JP4064909B2 - インクジェット記録方法及びインクジェット画像 - Google Patents

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    • C09D11/30Inkjet printing inks
    • C09D11/40Ink-sets specially adapted for multi-colour inkjet printing

Description

本発明は、インクジェット記録方法及びインクジェット画像に関し、特に平滑光沢化、画像堅牢化を効果的に行ない得るインクジェット記録方法及びこれにより得られたインクジェット画像に関する。
インクジェット記録方法においては、近年特に、鮮鋭で鮮やかな色合いを有する高画質であるだけでなく、同時に高光沢性で耐候性に優れていること(高品質であること)が要求されている。
上記に対し、これまで種々の技術が提案されている。例えば、記録前においては透気性、透液性を有し画像記録が可能であると共に、記録後においては耐候性、耐光性、耐摩擦性、耐水性等の諸機能を担う表面保護層が形成される画像形成材料、及びインク吸収層の表面が熱ラミネート層によって覆われており、この熱ラミネート層が加熱手段により加熱されたときに不透液性の透明層とするインクジェットプリンタが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この場合、加熱手段として板状ヒータが用いられている。しかし、不透液性の透明層は表面保護層としての機能は有するものの、表面保護層を含めた画像形成材料の全体に光沢性を付与することはできない。
また、画像が記録された被記録媒体を画像記録後に加熱等する技術について開示した文献があり(例えば、特許文献2〜4参照)、記録時のしわや部分的な剥離を防止して良好な画像を得ることができるとされている。しかし、しわ等がなく表面平滑な画像は得られるものの、得られた画像の耐候性(オゾン耐性、耐光性など)を充足するまでには至っていない。
特開平9−70960号公報 特許2908518号公報 特許3103429号公報 特開平11−291611号公報
以上のように、写真ライクな画像の形成に好適な光沢度を保持すると共に、長期にわたる耐候性能、特に画像褪色し難い耐光性、耐オゾン性を高度に両立し得る技術は、未だ確立されるまでに至っていないのが現状である。
本発明は、上記に鑑み成されたものであり、写真ライクな画像化に好適な高光沢性を有し、特に優れた耐光性及び耐オゾン性を具備した画像の記録が可能なインクジェット記録方法、並びに該インクジェット記録方法により得られたインクジェット画像を提供することを目的とし、該目的を達成することを本発明の課題とする。
インクジェット記録媒体を用いたインクジェット記録では、使用するインク自体が耐候性を具備するときには耐光性や耐オゾン性のある画像の形成が期待できるが、特にオゾン耐性に注視すると必ずしも充分ではなく、写真ライクな高光沢付与の点でも不充分であり、これらの改善には記録後の加熱加圧処理と特定のインク特性(すなわち染料の酸化電位)とを組合せるのが効果的であるとの知見を得た。また更に、高光沢付与(平滑化)には加熱加圧状態を冷却解除(冷却剥離など)するのが効果的であるとの知見をも得た。本発明は、これらの知見に基づいてなされたものであり、前記課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
<1> 少なくとも1種のイエロー染料を含有するイエローインク、少なくとも1種のマゼンタ染料を含有するマゼンタインク、及び少なくとも1種のシアン染料を含有するシアンインクを最小の構成要素とし、前記マゼンタ染料が下記一般式(M−II)で表され、前記シアン染料が下記一般式(C−II)で表されるインクセットを用いて、支持体上にインク受容層を有するインクジェット記録媒体の上に画像を形成した後、ベルト部材と、加熱加圧手段と、冷却手段と、冷却状態で前記ベルト部材から剥離する冷却剥離部とを有する冷却剥離式のベルト定着型平滑化処理機を用い、前記加熱加圧手段により、前記インクジェット記録媒体のインク受容層面を加熱するとともにベルト部材のベルト面で加圧する加熱加圧処理の後、被加圧面を冷却し、前記ベルト部材から、前記インクジェット記録媒体を冷却剥離することを特徴とするインクジェット記録方法である。
<6> 前記加熱加圧処理は、フルオロカーボンシロキサンゴムを含む層が設けられた部材を用いて、前記層の表面を前記インクジェット記録媒体の記録面側の表面に接触させて行なわれる前記<1>〜<5>のいずれかに記載のインクジェット記録方法である。
<7> 前記加熱加圧処理は、シリコーンゴムを含む第1層とフルオロカーボンシロキサンゴムを含む第2層とが順に積層された部材を用いて、前記第2層の表面を前記インクジェット記録媒体の記録面側の表面に接触させて行なわれる前記<1>〜<6>のいずれかに記載のインクジェット記録方法である。
<8> 前記フルオロカーボンシロキサンゴムが、主鎖にパーフルオロアルキルエーテル基及び/又はパーフルオロアルキル基を有する前記<6>又は<7>に記載のインクジェット記録方法である。
<9> 前記<1>〜<8>のいずれかに記載のインクジェット記録方法により得られたことを特徴とするインクジェット画像である。
本発明によれば、写真ライクな画像化に好適な高光沢性を有し、特に優れた耐光性及び耐オゾン性を具備した画像の記録が可能なインクジェット記録方法を提供すると共に、該インクジェット記録方法により得られたインクジェット画像を提供することができる。
本発明のインクジェット記録方法は、画像記録に使用するインクセットを構成するマゼンタ染料及びシアン染料の酸化電位を0.8Vより貴とすると共に記録後の画像を加熱加圧処理することを特徴とするものである。
以下、本発明のインクジェット記録方法及びインクジェット画像について詳細に説明する。
本発明のインクジェット記録方法は、少なくとも1種のイエロー染料を含有するイエローインク、少なくとも1種のマゼンタ染料を含有するマゼンタインク、及び少なくとも1種のシアン染料を含有するシアンインクを最小の構成要素とし、前記マゼンタ染料が下記一般式(M−II)で表され、前記シアン染料が下記一般式(C−II)で表されるインクセットを用いて、支持体上にインク受容層を有するインクジェット記録媒体の上に画像を形成した後、ベルト部材と、加熱加圧手段と、冷却手段と、冷却状態で前記ベルト部材から剥離する冷却剥離部とを有する冷却剥離式のベルト定着型平滑化処理機を用い、前記加熱加圧手段により、前記インクジェット記録媒体のインク受容層面を加熱するとともにベルト部材のベルト面で加圧する加熱加圧処理の後、被加圧面を冷却し、前記ベルト部材から、前記インクジェット記録媒体を冷却剥離するものである。
本発明においては、インクセットを構成するマゼンタ染料及びシアン染料の酸化電位を0.8Vより貴とすることで画像の耐光性及び耐オゾン性が向上し、さらに記録後の画像に対して加熱加圧処理を施すので、画像の耐光性及び耐オゾン性を特に効果的に向上させることができ、同時に画像から受けるチリチリ感を抑えて写真ライクな高光沢のある高品質な画像を形成することができる。
[インクジェット記録媒体]
まず、本発明に用いるインクジェット記録媒体の構成について詳述する。
本発明に係るインクジェット記録媒体は、支持体上に少なくとも1層のインク受容層を有してなり、更に必要に応じて適宜選択した他の層、例えば中間層、保護層、下塗り層などの非記録層を有してなる。好ましくは、インク受容層の少なくとも一層は熱可塑性樹脂を含有し、及び/又は中間層や保護層等の非記録層として熱可塑性樹脂を含有する層を設けることができる。
このインクジェット記録媒体は、画像形成した後、加熱加圧処理されることにより、特に画像の耐オゾン性、耐光性を具備すると共に、優れた平滑性、光沢性を発揮する。特に後述の熱可塑性樹脂を含むときには画像の耐オゾン性をより効果的に向上させることができる。熱可塑性樹脂に関する説明については後記する。
−支持体−
前記支持体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。インクジェット記録媒体全体における平滑、光沢性を向上させる観点から特に、基体と該基体の片面又は両面に設けられるポリオレフィン樹脂層とで構成された支持体が好ましい。
〈基体〉
前記基体としては、加熱加圧処理時の温度に耐え得るものであって、平滑性、白色度、滑り性、摩擦性、帯電防止性、定着後のへこみ等の点で要求を満足できるものである限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。一般的には、日本写真学会編「写真工学の基礎−銀塩写真編−」、株式会社コロナ社刊(昭和54年)(223)〜(240)頁に記載の紙、合成高分子(フィルム)等の写真用支持体、などが挙げられる。
前記基体の具体例としては、合成紙(ポリオレフィン系、ポリスチレン系等の合成紙)、上質紙、アート紙、(両面)コート紙、(両面)キャストコート紙、ポリエチレン等の合成樹脂パルプと天然パルプとから作られる混抄紙、ヤンキー紙、バライタ紙、壁紙、裏打用紙、合成樹脂又はエマルション含浸紙、合成ゴムラテックス含浸紙、合成樹脂内添紙、板紙、セルロース繊維紙、等の紙支持体、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレンメタクリレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネイトポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリイミド、セルロース類(例えばトリアセチルセルロース)、等の各種プラスチックフィルム又はシート、該プラスチックフィルム又はシートに白色反射性を与える処理(例えば、フィルム中へ酸化チタンなどの顔料を含有させるなどの処理)を施したフィルム又はシート、布類、金属、ガラス類、などが挙げられる。
これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を積層体として併用してもよい。
前記基体としては、更に、特開昭62−253159号公報(29)〜(31)頁、特開平1−61236号公報(14)〜(17)頁、特開昭63−316848号公報、特開平2−22651号公報、同3−56955号公報、米国特許第5,001,033号等に記載の基体も挙げられる。
前記基体としては、表面平滑性が高いのが好ましく、具体的に、表面粗さ(王研式平滑度)が、210秒以上であるのが好ましく、250秒以上であるのがより好ましい。該表面粗さ(王研平滑度)が、210秒未満であると形成された画像の画質が不良となることがある。なお本発明において、前記王研式平滑度は、JAPAN TAPPI No.5 B法で規定される平滑度であり、実質上600秒程度が好ましく、500秒程度がより好ましい。
前記基体の「厚み」としては、通常25〜300μmであり、50〜260μmが好ましく、75〜220μmがより好ましい。
前記基体の「剛度」としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、写真画質の受像紙用としてはカラー銀塩写真用の基体に近いものが好ましい。
前記基体の「密度」としては、定着性能の観点からは、0.7g/cm3以上であることが好ましい。
前記基体の「熱伝導率」としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、特に加熱加圧処理性の観点から、20℃、相対湿度65%の環境条件下において、0.50kcal/m・h・℃以上であるのが好ましい。なお、本発明において、熱伝導率は、JIS P 8111に準拠して調湿した転写紙を、特開昭53−66279号公報に記載の方法により測定することができる。
前記基体には、本発明の効果を阻害しない範囲で、目的に応じ適宜選択した各種の添加剤を添加させることができる。該添加剤としては、例えば、増白剤、導電剤、填料、酸化チタン、群青、カーボンブラック等の顔料、染料などが挙げられる。
また、前記基体の片面又は両面には、その上に設けられる層等との密着性を改良する目的で、種々の表面処理や下塗り処理を施してもよい。
前記表面処理としては、例えば、光沢面、又は特開昭55−26507号公報記載の微細面、マット面、又は絹目面の型付け処理、コロナ放電処理、火炎処理、グロー放電処理、プラズマ処理等の活性化処理、などが挙げられる。
前記下塗り処理としては、例えば、特開昭61−846443号公報に記載の方法が挙げられる。
これらの処理は、単独で施してもよいし、また、前記型付け処理等を行なった後に前記活性化処理を施すようにしてもよいし、更に前記活性化処理等の表面処理後に前記下塗り処理を施すようにしてもよく、任意に組合せることができる。
前記基体の一方の表面(オモテ面若しくはウラ面)又は両方の表面において、親水性バインダーやアルミナゾルや酸化スズ等の半導性金属酸化物、カーボンブラックその他の帯電防止剤等を含む塗布液を塗布してもよい。このような基体として具体的には、特開昭63−220246号公報などに記載の支持体が挙げられる。
〈ポリオレフィン樹脂層〉
前記支持体は、基体の片面又は両面に、ポリオレフィン樹脂層を設けて好適に構成することができる。
前記ポリオレフィン樹脂層を構成するポリオレフィン樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、などが挙げられる。前記ポリエチレンとしては、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(L−LDPE)などのいずれでもよいが、写真印画紙用支持体の剛性を重視する場合には、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン(HDPE)、綿状低密度ポリエチレン(L−LDPE)等を用いることが好ましい。これらの樹脂は、単独で用いても、2種以上を混合して使用してもよい。
一般には低密度ポリエチレンを用いて構成されることが多いが、支持体の耐熱性を向上させるために、ポリプロピレン、ポリプロピレンと低密度ポリエチレンとのブレンド、高密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンとのブレンド、等を用いるのが好ましい。特に、コストやラミネート適性等の点から、高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンとのブレンドを用いるのが最も好ましい。
前記高密度ポリエチレンと前記低密度ポリエチレンとのブレンドは、例えば、ブレンド比率(質量比;HDPE/LDPE)1/9〜9/1で用いられる。該ブレンド比率としては、2/8〜8/2が好ましく、3/7〜7/3がより好ましい。該支持体の両面に熱可塑性樹脂層を形成する場合、支持体の裏側を構成するポリオレフィン樹脂層は、例えば、高密度ポリエチレン、あるいは高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンとのブレンドを用いて形成されるのが好ましい。ポリエチレンの分子量としては、特に制限はないが、メルトインデックスが、高密度ポリエチレン及び低密度ポリエチレンのいずれについても、1.0〜40g/10分の間のものであって、押出し適性を有するものが好ましい。
これらポリオレフィン樹脂は、ガラス転移温度(Tg)が低いにも拘わらず、他の物質との相互作用を持ちにくい構造を有しているため、ブロッキングを生じにくいという特性を備えている。
前記ポリオレフィン樹脂層は、例えば、基体へのポリオレフィンフィルムのドライラミネート(貼り合せ)、ポリオレフィン樹脂の溶剤系塗布、ポリオレフィンエマルションの水系塗布、ポリオレフィンエマルションの含浸、溶融押出コーティングにより形成することができる。中でも、生産性の点などから溶融押出コーティングにより形成されることが好ましい。
前記ポリオレフィン樹脂層の厚さは、特に制限されないが、例えば、1〜50μmが好ましく、より好ましくは5〜15μmである。
前記ポリオレフィン樹脂層には、上記ポリオレフィン樹脂以外に必要に応じて蛍光増白剤又は白色顔料を含有することが好ましい。
前記蛍光増白剤は、近紫外部に吸収を有し、400〜500nmに蛍光を発する化合物で、公知の蛍光増白剤が特に制限なく各種使用することができる。前記蛍光増白剤としては、K.VeenRataraman編“The Chemistry of Synthetic Dyes”V巻8章に記載されている化合物を好適に挙げることができる。具体的には、スチルベン系化合物や、クマリン系化合物、ビフェニル系化合物、ベンゾオキサゾリン系化合物、ナフタルイミド系化合物、ピラゾリン系化合物、カルボスチリル系化合物などが挙げられる。それらの例としては、住友化学製ホワイトフルファーPSN、PHR、HCS、PCS、B;Ciba−Geigy社製UVITEX−OBなどが挙げられる。
前記白色顔料としては、例えば、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、亜鉛華等が挙げられる。これらの中では、陰蔽性の点から、酸化チタンが好ましい。
前記白色顔料又は蛍光増白剤の含有量としては、0.1〜8g/m2が好ましく、0.5〜5g/m2がより好ましい。該含有量が、0.1g/m2未満であると光透過率が高くなりすぎることがあり、8g/m2を超えるとひび割れ、耐接着等の取扱い性が低下することがある。
−インク受容層−
前記インク受容層は、少なくとも微粒子と水溶性樹脂とを用いて構成することができ、必要に応じさらに水溶性樹脂を架橋し得る架橋剤や媒染剤、界面活性剤等の他の成分を含有することができる。
〈微粒子〉
インク受容層は、微粒子の少なくとも一種を用いて構成することができる。インク受容層は、微粒子を含有することにより多孔質構造に構成され、これによりインクの吸収性能が向上する。
特に、微粒子の量がインク受容層の固形分質量の50質量%以上、より好ましくは60質量%を超えていると、更に良好な多孔質構造とすることが可能となり、インク吸収性をより向上させることができる。ここで、微粒子のインク受容層における固形分含有量は、インク受容層を構成する組成物中の水以外の成分に基づき算出される含有量である。
上記の多孔質構造のインク受容層とは、空隙率が30〜75%、好ましくは40〜70%である層をいう。前記空隙率が、30%未満であるとインク吸収性が不充分となることがあり、75%を超えるとバインダー不足による粉落ちの問題を生ずることがある。また、インクジェット記録媒体の品質上、インク受容層の層厚は20〜40μmとなるように、60°光沢度は30〜70%となるように、構成されるのが好ましい。
微粒子としては、有機微粒子及び無機微粒子のいずれをも用いることができる。前記有機微粒子の好ましいものとして、例えば、乳化重合、マイクロエマルジョン系重合、ソープフリー重合、シード重合、分散重合、懸濁重合などにより得られるポリマー微粒子が挙げられ、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリアミド、シリコン樹脂、フェノール樹脂、天然高分子等の粉末、ラテックス又はエマルジョン状のポリマー微粒子等が挙げられる。
また、無機微粒子としては、例えば、シリカ微粒子、コロイダルシリカ、二酸化チタン、硫酸バリウム、珪酸カルシウム、ゼオライト、カオリナイト、ハロイサイト、雲母、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、擬ベーマイト、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、アルミナ、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、酸化ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化ランタン、酸化イットリウム等が挙げられる。
これらの中でも、インク吸収性及び画像安定性の点から無機微粒子が好ましく、さらに良好な多孔質構造を形成する点から、シリカ微粒子、コロイダルシリカ、アルミナ微粒子、又は擬ベーマイトが好ましい。
このうち、シリカ微粒子は、通常その製造法により湿式法粒子と乾式法(気相法)粒子とに大別される。前記湿式法では、ケイ酸塩の酸分解により活性シリカを生成し、これを適度に重合させ凝集沈降させて含水シリカを得る方法が主流である。一方、気相法は、ハロゲン化珪素の高温気相加水分解による方法(火炎加水分解法)、ケイ砂とコークスとを電気炉中でアークによって加熱還元気化し、これを空気で酸化する方法(アーク法)によって無水シリカを得る方法が主流であり、前記「気相法シリカ」とは、当該気相法によって得られた無水シリカ微粒子を意味する。本発明におけるシリカ微粒子としては、特に気相法シリカ微粒子が好ましい。
気相法シリカは、含水シリカと表面のシラノール基の密度、空孔の有無等に相違があり、異なった性質を示すが、空隙率が高い三次元構造を形成するのに適している。この理由は明らかではないが、含水シリカの場合には、微粒子表面におけるシラノール基の密度が5〜8個/nm2で多く、シリカ微粒子が密に凝集(アグリゲート)し易く、一方、気相法シリカの場合には、微粒子表面におけるシラノール基の密度が2〜3個/nm2であり少ないことから疎な軟凝集(フロキュレート)となり、その結果、空隙率が高い構造になるものと推定される。
