JP4055288B2 - ディスク装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ディスクや光磁気ディスク等の記録媒体が内部に収納されているディスクカートリッジをローディングして、その記録媒体に映像や音声等のデータの記録、再生を行うディスク装置であって、特に、フロントパネルのカートリッジ挿入口の開閉ドアの開閉機構の技術分野に属するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、図1、図42及び図43に示すようなディスクカートリッジ1が開発されている。このディスクカートリッジ1はほぼ方形状で扁平な筐型に構成されていて、内部には光ディスクや光磁気ディスクで構成された記録媒体であって、上下両面にデータを記録、再生することが可能な両面ディスク2が回転自在に収納されている。そして、このディスクカートリッジ1の前端面1aが後述するディスク装置への挿入方向の端面に構成されている。そして、このディスクカートリッジ1は上下対称形状に構成されていて、その上下両面1bで前端面1a側に偏位された上下一対の凹所3がほぼ全幅に亘って形成されていて、その上下一対の凹所3における両面ディスク2の中心穴2aの上下相当位置から前端面1aの中央近傍位置にかけて長穴形状の上下一対の窓穴4が形成されている。そして、プラスチックや金属板の薄い板によって側面形状がコ字状に形成された防塵用のシャッター5を上下一対の凹所3内に前端面1a側から水平状に挿入して取り付け、このシャッター5を前端面1aに沿って片方又は両方にスライド自在に構成することによって、このシャッター5で上下一対の窓穴4を同時に開閉できるように構成している。なお、ディスクカートリッジ1の前端面1aの内部に組み込んだ戻しバネ(図示せず)によってシャッター5は図43に示す開蓋位置から図42に示す閉蓋位置へスライド付勢させている。そして、このシャッター5の前端面5aがディスクカートリッジ1の前端面1aの左右両側のコーナ部1cより前方に凸状に突出されていて、このシャッター5の前端面5aを含むディスクカートリッジ1の前端面1aの中央部が左右両側のコーナ部1cに比べて強制的に最も弱い箇所になっている。なお、このディスクカートリッジ1の上下両側面1bの後端面1d側に偏位された位置には左右一対の位置決め用穴6が形成されていて、このディスクカートリッジ1の左右両側面1eの前後両端近傍位置にはそれぞれ左右一対のローディング機構用切欠き7及びディスクチェンジャー用切欠き8が形成されている。
【0003】
そして、図44〜図46に示すように、このディスクカートリッジ1の両面ディスク2に映像や音声等のデータを記録、再生するディスク装置11のフロントパネル12には横長開口形状のカートリッジ挿入口13が水平状に形成されていて、そのカートリッジ挿入口13には防塵用の開閉ドア14が取り付けられている。そして、通常、この開閉ドア14は、その上端近傍位置で支点軸15を介してフロントパネル12の内側に矢印c、d方向に回転自在に取り付けられていて、支点軸15を中心にして戻しバネ(図示せず)に抗してフロントパネル12の内側方向である矢印c方向に開くような内開き構造に構成されている。そして、図45の(A)に示すように、ディスクカートリッジ1をその前端面1a側からカートリッジ挿入口13に矢印a方向から挿入して、図45の(B)(C)に示すように、その前端面1aで開閉ドア14を戻しバネに抗して矢印c方向に押し開くようにして、ディスクカートリッジ1をディスク装置11の内部に水平に挿入すると、そのディスクカートリッジ1がディスク装置11の内部に設けられているカートリッジローディング機構(図示せず)によってそのディスク装置11の内部に引き込まれてシャッター5が一側方の開蓋位置へスライドされて、上下一対の窓穴4が開蓋された後に、このディスクカートリッジ1がローディング完了位置へローディングされ、ディスク装置11の内部に設けられているスピンドルモータによって両面ディスク2が高速で回転駆動されると共に、上下一対の窓穴4内に上下から挿入された上下一対のデータの記録、再生用ヘッドである上下一対の光学ピックアップ(何れも図示せず)によってその両面ディスク2の上下両面に映像や音声等のデータが同時に又は選択的に記録、再生される。そして、そのデータの記録、再生の終了後に、図45の(A)に示すように、ディスクカートリッジ1をカートリッジ挿入口13からディスク装置11の外部へ矢印b方向に抜き取ると、開閉ドア14が戻しバネによって矢印d方向に回転復帰して、カートリッジ挿入口13を内側から閉塞することになる。
【0004】
ところで、従来のディスク装置中に、ディスクカートリッジ1を装置内部に引き込んで、両面ディスク2を記録、再生している間も、開閉ドア14でカートリッジ挿入口13を内側から閉塞しておくようにして、その記録、再生中においても、カートリッジ挿入口13から装置内部に異物、ごみや塵埃等をできるだけ侵入させないようにして、高い防塵性を確保できるようにしたドア開閉機構がある。 そして、この種の従来のドア開閉機構は、装置内部のカートリッジローディング機構と開閉ドア14とをリンクやカム等を用いて、機械的に連動させて、そのカートリッジローディング機構がディスクカートリッジ1をローディング完了位置からローディング開始位置へ上昇する際に、開閉ドア14を開き、ディスクカートリッジ1がカートリッジ挿入口13から装置外部へ抜き取られた時に、開閉ドア14を閉じてカートリッジ挿入口13を内側から閉塞する。また、ディスクカートリッジ1をカートリッジ挿入口13からカートリッジローディング機構内のローディング開始位置に挿入する時に開閉ドア14をそのディスクカートリッジ1で押し開き、その挿入されたディスクカートリッジ1をローディング開始位置からローディング完了位置へ下降した後に、開閉ドア14を閉じるようにしたものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このように、開閉ドアとカートリッジローディング機構をリンクやカム等を用いて機械的に連動して、開閉ドアをカートリッジローディング機構によって開閉する構造は、機構が著しく複雑になり、部品点数及び組立工数が増大して、コスト高になる。また、開閉ドアがカートリッジローディング機構に終始連動されて開閉されるために、ディスクカートリッジの有り無しに拘らず、カートリッジローディング機構を動作させると、カートリッジ挿入口が無意味に開いてしまい、防塵効果を低下させてしまう。また、カートリッジローディング機構がローディング完了位置へ既に下降されている状態で、カートリッジを誤って挿入してしまうようなディスクカートリッジの誤挿入(二重挿入)を防止するための誤挿入防止機構は更に別に設ける必要が合って、構造がより一層複雑になっている。
【0006】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであって、開閉ドアをカートリッジローディング機構に機械的に何等連動させることなく、ディスクカートリッジのローディング動作に伴いカートリッジ挿入口を開閉ドアで閉塞することができるようにしたディスク装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための本発明のディスク装置は、フロントパネルに形成されたカートリッジ挿入口を内側から開閉する開閉ドアを有し、そのカートリッ
ジ挿入口に挿入されるディスクカートリッジによってその開閉ドアを内側へ押し開くように構成したディスク装置において、上記ディスクカートリッジを上記カートリッジ挿入口から挿入して上記開閉ドアを内側へ押し開いた後、上記フロントパネルの内側に配置されたカートリッジローディング機構によってそのディスクカートリッジを少なくともローディング開始位置の下方に配置されたローディング完了位置へ下降させて、そのディスクカートリッジと上記開閉ドアとの接触を断つことにより、上記開閉ドアを閉蓋位置まで回転復帰させて上記カートリッジ挿入口を内側から閉塞し、記録、再生後に上記カートリッジローディング機構によってローディング完了位置からローディング開始位置へ上昇される上記ディスクカートリッジを上記開閉ドアに接触させて、その開閉ドアを閉蓋位置から開蓋位置へ上記付勢手段に抗して開くことができるように、上記開閉ドアの回転支点を上記カートリッジ挿入口の上下方向のほぼ中央位置よりも下方に配置し、上記カートリッジ挿入口の内側外周にパッキンが付設され、上記パッキンに対する圧着部が上記開閉ドアの前面側の外周に形成され、上記開閉ドアの閉蓋時に、上記圧着部の少なくとも上下両側部が上記パッキンの少なくとも上下両側部にほぼ均等の圧着力で圧着されるように、上記圧着部の上下両側部に対する上記回転支点からのアーム長がほぼ等しく構成されているものである。
