JP4057965B2 - ワイヤロープ締結金具 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、交差する2本のワイヤロープを、その交差部において相互に固定するためのワイヤロープ締結金具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、浮き石が点在する斜面では、落石を防止するために、多数のワイヤロープを縦横に張り巡らし、浮き石を押さえ込む、という落石防止工法が施工されることがある。その場合、縦横のワイヤロープは、その交差部において相互に固定される。
【0003】
そのように交差するワイヤロープをその交差部において固定するためのワイヤロープ締結金具としては、特許文献1に記載されているようなクロスクリップが知られている。そのクロスクリップは、図19に示すように、基板01と、その基板01に小間隔をおいて取り付けられる一対のUボルト02,02と、そのUボルト02に螺合されるナット03,03…とからなり、例えば横方向のワイヤロープ04を一対のUボルト02,02間に配置するとともに、縦方向のワイヤロープ05を、横方向のワイヤロープ04上を通りかつUボルト02,02内に挿通されるように配置して、そのワイヤロープ05をUボルト02,02により締め付けるようにしたものである。
【0004】
また、上述のような落石防止工法においては、各ワイヤロープを、その交差部において相互に固定するのみでなく、その交差部を地面に固定することも必要となる。そのように各ワイヤロープを交差部において相互に固定するとともにその交差部を地面に対しても固定するワイヤロープ締結金具としては、特許文献2に記載されているようなクロスアンカークリップが知られている。そのクロスアンカークリップは、両端部に孔部を有する受け座金と押さえ座金とからなり、その受け座金と押さえ座金との間にワイヤロープの交差部を挟んで、一方の孔部にアンカーボルトの上端部を、また、他方の孔部にボルトを挿通させ、それぞれナットにより締め付けるようにしたものである。受け座金及び押さえ座金には、それぞれワイヤロープの一方を通すロープ溝が設けられる。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−27123号公報(第3ページ、図3)
【特許文献2】
特開2001−226961号公報(第5ページ、図13,14)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に示されているようなクロスクリップでは、図19から明らかなように、上側に配置されるワイヤロープ05が、Uボルト02,02によって締め付けられることにより下側のワイヤロープ04の外周面に沿って強く湾曲するので、ワイヤロープ05の素線が断線するという問題がある。
【0007】
一方、特許文献2に示されているようなクロスアンカークリップでは、交差するワイヤロープが板状の受け座金と押さえ座金との間で挟み付けられるのみであるので、ワイヤロープの回転や滑りを防ぐことができず、その交差部の安定した保持固定がなされないという問題がある。ワイヤロープは、張力がかかると撚りが伸びて細くなるので、単にロープ溝を設けるのみでは、ワイヤロープを固定することはできない。ロープ溝を浅くしておいて、受け座金と押さえ座金との締め付け力を強くすればよいが、そのようにすると、ワイヤロープがつぶれて損傷してしまう。
【0008】
本発明は、上述のような事情に鑑みてなされたもので、ワイヤロープを損傷させることなく、ワイヤロープの交差部を安定して保持固定することのできる、ワイヤロープ締結金具を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本請求項1記載の発明は、連結用孔部を有し、その連結用孔部を利用して互いに締め付けることによりワイヤロープの交差部を両面側から挟み付ける受け座金と押さえ座金とからなり、それら受け座金及び押さえ座金の互いに対向する面に、それぞれ前記ワイヤロープの一方を通す第1のロープ溝が設けられるとともに、そのロープ溝の長手方向中央部に、その内側面から突出する突出部が設けられていることを第1の特徴とする。
【0010】
かかる第1の特徴によれば、受け座金及び押さえ座金にそれぞれ設けられるロープ溝の内側面に突出部が形成されているので、そのロープ溝に通されるワイヤロープに張力が加えられたとき、ロープ溝の内側面に形成されている突出部がワイヤロープに食い込むようになり、ワイヤロープの撚りが伸びてワイヤロープが細く変形したとしても、そのワイヤロープの回転や滑りが防止され、ワイヤロープが安定して保持固定されるようになる。その結果、ワイヤロープに加える締め付け力を強くする必要がなくなるので、ワイヤロープの損傷を防止することができる。
【0011】
また、本請求項2記載の発明は、上記第1の特徴に加えて、前記受け座金及び押さえ座金の各対向面に、それら受け座金及び押さえ座金の他方に向かって突出する突起部が設けられていることを第2の特徴とする。
【0012】
かかる第2の特徴によれば、受け座金と押さえ座金とを互いに締め付けるとき、受け座金及び押さえ座金にそれぞれ設けられている突起部がワイヤロープを押さえ付けるため、ワイヤロープの保持固定が安定する。
他方の座金に当接することによってそれ以上の締め付けが阻止されるので、ワイヤロープ同士の無理な接触が防止され、その損傷が防止される。
【0013】
さらに、本請求項3記載の発明は、上記第2の特徴に加えて、前記受け座金の突起部と押さえ座金の突起部とが互いに係合するようにされていることを第3の特徴とする。
【0014】
かかる第3の特徴によれば、受け座金と押さえ座金との相対回転やずれが防止されるので、ワイヤロープ交差部の保持固定がより確実となる。
