JP4051752B2 - 真空ポンプ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体製造設備等に用いられる真空ポンプに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体の製造プロセスにおけるCVD装置、ドライエッチング装置、スパッタ装置などには、真空環境を作り出すための真空ポンプが不可欠である。この真空ポンプに対する要望は、半導体プロセスの高集積化、微細化に対応するため、近年ますます高度になってきており、その主な内容は、高い真空到達圧が得られること、クリーンであること、メンテナンスが容易なこと、小型・コンパクトであること等である。
【0003】
半導体設備における成膜室、ロードロック室の真空引きには、粗引ポンプを中心に据えた排気システムが構成される。例えばCVD装置の成膜室の場合は、反応時における真空度の安定性を確保する必要がある。プラズマCVDの場合の成膜時の圧力条件の一例をとれば、2〜100mtorr、LP-CVDの場合は50〜200mtorrであり、このときの設定圧力の変動幅を±5mtorr以下に押さえねばならない。この設定圧力を保つのに通常圧力調整弁を用いるが、大量の反応性ガスを流すCVDなどのプロセスでは、粗引きポンプだけでは排気能力が不足して、圧力の整定が困難となる。そのため中真空領域以下で高い排気速度を持つ補助ポンプを粗引ポンプの上流側に設けた排気システムを構成する。
【0004】
ロードロック室の真空引きにも生産タクトアップのために、あるいはバックグランド真空圧を低くするために補助ポンプが用いられる。後者の場合、同一タクトの条件下で、例えば予備室のバックグランド圧を100mtorrから10mtorrにすれば、不純物(水分等)の発生を低く押さえることができる。このように半導体設備では粗引ポンプの性能を補いかつ高真空を作りだすために、通常粗引ポンプ(容積式真空ポンプ)と補助ポンプ(高真空ポンプ)の組み合わせからなる真空排気システムを構成している。
【0005】
以下従来技術とその課題について、[1]一般的な排気システムの場合、[2]本発明者らが提案した複合型真空ポンプの場合、について説明する。
【0006】
[1]一般的な排気システムの場合
従来の一般的な排気システムでは、適用するプロセスによって、ターボ分子ポンプ、メカニカルブースタのいずれかが補助ポンプとして用いられる。以下、粗引ポンプとその補助ポンプとして広く用いられているメカニカルブースタの構造について述べる。
【0007】
(1)粗引ポンプの構造
図8は、従来の粗引きポンプの一種であるねじ溝式(スクリュー式の一種)のドライ真空ポンプを示すものである。同図において、101はハウジング、102、103は回転軸、104と105はそれぞれ回転軸102、103に締結された筒型ロータである。それぞれのロータ104と105の外周部には、ねじ溝106と107が形成されている。ロータ104と105が回転すると、その回転に伴い、前記ねじ溝と前記ハウジングで形成される密閉空間が吸入側から吐出側へ移動して、吸入作用と吐出作用を行うのである。また同図のねじ溝式の真空ポンプでは、2個のロータ104、105の同期回転はタイミングギヤ110a、110bの働きによっている。すなわち、モータ108の回転は、駆動ギヤ109aから中間ギヤ109bに伝達され、両ロータ104、105の軸に設けられて互いに噛み合っているタイミングギヤの一方110bに伝達される。両ロータ104、105の回転角の位相は、これら2個のタイミングギヤ110a、110bの噛み合いにより調節されている。 駆動ギヤ109bの端部にはオイルポンプ111が組み込まれている。潤滑のためのオイル112は、ポンプ最下部のオイルパン113から前記オイルポンプにより吸い込まれ、オイルフィルターを経由して、前記軸受と前記ギヤに供給されている。
【0008】
(2)メカニカルブースタの構造
