JP4105045B2 - 発熱抵抗体式空気流量計 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンに吸入される空気流量を計測する発熱抵抗体式空気流量計に係り、特に、一時的な断線状態(電源瞬断・瞬停)時の保護に好適な発熱抵抗体式空気流量計に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に電子回路では、例えば、特開2001−327101号公報に記載されているように、一時的な断線状態に対応するために、コンデンサ等を用いたバックアップ回路を用いている。
【0003】
一方、発熱抵抗体式空気流量計は、サージによる破壊や電波等の外乱ノイズによる誤動作を防ぐため、電源供給線に抵抗やインダクタ、コンデンサ等で構成する保護回路を備えている。そして、コネクタの接触不良等によって電源が一時的に断線(電源瞬断・瞬停)した場合においても、この保護回路を構成するコンデンサに蓄えた電荷によって発熱抵抗体式空気流量計を動作させている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、最近、バックアップ可能な時間を長くしたいという要求がでてきている。例えば、従来は、一時的に断線状態になった後、0.2ms程度の間空気流量計の出力が得られれば良いものであったものが、例えば、0.4ms程度の間まで空気流量計の出力を得られるようにしたいというものである。この要求に応える方法として考えられるのは、バックアップ用のコンデンサの容量を大きくすることである。
【0005】
しかしながら、次の理由によって、コンデンサの容量を大きくすることは、現状では困難である。例えば、0.2msのバックアップ時間を確保するために用いられているコンデンサは、例えば、0.1μFのチップコンデンサである。このチップコンデンサは、回路基板上にオンチップで配置されている。このとき、バックアップ時間を0.4msまで伸ばそうとすると、10μF程度のコンデンサが必要となる。これは、発熱抵抗式の空気流量計では、発熱抵抗体における消費電力が大きいため、バックアップコンデンサにチャージされた電圧が低下すると、発熱抵抗体に流れる電流も少なくなり、正確な空気流量の計測が不可能になるためである。このような大容量のコンデンサはチップコンデンサでは実現しにくいため、実質的に基板にオンチップで取り付ける構成が取り得なくなる。自動車用に用いられる空気流量計は、年々小型化してきているため、実装面積の制限からコンデンサ容量は制限されるため、上述のようにしてコンデンサ容量を大きくする方法では、バックアップ時間の延長には答えられないものである。
ンサが必要となる。しかししまう。
【0006】
本発明の目的は、バックアップ時間を長くできる発熱抵抗体式空気流量計を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、発熱抵抗体と空気温度を検出する感温抵抗体と固定抵抗器からなるブリッジ回路の差動信号を演算増幅器で増幅し、帰還することで空気流量に従った出力信号を得る空気流量検出回路と、この空気流量検出回路の出力信号を所定の特性に調整する調整回路とを有する発熱抵抗体式空気流量計において、電源瞬断を検知する電源瞬断検知回路と、この電源瞬断検知回路によって電源瞬断が検出されると、前記発熱抵抗体に流れる電流を遮断する遮断回路と、前記電源瞬断検知回路によって電源瞬断が検出されると、電源瞬断前の出力を保持し、その保持した値を出力する保持手段とを備え、前記保持手段は、メモリであり、前記電源瞬断検知回路によって電源瞬断が検出されると、このメモリに対する新たな書き込みを禁止して、電源瞬断前の出力を保持し、その保持した値を出力し、前記調整回路の電源として、外部のコントロールユニットから出力される基準電源VREFを用いるようにしたものである。
かかる構成により、回路全体を低消費電力化するとともに、瞬停前のデータを保持することにより、バックアップ時間を長くし得るものとなる。
【0011】
(2)上記目的を達成するために、本発明は、発熱抵抗体と空気温度を検出する感温抵抗体と固定抵抗器からなるブリッジ回路の差動信号を演算増幅器で増幅し、帰還することで空気流量に従った出力信号を得る空気流量検出回路と、この空気流量検出回路の出力信号を所定の特性に調整する調整回路とを有する発熱抵抗体式空気流量計において、電源瞬断を検知する電源瞬断検知回路と、この電源瞬断検知回路によって電源瞬断が検出されると、前記発熱抵抗体に流れる電流を遮断する遮断回路と、前記電源瞬断検知回路によって電源瞬断が検出されると、電源瞬断前の出力を保持し、その保持した値を出力する保持手段とを備え、前記保持手段は、サンプルホールド回路であり、前記電源瞬断検知回路によって電源瞬断が検出されると、このサンプルホールド回路により電源瞬断前の出力を保持し、その保持した値を出力するようにしたものである。
