば、対象物の被調整位置を、その対象物に接続等される部材と面合わせや調心を行う装置のステージ手段であって、前記対象物を配置するステージ部と、該ステージ部を下部から支承する基台部とを備え、前記ステージ部は、その下面部に、前記被調整位置を中心とする球面状の外形が形成された球面状外形部を有し、前記基台部は、前記ステージ部の前記球面状外形部を支承する受け部を有し、前記ステージ部が、前記球面状外形部に沿って移動可能に保持されており、前記受け部は、前記ステージ部の前記球面状外形部を下方から支承する少なくとも三つ以上の支持部を備え、前記支持部は、前記球面状外形部の水平接線方向への水平移動可能に構成されると共に、前記球面状外形部の水平接線方向を軸とする回転移動とが可能なロール状支持部で構成されている、ことを特徴とする対象物の面合わせ・調心装置を提供する。
【0008】
本発明の対象物の面合わせ・調心装置は、大きく二つの部位を有しており、ステージ部と基台部とを備えている。本発明におけるステージ部とは、対象物が配置されるように構成されたものを含むものであれば良く、その対象物を固定した状態で保持するように構成されたものである。さらに、基台部とは、このステージ部を下部から支承する構成のものであって、ステージ部の荷重が加わる部分を含む概念のものである。
【0009】
つまり、本発明においてステージ部は対象物が配置できれば全て該当するものであり、例えば、表面が平坦な円板形状で構成されて、その平坦部に対象物を直接配置するものや、取付部を別に備えステージ部と一体で可動するものであってもよく、例えば、表面に凹凸のある矩形状の板の上面に対象物取り付け用の部材(取付部)を設けたものであっても、この取付部を含めて本発明におけるステージ部に該当するものである。
【0010】
また、基台部は、基本的にはステージ部を下部から支承するものであれば全て本発明の基台部に含まれ、例えば、ステージ部の球面状外形部(下部)に対抗する形状の受け部、例えば、上方に開放した凹球面状の受け部を備えたもので、ステージ部を下部から支承するものがある。
【0011】
さらに、本発明のステージ部は、その下面部に対象物の被調整位置を中心とする球面状の外形が形成された球面状外形部を有した構成となっている。即ち、ステージ部に対象物を配置して、その対象物の被調整位置(つまり、その対象物が他の部材と接続等される接続位置)を中心とする球面状の外形がステージ部の下面部に形成されていれば、全て本発明における球面状外形部となる。
【0012】
なお、ステージ部の球面状外形部(下部)は、全ての部分が球面形状である必要はなく、少なくとも基台部に支承される当接部が球面状外形の一部を構成するものであれば良く、当接部以外の部分は、必ずしも球面状外形でなくてもよい。
【0013】
例えば、ステージ部の下面部全体が一様に対象物の被調整位置を中心とする球面を形成したもの(半球状のものがステージ部の下面に取り付けられたような状態)であっても、本発明の球面状外形部となる。また、下面部全体に一様に形成された球面の下方部を水平に切断して、ステージ部の下面部の一部分のみが、対象物の被調整位置を中心とする球面状の一部を帯状に円周方向に切り取った状態のものとなっていても本発明においては球面状外形部に該当する。或いは、前記半球面状の一部分のみを抽出したような形状で、例えば、円周方向に所定の間隔を開けて間隔をあけて部分的に球面状部分が存在するように形成されたものであっても本発明においては球面状外形部に該当する。
【0014】
加えて、本発明の基台部は、前記ステージ部の前記球面状外形部を支承する受け部を有しており、この受け部を有することによって前記ステージ部が前記球面状外形部に沿って移動可能に保持される。
【0015】
さらに、基台部の受け部も、例えばステージ部の球面状外形部が半球形状部分であったとしても、それに対抗するような凹球面の半球形状のものであっても、そのような凹球面状の一部分のみで構成されていても良いし、逆に、受け部自体の形状は凹半球形状でなくても、少なくとも受け部の支承部が、それぞれ、前記ステージ部の球面状外形部に沿った位置に配設されていれば良い。
【0016】
即ち、本発明の受け部は、ステージ部の下面部の球面状外形部を支承する役割を果たすと共に球面状外形部に沿ってステージ部が移動可能となる構成のもの全てを含む概念のものである。
【0017】
そして、ステージ部がその球面状外形部を備えており、その球の中心位置を基準にして前記球面状外形部に沿った自由な移動が確保できるものであれば、そのステージ部の構成とそれを受ける基台部の構成とに該当するものである。
【0018】
このように構成されることにより、本発明の対象物の面合わせ・調心装置において、ステージ部は、受け部を有する基台部に下部から支承されて球面状外形部に沿った自由な移動が可能となる。このとき、球面状外形部は対象物の被調整位置を中心とする球面状の外形を形成しているので、被調整位置に対してある方向に力を加えるとステージ部は球面状外形部に沿って移動(傾き変化)し、その移動の軌跡はステージ部に配置された対象物の被調整位置を中心として描いた球の軌跡と一致する。よって、対象物の被調整位置自体は全く位置を変えることなく、常に同じ位置を維持するのである。
【0019】
従って、対象物を他の部材と接続等するときに、ステージ部が球面状外形部に沿って移動して対象物の被調整位置(角度他)を微調整しながら接続等される部材との間で相対接続部位が合致するように面合わせや調心を行うが、この間対象物の被調整位置は前記球面状外形部の中心位置で動かないので、角度(傾き)のみを変更できるため、高精度で面合わせや調心を行うことができる。なお、ステージが載置される基台部ごと上下方向や水平面内での方向へ移動することで、対象物の位置自体も空間的に変化させることが可能であるのは言うまでもない。