前記気相法シリカは、比表面積が特に大きいので、インクの吸収性、保持の効率が高く、また、屈折率が低いので、適切な粒子径まで分散を行なえば受容層に透明性を付与でき、高い色濃度と良好な発色性が得られるという特徴がある。受容層が透明であることは、OHP等透明性が必要とされる用途のみならず、フォト光沢紙等の記録用シートに適用する場合でも、高い色濃度と良好な発色性光沢を得る観点で重要である。
微粒子の平均一次粒径としては、2μm以下が好ましく、200nm以下がより好ましい。更に、平均一次粒径が30nm以下のシリカ微粒子、平均一次粒径が30nm以下のコロイダルシリカ、平均一次粒径が20nm以下のアルミナ微粒子、又は平均細孔半径が2〜15nmの擬ベーマイトがより好ましく、この中でも特にシリカ微粒子、アルミナ微粒子、擬ベーマイトが好ましい。
また、気相法シリカの場合、平均一次粒子径は30nm以下が好ましく、より好ましくは20nm以下でり、特に好ましくは10nm以下であり、最も好ましくは3〜10nmである。気相法シリカは、シラノール基による水素結合によって粒子同士が付着しやすいため、平均一次粒子径が30nm以下のときに空隙率の大きい構造を形成することができ、インク吸収特性を効果的に向上させることができる。
シリカ微粒子は、上記した他の微粒子と併用してもよい。該他の微粒子とシリカ微粒子(特に気相法シリカ)とを併用する場合、全微粒子中のシリカ微粒子(特に気相法シリカ)の含有量は30質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましい。
上記以外に、無機微粒子としてアルミナ微粒子、アルミナ水和物、これらの混合物又は複合物も好適である。このうち、アルミナ水和物は、インクをよく吸収し定着すること等から好ましく、特に擬ベーマイト(Al23・nH2O)が好ましい。アルミナ水和物は種々の形態のものを用いることができるが、容易に平滑な層が得られることからゾル状のベーマイトを原料として用いることが好ましい。
擬ベーマイトの細孔構造については、その平均細孔半径は1〜30nmが好ましく、2〜15nmがより好ましい。また、その細孔容積は0.3〜2.0cc/gが好ましく、0.5〜1.5cc/gがより好ましい。ここで、細孔半径及び細孔容積は、窒素吸脱着法により測定されるもので、例えば、ガス吸脱着アナライザー(例えば、コールター社製の商品名「オムニソープ369」)を用いて測定できる。
また、アルミナ微粒子の中では、気相法アルミナ微粒子が比表面積が大きく好ましい。該気相法アルミナ微粒子の平均一次粒子径は30nm以下が好ましく、20nm以下が更に好ましい。
上述の微粒子は、例えば、特開平10−81064号、同10−119423号、同10−157277号、同10−217601号、同11−348409号、特開2001−138621号、同2000−43401号、同2000−211235号、同2000−309157号、同2001−96897号、同2001−138627号、特開平11−91242号、同8−2087号、同8−2090号、同8−2091号、同8−2093号、同8−174992号、同11−192777号、特開2001−301314号等の公報に開示された態様でも、好ましく用いることができる。
〈水溶性樹脂〉
インク受容層は、水溶性樹脂の少なくとも一種を用いて構成することができる。水溶性樹脂としては、例えば、親水性構造単位としてヒドロキシ基を有する樹脂であるポリビニルアルコール系樹脂〔ポリビニルアルコール(PVA)、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール等〕、セルロース系樹脂〔メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等〕、キチン類、キトサン類、デンプン、エーテル結合を有する樹脂〔ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリプロピレンオキサイド(PPO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル(PVE)等〕、カルバモイル基を有する樹脂〔ポリアクリルアミド(PAAM)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリアクリル酸ヒドラジド等〕等が挙げられる。
また、解離性基としてカルボキシル基を有するポリアクリル酸塩、マレイン酸樹脂、アルギン酸塩、ゼラチン類等も挙げることができる。
上記の中でも、ポリビニルアルコール系樹脂、セルロース系樹脂、エーテル結合を有する樹脂、カルバモイル基を有する樹脂、カルボキシル基を有する樹脂、及びゼラチン類から選ばれる少なくとも1種が好ましく、特に、ポリビニルアルコール(PVA)系樹脂が好ましい。
前記ポリビニルアルコールの例としては、特公平4−52786号、特公平5−67432号、特公平7−29479号、特許第2537827号、特公平7−57553号、特許第2502998号、特許第3053231号、特開昭63−176173号、特許第2604367号、特開平7−276787号、特開平9−207425号、特開平11−58941号、特開2000−135858号、特開2001−205924号、特開2001−287444号、特開昭62−278080号、特開平9−39373号、特許第2750433号、特開2000−158801号、特開2001−213045号、特開2001−328345号、特開平8−324105号、特開平11−348417号、特開昭58−181687号、特開平10−259213号、特開2001−72711号、特開2002−103805号、特開2000−63427号、特開2002−308928号、特開2001−205919号、特開2002−264489号等に記載されたもの等が挙げられる。
また、ポリビニルアルコール系樹脂以外の水溶性樹脂の例としては、特開平11−165461号公報の段落[0011]〜[0012]に記載の化合物、特開2001−205919号、特開2002−264489号に記載の化合物等も挙げられる。
水溶性樹脂は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。また、水溶性樹脂の量としては、インク受容層の固形分質量に対して9〜40質量%が好ましく、12〜33質量%がより好ましい。
また、ポリビニルアルコール系樹脂には、上記その他の水溶性樹脂を併用してもよい。該その他の水溶性樹脂と上記ポリビニルアルコール系樹脂とを併用する場合、全水溶性樹脂中のポリビニルアルコール系樹脂の含有量は、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましい。
インク受容層を主として構成する、上記の微粒子と水溶性樹脂とは、それぞれ単一素材を用いてもよいし、複数の素材の混合系を用いてもよい。なお、透明性を保持する観点からは、前記微粒子、特にシリカ微粒子と組合される水溶性樹脂の種類が重要である。例えば、気相法シリカで構成するときは、前記水溶性樹脂にはポリビニルアルコール系樹脂が好ましく、鹸化度70〜100%のポリビニルアルコール系樹脂がより好ましく、鹸化度80〜99.5%のポリビニルアルコール系樹脂が特に好ましい。
前記ポリビニルアルコール系樹脂は、その構造単位に水酸基を有するが、この水酸基と前記シリカ微粒子の表面シラノール基とが水素結合を形成するため、シリカ微粒子の二次粒子を網目鎖単位とした三次元網目構造を形成し易くなる。この三次元網目構造の形成によって、空隙率が高く十分な強度のある多孔質構造のインク受容層を形成できるものと考えられる。これにより、多孔質構造のインク受容層は、インクジェット記録時に際して毛細管現象により、急速にインクを吸収し、インク滲みの発生しない真円性の良好なドットを形成することができる。
〈微粒子と水溶性樹脂との含有比〉
微粒子(x)と水溶性樹脂(y)との質量含有比〔PB比(x:y)〕は、インク受容層の膜構造及び膜強度にも大きな影響を与える。すなわち、PB比が大きくなると、空隙率、細孔容積、表面積(単位質量当り)が大きくなるが、密度や強度は低下する傾向にある。前記PB比(x:y)としては、該PB比が大き過ぎることに起因する、膜強度の低下や乾燥時のひび割れを防止し、かつ該PB比が小さ過ぎることに起因する、空隙が樹脂によって塞がれ易くなり、空隙率が減少することでインク吸収性が低下するのを防止する観点から、1.5:1〜10:1が好ましい。
インクジェットプリンタの搬送系を通過する場合、インクジェット記録媒体に応力が加わることがあるので、インク受容層は十分な膜強度を有していることが必要である。また、シート状に裁断加工する場合に、インク受容層の割れや剥がれ等を防止するうえでも、インク受容層は十分な膜強度を有していることが必要である。これらを考慮すると、PB比(x:y)は5:1以下がより好ましく、また、インクジェットプリンタによる高速印字時のインク吸収性を確保する観点からは、2:1以上がより好ましい。
例えば、平均一次粒子径が20nm以下の気相法シリカと水溶性樹脂とを、PB比(x:y)2:1〜5:1で水溶液中に完全に分散した塗布液を支持体上に塗布し、乾燥させた場合、シリカ微粒子の二次粒子を網目鎖とする三次元網目構造が形成され、その平均細孔径が30nm以下、空隙率が50〜80%、細孔比容積が0.5ml/g以上、比表面積が100m2/g以上の、透光性の多孔質膜を容易に形成することができる。
〈他の成分〉
インク受容層は、上記以外に更に、架橋剤、媒染剤、界面活性剤等の他の成分を含有することができる。
〜架橋剤〜
本発明に係るインク受容層は、既述の微粒子及び水溶性樹脂を含む層が更に前記水溶性樹脂を架橋し得る架橋剤を含み、該架橋剤と水溶性樹脂との架橋反応によって硬化された多孔質層である態様が好ましい。
前記水溶性樹脂、特にポリビニルアルコールの架橋には、硼素化合物が好適に使用される。該硼素化合物としては、例えば、硼砂、硼酸、硼酸塩〔例えば、オルト硼酸塩、InBO3、ScBO3、YBO3、LaBO3、Mg3(BO3)2、Co3(BO3)2〕、二硼酸塩〔例えば、Mg225、Co225〕、メタ硼酸塩〔例えば、LiBO2、Ca(BO2)2、NaBO2、KBO2〕、四硼酸塩〔例えばNa247・10H2O〕、五硼酸塩〔例えば、KB58・4H2O、Ca2611・7H2O、CsB55〕等が挙げられる。中でも、架橋反応が速やかに起こる点で、硼砂、硼酸、硼酸塩が好ましく、特に硼酸が好ましい。
上記以外に、水溶性樹脂の架橋剤として下記化合物を用いることもできる。例えば、ホルムアルデヒド、グリオキザール、スクシンアルデヒド、グルタルアルデヒド、ジアルデヒドスターチ、植物ガムのジアルデヒド誘導体等のアルデヒド系化合物;ジアセチル、1,2−シクロペンタンジオン、3−ヘキセン−2,5−ジオン等のケトン系化合物;ビス(2−クロロエチル)尿素、ビス(2−クロロエチル)スルホン、2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン・ナトリウム塩等の活性ハロゲン化合物;ジビニルスルホン、1,3−ビス(ビニルスルホニル)−2−プロパノール、N,N’−エチレンビス(ビニルスルホニルアセタミド)、ジビニルケトン、1,3−ビス(アクリロイル)尿素、1,3,5−トリアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン等の活性ビニル化合物;ジメチロ−ル尿素、メチロールジメチルヒダントイン等のN−メチロール化合物;トリメチロールメラミン、アルキル化メチロールメラミン、メラミン、ベンゾグアナミン、メラミン樹脂等のメラミン化合物;エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ジグリセリンポリグリシジルエーテル、スピログリコールジグリシジルエーテル、フェノール樹脂のポリグリシジルエーテル等のエポキシ化合物;
1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシナネート等のイソシアネート系化合物;米国特許明細書第3017280号、同第2983611号等に記載のアジリジン系化合物;米国特許明細書第3100704号等に記載のカルボジイミド系化合物;1,6−ヘキサメチレン−N,N’−ビスエチレン尿素等のエチレンイミノ系化合物;ムコクロル酸、ムコフェノキシクロル酸等のハロゲン化カルボキシアルデヒド系化合物;2,3−ジヒドロキシジオキサン等のジオキサン系化合物;乳酸チタン、硫酸アルミ、クロム明ばん、カリ明ばん、酢酸ジルコニル、酢酸クロム等の金属含有化合物;テトラエチレンペンタミン等のポリアミン化合物;アジピン酸ジヒドラジド等のヒドラジド化合物;オキサゾリン基を2個以上含有する低分子又はポリマー等:米国特許明細書第2725294号、米国特許明細書第2725295号、米国特許明細書第2726162号、米国特許明細書第3834902号等に記載の多価酸の無水物、酸クロリド、ビススルホナート化合物;米国特許明細書第3542558号、米国特許明細書第3251972号等に記載の活性エステル化合物等が挙げられる。
前記架橋剤は、一種単独で用いる以外に二種以上を併用することもできる。
例えば、以下のようにして好適に架橋剤を付与することができる。ここでは、硼素化合物を例に説明する。すなわち、インク受容層がインク受容層用塗布液(第一液)を塗布した塗布層を架橋硬化させた層である場合、架橋硬化は、(1)前記塗布液を塗布して塗布層を形成すると同時、(2)前記塗布液を塗布して形成される塗布層の乾燥塗中であって該塗布層が減率乾燥を示す前のいずれかのときに、pH7.1以上の塩基性溶液(第二液)を前記塗布層に付与することにより行なうことができる。塩基性溶液のpHは7.5以上が好ましく、特に好ましくは8以上である。架橋剤である硼素化合物は、第一液又は第二液のいずれかに含有すればよく、第一液及び第二液の両方に含有させておいてもよい。
架橋剤の使用量は、前記水溶性樹脂の質量に対して、1〜50質量%が好ましく、5〜40質量%がより好ましい。
〜媒染剤〜
本発明においては、画像の耐水性の向上と経時滲みの防止効果を更に高めるために、インク受容層に媒染剤を含有することが好ましい。媒染剤をインク受容層に存在させることにより、アニオン性染料を色材として含むインクとの間で相互作用が働いて安定化し、耐水性や経時滲み防止の点で有効である。
媒染剤としては、カチオン性のポリマー(カチオン性媒染剤)等の有機媒染剤、及び水溶性金属化合物等の無機媒染剤のいずれも使用できる。中でも、有機媒染剤が好ましく、特にカチオン性媒染剤が好ましい。有機媒染剤及び無機媒染剤は、それぞれ一種単独で用いるほか、二種以上を併用したり、有機媒染剤及び無機媒染剤を併用するようにしてもよい。
媒染剤は、インク受容層を形成するときのインク受容層用塗布液(第一液)及び塩基性溶液(第二液)のいずれに含有してもよいが、微粒子(特に気相法シリカ)を含む液とは別液となる第二液に含有して用いることが好ましい。すなわち、媒染剤を直接インク受容層用塗布液に添加すると、アニオン電荷を有する気相法シリカとの共存下では凝集を生ずる場合があるが、媒染剤を含む液とインク受容層用塗布液とをそれぞれを独立に調製し、個々に塗布する方法を採用することで微粒子の凝集を考慮する必要がなく、媒染剤の選択範囲が広がる。
前記カチオン性媒染剤としては、カチオン性の官能基として、第1級〜第3級アミノ基、又は第4級アンモニウム塩基を有するポリマー媒染剤が好適に用いられるが、カチオン性の非ポリマー媒染剤も使用することができる。
前記ポリマー媒染剤としては、第1級〜第3級アミノ基及びその塩、又は第4級アンモニウム塩基を有する単量体(以下、「媒染剤モノマー」という。)の単独重合体や、該媒染剤モノマーと他のモノマー(以下、「非媒染剤モノマー」という。)との共重合体又は縮重合体として得られるものが好ましい。また、これらのポリマー媒染剤は、水溶性ポリマー、又は水分散性のラテックス粒子のいずれの形態でも使用できる。
前記媒染剤モノマーとしては、例えば、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチル−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチル−m−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−n−プロピル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−n−オクチル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−ベンジル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−ベンジル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−(4−メチル)ベンジル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−フェニル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド;
トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムブロマイド、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムブロマイド、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムスルホネート、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムスルホネート、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムアセテート、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムアセテート、N,N,N−トリエチル−N−2−(4−ビニルフェニル)エチルアンモニウムクロライド、N,N,N−トリエチル−N−2−(3−ビニルフェニル)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−2−(4−ビニルフェニル)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−2−(4−ビニルフェニル)エチルアンモニウムアセテート;
N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドのメチルクロライド、エチルクロライド、メチルブロマイド、エチルブロマイド、メチルアイオダイド若しくはエチルアイオダイドによる4級化物、又はそれらのアニオンを置換したスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、酢酸塩若しくはアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。
具体的な化合物としては、例えば、モノメチルジアリルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(アクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(アクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−3−(メタクリロイルオキシ)プロピルアンモニウムクロライド、トリエチル−3−(メタクリロイルオキシ)プロピルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(メタクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(メタクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(アクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(アクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−3−(メタクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリエチル−3−(メタクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリメチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリエチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド;