かかる構成により、回路全体を低消費電力化するとともに、瞬停前のデータを保持することにより、バックアップ時間を長くし得るものとなる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜図4を用いて、本発明の第1の実施形態による発熱抵抗体式空気流量計の構成及び動作について説明する。
最初に、図1を用いて、本実施形態による発熱抵抗体式空気流量計の構成及び動作について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態による発熱抵抗体式空気流量計の構成を示すブロック図である。
【0013】
本実施形態による空気流量計は、基本的な構成として、空気流量検出回路10と、調整回路20とを備えている。さらに、瞬停時のバックアップのために、バックアップコンデンサC1と、電源瞬断検知回路50と、定電圧基準回路60と、抵抗R1とコンデンサC2の直列回路と、トランジスタTR1とを備えている。
【0014】
最初に、通常の状態(瞬停でない状態)における空気流量検出回路10と、調整回路20の構成及び動作について説明する。
【0015】
空気流量検出回路10は、空気流量をセンシングして電気信号に変換する回路である。空気流量検出回路10は、演算増幅器OP1と、パワートランジスタTR2と、発熱抵抗体(ホットワイヤ)RHと、感温抵抗体(コールドワイヤ)RCと、固定抵抗R3,R4,R5とから構成されている。発熱抵抗体(ホットワイヤ)RHと、感温抵抗体(コールドワイヤ)RCと、固定抵抗R3,R4は、ブリッジ回路を構成している。
【0016】
演算増幅器OP1は、空気流量が変化しても発熱抵抗体RHの温度を常に一定に保つように発熱抵抗体RHに流れる電流を制御している。発熱抵抗体RHに流れる電流は固定抵抗R4の両端電圧に比例するので、この電圧を測定すれば空気流量を測定できる。
【0017】
調整回路20は、空気流量検出回路からの出力を所定の特性に調整する回路である。調整回路20は、アナログ・デジタル変換回路(AD)21と、デジタル演算器(DSP)22と、書き換え可能なメモリ(RAM)23と、書込み可能なメモリ(PROM)24と、デジタル・アナログ変換回路(DA)25と、フリーランニングカウンタ(FRC)26と、デジタル演算器(DSP)22を動作させるための発振回路27と、出力形態を切換えるマルチプレクサ(MPX)28とを備えている。さらに、瞬停時のバックアップのための構成として、スイッチ回路31と、書き込み禁止回路32とを備えている。調整回路20は、1チップ上の集積回路にまとめることができる。
【0018】
調整回路20は、空気流量検出回路10からの出力をアナログ・デジタル変換器(AD)21でデジタル値に変換する。このデジタル値はデジタル演算器(DSP)22に入力され、書き込み可能なメモリ(PROM)24に記憶されているプログラム及び計算に必要な係数を用いて、ゼロ点・スパン調整、温度補正を計算し、その結果をデジタル出力し、書き換え可能なメモリ(RAM)23に記憶する。書き換え可能なメモリ(RAM)23に記憶されたデジタル演算器(DSP)22の出力は、デジタル・アナログ変換器(DA)25或いはフリーランニングカウンタ(FRC)26に入力され、出力形態(電圧出力あるいは周波数出力)に応じてマルチプレクサ(MPX)28によって切換えられ、最終的に出力となる。
【0019】
次に、瞬停時のバックアップのための構成について説明する。
【0020】
バックアップコンデンサC1は、電源電圧を充電する。バックアップコンデンサC1は、小容量のものでよく、例えば、0.1μFのチップコンデンサを用いている。電源瞬断検知回路50は、電源電圧が設定電圧より低くなると瞬停状態であると判断して、空気流量計を低消費電力に移行させる信号を発生する。
【0021】
ここで、図2を用いて、電源瞬断検知回路50の構成について説明する。
図2は、本発明の第1の実施形態による発熱抵抗体式空気流量計に用いる電源瞬断検知回路の構成を示す回路図である。なお、図1と同一符号は、同一部分を示している。
【0022】
