JP4121675B2 - 缶のガス置換装置及び置換方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内容物が充填された缶のヘッドスペース内の空気を置換用ガスに置換するための缶のガス置換装置及び置換方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
清涼飲料やコーヒー飲料などの食品内容液の缶詰の製造において、酸素の影響による内容液の品質の劣化を防止するために、内容液が収容された後の缶のヘッドスペース内の空気を窒素ガスなどの不活性ガスに置換してから缶蓋を巻き締めて密閉することが広く行われている。
【0003】
このような缶詰製造における不活性ガスの置換は、例えば特公昭58−15363号に開示されているように、缶蓋の巻き締め直前に液体窒素を缶のヘッドスペース内に供給する液体窒素充填缶詰の製造ラインにおいて缶のヘッドスペースに液体窒素を添加し、次いで巻締機で缶蓋をかぶせる直前にヘッドスペース内に不活性ガスを吹き込んで、該ヘッドスペース内の空気を不活性ガスに置換する方法が知られている。
【0004】
また、特開平1−99922号に開示される缶の不活性ガス置換装置は図8に示すように、内容物が収容され上面が開口状態の缶62を連続的に缶巻締機(缶シーマー)64に搬送するコンベヤ52と、このコンベヤ52の搬送経路の途中に缶巻締機64と所定の間隔をおいて配置された搬送中の缶のヘッドスペース62aに液化不活性ガスLN2を添加するための液化不活性ガス添加装置53と、缶巻締機64のリフター55の上昇途中に配置されたアンダーカバーガッシング装置56とを備えている。また、コンベヤ52の搬送経路はトンネル60で囲まれている。ここで、缶62はコンベヤ52の上流において、液化不活性ガス添加装置53から液化不活性ガスLN2が添加され、液化不活性ガスLN2は、コンベヤ52を搬送中の缶62のヘッドスペース62a内において蒸発されて不活性ガスGN2化される。そしてリフター55に配置され、缶蓋ホルダー57に支持された缶蓋63が巻き締められる直前に、アンダーカバーガッシング装置56のチャンバー体59に形成されたガス吹き出し口58からからヘッドスペース62aに不活性ガスGN2が供給され、チャック65によって缶蓋63は巻き締められる。また、トンネル60の上方には、不活性ガス吹き出し装置61が設置されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、例えばアルミ製2ピース缶のような強度の低い缶の場合、缶内圧の安定化を図るといった目的とともに、内容液がこぼれてしまうのを防止するといった目的からヘッドスペースは大きく設けられている。そのため、ヘッドスペースに存在する酸素量も必然的に多くなり、従来のような缶の不活性ガス置換装置及び方法では、該ヘッドスペース内のガス置換を十分に行うことができず、例えばコーヒー飲料や果汁飲料或いは茶系飲料など酸素の影響による劣化を受け易い内容物には、十分に対応することができない。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、ヘッドスペースが大きい缶の場合でも該ヘッドスペース内の空気を十分に不活性ガスに置換させることができる缶のガス置換装置及び置換方法を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明は、内容物が充填された缶のヘッドスペース内の空気を置換用ガスに置換するための缶のガス置換装置であって、内容物を収容し上部が開口状態の缶を連続して缶シーマー部に搬送させるためのコンベヤと、このコンベヤの搬送経路を前記缶シーマー部直前まで半密閉空間に保つためのアウターカバーと、前記搬送経路に沿って複数箇所に設けられ、前記アウターカバー内にて前記缶の上方から置換用ガスを連続的に供給するための置換用ガス供給部と、前記置換用ガス供給部と前記缶との間に前記搬送経路に沿って配置されるとともに前記供給部との間に前記供給部から供給された置換用ガスを一旦溜める空間部を介して前記置換用ガスの流速を低下させるためのフィルタ部と、前記缶シーマー部に設けられ、前記缶の開口部に缶蓋を巻き締める直前に前記ヘッドスペースに置換用ガスを供給するためのシーマーガス供給部と、前記搬送経路の途中に設置され、前記ヘッドスペースに液化置換用ガスを供給するための液化置換用ガス供給部と、前記搬送経路の最上流部に配置され、搬送された前記缶のヘッドスペースに置換ガスを供給するとともに前記アウターカバー内の置換ガス雰囲気を維持させるための置換ガスカーテン形成部と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、缶シーマー部に搬送され缶蓋が巻き締められる直前の缶のヘッドスペースにシーマーガス供給部から置換用ガスを供給するとともに、その上流のコンベヤの搬送経路において、ヘッドスペース内のガス予備置換手段として搬送経路に沿って複数箇所に設けられ缶の上方から置換用ガスを連続的に供給するための置換用ガス供給部を設置したことにより、缶のヘッドスペース内の空気は、コンベヤ上を搬送されるだけで自然に置換用ガスに置換される。そのため、ヘッドスペース内の酸素量は低減され、内容物の酸素による劣化は防止される。このとき、置換用ガスは不活性ガス又は炭酸ガスである。