N,N−ジメチル−N−エチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−エチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムブロマイド、トリメチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムブロマイド、トリメチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムスルホネート、トリメチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムアセテート等を挙げることができる。
その他、共重合可能なモノマーとして、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール等も挙げられる。
また、アリルアミンやジアリルアミン、その誘導体、塩なども利用できる。このような化合物の例としてはアリルアミン、アリルアミン塩酸塩、アリルアミン酢酸塩、アリルアミン硫酸塩、ジアリルアミン、ジアリルアミン塩酸塩、ジアリルアミン酢酸塩、ジアリルアミン硫酸塩、ジアリルメチルアミン及びこの塩(該塩としては、例えば、塩酸塩、酢酸塩、硫酸塩など)、ジアリルエチルアミン及びこの塩(該塩としては、例えば、塩酸塩、酢酸塩、硫酸塩など)、ジアリルジメチルアンモニウム塩(該塩の対アニオンとしてはクロライド、酢酸イオン硫酸イオンなど)等が挙げられる。なお、これらのアリルアミン及びジアリルアミン誘導体はアミンの形態では重合性が劣るので塩の形で重合し、必要に応じて脱塩することが一般的な製法である。
また、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミドなどの重合単位を用い、重合後に加水分解によってビニルアミン単位とすること、及びこれを塩にしたものも利用できる。
前記非媒染剤モノマーとは、第1級〜第3級アミノ基及びその塩、又は第4級アンモニウム塩基等の塩基性あるいはカチオン性部分を含まず、インクジェット用インク中の染料と相互作用を示さない、あるいは相互作用が実質的に小さい単量体をいう。
前記非媒染剤モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;(メタ)アクリル酸フェニル等の(メタ)アクリル酸アリールエステル;(メタ)アクリル酸ベンジル等のアラルキルエステル;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のビニルエステル類;酢酸アリル等のアリルエステル類;塩化ビニリデン、塩化ビニル等のハロゲン含有単量体;(メタ)アクリロニトリル等のシアン化ビニル;エチレン、プロピレン等のオレフィン類、等が挙げられる。
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、アルキル部位の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、具体的には例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。これらの中でも、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタアクリレート、エチルメタアクリレート、ヒドロキシエチルメタアクリレートが好ましい。前記非媒染剤モノマーも、一種単独で又は二種以上を組合せて使用できる。
更に、カチオン性媒染剤として、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドと他のモノマー(媒染剤モノマー、非媒染剤モノマー)との共重合体、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドとSO2との共重合体、ポリジアリルメチルアミン塩酸塩、ポリジアリル塩酸塩等に代表される環状アミン樹脂およびその誘導体(共重合体も含む);ポリジエチルメタクリロイルオキシエチルアミン、ポリトリメチルメタクリロイルオキシエチルアンモニウムクロライド、ポリジメチルベンジルメタクリロイルオキシエチルアンモニウムクロライド、ポリジメチルヒドロキシエチルアクリロイルオキシエチルアンモニウムクロリド等に代表される2級アミノ、3級アミノまたは4級アンモニウム塩置換アルキル(メタ)アクリレート重合体及び他のモノマーとの共重合体;ポリエチレンイミンおよびその誘導体、ポリアリルアミン及びその誘導体、ポリビニルアミン及びその誘導体等に代表されるポリアミン系樹脂;ポリアミド−ポリアミン樹脂、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂等に代表されるポリアミド樹脂;カチオン化でんぷん、キトサンおよびキトサン誘導体等に代表される多糖類;ジシアンジアミドホルマリン重縮合物、ジシアンジアミドジエチレントリアミン重縮合物等に代表されるジシアンジアミド誘導体;ポリアミジンおよびポリアミジン誘導体;ジメチルアミンエピクロロヒドリン付加重合物等に代表されるジアルキルアミンエピクロロヒドリン付加重合物およびその誘導体;第4級アンモニウム塩置換アルキル基を有するスチレン重合体およびその他のモノマーとの共重合体等も好適に挙げることができる。
前記ポリマー媒染剤として、具体的には、特開昭48−28325号、同54−74430号、同54−124726号、同55−22766号、同55−142339号、同60−23850号、同60−23851号、同60−23852号、同60−23853号、同60−57836号、同60−60643号、同60−118834号、同60−122940号、同60−122941号、同60−122942号、同60−235134号、特開平1−161236号の各公報、米国特許2484430、同2548564号、同3148061号、同3309690号、同4115124号、同4124386号、同4193800号、同4273853号、同4282305号、同4450224号、特開平1−161236号、同10−81064号、同10−157277号、同10−217601号、特開2001−138621号、同2000−211235号、同2001−138627号、特開平8−174992号、特公平5‐35162号、同5−35163号、同5‐35164号、同5−88846号、特許第2648847号、同2661677号等の各公報に記載のもの等が挙げられる。
本発明の媒染剤としては無機媒染剤を用いることも可能で、多価の水溶性金属塩や疎水性金属塩化合物等が挙げられる。
無機媒染剤の具体例としては、例えば、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、マンガン、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ストロンチウム、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、インジウム、バリウム、ランタン、セリウム、プラセオジミウム、ネオジミウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、ジスロプロシウム、エルビウム、イッテルビウム、ハフニウム、タングステン、ビスマスから選択される金属の塩又は錯体が挙げられる。
中でも、硫酸アルミニウム、アルミニウムミョウバン、亜硫酸アルミニウム、チオ硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、塩基性乳酸アルミニウム、塩基性硫酸アルミニウム、塩基性硝酸アルミニウム、塩基性スルファミン酸アルミニウム、塩基性ギ酸アルミニウム、塩基性酢酸アルミニウム、塩基性アルミニウムグリシネート、硝酸アルミニウム九水和物、塩化アルミニウム六水和物等のアルミニウム含有化合物;四塩化チタン、テトライソプロピルチタネート、チタンアセチルアセトネート、乳酸チタン等のチタン含有化合物;及び、ジルコニウムアセチルアセトネート、酢酸ジルコニル、硫酸ジルコニル、炭酸ジルコニウムアンモニウム、ステアリン酸ジルコニル、オクチル酸ジルコニル、硝酸ジルコニル、乳酸ジルコニル、コハク酸ジルコニル、しゅう酸ジルコニル、酢酸ジルコニウムアンモニウム、炭酸ジルコニウムカリウム、乳酸ジルコニウムナトリウム、塩基性ジルコニウムグリシネート、オキシ塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウム等のジルコニウム含有化合物が好ましく、特に塩基性ジルコニウム及び/又は塩基性アルミニウム塩が好ましい。
前記無機媒染剤として、アルミニウム含有化合物、チタン含有化合物、ジルコニウム含有化合物、元素周期律表第IIIB族の金属化合物(塩又は錯体)が好ましい。
媒染剤のインク受容層中における量としては、0.01〜20g/m2が好ましく、0.1〜15g/m2がより好ましく、0.5〜10g/m2が特に好ましい。
〈熱可塑性樹脂〉
インクジェット記録媒体には、耐オゾン性の点で熱可塑性樹脂を含む形態が好ましい。熱可塑性樹脂は、インク受容層に含有するのが好適である。また、インク受容層には含有せずあるいはインク受容層に含有すると共にインク受容層の近隣の他の層、即ち非記録層(好ましくは支持体から最も離れた最表層)に含有して用いることができる。好ましくは、インク受容層及び非記録層のうち支持体から最も離れた最表層に含有する。
インク受容層に熱可塑性樹脂を含有する場合には、加熱加圧処理されたときに該インク受容層が熱可塑性樹脂の造膜作用によって保護層としての機能をも担う。また、非記録層が最表層に位置する場合には、加熱加圧処理されたときに熱可塑性樹脂で造膜された保護層が形成される。
前記熱可塑性樹脂としては、加熱加圧処理によって造膜でき、耐オゾン性、耐光性を有する保護層を形成可能なものであれば特に制限はなく、例えば、(イ)エステル結合を有する樹脂、(ロ)ポリウレタン樹脂等、(ハ)ポリアミド樹脂等、(ニ)ポリスルホン樹脂等、(ホ)ポリ塩化ビニル樹脂等、(ヘ)ポリビニルブチラール等、(ト)ポリカプロラクトン樹脂等、(チ)ポリオレフィン樹脂等、などが挙げられる。
前記(イ)エステル結合を有する樹脂としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、アビエチン酸、コハク酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等のジカルボン酸成分(これらのジカルボン酸成分にはスルホン酸基、カルボキシル基等が置換していてもよい)と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールAのジエーテル誘導体(例えば、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド2付加物など)、ビスフェノールS、2−エチルシクロヘキシルジメタノール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキシルジメタノール、グリセリン等のアルコール成分(これらのアルコール成分には水酸基などが置換されていてもよい)との縮合により得られるポリエステル樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリブチルアクリレート等のポリアクリル酸エステル樹脂又はポリメタクリル酸エステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、スチレンアクリレート樹脂、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体樹脂、ビニルトルエンアクリレート樹脂等が挙げられ、具体的には、特開昭59−101395号公報、同63−7971号公報、同63−7972号公報、同63−7973号公報、同60−294862号公報に記載のものなどが挙げられる。
前記ポリエステル樹脂の市販品としては、東洋紡社製のバイロン290、バイロン200、バイロン280、バイロン300、バイロン103、バイロンGK−140、バイロンGK−130;花王社製のタフトンNE−382、タフトンU−5、ATR−2009、ATR−2010;ユニチカ社製のエリーテルUE3500、UE3210、XA−8153;日本合成化学社製のポリエスターTP−220、R−188、等が挙げられる。また、前記アクリル樹脂の市販品としては、三菱レイヨン社製のダイヤナールSE−5437、SE−5102、SE−5377、SE−5649、SE−5466、SE−5482、HR−169、124、HR−1127、HR−116、HR−113、HR−148、HR−131、HR−470、HR−634、HR−606、HR−607、LR−1065、574、143、396、637、162、469、216、BR−50、BR−52、BR−60、BR−64、BR−73、BR−75、BR−77、BR−79、BR−80、BR−83、BR−85、BR−87、BR−88、BR−90、BR−93、BR−95、BR−100、BR−101、BR−102、BR−105、BR−106、BR−107、BR−108、BR−112、BR−113、BR−115、BR−116、BR−117;積水化学工業社製のエスレックP SE−0020、SE−0040、SE−0070、SE−0100、SE−1010、SE−1035;三洋化成工業社製のハイマーST95、ST120;三井化学社製のFM601、等が挙げられる。
前記(ホ)ポリ塩化ビニル樹脂等としては、ポリ塩化ビニリデン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−プロピオン酸ビニル共重合体樹脂、等が挙げられる。
前記(ヘ)ポリビニルブチラール等としては、ポリオール樹脂、エチルセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂等のセルロース樹脂、等が挙げられる。また市販品として、電気化学工業(株)製、積水化学(株)製のもの等が挙げられる。ここでのポリビニルブチラールとしては、ポリビニルブチラール含有量が70質量%以上、平均重合度500以上のものが好ましく、平均重合度1000以上のものがより好ましく、市販品としては、電気化学工業社製のデンカブチラール3000−1、4000−2、5000A、6000C;積水化学社製のエスレックBL−1、BL−2、BL−3、BL−S、BX−L、BM−1、BM−2、BM−5、BM−S、BH−3、BX−1、BX−7、等が挙げられる。
前記(ト)ポリカプロラクトン樹脂等としては、スチレン−無水マレイン酸樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリエーテル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、等が挙げられる。
前記(チ)ポリオレフィン樹脂等としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等や、エチレンやプロピレン等のオレフィンと他のビニルモノマーとの共重合体樹脂、アクリル樹脂、等が挙げられる。
前記熱可塑性樹脂を含有するインク受容層以外の非記録層を設ける場合は、該非記録層には熱可塑性樹脂以外に、可塑剤、離型剤、界面活性剤などを必要に応じて含有させることができる。
前記非記録層は、熱可塑性樹脂フィルムのドライラミネート(張合わせ)、熱可塑性樹脂の溶剤系塗布、熱可塑性樹脂エマルションの水系塗布、熱可塑性樹脂エマルションへの含浸、熱可塑性樹脂フィルムの溶融押出コーティング等によって形成することができる。この場合には、加熱加圧処理されたときに非記録層が熱可塑性樹脂の造膜作用によって保護層として構成される。非記録層を設ける場合の該層の厚みは通常、0.1〜10μmが好適であり、0.5〜3μmがより好ましい。
〈その他〉
インク受容層には、必要に応じて更に、公知の各種添加剤、例えば、酸、紫外線吸収剤、酸化防止剤、蛍光増白剤、界面活性剤、モノマー、重合開始剤、重合禁止剤、滲み防止剤、防腐剤、粘度安定剤、消泡剤、帯電防止剤、マット剤、カール防止剤、耐水化剤等を含有することができる。
〜界面活性剤〜
インク受容層としては界面活性剤を含有した形態が好ましい。該界面活性剤としては、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、フッ素系、シリコーン系の界面活性剤の中から適宜選択することができる。また、界面活性剤は一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
前記ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル及びポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル類(例えば、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリーコールジエチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等)、オキシエチレン・オキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタントリオレート等)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレート等)、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル類(例えば、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット等)、グリセリン脂肪酸エステル類(例えば、グリセロールモノオレート等)、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル類(モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリン、モノオレイン酸ポリオキシエチレングリセリン等)、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノオレート等)、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アセチレングリコール類(例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、及び該ジオールのエチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物等)等が挙げられ、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類が好ましい。該ノニオン系界面活性剤は、インク受容層用塗布液(第一液)及び塩基性溶液(第二液)のいずれに含有してもよく、また、一種単独で又は二種以上を併用することもできる。
前記両性界面活性剤としては、アミノ酸型、カルボキシアンモニウムベタイン型、スルホンアンモニウムベタイン型、アンモニウム硫酸エステルベタイン型、イミダゾリウムベタイン型等が挙げられ、例えば、米国特許第3,843,368号明細書、特開昭59−49535号公報、同63−236546号公報、特開平5−303205号公報、同8−262742号公報、同10−282619号公報等に記載されているものを好適に使用できる。該両性界面活性剤としては、アミノ酸型両性界面活性剤が好ましく、該アミノ酸型両性界面活性剤としては、特開平5−303205号公報に記載されているように、例えば、アミノ酸(グリシン、グルタミン酸、ヒスチジン酸等)から誘導体化されたものであり、長鎖のアシル基を導入したN−アミノアシル酸及びその塩が挙げられる。これらは、一種単独で又は二種以上を併用することができる。
前記アニオン系界面活性剤としては、脂肪酸塩(例えばステアリン酸ソーダ、オレイン酸カリ)、アルキル硫酸エステル塩(例えばラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン)、スルホン酸塩(例えばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)、アルキルスルホコハク酸塩(例えばジオクチルスルホコハク酸ナトリウム)、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルキルリン酸塩等が挙げられる。
前記カチオン系界面活性剤としては、アルキルアミン塩、第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、イミダゾリウム塩などが挙げられる。
前記フッ素系界面活性剤としては、電解フッ素化、テロメリゼーション、オリゴメリゼーションなどの方法を用いてパーフルオロアルキル基を持つ中間体を経て誘導される化合物が挙げられる。例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルトリアルキルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル基含有オリゴマー、パーフルオロアルキルリン酸エステルなどが挙げられる。