【0020】
即ち、この発明によれば、対象物の角度(傾き)の変化に際して、被調整位置がずれないため、ずれを復元する機構を備える必要がなく、しかも、多軸制御によってステージ部の向きを調整する必要もないため、装置自体の構造が非常に簡素化でき、小型化、低コスト化にも寄与することとなる。
【0021】
請求項1に記載の発明において、前記受け部は、前記ステージ部の前記球面状外形部を下方から支承する少なくとも三つ以上の支持部を備えていることを特徴とするものである。
【0022】
即ち、本発明では、受け部は少なくとも三つ以上の支持部を備えているため、ステージ部の球面状外形部を複数の支持部で安定して支えることが可能となる。なお、本発明において支持部は最低限三つあれば、球面状外形部を三点支持して安定状態を十分確保できるが、三つ以上支持部を有してもよいのは勿論である。
【0023】
また、少なくとも三つ以上の支持部でステージ部を支承しているから、ステージ部に配置された対象物が他の部材と接続等されるときに大きな荷重が掛かっても、従来技術のようなステージ部の回動軸が荷重を受けるものに比べて遥かに大きな荷重に耐え得ることが可能となる。即ち、耐荷重性が大幅に向上したものとなっている。
【0024】
なお、受け部に支持部を配置する場合には、同心円上に均等に配置するのが望ましい。全ての支持部が均等に球面状外形部を支承できるからである。この理由により、例えば支持部材が三つの場合には、受け部に同心円上に約120度間隔で配置するのがよい。ただし、前記球面状外形部に沿って自由に移動できる構成であれば、これらに限定されるものではないことは言うまでもない。
【0025】
以上に述べた支持部の具体的構成としては、例えば、以下に述べるようなロール状の支持部でも良いし、ボール軸受けのような構成でも良いが、線接触になる前者の方が、点接触になる後者よりも強度的に優れていて、精度的にも安定する。ただし、精度の高いボール軸受けを用いた場合は、精度的な差は問題にならない。
【0026】
請求項1に記載の発明において、前記支持部は、前記球面状外形部の水平接線方向への水平移動可能に構成されると共に、前記球面状外形部の水平接線方向を軸とする回転移動とが可能なロール状支持部で構成されていることを特徴とするものである。
【0027】
また、ボール軸受けを用いる場合には、ステージの球面状外形部を部分的(例えば、ボール軸受け部の配設部のみ又はその周辺部のみ)に構成した位置にボール軸受けを配置し、それを基台部の受け部として、前記と同様な凹球面部に構成しても同様な作用効果が得られるので、その場合も、本件発明に該当するものとなる。
【0028】
本発明の支持部は、基台部の受け部に設けられた軸方向に対して回転可能で、かつ、軸方向へ平行移動も可能なロール状の支持部からなるものである。このロール状支持部の回転軸は、ステージ部の下面部に形成された球面状外形部の水平接線方向へ配設されたものである。これにより、ロール状支持部自体が軸方向に水平移動するので、そこに支承されているステージ部も水平方向への移動(球中心とステージ中心を結んだ中心を軸とする回転移動)が可能になる。
【0029】
さらに、ロール状支持部で構成されているので、そのロール部が軸回転することで、そこに支承されているステージ部は、前記球面状外形部に沿った垂直方向の移動が可能となる。そして、これらの複数の支持部における軸回転と軸方向の相互の移動可能な状態の組み合わせの作用で、ステージ部の球面状外形部に沿った自由な移動が確保されている。
【0030】
ちなみに、ステージ部の下面部を三つ以上の支持部で下方から支承しても、各支持部で球面状外形部の水平接線方向へ移動する方向成分が全くないと、球面状外形部に沿ったスムーズ(自由)な移動は確保されない。例えば、前記水平接線方向を軸とする単純ロール部(軸方向の水平移動無し)のもので、支持した場合には、そのロール部の回転方向に正確に沿った移動の場合はスムーズであるが、各支持部のロールの回転方向とは異なる移動方向の場合には、いずれかの支持部のロールに横方向(水平方向)の移動成分が発生し、それを許容しないと移動抵抗となって、スムーズな移動が確保できないものとなる。即ち、球面状外形部を支承する各支持部の水平移動が可能なものでない場合には、各支持部での支承状態が、互いにステージ部の水平方向への移動を拘束してしまい、ステージ部の水平移動が滑らかでない場合も生じてしまう。
【0031】
そこで、本発明の支持部は、球面状外形部の水平接線方向を軸とする回転移動が可能なロール状支持部が、更に軸方向への水平移動も可能な構成としている。つまり、ロール状支持部で構成された各支持部が球面状外形部の水平接線方向に水平移動すると共に、球面状外形部の水平接線方向を軸として回転移動して、ステージ部は滑らかに水平方向への移動も可能となるのである。
【0032】
より詳細には、ロール状支持部で構成された支持部は球面状外形部を支承しているから、ステージ部が一つの支持部回転方向に沿って移動すると、他の支持部は前記一つの支持部と180度の位置関係にあれば、単に回転移動だけを行うが、その他の位置にある場合には、回転移動と共に、水平方向への移動成分(支持反力)が生ずることになるので、この球面状外形部に沿って他の支持部では水平接線方向の水平移動を許容すれば、スムーズな移動が確保できる。
【0033】
