JP4089406B2 - 半導電性ゴムロール用ゴム組成物及び半導電性ゴムロール - Google Patents

半導電性ゴムロール用ゴム組成物及び半導電性ゴムロール Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリンターや複写機などのOA機器の導電性ゴム部品として有用な半導電性ゴムロール及びその材料として好適な半導電性ゴムロール用ゴム組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プリンター、複写機及びファクシミリなどのOA機器には、導電性ロールを始めとした各種導電性ゴム部品が使用されている。通常、OA機器用の導電性ロールは、静電対策として中抵抗領域の導電性が必要であるとともに、感光体との接触面積を確保して画像を鮮明にし、また感光体を傷つけないようにするため、使用するゴム材料には低硬度性が要求される。そのため、無機充填剤の添加量はホースなどの自動車用途に比べて少量に抑える傾向がある。
【0003】
エピクロルヒドリンゴム等のポリエーテルゴムは、中抵抗領域の導電性を有することから、導電性付与剤を添加することなく、OA機器の導電性ゴム部品に適した導電性を与えることができる点で有用である。しかしながら、無機充填剤の添加量を低く抑えなければならないという状況下では、エピハロヒドリンゴム単独では、金属製の混練用ロールに対する巻き付き性や表面肌の平滑性が悪く、また切断しやすいなど加工性に問題があった。
【0004】
一方、エピハロヒドリンゴムを用いたゴム組成物としては、エピハロヒドリンゴムと架橋性アクリルゴムとのブレンド物が特許文献1又は特許文献2に開示されている。
特許文献1には、エピクロルヒドリンゴムとエポキシ基含有アクリルゴムのブレンド物に、特定の架橋剤及び受酸剤を組み合わせたゴム組成物が記載されている。また、特許文献2には、エピクロルヒドリンゴムとハロゲン含有アクリルゴムのブレンド物に、特定の架橋剤及び受酸剤を組み合わせたゴム組成物が記載されている。
しかしながら、上記特許文献のいずれにおいても、実施例においては、ゴム成分100重量部に対してカーボンブラックを40重量部使用しているため硬度が高く、OA機器の導電性ゴム部品としては使用できない。また、ゴム組成物の粘度が高いため、該組成物を用いた発泡させたゴム層を有する半導電性ゴムロールの成形は困難である。
【0005】
【特許文献1】
特開平7−300556号公報
【特許文献2】
特開平7−278426号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、金属製の混練ロールなどによる加工性に優れた半導電性ゴムロール用ゴム組成物、及び該組成物を成形して成る、OA機器用のロールとして使用可能な程度の低硬度と中抵抗領域の導電性とを有する半導電性ゴムロールを提供することにある。
【0007】
【課題が解決するための手段】
本発明者らは、上記実情に鑑み鋭意検討した結果、ゴム成分としてポリエーテルゴムとアクリルゴムとを特定の割合でブレンドして用いることにより、無機充填剤の添加量が少なくても加工性に優れる半導電性ゴムロール用組成物が得られ、この組成物を成形することにより、低硬度であり、しかも中抵抗領域の導電性を有するOA機器に適した半導電性ゴムロールが得られることを見出し、これらの知見に基づいて本発明に到達した。
【0008】
かくして本発明によれば、以下の発明1〜4が提供される。
1. ポリエーテルゴム(A)50〜90重量部、アクリルゴム(B)10〜50重量部(前記ポリエーテルゴム(A)及びアクリルゴム(B)の合計量が100重量部である)、無機充填剤(C)30重量部及び架橋剤(D)0.1〜20重量部を含有してなり、前記アクリルゴム(B)が、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位80〜99.9重量%と、ブテンジオン酸モノ鎖状アルキルエステル及び脂環構造を有するブテンジオン酸モノエステルから選ばれる少なくとも一種の架橋性単量体からなる架橋性単量体単位0.1〜20重量%と、からなるカルボキシル基含有アクリルゴムである半導電性ゴムロール用ゴム組成物。
2. 前記ポリエーテルゴム(A)が、その全繰り返し単位中、25〜60モル%のエチレンオキシド単量体単位を含有してなる上記1に記載の半導電性ゴムロール用ゴム組成物。
3. さらに架橋促進剤(E)0.1〜20重量部を含有してなる上記1又は2に記載の半導電性ゴムロール用ゴム組成物。
4. 上記1〜3のいずれかに記載の半導電性ゴムロール用ゴム組成物を成形してなるゴム層を有する半導電性ゴムロール。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の半導電性ゴムロール用ゴム組成物は、ポリエーテルゴム(A)50〜90重量部、アクリルゴム(B)10〜50重量部(前記ポリエーテルゴム(A)及びアクリルゴム(B)の合計量が100重量部である)、無機充填剤(C)30重量部及び架橋剤(D)0.1〜20重量部を含有してなり、前記アクリルゴム(B)が、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位80〜99.9重量%と、ブテンジオン酸モノ鎖状アルキルエステル及び脂環構造を有するブテンジオン酸モノエステルから選ばれる少なくとも一種の架橋性単量体からなる架橋性単量体単位0.1〜20重量%と、からなるカルボキシル基含有アクリルゴムであることを特徴とするものである。
