JP4098531B2 - 生化学分析装置のセルの洗浄方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、生化学分析装置の洗浄方法に関し、とくに血液、尿等の臨床検査試料の分析、免疫学的試験等の多数の生体関連試料を連続的に多岐にわたる分析を行う臨床生化学自動分析装置のセル等の洗浄液およびそれを用いた洗浄方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
血液、尿等の生化学的分析、免疫学的試験は、臨床医学的診断等における基礎的な資料を得る手段として極めて重要である。これらの分析、試験は、多数の検体のそれぞれについて、数十項目もの多数の分析・試験項目を行い、かつできるだけ短時間に結果を得ることが必要とされるために、近年では自動化された分析装置によって行われるようになってきている。自動化によって、測定結果報告の敏速化や省力化が進み、今後さらに多種多様の反応原理を用いた分析試薬があらわれ、同時測定が行われてゆくだろう。
【0003】
このような臨床生化学自動分析装置によって血液を検体とする場合のおよその手順を説明すると次のようである。
検体である血液をまず遠心分離して検体トレイ中に収める。上澄みである血清をピペットでとり出して、希釈ターンテーブルに収められた希釈セルに移して生理食塩水等で希釈する。その希釈液をサンプリングして、回転反応器の反応セルホルダーに収められた反応セルに注入する。そこへ各種分析・試験に必要な試薬を添加し、攪拌して反応させる。反応セル中の反応済のサンプルを吸光度測定等の光学的測定により、測定値を得る。測定終了後、反応セルは洗浄・乾燥される。なお、自動分析装置は、検体、希釈液、反応液、試薬、それぞれについて、これらを入れる多数のセルもしくはカップを収容して回転式に動作する、検体トレイ、希釈ターンテーブル、回転反応器、試薬ターンテーブルを備えている。
【0004】
かかる自動分析においては光学的測定が多いため、これら試験において正確な測定値を得るためには、セル類、とくに光学的測定が行われる反応セルは常に清浄化された状態で用いられねばならない。そこで、従来より、使用後の反応セル等は界面活性剤を含むアルカリ性の水系の洗浄剤等を用いて洗浄することが行われてきた。
【0005】
しかしながら、生化学分析において用いられる試薬類は分析項目と同様、数十種類に及ぶが、なかには、ポリスチレンラテックス等の合成ラテックスを含有する試薬がかなりの数ある。
合成ラテックスは、微細な合成樹脂粒子からなり、その表面には保護層、機能性層が形成されたものであり、表面に抗原を固定していて、透明なものである。これを試薬として試料中に添加すると、試料中に含まれている抗体と抗原抗体反応を起こして、合成樹脂粒子間の架橋・凝集が起こり、試料は光の透過度が落ちたものとなる。この濁度の変化を吸光度測定して試料中の抗体の濃度を把握する。このような原理の合成ラテックス粒子を利用した分析方法は、各種ホルモン、細菌、ウイルス、糖尿病検査等の分析において極めて重要なものとなっている。たとえば、ヘモグロビンA1c(糖化ヘモグロビン)(糖尿病検査試薬)などは合成ラテックスを多量に含有し、しかも極めて頻度高く使用されている。
【0006】
多くの試薬の反応物は反応セルの内壁等に汚れとして残るが、合成ラテックスを含有する試薬による試験後の汚れは、試薬中、試料中の蛋白質や試料中の脂質の汚れと相俟って複合汚れとして頑固にこびりついたものとなる。
【0007】
このような合成ラテックス含有試薬による汚れは、界面活性剤を含むアルカリ性洗浄剤での洗浄のほか、洗浄水の噴射あるいは超音波洗浄など物理的手段を併用しても、従来の洗浄方法では十分に洗浄することが困難であり、とくにヘモグロビンA1cなど合成ラテックスを多量に含有する試薬を用いた測定に多用する場合には、極めて短期間のうちに合成ラテックス複合汚れによって使用不能になり、新しい反応セルに取り替えざるを得なかった。
【0008】
これら有機系の合成ラテックス複合汚れを落とすためには、有機高分子を溶解する強力な有機溶媒の使用が考えられるが、あまりに強い溶解力であると、ポリエチレンやABSなど合成樹脂を構成材料とする反応セルそのものを溶解、膨潤作用等により損傷を与える可能性がある。
【0009】