言い換えれば、このとき、他の支持部では、ロールの回転方向の移動成分と、軸方向の移動成分とが生ずる移動状態となるので、前記他のロール状支持部では、球面状外形部に沿って水平接線方向を軸とする回転移動が行われると同時に、ステージ部がある方向へ水平移動するように水平方向への力も加わるので、球面状外形部に沿って水平接線方向の水平移動するように作用し、その力をロール状軸受け部の軸方向への移動で受けるので、移動抵抗となりにくい。このように、本発明の支持部では、前記球面状外形部に沿った色々な方向への移動に関して、ロールの回転方向と軸方向への移動を許容することで、球面状外形部に沿った自由で且つスムーズな移動を許容するものとなっている。
【0034】
これにより、ステージ部が前記球面外形部に沿って水平方向への移動成分を有するような移動を行っても、互いの支持部がステージ部の移動を拘束することがなく、ステージ部は前記水平方向への移動成分も許容して移動する。このとき、ロール状支持部で構成された支持部は球面状外形部を支承しているので、ステージ部が各支持部において前記水平方向への移動成分を持って移動しても、各支持部がその水平方向への移動成分をロール状軸支持部の軸方向への移動として許容するので、結果としてステージ部は対象物の被調整位置を中心とした球面状外形部に沿った球面軌跡を描きながら自在にかつスムーズに傾きを変えて移動することとなる。
【0035】
即ち、本発明の対象物の面合わせ・調心装置によれば、基台部の支持部が、ステージ部の球面状外形部の水平接線方向への水平移動と、球面状外形部の水平接線を軸とする回転移動とが可能なロール状支持部で構成されているから、ステージ部が被調整位置を中心として、水平面内の全ての方向に対して、いずれの方向でも振り子のように自在に傾きを変えるように移動するので、対象物の傾きを任意に変更できるので、面合わせや調心をスムーズ且つ確実に行うことができるのである。
【0036】
しかも、ステージ部は、対象物の被調整位置を中心とする球面を描いて傾きが移動(傾き変化)するから、被調整位置自体は、前記球面中心位置としてずれることがなく高精度の面合わせや調心が達成できる。
【0037】
ここで、本発明において、ロール状支持部とは、球面状外形部を支承するためのロール状の部材を有し、該ロール状部材が球面状外形部の水平接線方向の水平移動と水平接線方向を軸とする回転移動を可能とする構成のものであれば何れのものでも使用可能である。
【0038】
例えば、一つの軸にロール状部材を挿入し、軸とロール状部材との隙間に球状の転動体(ボールベアリングなど)を内部に装着して構成され、ロール状部材は球状転動体の転動に伴って軸方向移動と軸回りの回動が可能となり、本発明のロール状支持部となる。
【0039】
以下、上述した請求項1に記載の対象物の面合わせ・調心装置におけるステージ部の移動(傾き変化)について図12及び図13と共に詳細に説明する。図12では、ステージ部1’は、その下面部の球面状外形部3’が、ロール状支持部で構成された少なくとも三つの支持部4a’,4b’,4c’他に支承されて水平状態となっていることを示している。また、ステージ部1’の中央に対象物15’が配置されており、対象物の被調整位置B’(他の部材との接合部、面合わせ部)は、球面状外形部3’の球面中心位置に配置されており、この球中心(被調整位置B’)を中心とする半径R’の球面(の一部帯状部分)で球面状外形部3’が形成されている。
【0040】
ここで、対象物15’の被調整位置B’(球中心)に対して、図面の紙面に水平な面内で角度θだけ反時計回り方向に移動する(傾きを調整する)場合を想定する。このとき、ステージ部1’は、球面状外形部3’の水平接線方向への水平移動と水平接線方向を軸とする回転移動が可能なロール状支持部で構成された支持部4a〜4cで支承されており、球面状外形部3’に沿って、図中矢印Fの方向へ移動するものとする。
【0041】
このとき、図面の紙面に垂直な方向に軸を持つ支持部4b’及び4c’では、その回転軸に方向への移動成分はないので、それぞれのロール状軸受け部の回転方向に対して、それぞれ矢印D方向、矢印E方向へ回転することにより、ステージ3’の矢印F方向への移動(角度θ分の傾き変化)を許容する。
【0042】
そして、支持部4a’での支持部は、ステージ部1’の矢印F方向への移動に伴って、図13に示すように水平接線方向(図中の矢印C方向)へも移動をする。この水平方向への移動成分を、ロール状軸支持部の軸方向への移動(矢印C方向への移動)で許容して、ステージ部1’は図13に示すように被調整位置B’を中心とする球面状外形部3’に沿って反時計回りに角度θだけ傾きを変えることとなる。
【0043】
なお、球面状外形部3’は、被調整位置B’を中心とする半径R’の球面状で形成されているため、ステージ部1’の傾きは常にB’を中心とする半径R’で描かれる球面上を変化することで生じる。つまり、被調整位置B’の位置は、ステージが傾いても常に変化せず、被調整位置B’はステージ1’が自在に傾きを変えるように移動するのに合わせて、その角度のみが変化(傾きの角度や方向のみが変化)するのである。
【0044】
従って、被調整位置B’は、特に移動することがないので、他の接続部材を被調整位置B’へ移動させれば、相互の部材が当接する。なお、接続時には、他の接続部材の先端部(被接続部分)を被調整位置B’に位置合わせして当接させ、その状態でさらに力P’を加えることとなる。仮に、面合わせが正確でなくても、この力P’により、ステージがさらに傾いて、互いの接続面同士は正確に面合わせされる。
【0045】
さらに、この接続時に力P’が加えられた状態でも、本件発明ではステージ部1’が三つ以上のロール状支持部4・・・で、支持されているので、支持部や回転軸が変形したりすることは、従来の多軸調心の装置に比べて、極めて小さいので、調心や面合わせの精度が格段に向上し、且つ、耐荷重性も大幅に向上している。