【0009】
そして、缶シーマー部に、缶の開口部に缶蓋を巻き締める直前に前記ヘッドスペースに置換用ガスを供給するためのシーマーガス供給部を設けたことにより、コンベヤ上を搬送されることによってある程度置換用ガスに置換されたヘッドスペースは、シーマーガス供給部から供給される置換用ガスによって十分に置換用ガスに置換される。そのため、前記ヘッドスペース内の酸素量は十分に低減され、内容物の酸素による劣化は防止される。
【0010】
また、搬送経路はアウターカバーによって半密閉空間に保たれているとともに、前記搬送経路の最上流部に、搬送された前記缶のヘッドスペースに置換ガスを供給するとともに前記アウターカバー内の置換ガス雰囲気を維持させるための置換ガスカーテン形成部が設けられているため、安定した置換用ガス雰囲気下でガス置換を行うことができる。
【0011】
置換用ガス供給部から供給された置換用ガスは、搬送経路に沿うように缶の上方に配置されたフィルタ部を通過してから搬送される缶のヘッドスペースに供給されるようになっている。そのため、フィルタ部を通過した置換用ガスは、半密閉空間に保たれた搬送経路内部に拡散しつつ均一に供給され、搬送経路内部の不活性ガス雰囲気は均一となり、ヘッドスペース内のガス置換を安定して行うことができる。
【0012】
搬送経路の途中に液化置換用ガス供給部を併設し、この液化置換用ガス供給部から前記ヘッドスペースに液化置換用ガスを供給し、搬送中に該液化置換用ガスを気化させることにより、ヘッドスペースのガス置換はさらに確実に行うことができる。
【0013】
フィルタ部を通過した置換用ガスは、流速が低下して例えば0.5m/sec.以下の流速で缶のヘッドスペースに供給されることにより、ヘッドスペース内の空気の置換は安定して行われる。つまり、置換用ガスが大きい流速で供給された場合、搬送されている缶によって生じる気流と干渉して、置換用ガスはヘッドスペース内に安定して供給されなくなる。そのため、置換用ガスの流速を0.5m/sec.以下の低速で供給することにより、ガス置換は安定して行われる。
【0014】
フィルタ部には、2〜10μmのメッシュで形成された焼結フィルタを用いたことにより、置換用ガスはこの焼結フィルタを通過することによって十分に拡散されてから搬送経路に供給される。
【0015】
フィルタ部の下端部に、搬送される缶の側壁部に延びるように形成させた絞り込み板を設置したことにより、缶の上端と前記フィルタ部との間の空間は小さくなり、置換用ガスはヘッドスペースに向かって安定して供給される。
【0016】
内容物が充填された缶のヘッドスペース内の空気を置換用ガスに置換するための缶のガス置換方法であって、請求項1〜4のいずれか一項に記載の缶のガス置換装置を用いて、内容物を収容し上部が開口状態の缶のヘッドスペースに、前記搬送経路の最上流部に配置された置換ガスカーテン形成部から置換ガスを供給し、かつ、前記搬送経路に沿って設置されるとともに前記供給部との間に前記供給部から供給された置換用ガスを一旦溜める空間部を介して形成されたフィルタ部を通過させた置換用ガスを0.5m/sec.以下の流速で連続的に供給するとともに、前記缶の開口部に缶蓋を巻き締める直前に前記缶シーマー部において前記ヘッドスペースに置換用ガスまたは液化置換用ガスを供給することを特徴とする缶のガス置換方法によってガス置換することにより、前記缶は前記搬送経路を通過するだけである程度ガス置換が行われるとともに、さらに缶蓋を巻き締める直前の段階で置換用ガスが供給されるため、ヘッドスペースの隅部まで置換用ガスは十分に満たされ、缶蓋が巻き締められた密閉後の缶においても内容物の劣化は防止される。このとき、置換用ガスは不活性ガス又は炭酸ガスである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態による缶のガス置換装置及びその方法を図面を参照して説明する。図1は本発明の缶のガス置換装置の全体の構成を示す側面図であり、図2は図1の第1不活性ガス置換部A部分の拡大図である。
なお、本実施形態では、置換用ガスを不活性ガスとしているが、炭酸ガスであってもよい。
【0018】
図1において、不活性ガス置換装置(ガス置換装置)1は、上部が開口状態の缶2を搬送させるためのコンベヤ3と、このコンベヤ3の長手方向に沿って設置された不活性ガス(置換用ガス)GN2を供給するための第1不活性ガス置換部A、第2不活性ガス置換部B、第3不活性ガス置換部Cと、缶シーマー部8に設けられたシーマーガス供給部9とを備えている。また、第2不活性ガス置換部Bと第3不活性ガス置換部Cと間には、液化不活性ガス(液化置換用ガス)LN2を供給するための液化不活性ガス供給部7が設置されている。
【0019】
