JP4053210B2 - プラズマ加工法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマ加工法に関する。特に、真空アークにより発生させた蒸発粒子で構成されるプラズマを利用して薄膜(蒸着膜)形成や表面改質するのに好適なプラズマ加工法に関する。
【0002】
ここでプラズマ加工とは、プラズマ放電による分子解離の結果発生するイオンを含む蒸発粒子を、基材表面に堆積(deposition)させて蒸着膜(薄膜)を形成したり、又は、打ち込み( implantation)により表層改質(表面硬化等の)を行なうことをいう。
【0003】
ここでは、真空アーク放電を主として例にとり説明するが、真空アーク放電によらない他の放電、例えば、グロー放電等により発生するプラズマ(弱電離プラズマ)を利用する加工法にも本発明は適用できるものである。
【0004】
【従来の技術】
各種機械材料の表面改質、電子デバイス、光学フィルタの製造等においては、該材料表面に薄膜を形成する技術が必要不可欠である。
【0005】
薄膜形成技術としては、ゾルゲル法、スプレー法などの湿式成膜法、化学的蒸着法(CVD:Chemical Vapor Deposition)、物理的蒸着法(PVD:Physical Vapor Deposition)などの蒸着法がある。
【0006】
薄膜形成法の一つであるPVD法のうち、代表的なものとして、真空アーク蒸着法(真空アークイオンプレーティング(Arc Ion Plating ) 法:AIP法)がある。
【0007】
該真空アーク蒸着法は、真空中でアーク放電によりプラズマを発生させて、ターゲット(陰極:カソード)を蒸発、イオン化させ、陰極(蒸発源)からなる薄膜又は蒸発源と雰囲気ガスとからなる反応膜を基板上に生成させる方法である。
【0008】
真空アーク蒸着法は、蒸気のイオン化率が高く、緻密で密着性に優れた蒸着膜(被膜)が得られるため、工具、機械部品等への耐摩耗性の硬質被膜形成に適しており、生産性の高さとあいまって工業的に注目されている(「神戸製鋼技報 vol.39 No.1(1989)」 p32-35 ”アークイオンプレーティング法による硬質被膜コーティング”及び「同 vol.41 No.4(1991)」 p103-106 ”AIP法による各種硬質被膜形成とその応用”参照)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、真空アーク蒸着法においては、基本的には、陰極(ターゲット)と雰囲気ガスとからなる反応膜しか形成できない。
【0010】
そのため、例えばAlを混合したZnO膜を基板上に形成させようとする場合には、AlとZnとを混合した合金で陰極(カソード)を用いて放電を行なわなければならなかった。
【0011】
真空アーク蒸着用に使用する上記合金陰極は、入手が困難で、かつ、相対的に高価であった。更に、上記合金を陰極として用いた場合、生成膜の成分比は合金の成分比に依存するため、生成膜の成分比を任意に制御することが困難であった。
【0012】
本発明は上記にかんがみて、真空放電によるプラズマの構成成分(組成)をより自由に制御可能なプラズマ加工法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意、研究・開発に努力する過程で、陰極からの蒸発粒子及び導入ガス(プロセスガス)の粒子のみではなく、陽極形成材料もプラズマ構成成分とすれば、プラズマ組成、さらには該プラズマによって形成される蒸着膜の成分比が容易に制御可能となることを知見して、下記プラズマ加工法に想到した。
【0014】
陰極(第一電極)と陽極(第二電極)との間の真空アーク放電によりプラズマを発生させて、該プラズマを利用して基板を加工する方法であって、前記プラズマの構成粒子として、前記第一電極からの第一蒸発粒子、及び、導入ガスの粒子に加えて、前記第二電極からの第二蒸発粒子とを含ませるようにした真空アーク蒸着法において、
さらに、不活性な第三電極を前記第一電極に対する副陽極として配置し、前記第一電極からのアーク電流(電子電流)を第二電極と第三電極とに分流させることにより、前記第二電極自身の蒸発量を制御することを特徴とする。
【0015】
