JP4057361B2 - 耐火断熱ボード - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築におけるRC造などの構造外壁に行う外断熱工事や、鉄骨造あるいは木造の外壁の外張断熱工事などに用いる耐火断熱ボードに関する。
【0002】
【従来の技術】
RC造の壁の断熱についての従来技術を整理すると、内断熱工法と外断熱工法とがある。内断熱は室内側より断熱を行う工法であるが、冬季はコンクリート躯体温度が外気温度に近似するので、熱橋部分(パラペット、バルコニー、間仕切り壁スラブ等から冷気が屋内側スラブまで伝わる部分)の屋内側のコンクリートスラブ表面温度が低温となり、表面結露の誘因となる。
【0003】
一方、外断熱ではコンクリート躯体温度は室内温度に近似するから、内断熱に比べて熱橋部分は高い温度を維持できる。また、鉄骨造では鉄骨が熱橋として存在するので、結露防止を考えるのであれば断熱材は外側に施工するしかない。
【0004】
そこで、コンクリート躯体をほとんど外側から断熱材で覆ってしまう外断熱工法に期待が集まっている。外断熱によれば、屋内結露をなくし、居住環境を改善することができ、しかも地球規模で求められている炭酸ガスの削減のための省エネルギーが容易に行えるようになる。
【0005】
しかし、従来の外断熱工法には次のような問題点があった。まず、有機系断熱材の使用が多いが、ウレタンフォームの着火温度は310℃、フェノールフォームの着火温度は520℃であり、耐火性が低い。また、無機系断熱材を使用した場合でも、グラスウールの最高使用温度は300℃、ロックウールの最高使用温度は400℃であるなど、火災安全性、構造安定性、耐久性が不十分であった。ロックウールについて言えば、400℃〜650℃で収縮して、火災時はロックウールの縮んでしまった空隙を対流電熱と輻射電熱で熱が伝わってしまう。
【0006】
建物の防火性能については、次のことが必要である。
(周囲の建物との関係で要求される防火性能)
周囲の火災による輻射熱、対流熱、飛び火、および自らの出火による噴出炎により、外装材や断熱材などが着炎し、その火災が拡大したり、滴下炎が飛散するなど周囲への延焼やその危険性を助長したり、壁体などの耐火性能を損ない倒壊などを生じて周囲に損害を与えたりしないこと。
【0007】
(建築単体として要求される防火性能)
周囲の火災による輻射熱、対流熱、飛び火、および自らの出火による噴出炎により、外装材や断熱材などが着炎し、その火災が拡大して火気が窓などから建築物内へ侵入して出火したり、その火災がさらに上階への延焼の危険性を助長したり、着火拡大して炎や煙、ガスが避難や消防活動に支障を与えたり、火熱により外装材などが剥落、爆裂などを起こして、同じく避難や消防活動に支障を与えたりしないこと。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来技術では、外壁を外側から断熱する場合に、断熱と耐火の両性能を同時に満足させながら簡単に施工することができる断熱材と施工方法は存在しなかった。すなわち、例えば特表平6−503798に示されたような組成の無機フォームが知られているが、この組成では少ない厚さで火災時の無機フォームの裏面温度を可燃物燃焼温度以下にするには不十分である。1000℃での耐火性能と低い熱還流率(k値:kcal/m2h℃)を実現するためには、無機フォーム自体が従来断熱材に比較して重く、厚くなり、釘やビス止めも難しくなる。
