JP4074456B2

JP4074456B2 - 樹脂積層マット

Info

Publication number: JP4074456B2
Application number: JP2001363924A
Authority: JP
Inventors: 昭博松浦; ドベルマリー; 正人石橋
Original assignee: Honda Motor Co Ltd; Hayashi Telempu Corp
Current assignee: Honda Motor Co Ltd; Hayashi Telempu Corp
Priority date: 2001-11-29
Filing date: 2001-11-29
Publication date: 2008-04-09
Anticipated expiration: 2021-11-29
Also published as: US7208224B2; JP2003165372A; US20030124352A1

Description

【０００１】
【発明が属する技術分野】
本発明は、樹脂積層マットに関し、特に意匠性にすぐれ、成形して自動車用フロアマット等として適用するのに好適なものに関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来より、樹脂シートを真空成形、プレス成形してなる成形品が、自動車のフロアマットやトランクマットに使用されている。この種のフロアマット等は、真空成形による場合は、押出し加工やカレンダー加工によって形成した熱可塑性樹脂シートを加熱し可塑化させた上で、所要形状の成形面を有する型上に配置し、成形面内に形成された多数の通気孔からエアーを引いて、可塑化した熱可塑性樹脂シートを型面に吸引して沿わせ、冷却して形状を転写する。また、プレス成形による場合は、同様に押出し加工やカレンダー加工によって形成した熱可塑性樹脂シートを加熱し可塑化させた上で、所要形状の成形面を有する雌雄の成形型間に位置させ、型締めして所要形状を付与した後、冷却、脱型して形状を固定する。
【０００３】
熱可塑性樹脂としては、成形の自由度が高い塩化ビニル樹脂が多く用いられる。また意匠性のためには熱可塑性樹脂シートの一表面には、絞付けがおこなわれることが一般的である。この絞付けは、熱可塑性樹脂シートを絞ロールの間に通して紋付けする場合と、あらかじめ型面に付与された絞模様を成形時に転写して、樹脂シートの表面に模様付けがおこなわれることもある。
上記のようにして得られた樹脂マット（フロアマット）は、樹脂の色調と絞模様によって意匠を演出しているが、実際的には、使用される色調（顔料）や絞パターンは限定されているために、得られる成形品の意匠は限られ、より斬新な意匠を付与する技術も望まれている。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記課題にかんがみなされたものであり、真空成形やプレス成形による樹脂成形マットに、従来に無い色調を付与することを可能にし、得られる成形品としての自動車のフロアマットやトランクマットの意匠性を高めることを可能とする。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
課題を解決する本発明の手段は、透明な母材樹脂に金属等からなる高輝度粒子を分散してなる表層と、表層の裏面に着色された樹脂からなる裏層とを積層してなり、表層には絞パターンが形成されていることを特徴とする樹脂積層マットによる。
【０００６】
（作用）
本発明では、透明な母材樹脂に高輝度粒子を混入した表層と、表層の裏面に積層される着色された樹脂からなる裏層とを積層した樹脂積層マットとすることにより、表層を透過して表層の裏面に積層される裏層の色調が透けて見えるとともに、表層に混入された高輝度粒子が光線を反射することにより、従来に無い煌き感のある意匠が形成される。
鋭意検討した結果、裏層（着色層）に高輝度粒子を直接配合すると、裏層の最表面にある高輝度粒子のみが表面から見えるため高輝度粒子の配合効率が劣り、奥行き感もないのに対して、表面に独立した透明樹脂層をもうけて高輝度粒子を配合すると、透明樹脂の厚さ方向に分散した粒子がすべて光を反射する作用をなすため、高い効率で、立体感のある意匠が完成することがわかった。
【０００７】
