JP4119512B2 - 電気コンタクタ - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子回路を含むタイプの自動車のスタータ用電気コンタクタに関する。より詳細には、本発明は巻線内で軸方向に変位自在な可動磁気コアを同心状に備え、この磁気コアが、電気コンタクタの２つの端子を電気的に接続するための接点プレートの変位を制御する制御プランジャに作用するようになっており、電気コンタクタの固定された磁気コアに設けられた孔を、前記電気コンタクタと同時に移動する軸方向前方に制御プランジャが貫通し、固定された磁気コアが巻線の軸方向前方に配置され、接点プレートが、巻線の前方に配置された中空カバー内に収容されており、固定された前記磁気コアと前記制御プランジャが貫通する分離プレートとの間で、カバー内に電子回路が配置されているタイプの電気コンタクタに関するものであるが、これのみに限定されるものではない。
【０００２】
【従来の技術】
電気コンタクタの巻線を付勢するよう、給電を制御するために電子制御回路を利用することは知られている。かかる電子回路は、電気コンタクタの可動コアの変位をほぼ完全に制御するものであり、このコアの変位により、まず自動車の内燃機関の歯付きスタータクラウンにスタータのピニオンが噛合され、次に、自動車のエンジンを回転させるよう駆動するスタータの電動モータを始動するように、電源回路が閉じられるようになっている。
【０００３】
従来、電気コンタクタの外側に電子回路を配置することが提案されていたが、電気コンタクタの全体の大きさを小さくするために、コンタクタのフロントカバーと電子回路とを一体にすることが好ましいことが、最近明らかとなった。しかし、電子回路は、回路の異なる電子接続部の間で好ましくない電気的な接触を生じさせるようなゴミ、湿気および金属粒子によって極めて影響を受けやすい。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
現在の技術レベルの電気コンタクタでは、カバー内の区画室内にプリント回路基板状をした電子回路を配置し、この区画室を、分離壁すなわち仕切板により、背部の境界を定めている。
しかし、接点プレートの変位を生じさせるプランジャがこの区画室の中心部を軸方向に貫通するので、この区画室はシールされることがない。そのため、固定された磁気コア内、および分離仕切板に形成された２つの軸方向孔を軸方向に貫通するよう、制御プランジャがスライドしなければならない場合、プランジャとこれら孔との間に径方向の間隙を設ける必要がある。従って、制御プランジャが軸方向に変位する際に、電子回路が実装された区画室内に、ゴミまたは湿気が進入することがある。
【０００５】
本発明の課題は、上記問題を克服することにある。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、電子回路を含むタイプの自動車のスタータ用電気コンタクタに関する。より詳細には、本発明は巻線内で軸方向に変位自在な可動磁気コアを同心状に備え、この可動磁気コアが、電気コンタクタの２つの端子を電気的に接続するための接点プレートの変位を制御する制御プランジャに作用するようになっており、前記電気コンタクタの固定された磁気コアに設けられた孔を、前記電気コンタクタと同時に移動する軸方向前方に制御プランジャが貫通し、固定された磁気コアが巻線の軸方向前方に配置され、接点プレートが、巻線の前方に配置された中空カバー内に収容されており、前記固定された磁気コアと前記制御プランジャが貫通する分離プレートとの間で、カバー内に電子回路が配置されているタイプの電気コンタクタにおいて、前記分離プレートが、軸方向に対してほぼ直交する方向である横方向壁部分と、前記制御プランジャが軸方向にスライドするようになっている軸方向ブッシングとを備え、前記軸方向ブッシングが、前記横方向壁部分の前方、および前記固定された磁気コアの、前記軸方向前方と反対の後方にて開口していることを特徴とする。