缶2は、例えばアルミ合金によって有底円筒状に形成されたものであり、図2に示すように上端に開口部10を有している。缶2の内部には、コンベヤ3の上流側に設けられた、不図示の内容物充填機によって飲料用液体等の内容物2aが収容されている。この内容物2aと缶2の上端との間にはヘッドスペース11が形成されている。この缶2は、コンベヤ3によって直立状態のまま、前記開口部10に缶蓋を巻き締めるための缶シーマー部8に搬送される。
【0020】
図1、図2、図3に示すように、コンベヤ3の長手方向に沿ってアウターカバー4が設置されている。このアウターカバーは、図3に示すように、断面下向きに開口した略コ字状に形成されており、その下端部はコンベヤ3の近傍まで延びている。そして、コンベヤ3の搬送経路を半密閉空間状態に保っている。
【0021】
図2に示すように、第1不活性ガス置換部Aにはコンベヤ3の搬送経路に沿って複数箇所に不活性ガス供給部(置換用ガス供給部)6が設置されている。この不活性ガス供給部6は、アウターカバー4の天井部4aに間隔を持って設置されており、例えば1m当たり2〜4箇所設置されている。この不活性ガス供給部6からは、窒素ガスなどの不活性ガスGが鉛直下向きに連続的に噴射され、コンベヤ3を搬送される缶2の上方から供給される。また天井部4aは、図3に示すようにヒンジ部4bに回動自在に支持されており、図3中、4aと4a’との間で回動することにより、アウターカバー4の上方を開閉できるようになっている。
【0022】
不活性ガス供給部6の下方には、平面視長方形状に形成された板状の焼結フィルタ12が、缶2の搬送方向に沿って缶2の上方全てを覆うように複数段設置されている。その最上段と最下段との高さは、100mm程度になるように設けられている。また、不活性ガス供給部6と焼結フィルタ12の最上段との間には空間部13が形成されている。
【0023】
焼結フィルタ12は、そのメッシュが2〜10μmのもの、好ましくは5μmメッシュのものが使用されており、アウターカバー4の側壁部から内側に延びるように形成されたフィルタ支持部14の断面凹状に形成された複数の係合部14aにそれぞれ支持されている。また焼結フィルタ12は、その最下段と搬送される缶2の上端との間が10〜40mm程度になるように配置されている。
【0024】
不活性ガス供給部6から供給された不活性ガスGN2は空間部13に一端溜められて、該空間部13を不活性ガスG雰囲気下にするとともに圧力を微かに上昇させるようになっている。不活性ガスGN2はこの微圧によって複数段設置された焼結フィルタ12を通過し搬送される缶2の上方に供給されるようになっている。このとき、焼結フィルタ12を通過した不活性ガスGN2は0.5m/sec.以下の流速で供給されるように設定されており、好ましくは0.1m/sec.の流速で供給されるようになっている。
【0025】
フィルタ支持部14の下端部近傍からは、舌片状の案内板15が2枚、搬送される缶2の側壁部近傍に延びるように形成されている。同様にフィルタ支持部14の下端部近傍からは、搬送される缶2の側壁部近傍に延びるように形成された絞り込み板17が搬送経路方向に沿って設けられている。この絞り込み板17は、その平面部分がコンベヤ3の搬送経路方向と平行になるように設置されており、その断面形状はフィルタ支持部14から缶2の側壁部に接近するように断面コ字状に形成されており、缶2の搬送を妨げないように側壁部と離間させて設けられている。
【0026】
なお、このような構成を持つ不活性ガス供給部6や焼結フィルタ12及び絞り込み板17は、第2不活性ガス置換部B、第3不活性ガス置換部Cにも同様に配置されている。そして、これら第1、第2、第3不活性ガス置換部A、B、Cの設置長さは、取り付け可能範囲で可能な限り長くすることでヘッドスペース11の不活性ガスGN2の置換を十分に行うことができるが、不活性ガスGN2の消費量などコスト的な面を考慮すると、それぞれ0.5〜1.5m程度に設けることが望ましい。
【0027】
図1、図2、図4に示すように、第1不活性ガス置換部Aの最上流部分には不活性ガスカーテン形成部5が設置されている。この不活性ガスカーテン形成部5には、不活性ガスGN2を連続的に吹き出すための、搬送経路入側端部の上方に設けられた上方噴出部5aと左右2箇所に設けられた側方噴出部5bとが備えられている。このうち上方噴出部5aは、搬送される缶2の上方から垂直下方向に且つ搬送経路の上流側に向かって連続的に不活性ガスGN2を吹き出しており、側方噴出部5bは、搬送経路の半径方向内側に且つつ搬送経路の上流側に向かって連続的に吹き出している。これら各噴出部5a、5bは0.5〜1.0mm程度の幅を有したスリット状に形成されたものであり、各噴出部5a、5bと搬送される缶2との距離は10mm程度に設定されている。そして、搬送された缶2のヘッドスペース11に不活性ガスGN2を供給するとともに、第1不活性ガス置換部Aの内部側に空気が入り込むのを防いで、各不活性ガス置換部A、B、C内部の不活性ガス雰囲気を維持させるようになっている。
【0028】
第2不活性ガス置換部Bと第3不活性ガス置換部Cとの間には、液化不活性ガス供給部7が設置されている。この液化不活性ガス供給部7からは、例えば液体窒素などの液化不活性ガスLN2が、搬送された缶2の開口部10からヘッドスペース11内部に供給されるようになっている。