【0046】
なお、ここでは説明の便宜のために、支持部4b’及び4c’とが互いに180度の位置に配設されている場合を例にとって説明したが、本発明はこのような角度関係の場合にだけ限定されるものではない。例えば、120度ごとに三つの支持部を配した場合にも、それぞれの支持部において、ロール状支持部の軸回転方向と軸方向への平行移動成分を相互に許容して、ステージ部の全方向への傾きを許容するものであり、かつ、その移動はスムーズなものとなる。
【0047】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の対象物の面合わせ・調心装置において、前記ステージ部は、その下面部の下部に設けられた水平移動調整手段を更に備え、この水平移動調整手段は、前記ステージ部の下面側の予め定めた位置を基準にして、その基準位置を水平面内方向へ任意に移動させるものであって、前記水平移動調整手段により前記基準位置を移動させた場合に、前記ステージ部自体は、前記球面状外形部に沿って移動するものであることを特徴としている。
【0048】
この基準位置とは、ステージ部の移動状態を定める基準位置のことであって、その基準位置を動かすことによってステージ部の移動による傾きの変化を定めることができる場所であれば、如何なる場所を基準位置と定めても良い。
【0049】
例えば、前記ステージ部自体を水平状態の基準状態に保持した場合に、その下面部の中央部の下部を基準位置とすれば、その基準位置を水平面内の所定方向に動かした場合には、その移動方向に向かってステージ部は前記球面状外形部に沿って移動していく。
【0050】
即ち、当該基準位置の移動方向が、ステージ部の傾きの方向を定めるものであり、その基準位置の移動距離がステージ部の傾き角度を規定するようになる。逆に言えば、傾きを制御したい場合には、それに対応するように、基準位置の移動方向と距離を制御することで、ステージ部の上に配置される対象物の移動(傾き状態)が制御できるものとなる。
【0051】
言い換えれば、本発明では、前記の基準位置を水平面内方向に移動可能な水平移動調整手段を備えているため、この水平移動調整手段によって水平方向の移動量を調整してやると、ステージ部自体は球面状外形部に沿って移動するので、ステージ部の傾きを任意の位置(傾きの方向と大きさ等の状態を含む)に移動調整できることとなる。
【0052】
つまり、本発明は、水平移動調整手段によってステージ部を球面状外形部に沿って移動させながら傾きを変えることができるものであるから、前述したように、前記基準状態でのステージ部の下面部の中央部(若しくはその下方延長線上)を基準位置として定めるのがもっとも効果的であり、位置(傾き)制御も容易に行える。即ち、ステージ部の中央部(の下部又はその下方延長線上)を基準に配置することで、ステージ部中央の位置を容易に調整でき、しかも、中央位置を基準にすることで、基準状態の位置を正確に把握できるので、そこからどれ程移動させればよいかの調整が容易となるから、対象物の傾きや、位置制御にも、もっとも容易な基準位置である。
【0053】
ここで、本発明における水平移動調整手段とは、水平面内方向に任意に移動調整可能なもの全てを含む概念のものであり、例えば、X−Y平面上の二軸で自由にスライドするX−Yスライド装置等もこれに該当する。
【0054】
このように、本発明によれば、水平面内方向に移動可能な水平移動調整手段を設けているから、例えば、水平移動調整手段の零点(中心点)をステージ部の水平位置(基準状態)に合わせておけば、水平移動調整手段を零点に復帰させれば、水平移動調整手段の水平移動に伴いステージ部も自身の中心位置に復帰するのである。換言すれば、ステージ部を水平位置したい場合には、水平調整移動手段を零点にするだけでよいのである。これにより、対象物をステージ部に正確に配置できることとなる。即ち、このような調整の基準の一例が、前述した基準位置を、ステージ部の基準状態での中央部の下部(又はその延長線上)に配した場合となる。
【0055】
なお、前述のように水平移動調整手段を零点に復帰させる場合には、例えば、X−Y二軸のスライドが交差する部分に下方に広がるテーパ形状の連通穴を開けておき、零点復帰させたいときだけその穴に下方から球体をエアー等で押し上げてテーパ作用によって強制的に零点に復帰させる手段や、水平移動の駆動手段としてステッピングモータを使用し、電気的に零点に復帰させる手段等の公知の位置調整手段を用いることができる。
【0056】
請求項3に記載の発明によれば、請求項2に記載の対象物の面合わせ・調心装置において、前記水平移動調整手段は、前記基準位置において前記ステージ部と連結されており、当該連結部は、垂直方向への移動を許容する連結部材を介して連結されていることを特徴とするものである。
【0057】
本発明では、ステージ部は被調整位置を中心とする球面上を自在に移動可能であるため、前記の基準位置も、その球面状の移動に沿って移動するので、X−Y平面方向のみならずZ方向(垂直方向)にも移動することになる。つまり、ステージ部の基準位置は、三次元空間内を移動するのである。これに対して、水平移動調整手段はX−Y平面(水平面)上を移動するものである。
【0058】
このため、ステージ部の移動と共に水平移動調整手段を移動させると、あるいは、ステージを移動させるために水平移動調整手段を稼働させると、ステージ部の移動により生じる基準位置のZ方向の移動成分は、相互の連結部において、水平移動調整手段での水平方向の移動のみでは許容できない(Z方向へ移動成分が生じてしまう)。これが許容できないと、水平方向の移動をも拘束することとなる。特に、ステージ部の移動量が小さい場合は余り問題ないが、移動量が大きくなるに従い被調整位置の面合わせや調心の際に無視できない場合もある。