前記シリコーン系界面活性剤としては、有機基で変性したシリコーンオイルが好ましく、シロキサン構造の側鎖を有機基で変性した構造、両末端を変性した構造、片末端を変性した構造をとり得る。有機基変性として、アミノ変性、ポリエーテル変性、エポキシ変性、カルボキシル変性、カルビノール変性、アルキル変性、アラルキル変性、フェノール変性、フッ素変性等が挙げられる。
前記界面活性剤のインク受容層用塗布液における含有量としては、0.001〜2.0%が好ましく、0.01〜1.0%がより好ましい。また、インク受容層用塗布液として二液以上を用いて塗布を行なう場合には、それぞれの塗布液に界面活性剤を添加するのが好ましい。
インクジェット記録媒体の作製は、例えば、該媒体を構成するインク受容層を、微粒子と水溶性樹脂とを少なくとも含むインク受容層形成用の塗布液(インク受容層用塗布液;第一液)及び塩基性溶液(第二液)の少なくとも一方に架橋剤を添加すると共に、前記塗布液(第一液)を支持体上に塗布して塗布層を形成し、かつ更に(1)前記塗布液を塗布して塗布層を形成すると同時、又は(2)前記塗布液(第一液)を塗布して形成される塗布層の乾燥途中であって該塗布層が減率乾燥を示す前、のいずれかのときに、pHが7.1以上の前記塩基性溶液(第二液)を前記塗布層に付与し、前記塗布層を架橋硬化させる方法により形成することによって好適に行なうことができる。
前記「塗布層が減率乾燥を示すようになる前」とは、通常、インク受容層用塗布液の塗布直後から数分間の過程を指し、この間においては、塗布された塗布層中の溶剤(分散媒体)の含有量が時間に比例して減少する「恒率乾燥」の現象を示す。この「恒率乾燥」を示す時間については、例えば、化学工学便覧(p.707〜712、丸善(株)発行、昭和55年10月25日)に記載されている。
また、第一液の塗布は、例えば、エクストルージョンダイコーター、エアードクターコーター、ブレッドコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、バーコーター等の公知の塗布方法によって行なうことができる。
[インクセット]
本発明に係るインクセットは、少なくとも1種のイエロー染料を含有するイエローインク、少なくとも1種のマゼンタ染料を含有するマゼンタインク、及び少なくとも1種のシアン染料を含有するシアンインクを最小の構成要素とする。
本発明においては、前記マゼンタ染料が下記一般式(M−II)で表され、前記シアンインクが下記一般式(C−II)で表される
Figure 0004064909
一般式(M−II)において、Z 1 はハメットの置換基定数σ p 値が0.20以上の電子求引性基を表し、Z 2 は、水素原子、脂肪族基、芳香族基、又は複素環基を表し、Qは、水素原子、脂肪族基、芳香族基、又は複素環基を表す。
1 、及びR 2 は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環オキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(複素環アミノ基、アニリノ基を含む)、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、複素環スルホニルアミノ基、ニトロ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、複素環スルホニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、複素環スルフィニル基、スルファモイル基、スルホ基、又は複素環チオ基を表し、R 3 及びR 4 は、各々独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はスルファモイル基を表し、R 5 及びR 6 は、各々独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はスルファモイル基を表す
Figure 0004064909
一般式(C−II)において、X 11 〜X 14 は、それぞれ独立に−SO−Z、−SO 2 −Z、−SO 2 NR 1 2 、スルホ基、−CONR 1 2 、又は−CO 2 1 を表し、Y 11 〜Y 18 は、それぞれ独立に一価の置換基を表す。Mは、水素原子、金属原子又はその酸化物、水酸化物もしくはハロゲン化物を表す。a 11 〜a 14 は、各々X 11 〜X 14 の置換基数であり、それぞれ独立に1又は2の整数を表す。また、Zは、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換の複素環基を表す。R 1 及びR 2 は、それぞれ独立に水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換の複素環基を表す
ここで、各インクに含まれる染料としては、後述の各種染料が用いられる。特に本記録方法におけるインクセットでは、該インクセットを構成するマゼンタインク及びシアンインクにおいて、酸化電位が0.8V(vs SCE)よりも貴であるマゼンタ染料及びシアン染料が各々用いられる。酸化電位は貴であるほど好ましく、酸化電位が1.0V(vs SCE)よりも貴であるものがより好ましく、1.1V(vs SCE)よりも貴であるものが更に好ましく、1.15V(vs SCE)より貴であるものが特に好ましく、1.2V(vs SCE)より貴であるものが最も好ましい。特にマゼンタ染料に、酸化電位が0.8V(vs SCE)よりも貴であるシアン染料を併用することが、グレイバランスがとれる点で好ましい。
酸化電位の値は、試料から電極への電子の移り易さを表し、その値が大きい(酸化電位が貴である)ほど試料から電極への電子の移り難い、換言すれば、酸化され難いことを表す。化合物の構造との関連では、電子求引性基を導入することにより酸化電位はより貴となり、電子供与性基を導入することにより酸化電位はより卑となる。
酸化電位の値については後述するが、化合物がボルタンメトリーにおいて陽極で、化合物の電子が引き抜かれる電位を意味し、その化合物の基底状態におけるHOMOのエネルギーレベルと近似的に一致すると考えられている。
また、着色画像のオゾン堅牢性に関する研究の結果、着色画像に用いる化合物の酸化電位とオゾン堅牢性との間には相関があり、酸化電位の値が飽和カロメル電極(SCE)に対してより貴である化合物を用いることにより、オゾン堅牢性が改良されることが分かった。オゾン堅牢性が改良される理由としては、化合物とオゾンガスのHOMO(最高被占軌道)及びLUMO(最低空軌道)の関係によって説明できる。すなわち、着色剤のHOMOとオゾンガスのLUMOとの反応により着色剤が酸化され、そのために着色画像のオゾン堅牢性が低下すると考えられることから、オゾン堅牢性を向上させるには着色剤のHOMOを下げてオゾンガスとの反応性を低下させればよい。
酸化電位の値(Eox)は、当該業者が容易に測定することができる。測定方法に関しては、例えば、P.Delahay著“New Instrumental Methods in Electrochemistry”(1954年、Interscience Publishers)や、A.J.Bard他著“Electrochemical Methods”(1980年、John Wiley & Sons)、藤嶋昭他著“電気化学測定法”(1984年、技報堂出版社)に詳しく記載されている。
ここで、酸化電位の測定について具体的に説明する。
酸化電位は、過塩素酸ナトリウムや過塩素酸テトラプロピルアンモニウムといった支持電解質を含むジメチルホルムアミドやアセトニトリルのような溶媒中に、被験試料を1×10-4〜1×10-6mol・dm-3溶解して、サイクリックボルタンメトリーや直流ポーラログラフィーを用いてSCE(飽和カロメル電極)に対する値として測定する。
また、用いる支持電解質や溶媒は、被験試料の酸化電位や溶解性により適当なものを選ぶことができる。使用可能な支持電解質や溶媒については、上記の藤嶋昭他著“電気化学測定法”(1984年、技報堂出版社刊)p.101〜118に記載がある。
酸化電位の値は、液間電位差や試料溶液の液抵抗などの影響で、数10ミルボルト程度偏位することがあるが、標準試料(例えばハイドロキノン)を用いて校正することにより、測定された電位の値の再現性を保証することができる。
本明細書における酸化電位は、0.1mol・dm-3の過塩素酸テトラプロピルアンモニウムを支持電解質として含むN,N−ジメチルホルムアミド中(化合物の濃度は1×10-3mol・dm-3)で、参照電極としてSCE(飽和カロメル電極)、作用極としてグラファイト電極、対極として白金電極を使用し、直流ポーラログラフィーにより測定した値を使用する。
本発明に係る染料は、上記の酸化電位を満足するものであればいずれの構造のものでも使用できる。特にイエロー染料は、元々酸化電位が貴(HOMOが低い)なため、構造上の制約が少ない。
以下、前記酸化電位を満足するために必要な染料の構造について詳述する。
本発明では、求電子剤であるオゾンとの反応性を下げるために、染料骨格に電子求引性基を導入して酸化電位をより貴とすることが望ましい。したがって、置換基の電子求引性や電子供与性の尺度であるハメットの置換基定数σp値を用いて説明すると、ニトロ基、シアノ基、スルフィニル基、スルホニル基、スルファモイル基のようにσp値が大きい置換基を導入することにより酸化電位をより貴とすることができるといえる。
ハメットの置換基定数σp値について以下に説明する。ハメット則は、ベンゼン誘導体の反応又は平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるために、1935年L.P.Hammettにより提唱された経験則であるが、これは今日広く妥当性が認められている。ハメット則に求められた置換基定数にはσp値とσm値があり、これらの値は多くの一般的な成書に見出すことができるが、例えば、J.A.Dean編「Lange’s Handbook of Chemistry」第12版、1979年(Mc Graw−Hill)や「化学の領域」増刊、122号、96〜103頁、1979年(南光堂)に詳しい。
上記置換基のほか、一般に電子陰性度の高い原子を発色団の構成原子として多く含むほど酸化電位を貴とすることができる。したがって、例えば、発色団の構成要素として、アリール基よりも不飽和複素環を用いた方が酸化電位を貴とすることができる。電子陰性度の高いヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子を挙げることができ、特に窒素原子が好ましい。したがって、本発明に係る染料としては、発色団がヘテロ原子で構成されているもの、不飽和複素環を含むもの、電子吸引性基を含むものが好ましい。ヘテロ原子で構成されている好ましい発色団としては、アゾ染料、アゾメチン染料、フタロシアニン染料等を挙げることができるが、特にアゾ染料が好ましい。
前記不飽和複素環としては、5員もしくは6員の不飽和複素環が好ましく、チオフェン環、フラン環、ピロール環、チアゾール環、オキサゾール環、イミダゾール環、イソチアゾール環、イソオキサゾール環、ピラゾール環、チアジアゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環などを例として挙げられる。不飽和複素環は、炭化水素環又は複素環との縮合環を形成してもよい。含窒素複素環の場合には、窒素原子は4級化されていてもよい。また、互変異性となり得る複素環については、互変異性体の1つのみを記載している場合でも、他の互変異性体も合わせて含まれる。上記のうち、好ましいものとしてチアゾール環、イソチアゾール環、ピラゾール環、チアジアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環が挙げられる。特に好ましくは、イソチアゾール環、ピラゾール環、1,2,4−チアジアゾール環、1,3,4−チアジアゾール環、ピリジン環である。
好ましい電子吸引性の置換基としては、ハメットのσp値が0.40以上の置換基が好ましく、更に0.45以上の置換基が好ましく、特に0.50以上の置換基が好ましい。また、発色団上の置換基として複数の電子吸引性基が存在する場合には、置換基のσp値の総和が0.50以上のものが好ましく、0.60以上がより好ましく、特に0.70以上が好ましい。σpが0.40以上の電子吸引性基の具体例については、前述の、J.A.Dean編「Lange’s Handbook of Chemistry」第12版(1979年、Mc Graw−Hill)や、「化学の領域」増刊 122号(p.96〜103、1979年、南光堂)が挙げられる。
好適な染料として、下記一般式(i)で表される染料が挙げられる。一般式(i)において、Chは不飽和複素環を含む発色団を表し、EWGは、後述するσp値が0.40以上の電子吸引性の置換基を表す。nは1〜8の整数を表す。
(Ch)−(EWG)n …一般式(i)
前記Chとしては、不飽和複素環を発色団に有するアゾ染料、フタロシアニン染料、アゾメチン染料、キノン系染料(アントラキノン染料、アントラピリドン染料等)、カルボニウム染料(トリフェニルメタン染料、キサンテン染料、アクリジン染料等)、及びアジン系染料(オキサジン、チアジン等)の各発色団が挙げられる。好ましいものは、不飽和複素環を発色団に有するアゾ染料、フタロシアニン染料、アゾメチン染料、及びアントラピリドン染料であり、特に好ましいものは、不飽和複素環を発色団に有するアゾ染料、フタロシアニン染料である。
マゼンタ染料、イエロー染料として用いることのできる、好ましいアゾ染料として下記一般式(ii)で表される染料が挙げられる。一般式(ii)において、Het(A)及びHet(B)は、それぞれ独立に5員もしくは6員の不飽和複素環を表す。
Het(A)−N=N−Het(B) …一般式(ii)
前記Het(A)又はHet(B)で表される不飽和複素環の例としては、チオフェン環、フラン環、ピロール環、チアゾール環、オキサゾール環、イミダゾール環、イソチアゾール環、イソオキサゾール環、ピラゾール環、チアジアゾール環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環などが挙げられる。これらの不飽和複素環は更に置換基を有していてもよい。不飽和複素環上の置換基同士が結合することで、炭化水素環又は不飽和複素環との縮合環を形成してもよく、更に縮合環上に置換基を有してもよい。含窒素不飽和複素環の場合には、窒素原子は4級化されていてもよい。また、互変異性となり得る不飽和複素環については、互変異性体の1つのみを記載している場合でも、他の互変異性体も合わせて含まれる。
染料が水溶性染料である場合には、置換基として更にイオン性親水性基を有することが好ましい。置換基としてのイオン性親水性基には、スルホ基、カルボキシル基、ホスホノ基及び4級アンモニウム基等が含まれる。
前記Het(A)又はHet(B)で表される、好ましい複素環としては、チアゾール環、イソチアゾール環、ピラゾール環、チアジアゾール環、ピリジン環、ピラジン環が挙げられる。更に好ましくは、イソチアゾール環、ピラゾール環、チアジアゾール環、ピリジン環である。特に好ましくはピラゾール環、1,2,4−チアジアゾール環、ピリジン環である。
前記Het(A)及びHet(B)は、各々置換基を有していてもよい。該置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基を含む)、アルキニル基、アリール基、複素環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、複素環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ、アミノ基(アニリノ基を含む)、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、複素環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール及び複素環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスホリル基、ホスホノ基、ホスフィニル基、ホスホニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基を例として挙げることができる。
前記置換基の中でも、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、複素環基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ、スルファモイル基、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、イミド基、ホスホリル基、ホスホノ基、ホスフィニル基、ホスホニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基が好適であるが、中でも特に電子吸引性基が好ましく、特にσpが0.40以上の置換基が好ましい。
σpが0.40以上の置換基としては、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、スルファモイル基、アルキル又はアリールスルフィニル基、アルキル又はアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、イミド基、ホスホノ基、ホスホリル基、及び電子吸引性基で置換されたアルキル基(トリハロメチル基、パーフルオロアルキル基、ジシアノメチル基、イミノメチル基等)、電子吸引性基で置換されたアルケニル基(トリシアノビニル基など)、4級塩置換基(スルホニウム基、アンモニウム基、ホスホニウム基)が挙げられる。上記基のうち、水素原子を有するものは、これに代えて更に上記の基が置換されていてもよい。そのような置換基の例としては、アルキルカルボニルアミノスルホニル基、アリールカルボニルアミノスルホニル基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基などが挙げられる。
また複素環上の置換基同士が結合することで、複素環と縮合環を形成してもよく、更に縮合環上に置換基を有してもよい。
好ましいマゼンタ染料は、下記一般式(M−I)で表されるものである。
Figure 0004064909
前記一般式(M−I)において、Aは、5員複素環ジアゾ成分(A−NH2)の残基を表し、B1及びB2については、B1が=CR1−を表しかつB2が−CR2=を表すか、あるいはB1及びB2のいずれか一方が窒素原子を、他方が=CR1−又は−CR2=を表す。
前記一般式(M−I)中のR5及びR6は、各々独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基を表す。各基は更に置換基を有していてもよい。
前記一般式(M−I)中のG、R1、及びR2は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環オキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(複素環アミノ基、アニリノ基を含む)、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、複素環スルホニルアミノ基、ニトロ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、複素環スルホニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、複素環スルフィニル基、スルファモイル基、スルホ基、又は複素環チオ基を表す。各基は更に置換されていてもよい。また、R1とR5、又はR5とR6は互いに結合して5員環もしくは6員環を形成してもよい。
前記一般式(M−I)で表される化合物について更に詳細に説明する。
前記一般式(M−I)中のAで表される「5員複素環ジアゾ成分(A−NH2)の残基」の、該5員複素環のヘテロ原子の例としては、N、O、Sを挙げることができる。好ましくは、含窒素5員複素環であり、複素環に脂肪族環、芳香族環又は他の複素環が縮合していてもよい。Aの好ましい複素環の例としては、ピラゾール環、イミダゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環を挙げることができる。各複素環基は、更に置換基を有していてもよい。
中でも、下記一般式(M−a)〜(M−f)で表されるピラゾール環、イミダゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾチアゾール環が好ましい。
Figure 0004064909
前記一般式(M−a)〜(M−f)中のR7〜R20は、後に説明する一般式(M−I)中のG、R1及びR2と同じ基を表す。
前記一般式(M−a)〜(M−f)の中でも、一般式(M−a)又は一般式(M−b)で表されるピラゾール環、イソチアゾール環が好ましく、最も好ましいのは一般式(M−a)で表されるピラゾール環である。
前記一般式(M−I)中のB1及びB2については、B1が=CR1−を表しかつB2が−CR2=を表すか、あるいはB1及びB2のいずれか一方が窒素原子を、他方が=CR1−又は−CR2=を表すが、B1が=CR1−を表しかつB2が−CR2=を表すものがより好ましい。