また、そのような溶解力の強い有機溶媒は、人体や生物に対する毒性があったり、劇物や危険物であったりすることが少なくない。したがって、作業者の人体の安全性へ影響を及ぼすものであったり、洗浄液の排出が各自治体の環境問題に関する排出規制に抵触するものとなったりしかねない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、生化学分析装置、とくに自動分析装置において、合成ラテックス粒子等が強固に吸着した吸光度測定セル等の使用後セルを洗浄して、再利用可能とするための洗浄剤および洗浄方法を提供することを課題とするものである。さらに、本発明は、単に汚れを落とすというだけでなく、セルの素材を損傷するものでないこと、また、洗浄作業者の人体の安全性に影響を及ぼすことがないこと、洗浄液の排出が環境問題を引き起こすようなものでないこと等の条件をも満たす、高洗浄性能でかつ実用性が高い前記の洗浄液、洗浄方法を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく、生化学分析装置のセルの汚れや洗浄の実態等を考慮しつつ、洗浄剤、洗浄方法を種々探索した結果、合成ラテックス混合汚れ等頑固な汚れを落とせる溶解力の強力な「洗浄除去有機溶媒」と、洗浄力は有するが、セル等の樹脂に損傷は与えない程度の溶解力を有する「希釈有機溶媒」と、複合汚れ中の脂質等に働いて洗浄溶媒の洗浄を助ける「界面活性剤」からなる構成の有機溶媒系洗浄液とすれば、上記の多くの課題を解決した生化学分析装置のセルの洗浄剤および洗浄方法が得られることを知見し、本発明を完成した。
【0012】
すなわち、本発明は、ラテックスを含む試薬と検体との反応、およびラテックスを含む試薬と検体との反応液の光学的測定等に用いられ、使用後洗浄して乾燥される生化学分析装置のセルのための洗浄液であって、
該洗浄液は、(a)洗浄除去有機溶媒、(b)希釈有機溶媒および(c)界面活性剤からなり、
前記(a)成分と(b)成分の重量比が10:90〜70:30であり、前記(c)成分が前記(a)成分と(b)成分の合計量に対して、0.001〜5重量%であり、
pHが5.0〜9.0であり、
(a)洗浄除去有機溶媒がN , N−ジメチルホルムアミド、N , N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、酢酸エチル、ベンジルアルコール、ジメチルスルホキシド、オレンジオイル、リモネンからなる群から選ばれる少なくとも一種であり、(b)希釈有機溶媒が3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、プロピレングリコール、イソブチレングリコール、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコールからなる群から選ばれる少なくとも一種であり、(c)界面活性剤がフッ素系界面活性剤、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも一種である生化学分析装置のセルの洗浄液である。
【0013】
なお、本発明において、(b)希釈有機溶媒は水を含有していてもよく、(a)洗浄除去有機溶媒と(水を含めた)(b)希釈有機溶媒の合計量のうち25重量%までの水を含有していてもよい。
【0016】
さらに、本発明は、上記の洗浄液を、生化学分析装置の接液部を機器本体に装着した状態で注入するか、あるいは機器本体からセル等を取り外して当該洗浄液浴中に浸漬することにより行う生化学分析装置のセルの洗浄方法を提供する。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の生化学分析装置のセルの洗浄液、洗浄方法についてその実施の形態を詳細に説明する。
【0018】
(洗浄液)
(a)洗浄除去有機溶媒:
洗浄除去有機溶媒は、合成ラテックス混合汚れ等頑固な汚れを落とすための主洗浄溶媒としての役割を果たし、次のような条件を満たすものである。
▲1▼合成ラテックス混合汚れをも溶解することができる強力な溶解力を有する有機溶媒であること。
▲2▼毒物、劇物、危険物として、厳しい法規制の対象になるようなものではないこと。
▲3▼洗浄液として排出されたとき、河川、海で魚毒性等、環境汚染が大きく懸念されるものでないこと。
【0019】
