JP4078786B2 - 冷凍空調サイクル装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷媒としてたとえばHFC系の冷媒、冷凍機油として冷媒と溶解しにくいアルキルベンゼン系、もしくは冷凍機油として冷媒とは溶解するものの、従来のHCFC系冷媒と鉱油系冷凍機油の溶解性よりも劣るエーテル系やエステル系、などを用いた冷媒回路を有する冷凍空調サイクル装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
HFC系冷媒とこの冷媒に相溶しない冷凍機油を冷蔵庫に適用した例として、図10及び図11に示す特開平7−77364号公報がある。図10は従来の冷凍装置の斜視図であり、図において、51は冷媒圧縮機で、内部にHFC−134aの冷媒とこの冷媒と相溶しない冷凍機油であるアルキルベンゼン、又はナフテン鉱油が封入されている。52は凝縮器、53は膨張機構、54は蒸発器、56はサクションの配管であり、これらは圧縮機51と一連の冷媒回路を形成している。蒸発器54の下部に冷媒圧縮機51が配設され、蒸発器54から下方にむかってサクションの配管56で接続構成されている。
【0003】
図11は前記蒸発器54の配置説明図であり、図において60は膨張機構のキャピラリーチューブ53が接続された蒸発器の上方、61は蒸発器の最下点、56は蒸発器の最下点61に接続されその下方に配設されたサクションの配管である。前記冷媒と冷凍機油は相溶しないがお互いに混じりあってキャピラリーチューブ53から蒸発器の上方60へ入る。ここで蒸発した冷媒とこれに混った油は、蒸発器の流路を順次下へ移動して蒸発器の最下点61に達し、下方に接続された配管56から最下位置の冷媒圧縮機51に戻る。従って、冷媒に相溶しない冷凍機油であっても上述のように冷蔵庫の冷凍サイクルの蒸発器において、冷媒の流れ方向を上方から下方へ導くことにより、冷凍機油の滞留を防ぎ、圧縮機への冷凍機油の戻りが達成される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このように従来の上記事例では、冷凍運転のみしか行われず冷媒の流れ方向が常に一定となる冷蔵庫に適用したため、常に冷媒の流れ方向を上方から下方へ導くことにより、油の滞留を防ぐことが可能であったが、冷房、暖房など異なる運転を行うために、冷凍サイクルの冷媒流れの向きを逆転することがあるヒートポンプエアコンディショナーなどの冷凍空調機器に対しては有効な策ではなかった。
【0005】
また、圧縮機の回転数が一定である従来の図10の冷蔵庫とは異なり、空調負荷に応じて圧縮機の回転数を変化させることが可能な冷凍空調機器の場合には、低負荷時などの圧縮機の回転数が低下した際に、圧縮機から吐出されたガス冷媒に浮遊する冷凍機油が冷媒の流速が遅いために配管内を上昇できずに、圧縮機に油が戻らず圧縮機内油量の不足から潤滑不良を起こす可能性があった。
【0006】
また、室外機1台に対して室内機が複数台の冷暖房運転が同時に可能なマルチタイプのエアコンディショナーでは、暖房運転時に停止室内機への冷媒溜り込みを防ぐ目的で膨張弁の開度を調整して、微量の冷媒を流すことがあるが、こうした状況では運転状況により配管内部に多量の油が滞留してしまう可能性があった。
【0007】
また、前記マルチタイプのエアコンディショナーでは、冷凍サイクルを循環する冷媒を複数の室内機へ分岐する際、ガス冷媒といっしょに流れるミスト状の冷凍機油が分岐部形状によっては何れかの室内機へ偏って流れる恐れがあり、多量の油が偏って流れた室内機の熱交換器に滞留することによって伝熱性能の低下を招く恐れがあった。加えて、マルチタイプのエアコンディショナーでは複数の室内機を接続するので接続配管が多く、そのため配管の合計内容積が大きくなり、油が溜まり易くなるという問題もあった。
【0008】