【0029】
第3不活性ガス置換部Cの下流側には、搬送された缶2の開口部10に缶蓋を巻き締めるための缶シーマー部8が設置されている。この缶シーマー部8にはリフター16が設置されており、搬送してきた缶2をリフター16で支持させ、缶シーマー部8に搬送して缶蓋を巻き締めるようになっている。
【0030】
缶シーマー部8には、缶2がリフター16に上昇される途中で、缶2のヘッドスペース11に不活性ガスGN2を供給するためのシーマーガス供給部9が設置されている。コンベヤ3を搬送されてきた缶2には、最終的にこのシーマーガス供給部9から不活性ガスGN2が供給される。このリフター16及びシーマーガス供給部9もアウターカバー4によって囲まれている。
【0031】
そして、これら第1、第2、第3不活性ガス置換部A、B、Cと液化不活性ガス供給部7とリフター16とシーマーガス供給部9とはアウターカバー4で連続するように覆われており、半密閉空間状態を維持している。
【0032】
このような構成を持つ缶の不活性ガス置換装置1を用いて缶2のヘッドスペース11の空気を不活性ガスGN2に置換させるためには、先ず不図示の内容物充填機によって缶2の開口部10から内容物2aを収容させる。このとき、内容物2aがこぼれるのを防止するためや、或いは密閉後の缶2の内圧を安定化させるために、若干余裕を持たせて内容物2aを収容させる。このとき、内容物2aの上面と缶2の上端との間にはヘッドスペース11が形成される。
【0033】
内容物2aが収容された缶2はコンベヤ3に載せられて下流側に搬送され、第1不活性ガス置換部Aに進入する。第1不活性ガス置換部Aの入側部分には不活性ガスカーテン形成部5が形成されており、上方噴出部5aからは不活性ガスGN2が缶2の開口部10に向かうように上方から吹き出しているため、先ずこの段階でヘッドスペース11には不活性ガスGN2が供給される。またこの不活性ガスGN2は側方噴出部5bから吹き出される不活性ガスGN2とともに、第1不活性ガス置換部Aの外方に向けられて噴出されるため、この入側部分から第1不活性ガス置換部Aへの空気の浸入は防止されている。そのため第1不活性ガス置換部A及びその下流側の第2、第3不活性ガス置換部B、Cは、それぞれ不活性ガスGN2雰囲気を安定して維持することができる。
【0034】
不活性ガスカーテン形成部5を通過した缶2は、第1不活性ガス置換部A及び第2不活性ガス置換部Bに搬送される。このとき、缶2のヘッドスペース11には、上方に位置した不活性ガス供給部6から不活性ガスGN2が連続的に供給される。
【0035】
この不活性ガスGN2は、図3に示す空間部13を一端満たして不活性ガスGN2雰囲気にさせる。空間部13の下方に配置されている焼結フィルタ12は、そのメッシュが2〜10μmに形成されているため、不活性ガスGN2が通過するのに若干抵抗を生じさせるようになっている。そのため、該空間部13の圧力はわずかに上昇され、焼結フィルタ12の通過は空間部13と焼結フィルタ12下方位置との圧力差によって行われるようになっている。
【0036】
不活性ガスGN2は焼結フィルタ12を通過することによって分散されるため、第1、第2、第3不活性ガス置換部A、B、C内部におけるガス雰囲気は均一化されるようになっている。
【0037】
そして、缶2を例えば1.6m/s程度の速さで搬送させる。缶2の上方からは、焼結フィルタ12を通過した不活性ガスGN2が0.5m/sec.以下の流速で、好ましくは0.1m/sec.の流速で供給されるため、缶2は各置換部A、B、Cを通過するだけで、例えば60〜70%程度の置換効果を得ることができる。
【0038】
缶2は、上方から不活性ガスGN2が供給されつつ下流側に搬送される。第2不活性ガス置換部Bの下流側に設置された液化不活性ガス供給部7からは缶2のヘッドスペース11に液体窒素等の液化不活性ガスLN2が供給される。ヘッドスペース11に供給された液化不活性ガスLN2は、第3不活性ガス置換部C内部を搬送されて缶シーマー部8で缶蓋が巻き締められるまでの間に気化し、ヘッドスペース11の隅々まで不活性ガスGN2を行き渡らせる。
【0039】
なお液化不活性ガス供給部7を設けなくても各不活性ガス置換部A、B、Cのみで十分にヘッドスペース11の空気を不活性ガスGN2に置換することは可能である。本実施形態のように液化不活性ガス供給部7を組み合わせる場合は、液化不活性ガス供給部7の下流に、液化不活性ガスLN2が完全に気化されるとともにヘッドスペース11を不活性ガスGN2で満たすために、第3不活性ガス置換部Cなど不活性ガスGN2を供給する搬送経路を確保することが好ましい。
【0040】
各不活性ガス置換部A、B、C及び液化不活性ガス供給部7を通過した缶2はリフター16に載置され、該リフター16を上昇させることによって缶シーマー部8に供給される。缶シーマー部8にはシーマーガス供給部9が設けられており、このシーマーガス供給部9からは、缶シーマー部8の缶蓋ホルダーに支持された缶蓋が開口部10に装着される直前に、ヘッドスペース11に不活性ガスGN2が供給される。そして缶2は、シーマーガス供給部9によってヘッドスペース11に不活性ガスGN2が供給された直後、チャックによって缶蓋が巻き締められる。
