JP4084171B2 - Egr装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、EGR装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、自動車のエンジン等では、排気側から排気ガスの一部を抜き出して吸気側へと戻し、その吸気側に戻された排気ガスでエンジン内での燃料の燃焼を抑制させて燃焼温度を下げることによりNOxの発生を低減するようにした、いわゆる排気ガス再循環(EGR:Exhaust Gas Recirculation)が行われている。
【0003】
一般的に、この種の排気ガス再循環を行う場合には、排気マニホールドから排気管に亘る排気通路の適宜位置と、吸気管から吸気マニホールドに亘る吸気通路の適宜位置との間をEGRパイプにより接続し、該EGRパイプを通して排気ガスを再循環するようにしている。
【0004】
尚、エンジンに再循環する排気ガスをEGRパイプの途中で冷却すると、排気ガスの温度が下がり且つその容積が小さくなることにより、エンジンの出力を余り低下させずに燃焼温度を低下して効果的に窒素酸化物の発生を低減させることができる為、エンジンに排気ガスを再循環するEGRパイプの途中に水冷式のEGRクーラを装備したものもある。
【0005】
図4は前述した排気ガス再循環を行う為のEGR装置の一例を示すもので、図中1はディーゼル機関であるエンジンを示し、該エンジン1は、ターボチャージャ2を備えており、図示しないエアクリーナから導いた吸気3を吸気管4を通し前記ターボチャージャ2のコンプレッサ2aへ送り、該コンプレッサ2aで加圧された吸気3をインタクーラ5へと送って冷却し、該インタクーラ5から更に吸気マニホールド6へと吸気3を導いてエンジン1の各気筒7(図4では直列6気筒の場合を例示している)に分配するようにしてある。
【0006】
また、このエンジン1の各気筒7から排出された排気ガス8を排気マニホールド9を介し前記ターボチャージャ2のタービン2bへ送り、該タービン2bを駆動した排気ガス8を排気管10を介し車外へ排出するようにしてある。
【0007】
そして、排気マニホールド9における各気筒7の並び方向の一端部と、吸気マニホールド6に接続されている吸気管4の一端部との間がEGRパイプ11により接続されており、排気マニホールド9から排気ガス8の一部を抜き出して吸気管4に導き得るようにしてある。
【0008】
ここで、前記EGRパイプ11には、該EGRパイプ11を適宜に開閉するEGRバルブ12と、再循環される排気ガス8を冷却する為のEGRクーラ13とが装備されており、該EGRクーラ13では、図示しない冷却水と排気ガス8とを熱交換させることにより排気ガス8の温度を低下し得るようになっている。
【0009】
尚、図4中の14は排気マニホールド9内における前側三気筒分の排気流路と後側三気筒分の排気流路とを分割する隔壁を示し、該隔壁14により排気行程の一部が重複した気筒7同士の排気干渉を抑制してタービン2bに対し排気脈動を効率良く送り込めるようにしてある。
【0010】
一方、前述の如き、ターボチャージャ2を備えたエンジン1の排気マニホールド9から排気ガス8の一部を抜き出して吸気管4へ再循環するようにしたEGR装置を開示するものとしては、例えば、特許文献1がある。
【0011】
【特許文献1】
特開2001−123889号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した如きターボチャージャ2付きのエンジン1に装備されるEGR装置においては、吸気側が過給されている為に排気側との圧力差が少なくなってしまい、高いEGR率を実現することが難しいという問題があった。
【0013】
本発明は上述の実情に鑑みてなしたもので、ターボチャージャを備えたエンジンにおいても高いEGR率を実現し得るようにしたEGR装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ターボチャージャを備えたエンジンの排気マニホールドから排気ガスの一部を抜き出して吸気管へ再循環するようにしたEGR装置であって、排気マニホールド内を各気筒の排気干渉が生じないように隔壁で区画し、該隔壁により分割された排気マニホールドの出口流路のうちの再循環用排気ガスの抜き出しを行う側が、再循環用排気ガスの抜き出しを行わない側よりも流路断面積が小さくなるように構成し、再循環用排気ガスの抜き出しを行わない側の出口流路に連通している各気筒の燃料噴射量に対し、再循環用排気ガスの抜き出しを行う側の出口流路に連通している各気筒の燃料噴射量が相対的に多くなるように制御する燃料噴射制御手段を備えたことを特徴とするものである。