かかる条件を満たす有機溶媒として、次のようなものが例示できる。
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、酢酸エチル、ベンジルアルコール、ジメチルスルホキシド、オレンジオイル、リモネン等であり、これら有機溶媒の1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これら有機溶媒のうち、合成ラテックス混合汚れの洗浄除去効果が最もすぐれ、安全性も高いものとして、N-メチル-2-ピロリドンが最も好ましく用いることができる。
【0020】
(b)希釈有機溶媒:
上記洗浄除去溶媒は、それのみでは、合成ラテックス複合汚れの洗浄除去に極めて有効であるものの、反応セル等の樹脂をも溶解、膨潤して損傷するおそれがある。そこで本発明の洗浄液では、次のような条件を満たす有機溶媒を用いて洗浄除去溶媒を希釈する。
▲1▼有機汚れに対する洗浄性があるほどの溶解力を有すること。
▲2▼洗浄排水中では希釈されるよう水溶性であること。
▲3▼反応セル等の樹脂に対して損傷、腐食などの影響を及ぼさないこと。
▲4▼毒性、危険物性、環境汚染性等が小さいこと。
【0021】
かかる条件を満たす有機溶媒として、次のようなものが例示できる。
3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール、プロピレングリコール、イソブチレングリコール、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコール系有機溶媒またはエタノール、メタノール、イソプロピルアルコール等からなる有機溶媒であり、これらの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。なかでも上記条件を最もよく満たすものとして、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノールが最も好ましく用いることができる。
【0022】
(a)洗浄除去有機溶媒と (b)希釈有機溶媒との混合比率は、合成ラテックス複合汚れが十分に除去でき、かつセル等の樹脂に損傷を与えず、安全性、環境汚染性のないような比率が選択される。それら適切な混合比率は、洗浄除去溶媒種と希釈溶媒種の組み合わせにより異なり、また、頻度が多い検査項目の差異(試薬の相違)により生ずる、対象となる合成ラテックス混合汚れの性質の相違(合成ラテックスの樹脂の種類、試薬や試料中からくる蛋白質や脂質の汚れの種類)、さらには、反応セル等の素材等、個別状況に応じて異なってくる。
【0023】
ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等の有機溶剤耐性にすぐれるセル素材に対しては、(a)成分と(b) 成分の混合系において、(a)成分は、合成ラテックス洗浄除去性能から10重量%以上を要し、樹脂への損傷性がほとんどないことから100重量%近くまで用いてもよい。しかし、他のセル素材として、あるいはセルを収めるホルダー等、セルとともに洗浄液に曝される周辺部品の素材として、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート(PC)、ポリビニルアルコール(PVA)など各種の樹脂素材がある。このような広範囲の樹脂素材に対しても樹脂への損傷性の問題をなくするには、(a)成分の混合比率の上限は70重量%程度に抑えられねばならない。
すなわち、ほぼ汎用性のある好ましい混合比率は、前記(a)成分と(b)成分の重量比が10:90〜70:30の範囲である。
【0024】
ところで、本発明の(a)洗浄除去有機溶媒−(b)希釈有機溶媒混合系において、水溶性である(b)希釈有機溶媒は、(a)成分と(b) 成分の合計量の25重量%程度まで水で置き換えてもよい。しかし、このような含水系においては、合成ラテックスの洗浄除去力を落とさないために、前記(a)成分は、当該含水混合溶媒系において、少なくとも60重量%以上混合される必要がある。
【0025】
(c)界面活性剤
本発明においては、合成ラテックス混合汚れの頑固な固着性の一因である、試薬や試料中からくる蛋白質や脂質の汚れを乳化してセル壁面から剥がれ易くするために、界面活性剤を用いる。界面活性剤は、合成ラテックス汚れがひどいとき、試薬の種類によって極めて落ち難い混合汚れになっているとき、あるいは、長期間放置された合成ラテックス混合汚れのときなどに特に洗浄除去効果の向上に寄与し得る。