【0015】
さらにまた、本請求項4記載の発明は、上記第2あるいは第3の特徴に加えて、前記突起部の表面に、前記ワイヤロープの他方を通す第2のロープ溝が設けられていることを第4の特徴とする。
【0016】
かかる第4の特徴によれば、交差するワイヤロープのいずれもが、受け座金と押さえ座金との両方によって挟み付けられるようになるので、その保持固定がより安定する。
【0017】
また、本請求項5記載の発明は、上記第1ないし第4のいずれかの特徴に加えて、前記連結用孔部が前記受け座金及び押さえ座金の一端部に設けられるとともに、その反対側端部に、アンカーボルト挿通用の孔部が設けられていることを第5の特徴とする。
【0018】
かかる第5の特徴によれば、そのワイヤロープ締結金具をアンカーボルトに取り付けることが可能となるので、ワイヤロープをその交差部において相互に固定するのみでなく、その交差部を地面に対しても固定することが可能となる。
【0019】
さらに、本請求項6記載の発明は、上記第1ないし第5のいずれかの特徴に加えて、前記受け座金及び押さえ座金が互いに同一形状であることを第6の特徴とする。
【0020】
かかる第6の特徴によれば、受け座金と押さえ座金とを区別する必要がなくなるので、その製造コストを低減させるとともに、その組み付け作業性を向上させることができる。
【0021】
そして、本請求項7記載の発明は、前記第1の特徴に加えて、前記連結用孔部が前記受け座金及び押さえ座金の一端部に設けられるとともに、その反対側端部に、それら受け座金及び押さえ座金を互いに係合させる係合部が設けられていることを第7の特徴とする。
【0022】
かかる第7の特徴によれば、受け座金と押さえ座金とを組み付けるとき、その一方側の端部は単に係合させるのみでよくなるので、その組み付け作業が容易となる。
【0023】
また、本請求項8記載の発明は、上記第7の特徴に加えて、前記受け座金と押さえ座金とのいずれか一方に、前記ワイヤロープの他方を通す第2のロープ溝が、前記第1のロープ溝に対して段差を持って交差状に設けられるとともに、前記受け座金と押さえ座金との他方に、前記第1のロープ溝に挿入される突起が設けられていることを第8の特徴とする。
【0024】
かかる第8の特徴によれば、交差するワイヤロープのいずれもが、受け座金と押さえ座金との両方によって挟み付けられるようになるので、各ワイヤロープの保持固定がより安定するとともに、突起と第1のロープ溝との係合によって受け座金と押さえ座金との相対回転やずれが防止されるようになるので、ワイヤロープ交差部の保持固定もより確実となる。
【0025】
さらに、本請求項9記載の発明は、上記第1ないし第8のいずれかの特徴に加えて、前記受け座金と押さえ座金とが、前記連結用孔部に挿通される六角ボルトとそのボルトに螺合される六角ナットとによって互いに締め付けられるようにされており、前記受け座金及び押さえ座金の少なくとも一方の外表面の、前記連結用孔部の周囲に、前記六角ボルトあるいは六角ナットと係合する六角溝が形成されていることを第9の特徴とする。
【0026】
かかる第9の特徴によれば、連結用孔部の周囲に設けられる六角溝がボルトあるいはナットの回り止めとなるので、その締め付け作業が容易となる。その場合、締め付けのために回転させるボルト側あるいはナット側には、ワッシャを介在させるようにすればよい。
【0027】
さらにまた、本請求項10記載の発明は、上記第1ないし第8のいずれかの特徴に加えて、前記受け座金と押さえ座金とが、前記連結用孔部に挿通される段付きボルトとそのボルトに螺合される六角ナットとによって互いに締め付けられるようにされており、前記段付きボルトの頭部とねじ部との間の段部が面取りされるとともに、前記連結用孔部が、前記段付きボルトの段部が嵌合する形状に形成されていることを第10の特徴とする。
【0028】
かかる第10の特徴によれば、段付きボルトの面取りされた段部を連結用孔部に嵌合させることによってそのボルトの回り止めがなされるようになるので、受け座金と押さえ座金との締め付けにはナットを回転させるのみでよくなり、その締め付け作業が容易となる。しかも、その場合には、ワッシャを用いる必要もないので、部品点数を減らすことができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示す本発明の実施例に基づいて説明する。
【0030】
図中、図1〜18は本発明によるワイヤロープ締結金具の実施例を示すもので、図1はそのワイヤロープ締結金具を用いて落石防止工法を施工した状態を示す平面図、図2は図1の2−2線に沿う断面図、図3は図2の矢印3方向から見たクロスアンカークリップ部分の拡大平面図、図4は図3の4−4線に沿う断面図、図5はそのクロスアンカークリップの分解斜視図、図6は図4の6−6線に沿う断面図、図7は図5の矢印7方向から見た受け座金の平面図、図8は図5の矢印8方向から見た押さえ座金の底面図、図9は図7の9−9線に沿う断面図、図10はクロスアンカークリップの異なる実施例を示す図4と同様の断面図、図11は図10の11−11線方向から見たクロスアンカークリップの一部切り欠き平面図、図12は図2の矢印12方向から見たクロスクリップ部分の拡大平面図、図13は図12の13−13線に沿う断面図、図14は図12の14−14線に沿う断面図、図15は図13の15−15線方向から見た受け座金の平面図、図16は図13の16−16線方向から見た押さえ座金の底面図、図17は図15の17−17線に沿う断面図、図18は図13の18−18線方向から見たクロスクリップの一部切り欠き底面図である。
【0031】