【0041】
このようにして、不活性ガス置換装置1は、第1、第2、第3不活性ガス置換部A、B、Cによってヘッドスペース11内部の空気を60〜70%程度不活性ガスGN2に置換させ、さらにシーマーガス供給部9を組み合わせることによって最終的に96%程度のガス置換を行うことができる。
【0042】
このように、缶シーマー部8に搬送され缶蓋が巻き締められる直前の缶2のヘッドスペース11にシーマーガス供給部9から不活性ガスGN2供給するとともに、その上流のコンベヤ3の搬送経路において、缶2のヘッドスペース11の不活性ガスGN2の予備置換手段として、前記搬送経路の入側のアウターカバー4の端部近傍に設けられ、該端部近傍に不活性ガスGN2を吹き付ける不活性ガスカーテン形成部5と、缶2の開口部10上方から搬送経路に沿って複数箇所に設けられた不活性ガスGN2を連続的に供給するための不活性ガス供給部6と、コンベヤ3の搬送経路の途中に、ヘッドスペース11に液化不活性ガスLN2を供給するための液化不活性ガス供給部7とを設置したことにより、缶2のヘッドスペース11内の空気は、コンベヤ3上を搬送されるだけで自然に不活性ガスGN2に置換される。
【0043】
そして、コンベヤ3上を搬送されてある程度不活性ガスGN2に置換されたヘッドスペース11は、シーマーガス供給部9によって十分に不活性ガスGN2に置換され、ヘッドスペース11内の酸素量は十分に低減される。そのため内容物2aの酸素による劣化を防ぐことができる。
【0044】
また、前記搬送経路はアウターカバー4によって半密閉空間に保たれているため、安定した不活性ガス雰囲気下でガス置換を行うことができる。さらに、前記搬送経路入側のアウターカバー4端部には不活性ガスカーテン形成部5が設けられたため、半密閉空間に保たれた搬送経路内部への空気の浸入は防止され、該搬送経路内部の不活性ガス雰囲気は安定して維持される。
【0045】
不活性ガス供給部6の下方には搬送経路に沿うように焼結フィルタ12が設置されており、不活性ガスGN2は焼結フィルタ12を通過してからヘッドスペース11に供給される。この焼結フィルタ12は2〜10μmのメッシュで、好ましくは5μmのメッシュで形成されており、不活性ガス供給部6から空間部13に供給された不活性ガスGN2によって空間部13の圧力は微かに上昇され、該不活性ガスGN2はこの圧力差によって拡散しつつ焼結フィルタ12を通過する。そのため、半密閉空間に保たれた搬送経路のガス雰囲気は均一となりヘッドスペース11内の不活性ガスGN2の置換は安定して行われる。
【0046】
また、焼結フィルタ12を缶2の上端より10〜40mmの上方位置に配置させることにより、不活性ガスGN2は効率良く確実にヘッドスペース11に供給されるようになる。
【0047】
さらに、焼結フィルタ12の下端部に、搬送された缶2の側壁部に延びる絞り込み板17を、前記側壁部と離間させるように設置したことにより、缶2の上端面と焼結フィルタ12との間の空間は小さくなり、不活性ガスGN2はヘッドスペース11に向けて安定して供給される。
【0048】
焼結フィルタ12を通過した不活性ガスGN2は、0.5m/sec.以下の流速で、好ましくは0.1m/sec.の流速で供給させることにより、ヘッドスペース11内のガス置換は安定して行われる。これは、焼結フィルタ12を通過した不活性ガスGN2の流速が大きいと、例えば図5に示すように、焼結フィルタ12からの不活性ガスGN2の流れの影響が大きい範囲100においては、不活性ガスGN2の流れは上方から下方に向かったものとなる。そして、搬送される缶2によって生じる横方向の気流と、焼結フィルタ12からの上下方向への気流とが合流して缶2の開口部10近傍の範囲101の流れは速くなる。するとヘッドスペース11内部の領域と範囲101の気流との速度差が、例えば1.5m/sec.と大きなものとなり、それに伴ってヘッドスペース11は停滞領域となってしまい、焼結フィルタ12から供給された不活性ガスGN2はヘッドスペース11内部に行き渡らないこととなる。
【0049】
しかしながら、焼結フィルタ12から供給される不活性ガスGN2の流速を0.5m/sec.以下好ましくは0.1m/sec.に設定することにより、例えば図6に示すように、缶2の搬送によって生じる搬送方向の気流と焼結フィルタ12からの不活性ガスGN2との干渉によって開口部10近傍の流速が増加するといった現象が無くなる。そのため、ヘッドスペース11内部の気流は停滞せず、供給された不活性ガスGN2はヘッドスペース11の隅々にまで安定して循環される。
【0050】