図9は、前述した粗引ポンプの補助ポンプとして用いられるメカニカルブースタである。200はモータロータ、201はモータステータ、202,203はまゆ型ロータ、204は吸入口、205は吐出口、206は回転軸、207,208,209は前記回転軸を支持する玉軸受、210はタイミングギヤ、211はロータケーシングである。上記構成のメカニカルブースタでは、軸端に設けられた一組のタイミングギヤにより、2つのまゆ型ロータは相互に接触することなく、90度の位相を保ちながら互いに逆方向に回転する。前記ロータと前記ケーシングで形成される密閉空間の移動により、気体は前記吸気口から吐出口へ輸送される。
【0009】
しかし、近年の半導体プロセスの複合化に伴い、複数個の真空チャンバーを独立させて真空排気する、いわゆるマルチチャンバー方式が半導体の薄膜加工設備の主流を占めるようになってきている。このマルチチャンバー化に対応するためには、チャンバー1つ1つに粗引きポンプと補助ポンプ(高真空ポンプ)の組み合わせからなる真空排気システムを必要とするが、このような真空排気システムをすべてのチャンバーに対して構成すると、真空排気装置全体が大型化・複雑化してしまうという問題点があった。
【0010】
[2]複合型真空ポンプの場合
上述した真空排気システムに代わるものとして、本発明者らは容積式粗引ポンプを構成するロータの同軸上に、中真空(中間流)領域以下の低圧気体を輸送するポンプ部分を容積式で構成した複合ポンプを既に提案(特開 平5−272478号 )している。
【0011】
図10における複合真空ポンプは、ハウジング301内に、第一回転軸302と第二回転軸303が、それぞれ鉛直方向にかつ回転自在に収納されている。また筒形のロータ304、305が、前記両回転軸の上端部でかん合されている。前記ロータの外周面には、ピッチと溝深さの異なるねじ溝(スクリュー溝の一種)が、互いに噛み合うように、上部(Bの位置)と下部(Aの位置)に形成されている。
【0012】
304、305が下部ねじ溝であり第一のポンプ部分、306,307が上部ねじ溝であり第二のポンプ部分を構成している。これらのねじ溝とハウジング1で形成される密閉空間が、両回転軸の回転に伴い、吸気口310側から吐出口311側へ移動し、この空間の移動により、容積式ポンプとしての吸入・排気(吐出)作用が得られる。
【0013】
上部ねじ溝308、309と前記ハウジングで形成される密閉空間の容積は、下部ねじ溝306、307と前記ハウジングで形成される密閉空間の容積よりもはるかに大きい。すなわち、下部ねじ溝(A部)は粘性流領域の圧力で気体を輸送する粗引ポンプとして、また上部ねじ溝(B部)は中間流領域および中間流領域以下の圧力で気体を輸送するメカニカルブースタとしての機能をカバーしている。
【0014】
またロータ305の同軸上かつ上部ねじ溝308、309から離れた上流側(C部)で、運動量移送式の超高真空ポンプ(第三のポンプ部分)が構成されている。回転部材312,313と固定部材314,315の微小な間隙部にある気体分子は、前記回転部材の高速回転により回転運動量を与えられて、前記容積式の各真空ポンプ部分(B部→A部)に輸送される。
【0015】
316、317はACサーボモータであり、第一回転軸302、第二回転軸303は、それぞれの軸に設けられたACサーボモータ316,317により、数万rpmの高速で同期回転する。両軸の回転信号は、前記吸気口側とは反対側の前記各回転軸の下端部に設けられたロータリエンコーダ318,319により検出される。
【0016】
上記構成により、中間流領域(1〜10-3torr)及び中間流領域以下の分子流域の気体の排気性能の大幅な向上が図れるため、メカニカルブースタを省略でき、真空排気システムとして大幅な小型化、簡素化がはかれる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
しかし上記複合型真空ポンプを、粗引ポンプと補助ポンプ(メカニカルブースタ)から構成される真空排気システムの代替として半導体プロセスに適用した場合、次のような問題が発生した。
【0018】