図1及び2において、落石や崩壊が生ずるおそれのある傾斜した地面10には、その表面に、多数のワイヤロープ11,11…;12,12…が縦横に張り巡らされる。各ワイヤロープ11,11…;12,12…は、数本おきに、その両端部が主アンカー13,13によって岩盤に固定される。また、その主アンカー13によって固定された縦方向のワイヤロープ11と横方向のワイヤロープ12とは、その交差部において、クロスアンカークリップ14により、相互に固定されるとともに地面10にも固定される。一方、他のワイヤロープ11,11…;12,12…は、各交差部において、クロスクリップ15,15…により相互に固定される。これによって、縦横のワイヤロープ11,11…;12,12…からなるネットが形成され、浮き石が押さえ込まれて、落石や崩壊が防止される。ここで用いられるクロスアンカークリップ14及びクロスクリップ15が、本発明によるワイヤロープ締結金具の一例である。
【0032】
図3〜8に示すように、クロスアンカークリップ14は、受け座金16と押さえ座金17とにより構成されている。これら受け座金16及び押さえ座金17は鋳造によって成形された板状のもので、その間に縦方向のワイヤロープ11と横方向のワイヤロープ12との交差部を挟んで、互いに向かい合わせて重ねるようにして組み付けられる。
【0033】
受け座金16及び押さえ座金17の一端部には連結用孔部18,19が、また、その反対側端部にはアンカー用孔部20,21が、それぞれ設けられている。それらの孔部18,19及び20,21は、特に図7及び8から明らかなように小判形とされ、しかも、いずれも同一形状とされている。図4及び5に示すように、連結用孔部18,19には、段付きボルト22が受け座金16側から挿通され、その段付きボルト22に、押さえ座金17側から六角ナット23が螺合される。段付きボルト22は、頭部22aとねじ部22bとの間に段部22cを有するもので、その段部22cの断面は孔部18,19;20,21と同様の小判形で、それらの孔部18,19;20,21に嵌合し得るようにされている。こうして、図6に示すように、段付きボルト22の段部22cを受け座金16の連結用孔部18に嵌合させることにより、その段付きボルト22の回り止めがなされるようになっている。
【0034】
また、アンカー用孔部20,21には、下端部が地中に深く挿入されて地面10に固定されたアンカーボルト24の上端部が挿通され、そのアンカーボルト24にナット25が螺合される。このようにして、ナット23,25をそれぞれ締め付けることによって受け座金16と押さえ座金17とが互いに締め付けられ、ワイヤロープ11,12の交差部が両面側から挟み付けられるようになっている。その場合、孔部18,19;20,21が小判形とされているので、段付きボルト22及びアンカーボルト24と受け座金16及び押さえ座金17との間には比較的大きい隙間が生じることになるが、ナット23,25をきつく締め付けることによって、それらがずれることは防止される。
【0035】
図7に示すように、受け座金16には、その押さえ座金17に対向する面16aに、縦方向のワイヤロープ11を通す第1のロープ溝26が設けられている。そのロープ溝26は、受け座金16の中心Oを通り、孔部18,20の中心を結ぶ直線に対してほぼ45°の角度をなす方向に延びるものとされている。また、その受け座金16の対向面16aには、ロープ溝26の両側に、押さえ座金17側に向かって突出する突起部27,27が設けられている。各突起部27,27は、受け座金16の中心Oに関して対称な形状で、孔部18.20の中心を結ぶ直線に平行な辺とその辺に直交する辺とを有し、その表面は平面とされている。そして、その突起部27の表面に、横方向のワイヤロープ12を通す第2のロープ溝28が、第1のロープ溝26に対して直交する方向に設けられている。
【0036】
一方、図8に示すように、押さえ座金17には、その受け座金16に対向する面17aに、横方向のワイヤロープ12を通す第1のロープ溝29が設けられている。そのロープ溝29は、押さえ座金17の中心O′を通り、孔部19,21の中心を結ぶ直線に対してほぼ45°の角度をなす方向に延びるものとされている。また、その押さえ座金17の対向面17aには、ロープ溝29の両側に、受け座金16側に向かって突出する突起部30,30が設けられている。各突起部30,30は、押さえ座金17の中心O′に関して対称な形状で、孔部19,21の中心を結ぶ直線に平行な辺とその辺に直交する辺とを有し、その表面は平面とされている。そして、その突起部30の表面に、縦方向のワイヤロープ11を通す第2のロープ溝31が、第1のロープ溝29に対して直交する方向に設けられている。
【0037】
このようにして、受け座金16と押さえ座金17とを互いに向かい合わせて重ねたときには、それら受け座金16の第1のロープ溝26と押さえ座金17の第2のロープ溝31との間に縦方向のワイヤロープ11が挟まれるとともに、押さえ座金17の第1のロープ溝29と受け座金16の第2のロープ溝28との間に横方向のワイヤロープ12が挟まれて、受け座金16及び押さえ座金17の中心O,O′部分において各ワイヤロープ11,12が交差するようになっている。また、そのときには、受け座金16の突起部27,27と押さえ座金17の突起部30,30とがそれぞれ係合するようになっている。
【0038】
