JP4131391B2 - 吸湿性ポリエステル繊維構造体及びその製造方法 - Google Patents
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本発明はグラフト重合加工繊維を用いた糸を用いた織物、編物などの繊維構造体に関するものであり、さらに詳しくは、インナー及びアウター用織編物やタオル、芯地、マット、シーツ等のインテリア、副資材、寝装用品などに関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステル繊維に吸湿性を付与する手段としてグラフト重合加工はよく知られている(特許文献1など)が、その技術の持つ欠点から実用化レベルには至っていない。即ち、グラフト重合ポリエステル繊維は染色品が還元洗浄により脱色され発色性が低下するため濃色が得られない、耐光堅牢度が不良、末端基をナトリウム置換処理することで物性が低下する、特に湿潤時の強力低下が大きく、風合がヌルヌルする等の欠点を有する。このような障害を回避するため、吸湿性を有する成分を芯部に配した2成分複合紡糸の提案が多数なされているが、これらも洗濯時や吸水時の膨潤による繊維形態の不安定性や染色品位悪化、低吸湿性、紡糸コスト等に問題があり、衣料用として実用化に至っているものは殆どない状態である。このため吸湿性を付与するためにはポリエステルと綿やレーヨン等のセルロース系繊維との混繊、混紡、交編織糸にする必要があり、このため染色性、強力、湿潤時の寸法安定性、堅牢度等に劣り、改善が望まれている。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−226766号公報(請求項1、2など)
【0004】
本発明は、インナー及びアウター用織編物やタオル、芯地、マット、シーツ等のインテリア、副資材、寝装用等に好適な吸湿性ポリエステル繊維構造体を提供しようとするものであり、吸湿性を有する2成分複合紡糸繊維を用いることなく、グラフト重合ポリエステル繊維の欠点である耐光堅牢性の悪さ、物性低下、湿潤時の寸法不安定性、ヌメリ風合などが改善されたポリエステル短繊維織編物などを提供しようとするものである。
【0005】
【発明を解決するための手段】
すなわち、本発明は以下の構成を採用する。
1.親水性化合物グラフト重合加工ポリエステル短繊維とグラフト重合未加工ポリエステル短繊維とを含有する紡績糸を用いた繊維構造体であり、前記グラフト重合加工ポリエステル繊維の含有率が65質量%未満5質量%以上で、吸湿率が2.0%以上であり、かつ退光速度が揃った3原色アルカリ分散染料で染色されて耐光堅牢度が4級以上であることを特徴とする吸湿性ポリエステル繊維構造体。
2.繊維構造体が織物又は編物であり、該織物又は編物を構成する紡績糸がスライバー方式で芯鞘構造にした紡績糸であることを特徴とする第1に記載の吸湿性ポリエステル繊維構造体。
3.親水性化合物グラフト重合加工ポリエステル繊維とグラフト重合未加工ポリエステル繊維とをカード混綿して又はスライバー方式で芯鞘構造にして得られた紡績糸を用いた繊維構造体を、紫外線吸収剤と退光速度が揃った3原色アルカリ分散染料とを含み、かつpH9.5以下のアルカリ性染色液で染色することを特徴とする吸湿性ポリエステル繊維構造体の製造方法。
4.親水性化合物グラフト重合加工ポリエステル繊維とグラフト重合未加工ポリエステル繊維とをカード混綿して又はスライバー方式で芯鞘構造にして得られた紡績糸を用いた繊維構造体を、紫外線吸収剤と退光速度が揃った3原色アルカリ分散染料とを含み、かつpH9.5以下のアルカリ性染色液で染色した後、前記グラフト重合加工ポリエステル繊維の親水性基を金属塩化処理することを特徴とする吸湿性ポリエステル繊維構造体の製造方法。
【0006】