【0026】
使用可能な界面活性剤としては、次のものが挙げられる。
パ−フルオロアルキルアミンオキサイド、パ−フルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パ−フルオロアルキルカルボン酸塩、パ−フルオロアルキル隣酸塩、パ−フルオロアルキルベタイン、パ−フルオロトリメチルアンモニウム塩などのフッ素系界面活性剤;アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸塩、アシルグルタミン酸塩、メタキシレンスルホン酸塩、パラトルエンスルホン酸塩、アルキルチオ脂肪酸塩などの陰イオン界面活性剤;モノアルキルアンモニウムクロライド、ジアルキルアンモニウムクロライド、ジアルキルEO付加型アンモニウムクロライド、アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラアルキルアンモニウムクロライドなどの陽イオン界面活性剤;ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、アルキルポリグルコシド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレングリセリルアルキルエーテル、アルキルアミノキシド、ポリオキシエチレンブロックポリマー、ポリオキシプロピレンジグルセリルエーテル、シロキサンオキシエチレン共重合体などの非イオン界面活性剤;アルキルベタイン、イミダゾリウムベタインなどの両性界面活性剤などが挙げられる。上記界面活性剤は単独で、または2種以上の組み合わせて用いられる。
【0027】
上記した界面活性剤のうち、少量で浸透力の強いものとして、フッ素系界面活性剤、ケイ酸系の非イオン界面活性剤であるシロキサンオキシエチレン共重合体、陰イオン界面活性剤であるアルキルチオ脂肪酸塩やケイ素含有カルボン酸塩などが好ましく、フッ素系界面活性剤がとくに好ましい。
【0028】
本発明の洗浄液における(c)界面活性剤の添加量は、(a)洗浄除去有機溶媒と(b)希釈有機溶媒の合計量に対して(固形分として)0.001〜5重量%が好ましい。なお、界面活性剤は通常、粉末もしくは水溶液の形で入手できるが、水溶液の形であっても、本発明の洗浄液における添加量は多くないので、希釈有機溶媒が含水していてもよいのと同様に、その水分は本発明洗浄液の有機溶媒的洗浄特性にほとんど影響しない。
【0029】
本発明の洗浄液は、基本的に(a)洗浄除去有機溶媒、 (b)希釈有機溶媒および(c)界面活性剤からなるが、その他に必要に応じて防腐剤、アルカリ化剤、酸性化剤等の成分を添加することができる。
【0030】
しかしながら、必要に応じ、その他成分を加える場合においても、結果としての本発明の洗浄液のpHは、安全性の点から、また洗浄排水の排出規制の観点から、5.0〜9.0の中性範囲に維持されることが好ましい。
【0031】
(洗浄方法)
上記した本発明の洗浄液によって、生化学分析装置のセル等を洗浄する方法はとくに制限されるものではなく、セルが機器本体に装着した状態で注入されてもよく、あるいは機器本体からセル等を取り外して当該洗浄液の浴の中に浸漬することにより行ってもよい。
【0032】
セルが機器本体に装着した状態での洗浄は、次のような手順で行われる。
吸光度測定が終わった反応セルはノズル等から内部に洗浄水を注入し、洗浄した後、乾燥される。次いで、反応セル内に、本発明の有機溶媒系洗浄液を注液して所定時間放置した後に、洗浄液を排出し、再度新規の有機溶媒系洗浄液で洗浄する操作を繰り返した後に、乾燥を行うことによって洗浄を終了する。
【0033】
また、自動分析装置のように多数のセルを洗浄処理するには、複数のセルを収容しているホルダーが分解し易くなっている装置であれば、そのホルダーごと複数のセルを取り出して洗浄液の浴の中に浸漬するのが簡便である。その場合、装置構造として、一つのホルダーが全セルを収容しているのでなく、複数のホルダーに分割されておれば、浸漬操作が容易であり、洗浄浴もそれほど大きくなくて済むので好ましい。
【0034】