【0008】
上記のように構成された本発明のディスク装置は、ディスクカートリッジをカートリッジ挿入口から挿入して開閉ドアを内側へ押し開いた後、フロントパネルの内側に配置されたカートリッジローディング機構によってそのディスクカートリッジを少なくともローディング開始位置の下方に配置されたローディング完了位置へ下降させて、そのディスクカートリッジと開閉ドアとの接触を断つことにより、開閉ドアを閉蓋位置まで回転復帰させてカートリッジ挿入口を内側から閉塞し、記録、再生後にカートリッジローディング機構によってローディング完了位置からローディング開始位置へ上昇されるディスクカートリッジを開閉ドアに接触させて、その開閉ドアを閉蓋位置から開蓋位置へ付勢手段に抗して開くことができるように、開閉ドアの回転支点を上記カートリッジ挿入口の上下方向のほぼ中央位置よりも下方に配置し、カートリッジ挿入口の内側外周にパッキンが付設され、パッキンに対する圧着部が開閉ドアの前面側の外周に形成され、開閉ドアの閉蓋時に、圧着部の少なくとも上下両側部がパッキンの少なくとも上下両側部にほぼ均等の圧着力で圧着されるように、圧着部の上下両側部に対する回転支点からのアーム長がほぼ等しく構成されているので、開閉ドアを付勢手段によって閉蓋位置へ回転させた時に、開閉ドアの圧着部の上下両側部がパッキンの上下両側部に対してほぼ均等の圧着力で圧着されることになる。その結果、開閉ドアによるカートリッジ挿入口の密閉能力が大幅に増大し、ディスク装置の防塵性が大幅に向上する上に、開閉ドアの付勢手段のバネ力を十分に小さくすることが可能になり、ディスクカートリッジによって開閉ドアを弱い力で、簡単に押し開くことができる効果がある。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用したディスク装置の実施の形態を図を参照しながら、次の順序で説明する。
(1) ・・・ ディスクカートリッジの説明
(2) ・・・ ディスク装置の概要説明
(3) ・・・ カートリッジローディング機構の説明
(4) ・・・ 開閉ドアの説明
(5) ・・・ 開閉ドアの開閉機構の説明
(6) ・・・ カートリッジ挿入口の防塵構造の説明
(7) ・・・ 光学ピックアップの昇降機構の説明
【0010】
(1) ・・・ ディスクカートリッジの説明
まず、図1、図42及び図43によって、両面ディスク2を収納したディスクカートリッジ1について説明すると、前述したように、このディスクカートリッジ1はほぼ方形状で扁平な筐型に構成されていて、内部には光ディスクや光磁気ディスクで構成された記録媒体であって、上下両面にデータを記録、再生することが可能な両面ディスク2が回転自在に収納されている。そして、このディスクカートリッジ1の前端面1aが後述するディスク装置への挿入方向の端面に構成されている。そして、このディスクカートリッジ1は上下対称形状に構成されていて、その上下両面1bで前端面1a側に偏位された上下一対の凹所3がほぼ全幅に亘って形成されていて、その上下一対の凹所3における両面ディスク2の中心穴2aの上下相当位置から前端面1aの中央近傍位置にかけて長穴形状の上下一対の窓穴4が形成されている。そして、プラスチックや金属板の薄い板によって側面形状がコ字状に形成された防塵用のシャッター5を上下一対の凹所3内に前端面1a側から水平状に挿入して取り付け、このシャッター5を前端面1aに沿って片方又は両方にスライド自在に構成することによって、このシャッター5で上下一対の窓穴4を同時に開閉できるように構成している。なお、ディスクカートリッジ1の前端面1aの内部に組み込んだ戻しバネ(図示せず)によってシャッター5は図43に示す開蓋位置から図42に示す閉蓋位置へスライド付勢させている。そして、このシャッター5の前端面5aがディスクカートリッジ1の前端面1aの左右両側のコーナ部1cより前方に凸状に突出されていて、このシャッター5の前端面5aを含むディスクカートリッジ1の前端面1aの中央部が左右両側のコーナ部1cに比べて強制的に最も弱い箇所になっている。そして、このディスクカートリッジ1の前端面1aの左右両コーナ部1cが逆に強度的に最も強い箇所に構成されている。なお、このディスクカートリッジ1の上下両側面1bの後端面1d側に偏位された位置には左右一対の位置決め用穴6が形成されていて、このディスクカートリッジ1の左右両側面1eの前後両端近傍位置にはそれぞれ左右一対のローディング機構用切欠き7及びディスクチェンジャー用切欠き8が形成されている。
【0011】
そして、このディスクカートリッジ1の前端面1aの左右両コーナ部1cを後述する開閉ドアの前面に点接触させるために、このディスクカートリッジ1の前端面1aの左右両コーナ部1cには左右対称形状のR(アール)形状部1fが形成されている。
【0012】
(2) ・・・ ディスク装置の概要説明
次に、図26〜図35によって、ディスク装置11の概要について説明すると、まず、このディスク装置11は、高速編集機等に適用するのに最適なものであって、ディスクカートリッジ1内の両面ディスク2の上下両面に映像や音声等のデータを同時に記録、再生するようにして、記録データの高容量化及びデータ転送速度の高速化を実現している。
【0013】
そして、このディスク装置11のフロントパネル12はモールド部品で構成されていて、そのフロントパネル12には横長開口形状のカートリッジ挿入口13が水平状に形成されている。そして、そのフロントパネル12でカートリッジ挿入口13の下部にはイジェクト釦20が取り付けられている。そして、そのフロントパネル12の内側にはカートリッジ挿入口13を内側から開閉する開閉ドア21が取り付けられていて、その開閉ドア21より後方位置(矢印a方向側の位置)の下部にターンテーブル41及びそれを回転駆動するスピンドルモータ42が配置されていて、そのターンテーブル41の上方位置にはチャッキング機構43が配置されている。そして、両面ディスク2の上下両面にデータを同時に記録、再生するヘッドである上下一対の光学ピックアップ44、45がターンテーブル41及びチャッキング機構43の更に後方位置に配置されていて、スピンドルモータ42及び下側光学ピックアップ44は図示省略したボイスコイルモータ(シーク機構)と共に下側ベースプレート46の上部に上向きに搭載され、チャッキング機構43及び上側光学ピックアップ45が図示省略したボイスコイルモータ(シーク機構)と共に上側ベースプレート47の下部に下向きに搭載されている。
【0014】
そして、フロントパネル12の後方位置にはカートリッジローディング機構51が配置されている。そして、このカートリッジローディング機構51は下側ベースプレート46と上側ベースプレート47との間に水平状に架設したカートリッジホルダー52をカートリッジ挿入口13に後方から矢印b方向に接近させたカートリッジ引込み位置と、その後方である矢印a方向に水平に引き込まれたローディング開始位置との間で前後方向である矢印a、b方向に水平駆動すると共に、そのローディング開始位置とそれより下方に配置されたローディング完了位置との間で上下方向である矢印e、f方向に平行に昇降駆動するように構成されている。そして、上下両ベースプレート46、47の左右両側位置にはカートリッジローディング機構51によって駆動されて、上側ベースプレート47を上下方向である矢印e、f方向に平行に昇降駆動する昇降機構71が配置されている。
【0015】
従って、このディスク装置11は、図27及び図31に示すように、ディスクカートリッジ1をその前端面1a側からカートリッジ挿入口13に矢印a方向に水平に挿入して、開閉ドア21を矢印c方向に押し開きながら、そのディスクカートリッジ1をカートリッジホルダー52内に矢印a方向に挿入する。すると、カートリッジホルダー52に取り付けられているシャッター開閉機構(図示せず)によってディスクカートリッジ1の図42に示すシャッター5がその図42に示す閉蓋位置から図43に示す開蓋位置まで一側方にスライドされて、そのディスクカートリッジ1の上下両窓穴4が同時に開放される。そして、ディスクカートリッジ1がカートリッジホルダー52内に挿入完了されると同時に、そのカートリッジホルダー52に取り付けられている左右一対のラッチ手段(図示せず)がディスクカートリッジ1の図43に示す左右一対の切欠き7に係合されて、そのディスクカートリッジ1がカートリッジホルダー52内にに機械的に保持される。