【0059】
本発明では、ステージ部の前記基準位置と、前記水平移動調整手段との連結部分に、垂直方向への移動を許容する連結部材を設け、該連結部材を介してステージ部と水平移動調整手段とを接続している。
【0060】
この連結部材は、例えば、垂直方向への移動が可能であるか、あるいは垂直方向への変形を許容するように構成されたものである。例えば、板バネ状部材を用い、垂直方向への変形を可能とするように配置構成した場合には、ステージ部の移動によるZ方向(垂直方向)変位成分を板バネ状部材の弾性変形で吸収(許容)することができる。従って、水平移動調整手段は、その移動方向自体はX−Y平面内でしかスライドしなくても板バネ状部材等の連結部材によって垂直方向(Z方向)の移動量を吸収(許容)しながらステージ部と共にスムーズな移動が可能となるのである。
【0061】
即ち、板バネ状部材等のZ方向への移動を許容する連結部材を用いることにより、ステージ部の基準位置の三次元移動に相関した三次元水平移動可能な調整手段を備える必要がない。言い換えると、水平面内方向に移動可能な水平移動調整手段とステージ部(の基準位置)とを、板バネ状部材等の連結部材を介して接続(連結)するだけで、Z方向移動量を吸収して対象物の被調整位置を任意且つ正確に制御できるものとなる。
【0062】
なお、本発明における連結部材は、例えば、板バネ状支持部材のように、ステージ部が傾きを変えながら移動する際の、基準位置(連結部)の垂直方向の移動量を吸収して水平移動調整手段の水平移動に影響を及ぼさない程度の弾性力を有するものであるか、当該垂直方向の移動成分を許容できる程度の構成を備えたものであれば、このような板バネ状部材に限定されるものではない。一例としては、図8に示すような板バネ部材を円周方向に適切な間隔をあけて溝穴を開けたものが挙げられる。
【0063】
請求項4に記載の発明によれば、請求項2又は3に記載の面合わせ・調心装置において、前記水平移動調整手段は、前記ステージ部を所定の位置(傾き状態)で固定可能な固定手段を備えた構成となっている。
【0064】
本発明では、対象物の被調整位置を、その対象物に接続等される部材と面合わせや調心を行った後に、対象物と接続する部材とを接着等する場合には、面合わせや調心を行ったままの状態でステージ部を保持しておかなければならない。つまり、ステージ部が面合わせや調心を行うために球面状外形部に沿って自在に移動して、対象物の被調整位置の傾きを変えるが、その傾きをそのまま保持しておかなければならないのである。
【0065】
本発明ではステージ部と移動を共にする水平移動調整手段が固定手段を備えているので、水平移動状態を固定することで、ステージ部は所定の位置(傾き状態)で固定されてその状態を保持できる。これにより、面合わせや調心を行ったままの精度を保持して良好な接着等の作業が行える。
【0066】
なお、本発明において固定手段は、水平移動調整手段の水平移動が固定できる手段であればどのような形式の固定手段であっても適用可能である。例えば、ステッピングモータを水平移動調整手段の駆動手段として用い、所定の位置で電気的に水平移動状態を固定すれるものでもよい。あるいは、往復運動の制御が可能なエアーシリンダを水平移動調整手段に接続し、供給エアーによって水平移動調整手段の移動を固定するような手段を用いることも可能である。
【0067】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態を図面と共に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る対象物の面合わせ・調心装置の概略平面図であり、図2は図1のA−A概略断面図である。また、図3〜図5は本実施形態に係る水平移動調整手段の詳細を説明するための図であり、図6は本実施形態に係るステージ部の概略正面図である。さらには、図7は本実施形態に係る支持部の内部構造を示す概略断面図であり、図8は本実施形態に係る板バネ状支持部材の説明図である。
【0068】
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る対象物の面合わせ・調心装置は、対象物を配置するステージ部である円板状のジンバル1と、該ジンバル1を下部から支承する基台部であるジンバルベース2とを備えている。ジンバルベース2は底部を有する略円筒形状の外形を成し、その上部にはジンバル1の受け部4を有している。この受け部4は、詳細には三つの支持部4a,4b,4cを備えており、これら三つの支持部4a〜4cは図1に示すようにジンバル1の中心部から同心円上に120度間隔をあけて均等に取外し可能に配置されている。
【0069】
ジンバルベース2内にはジンバル1の下面部の中央部の下方に基準位置(中央線上の位置)を配置し、その下部に設けられた水平面内方向(X−Y二軸)に移動可能な水平移動調整手段であるスライド装置8と連結されている。
【0070】
図6に示すように、ジンバル1は、その下面部に対象物15の被調整位置Bを中心とする球面状の外形が形成された球面状外形部3を有する略円板形状を成しており、その球面状外形部は、図1に示したように、円周方向に所定幅を持った部分的な球面状外形部となっている。
【0071】
なお、本実施形態において、球面状外形部3は対象物16をジンバルの中央に配置した状態で被調整位置Bを中心とする半径R=58mmの球面体の外形部の一部となっている。
【0072】
さらに、ジンバル1の下面部中央部は、連結部材である板バネ19の取り付けのために円柱状の切り欠き部16が成されている。