本発明はかかる問題点を解決するためになされたもので、HFC系冷媒などの冷媒に溶解しにくい冷凍機油を使用した冷凍空調サイクル装置において、冷凍サイクル内への過度な油滞留を防止し、圧縮機内油量不足による潤滑不良を防ぎ、冷凍サイクルシステムの信頼性を高めることを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る冷凍空調サイクル装置は、室内熱交換器を有する複数の室内機と、室外熱交換器と、圧縮機と、前記室内熱交換器に流通する冷媒の流量を調節する流量調整手段とを備えた室外機と、前記室外機と複数の室内機をそれぞれ接続する接続配管と、前記冷媒に対して非相溶性もしくは弱相溶性である冷凍機油を用いた冷凍空調サイクル装置において、少なくとも1つ以上の室内機が停止するとともに空調運転を行う室内機との両方を有する運転モードの場合に、前記停止室内機側の前記流量調整手段により前記接続配管の下方から上方へ冷媒が流れる上昇管の冷媒流速を前記配管の内壁に付着した前記冷凍機油が重力に逆らって滞留する流速と同一としないように制御する制御手段を備えたものである。
【0010】
本発明の請求項2に係る冷凍空調サイクル装置は、請求項1に記載の冷凍空調サイクル装置において、停止室内機側の流量調整手段により接続配管の下方から上方へ冷媒が流れる上昇管の冷媒流速を前記配管の内壁に付着した冷凍機油が重力に逆らって滞留する流速より大きくする制御手段を備えたものである。
【0011】
本発明の請求項3に係る冷凍空調サイクル装置は、請求項1に記載の冷凍空調サイクル装置において、停止室内機側の流量調整手段である膨張弁の開度制御により配管の下方から上方へ冷媒が流れる上昇管内における冷媒流速を前記配管の内壁に付着した冷凍機油が重力に逆らって上昇可能な流速未満に制御する制御手段を備えたものである。
本発明の請求項4に係る冷凍空調サイクル装置は、請求項3に記載の冷凍空調サイクル装置において、停止室内機側にU字状のトラップ部を形成しない若しくは最小に形成する接続配管を備えたものである。
【0012】
本発明の請求項5に係る冷凍空調サイクル装置は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の冷凍空調サイクル装置において、冷媒としてR410AまたはR32またはR290を用い、冷凍機油としてアルキルベンゼン系冷凍機油を用いたものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
本発明の第1の実施形態による冷凍空調サイクル装置の冷媒回路図を図1に示す。冷媒を高圧ガス冷媒に圧縮し循環させる圧縮機1、冷房運転と暖房運転の冷媒の流れ方向を切り換える四方弁2、冷媒と室外周囲空気を熱交換させる室外熱交換器3、流量調整手段の膨張弁4a,4b、液側接続配管6a,6b、複数の室内熱交換器5a,5b、ガス側接続配管7a,7bを順次接続した構成で、作動流体となる冷媒としては例えばHFC系冷媒、冷凍機油としてはアルキルベンゼン系を用い、冷媒と冷凍機油が溶解しにくい冷凍サイクル装置となっている。また、室外機8には制御手段13を内蔵しており、圧縮機1の運転回転数とそれぞれの膨張弁4a,4bの開度を可変調整する。図1の実施例では室内熱交換器5が2台設けられた形態例であり、1台または2台同時の運転が可能である。図2は、図1の冷凍空調サイクル装置の設置例図であり、図において、前述の図1と同符号は相当部分を示す。
【0018】
室内機2台運転時の冷媒の流れについて暖房運転時を例に説明する。圧縮機1から吐出された冷媒は四方弁2から流出し、分岐部10で2つに分岐され、ガス側接続配管7a,7bを経た後、2台の室内熱交換器5a,5bそれぞれを流通し、個々の膨張弁4a,4bを経て再び合流して、室外熱交換器3、四方弁2を経て圧縮機1へと吸引される。冷媒の流れる流量は室外機の制御手段により圧縮機の回転数つまり運転周波数を変化させること、あるいは膨張弁の開度を変化させることによって変化させることが可能である。
【0019】