ここで用いられているワイヤロープ11,12は、いずれも、数本〜数10本の素線を撚り合わせて形成されたストランドsを、3本、撚り合わせたものである。受け座金16の第1のロープ溝26及び押さえ座金17の第1のロープ溝29には、その長手方向の中央部、すなわち受け座金16及び押さえ座金17の中心O,O′部分に、各ロープ溝26,29の内側面から突出する突出部26a,29aがそれぞれ設けられている。図9に示すように、その突出部26a,29aは、ロープ溝26,29の底部に向かうに従って突出量が大きくなるように傾斜したものとされている。したがって、ロープ溝26,29の底部では、その溝幅が狭くなる。その結果、各ワイヤロープ11,12を第1のロープ溝26,29にそれぞれ嵌め込むと、受け座金16及び押さえ座金17の中心O,O′部分では、各突出部26a,29aのくさび効果により、各ワイヤロープ11,12は1本のストランドsが溝底部側に位置する逆三角形となる。すなわち、縦方向及び横方向のワイヤロープ11,12の交差位置では、各ワイヤロープ11,12がそれぞれ2本のストランドs,s;s,sを介して互いに接触することになる。
【0039】
このような構成を有する受け座金16と押さえ座金17とは、全く同一の形状とされている。
【0040】
図10及び11は、クロスアンカークリップ14の異なる実施例を示すものである。この実施例は、上記実施例とはボルト・ナットの回り止めの構成が異なるのみで、他の構成は上記実施例と同様であるので、対応する部分には同一の符号を付すことにより、重複する説明は省略する。
【0041】
この実施例の場合には、受け座金16と押さえ座金17とを締め付けるボルトとして、通常の六角ボルト32が用いられている。受け座金16及び押さえ座金17に設けられる連結用孔部18,19及びアンカー用孔部20,21は、いずれも同径の円形孔とされている。そして、受け座金16及び押さえ座金17の外表面16b,17bには、孔部18,19;20,21の周囲に、六角ナット23あるいは六角ボルト32の頭部32aと係合する六角溝33,33…が形成されている。
【0042】
このような構成を有するクロスアンカークリップ14において、受け座金16と押さえ座金17とを締め付けるときには、六角ナット23あるいは六角ボルト32の頭部32aを(図示実施例の場合は六角ボルト32の頭部32aを)、連結用孔部18あるいは19の周囲に形成されている六角溝33に嵌合させた状態で、それらのボルト32とナット23とを螺合させ、六角溝33に係合していない側を回転させればよい。その場合、回転させるボルト32あるいはナット23側には、六角溝33より径の大きいワッシャ34を介在させる。また、アンカーボルト24には、同様なワッシャ34を介在させた状態でナット25を螺合させる。このようにして、この実施例の場合にも、ボルト・ナットの一方を回転させるだけで、受け座金16と押さえ座金17とを締め付けることができる。
【0043】
次に、図12〜18によりクロスクリップ15について説明する。
【0044】
これらの図に示すように、クロスクリップ15も、受け座金35と押さえ座金36とにより構成されている。これら受け座金35及び押さえ座金36は鋳造によって成形された角柱状のもので、その間に縦方向のワイヤロープ11と横方向のワイヤロープ12との交差部を挟んで互いに重ね合わせるようにして組み付けられる。
【0045】
受け座金35及び押さえ座金36の一端部には連結用孔部37,38が設けられている。また、受け座金35の反対側端部には、押さえ座金36に対向する面35aから上方に突出する鉤状の係合部39が設けられている。一方、押さえ座金36の反対側端部には、その係合部39に係合する爪状の係合部40が設けられている。こうして、図13に示すように、受け座金35の係合部39と押さえ座金36の係合部40とを互いに係合させるとともに、受け座金35及び押さえ座金36の連結用孔部37,38に受け座金35側から挿通した六角ボルト41に、押さえ座金36側から六角ナット42を螺合し、その六角ナット42を締め付けることによって、受け座金35と押さえ座金36とが互いに締め付けられ、ワイヤロープ11,12の交差部が両面側から挟み付けられるようになっている。この場合にも、六角ボルト41の回り止めのために、受け座金35の外表面35bにはその六角ボルト41が嵌合する六角溝43が形成されている(図18参照)。
【0046】
図15に示すように、受け座金35には、その押さえ座金36に対向する面35aに、縦方向のワイヤロープ11を通す第1のロープ溝44が設けられている。そのロープ溝44は、受け座金35の中心Pを通り、受け座金35の長手方向に対してほぼ45°の角度をなす方向に延びるものとされている。さらに、その受け座金35の対向面35aには、横方向のワイヤロープ12を通す第2のロープ溝45が、第1のロープ溝44に対して直交する方向に設けられている。図14に示すように、第1のロープ溝44の深さは、ワイヤロープ11の直径よりも十分に大きくされている。一方、第2のロープ溝45の深さは、ワイヤロープ12の半径よりも小さいものとされている。したがって、第1のロープ溝44と第2のロープ溝45とは、互いに段差を持って交差するようになっている。
【0047】
第1のロープ溝44には、その長手方向の中央部、すなわち受け座金35の中心P部分に、そのロープ溝44の内側面から突出する突出部44aが設けられている。図17に示すように、その突出部44aは、ロープ溝44の底部に向かうに従って突出量が大きくなるように傾斜したものとされている。したがって、ロープ溝44の底部ではその溝幅が狭くなる。その結果、ワイヤロープ11を第1のロープ溝44に嵌め込むと、受け座金35の中心P部分では、ワイヤロープ11は1本のストランドsが溝底部側に位置する逆三角形となる。
【0048】
また、図16に示すように、押さえ座金36には、受け座金35に対向する面36aに、横方向のワイヤロープ12を通す第1のロープ溝46が設けられている。そのロープ溝46は、押さえ座金36の中心P′を通り、押さえ座金36の長手方向に対してほぼ45°の角度をなす方向に延びるものとされている。さらに、その押さえ座金36の対向面36aには、ロープ溝46の両側に、受け座金35側に向かって突出し、ロープ溝46に直交する方向に延びる突起47,47が設けられている。その突起47の幅は、受け座金35に設けられている第1のロープ溝44に嵌まり込む大きさとされている。