【0016】
そして、カートリッジホルダー52内へのディスクカートリッジ1の挿入完了がセンサーによって検出されると、カートリッジローディング機構51が作動されて、カートリッジホルダー52によってディスクカートリッジ1が図31に示すカートリッジ引込み位置から図32に示すローディング開始位置まで矢印a方向に水平に引き込まれて、そのローディング開始位置で、ディスクカートリッジ1内の両面ディスク2の中心穴2aがターンテーブル41の真上に配置され、上下一対の窓穴4が上下一対の光学ピックアップ44、45間に配置される。そして、カートリッジホルダー52は引き続きローディング開始位置から図33に示すローディング完了位置まで矢印e方向に平行に下降されて、このディスクカートリッジ1が下側ベースプレート46上に水平にローディングされて位置決めピン(図示せず)によって位置決めされる。そして、このディスクカートリッジ1のローディング完了により、下側ベースプレート46上のターンテーブル41及び上側光学ピックアップ44がディスクカートリッジ1の下側の窓穴4内に下方から相対的に挿入されて、両面ディスク2が中心穴2aによってターンテーブル41上に水平に装着されると共に、その両面ディスク2の下面が下側光学ピックアップ44上に近接される。
【0017】
そして、このカートリッジローディング動作に同期して、カートリッジローディング機構51によって昇降機構71が駆動されて、上側ベースプレート47が図31及び図32に示す上昇位置から図33に示す下降位置まで矢印e方向に平行に下降される。そして、チャッキング機構43及び上側光学ピックアップ45がディスクカートリッジ1の上側の窓穴4内に上方から挿入されて、チャッキング機構43によって両面ディスク2がターンテーブル41上に正確にチャッキングされて固定されると共に、上側光学ピックアップ45が両面ディスク2の上面に近接されて、カートリッジローディング動作が完了する。なお、この時、上側ベースプレート47は位置決めピン(図示せず)によって下側ベースプレート46上に位置決めされると共に、ディスクカートリッジ1を上方から押え込んで固定する。
【0018】
そして、このカートリッジローディング完了後に、スピンドルモータ42によってターンテーブル41と一体に両面ディスク2が高速で回転駆動されながら、上下一対の光学ピックアップ44、45によって両面ディスク1の上下両面に映像や音声等のデータが同時に記録、再生される。
【0019】
そして、このデータの記録、再生後に、フロントパネル12のイジェクト釦20が押されるが、ホストコンピュータからイジェクト指令信号が出力されると、カートリッジローディング機構51及び昇降機構71が駆動されて、ローディング動作の逆行程が行われる。即ち、上側ベースプレート47が図33の下降位置から図34の上昇位置まで矢印f方向に平行に上昇されて、チャッキング機構43及び上側光学ピックアップ45がディスクカートリッジ1の上方に抜き取られると共に、カートリッジホルダー52によってディスクカートリッジ1が図33のローディング完了位置から図34のローディング開始位置まで矢印f方向に平行に上昇された後、図35のカートリッジ引込み位置まで矢印b方向に水平に押し出される。そして、カートリッジホルダー52がそのカートリッジ引込み位置に達した瞬間にそのカートリッジホルダー52内にディスクカートリッジ1を機械的に保持していたラッチ手段が一対の切欠き7から解除され、シャッター開閉機構によってディスクカートリッジ1をカートリッジ挿入口13から外方へ矢印b方向にイジェクトしながら、シャッター5を図43の開蓋位置から図42の閉蓋位置へスライド復帰させることになる。
【0020】
ところで、このディスク装置11には、ディスクカートリッジ1のローディング時に、図31に示すように、ディスクカートリッジ1をカートリッジ挿入口13に矢印a方向から挿入して、開閉ドア21をそのディスクカートリッジ1で矢印c方向に押し開いた後、ディスクカートリッジ1が図32に示すローディング開始位置を経由して図33に示すローディング完了位置へ矢印a、c方向にローディング完了されることによって開閉ドア21を矢印d方向に自動的に閉じてカートリッジ挿入口13を内側から閉塞することにより、両面ディスク2のデータを記録、再生中の防塵効果を確保できるようにした後述するドア開閉機構81が設けられている。なお、このドア開閉機構81は、ディスクカートリッジ1のイジェクト時には、そのディスクカートリッジ1が図33のローディング完了位置から図34のローディング開始位置まで矢印f方向に上昇される間に矢印c方向に自動的に開いて、ディスクカートリッジ1をカートリッジ挿入口13から矢印b方向にイジェクトすることができるように構成されている。
【0021】
また、このディスク装置11には、ディスクカートリッジ1が図33に示すローディング完了位置へ矢印c方向からローディング完了されて、矢印d方向に閉じた開閉ドア21を内側から機械的にロックすることによって、両面ディスク2のデータを記録、再生中に別のディスクカートリッジ1をカートリッジ挿入口13から間違って差し込んでしまうディスクカートリッジ1の2重挿入防止等を実現するための後述する開蓋禁止手段91が設けられている。
【0022】
(3) ・・・ カートリッジローディング機構の説明
次に、図27〜図41によって、カートリッジローディング機構51を説明すると、このカートリッジローディング機構51は下側ベースプレート71の左右両側に平行に固着されて上方に垂直状に立ち上げられた左右両側板53と、これら左右両側板53の左右両側に平行に取り付けられた垂直状の左右両スライド板54を備えている。そして、左右両側板53に形成された前後各一対の水平ガイド溝55と、左右両スライド板54の内側に固着されて、これらの水平ガイド溝55内にスライド自在に係合された前後各一対のガイドピン56で構成された水平ガイド機構57によって左右両スライド板54が案内されて左右両側板53に沿って前後方向である矢印a、b方向にスライド自在に構成されている。
【0023】
そして、カートリッジホルダー52はフロントパネル12側に開口部52aが形成された方形状で扁平な筐型に構成されていて、このカートリッジホルダー52は左右両側板53間のフロントパネル12側に偏位した位置に水平に配置されている。そして、左右両側板53に形成された前後各一対のL型ガイド溝58及び左右両スライド板54に形成された前後各一対のカム溝59と、カートリッジホルダーの左右両側面に固着されて、これらL型ガイド溝58及びカム溝59の交点部分にスライド自在に挿通された前後各一対のガイドピン60で構成されたスライドカム機構61によってカートリッジホルダー52が左右両側板53間で矢印a、b方向及び矢印e、f方向に平行移動されるように構成されている。なお、図40に示すように、L型ガイド溝58は水平部58aの後端から下方に垂直部58aが接続された形状に構成され、カム溝59は傾斜部59aの前端から前方に水平部59aを接続させた形状に構成されている。
【0024】
そして、左右両側板53の下端側の左右両側には、1つの小型の駆動モータ62によって同期して回転駆動される左右一組のギアトレイン63が取り付けられていて、これらのギアトレイン63の出力端に配置された左右一対のピニオン64が左右両スライド板54の下端に沿って水平状に形成された左右一対のラック65に係合されている。
【0025】
従って、このカートリッジローディング機構51は、1つの駆動モータ62によって左右両ギアトレイン63を介して左右両ピニオン64を同時に正逆両方向に交互に回転駆動することによって、これら左右両ピニオン64で左右両ラック65を正逆両方向に駆動して、左右両スライド板54を左右両側板53の前後各一対の水平ガイド溝55に沿って前後方向である矢印a、b方向に同時にスライド駆動することができる。そして、左右両スライド板54が同時に矢印a、b方向にスライド駆動されると、カートリッジホルダー52の左右両側面との間に設けられている前後各一対のスライドカム機構61のカム溝59によるカム作用によって、ガイドピン60がL型ガイド溝58に沿った矢印a、b方向である水平方向と、矢印e、f方向である垂直方向にL型の移動軌跡に沿ってスライド駆動されて、カートリッジホルダーを前述したようにカートリッジ引込み位置→ローディング開始位置→ローディング完了位置と、ローディング完了位置→ローディング開始位置→カートリッジ引込み位置とにL型の移動軌跡に沿ってスライド駆動することができるものである。