【0015】
而して、このようにすれば、再循環用排気ガスの抜き出しを行う側の出口流路における背圧が、再循環用排気ガスの抜き出しを行わない側の出口流路の背圧より高められる結果、吸気側が過給されていても排気側との十分な圧力差が確保されることになり、従来より高いEGR率が実現されることになる。
【0016】
【0017】
また、本発明においては、再循環用排気ガスの抜き出しを行わない側の出口流路に連通している各気筒の燃料噴射量に対し、再循環用排気ガスの抜き出しを行う側の出口流路に連通している各気筒の燃料噴射量が相対的に多くなるように制御する燃料噴射制御手段を備えるようにしてあるので、再循環用排気ガスの抜き出しを行う側の出口流路に連通している各気筒の燃料噴射量が増えた分だけ該出口流路における背圧が更に高められると共に、前記再循環用排気ガスの抜き出しを行う側の出口流路に連通している各気筒内で消費される酸素量が増加して再循環用排気ガスの酸素濃度が低下するため、より効率的にEGRを行うことが可能となり、更なるNO x 低減が図れる一方、EGRがより効率的に行えるようになることに伴って、チューニングの幅が広がるので、今までEGRのために絞らざるを得なかった吸気量を増やしたりすること等も可能となり、スモークの改善を図ること も可能となる。
【0018】
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図示例と共に説明する。
【0020】
図1及び図2(a)は本発明を実施する形態の一例を示すもので、図4と同一の符号を付した部分は同一物を表わしている。
【0021】
図1及び図2(a)に示す如く、本形態例においては、隔壁14により分割された排気マニホールド9における再循環用の排気ガス8の抜き出しを行わない側(EGRパイプ11が接続されていない側)の出口流路9Aを従来と同様の流路断面積で形成する一方、再循環用の排気ガス8の抜き出しを行う側(EGRパイプ11が接続されている側)の出口流路9Bを従来より流路断面積が小さくなるように絞り込んで構成している。
【0022】
即ち、従来の排気マニホールド9の出口流路9A,9Bは、図2(b)に示す如く、互いに同じ流路断面積となるように隔壁14により二等分されていたが、これを出口流路9Bの流路断面積が出口流路9A側より小さくなるようにしているのである。
【0023】
ここで、出口流路9Bの流路断面積を従来より絞り込んで構成するに際しては、排気マニホールド9の出口部分や、ターボチャージャ2のタービン2bの入口部分の形状を予め変更しておけば良いが、例えば、出口流路9Bの流路断面積を絞り込む何らかの流路絞り手段を装備させるようにすることも可能であり、更には、その流路絞り手段を開閉自在なダンパ等により構成して開度調整可能な構造としても良い。
【0024】
また、ここに図示している例においては、エンジン1の前側(この例ではEGRパイプ11が接続されていない側)三つの気筒7のインジェクタ15に対し、エンジン制御コンピュータ(ECU:Electronic Control Unit)を成す制御装置16(燃料噴射制御手段)から従来通りの噴射量(電磁弁の開弁時間)を適切なタイミングで指令する燃料噴射信号16aが出力されるようになっている一方、エンジン1の後側(この例ではEGRパイプ11が接続されている側)三つの気筒7のインジェクタ15に対しては、従来より多めの噴射量(電磁弁の開弁時間)を適切なタイミングで指令する燃料噴射信号16bが前記制御装置16から出力されるようになっている。
【0025】
而して、このようにEGR装置を構成すれば、再循環用の排気ガス8の抜き出しを行う側の出口流路9Bにおける背圧が、再循環用の排気ガス8の抜き出しを行わない側の出口流路9Aの背圧より高められる結果、吸気側が過給されていても排気側との十分な圧力差が確保されることになり、従来より高いEGR率が実現されることになる。
【0026】
また、制御装置16により各インジェクタ15の燃料噴射量が制御され、出口流路9Aに連通している各気筒7の燃料噴射量に対し、出口流路9Bに連通している各気筒7の燃料噴射量が増加されることになり、再循環用の排気ガス8の抜き出しを行う側の出口流路9Bに連通している各気筒7の燃料噴射量が増えた分だけ該出口流路9B側の排気マニホールド9内における背圧が更に高められると共に、前記再循環用の排気ガス8の抜き出しを行う側の出口流路9Bに連通している各気筒7内で消費される酸素量が増加して再循環用の排気ガス8の酸素濃度が低下するため、より効率的にEGRを行うことが可能となり、更なるNOx低減が図れる一方、EGRがより効率的に行えるようになることに伴って、チューニングの幅が広がるので、今までEGRのために絞らざるを得なかった吸気量を増やしたりすること等も可能となり、スモークの改善を図ることも可能となる。
