JP4060131B2 - 有機化層状無機化合物及びそれが分散した熱可塑性樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

有機化層状無機化合物及びそれが分散した熱可塑性樹脂組成物の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、乾燥工程を必要としない有機化層状無機化合物の製造方法及びその有機化層状無機化合物を分散させた熱可塑性樹脂組成物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、熱可塑性樹脂中に、層状無機化合物をナノオーダーで分散させてなるナノコンポジットが提案され、注目されている。このナノコンポジットは、従来の無機フィラーを充填した複合材料に比較して、少量の無機フィラーによって、より高い弾性率や耐熱性を付与し得る。さらに、軽量化が可能であると共に、ガラス繊維の代替も可能であって、リサイクルも容易になり、環境問題からも注目されている。また、ガスバリヤー性や難燃性も付与されることが報告されている。
【0003】
しかしながら、熱可塑性樹脂中に、層状無機化合物をナノオーダーで分散させることは容易ではなく、これまで様々に工夫した技術が提案されている。例えば、層状無機化合物に、四級アンモニウム塩等に代表される有機カチオンをインターカレーションし、有機化した後、層間にモノマーを取り入れ、重合させる方法(特開昭63−215775号公報)、有機化された層状無機化合物を有機溶媒に分散させると共に、熱可塑性樹脂を溶媒に溶解させ、両者を溶液混合する方法(特開平6−93133号公報)、有機化された層状無機化合物を有機溶媒に分散させ、熱可塑性樹脂が溶融しているところに注入し、混練する方法(特開平8−302062号公報)、有機化された層状無機化合物を用い、特定の条件で溶融混練する方法(特開平9−217012号公報)、有機化された層状無機化合物と官能基を有するオリゴマーを混練したのち、さらに樹脂と混練する方法(特開平10−182892号公報)、層状無機化合物を水に膨潤させたもの若しくは有機化された層状無機化合物を有機溶媒に膨潤させたものを、樹脂と共に特定条件の下で混練する方法(特開平9−183910号公報)等が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの方法で使用される有機化された層状無機化合物は、層状無機化合物を、25〜50倍量の水に分散させた後、有機化剤を加え、層間にインターカレーションした後、脱水、乾燥、粉砕することにより作製されることが一般的であった。そのため、プロセスが多くあると共に、多量の水を乾燥する必要があり、コストが非常に高くなる問題があった。
また、一旦、乾燥するため、有機化層状無機化合物が強固に凝集し、熱可塑性樹脂への分散性が低下する問題もあった。熱可塑性樹脂との混練によって、有機化層状無機化合物の層間が、幾分広がるものの、まだX線回折で層間距離が測定される程度であり、ナノ分散が不十分であった。そのため、再粉砕を必要としたり、熱可塑性樹脂に分散させるために強いせん断を加えたり、混練機を選択する必要があった。
一方、乾燥工程を経ずに、熱可塑性樹脂と多量の水等を含む、溶媒含有クレイスラリーを二軸押出機に直接投入すると、樹脂の吐出量が大幅に減少するため生産性に問題があった。
従って、本発明は、前述の問題を鑑み、簡単な製法で安価に、ナノコンポジットを製造するのに適した有機化層状無機化合物を製造する方法を提供することを目的とする。さらに、この有機化層状無機化合物を使用した熱可塑性樹脂組成物の製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前述の問題点を解決するために、鋭意検討した結果、流動状態にした層状無機化合物の粉末に、溶媒、有機化剤を添加すると、インターカレーションが容易に起こり、層間の広がった有機化層状化合物を製造できることを見出し、また、この方法で製造した有機化層状化合物は、乾燥工程を経ていないため、熱可塑性樹脂に対し分散性が良いことを見出し、本発明を完成させた。
【0006】
本発明の一態様によれば、撹拌装置を用いて、膨潤性層状無機化合物を含む粉末100重量部と、溶媒と混合した有機化剤又は溶融状態の有機化剤1〜100重量部を、撹拌混合して、有機化処理を終了した後、撹拌装置から、最大長径が10mm以下の粒状又は粉末の有機化層状無機化合物を取り出すことを特徴とする、有機化層状無機化合物の製造方法が提供される。
【0007】