【0026】
(4) ・・・ 開閉ドアの説明
次に、図1〜図4、図6〜図12によって、開閉ドア21について説明すると、まず、図1〜図4に示すように、この開閉ドア21はアルミダイキャストやモールド部品等によって横長形状に成形されたものであって、その前面21aの中央部にディスクカートリッジ1のシャッター5の前端面5aに対する逃げ用の凹部22が形成され、その凹部22の左右両側部にコーナ部1cの接触部であってカートリッジ接触部を構成している剪断面形状がほぼカマボコ型の凸部23が形成されている。そして、この開閉ドア21の背面21bで、その左右両端部には左右一対のアーム部24が直角状に一体成形されていて、これら左右一対のアーム部24間で、その開閉ドア21の背面21bには左右一対の補強用リブ兼用の左右一対のガイド突起25が直角状に一体成形されている。なお、これら左右両ガイド突起25の背面の下端側には斜面25aが形成されている。そして、この開閉ドア21の左右一対の凸部23の前面には上下高さ方向に沿って弯曲されたR(アール)形状部26が形成されている。なお、このR形状部26は後述する開閉ドア21の回転支点Oを中心とした半径に近似する曲率に形成されている。そして、前面21aで凹部22内が平坦な表示面21cに構成されていて、その表示面21cにはOPTICAL DISCやその他の各種文字や記号等の表示27が施されている。そして、この開閉ドア21の凹部22及び左右両凸部23の表面全体に傷つき防止やすべり性の向上を図るためのアルマイト処理や透明樹脂塗料によるコーティング等が施されている。
【0027】
そして、フロントパネル12のカートリッジ挿入口13は、そのフロントパネル12の内側に一体成形された扁平な角筒型であり、かつ、後方(矢印a方向)に向って次第に先すぼまり形状に構成されたカートリッジ挿入口外周壁28内に開口されたものである。そして、そのカートリッジ挿入口外周壁28の垂直状の左右両側縁28cの後端に挿入可能な左右一対の垂直状のスリット29が開閉ドア21の左右両凸部23の左右方向の中間位置に形成されている。
【0028】
そして、図6〜図12に示すように、フロントパネル12の内側で、カートリッジ挿入口13の左右両側位置に板金等で構成された左右一対の開閉ドア取付板31が垂直状で、かつ、平行状にビス止め等にて取り付けられていて、これら左右両開閉ドア取付板31間に開閉ドア21の左右両アーム部24か挿入されて、これら左右両アーム部24の後端部が同心状で、水平な左右一対の支点軸32を介して左右両開閉ドア取付板31の上端部間に矢印c、d方向に回転自在に取り付けられている。
【0029】
この際、図10に示すように、左右一対の支点軸32の中心である回転中心Oの座標がカートリッジ挿入口13の上下高さ方向の中心位置P1よりも所定寸法L11だけ低い位置P2であり、かつ、カートリッジ挿入口13から後方側(矢印a方向側)へ所定寸法L12だけ後退された位置P3に設定されている。従って、この開閉ドア21は回転支点Oを中心にカートリッジ挿入口13の後方、上方に向けて矢印c、d方向に回転自在に構成されている。そして、開閉ドア21の左右両端部の上側位置に一体成形された左右一対のバネ係止部30と、左右両開閉ドア取付板31に形成された左右一対のバネ係止部33との間にそれぞれ架け渡された回転付勢手段(戻しバネ)である左右一対の引張りコイルバネ34によってその開閉ドア21が閉蓋方向である矢印d方向に回転付勢されて、左右両開閉ドア取付板31の上端部の前側に形成された左右一対のストッパー35上に左右両アーム部24が矢印d方向から当接されて、その開閉ドア21の閉蓋位置が規制されている。なお、開閉ドア21が閉蓋位置へ矢印d方向に戻された時に、その左右一対のスリット29がカートリッジ挿入口外周壁28の左右両側縁28cに挿入される。
【0030】
開閉ドア21は以上のように構成されていて、図1〜図3に示すように、ディスクカートリッジ1をその前端面1a側からディスク装置11のカートリッジ挿入口13に矢印a方向から水平に挿入して、開閉ドア21を左右両引張りコイルバネ34に抗して図4の(A)(B)(C)に示すように回転支点Oを中心に開蓋位置まで矢印c方向に押し開く際に、そのディスクカートリッジ1のシャッター5の前端面5aをその開閉ドア21の前面21aに何等衝突させることなく、開閉ドア21を安全に、かつ、スムーズに押し開くことができる。
【0031】
即ち、このディスクカートリッジ1の挿入時には、シャッター5は内部に組み込まれた戻しバネによってこのディスクカートリッジ1の左右幅方向の中央位置に設定された閉蓋位置に位置決めされているので、このディスクカートリッジ1をカートリッジ挿入口13に矢印a方向から水平に挿入すると、図2及び図3に示すように、そのシャッター5の前端面5aが開閉ドア21の凹部22の中央に挿入され、そのディスクカートリッジ1の前端面1aの左右両コーナ部1cが開閉ドア21の左右両凸部23に矢印a方向から当接されることになり、シャッター5の前端面5aと開閉ドア21の凹部22内の表示面21cとの間には図3の(B)に示す隙間Gが発生して、その前端面5aが表示面21cに接触されることが回避される。
【0032】
従って、強度的に最も弱いシャッター5の前端面5aを含むディスクカートリッジ1の前端面1aの中央部に大きな負荷が加えられることが全くない上に、そのディスクカートリッジ1の前端面1aで強度的に最も強い左右両コーナ部1cで開閉ドア21を左右両引張りコイルバネ34に抗して矢印c方向に強力に押し開くことができる上に、このディスクカートリッジ1の挿入時に、強度的に最も弱いシャッター5の前端面5aを含むディスクカートリッジ1の前端面1aの中央部が大きな負荷を受けて破損されてしまうことや、そのシャッター5の前端面5aが開閉ドア21の表示面21c等に直接接触されて、これらが相互に傷つけられてしまうことを未然に防止することができて、表示面21cの表面27を全く傷つけることなく、ディスクカートリッジ1の前端面1aの強度的に最も強い左右両コーナ部1cで開閉ドア21を矢印c方向に安全に、かつ、強力に押し開くことができる。
【0033】
しかも、その際、開閉ドア21の左右両凸部23の前面にR形状部26が形成されている上に、ディスクカートリッジ1の前端面1aの左右両コーナ部1cにも左右対称形状のR形状部1fが形成されているので、これら左右両コーナ部1cをその左右両凸部23に矢印a方向から接触させた時に、その接触部は接触抵抗(摩擦抵抗)が最も小さい点接触状態になる。従って、矢印a方向に挿入されるディスクカートリッジ1に対して矢印c方向に回転される開閉ドア21のディスクカートリッジ1に対する摺動負荷が最小となり、ディスクカートリッジ1による矢印a方向からの押付け力を開閉ドア21の矢印c方向の回転力に無理なく変換することができて、開閉ドア21を矢印c方向にスムーズ(弱い力で軽快に回転できること)に押し開くことができる。この際、開閉ドア21の左右両R形状部26を回転支点Oを中心とした半径に近似する曲率に形成しているので、開閉ドア21がディスクカートリッジ1の左右両コーナ部1cに対して矢印c方向に逃げ易く、開閉ドア21を矢印c方向により一層スムーズに押し開くことができる。なお、図4の(C)は、矢印a方向に挿入されるディスクカートリッジ1によって開閉ドア21が矢印c方向に安全に押し開かれた状態を示しており、この時には、後述するように、ディスクカートリッジ1が開閉ドア21の左右両アーム部24の間で、その開閉ドア21の下部を矢印a方向に通り抜けてしまい、その左右両凸部23の下端がディスクカートリッジ1の上面1b上に乗り上げられる。従って、このディスクカートリッジ1の挿入時には、シャッター5の前端面5aが最後まで開閉ドア21に接触されることがない。そして、前述したように、ディスクカートリッジ1がカートリッジホルダー52内に挿入される時点で、シャッター5が開蓋されることになるが、その時点では、開閉ドア21が既にディスクカートリッジ1の上面1b上に乗り上げているので、このシャッター5の開蓋時にも、シャッター5が開閉ドア21に接触される危険はない。
【0034】