電源瞬断検知回路50は、ツェナダイオードZD1と、固定抵抗器R10,R11,R12と、トランジスタTR4とで構成される。通常動作時は、トランジスタTR4をONさせて出力をLow状態にしておく。電源瞬断時は、電源電圧(VB)がツェナダイオードZD1と固定抵抗器R12で決まる設定電圧以下になると、電源瞬断と判定して、出力Vout2をHigh状態に移行させることで瞬断検知信号を出力する。電源瞬断検知回路50の出力Vout2は、図1に示すように、抵抗R7を介してトランジスタTR1のベース端子に供給される。トランジスタTR1は、空気流量検出回路10を構成する演算増幅器OP1の非反転入力端子に接続されている。
【0023】
電源瞬断検出回路50は、電源電圧が設定電圧以下になると検出信号を出力する。この検出信号が出力されると、演算増幅器OP1の非反転端子の電圧をトランジスタTR1により強制的にLowにする。これに伴いパワートランジスタTR2が駆動しなくなるため発熱抵抗体RHに流れる電流は遮断されるため、空気流量検出回路10の消費電力を零として、回路全体の消費電力を小さくすることができる。
【0024】
図1において、定電圧基準回路60は、基準電圧を発生する。ここで、図3を用いて、定電圧基準回路60の構成について説明する。
図3は、本発明の第1の実施形態による発熱抵抗体式空気流量計に用いる定電圧基準回路の構成を示す回路図である。なお、図1と同一符号は、同一部分を示している。
【0025】
定電圧基準回路60は、ツェナダイオードZD3で構成され、ツェナ電圧の設定により定電圧の設定が行うことができる。定電圧基準回路60の出力電圧は、調整回路20の駆動電圧VCCとして供給される。
【0026】
また、電源瞬断検知回路50の出力Vout2は、図1に示すように、調整回路20のSTANBY端子に供給される。調整回路20は、上述したように、STANBY端子に接続されたスイッチ回路31と、書き込み禁止回路32とを備えている。電源瞬断検出回路50からSTANBY端子に、電源電圧が設定電圧以下になったことを検出した瞬断検知信号が入力すると、スイッチ回路31がオフとなって、定電圧基準回路60からアナログ・デジタル変換回路(AD)21と、デジタル演算器(DSP)22と、書込み可能なメモリ(PROM)24と、発振回路27とに対する電力供給を停止する。これによってアナログ・デジタル変換回路(AD)21とデジタル演算器(DSP)22と書込み可能なメモリ(PROM)24と発振回路27は駆動しなくなるため、調整回路20の消費電力を小さくして、回路全体の消費電力を小さくすることができる。
【0027】
また、電源瞬断検出回路50からSTANBY端子に、電源電圧が設定電圧以下になったことを検出した瞬断検知信号が入力すると、書き込み禁止回路32は、デジタル演算器(DSP)22から書き換え可能なメモリ(RAM)23に対する書き込みを禁止する。通常の動作では、書き換え可能なメモリ(RAM)23は、デジタル演算器(DSP)22の出力を逐次上書き記憶しているが、書き込み禁止となると、新たなデータの書き込み記憶が禁止され、したがって、書き込み禁止になる前のデータが保持される。すなわち、書き込み禁止回路32と、書き換え可能なメモリ(RAM)23とによって、瞬停前のデータを保持する保持手段を構成している。書き換え可能なメモリ(RAM)23保持されたデータは、デジタル・アナログ変換器(DA)25或いはフリーランニングカウンタ(FRC)26に入力され、出力形態(電圧出力あるいは周波数出力)に応じてマルチプレクサ(MPX)28によって切換えられ、出力されるので、瞬停時にも空気流量計としての出力を得ることができる。
【0028】
このときの出力は、正確な空気流量を示すものではないが、その出力を用いて一時的にエンジン制御等を継続することができる。空気流量計の出力は、エンジン制御等に用いられるが、例えば、空気流量検出回路10に対する電力供給が停止して、空気流量検出回路10の出力は0となると、エンジン制御装置は、燃料噴射量が0となるような制御を実行するため、エンジンが停止することになる。しかしながら、瞬停前の空気流量信号が出力されることにより、エンジン制御装置は、あたかも、正確な空気流量が検出されているように判断するため、エンジン制御を継続する。そして、瞬停が終わった後は、正常は空気流量信号に基づいて、エンジン制御を継続することができる。
【0029】
次に、図4を用いて、接触不良やノイズ等で電源瞬断が発生した場合の動作について説明する。