この室内機2台同時暖房運転の際に、図2に示される冷凍空調サイクル装置の設置例のように室内熱交換器が室外熱交換器より上方に設置されている場合には、特にガス側接続配管7のように冷媒が下方から上方に向かう上昇管として設置されることが多い配管において、配管内壁に付着した冷凍機油が自重に逆らって上昇するように、冷媒流速がある速度(ゼロペネトレーション流速)より大きくなるよう室外機の制御手段から圧縮機の運転回転数制御または膨張弁の開度制御を行う。
【0020】
ここで、ゼロペネトレーション流速とは、配管内径や気液の冷媒の状態から算出される。ゼロペネトレーション流速Ug※は以下に示すWallisの実験式を用いて算出する。
【0021】
Ug※=[g*dx*(ρoil−ρg)/ρg]1/2
ここで
g:重力加速度[m/sec2]
ρoil:油液密度[kg/m3]=867[kg/m3]
ρg:冷媒ガス密度[kg/m3]
dx:状態xにおける管内径[m]
【0022】
なお、状態xとは運転の状態を示す。
配管内を流れる冷媒流速Ugは次式で算出される。なお、油は冷媒より力を受けて上昇することになる。配管が垂直な条件がもっとも厳しく、たとえば斜めの上下関係ではこれより楽となる。
【0023】
G=SV*N*ηv/Vs
Ug=G*Vx/{π(dx/2)2}
Ug=SV*N*ηv/Vs*Vx/{π(dx/2)2}
ここで
G:質量流量[kg/s]
Vx:状態xにおける比容積[m3/kg]
SV:圧縮機のストロークボリューム[m3]
N:圧縮機の回転数[rps]
ηv:体積効率
Vs:吸入ガスの比容積[m3/kg]
【0024】
冷媒流速Ugが前式で算出された冷媒流速Ug※よりも、大きければ上昇管においても配管内壁に付着した冷凍機油が自重に逆らって上昇し、配管内には油が滞留しない。従ってUg>Ug※となるように室外機の制御装置から圧縮機の回転数を制御すれば、油が配管内部に滞留することはない。
【0025】
また、圧縮機の回転数が一定であっても、膨張弁の開度を調整することによって、冷媒流速Ugを制御することが可能であり、膨張弁の開度をUg>Ug※となるように制御することにより油が配管内部に滞留することを防止できる。
【0026】
本実施例に示した2台の室内熱交換器はそれぞれ熱交換容量を変えて設置することも、同じ熱交換容量とすることも可能である。熱交換容量が異なる熱交換器を使用する場合には、必要とする熱交換量に応じて冷媒流量が異なってくる。このため、それぞれの接続配管径を必要に応じて設定する必要がある。例えば、熱交換容量が大きな熱交換器と接続する場合には径の太い接続配管を用いる必要があり、熱交換容量の小さな熱交換器と接続する場合には径の細い接続配管でも良い。
【0027】
このように接続配管径が2種類以上存在する場合においても、それぞれの上昇管にてゼロペネトレーション流速より大きくなるように膨張弁の開度を制御することにより、油が配管内部に滞留することを防止できるため、圧縮機の必要油量を確保することが可能となり、圧縮機が潤滑不良となって故障することを防ぐことができる。なお、本実施例では接続配管が上昇管の場合を例に説明を行ったが、冷凍サイクル装置の他の部分における上昇管においても同様の効果が得られる。
【0028】
本実施例では、室内熱交換器を2台有する冷凍空調サイクル装置について説明を行ったが、室内熱交換器を3台以上有する冷凍サイクル装置においても圧縮機の運転回転数、または膨張弁の開度を適切に制御することによって、本実施例に説明の内容と同様の効果を得ることが可能となる。また、本実施例では配管内油滞留の問題が特に生じやすい暖房運転を例に説明を行ったが、冷媒の流れが反転する冷房運転時においても、室外熱交換器が室内熱交換器より上方に設置された場合などにおいてはガス側接続配管が冷媒の流れが下方から上方に向かう上昇管として設置されることになる。こうした場合においても圧縮機の回転数、または膨張弁の開度を適切に制御することにより本実施例に説明の内容と同様の効果を得ることが可能となる。
【0029】
実施の形態2.