【0049】
押さえ座金36に設けられるロープ溝46にも、その長手方向の中央部、すなわち押さえ座金36の中心P′部分に、そのロープ溝46の内側面から突出する突出部46aが設けられている。そして、その突出部46aにより、ロープ溝46の溝幅が、押さえ座金36の中心P′部分ではワイヤロープ12の1本のストランドsが通るだけの大きさとなるようにされている。
【0050】
このようにして、縦方向及び横方向のワイヤロープ11,12を、各座金35,36のロープ溝44,45;46にそれぞれ嵌め込むと、図14に示すように、それらのワイヤロープ11,12の交差位置、すなわち受け座金35及び押さえ座金36の中心P,P′部分では、各ワイヤロープ11,12がそれぞれ2本のストランドs,s;s,sを介して互いに接触するようにされている。そして、その状態で受け座金35と押さえ座金36とを互いに向かい合わせて重ねたときには、図14に示すように、受け座金35の第1のロープ溝44に押さえ座金36の突起47が挿入され、それらロープ溝44と突起47との間に縦方向のワイヤロープ11が挟まれるとともに、押さえ座金36の第1のロープ溝46と受け座金35の第2のロープ溝45との間に横方向のワイヤロープ12が挟まれるようになっている。
【0051】
次に、このように構成されたワイヤロープ締結金具、すなわちクロスアンカークリップ14及びクロスクリップ15の作用について説明する。
【0052】
クロスアンカークリップ14によりワイヤロープ11,12の交差部を固定するときには、まず、地面10に固定されているアンカーボルト24の上端部に受け座金16のアンカー用孔部20を挿通させる。そして、その受け座金16に設けられている第1のロープ溝26に縦方向のワイヤロープ11を沿わせ、そのロープ溝26の底部に向かって押し込む。すると、そのロープ溝26に設けられている突出部26aのくさび効果により、前述したように、ワイヤロープ11が回転して、受け座金16の中心O部分では3本のストランドs,s…が逆三角形の頂点に配置された状態となる。また、そのときには、ワイヤロープ11に、図7に仮想線で示すように、くの字形に屈曲させようとする力が加わる。
【0053】
その状態で、第2のロープ溝28に横方向のワイヤロープ12を沿わせる。次いで、その上に押さえ座金17を重ねる。すると、受け座金16及び押さえ座金17にそれぞれ設けられている突起部27,27;30,30が互いに係合することにより、押さえ座金17の受け座金16に対する位置決めがなされる。そのようにして押さえ座金17の受け座金16に対する位置決めが行われると、受け座金16の中心Oと押さえ座金17の中心O′とが一致し、ワイヤロープ11,12は、その中心部分O,O′部分で交差することになる。そこで、アンカーボルト24に押さえ座金17のアンカー用孔部21を挿通させるとともに、受け座金16及び押さえ座金17の連結用孔部18,19に段付きボルト22あるいは六角ボルト32を挿通する。そして、その段付きボルト22あるいは六角ボルト32及びアンカーボルト24にそれぞれナット23,25を螺合して、それらを締め付ける。その場合、前述したようにボルト22,32あるいはナット23の回り止めがなされるようにされているので、その締め付け作業は容易である。そして、その締め付けによって、ワイヤロープ11,12の交差部が受け座金16と押さえ座金17とにより両面側から挟み付けられる。
【0054】
このようにして受け座金16と押さえ座金17とを締め付けると、押さえ座金17の第1のロープ溝29に設けられている突出部29aのくさび効果により、横方向のワイヤロープ12が回転して、押さえ座金17の中心O′部分では3本のストランドs,s…が正三角形の頂点に配置された状態となる。したがって、縦方向のワイヤロープ11と横方向のワイヤロープ12とは、その交差位置においてそれぞれ2本のストランドs,s;s,sを介して互いに接触することになる。また、そのときには、ワイヤロープ12にも、くの字形に屈曲させようとする力が加わる。
【0055】
この状態で、各ワイヤロープ11,12に張力を加えると、それらのワイヤロープ11,12が、くの字形に屈曲させようとする力に抗して直線状となるので、第1のロープ溝26,29にそれぞれ設けられている突出部26a及び29aに強く押し当てられ、その突出部26a及び29aがワイヤロープ11,12にそれぞれ食い込むことになる。その結果、各ワイヤロープ11,12の撚りが伸びてそれらのワイヤロープ11,12が細く変形したとしても、その回転や滑りが防止され、ワイヤロープ11,12はその位置で確実に固定保持されるようになる。
【0056】
また、受け座金16及び押さえ座金17がアンカーボルト24に固定されるので、それらの座金16,17に挟まれて相互に固定されたワイヤロープ11,12は地面10に対しても固定されることになる。
【0057】
そして、このようにワイヤロープ11,12は受け座金16及び押さえ座金17とによって保持固定されるので、ワイヤロープ11,12同士を強く押し付け合う必要がない。また、ワイヤロープ11,12は、いずれも湾曲させることなくほぼ直線状に保たれる。したがって、ワイヤロープ11,12の素線の断線等による損傷が防止される。しかも、各ワイヤロープ11,12は、交差位置において2本のストランドs,sを介して互いに接触するようにされているので、受け座金16及び押さえ座金17により両面側からワイヤロープ11,12に伝えられる締め付け力は、その2本のストランドs,sに分散することになる。その結果、各ワイヤロープ11,12に無理な力が加わることが防止され、ワイヤロープ11,12の早期損傷が防止される。さらに、受け座金16及び押さえ座金17にはその対向面16a,17aから突出する突起部27,30が、ワイヤロープを押さ付けるためワイヤロープの保持固定が安定する。