図4は、本発明の第1の実施形態による発熱抵抗体式空気流量計の瞬停時の動作を示す波形図である。図4において、横軸は時間を示している。図4(A)の縦軸は電源電圧VBを示している。図4(B)の縦軸は電源瞬断検知回路50の出力である電源瞬断検出信号を示している。図4(C)の縦軸は発熱抵抗体RHHに流れる電流を示している。図4(D)の縦軸は空気流量検出回路10及び調整回路20を含む発熱抵抗体式空気流量計の回路全体の消費電流を示している。図4(E)の縦軸は空気流量検出回路10の検出信号を示している。図4(F)の縦軸は空気流量計の出力を示している。
【0030】
図4(A)に示すように、時刻t1において、電源電圧VBが、電源瞬断の発生により予め設定しておいた電圧VS以下になると、図4(B)に示すように、電源瞬断検知回路50は検出信号(a)を出力する。
【0031】
検出信号(a)が出力されると演算増幅器OP1の非反転入力端子に接続されたトランジスタTR1を動作させ、非反転入力端子の電位をゼロにすることによりパワートランジスタTR2を動作させなくする。それによって、図4(C)に示すように、発熱抵抗体RHに流れる電流(b)がゼロとなるため大幅に消費電力を低減できる。また一方で、検出信号(a)は調整回路20のSTANDBY端子にも入力され、調整回路20は低消費電力状態に切り替えられる。したがって、図4(D)に示すように、回路全体の消費電流は、大幅に小さくなる。
【0032】
それと同時に、図4(F)に示すように、電源瞬断直前のデジタル演算器(DSP)22からの出力は書き換え可能なメモリ(RAM)23に保持されているため、低消費電力状態の間その値をデジタル・アナログ変換器(DA)20あるいはフリーランニングカウンタ(FRC)21に入力して空気流量計の出力(e)を保持する。したがって、図4(E)に示すように、空気流量検出信号は0となっても、空気流量計の出力は、保持することが可能となる。
【0033】
そして、時刻t2において、瞬停状態から回復すれば、瞬停以前と同様に通常の動作に復帰できる。
【0034】
以上説明したように、本実施形態によれば、電源瞬断時に電源瞬断検知回路の信号により回路全体を低消費電力状態にして、且つ出力を保持することにより電源瞬断が発生しても、空気流量をエンジンコントロールユニットに伝えることが可能となる。しかも、保持手段を用いることにより、バックアップ時間を長くできる。
【0035】
次に、図5を用いて、本発明の第2の実施形態による発熱抵抗体式空気流量計の構成及び動作について説明する。
図5は、本発明の第2の実施形態による発熱抵抗体式空気流量計の構成を示すブロック図である。なお、図1と同一符号は、同一部分を示している。
【0036】
本実施形態において、基本的な回路構成は、図1に示した実施形態と同じであるが、調整回路の回路構成が異なる。本実施形態の調整回路20Aは、アナログ・デジタル変換回路(AD)21と、デジタル演算回路(DSP)22と、書き換え可能なメモリ(RAM)23と、書込み可能なメモリ(PROM)24と、発振回路27と、スイッチ回路31の他に、デジタル・アナログ変換回路(DA)34と、マルチプレクサ回路(MPX)35と、サンプルホールド回路(SH)36とを備えている。
【0037】
調整回路20Aは、空気流量検出回路10からの出力をアナログ・デジタル変換器(AD)21でデジタル値に変換する。このデジタル値はデジタル演算器(DSP)22に入力され書き込み可能なメモリ(PROM)24に記憶されているプログラム及び計算に必要な係数を用いて、ゼロ点・スパン調整、温度補正を計算し、その結果をデジタル出力され、書き換え可能なメモリ(RAM)23に記憶される。書き換え可能なメモリ(RAM)23に記憶されたデジタル演算器22の出力はデジタル・アナログ変換器(DA)34に入力され、電圧に変換される。通常の状態では、マルチプレクサ回路(MPX)35は、デジタル・アナログ変換器(DA)34の出力をそのまま外部出力となるように選択されている。
【0038】
電源瞬断時は、STANDBY端子に瞬断検出信号が印加されて、スイッチ回路31がオフとなって、定電圧基準回路60からアナログ・デジタル変換回路(AD)21と、デジタル演算器(DSP)22と、書込み可能なメモリ(PROM)24と、発振回路27と、書き換え可能なメモリ(RAM)23とに対する電力供給を停止する。これによってアナログ・デジタル変換回路(AD)21とデジタル演算器(DSP)22と書込み可能なメモリ(PROM)24と発振回路27と書き換え可能なメモリ(RAM)23は駆動しなくなるため、調整回路20の消費電力を小さくして、回路全体の消費電力を小さくすることができる。
【0039】