この方法では、有機化処理した後、脱溶媒工程(例えば、濾過や遠心分離)や乾燥工程にかけることなく、そのまま樹脂とブレンドして、押出機や射出成形機等により成形できる点で非常に実用性に優れている。
この方法では、有機化層状無機化合物の最大長径が10mm未満の、粒状又は粉末の有機化層状無機化合物が得られる。最大長径が10mm以上では、押出機や射出成形機での成形が非常に困難になる。好ましくは、0.01mm〜5mm以下、特に好ましくは、0.1mm〜3mmである。
【0008】
また、本発明の別の態様によれば、上記の製造方法で得られた有機化層状無機化合物を、熱可塑性樹脂と溶融混練して、有機化層状無機化合物を分散させることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物の製造方法が提供される。
【0009】
【発明の実施の態様】
以下、本発明の有機化層状無機化合物の製造方法、及び、熱可塑性樹脂組成物の製造方法について、詳細に説明する。
初めに、本発明の有機化層状無機化合物の製造方法について説明する。
【0010】
本発明においては、膨潤性層状無機化合物を含む粉末を使用する。
ここで、膨潤性層状無機化合物とは、溶媒、有機化剤を吸収して膨張する層状無機化合物である。膨張性がないと層状無機化合物の層間が拡張しないため、ナノコンポジットを形成することができない。
膨潤性層状無機化合物を含む粉末とは、精製された層状無機化合物からなる粉末、粗精製の層状無機化合物又は原石を粉砕・分級した層状無機化合物からなる粉末等である。粗精製あるいは、粉砕・分級した層状無機化合物には、層状無機化合物の他に、シリカ等の不純物を含む。
粗精製の粘土(層状無機化合物)を精製するためには、大容量の槽に粘土と大量の水を入れてよく撹拌した後、遠心分離機にかけて、不純物が溶けた部分を除去する工程を繰り返す。
この粉末は、層状無機化合物を少なくとも50重量%以上、好ましくは70重量%以上であり、精製度が高い分は何の問題もないが、本発明においては、精製工程を省くために精製度を50〜95重量%にしても、充分に有機化された層状無機化合物が得られる。
粉末に含まれる層状無機化合物が50重量%未満のときは、無機フィラーとして熱可塑性樹脂に配合する際に、配合量を多くせざるを得ない。その結果、アスペクト比が非常に大きいため、少量の配合で物性を著しく改善でき、軽量で高物性な熱可塑性樹脂組成物を得られる、というメリットが小さくなる。
粉末とは、例えば、粒径が50μm程度以下であり、撹拌し得るものである。
また、粉末には、長径が1mm以下の、いわゆる粒状も含む。好ましくは、500μm以下である。1mmを超えると有機化されていない膨潤性無機化合物が多くなる。
【0011】
膨張性層状無機化合物の例としては、主に粘土鉱物、具体的には、層状構造をもつケイ酸塩鉱物等で、多数のシート(例えば、ケイ酸で構成される四面体シート、AlやMg等を含む八面体シート等)が積層された層状構造を有する物質である。このようなものとしては、例えば、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、パイデライト、スティブンサイト、ノントロナイト、バーミキュライト、ハロイサイト、マイカ、フッ素化マイカ、カオリナイト、パイロフィロライト等が挙げられ、これらは天然品であっても、合成品であってもよい。また、リン酸ジルコニウム、フッ素処理した膨潤性マイカ等も用いることができる。これは一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの層状無機化合物のうち、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、フッ素処理した膨潤性マイカが好ましく、モンモリロナイト、前記膨潤性マイカがより好ましい。
【0012】
この膨潤性層状無機化合物を含む粉末100重量部を、撹拌槽内で撹拌しながら、有機化剤1〜100重量部を投入し、撹拌混合する。
有機化剤の量が100重量部を超えても、配合量のわりには、有機化の割合は殆ど向上しないため、経済的に不利になり、1重量部未満では、有機化が進行しないため、層状化合物の層間は広がらない。好ましくは20〜90重量部、より好ましくは30〜80重量部混合する。
【0013】
有機化剤としては、例えば、分子量が10〜100,000の有機化合物を用いることができる。分子量が10より小さい化合物では、層状無機化合物の層間が広がらず、熱可塑性樹脂と混練してもナノ分散しないおそれがあり、100,000より大きい化合物では、層状無機化合物の層間が広がり難くなるおそれがある。