【0027】
ここで、図3は、再循環用の排気ガス8の抜き出しを行わない側の出口流路9Aに連通している各気筒7の燃料噴射量をFとし、再循環用の排気ガス8の抜き出しを行う側の出口流路9Bに連通している各気筒7の燃料噴射量をRとして、
F<R
F=R
F>R
とした場合に、それぞれ排気管10から排出される排気ガス8中に含まれるNOxとスモークとを実際に計測した結果を表わす線図であり、この図からも明らかなように、F=Rとした場合に比べ、F>Rとすると全体としてNOxが増加する傾向となるのに対し、F<Rとすると全体としてNOxが減少する傾向となることが確認されている。即ち、F<Rとした方が、より効率的にEGRを行えるようになることが判る。
【0028】
従って、上記形態例によれば、吸気側が過給されていても排気側との十分な圧力差を確保することができるので、ターボチャージャ2を備えたエンジン1においても高いEGR率を実現することができ、将来的な厳しい排気ガス規制に対応することができる。
【0029】
また、再循環用の排気ガス8の抜き出しを行う側の出口流路9Bに連通している各気筒7の燃料噴射量を増やしたことにより、該出口流路9B側の排気マニホールド9内における背圧を更に高め、且つ再循環用の排気ガス8の酸素濃度を低下させることができ、より効率的にEGRを行うことが可能となるため、更なるNOx低減並びにスモークの改善を図り得る。
【0030】
尚、本発明のEGR装置は、上述の形態例にのみ限定されるものではなく、対象となるエンジンは直列6気筒に限定されないこと、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0031】
【発明の効果】
上記した本発明のEGR装置によれば、下記の如き種々の優れた効果を奏し得る。
【0032】
本発明の請求項1に記載の発明によれば、吸気側が過給されていても排気側との十分な圧力差を確保することができるので、ターボチャージャを備えたエンジンにおいても高いEGR率を実現することができ、将来的な厳しい排気ガス規制に対応することができ、又、再循環用の排気ガスの抜き出しを行う側の排気マニホールド内における背圧を更に高め、且つ再循環用の排気ガスの酸素濃度を低下させることができ、より効率的にEGRを行うことが可能となるため、更なるNO x 低減並びにスモークの改善を図り得る。
【0033】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を実施する形態の一例を示す概略図である。
【図2】 (a)は図1の排気マニホールドの出口流路の断面図であり、(b)は従来の排気マニホールドの出口流路の断面図である。
【図3】 本発明を実施する形態の一例において、再循環用排気ガスの抜き出しを行わない側の出口流路に連通している各気筒の燃料噴射量に対し、再循環用排気ガスの抜き出しを行う側の出口流路に連通している各気筒の燃料噴射量を相対的に変化させた場合に、排気ガス中に含まれるNOxとスモークとを実際に計測した結果を表わす線図である。
【図4】 従来例を示す概略図である。
【符号の説明】
1 エンジン
2 ターボチャージャ
4 吸気管
7 気筒
8 排気ガス
9 排気マニホールド
9A 出口流路
9B 出口流路
10 排気管
14 隔壁
16 制御装置(燃料噴射制御手段)
Claims (1)
- ターボチャージャを備えたエンジンの排気マニホールドから排気ガスの一部を抜き出して吸気管へ再循環するようにしたEGR装置であって、排気マニホールド内を各気筒の排気干渉が生じないように隔壁で区画し、該隔壁により分割された排気マニホールドの出口流路のうちの再循環用排気ガスの抜き出しを行う側が、再循環用排気ガスの抜き出しを行わない側よりも流路断面積が小さくなるように構成し、再循環用排気ガスの抜き出しを行わない側の出口流路に連通している各気筒の燃料噴射量に対し、再循環用排気ガスの抜き出しを行う側の出口流路に連通している各気筒の燃料噴射量が相対的に多くなるように制御する燃料噴射制御手段を備えたことを特徴とするEGR装置。
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