設けられているので、受け座金16と押さえ座金17とを誤って過大な力で締め付けたとしても、その突起部27,30が対向する座金17,16に当接することによってそれ以上の締め付けが阻止される。それによって、ワイヤロープ11,12同士の無理な接触が防止され、その損傷が防止される。
【0058】
また、受け座金16及び押さえ座金17に設けられている突起部27,30が互いに係合するようにされているので、それらの座金16,17の組み付け時における位置合わせが容易となるとともに、受け座金16と押さえ座金17との相対回転やずれが防止され、ワイヤロープ11,12の交差部が確実に安定して保持固定されるようになる。
【0059】
さらに、受け座金16と押さえ座金17とが互いに同一形状とされているので、その成形のための型は一つでよくなり、製造コストを低減させることができる。また、組み付け時に受け座金16と押さえ座金17とを区別する必要がなくなるので、その組み付け作業がより容易となる。
【0060】
次に、クロスクリップ15によりワイヤロープ11,12の交差部を固定するときには、まず、ワイヤロープ11,12の交差部の下方に受け座金35を位置させ、その受け座金35に設けられている第1のロープ溝44に縦方向のワイヤロープ11を嵌め込むとともに、第2のロープ溝45に横方向のワイヤロープ12を沿わせる。次いで、その上に押さえ座金36を重ね、受け座金35の係合部39に押さえ座金36の係合部40を係合させるとともに、受け座金35及び押さえ座金36の連結用孔部37,38にボルト41を挿通して、そのボルト41に六角ナット42を螺合させる。そのようにして押さえ座金36の受け座金35に対する位置決めを行うと、受け座金35の中心Pと押さえ座金36の中心P′とが一致し、ワイヤロープ11,12はその中心P,P′部分で交差することになる。そこで、その状態で六角ボルトナット42を締め付ける。その場合にも、六角ボルト41が六角溝43に係合することによってそのボルト41の回り止めがなされるので、その締め付け作業は容易である。
【0061】
このようにして受け座金35と押さえ座金36とを互いに締め付けると、クロスアンカークリップ14の場合と同様に、各ワイヤロープ11,12は、その交差位置においてそれぞれ2本のストランドs,s;s,sを介して互いに接触することになる。また、そのときには、ワイヤロープ11,12に、くの字形に屈曲させようとする力が加わる。したがって、その状態でワイヤロープ11,12に張力を加えると、第1のロープ溝44,46に設けられている突出部44a,46aがワイヤロープ11,12にそれぞれ食い込み、各ワイヤロープ11,12はその位置で確実に固定保持される。
【0062】
また、押さえ座金36の対向面36aに設けられている突起47が受け座金35の対向面35に設けられている第1のロープ溝44に嵌まり込み、そのロープ溝44内に通されている縦方向のワイヤロープ11が押さえ座金36の突起47によって押さえ付けられるようになるので、縦方向のワイヤロープ11は受け座金35の第1のロープ溝44の内面に押し付けられる。また、横方向のワイヤロープ12は、受け座金35に設けられている第2のロープ溝45の内面と押さえ座金36に設けられている第1のロープ溝46の内面との間で挟み付けられる。したがって、それらのワイヤロープ11,12は確実に保持され、その回転や滑りが防止される。
【0063】
このようにして、ワイヤロープ11,12の交差部は、受け座金35と押さえ座金36とにより両面側から挟み付けられ、それによって各ワイヤロープ11,12が相互に保持固定される。
【0064】
そして、このクロスクリップ15においても、クロスアンカークリップ14の場合と同様に、ワイヤロープ11,12同士を強く押し付け合う必要がなく、また、ワイヤロープ11,12は、いずれも湾曲させることなくほぼ直線状に保たれるので、ワイヤロープ11,12の素線の断線等による損傷が防止される。しかも、各ワイヤロープ11,12は、交差位置において2本のストランドs,sを介して互いに接触するようにされているので、各ワイヤロープ11,12に無理な力が加わることが防止され、ワイヤロープ11,12の早期損傷が防止される。
【0065】
また、組み付け時、押さえ座金36に設けられている突起47が受け座金35に設けられている第1のロープ溝44に挿入されるようにされているので、それらの座金35,36の組み付け時における位置合わせが容易となるとともに、突起47と第1のロープ溝44との係合によって受け座金35と押さえ座金36との相対回転やずれが防止され、ワイヤロープ11,12の交差部が確実に安定して保持固定されるようになる。
【0066】
さらに、受け座金35及び押さえ座金36の一方側の端部は、単に係合部39,40を係合させるのみで連結されるようにされているので、クロスクリップ15の組み付け時におけるねじ部材の締め付け作業を減らすことができる。したがって、その組み付け作業が容易となる。
【0067】
以上、本発明の好適実施例について説明したが、本発明はその実施例に限定されることなく、本発明の範囲内で種々の実施例が可能である。
【0068】
例えば、ワイヤロープ11,12が90°以外の角度で交差する場合にも、本発明を適用することができる。その場合には、受け座金16,35及び押さえ座金17,36に設けられるロープ溝26,28…がなす角度を、ワイヤロープ11,12の交差角度に応じて変えればよい。また、使用されるワイヤロープ11,12は3ストランドのものとは限らず、6ストランドや8ストランドのものが使用される場合にも、本発明を適用することができる。その場合には、そのストランド数に応じて、第1のロープ溝26,29…に形成される突出部26a,29a…の形状を変えればよい。さらに、クロスクリップ15の受け座金35と押さえ座金36とは、その一部の構成、例えば係合部39,40やロープ溝44と突起47などを、反対側に設けるようにすることもできる。