たとえばロードロック室では、成膜レートによって様々だが、短いものでは数秒のサイクルで大気開放と真空引きを繰り返す作業が継続される。このロードロック室に繋がった真空ポンプの吸入側は、大気開放時において衝撃的に大気圧が加わることになる。前述した複合型真空ポンプをこのロードロック室に適用した場合、次のことが明らかとなった。運動量輸送式である第三のポンプ部分(C部)は、密閉空間を持たないため比較的スムーズに気体を通過できる。しかし容積式の第二、第三のポンプ部分を気体が通過する際には次のような問題が生じる。メカニカルブースタとしての機能を有する第二のポンプ部分(B部)の排気容積は、粗引ポンプとしての機能を持つ第一のポンプ部分(A部)の排気容積と比べてはるかに大きい。そのため第二のポンプ部分を通過した輸送気体は、第一のポンプ部分の入り口320で大きく圧縮されることになる。すなわち大気開放時において、モータに衝撃的な負荷トルクが加わる。
【0019】
その結果、
▲1▼過負荷によって、モータの許容トルクの限界を超え、モータの焼き付き防止のための過電流エラーで非常停止する。
【0020】
▲2▼異常な圧縮熱により、ロータ306〜309が温度上昇してハウジング301もしくはロータ同士が接触して焼き付きをおこす。
等のトラブルが発生した。
【0021】
この複合型真空ポンプを成膜室に適用した場合、スロー排気を行わずメインバルブのみで真空引きを開始するとバルブオープンの直後において、モータの過負荷によりロードロック室と同様な問題が発生した。また薄膜設備が定常運転されている状態においては、通常成膜室はチャンバーのクリーニングの時を除いて圧力等の環境条件を変えない、すなわち真空圧を一定に保つのを原則とする。しかし装置の操作ミスによって、例えばガスパージの大量放出によって、成膜室が突如高圧になることも有り得るのである。この場合、成膜室に繋がる真空ポンプがもし停止すれば、量産時における致命的なトラブルとなる。
【0022】
本発明は、吸気側に大きな排気量を持ち、排気側に吸気側よりも小さな排気量を持つ真空ポンプ、たとえば大気から中真空以下の圧力領域までカバーできる複合型真空ポンプの大気開放時における前述した課題を解決する方策を与えるものである。
【0023】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明にかかる真空ポンプは、ハウジング内に収納された複数個のロータ及び前記複数個のロータのそれぞれに締結された複数個の軸と、前記複数個の軸の回転を支持する軸受と、前記ハウジングに形成された流体の吸入口及び吐出口と、前記吐出口側に設けられた容積式の第一のポンプと、前記吸入口側に設けられた容積式の第二のポンプとか構成される真空ポンプにおいて、前記第一のポンプと前記第二のポンプとの間の前記ハウジングには中継ポートが形成されると共に、前記中継ポートと前記吸入口を連絡するバイパス路と、前記バイパス路を開閉するバイパス弁を備え、前記バイパス弁は前記圧力差に応じて前記バイパス弁と前記バイパス路の側面との間の開度が変わる構造であり、前記バイパス弁の下側から上側に向かって一定値以上の圧力差が生じた場合、前記バイパス弁はポンプ内部から前記吸入口に向けて流体を逃がす真空ポンプを構成したものである。
【0024】
排気容積の小さな第一のポンプと排気容積の大きな第二のポンプとの間のハウジングに中継ポートを形成する。この中継ポートと吸入口側を連絡するバイパス路を形成して、かつこのバイパス路を開閉するバイパス弁を設ける。真空ポンプの吸入側が大気開放あるいは設定値以上の圧力になったことを検知する検出手段からの情報をもとに、バイパス弁を開放する。第二のポンプによって圧縮された高圧気体は、バイパス路を通過して再度吸入側に帰還するため、ポンプ内部の圧力は低下してモータの過負荷トルクに係る課題は解消される。
【0025】
本発明による真空ポンプでは、補助ポンプに相当する第二のポンプがバイパス弁の開放によってポンプの機能を失っても、粗引ポンプに相当する第一のポンプはその排気性能を失わない。したがって第一のポンプだけによる真空引きによって、チャンバー内の圧力が低下してバルブ前後の圧力差が所定の設定圧まで小さくなれば、バルブは遮断され、第二のポンプの機能はすみやかに回復する。