実施の形態1に引き続き、冷凍空調サイクル装置の室内機1台運転時(空調運転を行わない室内機と運転を行う室内機の両方を有する場合)の動作について図3に基いて以下説明を行う。図3は本発明の実施の形態2を示す冷凍サイクル図であり、図において前述の図1と同符号は相当部分を示す。室内機1台運転時の冷媒の流れについて、暖房運転時を例に説明する。圧縮機1から吐出された冷媒は四方弁2を経て、運転される室内熱交換器5aを流通し、膨張弁4a、室外熱交換器3、四方弁2を経て圧縮機へと吸引される。冷媒の流れる流量は圧縮機の運転周波数つまり回転数を変化させることにより可変である。
【0030】
この室内機1台運転の際に、運転を行わない室内熱交換器5bには本来冷媒を流す必要がないが、停止機の室内熱交換器5bへ冷媒が溜まり込むことにより、運転を行っている側の冷凍サイクル回路へ必要な冷媒量が確保できず、空調能力が低下するようになる。これを防止するために、停止室内機側の膨張弁4bを少し開き、微量の冷媒を流す必要がある。冷媒の流量は膨張弁の開度によって調整することが可能である。
【0031】
ここで、図4は実施の形態2の垂直上昇管内における冷凍機油の流動状態図であり、図において、11は配管、12は油層である。停止室内機側においても実施例1の説明同様、垂直上昇管内に油が滞留しやすい。特に冷媒流速が前記ゼロペネトレーション流速となった場合には、図4に示すように配管11の内周に油層12が形成されて油層厚さが厚い環状流と化してしまうため、配管長さが長い場合には多くの油が配管内に滞留してしまい、圧縮機へ必要な油量が返油できなくなる可能性がある。
【0032】
停止室内機側の膨張弁開度を制御して、冷媒流速をゼロペネトレーション流速よりも大きく(Ug>Ug※)することによって油は環状流化することなく流れるため、油が配管内に滞留することはなく循環して、圧縮機の必要油量を確保することが可能となる。このため、圧縮機が潤滑不良となり故障することを防ぐことが可能となる。
【0033】
また、冷媒流速がゼロペネトレーション流速より低い場合には、油が上昇配管を上昇することはないため、配管内に油が上昇配管内に滞留することはない。しかし、流速が低い条件の際には、接続配管の一部に下降した後に再び上昇する形状(U字型)の配管部が存在した場合に、そのU字型配管部に油が滞留してしまう。このため、接続配管にはU字形状となるトラップ部分が形成されないように極力注意する必要がある。このように配管をU字形状配管部分(U字状のトラップ部)が全く形成されない、あるいはU字形状配管部分が形成されたとしてもその部分を極力小さくする構成とすることにより、冷媒流速をゼロペネトレーション流速よりも低くした場合においても、油が配管内に滞留しない、または滞留量を最小に抑えることが可能となる。このため、油は上昇配管を上昇することがなく、かつ滞留もしないもしくは殆どしないため、運転を行っている室内機側にのみ油を流すことが可能となる。このようにして停止室内機の配管内に油が滞留することを防止し、圧縮機の必要油量を確保することが可能となるため、圧縮機が潤滑不良となり故障することを防ぐことができる。
【0034】
本実施例では、室内熱交換器を2台有する冷凍空調サイクル装置について説明を行ったが、室内熱交換器を3台以上有する冷凍サイクル装置においても、本実施例に説明の内容と同様の効果を得ることが可能となる。
【0035】
実施の形態3.