【0069】
さらにまた、受け座金16,35と押さえ座金17,36との締め付けに段付きボルト22を用いる場合、その段付きボルト22の段部22c及びそれが挿通される連結用孔部18,19を、上記実施例のように小判形とするほか、多角形や楕円形など、種々の形状とすることができる。要はボルト22の回転が阻止されるようになっていればよく、円の一部を面取りした形状でありさえすればよい。
【0070】
【発明の効果】
以上のように、本請求項1記載の発明によれば、ワイヤロープを通すロープ溝に、その内側面から突出する突出部を形成するようにしているので、ワイヤロープに張力がかかったとき、その突出部がワイヤロープに食い込むようになり、そのワイヤロープが安定して保持固定される。その結果、ワイヤロープに無理な力を加える必要がなくなるので、ワイヤロープの損傷を防止することができる。
【0071】
また、本請求項2記載の発明によれば、受け座金及び押さえ座金の各対向面に突起部を設けるようにしているので、ワイヤロープに無理な力が加えられるおそれがなくなり、ワイヤロープの損傷をより確実に防止することができる。
【0072】
さらに、本請求項3記載の発明によれば、受け座金及び押さえ座金の各対向面に設けられる突起部が互いに係合するので、受け座金と押さえ座金との相対回転やずれが防止されるようになる。したがって、組み付け時における受け座金と押さえ座金との位置決め作業を容易化するとともに、ワイヤロープ交差部の保持固定をより確実なものとすることができる。
【0073】
さらにまた、本請求項4記載の発明によれば、突起部の表面にもロープ溝を設けるようにしているので、交差するワイヤロープを、それぞれ受け座金と押さえ座金との両方によって挟み付けることができる。したがって、ワイヤロープの保持固定をより安定化することができる。
【0074】
また、本請求項5記載の発明によれば、受け座金及び押さえ座金をアンカーボルトに固定することが可能となるので、交差するワイヤロープを相互に固定するのみでなく、その交差部を地面に対しても固定することが可能となる。
【0075】
さらに、本請求項6記載の発明によれば、受け座金と押さえ座金とを互いに同一形状のものとしているので、その製造コストを低減させるとともに、組み付け作業性を向上させることができる。
【0076】
そして、本請求項7記載の発明によれば、受け座金及び押さえ座金の一方側の端部に、それら受け座金及び押さえ座金を互いに係合させる係合部を設けるようにしているので、受け座金と押さえ座金とを組み付けるとき、その一方側の端部は単に係合させるのみでよくなり、その組み付け作業を容易化することができる。
【0077】
また、本請求項8記載の発明によれば、受け座金と押さえ座金とのいずれか一方に、ワイヤロープの他方を通す第2のロープ溝を設けるとともに、受け座金と押さえ座金との他方に、第1のロープ溝に挿入される突起を設けているので、交差するワイヤロープのいずれもが、受け座金と押さえ座金との両方によって挟み付けられるようになり、各ワイヤロープの保持固定をより安定化させることができるとともに、突起と第1のロープ溝との係合によって受け座金と押さえ座金との相対回転やずれが防止されるようになるので、ワイヤロープ交差部の保持固定もより確実化することができる。
【0078】
さらに、本請求項9記載の発明によれば、受け座金及び押さえ座金の少なくとも一方の外表面の、連結用孔部の周囲に、受け座金と押さえ座金とを締め付ける六角ボルト及び六角ナットのいずれか一方と係合する六角溝を形成するようにしているので、その六角溝がボルトあるいはナットの回り止めとなる。したがって、その締め付け作業を容易化することができる。
【0079】
さらにまた、本請求項10記載の発明によれば、受け座金と押さえ座金との締め付けに、段部が面取りされた段付きボルトを用いるとともに、そのボルトが挿通される連結用孔部を、前記段付きボルトの段部が嵌合する形状に形成するようにしているので、そのボルトの回り止めがなされるようになり、受け座金と押さえ座金との締め付けにはナットを回転させるのみでよくなる。したがって、その締め付け作業が容易化することができる。しかも、その場合には、ワッシャを用いる必要もないので、部品点数の増加を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるワイヤロープ締結金具を用いて落石防止工法を施工した状態を示す平面図
【図2】図1の2−2線に沿う断面図
【図3】図2の矢印3方向から見たクロスアンカークリップ部分の拡大平面図
【図4】図3の4−4線に沿う断面図
【図5】図3及び図4に示すクロスアンカークリップの分解斜視図
【図6】図4の6−6線に沿う断面図
【図7】図5の矢印7方向から見た受け座金の平面図
【図8】図5の矢印8方向から見た押さえ座金の底面図
【図9】図7の9−9線に沿う断面図
【図10】クロスアンカークリップの異なる実施例を示す図4と同様の断面図
【図11】図10の11−11線方向から見たクロスアンカークリップの一部切り欠き平面図
【図12】図2の矢印12方向から見たクロスクリップ部分の拡大平面図
【図13】図12の13−13線に沿う断面図
【図14】図12の14−14線に沿う断面図
【図15】図13の15−15線方向から見た受け座金の平面図
【図16】図13の16−16線方向から見た押さえ座金の底面図
【図17】図15の17−17線に沿う断面図