【０００７】
本発明の好ましい特徴によれば、分離プレートは、カバー内において、接点ヘッドおよび接点プレートが内部に配置された前方区画室と電子回路が内部に配置された、シールされた後方区画室とを構成している。好ましくは、分離プレートの軸方向ブッシングは、固定された磁気コアの孔内にシールされた状態で係合された軸方向後方端部を有する。
最後に述べた装置の好ましい実施例では、分離プレートのブッシングの軸方向後方端部は、内側のラジアルカラー部分を含み、このカラー部分は、おおむね環状の横方向面を構成し、ブッシングの後方端部が固定された磁気コアの孔に嵌合された時に、固定された磁気コアの前方面に環状横方向面の後方部が軸方向に係合する。
【０００８】
本発明の別の好ましい特徴によれば、分離プレートの軸方向ブッシングは、軸方向の前方端部を有し、この軸方向前方端部は、横方向壁部分を越えて延びると共に、接点プレートに対する当接表面を構成している。
【０００９】
本発明の更に別の好ましい特徴によれば、軸方向ブッシングは中心ボアを有し、内部で制御プランジャの後方部分がガイドされる後方セグメントと、直径のより大きい前方セグメントとを、前記中心ボアが備えている。この場合、好ましくは、接点プレートは制御プランジャの中間部分にてスライド運動できるように取り付けられており、中間部分の後方に配置された外側ラジアルカラー部分と接点プレートとの間に、螺旋圧縮スプリングが挟持されている。これにより、螺旋圧縮スプリングが接点プレートを前進した位置に向けて押圧するようになっており、制御プランジャが、後退位置すなわち休止位置にあると、軸方向ブッシングのワイド前方セグメントに、中間部分を囲むス螺旋圧縮プリングが中間部分と共に嵌合される。
【００１０】
分離プレートの横方向壁部分は、補強リブを有することが好ましい。
【００１１】
本発明の実施例では、カバーは後方を向くと共に、カバーの前記２つの区画室の間の連通部に配置された横方向面を有し、この横方向面に、分離プレートの横方向壁部分の周辺エッジ部分が軸方向前方に係合している。
【００１２】
好ましくは、電子回路が嵌合されているカバーの後方区画室は、分離プレートの軸方向ブッシングを囲むようほぼ環状となっている。
【００１３】
添付図面を参照し、単なる非限定的な例として示した本発明の好ましい実施例の次の詳細な説明を読めば、本発明の上記以外の特徴および利点がより明らかとなろう。
【００１４】
【発明の実施の形態】
図１は、自動車のエンジンの電子スタータのための電気コンタクタ１０を示す。このコンタクタ１０は、ケーシングのうちのおおむね円筒形のケーシング１４内に設けられた、軸線Ａ１を有する環状の誘導巻線１２を含んでいる。この巻線１２は、巻型すなわち巻線本体１６に巻かれている。
【００１５】
この巻線１２内には、この巻線１２と同心状の可動磁気コア１８（これもおおむね円筒形である）が配置されており、このコア１８は、図１に示された後退位置、すなわち休止位置と伸長位置、すなわち作動位置（図示せず）との間を、軸方向にスライドするようになっている。
可動磁気コア１８は、巻線１２が通常の方法で電流によって付勢される前は、巻線１２によって発生される磁界により、休止位置から図１の左側に向かって作動位置に変位する。巻線１２によって発生される磁界線、すなわち磁力線は巻線１２の前方を軸方向にほぼ直交する横方向に延びる固定された磁気コア４６によって閉じられている。
【００１６】
可動磁気コア１８は、通常の態様で作動位置に向かって変位することにより、スタータピニオン（図示せず）を自動車のエンジン（図示せず）の歯付きクラウンに噛合させる。これと同時に、可動磁気コア１８は、プランジャ２０を軸方向に変位させ、次にプランジャ２０は、図１に示す後退位置、すなわち休止位置から、伸長位置、すなわち作動位置へ接点プレート２２を軸方向に変位させ、作動位置で接点プレート２２は、その前方で端子２８の接点ヘッド２４および端子３０の接点ヘッド２６に軸方向に係合する。