【0073】
スライド装置8は、垂直方向にも変形可能に構成された連結部材である板バネ状部材(板バネ19)を介してジンバル1(の基準位置)と接続(連結)されている。なお、ジンバル1の基準位置は、水平状態での中央部の下方延長線上に配置されているので、スライド装置8を後述の原点復帰させた状態で、ジンバル1の水平状態(基準状態)が保たれるようになっている。
【0074】
このスライド装置8は、図3に示すようにボディー11の上にY軸移動用スライドレール10とX軸移動用スライドレール9とが順に上下に配置された二つのスライドレール9,10を備えている。これら二つのスライドレール9,10は、何ら拘束されていないときには水平面内方向の移動が自在に行え、スライドレール9,10の端部にそれぞれ接続されたエアーシリンダ18a,18bにエアー(不図示)を供給するとエアーシリンダ18a,18bの往復運動が固定されてスライドレール9,10の現在の位置を保持することができるようになっている。つまり、エアーシリンダ18a,18bを用いてスライド装置8の固定手段としているのである。
【0075】
また、スライド装置8は、図4及び図5に示すようにX軸移動用スライドレール9とY軸移動用スライドレール10とが交差する部分には、二つのスライドレール9,10及びボディー11とが連通するようにそれぞれ穴11a,11b、11cが開けられている。さらに、穴11aは下方(ボディー11側)に広がるテーパ形状となっている。
【0076】
ボディー11の穴11cには、穴11cと同径の球12が挿入されており、穴11cと連通するエアー供給口13にエアーを供給すると球12は穴11cの内壁にガイドされて上方に移動することができ、かつ、エアーを排気すると球12は下方へ移動するようになっている。エアーの供給によって球12が上方へ移動して穴11aのテーパ部まで到達すると、球12の上方への押し上げ力がテーパ部に作用して、図4に示すような球12が下部に位置してスライドレール9,10が自由に移動できる状態から、図5に示すようにスライドレール9,10が中心位置へ復帰するように構成されている。つまり、スライド装置8にエアーを供給することでスライド装置8の中心位置(原点)に自動復帰できる機能を有した構成となっている。
【0077】
一方、図7に示すように、本実施形態において支持部4a,4b,4cは三つの部材で構成されたロール状支持部となっている。即ち、軸部5に挿入される筒状のロール6との間の隙間に複数の球(ボールベアリング)7が転動自在に挿入されてロール状支持部を構成する。この構成により、ロール6は球7の転動に伴って軸部5の軸方向へ水平移動し、かつ、軸部5回りに回転移動することが可能となる。
【0078】
また、図8に示すように、本実施形態における板バネ9は、薄い円板状の弾性力を有する部材に円板中心から同心円上に適切な間隔をあけて長溝14a〜14fが開けられた形状となっている。この形状により、板バネ9に垂直方向の力が加わった場合には、垂直方向に弾性状態で変化して垂直方向の移動を吸収(許容)できる。よって、スライド装置の水平移動は垂直方向に拘束されることなくスムーズに移動可能となるのである。しかも、板バネ9は長溝14a〜14fを有しているから、水平方向の移動成分が若干(誤差程度)生じても水平方向へも弾性状態で変化してこの水平方向移動成分を吸収(許容)できる。
【0079】
次に、本実施形態に係る対象物の面合わせ・調心装置を用いて対象物を部材と接続等する方法について図9〜図11と共に説明する。
【0080】
まず、図5に示すようにスライド装置8にエアーを供給して原点復帰(スライド中心位置に復帰)させる。すると、本実施形態に係る対象物の面合わせ・調心装置において、スライド装置8は前述のようにジンバル1の下面部の中央部を基準として水平移動可能に接続されているから、スライド装置8の原点復帰すると、ジンバル1は水平位置(基準位置)を維持する。この状態で図9に示すように対象物15の被調整位置Bが、ジンバル1の下面球状部の中心位置になるように配置して固定する。
【0081】
部材17、及び/又は、対象物15が固定された面合わせ・調心装置を空間内で移動させ、部材17が対象物15と面合わせが行える程度に接近させた後に、図10に示すように対象物15の被調整位置Bに部材17を上から力Pで押し付ける。ここで、説明のために図10に示すように部材17の接続面は対象物15の接続面に対して傾きを有した(接続面同士が平行でない)状態を想定することにする。このような接続面が傾いた状態で部材17を対象物15に力Pで押し付けると、部材17と対象物15との接続面のずれ(傾きの違い)の分だけロール状支持部4に支承されたジンバル1が被調整位置Bを中心として球面状外形部3に沿って図10の状態から図11の状態へと傾きを反時計回りに変化させ、対象物15と部材17とが互いに密着して面合わせや調心がなされる。このとき、被調整位置Bは移動することがないので部材17と対象物15とは常にB点の位置で密着接続される。
【0082】
このように本実施形態に係る対象物の面合わせ・調心装置を使用すれば、部材17と対象物15との接続面の調整(傾き、中心位置の調整)を厳密に行わなくても、部材17と対象物15とを被調整位置Bで押し付けるだけでジンバル1が自在に傾きを変えて部材17と対象物15との面合わせや調心を簡単に行うことができるのである。
【0083】