このバイパス弁に圧力差によって開閉する受動型のたとえばスロットル弁をもちいれば、バルブの構成はおおいに簡素化される。
【0026】
本発明を各ロータを独立したモータで駆動させる電子制御式同期制御の複合ポンプに適用した場合、次の効果が得られる。電子制御式同期制御の場合、非常時の同期ズレを考慮してロータ間の接触を防止する接触防止ギヤを設けている。たとえば急峻な負荷変動によって、2つのモータの同期制御が不安定になれば、上記接触防止ギヤ同士がまず衝突する。そして不安定状態が続く限り、両回転軸はこの衝突による振動を繰り返すことになる。本発明の適用により負荷変動に係る不安定要因がなくなるため、同期制御の信頼性は大幅に向上する。
【0027】
【発明の実施の形態】
図1は、この発明にかかる容積式真空ポンプ(粗引きポンプ)の一実施例を示す。第一回転軸1、第二回転軸2は上段、中段、下段で構成される各ハウジング3、4,5内に、軸受6a、6b、7a、7bによって支持され鉛直方向に収納されされている。各回転軸の上側には筒型の上部ロータ8,9、下側には下部ロータ10,11が前記回転軸にかん合されている。前記各ロータの外周面にはピッチと溝深さの異なるねじ溝(スクリュー溝の一種)が、互いに噛み合うように形成されている。
【0028】
12、13が下部ねじ溝であり第一のポンプ部分、14,15が上部ねじ溝であり第二のポンプ部分を構成している。これらのねじ溝とハウジング3,4で形成される密閉空間が、両回転軸の回転に伴い、吸気口16側から吐出口17側へ移動し、この空間の移動により、容積式ポンプとしての吸入・排気作用が得られる。
【0029】
上部ねじ溝14,15とハウジング3で形成される密閉空間の容積は、下部ねじ溝12,13とハウジング4で形成される密閉空間の容積よりもはるかに大きい。すなわち、下部ねじ溝(A部)は粘性流領域の圧力で気体を輸送する粗引ポンプとして、また上部ねじ溝(B部)は中間流領域および中間流領域以下の圧力で気体を輸送するメカニカルブースタとしての機能をカバーしている。
【0030】
18は吸入口が形成された上部蓋、19は下部ケースである。前記各回転軸の下端部に、回転位置センサー20,21が設けられており、オイルタンクを兼ねた前記下部ケース内に収納されている。
【0031】
22a、22bはACサーボモータの回転側であるモータロータ、23a、23bは固定側であるモータステータである。 第一回転軸1、第二回転軸2は、前記ACサーボモータにより、実施例では数万rpmの高速で回転する。両軸の回転信号は、回転位置センサー20,21により検出される。
【0032】
さて本実施例における2つの回転軸1,2の同期制御は、次の様な方法を用いた。すなわち、回転位置センサー20,21からの出力パルスは、仮想の回転ロータを想定して設定された設定司令パルス(目標値)と照合される。目標値と各センサー20,21からの出力値(回転数、回転角度)との間の偏差は、位相差カウンターにより演算処理され、この偏差を消去するように各軸の前記サーボモータの回転が制御される。 実施例の真空ポンプでは、各ロータ10,11の下端部に直結した形で、ロータ同士の接触を防止するための接触防止ギヤ24,25が設けられている。
【0033】
また、ハウジング3内の第2ポンプ部の下部には中継ポート26の空間が設けられており、この中継ポート26と吸気口16を結ぶバイパス路27とこのバイパス路を開閉するバイパス弁28が設けられている。
【0034】
さて上記構成による真空ポンプでは、吸気口16から気体がまったく流入していないか若しくは微量しか流入していない場合には、中継ポート内の圧力は10-2〜10-3torrまで減圧されている。このとき排気口17と中継ポート26の間は、第一のポンプの排気作用によって、おおよそ大気圧に等しい差圧が維持されている。一方、中継ポート26と吸気口16との間は、圧力の絶対値が小さいため差圧は小さく、第2のポンプはほとんど無負荷の状態で回転している。そのためモータにかかる負荷も第1のポンプのみを構成した場合に比べて大きく増加することはない。
【0035】