図7に実験結果を示す。このうち、図7(a)は焼結フィルタ12から供給された不活性ガスGN2の流速が小さい場合のヘッドスペース11内部の酸素濃度分布を表しており、図7(b)は不活性ガスGN2の流速が大きい場合のヘッドスペース11内部の酸素濃度分布を表している。それぞれのグラフの横軸は、不活性ガス置換装置1の搬送経路方向における観測位置を表しており、観測は搬送経路の入側から出側までの5点の位置で行っている。各グラフのうち線Pは、各観測位置における缶2のヘッドスペース11の上端部分での上部酸素濃度P(%)を表しており、線Qはヘッドスペース11内部の内容物表面近傍での下部酸素濃度Q(%)を表している。そして酸素濃度測定は、それぞれのヘッドスペース11内部の位置にセンサを設置して行った。また線Rは、各観測位置で測定された焼結フィルタ12から供給された不活性ガスGN2の流速R(m/s)を表している。なお、このときの空気中の酸素の割合は20.9%であった。
【0051】
図7(a)に示すように、搬送経路の入側において、流速Rが約0.1m/s以下の低速であるとき、上部酸素濃度Pは約8%であり、下部酸素濃度Qは約19%であった。これより、流速Rが小さければ入側の位置においてでも上部酸素濃度Pを若干低下させることができることが分かる。そして不活性ガスGN2を供給しつつ缶2を下流に向かって搬送させることにより、不活性ガスGN2はヘッドスペース11内部に安定して供給され、下部酸素濃度Qは徐々に低下していく。そして、缶2が搬送経路の中央に搬送される頃には、上部酸素濃度Pと下部酸素濃度Qとの差はほとんど無くなっている。また、上部、下部酸素濃度P、Qは中央付近から出側にわたって低濃度を示しており、ガス置換は安定且つ確実に行われていることが分かる。
【0052】
一方、焼結フィルタ12から供給される不活性ガスGN2の流速が大きい場合、ヘッドスペース11の上部、下部酸素濃度P、Qは安定した挙動を示さない。つまり、図7(b)に示すように、搬送経路の入側において、流速Rが約0.5m/sと高速である場合、上部酸素濃度Pは約15%、下部酸素濃度Qは約19%であり、ガス置換はほとんど行われていないことが分かる。また、図7(b)に示すように流速Rが搬送経路全体にわたって常に0.3m/s以上と高い場合、下部酸素濃度Qは流路の中央部近傍においても約8%と高い数値を示しており、出側近傍に至るまで下部酸素濃度Qは低下されず、ヘッドスペース11内部のガス置換は安定して行われていないことが分かる。
【0053】
つまり、大きい流速で不活性ガスGN2が供給された場合、搬送される缶2によって生じる気流と供給される不活性ガスGN2とが干渉してしまって、不活性ガスGN2はヘッドスペース11内に安定して供給されなくなる。そのため、供給される不活性ガスGN2の流速を0.5m/sec.以下、好ましくは0.1m/sec.以下の低速で供給させることにより、不活性ガスGN2の置換は安定して行われる。
【0054】
半密閉空間状態の搬送経路において焼結フィルタ12を通過させた不活性ガスGN2を供給させつつ搬送される缶2に、その搬送途中で液化不活性ガスLN2を供給するととともに、缶シーマー部8において缶2に缶蓋を巻き締める直前にさらに不活性ガスGN2を供給させることにより、ヘッドスペース11は隅々まで不活性ガスGN2で満たされる。このことを検証した実験結果を表1に示す。
【表1】
【0055】
表1は、缶シーマー部8上流の不活性ガス置換部の構成とシーマーガス供給部9におけるガス供給量とをそれぞれ変化させたときの、缶シーマー部8直前(第3置換部C下流側)でのヘッドスペース11内部の酸素濃度、及びシーマーガス供給部9でガス置換を行った直後の酸素濃度を示したものである。表1中、LN2は液化不活性ガス供給部7を表しており、例えば表1中、No.4の構成である「LN2上流2.0m+LN2下流0.5m」とは、図1のように、液化不活性ガス供給部7の上流に設置された第1、第2不活性ガス置換部A、Bを合わせた搬送経路の長さが2.0mであり、液化不活性ガス供給部7の下流側つまり第3不活性ガス置換部Cの長さが0.5mであるということを表している。No.2、No.6、No.7の各条件についても同様である。また、No.6の「密閉なし」とは、搬送路を半密閉空間状態とせず、アウターカバー4の天井部4aを開放して半密閉空間状態を解いたときの条件を表している。また、No.1、No.3、No.5の「なし」とは、不活性ガス供給部6や焼結フィルタ12などを設けず、単に搬送経路内を不活性ガス雰囲気下にしたときの状態を示している。またガスターレット置換とは、シーマーガス供給部9において単位時間当たり(この場合1分間当たり)にヘッドスペース11に供給した不活性ガスGN2の量を表している。なお、このとき缶2は、約1.6m/s(1000cpm相当)の速さで搬送されており、焼結フィルタ12には5μmメッシュのものが使用されている。また、このときの大気中の酸素濃度は20.9%である。
【0056】
表1のNo.3の条件において、特に不活性ガス置換部を設けず、不活性ガスGN2が満たされた半密閉空間状態の搬送経路を搬送された後における缶2のヘッドスペース11の酸素濃度は14.6%であり、シーマーガス供給部9によるガス置換後は6.6%となった。一方、No.4の条件に示すように、液化不活性ガス供給部7の上流側に不活性ガス置換部を2m設置するとともに下流側に0.5mの不活性ガス置換部を設置させることにより、缶2のヘッドスペース11の酸素濃度は該搬送経路を通過させただけで、6.3%に低減される。そして、さらにターレット部9によるガス置換を併用することにより酸素濃度は1.5%にまで低減され、ガス置換は十分に行われていることが分かる。