本実施は冷凍空調サイクル装置のガス冷媒分岐部における発明であり、その代表例として、図1の冷凍空調サイクル装置の冷媒回路図における、分岐部10について説明を行う。図5は本発明の実施の形態3を示す分岐部の構造図であり、また、図6は前記分岐部の比較構造図である。図中、15は分岐部、16は分岐直前の接続された曲がり配管である。図5は曲がり配管16の管軸がなす平面に対してこの管軸を軸中心として分岐部15が垂直に接続されており、一方、図6は分岐部15が曲がり配管16の管軸がなす平面に含まれる位置関係に接続されている。図6に示すように、曲がり配管16内を流れるミスト状となった冷凍機油は遠心力の影響を受けて、外まわり側に集中して流れる傾向がある。このため、分岐部の構造を分岐部15の直前にある曲がり配管の管軸を含む平面に対し、分岐部において管軸を軸中心として垂直方向(図5)ではなく、水平方向(図6)に分岐させた場合には曲がり配管部にて外周側に偏って流れている油ミストが、外周側の分岐管へ多く流れて、冷凍機油の分配が偏ってしまう。
【0036】
図5に示すように、分岐部の構成を分岐部15の直前にある曲がり配管の管軸を含む平面が地面に対して垂直になるように設置し、かつ、分岐部においてこの平面に対し管軸を軸中心として垂直の方向に冷媒が分岐するように設けることにより、室内機2台同時運転時においても、ガス冷媒中にミスト状となって流れる冷凍機油を偏りなく均等に分配することが可能となるため、いずれかの室内機に冷凍機油が多量に流れることによる熱交換器伝熱性能の低下、および配管圧力損失が増大して空調能力が低下することを防止できる。なお、本実施例では暖房運転時の高圧ガス冷媒分岐部を例に説明を行ったが、この他に例えば、圧縮機を内蔵する室外機が複数あり、圧縮機の吸入側手前にてガス冷媒を分岐する場合など、ガス冷媒を分岐する箇所において本実施例に説明の内容と同様の効果が得られる。
【0037】
実施の形態4.
図1の冷凍空調サイクル装置の冷媒回路図における、本実施の形態の室内熱交換器あるいは室外熱交換器を側方から見た図を図7〜図9に示す。
図7〜図9は室内熱交換器あるいは室外熱交換器の冷媒流路を2分岐させた例である。図中の矢印は冷媒の流れ方向を示す。図9の例では熱交換器上下方向中間部にて冷媒を2分岐し、上方と下方それぞれに分岐後、再び合流する流れとなっている。
【0038】
冷凍機油に冷媒と相溶性の低い油を用いた場合に、図9のような流路様式では、熱交換器配管21およびベンド配管22でつくる冷媒流路が重力方向に対してU字形状となる部分(油トラップ部23)を形成しているので、冷媒と相溶性の高い油と比較して、冷媒と分離浮遊した冷凍機油がU字形状となる配管内に滞留しやすい。
【0039】
このため、図7または図8のように冷媒の流れを下→上流れ(図7)とする、または上→下流れ(図8)とする一方向流れにより油トラップ部が形成されず、冷媒と分離浮遊した冷凍機油が熱交換器内部に滞留されることを防止することが可能となり、圧縮機内の油量低下を防止し、圧縮機信頼性を確保することが可能となる。
【0040】
また、油と冷媒の溶解度は温度が低くなるほど低下する傾向にあるため、本実施例図7または図8のような油トラップ部を形成しない熱交換器内の冷媒流路様式は、熱交換器内容積が室内機側に比べて一般的に大きい室外熱交換器において、温度の低下する蒸発器となる運転モードにおいて特に有効である。熱交換器が凝縮器として用いられる場合には、油と冷媒の溶解度が高くなるために蒸発器に比べて油滞留の問題が発生しにくくなるが、U字形状の流路が有るとやはり冷凍機油が配管内に滞留する恐れがあり、凝縮器においても図7または図8のように冷媒の流れを下→上流れ(図7)とする、または上→下流れ(図8)とすることにより冷凍機油の滞留量を抑制することが可能となる。
【0041】