しかし、ここで本真空ポンプの吸気口16の上流に配置されたロードロック室や反応室内が大気圧の状態で、吸気側に設けられたバルブを突如大気開放することにより、ポンプ内へ高圧大流量の気体がポンプ内へ流れ込んできた場合を想定する。このとき第2のポンプが輸送する気体の量が第1のポンプが輸送できる気体の量をはるかに上回るため、中継ポート26の圧力が吸気口16の圧力(大気圧)以上に上昇して、第2のポンプの上流と下流の間に発生する差圧によって、モータに過大な負荷が加わることになる。しかしながら、本発明のポンプでは、中継ポート26と吸気口16を結ぶバイパス路27が設けられているため、中継ポート26の圧力が吸気口16の圧力より高くなれば、その差圧に比例した逆流が発生する。通常の運転状態では、バイパス路27は逆流による排気効率の低下を招かないようにバイパス弁28が配備されバイパス路27は閉じられている。また実施例では、バイパス弁28には常時弁を閉じる方向に力が働くようにバネ29が取り付けられており、バイパス弁の下側から上側に向かってある一定値以上の圧力差が働くと、その圧力差に応じて開度が変わる構造にした。この圧力差によって働く逆流調整機構によって、バイパス路27やバイパス弁28がない場合に比べて中継ポートの位置でのポンプ内圧力を小さくできる。したがって第2のポンプの吸気圧と排気圧の圧力差が小さくなり、大気開放時にモータにかかる負荷も小さくすることができた。
【0036】
図2に、バイパス路がある場合とない場合の吸気圧力に対するモータ負荷特性を示す。本実施例ではバイパスがない場合、おおよそ200torrの圧力で気体が吸気口に流入すると、モータがその限界動力である3kwを超えてしまうため、ポンプは停止してしまう。バイパス路がある場合、大気圧まで連続的に排気してもモータ負荷は2kwに達しなかった。第3図に第2図と同様に、バイパス路がある場合とない場合の排気能力を比較した実測データを示す。バイパス路およびバイパス弁を設けた場合、大気圧近傍では若干排気能力が落ちるが、真空排気設備として必要な10torr以下の領域ではバイパス路が無い場合と同じ性能を維持できることがわかる。かつ大気圧まで連続した排気能力特性を有しており、大気圧においても一定の排気能力を有する。
【0037】
バイパス弁の構造は、実施例で示したような圧力差によって開閉する受動型ではなく、たとえば圧力センサーからの情報をもとにアクチェータによって駆動される能動型でもよい。
【0038】
なお、実施例の真空ポンプでは、第一のポンプ部分、第二のポンプ部分共ロータの外周部にねじ溝を備えたスクリュー式の一種であるねじ溝式を採用した。実施例では、第一のポンプ部分、第二のポンプ部分のねじ溝はそれぞれ独立して形成しているが、第一のポンプ部分から第二のポンプ部分に至る区間で、ねじ溝のピッチ(あるいは溝深さ)が連続的に増大していく様な形状でもよい。この場合本発明では、バイパスの中継ポートに対して、下流側(吐出側)を第一のポンプ部分、上流側(吸入側)を第二のポンプ部分と定義することにする。
【0039】
また吸気側に大きな排気量を持ち、排気側に吸気側よりも小さな排気量を持つ構造の真空ポンプならば、到達真空圧がたとえば粘性流領域までしか引けないポンプでも大気開放時の課題は共通であり、本発明を適用できる。
【0040】
本発明を適用できる第一のポンプ、第二のポンプの形態としては、ルーツ型(図4)、歯車型(図5)、単ローベ型(図6(a))、複ローベ型(図6(b))、ネジ型(図7)であってもよい。またこれらの形態のポンプを組み合わせて第一、第二のポンプを構成してもよい。
【0041】
【発明の効果】
本発明を適用することにより、短いサイクルで大気開放と真空引きを繰り返すロードロック室にも複合型真空ポンプが適用可能となった。その結果、複合型真空ポンプの小型・省スペースの特徴を失わないで、生産タクトアップが図れるようになった。あるいは同一タクトの条件下で、バックグランド真空圧を、例えば2桁以上低くできるため、より高品位なプロセス条件が得られる。
【0042】
本発明による真空ポンプを成膜室の真空引きに適用した場合も、真空引き開始直後のモータの過負荷に係る課題は解消される。すなわちポンプが既に定常運転している状態で、吸気側を一気にチャンバー側に開口できる。また成膜室のいかなる圧力条件の変化に対しても真空引きの機能を失うことはない。