本発明は、上記構成により、グラフト重合加工ポリエステル織編物などの欠点であった発色性、耐光堅牢度、強力低下、特に湿潤時の強力低下や寸法安定、しわ、ヌメリ風合等を改善することができる。特に、(1)グラフト重合加工繊維とグラフト重合加工されていない繊維をある比率で紡績糸とし、該紡績糸を用いて交編織すること、(2)グラフト重合加工繊維を含む紡績糸を用いた織編物を紫外線吸収剤を併用し退光速度が揃った3原色アルカリ分散染料で染色すること、(3)染色品を軽還元洗浄または還元洗浄をすることなくナトリウム置換処理などの金属塩化処理を行うことの3つの条件が主要点である。以下、詳細を説明する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明でグラフト重合加工に用いられるポリエステル繊維は、ポリエチレンテレフタレートなどのホモポリマーポリエステルが主体的に用いられるが、異色性や低温染色性を得るために有機スルホン酸塩基含有成分を共重合した共重合ポリエステルや高収縮性を得るためにイソフタル酸、ネオペンチルグリコールなどの第3成分を共重合した共重合変性ポリエステルなども用いることができる。これらの繊維は酸化チタンを0.3質量%から5.0質量%程度含有していてもよく、更にはカオリナイト、炭化ジルコニウム、各種顔料、竹や備長炭等の炭微粉末、トルマリン、抗菌消臭剤、制菌剤、防黴剤等が練り込まれていてもよい。
【0008】
繊維強度はグラフト重合加工による強力低下があるため、グラフト重合加工前で3.0cN/dtex以上であることが好ましく、更には4.0cN/dtex以上であることが好ましい。本発明においては、グラフト重合加工繊維のグラフト重合度合やグラフト重合しない繊維との混紡の比率により強度を改善することが可能なため、必ずしも高強力ポリエステル繊維を必要としないのが特徴である。そのため、丸断面形状の他、中空、Y型、十字型、星型、W型、偏平等の高異型繊維や、高収縮繊維、ポリエステルとポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリトリメチレン、ポリアミド等との2成分複合紡糸繊維との組合せになる潜在捲縮繊維等及びこれらのグラフト重合加工繊維との組合せとすることが可能である。
【0009】
本発明において、グラフト重合加工される前のポリエステル繊維の繊度は、0.2dtex程度の極細繊度から5.0dtexまでの太繊度繊維が好適に用いられる。0.2dtex未満の細繊度ではグラフト重合加工時の液通りが悪く、均一なグラフト率が得られにくい傾向があり、また繊維強度低下による混繊や紡績工程での糸切れや風綿が多くなり、また、ナトリウム置換処理後の強力低下があり好ましくない。5.0dtexを超えると、太番手の紡績糸しか得られなく、かつ風合が硬化するため好ましくない。繊度のより好ましい範囲は0.8dtexから3.0dtexである。混紡、交編、交織する繊度には特に制約がなく、中空や高異型度繊維を用いることで風合、機能性を付加することが可能である。
【0010】
本発明において、ポリエステル繊維にグラフト重合加工される親水性化合物とは、親水性基ビニル系モノマーや加水分解、中和処理などの簡単な処理で容易に親水性を発現できるビニル系モノマーなどであり、分子構造内に重合性のビニル基を有し、カルボン酸、スルホン酸などの酸性基および/またはその塩、水酸基、エステル基、アミド基などの親水性基を有するモノマーである。
【0011】
具体的には、アクリル酸、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸アルミニウム、アクリル酸カルシウム、アクリル酸カリウム、アクリル酸亜鉛、アクリル酸マグネシウムなどのアクリル酸塩類モノマー、アクリルアミド、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、メタクリル酸、アリルアルコール、アリルスルホン酸ナトリウム、ビニルスルホン酸ナトリウム、メタリルスルホン酸ナトリウム、スチレンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシメチレンのメタクリル酸エステルなどを用いることができる。これらは、1種単独で用いてもよく、または2種以上併用してもよい。
【0012】
グラフト重合加工は、これらのモノマーを用いて、ポリエステル繊維のわた及び糸に対して公知の方法によって実施することができる。