【0009】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたもので、優れた断熱性能と耐火性能を併有し、しかも施工が簡単な外断熱用の耐火断熱ボードを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するため、通常の火災による火熱(1000℃程度)が1時間以上あるいは2時間以上加えられた場合に、構造耐力上支障のある変形、溶融、破壊、その他の損傷を生じない非損傷性と、当該加熱面以外の面の温度が可燃物燃焼温度である平均温度で160℃を超えず、最高温度で200℃を超えない遮熱性と、亀裂その他損傷を生じて火炎を屋外にだすことのない非発炎性とを有し、しかも簡単に断熱施工を行うことができる耐火断熱ボードを得るべく鋭意検討を行った。
【0011】
本発明は、上記検討の結果なされたもので、下記(1)〜()に示す耐火断熱ボードを提供する。
(1)外断熱工法に使用される耐火断熱ボードであって、少なくとも2層からなる積層構造を有する板状またはブロック状の無機フォームの少なくとも屋外側表面に金属製部材が積層されてなるボード本体と、このボード本体から外側方に突出した状態で該ボード本体の屋内側表面部分に固定され、耐火断熱ボードを施工する際に被施工面に取り付けられるボード取付体とを具備し、かつ、他の耐火断熱ボードと接合する際に他の耐火断熱ボードのボード取付体が収納されるボード取付体収納部を屋内側表面部分に有し、少なくとも1層の無機フォームは結石性無機成分、アルカリ性領域で前記結石性成分の硬化をする水含有第2成分、耐火性付与第3成分および発泡性成分を含む成形材料を発泡させたもの(B組成の無機フォーム)であり、少なくとも1層の無機フォームは結石性無機成分、アルカリ性領域で結石性成分の硬化をする水含有第2成分および発泡性成分を含む成形材料を発泡させたもの(H組成の無機フォーム)であることを特徴とする耐火断熱ボード。
【0012】
(2)前記金属製部材が、金属板、ラス網または金網であることを特徴とする(1)の耐火断熱ボード。
【0013】
(3)前記B組成の無機フォームにおいて、結合性無機成分がアルミナセメント、メタカオリンおよびポルトランドセメントからなる群から選ばれた少なくとも1つであり、アルカリ性領域で結石性成分の硬化をする水含有第2成分が1モルのK Oおよび/またはNa O当たり1〜3モルの二酸化珪素を有する金属珪酸塩溶液であり、耐火性付与第3成分が金属水和物であり、発泡性成分が過酸化水素水であることを特徴とする(1)、(2)の耐火断熱ボード。
【0014】
(4)前記H組成の無機フォームにおいて、結合性無機成分がアルミナセメント、フライアッシュ、活性アルミナおよびポルトランドセメントからなる群から選ばれた少なくとも1つであり、アルカリ性領域で結石性成分の硬化をする水含有第2成分が1モルのK Oおよび/またはNa O当たり1〜3モルの二酸化珪素を有する金属珪酸塩溶液であり、発泡性成分が過酸化水素水であることを特徴とする(1)〜(3)の耐火断熱ボード。
【0017】
本発明の耐火断熱ボードは、無機フォームの少なくとも屋外側表面に金属製部材が積層されてなるボード本体を用いたので、無機フォームと金属製部材との相乗作用により優れた断熱性能と耐火性能を併有する。また、ボード本体から突出し、施工の際に被施工面に取り付けられるボード取付体と、他の耐火断熱ボードと接合する際に他の耐火断熱ボードのボード取付体が収納されるボード取付体収納部を設けたので、施工が簡単であると同時に取付体が耐火的に保護される。
【0018】