上記構成において、第二電極をるつぼ状電極とし、該るつぼ状電極に蒸発性物質を充填して、前記プラズマの構成粒子である第二蒸発粒子として、前記第二電極自身の蒸発粒子に代えて蒸発性物質からの第二蒸発粒子を含ませるようにした構成により、プラズマ構成粒子の組成の制御がより容易となる。
【0016】
上記各構成において、プラズマに磁界を印加し、プラズマを一方の電極近辺に偏在させることにより、プラズマを収束させてプラズマ加熱の効率を増大させて、電極(電極容器に充填されている蒸発性物質を含む。)からの蒸発量を増大させることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は図示の構成に限定されるわけではなく、種々の設計変更が可能であることは勿論である。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態である真空アーク蒸着法に使用する装置の概略モデル図である。
【0021】
本実施形態は、基本的には、陰極(第一電極)102と陽極(第二電極)107との間の真空放電によりプラズマを発生させて、該プラズマを利用して基板114を加工するプラズマ加工法を前提とする。本実施形態では、真空放電は、アーク放電であり、加工は、蒸着加工である。また、アーク放電における、放電条件は、電流:1〜600A(望ましくは5〜300A)、電圧:5〜80V(望ましくは15〜50V)、真空度(低圧の状態):10-4〜10Pa(望ましくは10-2〜5Pa)とする。
【0022】
このプラズマ加工法において、プラズマの構成粒子として、第一電極(陰極)102からの第一蒸発粒子112、及び、導入ガスの反応性粒子115に加えて、第二電極(陽極)107からの第二蒸発粒子113とを含ませるようにしたものである。
【0023】
ここでプラズマの構成粒子には、荷電粒子(気体イオン、電子)ばかりでなく、気体分子、気体原子等の中性粒子も含む。
【0024】
真空チャンバ101内には、第一電極(陰極:カソード)102、第二電極(陽極:アノード)107、高融点金属(例えばMo(2610℃)、W(3387℃)等)で形成されたトリガ電極103、及び基板109が配置されている。なお、元素記号の後の括弧内は、それぞれ1013 hPa(1気圧)における融点である(以下同じ。)。
【0025】
各電極は真空チャンバ101とは絶縁されるように電流導入端子104を介して外部の電気回路にそれぞれ接続されている。
【0026】
トリガ電極103はアーク放電を発生するために配置される電極であり、電流制限抵抗器105を介して第一電源106に接続されている。なお、トリガ電極103は第二電源108に接続してもよい。トリガ電極103を一旦、第一電極102に接触させることで、真空アーク放電を発生させる。また、真空アーク放電を発生させるために、レーザー誘起法又は高電圧パルス誘起法を用いてもよい。
【0027】
真空チャンバ101は、汎用の排気システム111により排気し、かつ、汎用のガス導入システム110により、一定流量のガスを導入可能とされている。排気システム111及びガス導入システム110を制御することで、真空チャンバ101内の圧力を一定に制御することができる。
【0028】
ここで、真空チャンバ101の形成材料は、不活性(不動態)材料であるステンレス等で形成する。後述の第三電極(副陽極)として使用するためである。
【0029】
そして、第一電極(陰極)102と第二電極(陽極)107との間に真空アーク放電を発生させるために、第一電源106を接続する。第一電源106は、直流電源、パルス電源(高周波電源を含む)とする。
【0030】
また、第一電極(陰極)102の形成材料は、導電性を有する固体なら特に限定されない。金属単体、合金、無機単体、無機化合物(金属酸化物)等、特に問わず、それらは単独又は2種以上混合して使用することができる。
【0031】
金属単体としては、Al、Ti、Zn、Cr、Sb、Ag、Au、Zr、Cu、Fe、Mo、W、Nb、Ni、Mg、Cd、Sn、V、Co、Y、Hf、Pd、Rh、Pt、Ta、Hg、Nd、Pb等を、合金(金属化合物)としては、TiAl、AlSi、NdFe、無機単体としては、C、Si等を、無機化合物(セラミックス)としては、TiO2 、ZnO、SnO2 、ITO(Indium tin 0xide:Y3 Sn512)、In23 、Cd2 SnO4 、CuO等の酸化物、TiN、TiAlN、TiC、CrN、TiCN等の炭・窒化物等を、それぞれ挙げることができる。