このような有機化剤としては、例えば(1)層状無機化合物表面と親和性のある官能基を有する化合物、(2)スルホン酸の金属塩、ホスホン酸の金属塩、カルボン酸の金属塩、(3)オニウム塩等の中から選ばれる少なくとも一種を挙げることができる。これらの有機化剤は、層状無機化合物を分散させる作用(熱可塑性樹脂中に層状無機化合物を、均質にかつ微細に分散させる)も十分に発揮することができる。
【0014】
前記(1)の化合物における官能基の例としては、ハロゲン原子、酸無水物基、カルボン酸基、水酸基、チオール基、エポキシ基、エステル基、アミド基、ウレア基、ウレタン基、エーテル基、チオエーテル基、スルホン酸基、ホスホン酸基、ニトロ基、アミノ基、オキサゾリン基、イミド基、シアノ基、イソシアネート基等が挙げられる。また、ベンゼン環、ピリジン環、ピロール環、フラン環、チオフェン環等の芳香環が挙げられる。
【0015】
前記(2)の化合物の具体例としては、ドデシルスルホン酸ナトリウム等のアルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルアリールスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアリールスルホン酸塩、ドデシルホスホン酸ナトリウム等のアルキルホスホン酸塩、アルキルベンゼンホスホン酸ナトリウム等のアルキルアリールホスホン酸塩、ベンゼンホスホン酸ナトリウム等のアリールホスホン酸塩、ドデシルカルボン酸ナトリウム等のアルキルカルボン酸塩、アルキルベンゼンカルボン酸ナトリウム等のアルキルアリールカルボン酸塩、ベンゼンカルボン酸ナトリウム等のアリールカルボン酸塩等が挙げられる。また、金属塩における金属としては、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム等が好ましい。
【0016】
前記(3)のオニウム塩の具体例としては、オクチルアンモニウムクロリド、オクチルアンモニウムブロミド、ドデシルアンモニウムクロリド、ドデシルアンモニウムブロミド、ジメチルステアリルアンモニウムクロライド、オクタデシルアンモニウムクロリド、オクタデシルアンモニウムブロミド、アミノドデカン酸塩等のアンモニウム塩、ホスホニウム塩等が挙げられる。
【0017】
有機化剤は、溶媒と混合した状態又は溶融状態で、撹拌装置内に投入される。
ここで、溶媒と混合した状態とは、溶媒に有機化剤が溶解している状態、溶媒が有機化剤に染み込んでいる状態を含む。溶媒と有機化剤を混合状態にする方法としては、溶媒と有機化剤を予め別の装置内で合わせて混合しても良く、攪拌装置内の膨潤性層状無機化合物に溶媒を添加した後に、有機化剤を添加する。又はその反対に、有機化剤を該粉末に添加した後、溶媒を添加することで、結果として、溶媒と有機化剤が混合状態になっておればよい。
溶媒と混合するときは、溶媒1〜50重量部、好ましくは2〜30重量部、より好ましくは3〜20重量部に混合させる。溶媒の量が50重量部を超えると、得られる有機化層状無機化合物の脱水、乾燥工程が必要になるため、製造効率が非常に低下し、また、1重量部未満では有機化が進行しない。
溶媒は、特に限定されないが、プロトン供与体を含む溶媒、極性溶媒が使用できる。例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、ジエチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノアセチレート、エチレングリコールジアセチレート、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。これらは一種を単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよいが、水、アルコールが好ましく、特に水が好適である。尚、水又はプロトン供与体を含む溶媒は、本発明の目的が損なわれない範囲で、所望により水又はプロトン供与体以外の溶媒を含んでいてもよい。
また、溶融状態で混合するときは、液状のものはそのまま、又は加熱等させて溶融させる。
【0018】
有機化した層状無機化合物を、熱可塑性樹脂中に分散しやすくするために、分散剤を使用することもできる。この場合、分散剤の量は上記粉末の0.01重量部〜10重量部、好ましくは0.1〜8重量部、より好ましくは0.5〜5重量部である。
0.01重量部未満では分散剤としての効果を発揮し得ず、10重量部を超えて添加すると、熱可塑性樹脂の耐熱性低下の原因となり好ましくない。