従って、開閉ドア21の凹部22はシャッター5の閉蓋位置と開蓋位置とのスライド幅の全幅に亘って大きく設定する必要がなく、カートリッジ挿入口13にディスクカートリッジ1が矢印a方向から挿入された時に、そのディスクカートリッジ1の左右幅方向の中央部に位置決めされているシャッター5の前端面5aに対して逃げられる幅相当部分に凹部22を形成すれば良い。また、ディスクカートリッジ1の前端面1aの左右両コーナ部1cにR形状部1fを形成しないで、その左右両コーナ部1cを前端面1aと平行な平坦面に形成した場合には、ディスクカートリッジ1をカートリッジ挿入口13に矢印a方向から挿入する際に、その左右両コーナ部1cの平坦面が開閉ドア21の左右両凸部23のR形状部26に線接触状態で接触されることになる。そして、この線接触状態は、前述した点接触状態に比べて、接触抵抗(摩擦抵抗)はやや大きくなるものの、面接触状態に比べれば、その接触状態が大幅に減少されるので、このような線接触状態でも、点接触状態とほぼ同等に、開閉ドア21をスムーズに矢印c方向に押し開くことが可能である。
【0035】
なお、図5は開閉ドア21の左右一対の支点軸32を図45及び図46に示した従来例と同様にその開閉ドア21の上端近傍位置に配置して、ディスクカートリッジ1でその開閉ドア21を矢印c方向に押し開くようにした変形例を示したものであって、この場合でも、その開閉ドア21の前面21aに前述同様の凹部22、左右両凸部23及びR形状部26を形成しておけば、前述同様に、ディスクカートリッジ1で、その開閉ドア21を安全に、かつ、スムーズに押し開くことができる。
【0036】
(5) ・・・ 開閉ドアの開閉機構の説明
次に、図6〜図18によって、ディスクカートリッジ1のローディング及びイジェクト時に開閉ドア21を開閉するための開閉機構であるドア開閉機構81について説明すると、このドア開閉機構81はディスクカートリッジ1と、開閉ドア21の左右一対のガイド突起25と、回転付勢手段である左右一対の引張りコイルバネ34とによって構成されている。
即ち、図10及び図15の(A)に示すように、ディスクカートリッジ1のローディング時に、ディスクカートリッジ1をその前端面1a側からカートリッジ挿入口13に矢印a方向から水平に挿入して、図15の(B)(C)に示すように、そのディスクカートリッジ1によって開閉ドア21を左右両引張りコイルバネ34に抗して矢印c方向に押し開くと、図13に示すように、そのディスクカートリッジ1が開閉ドア21の左右両アーム部24の間を通過して矢印a方向に挿入され、その開閉ドア21が矢印c方向に完全に押し開かれた時には、その開閉ドア21の左右両凸部23の下端23aがディスクカートリッジ1の上面1b上に乗り上げることになる。
【0037】
そして、引き続き図16の(A)に示すように、ディスクカートリッジ1を矢印c方向に挿入して行くと、図31で説明したカートリッジホルダー52内にディスクカートリッジ1が矢印a方向から水平に挿入されて、ラッチ手段によってそのディスクカートリッジ1がカートリッジホルダー52内に機械的に保持される。そして、この後、図32で説明したように、カートリッジホルダー52によってディスクカートリッジ1がカートリッジ引込み位置からローディング開始位置まで矢印a方向に引き込まれた時に、図14及び図16の(B)に示すように、ディスクカートリッジ1の後端面1dがカートリッジ挿入口13から矢印a方向に完全に引き込まれて、そのディスクカートリッジ1の後端面1dが開閉ドア21の左右両凸部23の下端23aを矢印a方向に通過して、左右両ガイド突起25の下部で停止される。そして、開閉ドア21の左右両ガイド突起25がその斜面25aによってディスクカートリッジ1の後端面1d側の上面1b上に載置される。
【0038】
そして、この後に、図34で説明したように、カートリッジホルダー52によってディスクカートリッジ1がローディング開始位置からローディング完了位置まで矢印e方向に水平に下降されると、図11及び図16の(C)に示すように、ディスクカートリッジ1の上面1bが開閉ドア21の左右両ガイド突起25の斜面25aから矢印c方向に離間(接触が断たれること)される。すると、開閉ドア21が左右両引張りコイルバネ34によって閉蓋位置まで矢印d方向に回転されて、図10〜図12及び図16に示すように、その開閉ドア21によってカートリッジ挿入口13が自動的に閉塞される。
【0039】
そして、このディスクカートリッジ1のローディング完了後に、図33で説明したように、上側ベースプレート47が下降位置まで矢印e方向に下降されると、図11及び図16の(C)に1点鎖線で示すように、その上側ベースプレート47の前側下端縁部分である開蓋禁止手段91が開閉ドア21の左右両アーム部24の後端縁に形成されている垂直形状部24aの後部近傍位置に矢印e方向から挿入される。すると、この後、開閉ドア21を矢印c方向に回転して開こうとしても、その左右両アーム部24の垂直形状部24aが開蓋禁止手段91にぶつかることになって、開閉ドア21を矢印c方向に開くことができなくなり、開閉ドア21を内側から機械的にロックすることになる。
【0040】
従って、図34で説明したように、両面ディスク2のデータを記録、再生中に、別のディスクカートリッジ1をカートリッジ挿入口13から誤って差し込んでしまうようなディスクカートリッジ1の2重挿入の行為を未然に防止することができる。それでいて、上側ベースプレート47の前側下端縁部分に形成された開蓋禁止手段91と開閉ドア21の左右両アーム部24の後端縁に形成した垂直形状部24aによってこの2重挿入防止機構を構成したので、構造が非常に簡単である。
【0041】
次に、ディスクカートリッジ1のイジェクト時には、図34で説明したように、上側ベースプレート47が下降位置から上昇位置まで矢印f方向に平行に上昇されることによって、図11及び図17の(A)に2点鎖線で示すように、その上側ベースプレート47の開蓋禁止手段91が開閉ドア21の左右両アーム部24の垂直形状部24aから上方である矢印f方向に上昇して逃がされる。そして、これに同期して、カートリッジホルダー52によってディスクカートリッジ1がローディング完了位置からローディング開始位置まで矢印f方向に平行に上昇されると、図14及び図17の(B)(C)に示すように、ディスクカートリッジ1の後端面1d側の上面1bが開閉ドア21の左右両ガイド突起25の斜面25aに下方から当接(接触されること)されてこれらを矢印f方向に押し上げるので、図14及び図17の(C)に示すように、開閉ドア21が左右両引張りコイルバネ34に抗して開蓋位置まで矢印c方向に自動的に回転されて、カートリッジ挿入口13が自動的に開放される。そして、この後に、図35で説明したように、カートリッジホルダー52によってディスクカートリッジ1がローディング開始位置からカートリッジ引込み位置まで矢印b方向に水平に移動されると、図18の(A)に示すように、ディスクカートリッジ1がその後端面1d側からカートリッジ挿入口13のカートリッジ挿入口13の外部へ矢印b方向にイジェクトされる。そして、図10及び図18の(B)に示すように、ディスクカートリッジ1をカートリッジホルダー52内からカートリッジ挿入口13の外部へ矢印b方向に完全に引き抜くと、開閉ドア21が左右両引張りコイルバネ34によって開蓋位置まで矢印d方向に回転されて、カートリッジ挿入口13が再び閉塞されることになる。
【0042】
このドア開閉機構81は以上述べたように、開閉ドア21をカートリッジローディング機構51に機械的に何等連動させていないにも拘らず、ディスクカートリッジ1のローディング及びイジェクトの動作に同期させて、開閉ドア21をスムーズに、かつ、自動的に開閉することができるものであり、その構造が非常に簡単であり、部品点数及び組立工数の削減による低コスト化を実現することができる。それでいて、特に、図34で説明したように、両面ディスク2のデータを記録、再生中には、図16の(C)に示すように、開閉ドア21でカートリッジ挿入口13を内側から確実に閉塞しておくことができるので、そのデータの記録、再生中に異物、ごみや塵埃等がカートリッジ挿入口13からディスク装置11内に不測に侵入して、塵埃等が両面ディスク2に付着して、スペーシングロスによる出力低下等を招くことを未然に防止することができる。
【0043】