以下、本発明につきさらに詳しく説明する。本発明の耐火断熱ボードは、前述したボード本体、ボード取付体、ボード取付体収納部を有している。ボード本体は、板状またはブロック状の無機フォームの少なくとも屋外側表面に金属製部材が積層されたものである。金属製部材は、無機フォームの屋外側表面のみを覆うものでもよく、全面を覆うものでもよく、屋外側表面および屋内側表面のみを覆うものでもよく、屋外側表面、屋内側表面および側面の一部を覆うものでもよい。金属製部材の種類に限定はないが、例えば金属板、ラス網または金網を好適に使用することができる。また、金属製部材の材料は1000℃以上での引っ張り強度が得られる金属、例えば鉄、ステンレス、チタン等が好ましい。無機フォームについては後述する。ボード取付体は、耐火断熱ボードを施工する際に被施工面に取り付けることができるものであればよく、その材質、形状、構造等は適宜設定することができる。また、ボード取付体収納部は上記ボード取付体を収納することができる形状、構造であればよい。
【0019】
本発明の耐火断熱ボードは、例えば、板状またはブロック状の無機フォームの屋外側表面を金属板、ラス網、金網等の金属製部材で覆ったボード本体を具備するとともに、このボード本体の屋内側上端よりさらに上へひさし状にせりだした板状のボード取付体を備え、かつボード本体の屋内側下端に、下側に接合した他の耐火断熱ボードのボード取付体を収納する凹部(ボード取付体収納部)を有している。
【0020】
本発明の耐火断熱ボードをコンクリート躯体、鉄骨、木造の壁などへ取り付ける際には、ボード取付体をアンカーボルトやドライブビス等で被施工面に取り付けることができる。外壁表面の形成は、耐火断熱ボードの屋外側表面がラス網や金網の場合は、モルタルを塗ることにより壁が簡単に完成する。モルタルはラス網とだけでなく、無機フォームとも結合する。耐火断熱ボードの屋外側表面が金属板の場合には、耐火断熱ボードを被施工面に取り付けるだけで壁が完成する。この場合、ボード取付体に防水のための雨返しの役割を持たせることができる。耐火断熱ボードの屋外側表面が金属板または金網の場合には、耐火断熱ボードを全て取り付けた後に、この上へ金属板等を取り付けることによっても外壁が完成する。
【0021】
次に、無機フォームについて説明する。本発明において、無機フォームは、少なくとも2層からなる積層構造を有し、少なくとも1層の無機フォームは、結石性無機成分、アルカリ性領域で前記結石性成分の硬化をする水含有第2成分、耐火性付与第3成分および発泡性成分を含む成形材料を発泡させた耐火性能の高いもの(B組成の無機フォーム)である。無機フォームとしてB組成のものを用いた場合、B組成の無機フォームは高温時に含有する結晶水を放出し、さらに気化熱を奪うため、より優れた耐火性能、耐熱性能、断熱性能を有する耐火断熱ボードを得ることができる。
【0022】
また、上記B組成の無機フォームにおいて、結合性無機成分がアルミナセメント、メタカオリンおよびポルトランドセメントからなる群から選ばれた少なくとも1つであり、アルカリ性領域で結石性成分の硬化をする水含有第2成分が1モルのK2Oおよび/またはNa2O当たり1〜3モルの二酸化珪素を有する金属珪酸塩溶液であり、耐火性付与第3成分が金属水和物であり、発泡性成分が過酸化水素水であることが好適である。ここで、結石性無機成分にアルミナセメント、メタカオリン、ポルトランドセメントを用いているのは、アルミナセメントは硬化反応を早くする効果、ポルトランドセメントは長期の圧縮強度向上効果、メタカオリンはポゾラン反応によるポルトランドセメントの組織強化効果を有するためである。
【0023】
上記B組成の無機フォームにおける各成分の配合量は、結石性無機成分を100重量部に対し、アルカリ性領域で前記結石性成分の硬化をする水含有第2成分を150〜450重量部、耐火性付与第3成分を50〜300重量部、発泡性成分を5〜50重量部とすることが適当である。結石性無機成分100重量部に対し水含有第2成分を150〜450重量部としているのは、150重量部より少ないと硬化反応に必要なアルカリ量が不足して製造時に硬化不良が発生しやすく、450重量部を超えると得られる無機フォームの耐水性が悪くなるからである。耐火性付与第3成分を50〜300重量部としているのは、50重量部より少ないと得られる無機フォームの十分な耐火性が得られず、300重量部を超えると無機フォームが硬化しにくくなるからである。発泡性成分を5〜50重量部としているのは、5重量部より少ないと十分な発泡倍率(断熱性)が得られず、50重量部より多いと気泡の破れが多くなりすぎ、無機フォームの強度が低下するからである。