【0010】
本発明に用いるポリエーテルゴム(A)は、オキシラン単量体を開環重合して得られるオキシアルキレン繰り返し単位を主構造単位とするゴムであれば特に限定されない。オキシラン単量体の種類も特に限定されないが、本発明に用いるポリエーテルゴム(A)は、エチレンオキシド単量体(a1)に基づく単量体単位(A1)を含有するものが好ましい。該単量体単位(A1)の、ポリエーテルゴム(A)中の含有量は、ポリエーテルゴム(A)の全繰り返し単位中、好ましくは15〜70モル%、より好ましくは20〜65モル%、特に好ましくは25〜60モル%である。
ポリエーテルゴム中のエチレンオキシド単量体単位(A1)の含有量が少なすぎると得られる架橋物の体積固有抵抗値が大きくなり、逆に多すぎると架橋物の硬度が高くなったり、体積固有抵抗値の環境変動が大きくなったりする。
【0011】
さらに本発明に用いるポリエーテルゴム(A)は、エチレンオキシドと共重合可能なオキシラン単量体(a2)に基づく単量体単位(A2)を含有するものが好ましい。エチレンオキシドと共重合可能なオキシラン単量体(a2)としては、炭素数3〜20のアルキレンオキシド、炭素数1〜10のグリシジルエーテル、芳香族ビニル化合物のキオキシド、これらのオキシラン単量体に架橋性基を導入した架橋性オキシラン単量体などが挙げられる。
【0012】
炭素数3〜20のアルキレンオキシドの具体例としては、プロピレンオキシド、1,2−エポキシブタン、1,2−エポキシ−イソブタン、2,3−エポキシブタン、1,2−エポキシヘキサン、1,2−エポキシオクタン、1,2−エポキシデカン、1,2−エポキシテトラデカン、1,2−エポキシヘキサデカン、1,2−エポキシオクタデカン、1,2−エポキシエイコサンなどの鎖状アルキレンオキシド;1,2−エポキシシクロペンタン、1,2−エポキシシクロヘキサン、1,2−エポキシシクロドデカンなどのシクロアルキレンオキシド;などが挙げられる。
【0013】
炭素数1〜10のグリシジルエーテルの具体例としては、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテルなどのアルキルグリシジルエーテル;フェニルグリシジルエーテルなどのアリールグリシジルエーテル;などが挙げられる。
芳香族ビニル化合物のオキシドとしては、スチレンオキシドなどが挙げられる。
架橋性オキシラン単量体としては、上記の、炭素数3〜20のアルキレンオキシド、炭素数1〜10のグリシジルエーテルなどのオキシラン単量体に、架橋性基を導入したオキシラン単量体が挙げられる。架橋性基としては、ビニル基、アクリロイル基、エポキシ基、アミノ基、カルボキシル基、酸無水物基、水酸基及びハロゲン原子などが挙げられる。
【0014】
本発明のポリエーテルゴム(A)は、上記の単量体単位(a2)中に、架橋性オキシラン単量体に基づく単量体単位が含まれているものが好ましい。さらにその場合には、架橋性オキシラン単量体は、不飽和結合を含む架橋性基を有する架橋性オキシラン単量体であるのがより好ましく、ビニル基を有するオキシラン単量体であるのが最も好ましい。ビニル基を有する架橋性オキシラン単量体の具体例としては、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、ブテニルグリシジルエーテル、o−アリルフェニルグリシジルエーテルなどのエチレン性不飽和グリシジルエーテル;ブタジエンモノエポキシド、クロロプレンモノエポキシド、4,5−エポキシ−2−ペンテン、3,4−エポキシ−1−ビニルシクロヘキセン、1,2−エポキシ−5,9−シクロドデカジエンなどのジエン又はポリエンのモノエポキシド;3,4−エポキシ−1−ブテン、1,2−エポキシ−5−ヘキセン、1,2−エポキシ−9−デセンなどのアルケニルエポキシド;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、グリシジルクロトネート、グリシジル−4−ヘプテノエート、グリシジルソルベート、グリシジルリノレート、グリシジル−4−メチル−3−ペンテノエート、3−シクロヘキセンカルボン酸のグリシジルエステル、4−メチル−3−シクロヘキセンカルボン酸のグリシジルエステルなどエチレン性不飽和カルボン酸のグリシジルエステル類;などが挙げられる。これらの中でもエチレン性不飽和グリシジルエーテルが好ましく、アリルグリシジルエーテルが特に好ましい。
【0015】
上記ポリエーテルゴム(A)中の、上記ビニル基を有する架橋性オキシラン単量体に基づく単量体単位の含有量は、好ましくは1〜20モル%、より好ましくは2〜15モル%、特に好ましくは3〜10モル%である。該単量体単位の含有量が少なすぎると架橋物の強度が不足するおそれがあり、逆に多すぎると架橋物の硬度が高くなりすぎたり、伸びが低下したりするおそれがある。
【0016】
上記ポリエーテルゴム(A)中の、上記ビニル基を有する架橋性オキシラン単量体に基づく単量体単位以外の、エチレンオキシドと共重合可能なオキシラン単量体に基づく単量体単位の含有量は、好ましくは10〜84モル%、より好ましくは20〜78モル%、特に好ましくは30〜72モル%である。該単量体単位の含有量が少なすぎると架橋物の硬度が高くなったり、体積固有抵抗値の環境変動が大きくなったりするおそれがあり、逆に多すぎると得られる架橋物の体積固有抵抗値が大きくなったりするおそれがある。
【0017】