【0057】
また、No.2とNo.4との比較から分かるように、液化不活性ガス供給部7上流側の不活性ガス置換部の搬送経路をできるだけ長く設置させることにより、該搬送経路を通過後のヘッドスペース11の酸素濃度はより低減される。
No.1とNo.3と、またはNo.4とNo.7との比較から分かるように、シーマーガス供給部9でのガス供給量を多くしてやることにより、シーマーガス供給部9による置換後の酸素濃度は確実に低減される。
また、No.6とNo.7との比較から分かるように、搬送経路を半密閉空間状態に維持しないと、該搬送経路を搬送させただけでは缶2のヘッドスペース11の酸素濃度は十分に低減されない。
【0058】
そして、不活性ガス置換部によってある程度(60〜70%)空気を置換させないと、シーマーガス供給部9において不活性ガスGN2の供給量を多くしても、所望の酸素濃度まで低減させることができない。
【0059】
このように、半密閉空間状態の搬送経路に搬送される缶2に不活性ガスGN2を連続的に供給するとともに液化不活性ガスLN2の供給を併用することにより、缶2は該搬送経路を通過するだけで例えば60〜70%程度のガス置換効果を得ることができる。さらに、缶蓋を巻き締める直前におけるシーマーガス供給部9からの不活性ガスGN2の供給を組み合わせることにより、96%以上もの高効率なガス置換を行うことができる。
【0060】
【発明の効果】
本発明の缶のガス置換装置及び置換方法は、以下のような効果を有するものである。
(1)内容物を収容し上部が開口状態の缶を連続して缶シーマー部に搬送させるためのコンベヤと、このコンベヤの搬送経路を前記缶シーマー部直前まで半密閉空間に保つためのアウターカバーと、前記搬送経路に沿って複数箇所に設けられ、前記アウターカバー内にて前記缶の上方から置換用ガスを連続的に供給するための置換用ガス供給部と、前記置換用ガス供給部と前記缶との間に前記搬送経路に沿って配置されるとともに前記供給部との間に前記供給部から供給された置換用ガスを一旦溜める空間部を介して前記置換用ガスの流速を低下させるためのフィルタ部と、前記缶シーマー部に設けられ、前記缶の開口部に缶蓋を巻き締める直前に前記ヘッドスペースに置換用ガスを供給するためのシーマーガス供給部と、前記搬送経路の途中に設置され、前記ヘッドスペースに液化置換用ガスを供給するための液化置換用ガス供給部と、前記搬送経路の最上流部に配置され、搬送された前記缶のヘッドスペースに置換ガスを供給するとともに前記アウターカバー内の置換ガス雰囲気を維持させるための置換ガスカーテン形成部と、を備えたことにより、缶のヘッドスペース内の空気は、コンベヤ上を搬送されるだけで自然に置換用ガスに置換される。そのため、ヘッドスペース内の酸素量は低減され、内容物の酸素による劣化は防止される。また、コンベヤ上を搬送されることによってある程度置換用ガスに置換されたヘッドスペースは、シーマーガス供給部から供給される置換用ガスによって十分に置換用ガスに置換される。そのため、前記ヘッドスペース内の酸素量は十分に低減され、内容物の酸素による劣化は防止される。さらに、搬送経路はアウターカバー及び置換ガスカーテン形成部によって半密閉空間に保たれているため、安定した置換用ガス雰囲気下でガス置換を行うことができる。また、置換用ガス供給部から供給された置換用ガスは、搬送経路に沿うように缶の上方に配置されたフィルタ部を通過してから搬送される缶のヘッドスペースに供給されるようになっている。そのため、フィルタ部を通過した置換用ガスは、半密閉空間に保たれた搬送経路内部に拡散しつつ均一に供給され、搬送経路内部の置換用ガス雰囲気は均一となり、ヘッドスペース内のガス置換を安定して行うことができる。さらに、搬送経路の途中に液化置換用ガス供給部を併設し、この液化置換用ガス供給部から前記ヘッドスペースに液化置換用ガスを供給し、搬送中に該液化置換用ガスを気化させることにより、ヘッドスペースのガス置換はさらに確実に行うことができる。
(2)フィルタ部には、2〜10μmのメッシュで形成された焼結フィルタを用いたことにより、置換用ガスはこの焼結フィルタを通過することによって十分に拡散されてから搬送経路に供給される。
(3)フィルタ部の下端部に、搬送される缶の側壁部に延びるように形成させた絞り込み板を設置したことにより、缶の上端と前記フィルタ部との間の空間は小さくなり、置換用ガスはヘッドスペースに向かって安定して供給される。