【0024】
より具体的には、B組成の無機フォームは、例えば、結合性無機成分としてアルミナセメント、メタカオリンおよびポルトランドセメントから選ばれるもの、好ましくはこれら3種全てを適宜割合で100重量部、アルカリ性領域で結石性成分の硬化をする水含有第2成分として1モルのK2Oおよび/またはNa2O当たり1〜3モルの二酸化珪素を有する金属珪酸塩溶液を150〜450重量部、耐火性を付与するための第3成分として結晶水を有する水酸化アルミニウムおよび/または結晶水を有する水酸化マグネシウムを50〜300重量部、および発泡剤として過酸化水素水(10〜20%濃度)を5〜50重量部使用して成形材料を調製し、この成形材料を発泡成形後、加熱硬化乾燥して得ることができる。
【0025】
本発明では、少なくとも1層の無機フォームは、結石性無機成分、アルカリ性領域で結石性成分の硬化をする水含有第2成分および発泡性成分を含む成形材料を発泡させた断熱性能の高いもの(H組成の無機フォーム)とする。このようにB組成の無機フォームとH組成の無機フォームとを組み合わせた場合には、B組成の無機フォームで耐火性能を向上させ、H組成の無機フォームで断熱性能を向上させることにより、無機フォームの総厚さを薄くすることができる。
【0026】
上記H組成の無機フォームにおいては、結合性無機成分がアルミナセメント、フライアッシュ、活性アルミナおよびポルトランドセメントからなる群から選ばれた少なくとも1つであり、アルカリ性領域で結石性成分の硬化をする水含有第2成分が1モルのK2Oおよび/またはNa2O当たり1〜3モルの二酸化珪素を有する金属珪酸塩溶液であり、発泡性成分が過酸化水素水(好適には10〜20%濃度)であることが適当である。ここで、結石性無機成分をアルミナセメント、フライアッシュ、活性アルミナ、ポルトランドセメントとしているのは、アルミナセメントで硬化反応を早め、ポルトランドセメントで長期の圧縮強度を確保し、フライアッシュ、活性アルミナでポゾラン反応によるポルトランドセメントの組織強化と、組成の混合時、発泡時の流動性向上を図るためである。なお、フライアッシュは火力発電所の廃材であり、産業廃棄物として処理に困っているものであるが、H組成ではこのようなフライアッシュを有効に利用することができる。
【0027】
また、H組成の無機フォームにおける各成分の配合量は、結石性無機成分を100重量部、アルカリ性領域で前記結石性成分の硬化をする水含有第2成分を100〜200重量部、発泡性成分を5〜50重量部とすることが適当である。
【0028】
本発明において、B組成の無機フォームとH組成の無機フォームとを組み合わせて無機フォームを形成する場合、例えば下記に示す積層構造を採ることができるが、これらに限定されるものではない。
▲1▼屋外側B組成、屋内側H組成よりなる2層構造
▲2▼屋外側H組成、屋内側B組成よりなる2層構造
▲3▼屋外側B組成、中央H組成、屋内側B組成よりなる3層構造
▲4▼屋外側H組成、中央B組成、屋内側H組成よりなる3層構造
【0029】
【発明の実施の形態】
次に、添付図面を参照して本発明の実施の形態を説明するが、本発明は下記例に限定されるものではない。
【0030】
参考例1)