尚、本発明においては、上記単量体単位(a2)中に、上記ビニル基を有する架橋性オキシラン単量体以外の架橋性オキシラン単量体に基づく単量体単位が含まれていてもよい。ビニル基を有する架橋性オキシラン単量体以外の架橋性オキシラン単量体としては、エピクロルヒドリン、エピブロモヒドリン、エピヨードヒドリン、エピフルオロヒドリン、β−メチルエピクロルヒドリンなどのエピハロヒドリンなどが挙げられ、中でも、エピクロルヒドリンが好ましい。
【0018】
上記ポリエーテルゴム(A)は、100℃で測定したムーニー粘度が、通常20〜200、好ましくは30〜170、より好ましくは40〜150である。ムーニー粘度が低すぎると架橋物の機械的強度が低下する場合があり、高すぎると成形加工が困難になり、寸法安定性が低下する場合がある。
上記の重合組成及びムーニー粘度を有するポリエーテルゴム(A)は、体積固有抵抗値が、通常105〜1010Ω・cmであり、好ましくは105.5〜109.5Ω・cm、特に好ましくは106〜109Ω・cmである。尚、ゴムの体積固有抵抗値は、架橋せずに成形した試験片を用いて測定した値である。
【0019】
本発明において、半導電性ゴムロール用ゴム組成物中の、ポリエーテルゴム(A)の配合量は、ポリエーテルゴム(A)及びアクリルゴム(B)の合計量100重量部に対して、50〜90重量部であり、好ましくは55〜85重量部、より好ましくは60〜80重量部である。該ゴム組成物中のポリエーテルゴム(A)の配合量が少なすぎると得られる架橋物の体積固有抵抗値が大きくなりすぎるおそれがあり、逆に多すぎると加工性が低下するおそれがある。
【0020】
本発明に用いるアクリルゴム(B)は、(メタ)アクリル酸エステル単量体〔アクリル酸エステル単量体又は/及びメタクリル酸エステル単量体の意。以下、(メタ)アクリル酸メチルなど同様。〕単位及び架橋性単量体単位からなるゴムである。
【0021】
(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル単量体などが挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体としては、炭素数1〜8のアルカノールと(メタ)アクリル酸とのエステルが好ましく、具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなどが挙げられる。これらの中でも(メタ)アクリル酸エチル及び(メタ)アクリル酸n−ブチルが好ましい。
【0022】
(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル単量体としては、炭素数2〜8のアルコキシアルキルアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステルが好ましく、具体的には、(メタ)アクリル酸メトキシメチル、(メタ)アクリル酸エトキシメチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−プロポキシエチル、(メタ)アクリル酸3−メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−メトキシブチルなどが挙げられる。これらの中でも(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル及び(メタ)アクリル酸2−メトキシエチルが、特に、アクリル酸2−エトキシエチル及びアクリル酸2−メトキシエチルが好ましい。
【0023】
アクリルゴム(B)中の(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の含有量は、80〜99.9重量%であり、より好ましくは90〜99.8重量%、特に好ましくは95〜99.5重量%である。(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の含有量が少なすぎると、得られる架橋物の硬度が高くなりすぎたり、伸びが低下したりするおそれがある。
(メタ)アクリル酸エステル単量体単位は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位30〜100重量%及び(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル単量体単位70〜0重量%からなることが好ましい。
【0024】
上記アクリルゴム(B)に使用される上記架橋性単量体は、上記(メタ)アクリル酸エステル単量体と共重合可能であり、(D)成分として用いられる架橋剤により架橋しうる架橋性基を有する単量体である。このような架橋性単量体としては、カルボキシル基を含有する単量体又はジエン単量体等が挙げられる。
カルボキシル基含有単量体としては、炭素数3〜11のα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸と炭素数1〜8のアルカノールとのモノエステルが挙げられる。
【0025】