上記のR5又はR6で表される基の中でも、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基が好ましく、更には水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルキルスルホニル基、又はアリールスルホニル基が好ましい。最も好ましくは、水素原子、アリール基、又は複素環基である。各基は更に置換基を有していてもよい。但し、R5、R6が同時に水素原子であることはない。
前記G、R1及びR2は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環オキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アニリノ基、複素環アミノ基を含む)、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、複素環スルホニルアミノ基、ニトロ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、複素環チオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、複素環スルホニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、複素環スルフィニル基、スルファモイル基、又はスルホ基を表し、各基は更に置換されていてもよい。
前記一般式(M−I)中のGの好ましい基としては、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、複素環オキシ基、アミノ基(アニリノ基、複素環アミノ基を含む)、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、及び複素環チオ基が挙げられ、より好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アミノ基(アニリノ基、複素環アミノ基を含む)、又はアシルアミノ基であり、中でも水素原子、アニリノ基、アシルアミノ基が最も好ましい。各基は更に置換基を有していてもよい。
前記一般式(M−I)中のB1、B2を構成するR1、R2の好ましい基としては、水素原子、アルキル基、ハロゲン、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、カルバモイル基、ヒドロキシ基、シアノ基を挙げることができる。各基は更に置換基を有していてもよい。
前記一般式(M−I)において、R1とR5、またはR5とR6は、互いに結合して5〜6員環を形成してもよい。また、一般式(M−I)中のA、R1、R2、R5、R6、Gで表される各基が更に置換基を有する場合の置換基としては、既述の前記G、R1、R2で挙げた基を挙げることができる。
本発明の染料が水溶性染料である場合には、A、R1、R2、R5、R6、Gのいずれかの位置に置換基として、更にイオン性親水性基を有することが好ましい。置換基としてのイオン性親水性基には、スルホ基、カルボキシル基、ホスホノ基及び4級アンモニウム基等が含まれる。前記イオン性親水性基としては、カルボキシル基、ホスホノ基、スルホ基が好ましく、特にカルボキシル基、スルホ基が好ましい。カルボキシル基、ホスホノ基及びスルホ基は塩の状態であってもよく、塩を形成する対イオンの例には、アンモニウムイオン、アルカリ金属イオン(例、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン)及び有機カチオン(例、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラメチルグアニジウムイオン、テトラメチルホスホニウム)が含まれる。
以下、G、R1及びR2で表される各基について詳しく説明する。
前記一般式(M−I)のG、R1又はR2で表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子及び臭素原子が挙げられる。
前記一般式(M−I)のG、R1又はR2で表される脂肪族基は、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基、アラルキル基、及び置換アラルキル基を意味する。脂肪族基は、分岐を有していてもよく、また環を形成していてもよい。脂肪族基の炭素数は、1〜20であることが好ましく、1〜16であることがさらに好ましい。アラルキル基及び置換アラルキル基のアリール部分はフェニル又はナフチルであることが好ましく、フェニルが特に好ましい。脂肪族基の例としては、メチル基、エチル基、ブチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、ヒドロキシエチル基、メトキシエチル基、シアノエチル基、トリフルオロメチル基、3−スルホプロピル基、4−スルホブチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、2−フェネチル基、ビニル基、及びアリル基を挙げることができる。
本明細書中において、芳香族基は、アリール基及び置換アリール基を意味する。アリール基は、フェニル基またはナフチル基であることが好ましく、フェニル基が特に好ましい。前記一般式(M−I)のG、R1又はR2で表される芳香族基の炭素数としては、6〜20が好ましく、6〜16が更に好ましい。芳香族基の例としては、フェニル基、p−トリル基、p−メトキシフェニル基、o−クロロフェニル基、m−(3−スルホプロピルアミノ)フェニル基が挙げられる。
前記一般式(M−I)のG、R1又はR2で表される複素環基には、置換基を有する複素環基及び無置換の複素環基が含まれる。複素環に脂肪族環、芳香族環、又は他の複素環が縮合していてもよい。複素環基としては、5員又は6員環の複素環基が好ましい。置換基の例としては、脂肪族基、ハロゲン原子、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、アシルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、及びイオン性親水性基などが含まれる。複素環基の例としては、2−ピリジル基、2−チエニル基、2−チアゾリル基、2−ベンゾチアゾリル基、2−ベンゾオキサゾリル基、及び2−フリル基が含まれる。
前記一般式(M−I)のG、R1又はR2で表されるアルキルスルホニル基及びアリールスルホニル基の例としては、各々、メチルスルホニル基、フェニルスルホニル基を挙げることができる。
前記一般式(M−I)のG、R1又はR2で表されるアルキルスルフィニル基及びアリールスルフィニル基の例としては、各々、メチルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基を挙げることができる。
前記一般式(M−I)のG、R1又はR2で表されるアシル基には、置換基を有するアシル基及び無置換のアシル基が含まれる。アシル基としては、炭素数1〜20のアシル基が好ましい。ここでの置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。アシル基の例としては、アセチル基及びベンゾイル基が含まれる。
前記一般式(M−I)のG、R1又はR2で表されるアミノ基には、アルキル基、アリール基、又は複素環基で置換されたアミノ基が含まれ、アルキル基、アリール基、及び複素環基はさらに置換基を有していてもよい。無置換のアミノ基は含まれない。
アルキルアミノ基としては、炭素数1〜20のアルキルアミノ基が好ましい。さらに有する置換基の例としてはイオン性親水性基が含まれる。アルキルアミノ基の例としては、メチルアミノ基及びジエチルアミノ基が挙げられる。
アリールアミノ基には、置換基を有するアリールアミノ基及び無置換のアリールアミノ基が含まれる。アリールアミノ基としては、炭素数6〜20のアリールアミノ基が好ましい。さらに有する置換基の例としてはハロゲン原子、イオン性親水性基が含まれる。アリールアミノ基の例としては、アニリノ基、2−クロロアニリノ基が含まれる。
前記一般式(M−I)のG、R1又はR2で表される複素環アミノ基には、置換基を有する複素環アミノ基及び無置換の複素環アミノ基が含まれる。複素環アミノ基としては、炭素数2〜20個の複素環アミノ基が好ましい。ここでの置換基の例には、アルキル基、ハロゲン原子、及びイオン性親水性基が含まれる。
前記一般式(M−I)のG、R1又はR2で表されるアルコキシ基には、置換基を有するアルコキシ基及び無置換のアルコキシ基が含まれる。アルコキシ基としては、炭素数1〜20のアルコキシ基が好ましい。置換基を有する場合の置換基の例としては、アルコキシ基、ヒドロキシル基、及びイオン性親水性基が含まれる。アルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、メトキシエトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、3−カルボキシプロポキシ基が含まれる。
前記一般式(M−I)のG、R1又はR2で表されるアリールオキシ基には、置換基を有するアリールオキシ基及び無置換のアリールオキシ基が含まれる。アリールオキシ基としては、炭素数6〜20のアリールオキシ基が好ましい。置換基を有する場合の置換基の例としては、アルコキシ基、及びイオン性親水性基が含まれる。アリールオキシ基の例としては、フェノキシ基、p−メトキシフェノキシ基、o−メトキシフェノキシ基が含まれる。
前記一般式(M−I)のG、R1又はR2で表されるシリルオキシ基としては、炭素数が1〜20の脂肪族基、芳香族基が置換したシリルオキシ基が好ましい。シリルオキシ基の例としては、トリメチルシリルオキシ、ジフェニルメチルシリルオキシが含まれる。
前記一般式(M−I)のG、R1又はR2で表される複素環オキシ基には、置換基を有する複素環オキシ基及び無置換の複素環オキシ基が含まれる。複素環オキシ基としては、炭素数が2〜20の複素環オキシ基が好ましい。ここでの置換基の例には、アルキル基、アルコキシ基、及びイオン性親水性基が含まれる。複素環オキシ基の例としては、3−ピリジルオキシ基、3−チエニルオキシ基が含まれる。
前記一般式(M−I)のG、R1又はR2で表されるアルコキシカルボニルオキシ基には、置換基を有するアルコキシカルボニルオキシ基及び無置換のアルコキシカルボニルオキシ基が含まれる。アルコキシカルボニルオキシ基としては、炭素数が2〜20のアルコキシカルボニルオキシ基が好ましい。アルコキシカルボニルオキシ基の例としては、メトキシカルボニルオキシ基、イソプロポキシカルボニルオキシ基が含まれる。
前記一般式(M−I)のG、R1又はR2で表されるアリールオキシカルボニルオキシ基には、置換基を有するアリールオキシカルボニルオキシ基及び無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基が含まれる。アリールオキシカルボニルオキシ基としては、炭素数が7〜20のアリールオキシカルボニルオキシ基が好ましい。アリールオキシカルボニルオキシ基の例としては、フェノキシカルボニルオキシ基が含まれる。
前記一般式(M−I)のG、R1又はR2で表されるアシルアミノ基には、置換基を有するアシルアミノ基が含まれる。前記アシルアミノ基としては、炭素数2〜20のアシルアミノ基が好ましい。置換基を有する場合の置換基の例としてはイオン性親水性基が含まれる。アシルアミノ基の例としては、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、N−フェニルアセチルアミノ、3,5−ジスルホベンゾイルアミノ基が含まれる。
前記一般式(M−I)のG、R1又はR2で表されるウレイド基には、置換基を有するウレイド基及び無置換のウレイド基が含まれる。前記ウレイド基としては、炭素数1〜20のウレイド基が好ましい。置換基を有する場合の置換基の例としては、アルキル基、アリール基が含まれる。ウレイド基の例としては、3−メチルウレイド基、3,3−ジメチルウレイド基、3−フェニルウレイド基が含まれる。
前記一般式(M−I)のG、R1又はR2で表されるスルファモイルアミノ基には、置換基を有するスルファモイルアミノ基及び無置換のスルファモイルアミノ基が含まれる。置換基を有する場合の置換基の例としては、アルキル基が含まれる。スルファモイルアミノ基の例としては、N,N−ジプロピルスルファモイルアミノ基が含まれる。
前記一般式(M−I)のG、R1又はR2で表されるアルコキシカルボニルアミノ基には、置換基を有するアルコキシカルボニルアミノ基及び無置換のアルコキシカルボニルアミノ基が含まれる。前記アルコキシカルボニルアミノ基としては、炭素数2〜20のアルコキシカルボニルアミノ基が好ましい。置換基を有する場合の置換基の例にはイオン性親水性基が含まれる。アルコキシカルボニルアミノ基の例としては、エトキシカルボニルアミノ基が含まれる。
前記一般式(M−I)のG、R1又はR2で表されるアルキルスルホニルアミノ基及びアリールスルホニルアミノ基には、置換基を有するアルキル及びアリールスルホニルアミノ基、無置換のアルキル及びアリールスルホニルアミノ基が含まれる。アルキル及びアリールスルホニルアミノ基としては、炭素数1〜20のアルキル及びアリールスルホニルアミノ基が好ましい。置換基を有する場合の置換基の例としてはイオン性親水性基が含まれる。アルキル及びアリールスルホニルアミノ基の例としては、メチルスルホニルアミノ基、N−フェニルメタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基、及び3−カルボキシベンゼンスルホニルアミノ基が含まれる。
前記一般式(M−I)のG、R1又はR2で表されるカルバモイル基には、置換基を有するカルバモイル基及び無置換のカルバモイル基が含まれる。置換基を有する場合の置換基の例としては、アルキル基が含まれる。カルバモイル基の例としては、メチルカルバモイル基及びジメチルカルバモイル基が含まれる。
前記一般式(M−I)のG、R1又はR2で表されるスルファモイル基には、置換基を有するスルファモイル基及び無置換のスルファモイル基が含まれる。置換基を有する場合の置換基の例としてはアルキル基が含まれる。スルファモイル基の例としては、ジメチルスルファモイル基及びジ−(2−ヒドロキシエチル)スルファモイル基が含まれる。
前記一般式(M−I)のG、R1又はR2で表されるアルコキシカルボニル基には、置換基を有するアルコキシカルボニル基及び無置換のアルコキシカルボニル基が含まれる。アルコキシカルボニル基としては、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基が好ましい。置換基を有する場合の置換基の例としては、イオン性親水性基が含まれる。アルコキシカルボニル基の例としては、メトキシカルボニル基及びエトキシカルボニル基が含まれる。
前記一般式(M−I)のG、R1又はR2で表されるアシルオキシ基には、置換基を有するアシルオキシ基及び無置換のアシルオキシ基が含まれる。アシルオキシ基としては、炭素数1〜20のアシルオキシ基が好ましい。置換基を有する場合の置換基の例としては、イオン性親水性基が含まれる。アシルオキシ基の例としては、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基が含まれる。
前記一般式(M−I)のG、R1又はR2で表されるカルバモイルオキシ基には、置換基を有するカルバモイルオキシ基及び無置換のカルバモイルオキシ基が含まれる。置換基を有する場合の置換基の例としては、アルキル基が含まれる。カルバモイルオキシ基の例としては、N−メチルカルバモイルオキシ基が含まれる。
前記一般式(M−I)のG、R1又はR2で表されるアリールオキシカルボニル基には、置換基を有するアリールオキシカルボニル基及び無置換のアリールオキシカルボニル基が含まれる。アリールオキシカルボニル基としては、炭素数7〜20のアリールオキシカルボニル基が好ましい。置換基を有する場合の置換基の例としてはイオン性親水性基が含まれる。アリールオキシカルボニル基の例としては、フェノキシカルボニル基が含まれる。
前記一般式(M−I)のG、R1又はR2で表されるアリールオキシカルボニルアミノ基には、置換基を有するアリールオキシカルボニルアミノ基及び無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基が含まれる。アリールオキシカルボニルアミノ基としては、炭素数7〜20のアリールオキシカルボニルアミノ基が好ましい。置換基を有する場合の置換基の例としてはイオン性親水性基が含まれる。前記アリールオキシカルボニルアミノ基の例としては、フェノキシカルボニルアミノ基が含まれる。
前記一般式(M−I)のG、R1又はR2で表されるアルキルチオ基、アリールチオ基、複素環チオ基には、置換基を有するアルキル、アリール及び複素環チオ基と、無置換のアルキル、アリール及び複素環チオ基が含まれる。アルキル、アリール及び複素環チオ基としては、炭素数1〜20のものが好ましい。置換基を有する場合の置換基の例としてはイオン性親水性基が含まれる。アルキル,アリール及び複素環チオ基の例としては、メチルチオ基、フェニルチオ基、2−ピリジルチオ基が含まれる。
前記一般式(M−I)のG、R1又はR2で表される複素環オキシカルボニル基には、置換基を有する複素環オキシカボニル基及び無置換の複素環オキシカルボニル基が含まれる。複素環オキシカルボニル基としては、炭素数が2〜20の複素環オキシカルボニル基が好ましい。ここでの置換基の例にはイオン性親水性基が含まれる。複素環オキシカルボニル基の例としては、2−ピリジルオキシカルボニル基が含まれる。
前記一般式(M−I)のG、R1又はR2で表される複素環スルホニルアミノ基には、置換基を有する複素環スルホニルアミノ基及び無置換の複素環スルホニルアミノ基が含まれる。複素環スルホニルアミノ基としては、炭素数が1〜12の複素環スルホニルアミノ基が好ましい。ここでの置換基の例にはイオン性親水性基が含まれる。複素環スルホニルアミノ基の例としては、2−チオフェンスルホニルアミノ基、3−ピリジンスルホニルアミノ基が含まれる。
前記一般式(M−I)のG、R1又はR2で表される複素環スルホニル基には、置換基を有する複素環スルホニル基及び無置換の複素環スルホニル基が含まれる。複素環スルホニル基としては、炭素数が1〜20の複素環スルホニル基が好ましい。ここでの置換基の例にはイオン性親水性基が含まれる。複素環スルホニル基の例としては、2−チオフェンスルホニル基、3−ピリジンスルホニル基が含まれる。
前記一般式(M−I)のG、R1又はR2で表される複素環スルフィニル基には、置換基を有する複素環スルフィニル基及び無置換の複素環スルフィニル基が含まれる。複素環スルフィニル基としては、炭素数が1〜20の複素環スルフィニル基が好ましい。ここでの置換基の例にはイオン性親水性基が含まれる。複素環スルフィニル基の例としては、4−ピリジンスルフィニル基が含まれる。
上記の一般式(M−I)で表される染料のうち、下記一般式(M−II)で表される染料が好ましい。本発明におけるマゼンタインクは、下記一般式(M−II)で表されるマゼンタ染料を含む。
Figure 0004064909
前記一般式(M−II)において、Z1はハメットの置換基定数σp値が0.20以上の電子求引性基を表す。Z1はσp値が0.30〜1.0の電子求引性基であるのが好ましい。中でも、σp値が0.45〜1.0の電子求引性基であるのが好ましく、0.60〜1.0の電子求引性基であるのが好ましい。
好ましい具体的な置換基については後述する電子求引性置換基を挙げることができるが、中でも炭素数2〜20のアシル基、炭素数2〜20のアルキルオキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、炭素数6〜20のアリールスルホニル基、炭素数1〜20のカルバモイル基、炭素数1〜20のハロゲン化アルキル基が好ましい。特に好ましいものは、シアノ基、炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、炭素数6〜20のアリールスルホニル基であり、最も好ましいものはシアノ基である。
前記一般式(M−II)中のR1、R2、R5、及びR6は、各々既述の一般式(M−I)におけるR1、R2、R5及びR6と各々同義である。
前記一般式(M−II)中のR3及びR4は、各々独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はスルファモイル基を表す。その中でも、水素原子、芳香族基、複素環基、アシル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基が好ましく、水素原子、芳香族基、複素環基が特に好ましい。
前記一般式(M−II)中のZ2は、水素原子、脂肪族基、芳香族基、又は複素環基を表す。