図1は参考例1に係る耐火断熱ボードを示す斜視図である。本例の耐火断熱ボードは、四角ブロック状の無機フォーム2と、無機フォーム2を囲む四角枠形の金属製部材3とを備え、これら無機フォーム2および金属製部材3によってボード本体1が構成されている。また、ボード本体1から上方に突出した状態でボード本体1の屋内側表面上端部分に固定され、耐火断熱ボードを施工する際に被施工面に取り付けられるボード取付体4を具備する。さらに、他の耐火断熱ボードと接合する際に他の耐火断熱ボードのボード取付体4が挿入、収納されるボード取付体収納部(凹部)5を屋内側表面下端部分に有する。本例において、無機フォーム2は厚さ40mmのB組成の無機フォームからなり、金属製部材3は厚さ2mmのほうろう鋼板(金属板)からなり、ボード取付体4は厚さ5mmの鉄板からなる。
【0031】
本例の耐火断熱ボードをRC造の壁にアンカーボルトで取り付けるときには、ボード取付体4とコンクリートに孔を開けアンカーボルトを打ち込む。図4はコンクリート躯体8に下から上に耐火断熱ボードを取り付けていく図である。ただし、本例の耐火断熱ボードは、上から下に、右から左に、あるいは左から右に取り付けて行ってもよい。図5はボード取付体4を介して耐火断熱ボードをアンカーボルト9によりコンクリート躯体8に取り付けている図である。図6はボード取付体4を介して耐火断熱ボードをドリルスクリュー(ドライブビス)11により鉄骨造の鉄骨(シーチャン)10に取り付けている図である。
【0032】
図4に示すように、ボード取付体4は他の耐火断熱ボードの凹部5に嵌っている。ボード取付体4が凹部5に嵌ることにより、ボード取付体4は外からの火災時にはボード本体1により耐火的に保護される。この参考例ではこの耐火断熱ボードを壁全面に貼ることにより外装も完成する。
【0033】
本例におけるB組成の無機フォームの成形材料の組成は下記の通りである。
・結石性無機成分として
アルミナセメント 7.3重量%
メタカオリン 4.4重量%
ポルトランドセメント 2.7重量%
・アルカリ性領域内で結石性成分の硬化をする水含有第2成分として
水ガラス 40.0重量%
・耐火性能付与第3成分として
水酸化アルミニウム 23.8重量%
・発泡性成分として
過酸化水素水 3.9重量%
・無機フィラー 15.8重量%
【0034】
本例におけるB組成の無機フォームの密度は440kg/m3、熱伝導率は0.128kcal/mh℃であった。また、熱貫流率Kは3.2kcal/m2h℃であった。したがって、k=1kcal/m2h℃が必要な場合は、無機フォームは約120mmの厚さが有ればよい。次世代省エネルギー基準のK=0.5kcal/m2h℃が必要な場合は、無機フォームの厚さは約240mmあればよい。
【0035】
本例の耐火断熱ボードの耐火試験をISO−834で行った。図8のグラフは、耐火試験のISO標準加熱時間に対する試験時の実際の炉内温度と耐火断熱ボードの裏面温度を示している。この裏面温度のみをスケールを拡大して表示したものが図9のグラフである。ISOの耐火試験の合否の基準は、裏面温度の最高温度が初期温度+180℃を超えず、裏面温度の平均が初期温度+140℃を超えないことである。図9のグラフからわかるように、試験開始から60分後の耐火断熱ボードの屋内裏面の温度は100℃にもなっていない。
【0036】
また、図4、図5の使い方の場合には、実際の壁全体の裏面はコンクリート躯体の屋内側面となるため、全く問題なく合否の基準を超えることがわかる。この場合の荷重支持はコンクリート躯体が行う。10秒を超えて継続する発炎の噴出や10秒を超えて継続する発炎も生じず、遮炎性にも問題はなかった。図6の使い方の場合には、耐火断熱ボードの裏面が壁の裏面となるが、図9のグラフより全く問題はなく、鉄骨を含めた荷重支持の問題はなく、また10秒を超えて継続する発炎の噴出や10秒を超えて継続する発炎もなかった。グラフが示す通り、本例の耐火断熱ボードは、40mm厚さの無機フォームで60分の耐火性能を有している。さらに、2時間の耐火性能が必要な場合は、断熱性能の上昇に合わせて厚さを増していけばよい。