素数3〜11のα,β−不飽和ジカルボン酸と炭素数1〜8のアルカノールとのモノエステルとしては、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノブチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル及びマレイン酸モノブチルなどのブテンジオン酸モノ鎖状アルキルエステル;フマル酸モノシクロペンチル、フマル酸モノシクロヘキシル、フマル酸モノシクロヘキセニル、マレイン酸モノシクロペンチル、マレイン酸モノシクロヘキシル及びマレイン酸モノシクロヘキセニルなどの脂環構造を有するブテンジオン酸モノエステル;イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル及びイタコン酸モノブチルなどのイタコン酸モノエステル;フマル酸モノ−2−ヒドロキシエチル;等が挙げられる。中でも、ブテンジオン酸モノ鎖状アルキルエステル又は脂環構造を有するブテンジオン酸モノエステルであり、フマル酸モノブチル、マレイン酸モノブチル、フマル酸モノシクロヘキシル及びマレイン酸モノシクロヘキシルがより好ましい。これらは1種単独で又は2種以上を併せて使用することができる
【0032】
アクリルゴム(B)中の上記架橋性単量体単位の含有量は、0.1〜20重量%であり、より好ましくは0.2〜10重量%、特に好ましくは0.5〜5重量%である。アクリルゴム(B)中の上記架橋性単量体単位の含有量が少なすぎると架橋物の架橋密度が不十分で良好な機械的特性が得られなかったり、成形品の表面平滑性に欠けたりするおそれがあり、逆に多すぎると架橋物の伸びが低下したり圧縮応力歪みが増大したりする可能性がある。
【0033】
本発明においては、カルボキシル基含有単量体を1種単独で又は2種以上を併せて使用する。すなわち、アクリルゴム(B)が、カルボキシル基含有アクリルゴムである。カルボキシル基含有単量体を用いることにより、本発明の半導電性ゴムロール用ゴム組成物の、金属製の混練用ロールに対する巻き付き性がより優れたものとなり、加工時に切断されにくくなる。また、得られる半導電性ゴムロールのゴム層の表面平滑性がより優れたものとなる。また、カルボキシル基含有単量体と他種類の架橋性単量体とを組み合わせて使用することも好ましい。かかる場合に、アクリルゴム(B)中のカルボキシル基含有単量体以外の架橋性単量体単位の量は、5重量%以下が好ましく、3重量%以下がより好ましい。
【0034】
また、本発明に用いるアクリルゴム(B)には、(メタ)アクリル酸エステル単量体、架橋性単量体の他に、本発明の目的を損なわない範囲で必要に応じてこれらと共重合可能な単量体が共重合されていてもよい。かかる単量体としては、芳香族ビニル単量体、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体、アクリロイルオキシ基を2個以上有する単量体(多官能アクリル単量体)、その他のオレフィン系単量体などが挙げられる。かかる単量体単位のアクリルゴム(B)中の量は、好ましくは0〜49.9重量%、より好ましくは0〜20重量%である。
【0035】
芳香族ビニル単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼンなどが挙げられる。α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体としては、アクリロニトリル、メタアクリロニトリルなどが挙げられる。
多官能アクリル単量体としては、エチレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル、プロピレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステルなどが挙げられる。
その他のオレフィン系単量体としては、エチレン、プロピレン、酢酸ビニル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテルなどが挙げられる。これらの中でも、アクリロニトリル及びメタアクリロニトリルが好ましい。
【0036】
本発明に用いるアクリルゴム(B)は、(メタ)アクリル酸エステル単量体、架橋性単量体及び必要に応じて用いられるこれらと共重合可能な単量体などの単量体混合物を、公知の方法によって重合することにより製造することができる。重合法としては、乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法及び溶液重合法のいずれも用いることができるが、重合反応の制御の容易性等から、常圧下での乳化重合法によるのが好ましい。
【0037】
本発明に用いるアクリルゴム(B)のムーニー粘度(ML1+4、100℃)は、好ましくは10〜90、より好ましくは20〜80、特に好ましくは30〜70である。ムーニー粘度が小さすぎると加工性や架橋物の機械的特性が劣る場合があり、大きすぎると加工性が劣る場合がある。
【0038】
本発明において、半導電性ゴムロール用ゴム組成物中におけるアクリルゴム(B)の配合量は、前記ポリエーテルゴム(A)及びアクリルゴム(B)の合計量100重量部に対して、10〜50重量部であり、好ましくは15〜45重量部、より好ましくは20〜40重量部である。
アクリルゴム(B)の配合量が少なすぎるとゴム組成物の加工性が低下するおそれがあり、逆に多すぎると得られる架橋物の体積固有抵抗値が大きくなりすぎるおそれがある。
【0039】
本発明に用いる無機充填剤(C)は、通常ゴムブレンドに配合される公知の無機充填剤であれば特に限定されない。かかる無機充填剤(C)としては、例えば、合成シリカ、アルミナ、ジルコニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化アンチモン、ハイドロサイト、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、サチンホワイト、リトポン、カオリン、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、クレー、焼成クレー、ケイソウ土、合成ゼオライト、スメクタイト、層状無機高分子等の無機化合物が挙げられ、これらは1種単独で又は2種以上を併せて使用することができる。