なお、図19及び図20は、開閉ドア21の左右両凸部23の下端や左右両ガイド突起25の斜面25aに左右一対のコロ82、83を回転自在に取り付けた変形例を示したものであり、このようなコロ82、83を開閉ドア21に取り付けておけば、ディスクカートリッジ1で開閉ドア21を矢印c方向に押し開いた状態でディスクカートリッジ1をその開閉ドア21の下部で矢印a、b方向に水平に出し入れする際や、イジェクト時にディスクカートリッジ1で開閉ドア21を矢印c方向に押し開く際のディスクカートリッジ1と開閉ドア21との接触抵抗(摩擦抵抗)を著しく減少させることができて、そのディスクカートリッジ1の矢印a、b方向の出し入れや開閉ドア21の押し開き動作をスムーズに行うことができる。
【0044】
(6) ・・・ カートリッジ挿入口の防塵構造の説明
次に、図21〜図24によって、カートリッジ挿入口13の防塵構造について説明すると、まず、図10で説明したように、開閉ドア21の回転支点Oの座標をカートリッジ挿入口13の上下高さ方向の中心位置P1よりも所定寸法L11だけ低い位置P2であり、かつ、カートリッジ挿入口13から後方側(矢印a方向側)へ所定寸法L12だけ後退された位置P3に設定している。そこで、図24に示すように、フロントパネル12のカートリッジ挿入口外周壁28の水平な上下両側縁28a、28b及び垂直な左右両側縁28cの後端面にゴムや軟質プラスチック等の弾性部材によって扁平な角型の閉ループ形状に構成されたパッキン36を接着等にて取り付け、開閉ドア21の前面にそのパッキン36の全周に圧着される扁平な角型の閉ループ形状の圧着部37を形成する。なお、その圧着部37の上下両側部37aは凹部22の上下に水平状に形成され、左右両側部37cは左右一対の垂直なスリット29内に形成される。
【0045】
すると、この開閉ドア21の圧着部37の水平な上下両側部37a、37bの回転支点Oからのアーム長L13、L14がほぼ等しく構成され、図24に示すように、開閉ドア21が前述した左右一対の引張りコイルバネ34によって閉蓋位置まで矢印d方向に回転されて、その圧着部37の全周がパッキン36の全周に矢印d方向から圧着された時の、特に、パッキン36の上下両側部36a、36bに対する圧着部37の上下両側部37a、37bの圧着力F11、F12がほぼ均等になる。
【0046】
この結果、パッキン36及び圧着部37の全周において、これら両圧着間に隙間が全く発生せず、開閉ドア21によるカートリッジ挿入口13の密閉能力が大幅に向上し、ディスク装置11の防塵特性を大幅に向上することができる。そして、カートリッジ挿入口13の密閉能力を大幅に向上することができることから、開閉ドア21を矢印d方向へ戻すための左右両引張りコイルバネ34のバネ力を十分に小さくすることが可能になり、ディスクカートリッジ1によってこの開閉ドア21を左右両引張りコイルバネ34に抗して矢印c方向に押し開く際に、弱い力で、簡単に押し開くことができることになる。
【0047】
つまり、図46はカートリッジ挿入口13の防塵構造の従来例を示したものであり、この従来例では、フロントパネル12に形成したカートリッジ挿入口13の内側外周面13aにそのカートリッジ挿入口13を囲む扁平な角型形状で、ゴム製等のパッキン17を接着し、開閉ドア14の平坦な前面14aの外周部分をそのパッキン17に戻しバネのバネ力で圧着させるように構成していた。
【0048】
しかし、開閉ドア14の支点軸15がその開閉ドア21の上端近傍位置に配置されていて、その支点軸15とパッキン17の上下両側部17a、17bとの間のアーム長L21、L22に大きな差(L21<L22)が発生している。このため、開閉ドア14が戻しバネによって平坦な前面14aでパッキン17に矢印d方向から圧着された時のパッキン17の上下両側部17a、17bに対する圧着力F21、F22にアーム長L21、L22に逆比例した大きな差(F21>F22)が発生してしまう。つまり、支点軸15に対するアーム長L21が小さいパッキン17の上側部17b部分では十分に大きな圧着力F21が得られるものの、支点軸15に対するアーム長L22が大きいパッキン17の下側部17a部分では圧着力F21が極端に小さくなり、その下側部17b部分に対して開閉ドア14が矢印c方向に浮き上って、これらの間に隙間が発生し易く、防塵性(密閉性)が低かった。特に、パッキン17を用いずに、開閉ドア14の前面14aをカートリッジ挿入口13の内側外周面13aに平坦面どうしで直接接触させるものでは、開閉ドア14とフロントパネル12との接触面積が限定され、僅かな平面度の狂いや反り等によっても上記の隙間が発生し易かった。なお、パッキン17の下側部17bに対する開閉ドア14の圧着力F22を大きくするために戻しバネの力を大きくしてしまうと、ディスクカートリッジ1で開閉ドア14を矢印c方向に押し開く時の負荷が大きくなってしまい、ディスクカートリッジ1をディスク装置11内に挿入し難くなると言う問題があった。
【0049】
しかし、本発明の防塵構造のように、アーム長L13、L14をほぼ等しく構成し、圧着力F11、F12をほぼ均等に構成すれば、上記した従来の防塵構造の欠点を完全に解消することができる。
【0050】
そして、このように、アーム長L13、L14をほぼ等しく構成し、圧着力F11、F12をほぼ均等に構成すれば、例えば、パッキン36を除去して、図10に示すように、開閉ドア21のR形状部26をカートリッジ挿入口外周壁28に形成したR形状受面28dに直接的に密着させるような構造を採用した場合でも、これらR形状部26とR形状受面28dとの間の全周において隙間が発生しにくく、カートリッジ挿入口13の密閉能力及び防塵特性を大幅向上させることができる。
【0051】
次に、図25はカートリッジ挿入口13の防塵構造の変形例を示したものであって、この場合は、開閉ドア21の圧着部37の上下両側部37a、37bの回転支点Oに対するアーム長L13、L14をほぼ等しく構成し、その上下両側部37a、37bが回転支点Oを中心とする仮想円の接線方向からパッキン36の上下両側部36a、36bに圧着されるように構成したものである。このように構成すれば、左右両引張りコイルバネ34による開閉ドア21の矢印d方向の回転付勢力をパッキン36の上下両側部36a、36bに対する圧着部37の上下両側部37a、37bの圧着力F11、F12にほぼ100%変換させることができて、カートリッジ挿入口13の密閉能力及び防塵特性をより一層向上させることができる。なお、上記アーム長L13=L14に構成すれば、圧着力F11=F12となり、カートリッジ挿入口13の密閉能力及び防塵特性はより一層向上する。
【0052】
また、図11はカートリッジ挿入口13の防塵構造のもう1つの変形例を示したものであって、パッキン36の上下両側部36a、36bに対する圧着部37の上下両側部37a、37bの圧着方向は異なるものの、これら上下両側部37a、37bの回転支点Oからのアーム長L13、L14をほぼ等しく構成することによって、カートリッジ挿入口13の密閉能力及び防塵特性を大幅に向上させるようにしたものである。
【0053】
(7) ・・・ 光学ピックアップの昇降機構の説明
次に、図27〜図41によって、上側ヘッドである上側光学ピックアップ45を上側ベースプレート47によって上下方向である矢印e、f方向に昇降駆動する昇降機構71について説明すると、上側ベースプレート47が左右両側板53間に水平状に配置されていて、その上側ベースプレート47の左右両側面に水平状に取り付けられた前後各一対のガイドピン72を左右両側板53に形成された前後各一対の垂直ガイド溝73と、左右両スライド板54に形成されてほぼZ型のガイド溝構成された前後各一対のスライドカム溝74の交点部分にスライド自在に挿通させた前後各一対、合計4つのカム機構75が設けられている。なお、図40に示すように、カム溝74は上側水平部74aの前端から斜め前方下方に傾斜されて伸びる傾斜部74bと、その傾斜部74bの前端から後方に伸びる下側水平部74cとによってほぼZ型に構成されている。
【0054】
従って、カートリッジローディング時には、前述したように、カートリッジローディング機構51の小型で、1つの駆動モータ62によって左右両ギアトレイン63、ピニオン64及びラック65を介して左右両スライド板54が、図31に示す前進位置から図33に示す後退位置まで矢印a方向に同時にスライド駆動されて、カートリッジホルダー52を図31に示すカートリッジ引込み位置から図32に示すローディング開始位置まで矢印a方向に水平に引き込んだ後、カートリッジホルダー52をそのローディング開始位置からローディング完了位置まで矢印e方向に平行に下降させる際に、上側ベースプレート47を図31及び図32に示す上昇位置から図33に示す下降位置まで矢印e方向に平行に下降駆動することができる。
【0055】