これら端子の一方は、自動車のバッテリーに接続されており、他方の端子は、スタータの電動モータに接続されている。従って、作動位置では、接点プレート２２は電源回路をスタータモータに接続し、スタータモータは次にエンジンを始動するようにエンジンを回転駆動する。
【００１７】
接点プレート２２および端子２８の接点ヘッド２４、ならびに端子３０の接点ヘッド２６は、電気コンタクタ１０のケーシング１４の前方を閉じるカバー３２の内部に、公知の方法で配置されている。
【００１８】
特に図２から判るように、カバー３２の前方区画室３４の内部には、接点プレート２２および端子２８および３０が収容されている。この区画室３４は、ほぼ平行六面体状となっており、カバー３２の円筒形の後方区画室３６内に開口している（図１参照）。この後方区画室３６によって、カバーを電気コンタクタ１０のケーシング１４に接続することが可能となっている。
【００１９】
電気コンタクタ１０は、プリント回路基板３８を含み、このプリント回路基板３８は、横方向平面内にあり、カバー３２の後方区画室３６内に収容されている。このプリント回路基板３８は、誘導巻線１２への給電を制御するための電子回路を支持している。
【００２０】
カバーの後方区画室３６の内側の軸方向境界は、まず分離プレート４４の前方横方向壁部分４２によって定められ、次に固定された横方向磁気コア４６によって定められている。このように、カバー３２の前方区画室３４は、後方の軸方向の境界が、分離プレート４４の横方向壁部分４２によって定められ、更に前方の境界が前方横方向壁５０によって定められ、前方横方向壁５０を端子２８および３０のねじ切りされた円筒形本体すなわちシャンクが貫通し、軸方向に外部まで延びている。
【００２１】
このように、可動磁気コア１８を接点プレート２２に接続する制御プランジャは、カバー３２の後方区画室３６を軸方向に貫通し、より詳細には、横方向の固定された磁気コア４６に形成された軸方向孔５２を貫通している。
【００２２】
分離プレート４４の本体は、おおむね管状をした軸方向ブッシング５４であり、この軸 方向ブッシング５４は、カバーの前方区画室３４から、ならびに可動磁気コア１８が変位できる巻線本体１６の中心ボア５６から、少なくともかなりの程度の範囲までカバー３２の後方区画室３６をシールしている。軸方向ブッシング５４は、段部が設けられた円筒形のチューブ状をしており、このチューブは、後方セグメント５８と、前方セグメント６０を含む中心ボア５９を有している。前方セグメント６０の直径は、後方セグメント５８の直径よりも大きくなっている。
【００２３】
図１および図３から明らかなように、軸方向ブッシング５４の中心ボア５９は、壁部分４２の前方、すなわちカバー３２の前方区画室３４で開口している。中心ボア５９は、後端部が固定された磁気コア４６内に形成された軸方向孔５２内で終わっており、軸方向ブッシング５４の中心ボア５９は、巻線本体１６の中心ボア５６のカバーの前方区画室３４に連通する軸方向通路を構成している。
このような連通を行うために、軸方向ブッシング５４の軸方向後方端部６２は、後方を向いた環状の横方向面６６を構成する内側ラジアルカラー部分６４を含んでいる。図１から明らかなように、固定された磁気コア４６の孔５２に嵌合されているのは、ラジアルカラー部分６４であるが、固定された磁気コア４６の前方面に、環状の横方向面６６、すなわちスラストショルダーが軸方向に当接している。
【００２４】
更に、分離プレート４４の横方向壁部分４２は、カバー３２の前方区画室３４と後方区画室３６との連通部において、後方を向いたカバー３２の内側横方向面７２（図２）に対して、壁部分４２の周辺エッジ部分７０を介して前方が軸方向に係合するようになっている。図２から明らかなように、横方向壁部分４２は、おおむね長方形となっているが、この長方形は、前方区画室３４の横方向断面に形状が類似するが、これよりも若干大きくなっている。