前記一般式(M−II)中のQは、水素原子、脂肪族基、芳香族基、又は複素環基を表す。その中でも、Qは5〜8員環を形成するのに必要な非金属原子群からなる基が好ましい。この5〜8員環は置換されていてもよいし、飽和環であっても不飽和結合を有していてもよい。その中でも、特に、芳香族基、複素環基が好ましい。好ましい非金属原子としては、窒素原子、酸素原子、イオウ原子及び炭素原子が挙げられる。5〜8員環の具体例としては、例えば、ベンゼン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、シクロヘキセン環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピリダジン環、トリアジン環、イミダゾール環,ベンゾイミダゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、オキサン環、スルホラン環、及びチアン環等が挙げらる。
前記一般式(M−II)で説明した各基は、更に置換基を有していてもよい。これらの各基が更に置換基を有する場合の該置換基としては、前記一般式(M−I)で説明した置換基、G、R1及びR2で例示した基やイオン性親水性基が挙げられる。
ハメット置換基定数σp値が0.60以上の電子吸引性基としては、シアノ基、ニトロ基、アルキルスルホニル基(例えばメタンスルホニル基)、アリールスルホニル基(例えばベンゼンスルホニル基)を例として挙げることができる。
ハメットσp値が0.45以上の電子吸引性基としては、上記に加えてアシル基(例えばアセチル基)、アルコキシカルボニル基(例えばドデシルオキシカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(例えば、m−クロロフェノキシカルボニル)、アルキルスルフィニル基(例えば、n−プロピルスルフィニル)、アリールスルフィニル基(例えばフェニルスルフィニル)、スルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル)、ハロゲン化アルキル基(例えば、トリフロロメチル)を挙げることができる。
ハメット置換基定数σp値が0.30以上の電子吸引性基としては、上記に加えてアシルオキシ基(例えば、アセトキシ)、カルバモイル基(例えば、N−エチルカルバモイル、N,N−ジブチルカルバモイル)、ハロゲン化アルコキシ基(例えば、トリフロロメチルオキシ)、ハロゲン化アリールオキシ基(例えば、ペンタフロロフェニルオキシ)、スルホニルオキシ基(例えばメチルスルホニルオキシ基)、ハロゲン化アルキルチオ基(例えば、ジフロロメチルチオ)、2つ以上のσp値が0.15以上の電子吸引性基で置換されたアリール基(例えば、2,4−ジニトロフェニル、ペンタクロロフェニル)、及び複素環(例えば、2−ベンゾオキサゾリル、2−ベンゾチアゾリル、1−フェニルー2−ベンズイミダゾリル)を挙げることができる。
ハメット置換基定数σp値が0.20以上の電子吸引性基の具体例としては、上記に加えてハロゲン原子などが挙げられる。
前記一般式(M−I)で表される化合物として、特に好ましいR5、R6、A、B1、B2及びGの組み合わせは以下の通りである。
(イ)R5及びR6は、好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、複素環基、スルホニル基、アシル基であり、さらに好ましくは水素原子、アリール基、複素環基、スルホニル基であり、最も好ましくは水素原子、アリール基、複素環基である。但し、R5及びR6が共に水素原子であることはない。
(ロ)Gは、好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシル基、アミノ基、アミド基であり、更に好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、アミド基であり、最も好ましくは水素原子、アミノ基、アミド基である。
(ハ)Aは、好ましくはピラゾール環、イミダゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾチアゾール環であり、さらに好ましくはピラゾール環、イソチアゾール環であり、最も好ましくはピラゾール環である。
(ニ)B1及びB2は、各々=CR1−、−CR2=であり、かつR1及びR2の各々は、好ましくは水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、カルバモイル基、カルボキシル基、アルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基であり、更に好ましくは水素原子、シアノ基、カルバモイル基、アルコキシ基である。
なお、前記一般式(M−I)で表される化合物において、R5、R6、A、B1、B2及びGの好ましい組み合わせは、R5、R6、A、B1、B2及びGの少なくとも1つが上記(イ)〜(ニ)に記載の好ましい基である化合物が好ましく、2つ以上が上記(イ)〜(ニ)に記載の好ましい基である化合物がより好ましく、全てが上記(イ)〜(ニ)に記載の好ましい基である化合物が最も好ましい。
好ましいシアン染料は、下記一般式(C−I)で表されるフタロシアニン染料である。
Figure 0004064909
前記一般式(C−I)において、X1、X2、X3及びX4は、それぞれ独立にσpが0.40以上の電子吸引性基を表す。Y1、Y2、Y3及びY4は、それぞれ独立に一価の置換基を表す。Mは、水素原子、金属元素又はその酸化物、水酸化物もしくはハロゲン化物を表す。a1〜a4は、各々X1〜X4の置換基数であり、それぞれ独立に0〜4の整数を表す。b1〜b4は、各々Y1〜Y4の置換基数であり、それぞれ独立に0〜4の整数を表す。ただし、a1〜a4の総和は2以上であり、3以上が好ましく、特にa1=a2=a3=a4=1である場合が最も好ましい。染料が水溶性染料である場合には、X1、X2、X3、X4、Y1、Y2、Y3、Y4のいずれかの位置に置換基として更にイオン性親水性基を有することが好ましい。置換基としてのイオン性親水性基には、スルホ基、カルボキシル基、ホスホノ基及び4級アンモニウム基等が含まれる。
前記一般式(C−I)で表されるフタロシアニン染料の中でも、下記一般式(C−II)で表されるフタロシアニン染料が更に好ましい。
本発明におけるシアンインクは、下記一般式(C−II)で表されるシアン染料を含む。以下、一般式(C−II)で表されるフタロシアニン染料について詳述する。
Figure 0004064909
前記一般式(C−II)において、X11〜X14は、それぞれ独立に−SO−Z、−SO2−Z、−SO2NR12、スルホ基、−CONR12、又は−CO21を表し、Y11〜Y18は、それぞれ独立に一価の置換基を表す。、Mは、水素原子、金属原子又はその酸化物、水酸化物もしくはハロゲン化物を表す。a11〜a14は、各々X11〜X14の置換基数であり、それぞれ独立に1又は2の整数を表す。また、Zは、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換の複素環基を表す。R1及びR2は、それぞれ独立に水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換の複素環基を表す。
前記一般式(C−II)中、a11〜a14は、4≦a11+a12+a13+a14≦6を満たす値が特に好ましく、中でも特にa11=a12=a13=a14=1の場合が特に好ましい。
11、X12、X13及びX14は、互いに同一の置換基であってもよく、あるいは例えば、X11、X12、X13及びX14の全てが−SO2−Zを表すが各Zは互いに異なるものを含む場合など、同種の置換基であるが部分的に互いに異なる置換基であってもよく、あるいは例えば、−SO2−Zと−SO2NR12とが同時に置換した場合など、互いに異なる置換基を含んでいてもよい。
前記一般式(C−II)で表されるフタロシアニン染料の中でも、特に好ましい構造(置換基)は以下の通りである。
前記X11〜X14については、それぞれ独立に−SO−Z、−SO2−Z、−SO2NR12、又はCONR12であるのが好ましく、−SO2−Z又はSO2NR12であるのが特に好ましく、−SO2−Zであるのが最も好ましい。
前記Zについては、それぞれ独立に、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換の複素環基であるのが好ましく、中でも特に置換アルキル基、置換アリール基、置換複素環基であるのが最も好ましい。特に染料の溶解性やインク安定性を高める観点から、置換基中に不斉炭素を有する場合(ラセミ体での使用)が好ましい。また、会合性を高め堅牢性を向上させる観点から、水酸基、エーテル基、エステル基、シアノ基、アミド基、スルホンアミド基が置換基中に有する場合が好ましい。
前記R1、R2については、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換の複素環基であるのが好ましく、中でも特に水素原子、置換アルキル基、置換アリール基、置換複素環基であるのが好ましい。但し、R1及びR2がともに水素原子であるのは好ましくない。特に染料の溶解性やインク安定性を高める観点から、置換基中に不斉炭素を有する場合(ラセミ体での使用)が好ましい。また、会合性を高め堅牢性を向上させる観点から、水酸基、エーテル基、エステル基、シアノ基、アミド基、スルホンアミド基が置換基中に有する場合が好ましい。
更に前記Y11〜Y18については、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、アルコキシ基、アミド基、ウレイド基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、及びスルホ基であるのが好ましく、特に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、及びスルホ基であるのが好ましく、水素原子であるのが最も好ましい。
前記a11〜a14については、それぞれ独立に1又は2であるのが好ましく、特にa11〜a14の全てが1であるのが好ましい。
前記Mについては、水素原子、金属元素又はその酸化物、水酸化物もしくはハロゲン化物であるのが好ましく、Cu、Ni、Zn、又はAlであるのが特に好ましく、Cuであるのが最も好ましい。
前記(C−I)又は(C−II)で表されるフタロシアニン染料が水溶性である場合には、イオン性親水性基を有することが好ましい。前記イオン性親水性基には、スルホ基、カルボキシル基、ホスホノ基及び4級アンモニウム基等が含まれる。前記イオン性親水性基の中でも、カルボキシル基、ホスホノ基、スルホ基が好ましく、カルボキシル基、スルホ基が特に好ましい。カルボキシル基、ホスホノ基、及びスルホ基は塩の状態であってもよく、塩を形成する対イオンの例には、アンモニウムイオン、アルカリ金属イオン(例、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン)、有機カチオン(例、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラメチルグアニジウムイオン、テトラメチルホスホニウム)が含まれる。対イオンの中でもアルカリ金属塩が好ましく、特にリチウム塩は染料の溶解性を高めインク安定性を向上させる点で特に好ましい。
また、前記イオン性親水性基の数としては、フタロシアニン系染料1分子中に少なくとも2個以上であることが好ましく、特にスルホ基及び/又はカルボキシル基を少なくとも2個以上有することが好ましい。
前記一般式(C−II)で表されるフタロシアニン染料の好ましい置換基の組合せとしては、各置換基の少なくとも一つが上記した好ましい基を表す構造が好ましく、より多くの置換基が上記した好ましい基を表す構造がより好ましく、全ての置換基が上記の好ましい基を表す構造が最も好ましい。
前記フタロシアニン染料の好ましい化学構造としては、スルフィニル基、スルホニル基、スルファモイル基のような電子吸引性基を、フタロシアニンの4つの各ベンゼン環に少なくとも一つずつ、フタロシアニン骨格全体の置換基のσp値の合計で1.6以上となるように導入することが好ましい。
前記一般式(C−I)で表されるフタロシアニン染料は、その合成法によって不可避的に置換基Xn(n=1〜4)及びYm(m=1〜4)の導入位置及び導入個数が異なる類縁体混合物である場合が一般的であり、したがって一般式はこれら類縁体混合物を統計的に平均化して表している場合が多い。本発明では、これらの類縁体混合物を以下に示す3種類に分類すると、特定の混合物が特に好ましいことを見出したものである。すなわち前記一般式(C−I)及び(C−II)で表されるフタロシアニン系染料類縁体混合物を置換位置に基づいて以下の3種類に分類して定義する。
(1)β位置換型:2位及び/又は3位、6位及び/又は7位、10位及び/又は11位、14位及び/又は15位に特定の置換基を有するフタロシアニン染料。
(2)α位置換型:1位及び/又は4位、5位及び/又は8位、9位及び/又は12位、13位及び/又は16位に特定の置換基を有するフタロシアニン染料
(3)α,β位混合置換型:1〜16位に規則性なく、特定の置換基を有するフタロシアニン染料
本明細書中において、構造が異なる(特に置換位置が異なる)フタロシアニン染料を説明する場合、上記のβ位置換型、α位置換型、α,β位混合置換型を使用する。
本発明に用いられるフタロシアニン染料は、例えば、白井−小林共著「フタロシアニン−化学と機能−」(p.1〜62、(株)アイピーシー発行)、C.C.Leznoff−A.B.P.Lever共著、VCH発行“Phthalocyanines−Properties and Applications”(p.1〜54)等に記載、引用もしくはこれらに類似の方法を組合せて合成することができる。
前記一般式(C−I)で表されるフタロシアニン染料は、WO00/17275、同00/08103、同00/08101、同98/41853、特開平10−36471号などに記載されているように、例えば無置換のフタロシアニン化合物のスルホン化、スルホニルクロライド化、アミド化反応を経て合成することができる。この場合、スルホン化がフタロシアニン核のどの位置でも起こり得るうえにスルホン化される個数も制御が困難である。したがって、このような反応条件でスルホ基を導入した場合には、生成物に導入されたスルホ基の位置と個数は特定できず、必ず置換基の個数や置換位置の異なる混合物を与える。したがって、それを原料として本発明の化合物を合成するときには、複素環置換スルファモイル基の個数や置換位置は特定できないので、フタロシアニン染料としては置換基の個数や置換位置の異なる化合物が何種類か含まれる、α,β位混合置換型混合物として得られる。
既述のように例えば、スルファモイル基のような電子求引性基を数多くフタロシアニン核に導入すると酸化電位がより貴となり、オゾン耐性が高まる。上記の合成法に従うと、電子求引性基が導入されている個数が少ない、すなわち酸化電位がより卑であるフタロシアニン染料が混入してくることが避けられない。したがって、オゾン耐性を向上させるには、酸化電位がより卑である化合物の生成を抑えるような合成法を用いることがより好ましい。
それに対し、前記一般式(C−II)で表されるフタロシアニン染料は、例えば下記式で表されるフタロニトリル誘導体(化合物P)及び/又はジイミノイソインドリン誘導体(化合物Q)を、一般式(C−III)で表される金属誘導体と反応させて得ることができる。あるいは下記式で表される4−スルホフタル酸誘導体(化合物R)と一般式(C−III)で表される金属誘導体とを反応させて得られるテトラスルホフタロシアニン化合物から誘導することができる。
Figure 0004064909
前記各式中、Xpは、前記一般式(C−II)におけるX1、X2、X3、又はX4と同義であり、Yq及びYq’はそれぞれ、前記一般式(C−II)におけるY11、Y12、Y13、Y14、Y15、Y16、Y17、又はY18と同義である。前記化合物Rにおいて、M’はカチオンを表す。
M−(Y)d …一般式(C−III)
前記一般式(C−III)中、Mは、前記一般式(C−II)のMと同義であり、Yは、ハロゲン原子、酢酸陰イオン、アセチルアセトネート、酸素等の1価又は2価の配位子を表し、dは1〜4の整数を表す。
すなわち、上記の合成法に従えば所望の置換基を特定の数だけ導入することができるのである。特に、本発明のように酸化電位を貴とするために電子求引性基を数多く導入したい場合には、上記の合成法は前記一般式(C−I)の合成法と比較して極めて優れたものである。
前記一般式(C−II)で表されるフタロシアニン染料は、通常、Xpの各置換位置における異性体である下記一般式(a)−1〜(a)−4で表される化合物の混合物、すなわちβ位置換型となっている。
Figure 0004064909
上記の合成法において、Xpとして全て同一のものを使用すればX11、X12、X13及びX14が同一の置換基であるβ位置置換型のフタロシアニン染料を得ることができる。一方、Xpとして異なるものを組合せて使用すれば、同種の置換基であるが部分的に互いに異なる置換基をもつフタロシアニン染料、あるいは互いに異なる種類の置換基をもつフタロシアニン染料を合成することができる。前記一般式(C−II)の染料の中でも、互いに異なる電子吸引性置換基を持つ場合には染料の溶解性、会合性、インクの経時安定性などを調整できる点で特に好ましい。
上記いずれの置換型においても酸化電位が0.8V(vs SCE)よりも貴であることが堅牢性の向上の点で特に重要であり、また中でも、α,β位混合置換型よりβ位置換型の方が色相や光堅牢性及びオゾンガス耐性等の点で優れている傾向にあった。
前記一般式(C−I)又は(C−II)で表されるフタロシアニン染料は、例えば、特開2002−302623号、特開2002−294097号、特開2002−249677号、特開2003−012952号に記載の方法により合成することができる。また、出発物質、染料中間体及び合成ル−トについてはこれらにより限定されるものでない。
本発明に係るマゼンタ染料及びシアン染料の酸化電位が0.8V(vs SCE)よりも貴であるが、シアン染料としてのフタロシアニン染料は、会合体を形成しているために酸化電位が多少低くとも堅牢性を補償できるのに対し、マゼンタ染料は会合を形成するものではないため、堅牢性を高めるには酸化電位をシアン染料以上に貴に設定することが好ましい。
以下、本発明において好適な染料の例を示す。但し、本発明においてはこれらに制限されるものではない。なお、括弧内には酸化電位を示す。
イエロー染料の具体例〔Y−1〜Y−35〕を列挙する。
Figure 0004064909
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Figure 0004064909
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次に、マゼンタ染料の具体例〔M−1〜M−26〕を列挙する。
Figure 0004064909
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次に、シアン染料の具体例〔C−1〜C−50〕を列挙する。
Figure 0004064909
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Figure 0004064909
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上記のほか、特開2002−294097号、特開2002−249677号、特開2002−256167号、特開2002−275386号、特開2003−012952号、特開2001−279145号、特開2002−309116号に記載の化合物も挙げることができるが、これらに限定されるものでもない。また、上記の各化合物は上記の方法により容易に合成できる。
通常、インクセットを構成する各インクは、親油性媒体や水性媒体中に染料を溶解及び/又は分散させることによって作製することができる。水性媒体を用いる水性インクの方が、作業環境及び省資源の面で好ましい。
上記の染料以外に、必要に応じて各種の添加剤を本発明の効果を阻害しない範囲で添加することができる。該添加剤としては、例えば、乾燥防止剤(湿潤剤)、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられる。これらの各種添加剤は、水溶性インクの場合にはインク液に直接添加することができ、油溶性染料を分散物の形で用いる場合には、染料分散物の調製後に分散物に添加するのが一般的であるが、調製時に油相又は水相に添加するようにしてもよい。
前記乾燥防止剤はインクジェット記録方法に用いるノズルのインク噴射口において、該インクジェット用インクが乾燥することによる目詰まりを防止する目的で好適に使用される。