ところで、ジンバル1が図10の位置から図11の位置へと移動(傾き変化)すると、スライド装置8のスライドレール10も図11に示すように水平方向右側へ移動することとなる。つまり、ジンバル1の傾き変化に追従してスライドレール10が水平方向に移動する。ジンバル1は球面状外形部に沿って移動しながら傾きを変えるため、ジンバル1の下面中央部の位置は垂直方向にも変化することとなるが、ジンバル1とスライド装置8とは板バネ19を介して接続されているため、板バネ19がジンバル1の垂直方向移動変化量に応じた量だけ自身の形状を図11に示すように変化させて吸収する。従って、スライド装置8の水平面内の移動に影響を及ぼすことはない。つまり、この板バネ9の作用によってジンバル1とスライド装置8とは互いに移動の動作を拘束することなく滑らかに移動が行え、対象物の面合わせや調心の精度を低下させることはない。
【0084】
また、対象物15と部材17とを接着したい場合には、対象物15と部材17とが面合わせ、調心された状態を保持するように、スライド装置8の水平移動動作を固定すればよい。この場合には、スライド装置8のエアーシリンダ(図3参照)にエアーを供給し、スライドレール9,10が動かないようにエアーシリンダのピストン部23a,23bで押圧してスライド装置8のスライド移動を固定すると、ジンバル1の傾きは対象物15と部材17とが面合わせ、調心された位置で保持されるから、対象物15と部材17の接続面の接着を行う際に接続面がずれたりする心配もない。
【0085】
このように上述の使用方法によれば、対象物15と部材17とを面合わせや調心する際に、互いの接続面が傾いたりしてずれていても(接続面の精度が悪くても)、部材17を対象物15に押し付けるだけで簡単に面合わせや調心を行うことができる。しかも、対象物15の被調整位置Bは移動しないので、面合わせや調心の精度は高い。
【0086】
尚、スライド装置8の水平移動動作の固定方法としては、前述のようなスライドレール(図3の符号9,10)を直接エアーシリンダ18a,18bのピストン部23a,23bにて押圧して固定する方法(図3)の他に、図14に示すようなスライド装置8の固定方法を用いることもできる。
【0087】
即ち、図14に示すスライド装置8の固定方法は、スライドレール9に間接的に固定された薄板20をエアーシリンダ18a,18bの押圧力によって移動しないように固定し、この薄板20を固定することによってスライド装置8の水平移動動作を固定するものである。
【0088】
具体的に説明すると、まず、スライド装置8のスライドレール9の上に取付片21bを固定し、その上に薄板20を取り付ける。その薄板20の上に取付片21aを固定し、さらに、取付片21aを板バネ19に接続する。つまり、板バネ19とスライドレール9とを直接接続するのではなく、板バネ19とスライドレール9とが薄板20を挟んだ上下二つの取付片21a,21bを介して接続された構成となっているのである。このような構成であっても、ジンバル1の傾き変化に追従してスライド装置8の水平移動が可能であることは言うまでもない。
【0089】
さらに、エアーシリンダ18a,18bが円周方向に約90度の間隔をあけて垂直方向に配置されており、エアーを供給すると、エアーシリンダ18a,18bが自身のピストン部23a,23bを図中の矢印方向に押し上げてジンバルベース2の固定面22a,22bを押圧するように構成されている。ここで、エアーシリンダ18a,18bを円周方向に約90度間隔で配置したのは、直交するX−Y二軸のスライド装置8のスライド移動方向とほぼ一致させるためである。
【0090】
そして、薄板20を固定面22a,22bとエアーシリンダ18a,18bとの間に挟まるようにしておけば、エアーシリンダ18a,18bにエアーが供給されていないときにはスライド装置8は自由に水平移動でき、ジンバル1の傾き状態を保持したいときにはエアーをエアーシリンダ18a,18bに供給すれば、ピストン部23a,23bが薄板20を固定面22a,22bとの間で強く挟んで保持する。
【0091】
すると、薄板20はスライド装置8のX方向とY方向の移動が拘束されて動くことができないから、薄板20と間接的に(取付片21b)を介して接続されたスライド装置8はX−Yの二方向とも動くことができなくなる。即ち、スライド装置8の水平移動動作は固定されたことになるのである。
【0092】
このような方法によってもスライド装置8の水平移動動作を固定でき、ジンバル1の傾きは対象物15と部材17とが面合わせ、調心された位置で保持されるから、対象物15と部材17の接続面の接着を行う際に接続面がずれたりする心配もない。
【0093】
一方、本実施形態に係る対象物の面合わせ・調心装置を面合わせや調心作業の微調整に用いることもできる。
【0094】
つまり、部材17、及び/又は、対象物15が固定された面合わせ・調心装置を空間内で一般的な移動調整手段を用いて移動し、部材17と対象物15の接続面を接近させて面合わせを行う。このとき面合わせが十分であるかの検査、確認をする必要があるが、例えば、対象物15と部材17との接続面を拡大した画像をモニタに取り込んでオペレーターが画像処理しながら確認すれば良い。概ね対象物15と部材17との接続面が合ったら、本実施形態のスライド装置8のスライド移動量を調整する。スライド移動量の調整はスライド装置8に接続されたステッピングモータ(不図示)によって行う。スライド装置8は板バネ19を介してジンバル1と連結されているから、スライド装置を用いてスライドレール9,10(図3参照)を水平移動すれば、ジンバル1の傾きは変化し、対象物15と部材17との面合わせ状態(傾き)や中心のずれが微調整されるのである。
【0095】
微調整が完了した後にスライド装置8の水平移動動作を固定したい場合には、前述のようなエアーシリンダによる固定方法によって固定しても良いが、ブレーキ機能を備えたステッピングモータを用いれば、このブレーキ機能によってもスライド装置8を固定できるから、この場合にはエアーシリンダは不要である。