【００２５】
従って、電気コンタクタ１０のケーシング１４にカバー３２を固定すると、カバー３２と固定された磁気コア４６との間の軸方向に分離プレート４４が保持され、固定された磁気コア４６自体がケーシング１４に固定されるので、後方区画室３６は、前方区画室３４および巻線本体１６のボア５６から分離される。
【００２６】
従って、軸方向ブッシング５４が貫通するカバーの後方区画室３６は、おおむね環状となっているので、プリント回路基板３８自体も環状としなければならない。従って、プリント回路基板は軸方向ブッシング５４に対する中心通路を含んでいる。
【００２７】
特に図１から明らかなように、制御プランジャ２０の後方部分７４は、軸方向ブッシング５４の中心ボア５９の後方セグメント５８内を軸方向にスライド運動するようにガイドされる。この制御プランジャ２０は、中間部分７６（図１）により、プランジャの後方部分７４から軸方向前方に延び、中間部分７６には、接点プレート２２が軸方向運動できるように取り付けられ、この中間部分は、螺旋圧縮スプリング７８により軸方向前方に押圧されている。この螺旋圧縮スプリング７８は、制御プランジャの中間部分７６の後端部に配置された外側のラジアルカラー部分８０と接点プレート２２の後方面８２との間に軸方向に挟持されている。
【００２８】
制御プランジャ２０が休止位置にあるときは、軸方向ブッシング５４の中心ボア５９の前方セグメント６０内に、カラー部分８０と、中間部分７６と、螺旋圧縮スプリング７８とが効果的に嵌合される。この位置では、軸方向ブッシング５４の環状横方向前方端面８４（図３参照）に、接点プレート２２がその後方面８２を介して当接する。
【００２９】
横方向壁部分４２の曲げを制限するために、この横方向壁部分には、補強リブ８６が設けられており、このリブ８６は、壁部分４２の前後の横方向面の各々にある軸方向平面に位置している。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明のスタータコンタクタの一部を示す軸方向断面図である。
【図２】 本発明のコンタクタの前端のためのカバー（一部が切り欠かれている）、およびコンタクタの分離プレートを示す分解斜視図である。
【図３】 分離プレートの軸方向拡大断面図である。
【符号の説明】
１０ 電気コンタクタ
１２ 巻線
１４ ケーシング
１６ 巻線本体
１８ 可動磁気コア
２０ プランジャ
２２ 接点プレート
２４、２６ ヘッド
２８、３０ 端子
３２ カバー
３４ 前方区画室
３６ 後方区画室
３８ プリント回路基板
４２ 壁部分
４４ 分離プレート
４６ 固定された磁気コア
５０ 前方横方向壁
５２ 軸方向孔
５４ 軸方向ブッシング
５６ 中心ボア
５８ 後方セグメント
５９ 中心ボア
６０ 前方セグメント
６２ 軸方向後方端部
６４ カラー部分
６６ 環状の横方向面
６８ 前方面
７０ 周辺エッジ部分
７４ 後方部分
７２ 横方向面
７６ 中間部分
７８ 螺旋圧縮スプリング
８０ カラー部分
８２ 後方面
８４ 環状横方向前方端面
８６ 補強リブ

Claims (10)

1. 巻線（１２）内で軸方向に変位自在な可動磁気コア（１８）を同心状に備え、この可動磁気コア（１８）が、電気コンタクタ（１０）の２つの端子（２８）（３０）を電気的に接続するための接点プレート（２２）の変位を制御する制御プランジャ（２０）に作用するようになっており、前記電気コンタクタ（１０）の固定された磁気コア（４６）に設けられた孔（５２）を、前記電気コンタクタ（１０）と同時に移動する軸方向前方に制御プランジャ（２０）が貫通し、固定された磁気コア（４６）が巻線（１２）の軸方向前方に配置され、接点プレート（２２）が、巻線（１２）の前方に配置された中空カバー（３２）内に収容されており、前記固定された磁気コア（４６）と前記制御プランジャ（２０）が貫通する分離プレート（４４）との間で、カバー（３２）内に電子回路が配置されているタイプの電気コンタクタにおいて、