すなわち、親水性モノマーとパーオキサイド等の触媒や膨潤剤を含有する水系加工液を付与するか水系加工液中に浸漬するなどして熱処理する方法が採用でき、酸性基は、中和洗浄後、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、アルミニウムなどのアルカリ性の金属化合物などによる塩化処理を行ない、吸湿性、吸水性を高めるものである。
【0013】
本発明におけるグラフト重合加工において、加工液中のモノマー濃度は、10質量%から40質量%の範囲が好ましく、グラフト重合率は5質量%以上、30質量%前後までとするのが好ましい。5質量%未満では吸湿率が得られにくく、30質量%を超えると、高吸湿率が得られるが、繊維強度低下や保水率が高くなり、湿潤時のしわ、寸法変化が大となり、また乾燥時間が長くなり、ポリエステル繊維が本来有するウォッシュアンドウエア(W&W)性を喪失してしまうため好ましくない。
【0014】
グラフト重合加工したポリエステル繊維は、グラフト重合加工しないポリエステル繊維と混紡、混繊などで混用される。グラフト重合加工ポリエステル繊維は、酸末端基を金属塩化後、吸湿率(20℃、65%RH)が3%から14%程度の範囲に収まるような処理条件を施すことが好ましい。グラフト重合加工繊維の吸湿率が3%未満であれば織物、編物としての吸湿率が得られず、14%以上であれば高吸湿率は得られるがシワが発生したり、寸法変化率が悪化する傾向が強くなる。
【0015】
本発明においては、グラフト重合加工繊維のみでの織物、編物などは避け、グラフト重合加工されていないポリエステル繊維との混紡、交編、交織などによる混用が第一条件である。グラフト重合加工繊維のみでは、生成りで用いない限り耐光堅牢度が改善困難なためである。グラフト重合加工繊維の混用率は、芯部にグラフト重合繊維を多く配した粗糸やカバリング糸や合撚糸では5質量%以上、65質量%未満が好ましく、カード混紡糸であれば50質量%未満とすることが好ましい。また、織物、編物では構造体の表層部にグラフト重合加工されてない繊維が多く配される場合、例えば3/1綾やサテン組織等では経糸にグラフト重合加工されていない糸、またはグラフト重合加工繊維を40質量%未満の混合糸を用い、緯糸にグラフト重合加工繊維のみの糸、またはグラフト重合加工繊維を80質量%未満の混合糸を用い、以下に述べる第二、第三の条件とすることで吸湿率の他、耐光堅牢度、物性、風合等が得られる。編物においても同様である。
【0016】
第二の条件は、アルカリ分散染料(耐アルカリ性の分散染料)を用いてpH9.5以下の染色浴中で染色することである。この際に実施例に示すように紫外線吸収剤を併用し、退光速度の揃った3原色染料を用いる。グラフト重合加工繊維との混紡糸の場合においては、分散染色後、還元洗浄を施す従来のポリエステルの染色方法では還元洗浄時にグラフト重合加工繊維中の分散染料が脱色されて、濃色が得られず、かつ耐光堅牢度を著しく低下させてしまうが、本発明においては、染色後の還元洗浄が不要であるためこのような不都合を回避でき、十分な濃色と染色堅牢度が得られるのが特徴である。グラフト重合加工繊維とグラフト重合加工されない繊維との混紡糸、織編物の形態で染色することが可能である。
【0017】
染色浴中では、繊維の加水分解による強力低下を防ぐ目的から、pHを9.5以下とするが、高圧染色下ではボウ硝等の加水分解抑制剤の併用も効果的である。
染色後は第三の条件である還元洗浄をせずに、または軽度の還元洗浄を行った後、ナトリウムなどの金属置換処理を行い、強力低下を最小にしながら吸湿率を得ることが必要である。アルカリ染色浴中で未反応染料やオリゴマー等が既に除去されており、従来の分散染料染色後に必要な還元洗浄は不要であり、脱色と繊維強力を低下させてしまう要因を割愛できメリットがある。但し、濃色等で湿潤堅牢度が劣る場合や湯洗いのみで不十分な場合には、軽度の還元洗浄を行う。
【0018】
ナトリウム濃度はグラフト加工繊維質量に見合うように設定し、過剰濃度は強力低下要因となるため避ける必要がある。本発明の範囲ではトリポリリン酸ナトリウム0.1〜5g/l、70℃、20分間程度で十分である。その後湯洗いや水洗を施すが、必要によっては酸処理により生地のpHを弱酸性、中性化させる。