【0040】
これらの中でも、炭酸カルシウム又は合成シリカが好ましく用いられる。炭酸カルシウムとしては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、微粉化炭酸カルシウム、脂肪酸表面処理炭酸カルシウムなどが挙げられる。合成シリカとしては、湿式法で合成された含水ケイ酸と乾式法で合成された無水ケイ酸のいずれも使用することができる。含水ケイ酸は沈降法シリカでもシリカゲルでもよく、無水ケイ酸は燃焼法によるシリカでも加熱法によるシリカでもよい。また、合成シリカはシランカップリング剤などで表面を親油化処理したものを使用してもよい。
【0041】
本発明において、半導電性ゴムロール用ゴム組成物中の無機充填剤(C)の配合量は、前記ポリエーテルゴム(A)及びアクリルゴム(B)の合計量100重量部に対して、5〜30重量部であり、より好ましくは10〜25重量部である。
無機充填剤(C)の配合量が多すぎると高硬度のため感光体を傷つける場合がある。
【0042】
本発明に用いる架橋剤(D)は、ゴムの架橋剤として一般的に使用される架橋剤であれば特に限定されず、例えば、有機過酸化物、硫黄系架橋剤、イソシアネート系架橋剤及びアミン系架橋剤等が挙げられる。
有機過酸化物としては、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ベイゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイドなどが挙げられる。
硫黄系架橋剤としては、硫黄又は硫黄供与体を使用することができる。硫黄供与体としては、モルホリンジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィドなどのジスルフィド系化合物、高分子多硫化物などが挙げられる。
【0043】
イソシアネート系架橋剤としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネートなどのポリイソシアネート類などが挙げられる。
アミン系架橋剤としては、例えば、ヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンカーバメイトなどの脂肪族多価アミン類;4,4’−メチレンジアニリン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルなどの芳香族多価アミン類などが挙げられる。
【0044】
これらの架橋剤は、1種単独で又は2種以上を併せて使用することができる。本発明においては、ポリエーテルゴム(A)の架橋剤としては硫黄系架橋剤を用いるのが好ましい。また、アクリルゴム(B)の架橋剤としては、上記いずれの架橋剤でもよいが、アクリルゴム(B)としてカルボキシル基含有アクリルゴムを用いる場合には、アミン系架橋剤を用いるのが好ましい。
【0045】
本発明において、ゴム組成物中の架橋剤(D)の配合量は、前記ポリエーテルゴム(A)及びアクリルゴム(B)の合計量100重量部に対して、0.1〜20重量部であり、好ましくは0.2〜15重量部、より好ましくは0.3〜10重量部である。
架橋剤(D)の配合量が少なすぎると得られる架橋物の圧縮永久ひずみが増大するなど物性が低下したり、研磨性が低下したりするおそれがあり、逆に多すぎると得られる架橋物の硬度が高くなりすぎるといった問題が生じるおそれがある。
【0046】
本発明においては、必要に応じ(E)成分として架橋促進剤をゴム組成物に配合して使用することができる。架橋促進剤は、架橋剤の架橋反応速度を速めるとともに架橋物の架橋密度を高めて機械的強度を向上する作用を有する物質である。かかる架橋促進剤としては、ゴム加工に際して架橋剤の反応を促進させるために通常配合される物質であれば特に限定されないが、チオウレア促進剤、グアニジン促進剤、チアゾール促進剤、スルフェンアミド促進剤、チウラム促進剤又はジチオカルバミン酸促進剤が好ましく使用される。
【0047】
チオウレア促進剤は、一般式(RNH)C=Sの構造を有する化合物で、N,N’−ジメチルチオウレア、N,N’−ジエチルチオウレア、N,N’−ジブチルチオウレア、N,N’−ジフェニルチオウレア、N,N’−ジ(o−トリル)チオウレアなどが例示され、1種単独で又は2種以上を併せて使用することができる。
【0048】
グアニジン促進剤は、一般式(RNH)C=NHの構造を有する化合物で、ジフェニルグアニジン、ジ(o−トリル)グアニジンなどが例示され、1種単独で又は2種以上を併せて使用することができる。
チアゾール促進剤は、ベンゼン環縮合チアジン環のチアゾール塩又はチオエーテルであり、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド、2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛、(ジニトロフェニル)メルカプトベンゾチアゾール、(N,N−ジエチルジチオカルバモイル)ベンゾチアゾールなどが挙げられ、1種単独で又は2種以上を併せて使用することができる。
【0049】