分散剤は、有機化した後の層状無機化合物に配合してもよく、樹脂との混練時に加えてもよい。また、粉末に有機化剤を混合するときに、別途加えてもよい。
【0019】
分散剤としては、タルク、炭酸カルシウム、ガラス繊維等の公知の無機フィラーが、熱可塑性樹脂内に、良好に分散するものであれば特に限定はない。例えば、ステアリン酸,ステアリン酸マグネシウム,ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸エステル及び脂肪酸エステルの金属塩等が挙げられる。
【0020】
撹拌装置としては、撹拌装置付きの槽であれば、特に限定されず、例えば、高速ミキサー、ニーダー等が使用できる。
撹拌装置に、膨潤性層状無機化合物を含む粉末を投入し、撹拌させて流動状態にし、溶媒と混合した状態又は溶融状態の有機化剤を混合して有機化層状無機化合物を得る。
有機化層状無機化合物とは、層状無機化合物の層間に有機化剤が挿入され、層間が開いた状態の層状無機化合物である。
有機化層状無機化合物は、層間が、好ましくは10Å以上、より好ましくは15Å以上、特に好ましくは20Å以上広がっている。
層間が10Å未満では熱可塑性樹脂と混合して、混練しても、充分に層状無機化合物が剥離、分散しないため、得られる熱可塑性樹脂組成物の物性が劣るものとなる。
尚、層間距離は、X線回折(Cu−Kα線を使用、Scanning速度1°/分、2θ=0.8°〜20°の範囲)により測定する。
【0021】
有機化層状無機化合物は、後に続く工程でのハンドリングのしやすさ等のため、造粒することも可能である。造粒物の大きさは、好ましくは、平均長径が0.01〜10mm、より好ましくは0.05〜5mm、さらに好ましくは、0.1〜3mmである。0.01mm未満の場合は、ハンドリングしにくくなり、10mmを超える場合は、押出機における噛み込みが悪くなり、分散不良の原因となる。
【0022】
上記の有機化層状無機化合物の製造方法では、多量の水を使用していないので、乾燥工程を必要とせず、ドライプロセスで製造できる。即ち、上記の製法で得られる有機化層状無機化合物は、混合後の脱水工程、乾燥工程、再粉砕工程が不要であるため、製造工程の大幅な合理化が可能となる。また、乾燥して粉体同士が強固に固着することが無いため、熱可塑性樹脂に対する分散性が良好である。
熱可塑性樹脂と混練しても押出機の噛み込み性も良好で、水分等による熱可塑性樹脂組成物の製造効率の低下が少ない。よって、ナノコンポジットの製造に適したものであるといえる。
【0023】
次に、本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法について説明する。
上記の有機化層状無機化合物は、熱可塑性樹脂に対する分散性が良好なため、そのまま熱可塑性樹脂とブレンドして、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、各種ニーダー等を使用して混練してもよい。
公知の有機化層状無機化合物の製造方法では、有機化に多量の溶媒を用いるため、有機化終了後に乾燥する必要がある。一度溶媒を大量に含んだ粘土を乾燥すると、おこしのような塊になるので、粉砕する必要があり、本発明の有機化層状無機化合物のように、粉砕しなくても、そのまま樹脂とブレンドすることは非常に困難である。
また、押出機内で、層状無機化合物の有機化及び熱可塑性樹脂との混練を同時に行う方法、即ち一見、有機化層状無機化合物と熱可塑性樹脂を直接ブレンドする方法に比べても、吐出量が減少するデメリットは小さくなる。
【0024】
また、上述したように、有機化層状無機化合物を造粒した後、熱可塑性樹脂組成物に分散させてもよい。
少量でも溶媒が存在すると支障がある樹脂や成形方法に、本発明の製造方法で得られた、有機化層状無機化合物を使用する場合には、有機化層状無機化合物を乾燥した後に、樹脂とブレンドして成形してもよい。この場合でも乾燥時間が短かいため、製造効率がよい。
【0025】
有機化層状無機化合物を分散させる熱可塑性樹脂は、特に限定されず、あらゆる熱可塑性樹脂に分散させて、ナノコンポジット等の組成物を製造できる。例えば、ポリオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリフェニレンスルファイド系樹脂、又はポリカーボネート系樹脂等の熱可塑性樹脂に好適に分散させることができる。
【0026】
好ましくは、ベースレジンに選択した熱可塑性樹脂と、その熱可塑性樹脂をマレイン酸、無水マレイン酸、アクリル酸、アクリル酸誘導体等に代表される不飽和カルボン酸及びその誘導体やオキサゾリンで変性した樹脂を使用することである。より典型的な例は、ポリプロピレンと無水マレイン酸変性ポリプロピレンの併用である。