【0032】
また、同種または異種の材料の第一電極102をアーク放電系中に複数個配してもよい。プラズマ組成の多様性を増大させることができる。
【0033】
真空アーク放電においては、陰極である第一電極102から、膜形成(製膜)に利用されるイオンが放出されると同時に、サブミクロンから数十ミクロンサイズの溶融微粒子(いわゆるドロップレット)を発生することが多い。このドロップレットが生成膜に付着すると膜の特性が低下させることがある。
【0034】
ドロップレットを除去するためには、第一電極(陰極)102の構造として、磁気フィルタ型、シールド型、分散放電型などを採用する。
【0035】
他方、第二電極(陽極)107の表面も第一電極(陰極)102程の高温(2000〜6000K)とはならないが、やはりジュール熱等により相当な高温(700〜4000K)となる。このため、第二電極107を、低融点金属で形成したものとすれば、第二電極107からも粒子を蒸発させて、プラズマの構成粒子として利用することができる。この場合、第二電極107は、真空チャンバ101内のどこにでも自由な位置に配置できる。また、電極の形状も特に限定されず、汎用の形状とすればよい。上記低融点金属としては、Al(660℃)、Zn(419℃)、Sb(630℃)、Mg(651℃)、Sn(232℃)などを挙げることができる。
【0036】
また、第二電極107は、一個でもよいが、複数個設けることにより、プラズマ組成の制御(多様化)が可能となる。なお、複数個設ける場合は、同種の電極を用いることも可能であるし、異種材料を蒸発させるために用いることも可能である。
【0037】
本実施形態では、真空チャンバ101と第一電極102とを、電源108を介して接続することにより真空チャンバ自体を第三電極(補助陽極)101として併用できる構成としてある。このことにより、第一電極102の材料蒸発を促進できる。電源108には、直流、交流及びパルス電流のいずれかを利用できる。なお、第三電極は用いなくてもよいし、真空チャンバ101を第三電極として用いずに、別途真空チャンバ内に第三電極を配置してもよい。
【0038】
上記構成により、第一電極102と第三電極(真空チャンバ)101との間、及び第一電極102と第二電極107との間でそれぞれ真空アーク放電を発生させる。このことにより、第一電極102の蒸発量及び第二電極107の蒸発量をそれぞれ独立して制御することが可能となり、プラズマ組成をより広範(多様)なものとすることができる。
【0039】
そして、上記方法により発生したプラズマ中に基板109を配置し、基板109表面に、第一・第二電極102、107を形成する材料の蒸発粒子と、反応性の導入ガス粒子115とで形成される混合膜を蒸着形成すれば、従来形成するのが困難であった組成比の蒸着膜114を容易に形成(成膜)することが可能となる。
【0040】
基板109には、生成膜の膜質を制御するために直流バイアスまたはパルスバイアスを印加してもよい。
【0041】
特に、高電圧パルスバイアスを印加することで、プラズマ中のイオンが基板109表層に注入可能とすれば、多元素のイオンが同時に注入された表面改質膜が得られる。
【0042】
導入ガスとしては、非反応性ガスと反応性ガスとを併用してもよい。反応性ガスを希釈して蒸発粒子との反応制御を容易とするためである。導入ガスとして反応性ガスを使用すれば、第一電極102から蒸発した反応性の第一蒸発粒子112、第二電極から蒸発した反応性の第二蒸発粒子113及び導入ガス粒子(反応性雰囲気ガス)との反応合成膜114が得られる。更に、傾斜膜(組成が膜形成方向で徐変する)を形成するために異種ガスの導入タイミングを変化させて、被反応性ガスの比率を徐変させてもよい。
【0043】
なお、導入ガスは必ずしも必要ではない。すなわち、ドーピングされたダイヤモンドライクカーボン膜を蒸着(堆積)するような場合にはガスを導入しなくてもよい。
【0044】
上記非反応性ガスとしては、Ar、He等の希ガスを使用する。また、上記反応性ガスとしては、窒素(N2 )、酸素(O2 )、炭化水素ガス(CH4 、C26 、C24 、C22 等)、酸化炭素(CO、CO2 等)等を使用できる。