なお、実施の形態1〜実施の形態4では特に冷媒の種類を限定していないが、本システムでは冷媒としてHCFC系冷媒(R22やR123などや、これら冷媒数種の混合冷媒)、HFC系冷媒(R116、R125、R134a、R14、R143a、R152a、R227ea、R23、R236ea、R236fa、R245ca、R245fa、R32、R41、RC318などや、これら冷媒数種の混合冷媒のR407A、R407B、R407C、R407D、R407E、R410A、R410B、R404A、R507A、R508A、R508Bなど)、HC系冷媒(ブタン、イソブタン、エタン、プロパン、プロピレンなどやこれら冷媒数種の混合冷媒)、またこれらHCFC系冷媒やHFC系冷媒、HC系冷媒、自然冷媒など数種冷媒の混合冷媒などの使用が可能であり、これらの冷媒に対して非相溶油、または弱相溶性の油が使用可能となる。
【0042】
また、実施の形態1〜実施の形態4では接続配管内部の滞留油量を低減することが可能となるため、既存接続配管を流用して新規室外機、室内機の設置を行うリプレースの際に、新規の冷凍空調サイクル装置において従来の既設冷凍空調サイクル装置とは異なる油を用いても、異種の冷凍機油同士が混ざり合う量を低減することが可能となり、異種油同士が混ざり合うことによる不都合を抑制することが可能となる。
【0043】
また、実施の形態1〜実施の形態4では熱交換器など圧縮機以外の冷凍空調サイクル装置内部への冷凍機油滞留量を低減することが可能となるため、冷凍空調サイクル装置を廃棄する際に、油の回収が容易となり、リサイクル性を向上することが可能となる。
【0044】
【発明の効果】
本発明の請求項1に係る冷凍空調サイクル装置は、室内熱交換器を有する複数の室内機と、室外熱交換器と、圧縮機と、前記室内熱交換器に流通する冷媒の流量を調節する流量調整手段とを備えた室外機と、前記室外機と複数の室内機をそれぞれ接続する接続配管と、前記冷媒に対して非相溶性もしくは弱相溶性である冷凍機油を用いた冷凍空調サイクル装置において、少なくとも1つ以上の室内機が停止するとともに空調運転を行う室内機との両方を有する運転モードの場合に、前記停止室内機側の前記流量調整手段により前記接続配管の下方から上方へ冷媒が流れる上昇管の冷媒流速を前記配管の内壁に付着した前記冷凍機油が重力に逆らって滞留する流速と同一としないように制御する制御手段を備えたので、停止室内機の配管内に油が滞留することを防止し、圧縮機の必要油量を確保することが可能となるため、圧縮機が潤滑不良となり故障することを防ぐことができる。
【0045】
本発明の請求項2に係る冷凍空調サイクル装置は、請求項1に記載の冷凍空調サイクル装置において、停止室内機側の流量調整手段により接続配管の下方から上方へ冷媒が流れる上昇管の冷媒流速を前記配管の内壁に付着した冷凍機油が重力に逆らって滞留する流速より大きくする制御手段を備えたので、停止室内機の配管内に油が滞留することを防止し、圧縮機の必要油量を確保することが可能となるため、圧縮機が潤滑不良となり故障することを防ぐことができる。
【0046】
本発明の請求項3に係る冷凍空調サイクル装置は、請求項1に記載の冷凍空調サイクル装置において、停止室内機側の流量調整手段である膨張弁の開度制御により配管の下方から上方へ冷媒が流れる上昇管内における冷媒流速を前記配管の内壁に付着した冷凍機油が重力に逆らって上昇可能な流速未満に制御する制御手段を備えたので、停止室内機の配管内に油が滞留することを防止し、圧縮機の必要油量を確保することが可能となるため、圧縮機が潤滑不良となり故障することを防ぐことができる。
本発明の請求項4に係る冷凍空調サイクル装置は、請求項3に記載の冷凍空調サイクル装置において、停止室内機側にU字状のトラップ部を形成しない若しくは最小に形成する接続配管を備えたので、停止室内機の配管内に油が滞留することを防止し、圧縮機の必要油量を確保することが可能となるため、圧縮機が潤滑不良となり故障することを防ぐことができる。
【0047】