スルフェンアミド促進剤は、第1アミン又は第2アミンの2−ベンゾチアジルスルフェンアミドで、N−エチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N,N−ジイソプロピル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミドなどが挙げられる。
【0050】
チウラム促進剤は、チウラム(HNSC−)のアミンのモノ、ジ、テトラないしヘキサスルフィド誘導体である。
チウラム促進剤の具体例としては、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィドなどが挙げられる。
【0051】
ジチオカルバミン酸促進剤は、ジチオカルバミン酸及びその誘導体である。該誘導体は特に限定されないが、好ましいものとしてジチオカルバミン酸金属塩、同金属塩とアミン類との錯塩若しくは複塩が挙げられる。該金属としては、亜鉛、銅、カドミウム、鉛、ビスマス、鉄、コバルト、テルル、セレンなどが挙げられる。
【0052】
かかるジチオカルバミン酸誘導体の具体例としては、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジメチルジチオカルバミン酸カドミウム、ジメチルジチオカルバミン酸鉛、ジメチルジチオカルバミン酸ビスマス、ジメチルジチオカルバミン酸鉄、ジメチルジチオカルバミン酸テルル、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジ−n−ブチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジ−n−ヘキシルジチオカルバミン酸亜鉛、ジ−n−オクチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジ−n−デシルジチオカルバミン酸亜鉛、ジ−n−ドデシルジチオカルバミン酸亜鉛、メチルベンジルジチオカルバミン酸亜鉛、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛、メチルシクロヘキシルジチオカルバミン酸亜鉛、ジシクロヘキシルジチオカルバミン酸亜鉛などが挙げられる。これらの架橋促進剤は、1種単独で又は2種類以上を併せて使用することもできる。
【0053】
本発明において、架橋促進剤(E)の配合量は、前記ポリエーテルゴム(A)及びアクリルゴム(B)の合計量100重量部に対して、通常0.1〜20重量部、好ましくは0.2〜15重量部、特に好ましくは0.3〜10重量部である。
架橋促進剤(E)の配合量が少なすぎるとゴム組成物の架橋速度が遅く、得られる架橋物の架橋密度が低下するおそれがあり、逆に多すぎると得られる架橋物の硬度が高くなりすぎたり、得られる架橋物においてブルーム現象が起こったりするおそれがある。
【0054】
本発明においては、必要に応じて、上記各成分以外に本発明の目的を損なわない範囲で、補強材、老化防止剤、光安定剤、スコーチ防止剤、架橋遅延剤、可塑剤、加工助剤、滑剤、粘着剤、潤滑剤、難燃剤、防黴剤、帯電防止剤、着色剤、発泡剤などの添加剤をゴム組成物に配合してもよい。
【0055】
本発明において、上記各成分を含有してなるゴム組成物は、ロール混合、バンバリー混合、スクリュー混合、溶液混合などの適宜の混合方法により配合することによって調製することができる。
本発明の半導電性ゴムロールは、上述したように半導電性ゴムロール用ゴム組成物を成形してなるゴム層を有する。
【0056】
上記ゴム組成物の成形方法及び架橋方法は、通常ゴムロールの製造に用いられる方法であれば特に限定されないが、例えば、一軸や多軸の押出機を使用して軸体の外側に上記ゴム組成物を押し出して、ゴム層を形成した後、加熱して架橋する方法、射出成形機、押出ブロー成形機、トランスファー成形機、プレス成形機などを使用して金型でゴム層を成形し、架橋して、軸体に積層する方法などが挙げられる。その中でも、押出成形機を用いて成形を行うことが最も適している。尚、成形方法、架橋方法、ロール厚などの必要に応じて、成形と架橋を同時に行うか、成形後に架橋すればよい。
【0057】
上記ゴム組成物は加熱することにより架橋しうるものであるが、その際の加熱温度は、好ましくは100℃以上、より好ましくは120℃〜250℃の範囲内である。温度が低すぎると架橋時間が長時間必要となったり、架橋密度が低くなる場合がある。逆に温度が高すぎると架橋が短時間で進行し、成形不良を起こす場合がある。
また、架橋時間は、架橋方法、架橋温度、ロール厚などにより異なるので特に限定されないが、架橋密度と生産効率の面から1分〜5時間の範囲で任意に選択すればよい。
加熱方法としては、プレス架橋、蒸気架橋、オーブン加熱、熱風加熱などのゴムの架橋に用いられる方法を適宜選択すればよい。
【0058】
このようにして得られた架橋物は、OA機器用ゴムロールとして使用するため、表面を研磨することが好ましい。研磨方法は、通常ゴムロールに用いられる方法であれば特に限定されない。例えば、砥石などの研磨材を架橋物表面のゴム層に直接接触させて機械的に研磨する乾式研磨の方法や、研磨材とゴム層との間に水系の液体を介在させてゴム層を機械的に研磨する湿式研磨等の方法が挙げられる。
【0059】
本発明においては、このようにしてゴム組成物を成形することにより、電気抵抗が中抵抗領域であるゴム層を有する半導電性ゴムロールを得ることができる。本発明の半導電性ゴムロールの体積固有抵抗値は、好ましくは10〜1012Ω・cm、より好ましくは105.5〜1011Ω・cm、特に好ましくは10〜1010Ω・cmである。体積固有抵抗値が小さすぎるとロールが帯電しにくい場合があり、逆に大きすぎると帯電した電荷量が大きくなりすぎる場合があり、いずれの場合も、例えばプリンターなどにおいて該ロールを用いて印刷した画像が不鮮明になるおそれがある。