即ち、まず、ローディング動作の開始前の状態では、図31に示すように、各スライドカム機構75のガイドピン72がカム溝74の上側水平部74aの後端部(矢印a方向側の端部)に位置している。そして、左右両スライド板54が矢印a方向に同時にスライド駆動されて、カートリッジホルダー52が図31に示すカートリッジ引込み位置から図32に示すローディング開始位置まで矢印a方向に水平に引き込まれる間は、図33に示すように、各スライドカム機構75のガイドピン72がカム溝74の上側水平部74aの後端から前端(矢印b方向側の端部)へ相対的に矢印b方向にスライドされるだけであり、上側ベースプレート47は上昇位置にてそのまま待機される。
【0056】
そして、左右両スライド板54が矢印a方向に引き続き同時にスライド駆動されて、カートリッジホルダー52が図32に示すローディング開始位置から図33に示すローディング完了位置まで矢印e方向に平行に下降される際に、図33に示すように、各スライドカム機構75のガイドピン72がカム溝74の傾斜部74bによるカム作用によって垂直ガイド溝73の上端から下端まで矢印e方向に下降駆動されて、上側ベースプレート47が図32に示す上昇位置から図34に示す下降位置まで矢印e方向に平行に下降され、そのガイドピン72はカム溝74の下側水平部74cに到達する。
【0057】
なお、カートリッジイジェクト時には、カートリッジローディング時とは逆に、左右両スライド板54が図33に示す後退位置から図31に示す前進位置まで矢印b方向にスライド駆動されることによって、まず、各スライドカム機構75のカム溝74によってガイドピン72が垂直ガイド溝73の下端から上端まで矢印f方向に上昇駆動されて、上側ベースプレート47が図33に示す下降位置から図35に示す上昇位置まで矢印f方向に平行に上昇される。そして、この上側ベースプレート47の上昇動作にやや遅れて、カートリッジホルダー52が図33に示すローディング完了位置から図34に示すローディング開始位置まで矢印f方向に平行に上昇された後、上側ベースプレート47を図34の上昇位置にそのまま保持した状態で、カートリッジホルダー52だけが図31のカートリッジ引込み位置まで矢印b方向に水平に移動されるように構成されている。
【0058】
ところで、上側ベースプレート47には上側光学ピックアップ45がボイスコイルモータ(シーク機構)と共に搭載されていて、その上側ベースプレート47の荷重は相当に大きいものとなっている。そこで、弾性吊下げ手段である合計4本の引張りコイルバネ76によって上側ベースプレート47の前後、左右の4つのコーナ部47aを左右両側板53の前後両端の上部に弾性的に吊り下げて、駆動モータ62の小型化及びダンパーの廃止を可能にしたものである。
【0059】
ここで、各スライドカム機構75のカム溝74に働く上側ベースプレート47の荷重による悪影響を考察すると、まず、図36、図37及び図40は上側ベースプレート47を上昇位置から下降位置まで下降駆動する場合を考察するものであり、各スライドカム機構75のガイドピン72に働く上側ベースプレート47の荷重Fは分力F1、F2に分散されて、分力F1によってカム溝74が左右両スライド板54を矢印G方向へスライドしようとする。従って、カートリッジローディング機構51によって上側ベースプレート47を下降位置まで矢印e方向に下降駆動する際、カム溝74にかかる分力F1によって左右両スライド板54の矢印a方向の移動速度が上側ベースプレート47の自重によって発生するGの力で加速されることになり、上側ベースプレート47の矢印e方向の下降速度が加速される。従って、上側ベースプレート47の荷重が大きくて、それによって発生するGの力が大きい場合には、下降位置まで矢印e方向に下降された上側ベースプレート47を下側ベースプレート46上で位置決めする際に大きな衝撃を発生してしまい、その大きな衝撃によってカートリッジローディング機構51等の機構系だけでなく、上下両光学ピックアップ44、45、チャッキング機構43及び両面ディスク2等を破損してしまう危険がある。
【0060】
しかし、上側ベースプレート47が4本の引張りコイルバネ76によって力Hで弾性的に吊り下げられているので、上側ベースプレート47の荷重Fが4本の引張りコイルバネ76の力Hによって見かけ上減少(F−H)、即ち、キャンセルすることになり、このGの力が大幅にに減少される。従って、荷重が大きい上側ベースプレート47を安全速度で下降位置まで矢印e方向に安全に下降することができる。また、左右両スライド板54によって、カートリッジホルダー52をカートリッジ引込み位置とカートリッジローディング開始位置との間で矢印a、b方向にスライド駆動する際に、4本の引張りコイルバネ76がその左右両スライド板54の駆動力に影響を与えないので、そのカートリッジホルダー52の矢印a、b方向のスライド駆動をスムーズに行える。
【0061】
次に、図38、図39及び図41は上側ベースプレート47を下降位置から上昇位置まで上昇駆動する場合を考察するものであり、各スライドカム機構75のガイドピン72に働く上側ベースプレート47の荷重F21は前述同様に分力F1、F2に分散されて、分力F1によってカム溝74が左右両スライド板54を矢印G方向へスライドしようとする。従って、分力F1より大きな力Kを発生する力K2で左右両スライド板54を矢印b方向に駆動しなければ、上側ベースプレート47を矢印f方向に上昇駆動することができる力K1が発生しないことになる。従って、上側ベースプレート47の荷重Fが大きいと、力F1は大きくなり、その上側ベースプレート47を矢印f方向に上昇させるための大きな駆動力が必要になり、大型で、強力な駆動モータ62が必要になる。
【0062】
しかし、上側ベースプレート47が4本の引張りコイルバネ76によって力Hで弾性的に吊り下げられていて、その力Hが荷重Fの逆方向に働いているので、上側ベースプレート47の荷重Fが4本の引張りコイルバネ76の力Hによって見かけ上減少(F−H)、即ち、キャンセルすることになり、このGの力が大幅に減少される。従って、駆動モータ62に小型モータを使用しても、荷重の大きい下側ベースプレート47を上昇位置まで矢印f方向にスムーズに上昇することができる。
【0063】
なお、従来のカートリッジローディング機構の中には、上側ベースプレート47の下降時の荷重による駆動系への悪影響を低減させる目的で、その下降時にのみ働く、いわゆる片利き方式のオイル・メカダンパーをギアトレイン63中に組み込むようにしたものがあるが、本発明のディスク装置11のカートリッジローディング機構51のように、カートリッジホルダー52の矢印a、b方向の水平駆動及び矢印e、f方向の垂直駆動と合せて、上側ベースプレート47を矢印e、f方向に垂直駆動するようにした、いわゆる正逆2方向の駆動を必要とするものでは、本来ダンパー作用が必要でない矢印a、b方向の水平駆動中にもダンパー作用が働いてしまい、その正逆2方向で駆動力に対する負荷が変化してしまうと言う不都合が発生する。また、オイル・メカダンパーは弾性吊下げ手段に適用した引張りコイルバネ76に比べて部品単価が高く、オイル漏れやメカ破損等の部品トラブルが発生し易いと言う問題がある。そして、引張りコイルバネ76はその種類や大きさによってダンパー力を簡単に選択することができるが、オイル・メカダンパーの場合は、その選択の範囲が非常に狭いと言う問題もある。また、上側ベースプレート47の荷重が重い場合には、カム溝74の傾斜角度を緩くすると言う方法もあるが、左右両スライド板54の移動ストロークが大きくなったり、ローディング及びイジェクトの時間が長くなり、その移動ストロークの増大はディスク装置11の大型化を招いてしまう。更に、大きな駆動力を得るためには、大型の駆動モータ62を使用すれば良いが、モータ62の単価が増大したり、左右両スライド板54及び各カム機構75に大きな負荷がかかり易く、これらが破損され易い等、信頼性を悪化させることになる。
【0064】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されることなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変更が可能である。
【0065】
【発明の効果】