【0045】
プラズマは良好な導電体であるため磁界を印加すれば、プラズマを一方の電極近辺に偏在させることができ、プラズマ組成の制御がより容易となる。
【0046】
例えば、第二電極(陽極)近傍に磁界を印加すればプラズマを第二電極に集中させることができて、第二電極からより多く蒸発する。プラズマが第二電極表面近傍に集中し、第二電極自身、あるいは蒸発物質表面がプラズマの熱及びイオン・電子衝撃により加熱され、蒸発が生じやすくなる。第二電極を複数個設けられている場合は、蒸発量を増加させたい第二電極のみに磁界を印加すれば、容易にプラズマ組成を変化させることが可能である(逆に第二電極の物質の蒸発量を抑えたい場合には、第一電極付近に磁界を印加して、第二電極付近にプラズマを集中させない状態とすればよい。)。
【0047】
図2は、第二電極107の下方に磁石116を配置して、第二電極(陽極)107の蒸発を促進する工夫をしたものである。
【0048】
プラズマ118は、磁石116が発生する磁束117によって、第二電極107表面で収束され、高密度化する。その結果、第二電極107表面の一部が局所的に加熱され、第二電極107の蒸発がより容易となる。
【0049】
プラズマ収束用の磁界を発生させるには、永久磁石あるいは電磁石等を利用する。また、プラズマ118が第二電極(陽極)107表面に収束すればよく、図2とは異なる磁石の配置も可能である。
【0050】
図3は、図1において、第一電極(陰極)102、第二電極107(陽極)及び第三電極(補助陽極)101と接続する外部電気回路の変形態様を示す。
【0051】
電源206は第一電極102と第二電極107との間に接続される。電源206の正極側は、電流制限用の可変抵抗器205を介して第三電極(真空チャンバ)101に接続される。
【0052】
電源206からの出力電流iは、第一電極102と第二電極107との間に流れる電流i2 と、第一電極102と第三電極103との間に流れる電流i3 とに分流される。可変抵抗器205の値を調整すると、i2 とi3 との比を制御できる。このようにして第二電極107へ流入する電流値を制御することで、第二電極107の蒸発量を調整できる。この方式を利用すると、電源が一個であるので設備費(initial cost) 及び成膜時の運転費(running cost) を低減できる。
【0053】
電源206と第三電極101を直接接続し、可変抵抗器205を電源206と第二電極107との間に挿入する方式も可能である。また、電源206と第三電極101との間に設けた可変抵抗器205に加えて、さらに、電源206と第二電極107との間にも同様の可変抵抗器を設けて可変抵抗器を2個としてもよい。このように可変抵抗器を2個とすることにより、各電極間の電流のより細かな制御が可能となる。
【0054】
図4は、本発明の他の実施形態における真空アーク蒸着法に使用する装置の概略モデル図である。
【0055】
本実施形態では、プラズマの組成制御をより容易に達成するために、第二電極(陽極)をるつぼ状をした電極容器とし、該電極容器内に蒸発性物質を充填可能としてある。
【0056】
そして、蒸発性物質としては、金属、合金、半導体、誘電体、有機高分子、セラミックス系微粒子、炭素系微粒子の中から1種又は2種以上を選択して使用する。
【0057】
なお、炭素系微粒子としては、従来の炭素微粒子の他、フラーレン、ナノチューブ、カーボンマイクロコイル、カーボンナノコイル等と称されているものから選択できる。
【0058】
真空チャンバ401内には、第一電極402、るつぼ状の第二電極403が配置され、電流導入端子404を介して第一電源412と接続される。第一電極402を起点として発生した真空アークプラズマを第二電極403の表面に収束させるため、第一磁石405及び第二磁石408が配置される。
【0059】
これにより、第一電源412から供給されるアーク電流(電子電流)は、矢印419に沿って流れる。そして、第一電極402からは、矢印417のように第一電極402の形成材料が蒸発する。第二電極403からは、矢印406のようにるつぼ内の材料が蒸発する。微粒子連続供給装置421を用いて、第二電極403からの蒸発を連続的に行なうことができる。
【0060】