【0019】
以上のような繊維比率の織編物などの繊維構造体とし、さらに以上のような染色条件とすることで湿潤時、また洗濯時の膨潤、保水による織編物などのシワ、寸法変化率、強力低下、ヌメリ風合化を抑制することができるとともに、混紡するグラフト重合されていない繊維の断面形状を選択することでドライ風合や吸水速乾性能を得ることが可能である。
【0020】
混用する繊維はポリエステル以外の繊維でもよいが、本発明では物性、W&W性、染色性の面からポリエステル繊維が主体的に用いられる。混用繊維の形態や種類は、丸断面、中空や高異型度繊維、極細繊維、2成分複合紡糸潜在捲縮繊維、カチオン可染や常圧可染繊維、先染め繊維、原着繊維等であってもよく、また、ポリエステル以外の繊維としては、木綿、麻、レーヨン、シルク、ウール、アクリル、プロミックス、ナイロンなど、目的によって種々組合せることが可能である。
【0021】
本発明において上記のポリエステル繊維を用いて紡績糸を得る方法としては、短繊維単体での混紡、リング紡績法の他、オープンエンド紡績、結束紡績等の高速エア流体交絡紡績法等公知の方法が採用される。粗糸段階までにグラフト重合加工繊維とグラフト重合加工されない繊維とをカード混綿したり、グラフト重合加工繊維が芯部に多く配されるようにスライバー方式で芯鞘構造にした後、精紡工程でドラフトしながら撚り揚げたり、高速エア流体交絡糸とする。いずれもグラフト重合加工繊維の混用率は前記のように65質量%以下とする。
【0022】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を説明する。
実施例、比較例ともグラフト重合加工繊維として繊度2.2dtex、カット長38mmの中実ポリエステル繊維を、グラフト重合加工されないポリエステル繊維として繊度1.6dtex、カット長38mmの異型度2.4のY型断面形状繊維を用い、グラフト重合加工後の原綿粗糸を140ゲレンとし、36倍でドラフトしながら、リング紡績糸は精紡機回転数12、000rpm、撚り係数3.4で撚りあげ、英式綿番手30番手の紡績糸を得た。エア交絡紡績糸は村田機械(株)製ムラタボルテックススピナーMVSを用い、300ゲレンのスライバーを180倍にドラフトしながら、エア圧0.45MPa、糸速400m/分で紡出し、各英式綿番手30番手の紡績糸を得た。
【0023】
原綿のグラフト重合加工は下記条件で実施した(omfは、繊維質量に対する質量%を意味する。)。
オーバーマイヤー型染色機を用いて、ノイゲンHC1g/lで精練後湯洗し、メタアクリル酸100%品を32%omf、重合開始剤(過酸化ベンゾイルBPO)1.2%omf 、分散剤( 明成化学工業社製ディスパーN700)1.1%omf 、染色用キャリヤー( 東洋興業社製TC-201 )3.0%omf 、ソーダ灰0.8%omf 、浴比1:8で、105℃、40分間でグラフト重合加工処理した。グラフト率は22%であった。
【0024】
得られたグラフト重合加工ポリエステル繊維を用いて、表1に示す混紡方法、紡績方法により紡績糸とし、次いで編物にした。編物はスムース組織で22ゲージ、ループ長を100ウェル当り325mmで編み立てた。更に、生地は開反し、ウェット処理後、乾燥し、180℃、40秒間の中間セットを施した。その後、以下のような条件で130℃、40分間液流染色機で染色した。染色条件は 、以下のとおりである。
アルカリ分散染料: Dianix Blue SPH (ダイスタージャパン社製)0.7% omf、Dianix Red SPH (ダイスタージャパン社製)0.3%omf、Dianix YellowSPH(ダイスタージャパン社製)0.5%omf、
染料安定化剤 : iaserver PH95(ダイスタージャパン社製) 0.5g/l、
均染剤 : エガナール LMDJ (クラリアントジャパン社製)0.5g/l、
紫外線吸収剤 : チバファースト HLF new(日本チバガイギー社製)3% omf を使用し、浴比1:10とした。