【0037】
参考例2)
図2は参考例2に係る耐火断熱ボードを示す斜視図である。本例の耐火断熱ボードは、図1に示した耐火断熱ボードにおいて、四角枠形の金属製部材3における無機フォーム2の屋外側表面を覆う部分がラス網6で形成されていること、および無機フォーム2が厚さ100mmのB組成の無機フォームからなること以外は、図1に示した耐火断熱ボードと同様のものである。本例の耐火断熱ボードをRC造の壁にアンカーボルトで取り付けるときには、ボード取付体4とコンクリートに孔を開けアンカーボルトを打ち込む。本例では、壁全面に耐火断熱ボードを貼りあげた後、ラス網6にさらにモルタルで仕上げを行う。モルタルはラス網6とばかりでなく、無機フォーム2の気泡内にも入り込み、ラス網6を中に入れた状態で無機フォーム2と強固に一体となる。
【0038】
参考例3)
図3は本発明の参考例3に係る耐火断熱ボードを示す斜視図である。本例の耐火断熱ボードは、図1に示した耐火断熱ボードにおいて、四角枠形の金属製部材3が径6mmの針金からなる溶接金網7により形成されていること、および無機フォーム2が厚さ100mmのB組成の無機フォームからなること以外は、図1に示した耐火断熱ボードと同様のものである。この耐火断熱ボードを壁に取り付けた後の仕上げは、モルタルで仕上げることもできるし、金属板をさらに貼って仕上げることもできる。
【0039】
(実施例)
図7は本発明の実施例に係る耐火断熱ボードを示す斜視図である。本例の耐火断熱ボードは、図1に示した耐火断熱ボードにおいて、無機フォーム2として、屋外側にB組成の無機フォーム12、中央にH組成の無機フォーム13、屋内側にB組成の無機フォーム12を用いた厚さ100mmの3層構造のものを使用したこと以外は、図1に示した耐火断熱ボードと同様のものである。
【0040】
本例におけるB組成の無機フォームの成形材料の組成は参考例1と同様である。また、H組成の無機フォームの成形材料の組成は下記の通りである。
・結石性無機成分として
アルミナセメント 11.0重量%
フライアッシュ 8.5重量%
活性アルミナ 5.9重量%
ポルトランドセメント 2.7重量%
・アルカリ性領域内で結石性成分の硬化をする水含有第2成分として
水ガラス 36.0重量%
・発泡性成分として
過酸化水素水 6.5重量%
・無機フィラー 24.3重量%
【0041】
本例におけるH組成の無機フォームの密度は270kg/m3、熱伝導率は0.084kcal/mh℃であった。本例では無機フォームの構成を3層としているが、その内容は屋外側にB組成20mm、中央にH組成60mm、屋内側にB組成20mmとしている。これにより、耐火断熱ボードの熱貫流率はK=0.97kcal/m2h℃と従来の省エネルギー基準を満足する値が得られている。また、例えば中央にB組成40mmを挟み、両側にH組成30mmずつとすることにより、熱貫流率をK=1kcal/m2h℃以下にすることもできる。しかし、B組成の無機フォームを両側に配した場合には、B組成内部の結晶水が放出され、気化熱を奪うため、耐火性能、断熱性能の点で本例のようにB組成の無機フォームを両側に配する方が好ましい。本例でISO−834の60分の耐火試験を行ったが、遮炎性、遮熱性、鉄骨に取り付けた場合の非損傷性(荷重支持能力)とも問題なく合格であった。
【0042】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係る耐火断熱ボードは、優れた断熱性能と耐火性能を併有し、しかも施工が簡単なものである。より具体的には、本発明に係る耐火断熱ボードは、下記に示すような効果を奏する。
▲1▼RC造の外壁、鉄骨造の鉄骨、木造の外壁などに簡単に断熱施工と仕上げを行うことができる。