第一電極402からの真空アークプラズマの発生を安定化するために、リング状の第三磁石414が配されている。すなわち、真空アーク放電の第一電極402表面における陰極点の運動を磁界で制御することにより、放電自体を安定化させる。また、この磁界によって陰極点の運動位置を制御できるため、電極の消耗形状も制御できる(均一消耗が可能となる。)。
【0061】
第一電極(陰極)402とリング状の第三電極(補助陽極)410との間に電流導入端子404を介して第二電源413が接続されている。第一電極402からの蒸発量及びイオンの放出方向を制御できる。また、リング状の補助第三電極411を電流制限用の可変抵抗器422を介して接続することで、真空アークプラズマの安定化、蒸発量の制御及びイオンの放出方向の制御ができる。なお、第三電極、及び補助第三電極の形状は、リング状以外、例えばコイル状であってもよい。
【0062】
すなわち、本来的には第一電極402と第三電極410との間で放電させたい。しかし、その場合、放電抵抗が高くなり過ぎるので、途中に補助第三電極411を入れる。そして、途中に補助第三電極411を入れると補助第三電極411は第一電極402と近いため、可変抵抗器(制限抵抗)422を挿入しないと、放電が第一電極402と補助第三電極411との間で完結してしまい、イオンの引き出し効率が大幅に低下する。また、第一電極402と補助第三電極411との間に抵抗を入れて第一電極402と第三電極410との間に抵抗なしの構成とすることにより、第一電極402から第三電極410に向かう方向に電界が形成されて、イオンの放出方向を規定できる。
【0063】
発生したプラズマの拡散方向を制御するため、リング状の第四磁石415が配置されている。第四磁石415は、プラズマの急激な拡散を防ぐ作用を奏する。プラズマが急激に拡散すると、基板409に飛行するイオンの量が大幅に低減する。
【0064】
第一電極402からの蒸発物質と第二電極403からの蒸発物質を混合させるため、リング状の第五磁石416が配置されている。
【0065】
また、真空チャンバ401内へ各種不活性・反応性ガスをガス導入口420から導入できる。その結果、プラズマ418は、第一電極402からの第一蒸発粒子、第二電極403からの第二蒸発粒子、及び、導入ガス粒子(反応性ガス粒子を含む。)を構成成分とする混合プラズマとなる。プラズマ418中に基板409を配置すれば、それらの蒸発粒子の反応合成膜が得られる。
【0066】
【発明の効果】
本発明のプラズマ加工法は、上記方法を使用することにより、多元素イオン、原子及び分子で構成される複雑な組成を有するプラズマを容易にかつ安価に発生させることが可能となる。
【0067】
また、プラズマを構成する元素の割合の制御が多方面から容易となる。
【0068】
そのため、発生したプラズマを利用して、多元素で構成される複雑な成分比を有する薄膜を容易にかつ安価に製造する方法を提供することが可能になる。
【0069】
【実施例】
以下に、図1に示す装置を用いて、ここでは、第一電極102をZn製とし、第二電極107を銅製の水冷るつぼ(電極容器)とし、該るつぼ内には蒸発性物質としてIn23 微粒子を充填した。
【0070】
装置内へはO2 (導入ガス)を導入して、装置内圧力を0.5Paに保った。この状態で第一電極102と第二電極107との間のアーク電流:30Aとして基板109上に、5min 間成膜を行なった。
【0071】
EDX(Energy Dispersive X-ray Spectrometer:日本フィリップス社製「DX−4」) を用いて生成膜の組成を分析したところ、Zn:In:O=35:8:57であった。このことから、第一電極102及び第二電極107の蒸発粒子と導入ガス粒子(O2 )との混合膜が得られることが分かる。更に、該生成膜のX線回折分析(理学社製「RINT−2000」)を行なったところ、ZnO及びInXX の回折線が同定された。
【0072】
上記と同様の条件に準じ、るつぼ状第二電極に充填する蒸発性物質を、In23 からAl微粒子に代えて、るつぼ状第二電極から蒸発させたところ、Zn:Al:O=42:2:56の組成を有する反応膜が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に使用するアーク蒸着装置の一例を示す概略モデル図。