【0060】
また、本発明におけるソリッドタイプの半導電性ゴムロールの硬度(Durotype−A)は、通常20〜55、好ましくは25〜50、特に好ましくは30〜45である。硬度が低すぎると研磨性等において問題が生じる可能性があり、逆に高すぎると感光体表層である感光層の破壊や機械的トルクの上昇といった問題が生じる可能性がある。
【0061】
さらに、本発明の半導電性ゴムロールのゴム層の層厚は、好ましくは10μm〜15mm、より好ましくは50μm〜10mm、特に好ましくは100μm〜8mmである。層厚が小さすぎると摩耗に対する耐久性が低下する場合があり、大きすぎると画像形成時に必要な電荷量が大きくなるため、画像が不鮮明になったり、画像形成装置を大型にする必要が生じたりする場合がある。
【0062】
本発明の半導電性ゴムロールは、中抵抗領域のゴム層と軸体との間に導電性基層を有してもよい。この導電性基層の材料としては特に限定されないが、導電性弾性体が好ましい。例えば、ゴムに導電性付与剤を配合してなる組成物を架橋してなる架橋物や発泡させてなる発泡体、熱可塑性エラストマーに導電性付与剤を配合してなる組成物などが挙げられる。ゴムとしてはアクリロニトリル−ブタジエンゴム、エピクロルヒドリンゴム、エチレンプロピレンゴム、ポリブタジエンゴムなどが単独で若しくは混合して用いられる。導電性付与剤としてはアセチレンブラックなどのカーボンブラック、導電性酸化スズ、導電性酸化亜鉛などの導電性金属化合物、界面活性剤などが挙げられる。導電性基層の体積固有抵抗値の上限は、好ましくは10Ω・cm、より好ましくは10Ω・cm、特に好ましくは10Ω・cmである。
【0063】
本発明の半導電性ゴムロールは、更に中抵抗領域のゴム層の外側に該ゴム層の特性を損なわない限り、保護層を有してもよい。保護層の材料には、樹脂又はゴムが用いられ、中抵抗領域の樹脂を用いるのが好ましい。
保護層を構成する樹脂としては、特に限定されず、一般の中抵抗領域のゴムロールにおいて保護層として用いられる樹脂、例えば、ポリウレタン樹脂、ナイロン樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂などが挙げられる。
【0064】
上記ポリウレタン樹脂は、多官能イソシアネート化合物とエチレンオキシドポリオール又はポリエステルポリオールとの反応物である。このポリウレタン樹脂は、分子鎖中に親水性官能基を有していてもよく、ポリウレタン樹脂水分散液を用いて反応を行うことが好ましい。
上記ナイロン樹脂の中ではN−メトキシメチル化ナイロンが好ましい。N−メトキシメチル化ナイロンは、6−ナイロンのアミド基をメトキシメチル化することによって得られるものであり、そのメトキシ化率を高くすることによりアルコールに対する溶解性が向上する。
【0065】
保護層の層厚は、好ましくは5〜200μm、より好ましくは7〜150μm、特に好ましくは10〜100μmである。層厚が薄すぎると保護層の摩耗に対する耐久性に劣る場合があり、厚すぎると被膜にクラックが入る場合がある。
【0066】
本発明の半導電性ゴムロールはプリンターや複写機、FAXのようなOA機器用、グラビア印刷用などのロールとして使用できる。特に、電子写真方式のOA機器部品として使用されるロールに好適である。
OA機器部品として使用されるロールとしては、感光体の周辺に設置されるロールが挙げられ、具体的には、帯電ロール、現像ロール、転写ロール、中間転写ロールとして特に好適である。
【0067】
また、本発明に用いられるゴム組成物は、無機充填剤の含有量が少ないため低粘度であるので、該ゴム組成物が膨らみやすくなり発泡ゴムロールの成形が容易となる。具体的には、上記ゴム組成物にその他の添加剤として所定量の発泡剤を配合し、上述の押出成形後に発泡処理を施すことにより、柔軟性に富んだ発泡ゴムロールを製造することができる。
【0068】
このような発泡ゴムロールの表面硬度(Duro type−E)は、通常15〜60、好ましくは20〜50、特に好ましくは25〜45である。硬度が低すぎると研磨性等において問題が生じる可能性があり、逆に高すぎると感光体表層である感光層の破壊や機械的トルクの上昇といった問題が生じる可能性がある。
尚、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0069】
【実施例】
以下に実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。組成に関わる「部」及び「%」は特に断りのない限り重量基準で表す。また、各特性評価試験は、下記のようにして行った。
【0070】
<ロール加工性>
各種ゴム組成物を、金属製の混練用ロールを用い、温度50℃で5分間混練した後、さらにロールの回転を続けながら、ゴム組成物のロールへの巻き付き性等の加工性を下記のように3段階評価した。
3:ゴムバンド(ゴム組成物の帯)がロールに完全に密着して巻き付いていて、バンク(ロールとロールの間に滞留するゴム組成物)がスムーズに回転している。
2:ゴムバンドが部分的に穴が空いた状態になり、バンクの回転がスムーズでなく、浮き上がってしまう。
1:ゴムバンドが切れた状態となり、巻き付きが非常に悪い。
【0071】
<表面肌とエッジ部分の形状>