▲2▼熱貫流率K=1kcal/m2h℃以下の優れた断熱性を容易に実現できる。
▲3▼ISO−834のほぼ1000℃の耐火試験に対し、60分耐火の高度な耐火性能を実現できる。また、加熱が屋内側から行われても、屋外側から行われても、同様の優れた耐火性能を示す。
【図面の簡単な説明】
【図1】参考例1に係る耐火断熱ボードを示す斜視図である。
【図2】参考例2に係る耐火断熱ボードを示す斜視図である。
【図3】参考例3に係る耐火断熱ボードを示す斜視図である。
【図4】コンクリート躯体に下から上に耐火断熱ボードを取り付けていく図である。
【図5】ボード取付体を介して耐火断熱ボードをアンカーボルトによりコンクリート躯体に取り付けている図である。
【図6】ボード取付体を介して耐火断熱ボードをドリルスクリューにより鉄骨造の鉄骨に取り付けている図である。
【図7】本発明の実施例に係る耐火断熱ボードを示す斜視図である。
【図8】耐火試験のISO標準加熱時間に対する試験時の実際の炉内温度と耐火断熱ボードの裏面温度を示すグラフである。
【図9】図8のグラフの裏面温度のみをスケールを拡大して表示したグラフである。
【符号の説明】
1 ボード本体
2 無機フォーム
3 金属製部材
4 ボード取付体
5 ボード取付体収納部
6 ラス網
7 金網
8 コンクリート躯体
9 アンカーボルト
10 鉄骨
11 ドリルスクリュー
12 H組成の無機フォーム
13 B組成の無機フォーム

Claims (4)

  1. 外断熱工法に使用される耐火断熱ボードであって、少なくとも2層からなる積層構造を有する板状またはブロック状の無機フォームの少なくとも屋外側表面に金属製部材が積層されてなるボード本体と、このボード本体から外側方に突出した状態で該ボード本体の屋内側表面部分に固定され、耐火断熱ボードを施工する際に被施工面に取り付けられるボード取付体とを具備し、かつ、他の耐火断熱ボードと接合する際に他の耐火断熱ボードのボード取付体が収納されるボード取付体収納部を屋内側表面部分に有し、少なくとも1層の無機フォームは結石性無機成分、アルカリ性領域で前記結石性成分の硬化をする水含有第2成分、耐火性付与第3成分および発泡性成分を含む成形材料を発泡させたもの(B組成の無機フォーム)であり、少なくとも1層の無機フォームは結石性無機成分、アルカリ性領域で結石性成分の硬化をする水含有第2成分および発泡性成分を含む成形材料を発泡させたもの(H組成の無機フォーム)であることを特徴とする耐火断熱ボード。
  2. 前記金属製部材が、金属板、ラス網または金網であることを特徴とする請求項1に記載の耐火断熱ボード。
  3. 前記B組成の無機フォームにおいて、結合性無機成分がアルミナセメント、メタカオリンおよびポルトランドセメントからなる群から選ばれた少なくとも1つであり、アルカリ性領域で結石性成分の硬化をする水含有第2成分が1モルのKOおよび/またはNaO当たり1〜3モルの二酸化珪素を有する金属珪酸塩溶液であり、耐火性付与第3成分が金属水和物であり、発泡性成分が過酸化水素水であることを特徴とする請求項1または2に記載の耐火断熱ボード。
  4. 前記H組成の無機フォームにおいて、結合性無機成分がアルミナセメント、フライアッシュ、活性アルミナおよびポルトランドセメントからなる群から選ばれた少なくとも1つであり、アルカリ性領域で結石性成分の硬化をする水含有第2成分が1モルのKOおよび/またはNaO当たり1〜3モルの二酸化珪素を有する金属珪酸塩溶液であり、発泡性成分が過酸化水素水であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の耐火断熱ボード。
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