【0096】
このように、本実施形態に係る対象物の面合わせ・調心装置を用いれば、部材17と対象物15とを押し付けることでジンバル1が自在に傾きを変化させて面合わせや調心を行うことができるばかりでなく、ジンバル1の傾きをスライド装置8を調整することによって変化させて対象物15と部材17の接続面の面合わせや調心状態を微調整することもできるのである。
【0097】
尚、本発明の光部品の面合わせ・調心装置は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、スライド装置の下方にロードセルを取り付けて、荷重を監視するようにしてもよい。
【0098】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明に係る対象物の面合わせ・調心装置によれば、ステージ部が球面状外形部に沿って自在に傾きを変えることができる構成のため、簡単に傾き制御を行えるという優れた効果を奏し得る。しかも、対象物の被調整位置が常に一定位置に保たれるため、面合わせや調心を高精度である。
【0099】
また、ステージ部は少なくとも三つの支持部で下方から安定して支承された構成のため、構造が単純な上に、耐荷重性が高いという優れた効果を有する。耐荷重性が高いことによって、対象物と接続等される部材とを押し付けて接合することができ、しかも、その接合作業の時に掛かる力による変形や摩耗が従来の多軸制御の技術等に比べて大幅に低減される。つまり、長期間に亘って面合わせや調心の精度を維持できる。
【0100】
また、ステージ部を支持部で支承するという単純構造のため、支持部が長期間使用によって摩耗等した場合でも、支持部のみを交換すればよく、メンテナンス時の作業効率が大幅に改善されるという効果もある。
【0101】
また、本発明に係る対象物の面合わせ・調心装置によれば、上述のような優れた効果を有するから、高精度が要求される光ファイバー等の光部品同士を接続して接着する際に用いると、特に有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る対象物の面合わせ・調心装置の概略平面図である。
【図2】図1のA−A概略断面図である。
【図3】本実施形態に係る水平移動調整手段の詳細を説明するための説明図である。
【図4】本実施形態に係る水平移動調整手段の詳細を説明するための説明図である。
【図5】本実施形態に係る水平移動調整手段の詳細を説明するための説明図である。
【図6】本実施形態に係るステージ部の概略正面図である。
【図7】本実施形態に係る支持部の詳細構造を示す概略断面図である。
【図8】本実施形態に係る板バネ状支持部材の概略平面図である。
【図9】本実施形態に係る対象物の面合わせ・調心装置を用いて対象物を部材と接続等する方法を説明するための説明図である。
【図10】本実施形態に係る対象物の面合わせ・調心装置を用いて対象物を部材と接続等する方法を説明するため説明の図である。
【図11】本実施形態に係る対象物の面合わせ・調心装置を用いて対象物を部材と接続等する方法を説明するための説明図である。
【図12】本発明の対象物の面合わせ・調心装置におけるステージ部の移動(傾き変化)を説明するための説明図である。
【図13】本発明の対象物の面合わせ・調心装置におけるステージ部の移動(傾き変化)を説明するための説明図である。
【図14】水平移動調整手段を固定する別の方法を説明するための図である。
【符号の説明】
1:ジンバル
2:ジンバルベース
3:球面状外形部
4,4a,4b,4c:支持部(ロール状支持部)
8:スライド装置
15:対象物
17:部材
18a,18b:エアーシリンダ
19:板バネ
B:被調整位置
Claims (4)
- 対象物の被調整位置を、その対象物に接続等される部材と面合わせや調心を行う装置のステージ手段であって、
前記対象物を配置するステージ部と、該ステージ部を下部から支承する基台部とを備え、
前記ステージ部は、その下面部に、前記被調整位置を中心とする球面状の外形が形成された球面状外形部を有し、
前記基台部は、前記ステージ部の前記球面状外形部を支承する受け部を有し、
前記ステージ部が、前記球面状外形部に沿って移動可能に保持されており、
前記受け部は、前記ステージ部の前記球面状外形部を下方から支承する少なくとも三つ以上の支持部を備え、
前記支持部は、前記球面状外形部の水平接線方向への水平移動可能に構成されると共に、前記球面状外形部の水平接線方向を軸とする回転移動とが可能なロール状支持部で構成されていることを特徴とする対象物の面合わせ・調心装置。 - 前記ステージ部は、その下面部の下部に設けられた水平移動調整手段を更に備え、
この水平移動調整手段は、前記ステージ部の下面側の予め定めた位置を基準にして、その基準位置を水平面内方向へ任意に移動させるものであって、
前記水平移動調整手段により前記基準位置を移動させた場合に、前記ステージ部自体は、前記球面状外形部に沿って移動するものである、ことを特徴とする請求項1に記載の対象物の面合わせ・調心装置。 - 前記水平移動調整手段は、前記基準位置において前記ステージ部と連結されており、当該連結部は、垂直方向への移動を許容する連結部材を介して連結されていることを特徴とする請求項2に記載の対象物の面合わせ・調心装置。
- 前記水平移動調整手段は、前記ステージ部を所定の位置で固定可能な固定手段を備えていることを特徴とする請求項2又は3に記載の面合わせ・調心装置。
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