前記乾燥防止剤としては、水より蒸気圧の低い水溶性有機溶剤が好ましい。具体的な例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、アセチレングリコール誘導体、グリセリン、トリメチロールプロパン等に代表される多価アルコール類、エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノエチル(又はブチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類、2−ピロリドン、N−メチルー2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−エチルモルホリン等の複素環類、スルホラン、ジメチルスルホキシド、3−スルホレン等の含硫黄化合物、ジアセトンアルコール、ジエタノールアミン等の多官能化合物、尿素誘導体が挙げられる。
これらのうち、グリセリン、ジエチレングリコール等の多価アルコールが好ましい。また、上記の乾燥防止剤は単独で用いてもよいし2種以上併用してもよい。これらの乾燥防止剤はインク中に10〜50質量%含有することが好ましい。
前記浸透促進剤は、インクを紙によりよく浸透させる目的で好適に使用される。該浸透促進剤としてはエタノール、イソプロパノール、ブタノール、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテル、1,2−ヘキサンジオール等のアルコール類やラウリル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウムやノニオン性界面活性剤等を用いることができる。これらはインク中に5〜30質量%含有すれば通常、充分な効果があり、印字の滲みや紙抜け(プリントスルー)を起こさない添加量の範囲内で使用するのが望ましい。
前記紫外線吸収剤は、画像の保存性を向上させる目的で使用される。該紫外線吸収剤としては、特開昭58−185677号公報、同61−190537号公報、特開平2−782号公報、同5−197075号公報、同9−34057号公報等に記載されたベンゾトリアゾール系化合物、特開昭46−2784号公報、特開平5−194483号公報、米国特許第3214463号等に記載されたベンゾフェノン系化合物、特公昭48−30492号公報、同56−21141号公報、特開平10−88106号公報等に記載された桂皮酸系化合物、特開平4−298503号公報、同8−53427号公報、同8−239368号公報、同10−182621号公報、特表平8−501291号公報等に記載されたトリアジン系化合物、リサーチディスクロージャーNo.24239号に記載された化合物やスチルベン系、ベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤も用いることができる。
前記褪色防止剤は、画像の保存性を向上させる目的で使用される。該褪色防止剤としては、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。有機の褪色防止剤としてはハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、チオエーテル類、チオウレア類、複素環類などがあり(例えば、特開2002−36717号公報、特開2002−86904号公報記載のもの)、金属錯体としてはニッケル錯体、亜鉛錯体などがある。具体的には、リサーチディスクロージャーNo.17643の第VIIのIないしJ項、同No.15162、同No.18716の650頁左欄、同No.36544の527頁、同No.307105の872頁、同No.15162に引用された特許に記載された化合物や、特開昭62−215272号公報の頁127〜137に記載された代表的化合物の一般式及び化合物例に含まれる化合物を使用することができる。
前記防黴剤としては、デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ナトリウムピリジンチオン−1−オキシド、p−ヒドロキシ安息香酸エチルエステル、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン及びその塩等が挙げられる。これらはインク中に0.02〜1.00質量%使用するのが好ましい。
前記pH調整剤としては、中和剤(有機塩基、無機アルカリ)を用いることができる。該pH調整剤は、インクの保存安定性を向上させる目的で、インクのpHが6〜10となるように添加するのが好ましく、pH7〜10となるように添加するのがより好ましい。
前記表面張力調整剤としてはノニオン、カチオンあるいはアニオン界面活性剤が挙げられる。なお、本発明に係るインクの表面張力は25〜70mPa・sが好ましく、25〜60mN/mがより好ましい。また、インクの粘度は30mPa・s以下が好ましい。更に20mPa・s以下がより好ましい。
これら界面活性剤の例としては、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等のアニオン系界面活性剤や、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー等のノニオン系界面活性剤が好ましい。また、アセチレン系ポリオキシエチレンオキシド界面活性剤であるSURFYNOLS(AirProducts&Chemicals社)も好ましく用いられる。また、N,N−ジメチル−N−アルキルアミンオキシドのようなアミンオキシド型や、N,N−ジメチル−N−ラウリル−カルボメチルアンモニウム等の4級アンモニウム塩含有ベタイン型両性界面活性剤等も好ましい。更に、特開昭59−157、636号の第(37)〜(38)頁、リサーチ・ディスクロージャーNo.308119(1989年)記載の界面活性剤として挙げたものも使用できる。
前記消泡剤としては、フッ素系、シリコーン系化合物やEDTAに代表されるキレート剤等も必要に応じて使用することができる。
本発明に係る染料が油溶性の場合に水性媒体に分散させる方法としては、特開平11−286637号、特開2001−240763号、特開2001−262039号、特開2001−247788号の各公報に記載のように染料と油溶性ポリマーとを含有する着色微粒子を水性媒体に分散したり、特開2001−262018号、特開2001−240763号、特開2001−335734号、特開2002−080772号の各公報に記載のように高沸点有機溶媒に溶解した染料を水性媒体中に分散することが好ましい。本発明における染料を水性媒体に分散させる場合の具体的な方法、使用する油溶性ポリマー、高沸点有機溶剤、添加剤及びそれらの使用量は、前記公報に記載されたものを好適に適用することができる。あるいは、染料を固体のまま微粒子状態に分散してもよい。分散時には、分散剤や界面活性剤を使用することができる。分散装置としては、簡単なスターラーやインペラー攪拌方式、インライン攪拌方式、ミル方式(例えば、コロイドミル、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテーターミル等)、超音波方式、高圧乳化分散方式(高圧ホモジナイザー;具体的な市販装置としてはゴーリンホモジナイザー、マイクロフルイダイザー、DeBEE2000等)を使用することができる。上記のインクジェット記録用インクの調製方法については、先述の特許以外にも特開平5−148436号、同5−295312号、同7−97541号、同7−82515号、同7−118584号、特開平11−286637号、特開2001−271003号の各公報に詳細が記載されていて、本発明に係るインクジェット記録用インクの調製にも利用できる。
前記水性媒体は、水を主成分とし、所望により、水混和性有機溶剤を添加した混合物を用いることができる。該水混和性有機溶剤の例には、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール)、グリコール誘導体(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングルコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル)、アミン(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ポリエチレンイミン、テトラメチルプロピレンジアミン)及びその他の極性溶媒(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、アセトニトリル、アセトン)が含まれる。なお、該水混和性有機溶剤は、2種類以上を併用してもよい。
本発明に係るインクセットを構成するインクは、インク100質量部に対して、染料を0.1質量部以上20質量部以下含有するのが好ましい。また、イエロー、シアンの各インクは、二種以上の染料を併用してもよい。マゼンタインクは、酸化電位が0.8Vより貴であれば二種以上の染料を併用してもよい。二種以上の染料を併用する場合は、染料の含有量の合計が上記範囲となっているのが望ましい。
近年、高画質化を目的に、イエロー、マゼンタ、シアンの各インクがしばしば染料濃度の異なる二種以上のインクから構成されるが、本発明においては、濃淡各インクで用いられる染料は、いずれも酸化電位が0.8Vより貴であることが望ましい。
本発明において、同色相のインクとして2種以上の異なるインクを用いる場合、一種のインク濃度に対して、他種のインク濃度が0.05〜0.5倍であることが好ましい。
本発明のインクセットは、フルカラーの画像形成に用いるものであるが、色調を整えるために、更にブラック色調インクを用いてもよい。適用できる黒色材としては、ジスアゾ、トリスアゾ、テトラアゾ染料のほか、カーボンブラックの分散体を挙げることができる。
[加熱加圧処理等]
本発明のインクジェット記録方法においては、インクジェット記録媒体への画像記録後に加熱加圧処理を行なう。また好ましくは、加熱加圧処理の後に冷却し、冷却剥離を行なうようにすることができる。また更に、他の処理を含んでいてもよい。
加熱加圧処理は、インクジェット記録媒体を所望の温度(好ましくはインク受容層及び/又は非記録層(特に好ましくは支持体から最も離れた最表層)が熱可塑性樹脂を含み、熱可塑性樹脂を含む層が軟化し変形可能な温度)にまで加熱すると共に加圧できる態様であれば、特に制限はなく適宜選択した態様で行なうことができる。例えば、公知の電子写真装置の定着装置として使用されているものや熱板等を使用できる。具体例として、加熱及び加圧が可能なローラ対、あるいは加熱及び加圧可能なように互いに対向配置された二枚の熱板などの部材を備えた装置などを用いて好適に行なうことができる。上記のローラ対、熱板等の部材に特に制限はなく、目的に応じて適宜選択したもの、例えば公知の電子写真装置に用いられている互いに圧接する加熱ローラ対や市販の板状ヒータなどの中から適宜選択することができ、また、ニップ圧、加熱温度等を適宜調節可能であることが望ましい。
加熱加圧処理は、インクジェット記録媒体の構成に応じた所望の温度で行なうことができ、通常50〜120℃程度である。特に熱可塑性樹脂を含む場合には、熱可塑性樹脂の軟化点以上の温度で加熱加圧することが望ましく、具体的には熱可塑性樹脂の種類に応じて適宜選択できるが、80〜110℃が好ましく、ポリエチレンを用いたときには95〜105℃が好ましい。
前記加熱加圧処理を行なう場合、被処理媒体であるインクジェット記録媒体の記録面側の表面に、フルオロカーボンシロキサンゴムを含む層が設けられた部材の該層表面、あるいはシリコーンゴムを含む第1層とフルオロカーボンシロキサンゴムを含む第2層とを積層してなる積層体が設けられた部材の前記第2層の表面が接触するようにして好適に行なうことができる。例えば、加熱加圧処理に用いる装置(例えば上記ローラ対)のインクジェット記録媒体を圧接して加熱する面(例えば記録面側の表面と接するローラ表面)に、前記フルオロカーボンシロキサンゴムを含む層あるいは前記積層体を設けて行なうことができる
以下、好ましい態様の一つとして、冷却剥離方式のベルト型平滑化処理機を用いた態様について詳述する。
−冷却剥離方式のベルト型平滑化処理機を用いた加熱加圧処理−
本発明における加熱加圧処理は、ベルト部材を備え、インクジェット記録媒体の加熱及び加圧が可能な加熱加圧手段と、前記ベルト部材を用いて加圧された少なくともインクジェット記録媒体の被加圧面(例えばインク受容層)を冷却する冷却手段と、冷却状態で前記ベルト部材から剥離する冷却剥離手段とを備えた冷却剥離式のベルト型平滑化処理機を用いて好適に行なうことができる。つまり、加熱加圧手段によって画像記録後のインクジェット記録媒体(特にインク受容層)を所望の温度、特に熱可塑性樹脂を含むときには熱可塑性樹脂の軟化点以上の温度に加熱すると共にベルト部材のベルト面で加圧し、その後冷却手段によって少なくとも被加圧面(例えばインク受容層)が80℃以下の温度域に達するまで冷却し、その後更に冷却剥離手段によって加熱加圧手段における加圧面(即ちベルト面)からインクジェット記録媒体を冷却剥離する。
ここでの加熱加圧手段は、特に制限はないが、例えば、加熱及び加圧が可能な圧接ローラ対(対をなす加熱ローラと加圧ローラ)と回転可能に張設されてインクジェット記録媒体を搬送可能な無端のベルト部材との組合せ、などが挙げられる。
加熱加圧処理における加圧の方法には特に制限はなく、ニップ圧を印加するようにするのが好ましい。ニップ圧としては、平滑、高光沢性の観点から、1〜100kg/cm2が好ましく、5〜30kg/cm2がより好ましい。また、加熱加圧処理における加熱は、平滑、高光沢化の点で有効であり、熱可塑性樹脂を含む場合に特に有効であり、熱可塑性樹脂の軟化点以上の温度、熱可塑性樹脂の種類で異なるが通常、80〜200℃が好ましい。
加熱加圧処理時において、インクジェット記録媒体を圧接して加熱する面(例えば、加熱及び加圧可能な圧接ローラ対と、圧接ローラ対の一方及び他のローラに掛け渡されて回転しインクジェット記録媒体をその記録面側の表面で接して搬送する無端ベルト部材とで構成された場合の、無端ベルト部材の媒体接触側の表面)は、シリコーンゴム、フッ素ゴム、シリコーン樹脂、及びフッ素樹脂からなる群より選択される少なくとも一種を用いてなる層が設けられていることが好ましい。中でも特に、無端ベルト部材の表面に均一な厚さのフルオロカーボンシロキサンゴムを含む層を設けた形態、無端ベルト部材の表面に均一な厚さのシリコーンゴムを含む第1層を有し、第1層の表面に更にフルオロカーボンシロキサンゴムを含む第2層を積層して設けた形態が好ましい。
前記フルオロカーボンシロキサンゴムとしては、主鎖にパーフルオロアルキルエーテル基及び/又はパーフルオロアルキル基を有するものが好ましい。該フルオロカーボンシロキサンゴムとしては、(A)下記一般式(1)で表されるフルオロカーボンシロキサンを主成分とし、脂肪族不飽和基を有するフルオロカーボンポリマー、(B)1分子中に2個以上の≡SiH基を含有し、フルオロカーボンシロキサンゴム組成全体中の脂肪族不飽和基量に対して上記≡SiH基の含有量が1〜4倍モル量であるオルガノポリシロキサン及び/又はフルオロカーボンシロキサン、(C)充填剤、及び(D)有効量の触媒を含有するフルオロカーボンシロキサンゴム組成物の硬化物が好適である。
前記(A)のフルオロカーボンポリマーは、下記一般式(1)で表される繰り返し単位を有するフルオロカーボンシロキサンを主成分とし、脂肪族不飽和基を有するものである。
Figure 0004064909
前記一般式(1)において、R10は、非置換又は置換の好ましくは炭素数1〜8の一価炭化水素基であり、好ましくは炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数2〜3のアルケニル基であり、特に好ましくはメチル基である。a及びeは、それぞれ独立に0又は1を、b及びdはそれぞれ独立に1〜4の整数を、cは0〜8の整数を表す。xは、1以上の整数を表し、好ましくは10〜30である。
前記(A)のフルオロカーボンポリマーの例としては、下記式(2)で表される化合物が好適に挙げられる。
Figure 0004064909
前記(B)において、≡SiH基を有するオルガノポリシロキサンとしては、ケイ素原子に結合した水素原子を分子中に少なくとも2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンを挙げることができる。
また、上記のフルオロカーボンシロキサンゴム組成物において、前記(A)のフルオロカーボンポリマーが脂肪族不飽和基を有するときには硬化剤として前記オルガノハイドロジェンポリシロキサンを用いることができる。すなわち、この場合にはフルオロカーボンシロキサン中の脂肪族不飽和基と、オルガノハイドロジェンポリシロキサン中のケイ素原子に結合した水素原子との間で生ずる付加反応によって硬化物が形成されるものである。
このようなオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、付加硬化型のシリコーンゴム組成物に使用される種々のオルガノハイドロジェンポリシロキサンが挙げられる。
オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、一般にその≡SiH基の数が、(A)のフルオロカーボンシロキサン中の脂肪族不飽和炭化水素基1個に対して、少なくとも1個、特に1〜5個となるような割合で配合することが好適である。
また、≡SiH基を有するフルオロカーボンとしては、前記一般式(1)で表される繰り返し単位において、R10がジアルキルハイドロジェンシロキシ基であり、かつ末端がジアルキルハイドロジェンシロキシ基又はシリル基等のSiH基であるものが好ましく、下記式(3)で表されるものを好適に挙げることができる。
Figure 0004064909
前記(C)の充填剤としては、一般的なシリコーンゴム組成物に使用されている種々の充填剤を用いることができる。例えば、煙霧質シリカ、沈降性シリカ、カーボン粉末、二酸化チタン、酸化アルミニウム、石英粉末、タルク、セリサイト及びベントナイト等の補強性充填剤、アスベスト、ガラス繊維、有機繊維等の繊維質充填剤などを例示することができる。
前記(D)の触媒としては、付加反応用触媒として公知とされている塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸、塩化白金酸とオレフィンとの錯体、白金黒又はパラジウムをアルミナ、シリカ、カーボンなどの担体に担持したもの、ロジウムとオレフィンとの錯体、クロロトリス(トリフェニルフォスフィン)ロジウム(ウィルキンソン触媒)、ロジウム(III)アセチルアセトネートなどのような周期律表第VIII族元素又はその化合物が例示される。錯体は、アルコール系、エーテル系、炭化水素などの溶剤に溶解して用いることが好ましい。
フルオロカーボンシロキサンゴム組成物においては、本発明の効果を損なわない範囲で種々の配合剤を添加することができる。例えば、ジフェニルシランジオール、低重合度の分子鎖末端水酸基封鎖ジメチルポリシロキサン、ヘキサメチルジシラザン等の分散剤、酸化第一鉄、酸化第二鉄、酸化セリウム、オクチル酸鉄等の耐熱性向上剤、顔料等の着色剤等を必要に応じて配合することができる。
上記の無端ベルト部材を用いて加熱加圧処理を行なう場合、このベルト部材は、耐熱性樹脂製又は金属製の無端ベルト本体の表面、あるいは該ベルト本体の表面がシリコーンゴムで被覆された被覆面を前記フルオロカーボンシロキサンゴム組成物で被覆し、加熱硬化することによって得ることができる。例えば、前記フルオロカーボンシロキサンゴム組成物を、必要に応じてこれに更にm−キシレンヘキサフロライド、ベンゾトリフロライド等の溶剤を加えて希釈して塗工液に調製し、スプレーコート、ディップコート又はナイフコート等の公知のコーティング法によって塗設することができる。また、加熱硬化の温度、時間は適宜選定することができ、通常温度100〜500℃、時間5秒〜5時間の範囲でベルト本体の種類及び製造方法などに応じて選択される。
前記無端ベルト部材の表面にフルオロカーボンシロキサンゴムを含む層を形成する場合の層厚は、特に限定されるものではなく、通常20〜500μmが好適であり、特に好ましくは40〜200μmである。
前記無端ベルト部材の、インクジェット記録媒体と接する側の表面粗さ〔算術平均粗さRa〕としては、特に、表面平滑性に優れ、良好な光沢を有する画像形成を行える点で、20μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましく、1μm以下が更に好ましい。なお、算術平均粗さRaは、JIS B 0601、B 0651、B 652に基づいて測定することができる。
前記ベルト部材の態様としては、特に制限されないが、冷却剥離方式のベルト型平滑化処理機における無端ベルトが好ましい。この冷却剥離方式のベルト型平滑化処理機としては、特に制限はなく目的に応じ適宜選択することができるが、例えば図1に示すような、回転可能に張設された無端ベルト2及び駆動すると共に加熱及び加圧可能な圧接ローラ対9を有する加熱加圧手段と、圧接ローラ対のベルト回転方向下流側に設けられた冷却装置7と、無端ベルト2から冷却剥離する剥離ローラ(テンションローラ)5を少なくとも備え、加熱加圧後の無端ベルトからの媒体剥離時に温度を低く調節し得る冷却剥離方式の態様が好ましい。この冷却装置における冷却温度は、特に熱可塑性樹脂を含む場合の熱可塑性樹脂が充分に固化する80℃以下の温度域が好ましく、20〜80℃がより好ましい。
上記において、インクジェット記録媒体を連続的に搬送しながら高効率に画像の記録、加熱加圧処理、冷却剥離が可能である点から、無端ベルトを用いて構成されている態様が特に好ましい。