また、電源瞬断検出回路50からSTANBY端子に、電源電圧が設定電圧以下になったことを検出した瞬断検知信号が入力すると、マルチプレクサ回路(MPX)35は、サンプルホールド回路(SH)36側に切替え、サンプルホールド回路(SH)36は瞬断検出信号によってホールドモードに固定され、電源瞬断直前の出力を保持した状態のままとなり、この保持された電圧が外部に出力される。
【0040】
本実施形態によれば、電源瞬断時に電源瞬断検知回路の信号により回路全体を低消費電力状態にして、且つ出力を保持することにより電源瞬断が発生しても、空気流量をエンジンコントロールユニットに伝えることが可能となる。
【0041】
また、書き換え可能なメモリ(RAM)のデータを用いず、ハード的に出力を保持できるため、信頼性の高い電源瞬断対応回路を実現できる。すなわち、図1に示したように、書き換え可能なメモリ(RAM)23にデータを保持する場合、瞬停が生じると、書き換え可能なメモリ(RAM)23に供給される電圧が低下した場合、メモリ内容が消去される場合もあるが、本実施形態のように、サンプルホールド回路(SH)を用いる場合には、さらに長時間のデータ保持が可能となり、信頼性を向上することができる。
【0042】
次に、図6を用いて、本発明の第3の実施形態による発熱抵抗体式空気流量計の構成及び動作について説明する。
図6は、本発明の第3の実施形態による発熱抵抗体式空気流量計の構成を示すブロック図である。なお、図1と同一符号は、同一部分を示している。
【0043】
本実施形態において、基本的な回路構成は、図1に示した実施形態と同じであるが、調整回路の回路構成が異なる。本実施形態の調整回路20Bは、演算増幅器OP2と、固定抵抗体R21,R22,R23,R24と、サンプルホールド回路(SH)36と、マルチプレクサ(MPX)35で構成される。
【0044】
調整回路20Bは、空気流量検出回路10からの出力を演算増幅器OP2で所定の特性に調整した後、マルチプレクサ(MPX)35でサンプルホールド回路(SH)36を介す場合と介さない場合とに分けられ、出力する。通常動作時は、電源瞬断検知回路50からの出力がないため、マルチプレクサ(MPX)35はサンプルホールド回路(SH)36を介さずに直接出力する。一方、電源瞬断が発生した場合、第1の実施形態と同様に電源瞬断検知回路50から検知信号が送られ空気流量検出回路10のパワートランジスタTR2をオフ状態にして低消費電力状態に移行させ、同時にマルチプレクサ(MPX)35をサンプルホールド回路(SH)36を介すように切換えて電源瞬断が発生する直前の演算増幅器OP2の出力をサンプルホールド(SH)36で保持し、その保持した値を出力する。
【0045】
本実施形態によれば、アナログ処理による出力調整回路を用いた空気流量計においても電源瞬断時の動作を安定化できる。
【0046】
次に、図7を用いて、本発明の第4の実施形態による発熱抵抗体式空気流量計の構成及び動作について説明する。
図7は、本発明の第4の実施形態による発熱抵抗体式空気流量計の構成を示すブロック図である。なお、図1と同一符号は、同一部分を示している。
【0047】
本実施形態において、基本的な回路構成は、図1に示した実施形態と同じであるが、調整回路の回路構成が異なる。本実施形態の調整回路20Cは、アナログ・デジタル変換回路(AD)21と、デジタル演算器(DSP)22と、書き換え可能なメモリ(RAM)23と、書込み可能なメモリ(PROM)24と、デジタル・アナログ変換回路(DA)25と、フリーランニングカウンタ(FRC)26と、デジタル演算器(DSP)22を動作させるための発振回路27と、出力形態を切換えるマルチプレクサ(MPX)28とを備えている。さらに、瞬停時のバックアップのための構成として、書き込み禁止回路32を備えている。
【0048】
すなわち、図1に示したスイッチ回路31は備えていないものであり、その代わりに、調整回路20Cの電源(VCC)は、エンジンコントロールユニットから供給される電源VREFを用いる。エンジンコントロールユニットの種類によっては、エンジンコントロールユニット以外のセンサ回路(空気流量計など)の信号の誤差を少なくするため、DA変換時等の基準となる電源VREFを出力する構成のものが存在する。このようなエンジンコントロールユニットとともに用いる場合には、空気流量計の調整回路20Cの電源として、電源VREFを用いる。
【0049】