【図2】本発明の実施の形態に係る第二電極へのプラズマ収束法の一例を示す概略図。
【図3】図1におけるアーク蒸着装置における外部電源回路の変形態様を示す概略モデル図。
【図4】本発明の他の実施形態に使用するアーク蒸着装置の一例を示す概略モデル図。
【符号の説明】
101…真空チャンバ兼第三電極(補助陽極)
102、402…第一電極(陰極)
107、403…第二電極(陽極)
109、409…基板
401…真空チャンバ
410…第三電極(補助陽極)
411…補助第三電極(補助陽極)
118、418…プラズマ

Claims (10)

  1. 陰極(第一電極)と陽極(第二電極)との間の真空アーク放電によりプラズマを発生させて、該プラズマを利用して基板を加工する方法であって、前記プラズマの構成粒子として、前記第一電極からの第一蒸発粒子、及び、導入ガスの粒子に加えて、前記第二電極からの第二蒸発粒子とを含ませるようにした真空アーク蒸着法において、
    さらに、不活性な第三電極を前記第一電極に対する副陽極として配置し、前記第一電極からのアーク電流(電子電流)を前記第二電極と前記第三電極とに分流させることにより、前記第二電極自身の蒸発量を制御することを特徴とする真空アーク蒸着法。
  2. 前記プラズマに磁界を印加し、プラズマを一方の電極近辺に偏在させることを特徴とする請求項1記載の真空アーク蒸着法。
  3. 陰極(第一電極)と、陽極(第二電極)との間の真空アーク放電によりプラズマを発生させて、該プラズマを利用して基板を加工する方法であって、前記第二電極をるつぼ状電極として、該るつぼ状電極に蒸発性物質を充填し、
    前記プラズマの構成粒子として、前記第一電極からの第一蒸発粒子、及び、導入ガスの粒子に加えて、前記蒸発性物質からの第二蒸発粒子とを含ませるようにした真空アーク蒸着法において、
    さらに、不活性な第三電極を前記第一電極に対する副陽極として配置し、前記第一電極からのアーク電流(電子電流)を第二電極と第三電極とに分流させることにより、前記蒸発性物質の蒸発量を制御することを特徴とする真空アーク蒸着法。
  4. 前記プラズマに磁界を印加し、プラズマを一方の電極近辺に偏在させることを特徴とする請求項3記載の真空アーク蒸着法。
  5. 真空チャンバーと前記真空チャンバー内に配される、陰極(第一電極)と陽極(第二電極)とを備え、
    前記第一電極と第二電極との間で真空アーク放電によりプラズマが発生可能されるとともに、該プラズマ中に基板を配置可能とされた真空アーク蒸着装置において、
    さらに、不活性な第三電極を前記第一電極に対する副陽極として備え、前記第一電極からのアーク電流(電子電流)が第二電極と第三電極とに分流可能とされて、前記第二電極自身からの蒸発量を制御可能とされていることを特徴とする真空アーク蒸着装置。
  6. 前記第三電極が真空チャンバーで形成されていることを特徴とする請求項5記載の真空アーク蒸着装置。
  7. さらに磁石を備え、前記プラズマに磁界を印加して、プラズマを一方の電極近辺に偏在させることが可能とされていることを特徴とする請求項5又は6記載の真空アーク蒸着装置。
  8. 真空チャンバーと前記真空チャンバー内に配される、陰極(第一電極)と陽極(第二電極)とを備え、
    前記第二電極がるつぼ状電極とされて、該るつぼ状電極に蒸発性物質を充填可能とされ、
    前記第一電極と前記第二電極との間で真空アーク放電によりプラズマが発生可能されるとともに、該プラズマ中に基板を配置可能とされた真空アーク蒸着装置において、
    さらに、不活性な第三電極を前記第一電極に対する副陽極として備え、前記第一電極からのアーク電流(電子電流)が第二電極と第三電極とに分流可能とされて、前記るつぼ状電極からの蒸発性物質の蒸発量を制御可能とされていることを特徴とする真空アーク蒸着装置。
  9. 前記第三電極が真空チャンバーで形成されていることを特徴とする請求項8記載の真空アーク蒸着装置。
  10. さらに、磁石を備え、前記プラズマに磁界を印加して、プラズマを一方の電極近辺に偏在させることが可能とされていることを特徴とする請求項8又は9記載の真空アーク蒸着装置。
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