以上のように構成された本発明のディスク装置は、ディスクカートリッジをカートリッジ挿入口から挿入して開閉ドアを内側へ押し開いた後、フロントパネルの内側に配置されたカートリッジローディング機構によってそのディスクカートリッジを少なくともローディング開始位置の下方に配置されたローディング完了位置へ下降させて、そのディスクカートリッジと開閉ドアとの接触を断つことにより、開閉ドアを閉蓋位置まで回転復帰させてカートリッジ挿入口を内側から閉塞し、記録、再生後にカートリッジローディング機構によってローディング完了位置からローディング開始位置へ上昇されるディスクカートリッジを開閉ドアに接触させて、その開閉ドアを閉蓋位置から開蓋位置へ付勢手段に抗して開くことができるように、開閉ドアの回転支点を上記カートリッジ挿入口の上下方向のほぼ中央位置よりも下方に配置し、カートリッジ挿入口の内側外周にパッキンが付設され、パッキンに対する圧着部が開閉ドアの前面側の外周に形成され、開閉ドアの閉蓋時に、圧着部の少なくとも上下両側部がパッキンの少なくとも上下両側部にほぼ均等の圧着力で圧着されるように、圧着部の上下両側部に対する回転支点からのアーム長がほぼ等しく構成されているので、開閉ドアを付勢手段によって閉蓋位置へ回転させた時に、開閉ドアの圧着部の上下両側部がパッキンの上下両側部に対してほぼ均等の圧着力で圧着されることになる。その結果、開閉ドアによるカートリッジ挿入口の密閉能力が大幅に増大し、ディスク装置の防塵性が大幅に向上する上に、開閉ドアの付勢手段のバネ力を十分に小さくすることが可能になり、ディスクカートリッジによって開閉ドアを弱い力で、簡単に押し開くことができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した実施の形態を説明するディスクカートリッジと開閉ドアの斜視図である。
【図2】同上の開閉ドアの正面図及び開閉ドアとディスクカートリッジの平面図である。
【図3】図2のA−A矢視での拡大断面側面図及びB−B矢視での拡大断面側面図である。
【図4】同上の開閉ドアをディスクカートリッジによってカートリッジ挿入口の内側へ押し開く要領を説明する一部切欠き側面図である。
【図5】同上の開閉ドアの変形例の押し開き動作を説明する一部切欠き側面図である。
【図6】同上の開閉ドアが取り付けられたディスク装置のカートリッジ挿入口部分の一部切欠き平面図である。
【図7】図6の一部切欠き側面図である。
【図8】図6の開閉ドアの右側端部を拡大して示した一部切欠き平面図である。
【図9】図6の開閉ドアの左側端部を拡大して示した一部切欠き平面図である。
【図10】図8のC−C矢視での拡大断面側面図である。
【図11】図8のD−D矢視での拡大断面側面図である。
【図12】図8のE−E矢視での拡大断面側面図である。
【図13】ディスクカートリッジの挿入時に開閉ドアがそのディスクカートリッジ上に乗り上げるようすを説明する一部切欠き側面図である。
【図14】ディスクカートリッジによる開閉ドアの開閉動作を説明する一部切欠き側面図である。
【図15】ディスクカートリッジのローディング動作と、それに関連された開閉ドアの開閉動作を説明する一部切欠き側面図である。
【図16】図15に引き続く上記動作を説明する一部切欠き側面図である。
【図17】ディスクカートリッジのイジェクト動作とそれに関連された開閉ドアの開閉動作を説明する一部切欠き側面図である。
【図18】図17に引き続く上記動作を説明する一部切欠き側面図である。
【図19】開閉ドアのディスクカートリッジとの接触部にコロを取り付けた変形例を示した一部切欠き側面図である。
【図20】開閉ドアのディスクカートリッジとの別の接触部にコロを取り付けたもう1つの変形例を示した一部切欠き側面図である。
【図21】カートリッジ挿入口の防塵構造を説明するフロントパネルの正面図である。
【図22】同上の防塵構造を説明するカートリッジ挿入口の背面図である。
【図23】同上の防塵構造を説明するパッキンと開閉ドアの正面図である。
【図24】同上の防塵構造を説明する断面側面図である。
【図25】同上の防塵構造の変形例を説明する断面側面図である。
【図26】ディスク装置の正面図である。
【図27】ディスク装置のディスクカートリッジ挿入開始状態を示した一部切欠き平面図である。
【図28】ディスク装置のディスクカートリッジのローディング完了状態を透視した正面図である。
【図29】ディスク装置のディスクカートリッジのローディング完了状態を透視した平面図である。
【図30】ディスク装置内の上側ベースプレートを4本の引張りコイルバネで吊り下げたようすを概略的に示した斜視図である。
【図31】ディスク装置内のカートリッジローディング機構及び昇降機構を透視したディスクカートリッジの挿入開始状態の側面図である。
【図32】ディスク装置内のカートリッジローディング機構及び昇降機構を透視したディスクカートリッジの引込み完了状態の側面図である。
【図33】ディスク装置内のカートリッジローディング機構及び昇降機構を透視したディスクカートリッジのローディング完了状態の側面図である。
【図34】ディスク装置内のカートリッジローディング機構及び昇降機構を透視したディスクカートリッジのイジェクト開始状態の側面図である。
【図35】ディスク装置内のカートリッジローディング機構及び昇降機構を透視したディスクカートリッジのイジェクト完了状態の側面図である。
【図36】ディスク装置内の上側ベースプレートの昇降機構を透視した図32に対応された側面図である。
【図37】ディスク装置内の上側ベースプレートの昇降機構を透視した図32に対応された正面図である。
【図38】ディスク装置内の上側ベースプレートの昇降機構を透視した図33に対応された側面図である。
【図39】ディスク装置内の上側ベースプレートの昇降機構を透視した図33に対応された正面図である。
【図40】同上の昇降機構における上側ベースプレートの下降駆動時における引張りコイルバネの働きを説明する側面図である。
【図41】同上の昇降機構の上側ベースプレートの上昇駆動時における引張りコイルバネの働きを説明する側面図である。
【図42】両面ディスクを収納したディスクカートリッジのシャッター閉蓋状態の平面図である。
【図43】同上のディスクカートリッジのシャッター開蓋状態の平面図である。
【図44】従来の開閉ドアとディスクカートリッジの関連を説明する平面図である。
【図45】従来の開閉ドアのディスクカートリッジによる押し開き動作を説明する一部切欠き側面図である。
【図46】従来のカートリッジ挿入口の防塵構造を説明する断面側面図である。
【符号の説明】
1はディスクカートリッジ、11はディスク装置、12はフロントパネル、13はカートリッジ挿入口、21は開閉ドア、25は開閉ドアのガイド突起、32は回転支点である支点軸、34は回転付勢手段である引張りコイルバネ、46はローディング機構に同期して昇降される部材である上側ベースプレート、51はカートリッジローディング機構、71は昇降機構、91は昇降する上側ベースプレートに形成した開蓋禁止手段である。
Claims (1)
- フロントパネルに形成されたカートリッジ挿入口を内側から開閉する開閉ドアを有し、そのカートリッジ挿入口に挿入されるディスクカートリッジによってその開閉ドアを内側へ押し開くように構成したディスク装置において、
上記ディスクカートリッジを上記カートリッジ挿入口から挿入して上記開閉ドアを内側へ押し開いた後、上記フロントパネルの内側に配置されたカートリッジローディング機構によってそのディスクカートリッジを少なくともローディング開始位置の下方に配置されたローディング完了位置へ下降させて、そのディスクカートリッジと上記開閉ドアとの接触を断つことにより、上記開閉ドアを閉蓋位置まで回転復帰させて上記カートリッジ挿入口を内側から閉塞し、記録、再生後に上記カートリッジローディング機構によってローディング完了位置からローディング開始位置へ上昇される上記ディスクカートリッジを上記開閉ドアに接触させて、その開閉ドアを閉蓋位置から開蓋位置へ上記付勢手段に抗して開くことができるように、上記開閉ドアの回転支点を上記カートリッジ挿入口の上下方向のほぼ中央位置よりも下方に配置し、
上記カートリッジ挿入口の内側外周にパッキンが付設され、
上記パッキンに対する圧着部が上記開閉ドアの前面側の外周に形成され、
上記開閉ドアの閉蓋時に、上記圧着部の少なくとも上下両側部が上記パッキンの少なくとも上下両側部にほぼ均等の圧着力で圧着されるように、上記圧着部の上下両側部に対する上記回転支点からのアーム長がほぼ等しく構成されている
ことを特徴とするディスク装置。
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