洗浄液またはその浴の温度としては、室温もしくは40℃程度まで加温してもよい。また、洗浄液またはその浴への浸漬時間は、30秒〜10分間程度で十分である。洗浄液またはその浴から出したセル等は、蒸留水で10回程度すすぎ洗いを行い、水切りして、自然乾燥する。
【0035】
本発明の洗浄液が洗浄の対象とするのは、合成ラテックス複合汚れが付着している反応セルが主なものであるが、他に、反応液を攪拌するための攪拌翼・攪拌棒等、合成ラテックス汚れに汚染されているものも洗浄でき、検体試料からの蛋白質、脂質汚れが付着した希釈セルを洗浄してもよい。なお、セルのホルダーごと浸漬洗浄するのであるから、この点からも洗浄液は合成樹脂を損傷するものであってはならない。
【0036】
【実施例】
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、その要旨を逸脱しない限りこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下において配合比率もしくは%は重量基準である。
【0037】
試験例1
全自動生化学自動分析装置BioMajesty JCA-BM 9030(日本電子株式会社製)を使用し、ヘモグロビンA1c分画測定等に使用される合成ラテックス粒子のセル内壁への吸着により使用不能となった反応セル(PE製)を、(a)洗浄除去有機溶媒、(b)希釈有機溶媒(もしくはその一部又は全部を水に置き換えたもの)および(c)界面活性剤の混合系よりなる洗浄液に浸漬した。ここで、(a)洗浄除去有機溶媒としてはN−メチル−2−ピロリドン、(b)希釈有機溶媒としては3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノ−ル、(c)界面活性剤としてはパ−フルオロアルキルアミンオキサイド(30%水溶液として添加;下記表1〜表3においては純分として表示した)を用いた。
【0038】
(ラテックス残渣の洗浄性)
ラテックス残渣の除去性の試験として以下の試験を行った。
ラテックス粒子等の吸着した反応セル中に、各種配合割合の前記洗浄液を加入し、液温を37±2℃に保持して10分間放置することにより、浸漬洗浄した。その後、洗浄液を排出し、蒸留水で10回すすぎ洗いを行い、水切りを行って室内で自然乾燥した。
乾燥が終わったセルを、ル−ペを用いて目視判定でラテックス残渣の有無を確認した。
試験結果は次の四段階で評価した。
◎・・・ラテックス残渣全くなし
○・・・ラテックス残渣僅かに残存
△・・・ラテックス残渣残存
×・・・ラテックス残渣ほとんど落ちず
【0039】
試験例2
(樹脂への影響)
前記洗浄液の配合No.1〜64について、以下の樹脂に対する影響を調べた。
樹脂の種類:PE(ポリエチレン)
PP(ポリプロピレン)
PVC(ポリ塩化ビニル)
PS(ポリスチレン)
PC(ポリカーボネート)
PVA(ポリビニルアルコール)
配合No.1〜64の洗浄液中に上記各種合成樹脂片を浸漬し、液温37±2℃で24時間後の樹脂表面の状態を調べた。
試験結果は次の三段階で評価した。
◎・・・樹脂表面異状なし
○・・・樹脂表面僅かに変化有り
△・・・樹脂表面膨潤、収縮、軟化状態
【0040】
(試験結果)
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】
(a)洗浄除去有機溶媒と(b)希釈有機溶媒との混合比について調べた表1の配合No.1〜8の非水系洗浄液において、ラテックス汚れの除去に関しては(a)N−メチル・2−ピロリドンと(b)3−メトキシ・3−メチル・1−ブタノ−ルの配合比が60:40〜100:0で最も良好な洗浄性が得られ、合成樹脂への影響については、80:20〜100:0で一部の樹脂について樹脂表面に膨潤、収縮、軟化状態等の変化が現れた。すなわち、良好なラテックス汚れの洗浄除去性と樹脂への影響がないこととが両立する範囲は、(a)成分:(b)成分が60:40〜70:30の狭い範囲であった。もっとも、PE、PP等の樹脂をセル素材とすれば、(a)成分:(b)成分が100:0であっても樹脂にほとんど損傷は認められない。
【0044】