酸付加量(変性率)は、変性樹脂の重量を100重量%として、0.5重量%以上が好ましく、特に1重量%以上が好ましい。酸付加量が0.5重量%未満の場合、変性樹脂の添加量を多くする必要があり、耐熱性、剛性が低下する恐れがある上、コストアップになる。
変性樹脂が、変性ポリプロピレンの場合は、熱可塑性樹脂組成物の耐熱性低下を防ぐために、変性ポリプロピレンの融点が150℃以上、好ましくは155℃以上あることが好ましい。
【0027】
このような熱可塑性樹脂組成物は、ドアトリム、インパネ等の自動車内装材、ミラーカバー、ホイールキャップ、バンパー等の自動車外装材、浴室パネル、電気・OA製品のハウジング、電気・電子部品のハウジング、基板等の様々な用途に使用できる。
【0028】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0029】
実施例1
[有機化層状無機化合物の製造]
層状無機化合物として、モンモリロナイトを90重量%含む粉末(粘土原石を粉砕、分級したもの)100重量部を高速ミキサー(川田製作所製、スーパーミキサー)に投入し、撹拌速度800rpmで撹拌しながら、ジメチルジステアリルアンモニウムクロライド60重量部、水10重量部を投入し、30分間撹拌した。その後、有機化モンモリロナイトを回収した。
粉末中の原料のモンモリロナイトの層間をX線回折で測定した結果、層間は14Åであった。
本実施例による有機化モンモリロナイトの層間をX線回折で測定した結果、インターカレーションにより、層間が32Åに拡大していることが分かった。
【0030】
[熱可塑性樹脂組成物の製造]
この有機化モンモリロナイト8重量部と、MI=30のポリプロピレン(出光石油化学社製、J−3000GP)65重量部と、酸付加量2.3重量%、融点が154℃のマレイン酸変性ポリプロピレン(MI=300g/10分:230℃−2.16kg荷重)30重量部を混合した後、二軸押出機(TEM35B、東芝機械製)を用い、180℃にして、吐出量50kg/hで混練を行い、熱可塑性樹脂組成物のペレットを得た。
【0031】
この熱可塑性樹脂組成物を、射出成形機により成形加工し、2mm厚みの板状成形品を作製した。当該サンプルをスムーズに射出成形できたことから、射出成形においても良好な流動性を持つことが判った。
この熱可塑性樹脂組成物中の、層間が広がったモンモリロナイトの層間をX線回折で測定した。この結果、2θ=6°〜8°のd(001)面のピークが消滅したことより、層間距離が50Åを超えているのが分かった。
【0032】
実施例2
[有機化層状無機化合物の製造]
層状無機化合物として、実施例1と同じ、モンモリロナイトを90重量%含む粉末100重量部を高速ミキサーに投入し、撹拌速度800rpmで撹拌しながら、ステアリン酸3重量部、オクタデシルジメチルエチルアンモニウムエトサルフェート40重量部、エタノール10重量部を投入し、30分間撹拌し、有機化モンモリロナイトを製造した。
この有機化モンモリロナイトの平均長径は0.5mmであった。
得られた有機化モンモリロナイトのX線回折の結果、インターカレーションにより層間が38Åに拡大した有機化モンモリロナイトが、形成されていることが分かった。
【0033】
[熱可塑性樹脂組成物の製造]
この有機化モンモリロナイト16重量部と、MI=10のブロックポリプロピレン(出光石油化学社製、J−750HP)60重量部と、実施例1と同じマレイン酸変性ポリプロピレン30重量部を混合した後、実施例1と同様にして、熱可塑性樹脂組成物を得た。
上記熱可塑性樹脂組成物を射出成形機により成形したところ、サンプルをスムーズに射出成形できたことから、射出成形においても良好な流動性を持つことが分かった。
このサンプルを、実施例1と同様にX線回折を行った結果、層間距離が50Åを超えているのが分かった。
【0034】
比較例1
有機化しないモンモリロナイト(クニミネ工業社製、クニピアF)5重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして熱可塑性樹脂組成物を製造した。
得られた熱可塑性樹脂組成物のX線回折の結果、モンモリロナイトの層間は14Åであり、全く拡大していないことが確認できた。
【0035】
比較例2
水を3000重量部用いた以外は、実施例1と同様に撹拌して有機化モンモリロナイトを製造した。
遠心分離機にかけて大部分の水を除き、完全に乾燥させた。有機化モンモリロナイトは塊状であり、粉砕しないと熱可塑性樹脂と混合して溶融混錬できない状態であった。