上記した本発明のインクジェット記録方法によって、インクジェット記録媒体上に画像が記録されてなる本発明のインクジェット画像を得ることができる。このインクジェット画像は、耐光性及び耐オゾン性に特に優れており、視覚的なチリチリ感が抑えられた写真ライクな高光沢を具備したものである。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、本実施例は、インクジェット記録媒体の例としてインクジェット記録用シートを作製するようにしたものである。なお、本実施例中の「部」及び「%」は、特に断わりのない限り「質量部」及び「質量%」を表す。
[インクセットの作製]
下記成分に脱イオン水を加えて1L(リットル;以下同様)とした後、30〜40℃に加熱しながら1時間撹拌した。その後、KOHの10mol/LにてpH=9に調整し、さらに平均孔径0.25μmのミクロフィルタを用いて減圧濾過して、ライトマゼンタ用インク液を調製した。
〔成分〕
・下記構造式(T−1)で表されるマゼンタ染料 … 7.5g/L
・ジエチレングリコール … 50g/L
・尿素 … 10g/L
・グリセリン …200g/L
・トリエチレングリコールモノブチルエーテル …120g/L
・2‐ピロリドン … 20g/L
・トリエタノールアミン … 6.9g/L
・ベンゾトリアゾール … 0.08g/L
・サーフィノール465 … 10.5g/L
(界面活性剤;エアープロダクスジャパン社製)
・PROXEL「XL−2」 … 3.5g/L
(殺菌剤;ICIジャパン社製)
引き続き、染料及び添加剤の種類を変えることにより上記ライトマゼンタ用インク液の調製と同様にして、マゼンタインク、ライトシアンインク、シアンインク、イエローインク、ブラックインクを調製し、下記表1に示す組成のインクセット(101)を作製した。
Figure 0004064909
Figure 0004064909
Figure 0004064909
次いで、上記より得たインクセット(101)のライトマゼンタ、マゼンタ、ライトシアン、シアン、イエローの各インクについて、染料種を下記表2に示すように変更して、同様にインクセット(102)〜(106)を作製した。ここで、染料種を変更する場合、等モルずつ置き換えて使用することを基準とし、各インク液の透過濃度がインクセット(101)と同等となるように染料濃度を調整した。また、染料を併用する場合には等モルずつ使用した。
Figure 0004064909
[支持体の作製]
LBKP100部からなる木材パルプをダブルディスクリファイナーによりカナディアンフリーネス300mlまで叩解し、エポキシ化ベヘン酸アミド0.5部、アニオンポリアクリルアミド1.0部、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン0.1部、カチオンポリアクリルアミド0.5部を、いずれもパルプに対する絶乾質量比で添加し、長網抄紙機により秤量し170g/m2の原紙を抄造した。
得られた原紙の表面サイズを調整するため、ポリビニルアルコール4%水溶液に蛍光増白剤(住友化学工業(株)製の「Whitex BB」)を0.04%添加し、これを絶乾質量換算で0.5g/m2となるように原紙に含浸させ、乾燥した後、更にキャレンダー処理を施して密度1.05g/mlに調整された基紙を得た。
得られた基紙のワイヤー面(裏面)側にコロナ放電処理を行なった後、溶融押出機を用いて高密度ポリエチレンを厚さ19μmとなるようにコーティングし、マット面からなる樹脂層を形成した(以下、樹脂層面を「ウラ面」と称する。)。このウラ側の樹脂層に更にコロナ放電処理を施し、その後帯電防止剤として、酸化アルミニウム(日産化学工業(株)製の「アルミナゾル100」)と二酸化ケイ素(日産化学工業(株)製の「スノーテックスO」)とを1:2の質量比で水に分散した分散液を、乾燥質量が0.2g/m2となるように塗布した。
更に、樹脂層の設けられていない側のフェルト面(表面)側にコロナ放電処理を施した後、アナターゼ型二酸化チタン10%、微量の群青、及び蛍光増白剤0.01%(対ポリエチレン)を含むMFR(メルトフローレート)3.8の低密度ポリエチレンを、溶融押出機を用いて厚み29μmとなるように押し出し、高光沢な熱可塑性樹脂層を基紙の表面側に形成し(以下、この高光沢面を「オモテ面」と称する。)、目的とする支持体を得た。
(実施例1〜2、比較例1〜4)
[インクジェット記録用シート(1)の作製]
−インク受容層用塗布液(A−1)の調製−
下記の組成中、まず(1)気相法シリカ微粒子、(2)イオン交換水、及び(3)「シャロールDC902P」を混合し、(株)シンマルエンタープライゼス製の分散機「KD−P」を用いて分散させた後、(4)ポリ塩化アルミニウム水溶液を更に加え、分散機「KD−P」を用いて分散させた。次いでこれに、(5)ポリビニルアルコール、(6)ホウ酸、(7)ポリオキシエチレンラウリルエーテル、及び(8)イオン交換水を含む溶液を加え、インク受容層用塗布液(A−1)を調製した。ここで、シリカ微粒子と水溶性樹脂との質量比〔PB比=(1)/(5)〕が4.5/1であり、pHは3.5(酸性)であった。
〈インク受容層用塗布液(A−1)の組成〉
(1)気相法シリカ微粒子(無機微粒子) …10.0部
(レオロシールQS−30(平均一次粒子径7nm);(株)トクヤマ製)
(2)イオン交換水 …51.6部
(3)シャロールDC902P(51%水溶液) … 1.0部
(分散剤;第一工業製薬(株)製)
(4)ポリ塩化アルミニウム(塩基度83%)40%水溶液 … 1.0部
(5)ポリビニルアルコール(水溶性樹脂)8%水溶液 …27.8部
(PVA−224(鹸化度88%、重合度2400);(株)クラレ製)
(6)ホウ酸(架橋剤) … 0.4部
(7)ポリオキシエチレンラウリルエーテル(界面活性剤) … 1.2部
(エマルゲン109P(10%水溶液)、HLB値13.6;花王(株)製)
(8)イオン交換水 …32.0部
既述のようにして得た支持体のオモテ面にコロナ放電処理を行なった後、上記のインク受容層用塗布液(A−1)を、支持体のオモテ面に塗布量が200ml/m2となるようにエクストルージョンダイコーターを用いて塗布し、熱風乾燥機にて80℃(風速3〜8m/秒)で塗布層の固形分濃度が20%になるまで乾燥させた。この間、塗布層は恒率乾燥を示した。その直後、下記組成の媒染剤塗布液(B)に30秒間浸漬して塗布層に20g/m2付着させ、更に80℃下で10分間乾燥させた。このようにして、乾燥層厚が32μmのインク受容層が設けられた本発明のインクジェット記録用シート(1)を得た。
〈媒染剤塗布液(B)の組成〉
(1)硼酸(架橋剤) … 0.65部
(2)PAA−03(ポリアリルアミン)の20%水溶液 …15部
(媒染剤;日東紡(株)製)
(3)イオン交換水 …75部
(4)メガファックF1405(10%水溶液) … 3部
(フッ素系界面活性剤;大日本インキ化学工業(株)製)
[インクジェット記録]
インクジェット記録装置としてインクジェットプリンタPM900C(セイコーエプソン(株)製)を準備し、このカートリッジに上記より得たインクセット(101)〜(106)を収容すると共に、インクジェット記録用シート(1)を装填し、インクジェット記録用シート(1)にグレー画像を記録した。ここで、実施例及び比較例の各々に用いたインクセットは下記表4に示す通りとした。
次に、画像記録後1分以内に更に、グレー画像が記録されたインクジェット記録シート(1)に対し、図1に示す冷却剥離式のベルト型平滑化処理機(エンドレスプレス)を用いて加熱加圧処理を行ない、その後冷却剥離した。実施例及び比較例の各々における処理条件は下記表3に示す通りとし、剥離時の温度はいずれの場合も80℃以下とした。その後に下記評価を行なった。評価結果は下記表4に示す。
Figure 0004064909
ここで、冷却剥離式のベルト型平滑化処理機について具体的に説明する。
加熱加圧、冷却、及び剥離を行なう処理は、図1に示すように構成された処理部1において行なった。処理部1は、互いに圧接して加熱及び加圧する一対の加熱ローラ3及び加圧ローラ4と、回転可能に張設された無端のベルト2と、テンションローラ(剥離ローラ)5と、クリーニングローラ6と、冷却装置7と、搬送ローラ8とを備えている。
ベルト2は、無端のベルト状に構成されており、リング状のベルト2のリング内側には加熱ローラ3と二つのテンションローラ5とが配置されている。ベルト2は、加熱ローラ3と、加熱ローラ3と離れた位置に配された二つのテンションローラ5とによって張架されており、加熱ローラ3の駆動により回転して走行可能なようになっている。加圧ローラ4は、ベルト2と当接すると共にベルト2を介して加熱ローラ3と対をなしており、加圧ローラ4及び加熱ローラ3によって加圧ローラ4とベルト2との間を加圧してニップ部が形成されるようになっている。冷却装置7は、ベルト2のリング内側であって、加熱ローラ3とベルト走行路の加熱ローラ3下流側に位置するテンションローラ5との間に配置されている。搬送ローラ8は、ベルト2を介して冷却装置7と対向する位置に二つ配設されており、二つの搬送ローラ8のうちベルト回転方向上流側に設けられた一方と前記ニップ部との距離、及び下流側の他方と上流側に位置する方のテンションローラ5との距離は略同一長さとなっている。クリーニングローラ6は、加熱ローラ3の加圧ローラ4と対向する位置とは反対側となる位置にベルト2を介して対向配置されており、クリーニングローラ6及び加熱ローラ3によってクリーニングローラ6とベルト2との間が加圧されるようになっている。加圧ローラ4とクリーニングローラ6と搬送ローラ8とは、加熱ローラ3の駆動によって回転するベルト2と連動して回転するようになっている。
なお、ベルト2のインクジェット記録媒体と接する側の表面粗さ(算術平均粗さRa)は0.8μmであり、加熱ローラ3及び加圧ローラ4の間の圧力(ニップ圧)は5kgf/cm2とした。
ベルト2は、ポリイミド製ベースの上に、シリコーンゴム用プライマー(DY39−115、東レ・ダウコーニングシリコーン社製)を塗布し、風乾30分の後、これを更にシリコーンゴム前駆体(DY35−796AB、東レ・ダウコーニングシリコーン社製)100質量部及びn−ヘキサン30質量部を混合して調製した溶液に浸漬して膜形成し、120℃で10分間一次加硫を行なうことによって、厚さ40μmのシリコーンゴム層(第1層)を形成した後、このシリコーンゴム層が形成されたベースを更に、フルオロカーボンシロキサンゴム前駆体(SIFEL610、信越化学工業社製)100質量部とフッ素系溶媒(m−キシレンヘキサフロライド、パーフロロアルカン、及びパーフロロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)の混合溶剤)20質量部とを混合して調製した溶液に浸漬して塗形成し、120℃で10分間一次加硫を行ない、180℃で4時間二次加硫を行なうことによって、厚さ20μmのフルオロカーボンシロキサンゴム層(第2層)を形成して構成されたものである。
[評価]
実施例1〜2及び比較例1〜4の各々において、インクジェット記録後のグレー画像(以下、試料ともいう)について下記の評価を行なった。
<画像堅牢性>
1.耐光性
記録直後の色度(a*1、b*1)および明度(L1)をSPM100−II(グレタグ社製)にて測定した後、ウェザーメーター(アトラス社製)を用いてキセノン光(85000ルックス)を7日間各試料に対し照射した後、再び色度(a*2、b*2)、明度(L2)を測定し、光照射前後の色差(ΔE)を下記数式(I)にしたがって求め、評価の指標とした。
ΔE={(a*1−a*2)2+(b*1−b*2)2+(L1−L2)21/2
…数式(I)
色差については、反射濃度が1.0、1.3、1.6の3点にて評価し、いずれの濃度でも色差が5未満の場合をA、濃度によって5未満および5以上の両方の評価を含む場合をB、全ての濃度で5以上の場合をCとした。
2.耐オゾン性
オゾンガス濃度が0.5ppmに設定されたボックス内に7日間試料を保存する前後での色差を、上記耐光性と同様の方法により評価した。染料残存率について反射濃度が1.0、1.3、1.6の3点にて評価し、いずれの濃度でも色差が5未満の場合をAA、色差が10未満の場合をA、濃度によって10未満および10以上の両方の評価を含む場合をB、全ての濃度で10以上の場合をCとした。なお、ボックス内のオゾンガス濃度は、オゾンガスモニター(モデル:OZG−EM−01、APPLICS製)を用いて設定した。
3.平滑性(画像のチリチリ感
試料の30mm×50mmの領域に対し、三次元粗さ計(ナノメトロ110F、黒田精工(株)製)を用いて、測定スピード30mm/sec、カットオフ値1mm以上2mm以下、測定ピッチ0.1mmの条件にて測定を行なった。測定値は小さいほど平滑で、チリチリ感が少ないことを示す。
Figure 0004064909
上記表4に示すように、酸化電位が0.8Vより貴なマゼンタ染料及びシアン染料を含むインクセットを用いると共に加熱加圧処理を行なった実施例では、耐光性、耐オゾン性(画像堅牢性)が良好であり、しかも画像のチリチリ感も低く抑えられ、平滑性のある画像を得ることができた。一方、インクセットのマゼンタ染料及びシアン染料の酸化電位が0.8Vより卑であり、加熱加圧処理を行なわなかった比較例では、画像堅牢性(耐光性、耐オゾン性)及び画像のチリチリ感の防止の両立を図ることはできなかった。
(実施例3〜5、比較例5〜13)
実施例1において、インクジェット記録シート(1)及びベルト型平滑化処理機による処理条件を、下記表5に示すように各々代えたこと以外、実施例1と同様の操作、評価を行なった。なお、インクジェット記録用シート(2)〜(4)については下記の通りである。評価結果は下記表5に示す。
[インクジェット記録用シート(2)の作製]
実施例1の「−インク受容層用塗布液(A−1)の調製−」において、組成中の(1)気相法シリカ微粒子10.0部を5.0部に、(2)イオン交換水51.6部を41.6部にそれぞれ代え、更に熱可塑性樹脂ラテックス〔アクアブリット4635(アクリル樹脂)、ソープフリー、固形分35%、ガラス転移点Tg=60℃、最低造膜温度(MFT)=30℃〕15部を加えると共に、塗布後の乾燥(80℃)を50℃で行なったこと以外、実施例1におけるインクジェット記録用シート(1)と同様にしてインクジェット記録用シート(2)を得た。
[インクジェット記録用シート(3)の作製]
下記組成の熱可塑性樹脂塗布液を調製し、この塗布液を実施例1において得たインクジェット記録用シート(1)のインク受容層上にポリエステル樹脂量が1g/m2となるようにバーコーターを用いて塗布し、乾燥させてインクジェット記録用シート(3)を得た。
−熱可塑性樹脂塗布液−
・ポリエステル樹脂水分散物 …50部
(KZA−1734(固形分30%)、ユニチカ(株)製)
・エマルゲン109P10%水溶液 … 1部
(ポリオキシエチレンラウリルエーテル;界面活性剤)
・イオン交換水 …50部
[インクジェット記録用シート(4)の作製]
前記インクジェット記録用シート(3)の作製において調製した熱可塑性樹脂塗布液の塗布量を、1g/m2から2g/m2(ポリエステル樹脂量にて)に変更したこと以外、前記インクジェット記録用シート(3)と同様にしてインクジェット記録用シート(4)を得た。
Figure 0004064909
上記表5に示すように、熱可塑性樹脂を用いたインクジェット記録用シート(2)〜(4)と酸化電位が0.8Vより貴なマゼンタ染料及びシアン染料を含むインクセットとを組合せて用いると共に加熱加圧処理を行なった実施例では、耐オゾン性及び耐構成を高いレベルで両立でき、しかも画像のチリチリ感が少なく平滑性に優れた画像を得ることができた。これに対して比較例では、画像堅牢性(耐光性、耐オゾン性)を高めると同時に画像のチリチリ感をも効果的に防止することは困難であった。
冷却剥離式のベルト型平滑化処理機を用いて加熱加圧処理及びその後の冷却剥離処理を行なうところを説明するための概略構成図である。
符号の説明
1…処理部
2…ベルト
3…加熱ローラ
4…加圧ローラ
7…冷却装置
10…インクジェット記録媒体

Claims (9)

  1. 少なくとも1種のイエロー染料を含有するイエローインク、少なくとも1種のマゼンタ染料を含有するマゼンタインク、及び少なくとも1種のシアン染料を含有するシアンインクを最小の構成要素とし、前記マゼンタ染料が下記一般式(M−II)で表され、前記シアン染料が下記一般式(C−II)で表されるインクセットを用いて、支持体上にインク受容層を有するインクジェット記録媒体の上に画像を形成した後、ベルト部材と、加熱加圧手段と、冷却手段と、冷却状態で前記ベルト部材から剥離する冷却剥離部とを有する冷却剥離式のベルト定着型平滑化処理機を用い、前記加熱加圧手段により、前記インクジェット記録媒体のインク受容層面を加熱するとともにベルト部材のベルト面で加圧する加熱加圧処理の後、被加圧面を冷却し、前記ベルト部材から、前記インクジェット記録媒体を冷却剥離することを特徴とするインクジェット記録方法。
    Figure 0004064909

    [一般式(M−II)において、Z1はハメットの置換基定数σp値が0.20以上の電子求引性基を表し、Z2は、水素原子、脂肪族基、芳香族基、又は複素環基を表し、Qは、水素原子、脂肪族基、芳香族基、又は複素環基を表す。
    1、及びR2は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環オキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(複素環アミノ基、アニリノ基を含む)、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、複素環スルホニルアミノ基、ニトロ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、複素環スルホニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、複素環スルフィニル基、スルファモイル基、スルホ基、又は複素環チオ基を表し、R3及びR4は、各々独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はスルファモイル基を表し、R5及びR6は、各々独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はスルファモイル基を表す]
    Figure 0004064909


    [一般式(C−II)において、X11〜X14は、それぞれ独立に−SO−Z、−SO2−Z、−SO2NR12、スルホ基、−CONR12、又は−CO21を表し、Y11〜Y18は、それぞれ独立に一価の置換基を表す。Mは、水素原子、金属原子又はその酸化物、水酸化物もしくはハロゲン化物を表す。a11〜a14は、各々X11〜X14の置換基数であり、それぞれ独立に1又は2の整数を表す。また、Zは、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換の複素環基を表す。R1及びR2は、それぞれ独立に水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換の複素環基を表す]
  2. 前記インク受容層が熱可塑性樹脂を含む請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  3. 前記インクジェット記録媒体の前記インク受容層が設けられた側の最表層が熱可塑性樹脂を含む請求項1又は2に記載のインクジェット記録方法。
  4. 前記加熱加圧処理により、前記熱可塑性樹脂を造膜させて保護層を形成する請求項2又は3に記載のインクジェット記録方法。
  5. 前記支持体が、基体と該基体の片面又は両面に設けられるポリオレフィン樹脂層とを含む請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  6. 前記加熱加圧処理は、フルオロカーボンシロキサンゴムを含む層が設けられた部材を用いて、前記層の表面を前記インクジェット記録媒体の記録面側の表面に接触させて行なわれる請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  7. 前記加熱加圧処理は、シリコーンゴムを含む第1層とフルオロカーボンシロキサンゴムを含む第2層とが順に積層された部材を用いて、前記第2層の表面を前記インクジェット記録媒体の記録面側の表面に接触させて行なわれる請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  8. 前記フルオロカーボンシロキサンゴムが、主鎖にパーフルオロアルキルエーテル基及び/又はパーフルオロアルキル基を有する請求項6又は7に記載のインクジェット記録方法。
  9. 請求項1〜のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法により得られたことを特徴とするインクジェット画像。
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