表1の配合No.9〜16の洗浄液、配合No.17〜24の洗浄液は、(a)洗浄除去有機溶媒と(b)希釈有機溶媒に加えて、(c)界面活性剤をそれぞれ0.003%、0.006%添加したものであるが、0.003%添加では、合成ラテックス汚れの洗浄除去性は(c)成分無添加の場合に比べて良好であり、良好なラテックス汚れの洗浄除去性と樹脂への影響がないこととが両立した範囲は、(a)成分:(b)成分が40:60〜70:30であった。0.006%添加の場合も同様の結果であった。すなわち、(c)界面活性剤の効果によって洗浄性と樹脂非損傷性が両立する範囲が広がっている。
【0045】
表2の配合No.25〜32の洗浄液、配合No.33〜40の洗浄液、配合No.41〜48の洗浄液は、(c)界面活性剤をそれぞれ0.03%、0.3%、3%添加したものであるが、ラテックス汚れの洗浄除去性、樹脂非損傷性いずれも、前記の(c)成分0.003%添加の場合と同様の結果となっている。
なお、ラテックス残渣の洗浄性の試験において、中途でセルを引き上げて観察すると、(c)界面活性剤の濃度が増すにつれ、短時間でラテックス汚れの落ち方がよくなる傾向を認めた。
【0046】
(a)洗浄除去有機溶媒と(b)希釈有機溶媒と水との混合比について調べた表3の含水系洗浄液において、配合No.49〜63、すなわち(a)N−メチル・2−ピロリドンが60〜80%では樹脂素材への影響はみられなかったが、配合No.64、65、すなわち(a)N−メチル・2−ピロリドンが90%では、影響の受けやすい樹脂素材の表面に膨潤、収縮、軟化状態等の変化が現れた。
【0047】
ラテックス洗浄性に関しては、樹脂への影響がみられない範囲において、No.50およびNo.63、すなわち(a)N−メチル・2−ピロリドンと(b)3−メトキシ・3−メチル・1−ブタノ−ルと水の配合比がそれぞれ60:30:10および80:10:10で最も良好であった。
【0048】
非水系洗浄液に比べて、含水系洗浄液では、(a)N−メチル・2−ピロリドンの割合が多くなっても水分含量が増加すれば、樹脂に対する影響が少なくなるが、ラテックスの洗浄性に関しては、水分重量%に比例して低下し、水分が30%以上では、ラテックスの汚れはほとんど落ちなかった。すなわち、含水系洗浄液においても水分含量は25%以下であることが好ましい。
【0049】
【発明の効果】
生化学自動分析装置において、本発明の洗浄液を用いることにより、従来は再生不能であったラテックス粒子の吸着によるプラスチック製反応セルの汚れが効率良く確実に洗浄でき、かつ、それは反応セル等の樹脂素材に影響の少ないものである。そして、測定値の正確性・精密性の向上はもとより、取扱い上の安全性にもすぐれ、省資源化及び環境への配慮が可能になる。
Claims (2)
- ラテックスを含む試薬と検体との反応、およびラテックスを含む試薬と検体との反応液の光学的測定等に用いられ、使用後洗浄して乾燥される生化学分析装置のセルのための洗浄液であって、
該洗浄液は、(a)洗浄除去有機溶媒、(b)希釈有機溶媒および(c)界面活性剤からなり、
前記(a)成分と(b)成分の重量比が10:90〜70:30であり、前記(c)成分が前記(a)成分と(b)成分の合計量に対して、0.001〜5重量%であり、
pHが5.0〜9.0であり、
(a)洗浄除去有機溶媒がN , N−ジメチルホルムアミド、N , N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、酢酸エチル、ベンジルアルコール、ジメチルスルホキシド、オレンジオイル、リモネンからなる群から選ばれる少なくとも一種であり、(b)希釈有機溶媒が3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、プロピレングリコール、イソブチレングリコール、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコールからなる群から選ばれる少なくとも一種であり、(c)界面活性剤がフッ素系界面活性剤、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも一種である生化学分析装置のセルの洗浄液。 - 請求項1記載の洗浄液を、生化学分析装置のセルを機器本体に装着した状態で注入するか、あるいは機器本体からセル等を取り外して当該洗浄液浴中に浸漬することにより行う生化学分析装置のセルの洗浄方法。
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