粉砕した有機化層状無機化合物を実施例1と同様にして、層間を測定した結果、32Åであった。層間は実施例1と差がなかったが、ハンドリング性と、製造手間(操作、時間、費用)がかかるため、実施例1より劣った。
また、これを用いて実施例1と同様にポリプロピレン樹脂組成物のペレットを作製し、そのペレットを用いて板状成形体に射出成形した。実施例1とは異なり、成形体に分散不良があることが、目視で確認できた。
【0036】
比較例3
層状無機化合物を有機化すると同時に熱可塑性樹脂組成物を製造した。
[有機化層状無機化合物と熱可塑性樹脂組成物の製造]
実施例1で用いたMI=30のポリプロピレン90重量部と、ジメチルジステアリルアンモニウムクロライド6重量部と、比較例1で用いたモンモリロナイト7重量部と、水50重量部を混合し、二軸押出機のホッパーに供給し、200℃で混練を行い熱可塑性樹脂組成物を得た。実施例1と比較し、押出機内に水が溜まり、そのため吐出量は1/2に低下した。
得られた熱可塑性樹脂組成物のX線回折の結果、モンモリロナイトの層間は31Åであり、有機化したモンモリロナイトの層間と同じであり、それ以上、拡大していないことが確認できた。電子顕微鏡観察の結果、モンモリロナイトは、熱可塑性樹脂組成物の全体に分散していた。
【0037】
実施例3
[熱可塑性樹脂組成物の製造]
実施例1で製造した造粒化した有機化モンモリロナイト8重量部と、シンジオタクチックポリスチレン(出光石油化学社製、ザレック130ZC)(以下、SPSという。)60重量部と、グラフト率2.7重量%のフマル酸グラフト変性ポリフェニレンオキシド35重量部を混合後、単軸押出機にて、280℃、吐出量40kg/hで混練を行い、熱可塑性樹脂組成物を得た。
分散は良好で、X線回折の結果から、モンモリロナイトの層間は50Å以上広がった状態であった。
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、簡単な製法で安価に、ナノコンポジットを製造するために、適した有機化層状無機化合物の製造をすることが可能となり、さらに上記有機化層状無機化合物を使用し、物性の改善された熱可塑性樹脂組成物の製造が可能となる。

Claims (8)

  1. 撹拌装置を用いて、
    膨潤性層状無機化合物を含む粉末100重量部と、
    溶媒1〜50重量部と有機化剤1〜100重量部を、
    撹拌混合して、有機化処理を終了した後、
    前記撹拌装置から、最大長径が10mm以下の粒状又は粉末の有機化層状無機化合物を取り出し、乾燥工程を含まないことを特徴とする有機化層状無機化合物の製造方法。
  2. 前記膨潤性層状無機化合物を含む粉末が、膨潤性層状無機化合物を50重量%以上含むことを特徴とする請求項1記載の有機化層状無機化合物の製造方法。
  3. 前記溶媒が、前記膨潤性層状無機化合物を含む粉末の1〜20重量部であることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機化層状無機化合物の製造方法。
  4. さらに、分散剤を前記膨潤性層状無機化合物を含む粉末の0.01〜10重量部を加えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の有機化層状無機化合物の製造方法。
  5. 前記有機化層状無機化合物の層間を、10Å以上広げることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の有機化層状無機化合物の製造方法。
  6. 前記有機化層状無機化合物を、造粒することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の有機化層状無機化合物の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の製造方法で得られた有機化層状無機化合物を、熱可塑性樹脂と溶融混練して、前記有機化層状無機化合物を分散させることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  8. 前記熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリフェニレンスルファイド系樹脂、又はポリカーボネート系樹脂であることを特徴とする請求項7に記載の熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
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