本発明の請求項5に係る冷凍空調サイクル装置は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の冷凍空調サイクル装置において、冷媒としてR410AまたはR32またはR290を用い、冷凍機油としてアルキルベンゼン系冷凍機油を用いたので、オゾン層破壊防止や地球温暖化防止に役立つことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1を示す冷凍サイクル図。
【図2】 本発明の実施の形態1の冷凍空調装置設置例図。
【図3】 本発明の実施の形態2を示す冷凍サイクル図。
【図4】 本発明の実施の形態2の垂直上昇管内冷凍機油の流動状態図。
【図5】 本発明の実施の形態3を示す分岐部の構造図。
【図6】 本発明の実施の形態3の分岐部の比較構造図。
【図7】 本発明の実施の形態4を示す熱交換器の側面図。
【図8】 本発明の実施の形態4を示す他の熱交換器の側面図。
【図9】 本発明の実施の形態4での比較説明用の熱交換器の側面図。
【図10】 従来の冷凍装置の斜視図。
【図11】 図10の蒸発器コイルの配置説明図。
【符号の説明】
1 圧縮機、2 四方弁、3 室外熱交換器、4a,4b 膨張弁、5a,5b 室内熱交換器、6a,6b 液側接続配管、7a,7b ガス側接続配管、8 室外機、9 室内機、10 分岐部、11 配管、12 油層、13 制御手段、15 分岐部、16 曲がり配管、20 フィン、21 熱交換器配管、22 ベンド配管、23 油トラップ部、51 冷媒圧縮機、52 凝縮器、53 キャピラリーチューブ、54 蒸発器、56 配管、60 蒸発器の上方、61 蒸発器の最下点。
Claims (5)
- 室内熱交換器を有する複数の室内機と、室外熱交換器と、圧縮機と、前記室内熱交換器に流通する冷媒の流量を調節する流量調整手段とを備えた室外機と、前記室外機と複数の室内機をそれぞれ接続する接続配管と、前記冷媒に対して非相溶性もしくは弱相溶性である冷凍機油を用いた冷凍空調サイクル装置において、少なくとも1つ以上の室内機が停止するとともに空調運転を行う室内機との両方を有する運転モードの場合に、前記停止室内機側の前記流量調整手段により前記接続配管の下方から上方へ冷媒が流れる上昇管の冷媒流速を前記配管の内壁に付着した前記冷凍機油が重力に逆らって滞留する流速と同一としないように制御する制御手段を備えたことを特徴とする冷凍空調サイクル装置。
- 停止室内機側の流量調整手段により接続配管の下方から上方へ冷媒が流れる上昇管の冷媒流速を前記配管の内壁に付着した冷凍機油が重力に逆らって滞留する流速より大きくする制御手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の冷凍空調サイクル装置。
- 停止室内機側の流量調整手段である膨張弁の開度制御により配管の下方から上方へ冷媒が流れる上昇管内における冷媒流速を前記配管の内壁に付着した冷凍機油が重力に逆らって上昇可能な流速未満に制御する制御手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の冷凍空調サイクル装置。
- 停止室内機側にU字状のトラップ部を形成しない若しくは最小に形成する接続配管を備えたことを特徴とする請求項3に記載の冷凍空調サイクル装置。
- 冷媒としてR410AまたはR32またはR290を用い、冷凍機油としてアルキルベンゼン系冷凍機油を用いたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の冷凍空調サイクル装置。
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Publications (2)
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