この作用を特に高めるためには、表層の透明な母材樹脂の光透過率は、１０％以上あるのが好ましく、表層には深さないし高さ数ｍｍの光屈折性の絞パターンがほどこされることが好ましい。この樹脂積層マットを成形して自動車用フロアマットとして用いた場合には、フロアマットを見る角度によって光の反射率、色調が異なって見え、自動車が日射や照明を受けた場合には、マットが光って、従来のフロアマットより明るいシルバー調、ガンメタ調の意匠に見せることができる。
【０００８】
樹脂積層マットの表面から入射した光線は、表層の透明な母材樹脂を透過して裏層の着色剤を多く含む上層に達して、裏層表面で反射することにより、裏層の色調を反映した光線としてマットの表面から放出される。また入射した光線が、途中で表層内に分散された高輝度粒子に当たった場合には、乱反射が生じて光は散乱され、一部は光沢のある光線としてマットの表面から放出される。高輝度粒子が十分小さい場合には上記の裏層で反射された光線と、高輝度粒子で反射された光は、重なって見えるため、樹脂積層マットの外観は光沢のある独特の色調となる。
表層に、光屈折性の絞パターンをほどこすことにより、光線の全反射を抑え、より複雑な光線の経路を形成することで、外観に変化を与えることもできる。種々の試行の結果、絞パターンの深さないし高さは数ｍｍが適することがわかった。
【０００９】
裏層の着色は種々に替えることが可能であり、表層に配合される高輝度粒子の形状、大きさ、および配合率を調整することと合せて、多様な意匠バリエーションを作成できる。必要に応じて、表層の表面をウレタンおよび／またはシリコーン樹脂で透明にコーティングして、表層の傷つきを防止することが適する。
裏層を上層と下層に分けて異なる機能をもたせ、着色剤を多く含む上層によって色調を調整し、下層には、充填材を多く含ませて、加熱時の過剰な軟化を抑えることで、真空成形やプレス成形への適用を容易にすることは、特に好ましい。
【００１０】
本発明の樹脂積層マットは、オレフィン樹脂、好ましくは低密度ポリエチレン樹脂、特に好ましくは線状低密度ポリエチレン樹脂で構成することが適する。
樹脂積層マットに低密度ポリエチレン樹脂を適用した場合は、この樹脂積層マットを予備加熱後の真空成形ないしプレス成形によって所望の三次元形状に成形する場合に、加熱を受けたマットが可塑化しても比較的高い張力を維持することができるために、マットがだれないで真空成形等に適用することができ、大型のマットや深い絞り形状のマットでも成形することが可能になる。
さらにこの樹脂積層マットに線状低密度ポリエチレン樹脂を用いると、加えて得られた樹脂積層マットにおいて柔軟性と耐摩耗性、耐引き裂き強度も付加することができる。
【００１１】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適の実施形態を説明する。
図１は、本発明の樹脂積層マットの断面図を示す。
本発明の樹脂積層マット１０は、少なくとも透明な母材樹脂に金属等からなる高輝度粒子を分散してなる表層１１と、表層の裏面に着色された樹脂からなる裏層１２を積層してなる。裏層は、上層と下層の２層（１２ａ、１２ｂ）で構成する場合もある。
表層１１と裏層１２はそれぞれ、シート押出し加工やカレンダー加工によって形成された樹脂シートを、加工時に積層するか、それぞれ加工を終えた各シートを加熱してラミネートすることも可能である。好ましい一実施例では、表層の厚さが０．２〜０．６ｍｍ、裏層（上層＋下層）の厚さが０．６〜３．０ｍｍであった。表層と裏層を積層した樹脂マットは、再加熱して可塑化した後、真空成形やプレス成形に供して、自動車用フロアマット等の成形物を得るのに好適なものである。
【００１２】
表層の母材樹脂としては、結晶化度が低いオレフィン樹脂を用いるのが適し、特に線状低密度ポリエチレン樹脂（光透過率１０％以上、特に好ましくは光透過率３０％以上）が最適である。
表層に分散される高輝度粒子としては、アルミ粉等の金属粒子が適するが、その他には、マイカ、金、銀等の鉱物粒子も適する。粒子の大きさは５〜１８０μｍである。
高輝度粒子の母材樹脂に対する好ましい配合率は、重量比率で０．１％〜０．２５％（アルミ粉の場合）〜３％ほどが適する。
【００１３】
表層には、深さ（ないし高さ）数ｍｍの光屈折性の絞パターン１１１を施し、光の反射方向をより複雑化させることが可能になる。この深さないし高さは、表層の厚さの１〜５０％に相当し、光を屈折させる作用が最も高められる。好ましい絞パターンの例としては、一般面に対する高さが３ｍｍ未満の凸円をちどり配列したパターンである。
【００１４】
図１において、実施例樹脂積層マットにおける光の透過、反射パターンを模式的に示す。