電源瞬断が発生した場合、第1の実施形態と同様に電源瞬断検知回路50から検知信号が送られ空気流量検出回路10のパワートランジスタTR2をオフ状態にして低消費電力状態に移行させ、書き込み禁止回路32によって、書き換え可能なメモリ(RAM)23に対する書き込みを禁止することによって、瞬停以前のデータを書き換え可能なメモリ(RAM)23に保持して、この値に基づいて出力する。書き換え可能なメモリ(RAM)23は、電源VREFから電源を供給されているため、電圧低下によるデータの喪失などが生じないため、信頼性を向上することができる。また、定電圧基準回路が不要となるため、小型化が可能となる。
【0050】
本実施形態によれば、電源瞬断時に電源瞬断検知回路の信号により回路全体を低消費電力状態にして、且つ出力を保持することにより電源瞬断が発生しても、空気流量をエンジンコントロールユニットに伝えることが可能となる。
【0051】
また、信頼性を向上し、しかも、小型化し得るものとなる。
【0052】
【発明の効果】
本発明によれば、発熱抵抗体式空気流量計における瞬停時のバックアップ時間を長くできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態による発熱抵抗体式空気流量計の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態による発熱抵抗体式空気流量計に用いる電源瞬断検知回路の構成を示す回路図である。
【図3】本発明の第1の実施形態による発熱抵抗体式空気流量計に用いる定電圧基準回路の構成を示す回路図である。
【図4】本発明の第1の実施形態による発熱抵抗体式空気流量計の瞬停時の動作を示す波形図である。
【図5】本発明の第2の実施形態による発熱抵抗体式空気流量計の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の第3の実施形態による発熱抵抗体式空気流量計の構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の第4の実施形態による発熱抵抗体式空気流量計の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
10…空気流量検出回路
20,20A,20B,20C…調整回路
21…アナログ・デジタル変換器(AD)
22…デジタル演算器(DSP)
23…書き換え可能なメモリ(RAM)
24…書込み可能なメモリ(PROM)
25…デジタル・アナログ変換器(DA)
26…フリーランニングカウンタ
27…発振回路
29,35…マルチプレクサ(MPX)
31…スイッチ回路
32…書き込み禁止回路
36…サンプルホールド回路(SH)
50…電源瞬断検知回路
60…定電圧基準回路
C1…バックアップコンデンサ
RH…感温抵抗体(コールドワイヤ)
RC…発熱抵抗体(ホットワイヤ)
Claims (2)
- 発熱抵抗体と空気温度を検出する感温抵抗体と固定抵抗器からなるブリッジ回路の差動信号を演算増幅器で増幅し、帰還することで空気流量に従った出力信号を得る空気流量検出回路と、この空気流量検出回路の出力信号を所定の特性に調整する調整回路とを有する発熱抵抗体式空気流量計において、
電源瞬断を検知する電源瞬断検知回路と、
この電源瞬断検知回路によって電源瞬断が検出されると、前記発熱抵抗体に流れる電流を遮断する遮断回路と、
前記電源瞬断検知回路によって電源瞬断が検出されると、電源瞬断前の出力を保持し、その保持した値を出力する保持手段とを備え、
前記保持手段は、メモリであり、
前記電源瞬断検知回路によって電源瞬断が検出されると、このメモリに対する新たな書き込みを禁止して、電源瞬断前の出力を保持し、その保持した値を出力し、
前記調整回路の電源として、外部のコントロールユニットから出力される基準電源VREFを用いることを特徴とする発熱抵抗体式空気流量計。 - 発熱抵抗体と空気温度を検出する感温抵抗体と固定抵抗器からなるブリッジ回路の差動信号を演算増幅器で増幅し、帰還することで空気流量に従った出力信号を得る空気流量検出回路と、この空気流量検出回路の出力信号を所定の特性に調整する調整回路とを有する発熱抵抗体式空気流量計において、
電源瞬断を検知する電源瞬断検知回路と、
この電源瞬断検知回路によって電源瞬断が検出されると、前記発熱抵抗体に流れる電流を遮断する遮断回路と、
前記電源瞬断検知回路によって電源瞬断が検出されると、電源瞬断前の出力を保持し、その保持した値を出力する保持手段とを備え、
前記保持手段は、サンプルホールド回路であり、
前記電源瞬断検知回路によって電源瞬断が検出されると、このサンプルホールド回路により電源瞬断前の出力を保持し、その保持した値を出力することを特徴とする発熱抵抗体式空気流量計。
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