【図18】図13の18−18線方向から見たクロスクリップの一部切り欠き底面図
【図19】従来のワイヤロープ締結金具の一例としてのクロスクリップを示すもので、(a)は平面図、(b)は(a)のb−b線方向から見た側面図である。
【符号の説明】
11 縦方向のワイヤロープ
12 横方向のワイヤロープ
14 クロスアンカークリップ(ワイヤロープ締結金具)
15 クロスクリップ(ワイヤロープ締結金具)
16 受け座金 16a 対向面 16b 外表面
17 押さえ座金 17a 対向面 17b 外表面
18 連結用孔部
19 連結用孔部
20 アンカー用孔部
21 アンカー用孔部
22 段付きボルト
22a 頭部 22b ねじ部 22c 段部
23 六角ナット
26 第1のロープ溝 26a 突出部
27 突起部
28 第2のロープ溝
29 第1のロープ溝 29a 突出部
30 突起部
31 第2のロープ溝
32 六角ボルト 32a 頭部
33 六角溝
34 ワッシャ
35 受け座金 35a 対向面 35b 外表面
36 押さえ座金 36a 対向面
37 連結用孔部
38 連結用孔部
39 係合部
40 係合部
41 六角ボルト
42 六角ナット
43 六角溝
44 第1のロープ溝 44a 突出部
45 第2のロープ溝
46 第1のロープ溝 46a 突出部
47 突起

Claims (10)

  1. 互いに交差する2本のワイヤロープ(11,12)を、その交差部において相互に固定するためのワイヤロープ締結金具(14,15)であって、
    連結用孔部(18,19;37,38)を有し、その連結用孔部(18,19;37,38)を利用して互いに締め付けることにより前記ワイヤロープ(11,12)の交差部を両面側から挟み付ける受け座金(16,35)と押さえ座金(17,36)とからなり、
    それら受け座金(16,35)及び押さえ座金(17,36)の互いに対向する面(16a,17a;35a,36a)に、それぞれ前記ワイヤロープ(11,12)の一方(11あるいは12)を通す第1のロープ溝(26,29;44,46)が設けられるとともに、そのロープ溝(26,29;44,46)の長手方向中央部に、その内側面から突出する突出部(26a,29a;44a,46a)が設けられていることを特徴とする、ワイヤロープ締結金具。
  2. 前記受け座金(16)及び押さえ座金(17)の各対向面(16a,17a)に、それら受け座金(16)及び押さえ座金(17)の他方に向かって突出する突起部(27,30)が設けられていることを特徴とする、請求項1記載のワイヤロープ締結金具。
  3. 前記受け座金(16)の突起部(27)と押さえ座金(17)の突起部(30)とが互いに係合するようにされていることを特徴とする、請求項2記載のワイヤロープ締結金具。
  4. 前記突起部(27,30)の表面に、前記ワイヤロープ(11,12)の他方(12あるいは11)を通す第2のロープ溝(28,31)が設けられていることを特徴とする、請求項2又は3記載のワイヤロープ締結金具。
  5. 前記連結用孔部(18,19)が前記受け座金(16)及び押さえ座金(17)の一端部に設けられるとともに、その反対側端部に、アンカーボルト(24)挿通用の孔部(20,21)が設けられていることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか記載のワイヤロープ締結金具。
  6. 前記受け座金(16)及び押さえ座金(17)が互いに同一形状であることを特徴とする、請求項1ないし5のいずれか記載のワイヤロープ締結金具。
  7. 前記連結用孔部(37,38)が前記受け座金(35)及び押さえ座金(36)の一端部に設けられるとともに、その反対側端部に、それら受け座金(35)及び押さえ座金(36)を互いに係合させる係合部(39,40)が設けられていることを特徴とする、請求項1記載のワイヤロープ締結金具。
  8. 前記受け座金(35)と押さえ座金(36)とのいずれか一方(35)に、前記ワイヤロープ(11,12)の他方(12)を通す第2のロープ溝(45)が、前記第1のロープ溝(44)に対して段差を持って交差状に設けられるとともに、前記受け座金(35)と押さえ座金(36)との他方(36)に、前記第1のロープ溝(44)に挿入される突起(47)が設けられていることを特徴とする、請求項7記載のワイヤロープ締結金具。
  9. 前記受け座金(16,35)と押さえ座金(17,36)とが、前記連結用孔部(18,19;37,38)に挿通される六角ボルト(32,41)とそのボルト(32,41)に螺合される六角ナット(23)とによって互いに締め付けられるようにされており、前記受け座金(16,35)及び押さえ座金(17,36)の少なくとも一方の外表面(16b,17b;35b)の、前記連結用孔部(18,19;37,38)の周囲に、前記六角ボルト(32,41)あるいは六角ナット(23)と係合する六角溝(33,43)が形成されていることを特徴とする、請求項1ないし8のいずれか記載のワイヤロープ締結金具。
  10. 前記受け座金(16,35)と押さえ座金(17,36)とが、前記連結用孔部(18,19;37,38)に挿通される段付きボルト(22)とそのボルト(22)に螺合される六角ナット(23)とによって互いに締め付けられるようにされており、前記段付きボルト(22)の頭部(22a)とねじ部(22b)との間の段部(22c)が面取りされるとともに、前記連結用孔部(18,19;37,38)が、前記段付きボルト(22)の段部(22c)が嵌合する形状に形成されていることを特徴とする、請求項1ないし8のいずれか記載のワイヤロープ締結金具。
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