還元洗浄はせず、湯洗いを繰り返した。その後、ソーダ灰6.5%omf 、トリポリリン酸ナトリウム0.18%omf 、界面活性剤0.1%omf で70℃、10分間の中和処理を行なった。次いでトリポリリン酸ナトリウム0.18%omf の浴中にソーダ灰13.5%omf を3回に分け、5分おきに投入し、ナトリウム塩化処理を行ない、湯洗した。
該原綿、紡績糸の公定水分率は11.8%であった。グラフト重合加工原綿の混紡率、混紡方法とそれらを用いたニット生地特性を表1に示す。
【0025】
紡績糸、生地は以下の条件で測定、評価した。
・公定水分率 : JIS L1095
・耐光堅牢度 : JIS L0842 紫外線カーボンアーク灯光試験(第3露光法)
・法変化率 : JIS L1018 F-1法(スクリーン乾燥)
・抗ピリング性 :JIS L1076 A法(ICI形試験機 5時間)
・風合の評価 : 5人のパネラーの触感判定でドライ感、ヌメリ感を評価した。
○:ドライ感良好、 ○△ : ややヌメリ感あり、 △:ヌメリ感あり、
×:強いヌメリ感あり。
・総合評価 : ○は良好、○△はやや良、 ×は不良を意味する。
【0026】
【表1】
【0027】
実施例1、3、4は芯部にグラフト重合加工繊維が、鞘部にグラフト重合加工されない繊維が多く配される芯鞘構造の粗糸、及びスライバーとし、リング紡績、結束紡績を行ったものである。実施例2はカード混綿にてそれぞれの繊維を混綿したものである。いずれの実施例も水分率が高く、湿潤時の風合もヌメリ風合が少なく、かつ、耐光堅牢度も4級、または4級以上であり、快適性に富む編物であった。寸法変化率も比較例1、2に比べ、少なく、湿潤時の生地外観はシワも殆どなく良好であった。
【0028】
比較例1は水分率に優れるものの特に湿潤時の不快なヌメリ風合があり、耐光堅牢度が全く不良で、乾燥後の編地外観はシワが残り、品位不良な水準であった。比較例2は比較例1と同様に諸特性が不良で好ましい水準ではなかった。比較例3は風合、耐光堅牢度は申し分ないが、水分率が少なく、比較例4と殆ど変わらない快適性に劣るものであった。
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば、グラフト重合加工ポリエステル繊維の最大の障害であった耐光堅牢度、ヌメリ風合が改善され、ポリエステル繊維特有のW&W性(速乾性、寸法安定性)を損うことなく、2%以上の吸湿率を有し、快適性に優れるポリエステル織編物が得られる。
Claims (4)
- 親水性化合物グラフト重合加工ポリエステル短繊維とグラフト重合未加工ポリエステル短繊維とを含有する紡績糸を用いた繊維構造体であり、前記グラフト重合加工ポリエステル繊維の含有率が65質量%未満5質量%以上で、吸湿率が2.0%以上であり、かつ退光速度が揃った3原色アルカリ分散染料で染色されて耐光堅牢度が4級以上であることを特徴とする吸湿性ポリエステル繊維構造体。
- 繊維構造体が織物又は編物であり、該織物又は編物を構成する混紡糸がスライバー方式で芯鞘構造にした混紡糸であることを特徴とする請求項1に記載の吸湿性ポリエステル繊維構造体。
- 親水性化合物グラフト重合加工ポリエステル繊維とグラフト重合未加工ポリエステル繊維とをカード混綿して又はスライバー方式で芯鞘構造にして得られた紡績糸を用いた繊維構造体を、紫外線吸収剤と退光速度が揃った3原色アルカリ分散染料とを含み、かつpH9.5以下のアルカリ性染色液で染色することを特徴とする吸湿性ポリエステル繊維構造体の製造方法。
- 親水性化合物グラフト重合加工ポリエステル繊維とグラフト重合未加工ポリエステル繊維とをカード混綿して又はスライバー方式で芯鞘構造にして得られた紡績糸を用いた繊維構造体を、紫外線吸収剤と退光速度が揃った3原色アルカリ分散染料とを含み、かつpH9.5以下のアルカリ性染色液で染色した後、前記グラフト重合加工ポリエステル繊維の親水性基を金属塩化処理することを特徴とする吸湿性ポリエステル繊維構造体の製造方法。
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