樹脂積層マットの表面に照射する光線のうちＬ₁成分では、入射角が臨界角より浅いために、表層に反射されて、内部に達することがなく、観測者には光って見える成分である。
次に、樹脂積層マットの表面に照射する光線のうちＬ₂成分ではより入射角が臨界角より深いために、光線は表層内に入り、そのまま裏層の表面において反射されて、樹脂積層マットの表面から出射され、観測者には裏層（上層）の色調を反映した色が見える。
さらに、樹脂積層マットの表面に照射する光線のうちＬ₃成分では入射角が臨界角より深いために、光線は表層内に入り、途中で高輝度粒子に乱反射されて、一部は樹脂積層マットの表面から出射され、観測者には輝度の高い光沢状に見える。実際には、観測者には、上記Ｌ₂成分とＬ₃成分は区別しがたく、重なって見えるために、全体として裏層の色調を反映しながら、同時に光沢のある外観に見える。
なお、樹脂積層マットの表面に照射する光線のうち一部は、Ｌ₄成分のように、絞パターンによって経路を複雑に屈折させられて、特異な外観を与える。
【００１５】
表層および裏層の母材樹脂として、最も適するのは線状低密度ポリエチレン樹脂であり、特にエチレンプロピレンゴム、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂などのエチレン系コポリマーによって、柔軟性を増したものが最も適する。
【００１６】
（実施例）
本発明の樹脂積層マットを自動車用フロアマットとして適用する一例を説明する。
まず、表層は上記線状低密度ポリエチレン樹脂に高輝度粒子（アルミ粉）を配合した後、Ｔダイ押し出しにより、厚さ０．４ｍｍのシートに加工する。得られたシートの表面はコロナ放電処理、プライマー処理等によって接着性を高めた上でウレタンおよびシリコーンのコーティングをおこなっておく。
次に裏層は上記線状低密度ポリエチレン樹脂に、着色剤、タルク、カーボブラック等を加えて、後の真空成形に適した物性になるように調整し、カレンダー装置により、厚さ１．６ｍｍのシートに加工する。
得られた表層と裏層のシートは、熱ラミ加工により積層されて樹脂積層マット（厚さ２．０ｍｍ）を、１８０〜２２０℃に加熱した上で、所要の成形面を有する真空成形型上に配して真空引きし、成形面形状を付与すると同時に、積層マットの表面に型成形面の絞パターン（楕円絞、ちどり状配置）を転写する。
図２に得られた実施例樹脂積層マット２０の外観写真（部分）を示す。
全体として明るいガンメタ調の外観が得られ、成形形状によって部分的に光反射率が異なる変化を生じている。特に絞パターン２１の周縁において、特異に輝度が高められる意匠である。
【００１７】
【発明の効果】
本発明の樹脂積層マットは、従来為し得なかった光沢のある意匠の樹脂積層マットであり、真空成形やプレス成形によって自動車用フロアマット等に適用するのに好適の構成である。
オレフィン樹脂を主成分に構成することが可能であり、環境に影響する可能性のある塩化ビニル樹脂の使用を廃することが可能である。
【００１８】
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の樹脂積層マットと入射光線の軌跡を示す。
【図２】実施例樹脂積層マットの外観写真を示す。
【符号の説明】
１０樹脂積層マット
１１表層
１２裏層
１１１絞パターン
Ｌ₁〜Ｌ₄ 入射光線の軌跡を示す。
２０樹脂積層マット（実施例）

Claims

透明な母材樹脂に金属等からなる高輝度粒子を分散してなる表層と、表層の裏面に着色された樹脂からなる裏層とを積層してなり、前記表層には絞パターンが形成されていることを特徴とする樹脂積層マット。
前記裏層が、着色剤を多く含む上層と、充填剤を多く含む下層とからなることを特徴とする、請求項１に記載の樹脂積層マット。
前記表層の透明な母材樹脂の光透過率が１０％以上あることを特徴とする、請求項１に記載の樹脂積層マット。
前記表層の透明な母材樹脂が線状低密度ポリエチレン樹脂を主体としてなることを特徴とする、請求項１に記載の樹脂積層マット。
前記裏層の樹脂が線状低密度ポリエチレン樹脂、ないし線状低密度ポリエチレン樹脂に低密度ポリエチレン樹脂を混合してなるものであることを特徴とする、請求項１に記載の樹脂積層マット。
前記表層の表面をウレタンおよび／またはシリコーン樹脂で透明にコーティングしてあることを特徴とする、請求項１に記載の樹脂積層マット。
予備加熱後の真空成形ないしプレス成形によって、所望の三次元形状に成形されてあることを特徴とする、請求項１から６のいずれか１項に記載の樹脂積層マット。