(4)内容物が充填された缶のヘッドスペース内の空気を置換用ガスに置換するための缶のガス置換方法であって、請求項1〜4のいずれか一項に記載の缶のガス置換装置を用いて、内容物を収容し上部が開口状態の缶のヘッドスペースに、前記搬送経路の最上流部に配置された置換ガスカーテン形成部から置換ガスを供給し、かつ、前記搬送経路に沿って設置されるとともに前記供給部との間に前記供給部から供給された置換用ガスを一旦溜める空間部を介して形成されたフィルタ部を通過させた置換用ガスを0.5m/sec.以下の流速で連続的に供給するとともに、前記缶の開口部に缶蓋を巻き締める直前に前記缶シーマー部において前記ヘッドスペースに置換用ガスまたは液化置換用ガスを供給することを特徴とする缶のガス置換方法によってガス置換することにより、前記缶は前記搬送経路を通過するだけである程度ガス置換が行われるとともに、さらに缶蓋を巻き締める直前の段階で置換用ガスが供給されるため、ヘッドスペースの隅部まで置換用ガスは十分に満たされ、缶蓋が巻き締められた密閉後の缶においても内容物の劣化は防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の缶のガス置換装置の実施形態の一例を示す構成図である。
【図2】図1のうち、第1置換用(不活性)ガス置換部を説明する側面図である。
【図3】図2のT−T断面図であり、置換用ガス供給部近傍を説明する図である。
【図4】置換用ガスカーテン形成部近傍を上方から見た図である。
【図5】焼結フィルタから供給される置換用ガスの流速が大きい場合の缶近傍の気流を説明する図である。
【図6】焼結フィルタから供給される置換用ガスの流速が小さい場合の缶近傍の気流を説明する図である。
【図7】缶の搬送経路の各位置における供給された置換用ガスの流速とヘッドスペース内部の酸素濃度との関係を説明する図である。
【図8】従来の缶のガス置換装置を説明する図である。
【符号の説明】
1 不活性ガス置換装置(ガス置換装置)
2 缶
2a 内容物
3 コンベヤ
4 アウターカバー
4a 天井部
5 不活性ガスカーテン形成部(置換用ガスカーテン形成部)
6 不活性ガス供給部(置換用ガス供給部)
7 液化不活性ガス供給部(液化置換ガス供給部)
8 缶シーマー部
9 シーマーガス供給部
10 缶開口部
11 ヘッドスペース
12 焼結フィルタ
13 空間部
14 フィルタ支持部
16 リフター
17 絞り込み板
A 第1不活性ガス置換部
B 第2不活性ガス置換部
C 第3不活性ガス置換部
GN2 不活性ガス(置換用ガス)
LN2 液化不活性ガス(液化置換用ガス)
Claims (6)
- 内容物が充填された缶のヘッドスペース内の空気を置換用ガスに置換するための缶のガス置換装置であって、
内容物を収容し上部が開口状態の缶を連続して缶シーマー部に搬送させるためのコンベヤと、
このコンベヤの搬送経路を前記缶シーマー部直前まで半密閉空間に保つためのアウターカバーと、
前記搬送経路に沿って複数箇所に設けられ、前記アウターカバー内にて前記缶の上方から置換用ガスを連続的に供給するための置換用ガス供給部と、
前記置換用ガス供給部と前記缶との間に前記搬送経路に沿って配置されるとともに前記供給部との間に前記供給部から供給された置換用ガスを一旦溜める空間部を介して前記置換用ガスの流速を低下させるためのフィルタ部と、
前記缶シーマー部に設けられ、前記缶の開口部に缶蓋を巻き締める直前に前記ヘッドスペースに置換用ガスを供給するためのシーマーガス供給部と、
前記搬送経路の途中に設置され、前記ヘッドスペースに液化置換用ガスを供給するための液化置換用ガス供給部と、
前記搬送経路の最上流部に配置され、搬送された前記缶のヘッドスペースに置換ガスを供給するとともに前記アウターカバー内の置換ガス雰囲気を維持させるための置換ガスカーテン形成部と、
を備えたことを特徴とする缶のガス置換装置。 - 請求項1に記載の缶のガス置換装置であって、
前記フィルタ部は、間隔をあけて複数段に配置された2〜10μmのメッシュを有する焼結フィルタからなることを特徴とする缶のガス置換装置。 - 請求項1または2に記載の缶のガス置換装置であって、
前記フィルタ部の下端部には、搬送される缶の側壁部に延びるように形成された絞り込み板が設置されたことを特徴とする缶のガス置換装置。 - 請求項1〜3のいずれかに記載の缶のガス置換装置であって、
前記置換用ガスは、不活性ガス又は炭酸ガスであることを特徴とする缶のガス置換装置。 - 内容物が充填された缶のヘッドスペース内の空気を置換用ガスに置換するための缶のガス置換方法であって、
請求項1〜4のいずれか一項に記載の缶のガス置換装置を用いて、内容物を収容し上部が開口状態の缶のヘッドスペースに、前記搬送経路の最上流部に配置された置換ガスカーテン形成部から置換ガスを供給し、かつ、前記搬送経路に沿って設置されるとともに前記供給部との間に前記供給部から供給された置換用ガスを一旦溜める空間部を介して形成されたフィルタ部を通過させた置換用ガスを0.5m/sec.以下の流速で連続的に供給するとともに、前記缶の開口部に缶蓋を巻き締める直前に前記缶シーマー部において前記ヘッドスペースに置換用ガスまたは液化置換用ガスを供給することを特徴とする缶のガス置換方法。 - 請求項5に記載の缶のガス置換方法であって、前記置換用ガスは、不活性ガス又は炭酸ガスであることを特徴とする缶のガス置換方法。
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