上記のようにロール加工性を評価した後、5分間後に切り取ったシートから目視により表面状態を下記のように3段階評価した。
3:表面凹凸がなく、エッジ部の形状は滑らか
2:表面凹凸がなく、エッジ部の形状がのこぎり状
1:表面凹凸があり、エッジ部の形状がのこぎり状
【0072】
<ムーニー粘度〔ML1+4(100℃)〕>
ゴム組成物のムーニー粘度はJIS K6300に準じて、100℃で測定した。
<ゴム硬度>
ゴム組成物架橋後の硬度は、JIS K6253に準じて、タイプAデュロメータを用いて測定した。
<電気抵抗(体積固有抵抗値)>
SRIS(日本ゴム協会標準規格)2304に準じて測定した。測定条件は、温度23℃、湿度55%、直流500Vの電圧とした。
【0073】
(実施例1〜3、参考例1、比較例1〜3)
ポリエーテルゴム、アクリルゴム及び無機充填剤を、表1に記載の組成で混合し、50℃に設定したバンバリーで5分間混練した。得られたゴム組成物を金属製の混練用ロールに移し、表1に示す組成で更に架橋剤及び架橋促進剤を配合して混練し、ゴム組成物を得た。このゴム組成物を用いて、前記方法によりロール加工性、表面状態及びエッジ形状を評価し、ムーニー粘度を測定した。次に、このゴム組成物を用いて、160℃、30分間プレス架橋を行うことによって得た架橋試験片で電気抵抗(体積固有抵抗値)及びゴム硬度を測定した。各特性評価試験の結果は表1及び表2に示す。
【0074】
【表1】
Figure 0004089406
【0075】
【表2】
Figure 0004089406
【0076】
<表1及び表2の各成分>
アクリルゴム(ACM)種類
ACM1:カルボキシル基含有アクリルゴム(アクリル酸エチル単位含有量38%、アクリル酸n−ブチル単位含有量40%、アクリル酸2−メトキシエチル20%、マレイン酸モノn−ブチル単位含有量2%、からなる共重合体、ムーニー粘度45(ML1+4、100℃))
【0077】
ACM2:エポキシ基含有アクリルゴム:(アクリル酸エチル単位含有量37%、アクリル酸n−ブチル単位含有量40%、アクリル酸2−メトキシエチル20%、グリシジルメタクリレート単位含有量3%、からなる共重合体、ムーニー粘度43(ML1+4、100℃))
【0078】
ポリエーテルゴム(ECO):(エチレンオキシド単量体単位50%、エピクロルヒドリン単量体単位45%、アリルグリシジルエーテル単量体単位5%)からなる共重合体
硫黄:ECO用架橋剤
TETD:テトラエチルチウラム・ジスルフィド(ECO用架橋促進剤)
CBS:N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジル−スルフェンアミド(ECO用架橋促進剤)
ヘキサメチレンジアミンカーバメート(ACM用架橋剤)
DOTG:ジオルトトリル・グアニジン(ACM用架橋促進剤)
ZnMDC:ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛(ACM用架橋剤)
FeMDC:ジメチルジチオカルバミン酸鉄(ACM用架橋剤)
バルカレントEC:スルホンアミド誘導体(スコーチ防止剤)
【0079】
表1及び表2に示すように、本発明で規定される組成からなるゴム組成物は、いずれもロール加工性に優れ、表面状態及びエッジ形状が良好であり、また、その架橋物はゴム硬度が低く、中抵抗領域の導電性を有する(実施例1〜)。一方、無機充填剤の配合量が本発明の範囲より多くなると、ゴム硬度が高くなるとともに、導電性能も悪化した(比較例1)。また、ポリエーテルゴムとアクリルゴムとのブレンド比が本発明の範囲外となると、加工性及び導電性能が悪化した(比較例2、比較例3)。
【0080】
【発明の効果】
本発明の半導電性ゴムロール用ゴム組成物は、ポリエーテルゴムとアクリルゴムとを特定の割合でブレンドしたゴム成分に、特定量の無機充填剤及び架橋剤を配合したものであるため、金属製の混練用ロールへの巻き付き性などの加工性に優れる。そして、該ゴム組成物を成形してなるゴム層を用いることにより、低硬度で中抵抗領域の導電性を有する半導電性ゴムロールを得ることができる。

Claims (4)

  1. ポリエーテルゴム(A)50〜90重量部、アクリルゴム(B)10〜50重量部(前記ポリエーテルゴム(A)及びアクリルゴム(B)の合計量が100重量部である)、無機充填剤(C)30重量部及び架橋剤(D)0.1〜20重量部を含有してなり、前記アクリルゴム(B)が、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位80〜99.9重量%と、ブテンジオン酸モノ鎖状アルキルエステル及び脂環構造を有するブテンジオン酸モノエステルから選ばれる少なくとも一種の架橋性単量体からなる架橋性単量体単位0.1〜20重量%と、からなるカルボキシル基含有アクリルゴムである半導電性ゴムロール用ゴム組成物。
  2. 前記ポリエーテルゴム(A)が、その全繰り返し単位中、25〜60モル%のエチレンオキシド単量体単位を含有してなる請求項1に記載の半導電性ゴムロール用ゴム組成物。
  3. さらに架橋促進剤(E)0.1〜20重量部を含有してなる
    請求項1又は請求項2に記載の半導電性ゴムロール用ゴム組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の半導電性ゴムロール用ゴム
    組成物を成形してなるゴム層を有する半導電性ゴムロール。
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