   前記分離プレート（４４）が、軸方向に対してほぼ直交する方向である横方向壁部分（４２）と、前記制御プランジャ（２０）が軸方向にスライドするようになっている軸方向ブッシング（５４）とを備え、前記軸方向ブッシング（５４）が、前記横方向壁部分（４２）の前方、および前記固定された磁気コア（４６）の、前記軸方向前方と反対の後方にて開口していることを特徴とする、電気コンタクタ。
2. 前記分離プレート（４４）が、前記カバー（３２）内において、接点ヘッド（２４）（２６）および接点プレート（２２）が内部に配置された前方区画室（３４）と、電子回路が内部に配置された、シールされた後方区画室（３６）とを構成していることを特徴とする、請求項１記載の電気コンタクタ。
3. 前記分離プレート（４４）の前記軸方向ブッシング（５４）が前記固定された磁気コア（４６）の前記孔（５２）内に、シールされた状態で係合された軸方向後方端部（６２）を有することを特徴とする、請求項２記載の電気コンタクタ。
4. 前記分離プレート（４４）の前記軸方向ブッシング（５４）の軸方向後方端部（６２）が、内側のラジアルカラー部分（６４）を含み、このカラー部分が、おおむね環状の横方向面（６６）を構成し、前記軸方向ブッシング（５４）の前記軸方向後方端部（６２）が前記固定された磁気コア（４６）の前記孔（５２）に嵌合された時に、前記固定された磁気コア（４６）の前面（６８）に環状の前記横方向面（６６）の後方部が軸方向に係合するようになっていることを特徴とする、請求項３記載の電気コンタクタ。
5. 前記分離プレート（４４）の前記軸方向ブッシング（５４）が軸方向の前方端部を有し、この軸方向前方端部が前記横方向壁部分（４２）を越えて延びると共に、前記接点プレート（２２）に対する当接表面を構成していることを特徴とする、請求項２〜４のいずれかに記載の電気コンタクタ。
6. 前記軸方向ブッシング（５４）が中心ボア（５９）を有し、内部で前記制御プランジャ（２０）の後方部分（７４）がガイドされる後方セグメント（５８）と、直径のより大きい前方セグメント（６０）とを、前記中心ボア（５９）が備えることを特徴とする、請求項２〜５のいずれかに記載の電気コンタクタ。
7. 前記接点プレート（２２）が、前記制御プランジャ（２０）の中間部分（７６）においてスライド運動できるように取り付けられており、中間部分（７６）の後方に配置された外側ラジアルカラー部分（８０）と接点プレート（２２）との間に、螺旋圧縮スプリング（７８）が挟持されており、もって、前進した位置に向けて前記接点プレート（２２）を前記螺旋圧縮スプリング（７８）が押圧するようになっており、前記制御プランジャ（２０）が、後退位置すなわち休止位置にあると、前記軸方向ブッシング（５４）のワイド前方セグメント（６０）に中間部分（７６）を囲む前記螺旋圧縮スプリング（７８）が、中間部分と共に嵌合されるようになっていることを特徴とする、請求項６記載の電気コンタクタ。
8. 前記分離プレート（４４）の前記横方向壁部分（４２）が、補強リブ（８６）を有することを特徴とする、請求項２〜７のいずれかに記載の電気コンタクタ。
9. 前記カバー（３２）が後方を向くと共に、前記カバー（３２）の前記２つの区画室（３４）と（３６）との間の連通部に配置された横方向面（７２）を有し、この横方向面（７２）に、前記分離プレート（４４）の前記横方向壁部分（４２）の周辺エッジ部分（７０）が軸方向前方に係合していることを特徴とする、請求項２〜８のいずれかに記載の電気コンタクタ。
10. 電子回路が嵌合されているカバー（３２）の後方区画室（３６）が、前記分離プレート（４４）の前記軸方向ブッシング（５４）を囲むよう、ほぼ環状となっていることを特徴とする、請求項２〜９のいずれかに記載の電気コンタクタ。

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