【0043】
本発明による真空ポンプでは、補助ポンプに相当する第二のポンプがバイパス弁の開放によってポンプの機能を失っても、粗引ポンプに相当する第一のポンプはその排気性能を失わない。したがって第一のポンプだけによる真空引きによって、チャンバー内の圧力が低下して、バルブ前後の圧力差が所定の設定圧まで小さくなれば、バルブは遮断され、第二のポンプの機能はすみやかに回復する。
【0044】
本発明を各ロータを独立したモータで駆動させる電子制御式同期運転の複合ポンプに適用した場合、同期制御を乱す不安定要因(過負荷トルク)がなくなるため、同期制御の信頼性を大幅に向上させることができる。そのため短いサイクルで大気開放と真空引きを繰り返すロードロック室用の複合型真空ポンプにも、電子制御式の採用が可能となった。衝撃的な過負荷トルクに弱い電子制御式の弱点が、本発明により解消されるのである。その結果、過負荷トルクを考慮しないでACサーボモータを選べるために、モータの小型化と駆動ドライバーの簡素化が図れる。
【0045】
また従来数千rpmが限界だった容積式ポンプの回転数を、電子制御式同期運転の採用により、たとえば数倍の1万rpm以上にアップさせれば、ポンプ一行程中の内部漏れ総量が低減するため、ポンプの基本性能の大幅な向上がはかれる。とくに補助ポンプに相当する第二のポンプの高速化の効果は著しく、従来のメカニカルブースタの限界をはるかに超えた高い排気速度と低い真空到達圧が得られる。
【0046】
本発明によって、複合型空ポンプは、成膜室、ロードロック室、予備室などに幅広く適用できるようになった。その結果、半導体薄膜設備で構成されるライン全体の大幅な省スペース化と簡素化が可能となり、その効果は絶大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例における真空ポンプの断面図
【図2】本実施例におけるバイパス径とモータ負荷の関係を示す図
【図3】本実施例における吸入圧力と排気速度の関係を示す図
【図4】本発明の他の実施形態におけるルーツ型ポンプの構成を示した図
【図5】他の形態における歯車型ポンプの構成図
【図6】他の形態におけるローベ型ポンプの構成図
【図7】他の形態におけるネジ型ポンプの構成図
【図8】従来の粗引きポンプの断面図
【図9】従来のメカニカルブースタポンプの断面図
【図10】複合型ポンプの断面図
【符号の説明】
1、2 軸
3 ハウジング
5、9、10、11 ロータ
16 吸気口
17 吐出口

Claims (7)

  1. ハウジング内に収納された複数個のロータ及び前記複数個のロータのそれぞれに締結された複数個の軸と、前記複数個の軸の回転を支持する軸受と、前記ハウジングに形成された流体の吸入口及び吐出口と、前記吐出口側に設けられた容積式の第一のポンプと、前記吸入口側に設けられた容積式の第二のポンプとか構成される真空ポンプにおいて、
    前記第一のポンプと前記第二のポンプとの間の前記ハウジングには中継ポートが形成されると共に、前記中継ポートと前記吸入口を連絡するバイパス路と、前記バイパス路を開閉するバイパス弁を備え、前記バイパス弁は前記圧力差に応じて前記バイパス弁と前記バイパス路の側面との間の開度が変わる構造であり、前記バイパス弁の下側から上側に向かって一定値以上の圧力差が生じた場合、前記バイパス弁はポンプ内部から前記吸入口に向けて流体を逃がすこと
    を特徴とする真空ポンプ。
  2. 第二のポンプの排気容積は第一のポンプのよりも大きいこと
    を特徴とする請求項1記載の真空ポンプ。
  3. 粘性流領域で気体を輸送する容積式の第一のポンプと中間流領域および中間流領域以下の圧力で気体を輸送する容積式の第二のポンプから構成されること
    を特徴とする請求項2記載の真空ポンプ。
  4. バイパス弁は入口側と出口側の圧力差によって開閉する構造であること
    を特徴とする請求項1記載の真空ポンプ。
  5. 複数個の軸をそれぞれ独立して回転駆動する複数個のモータと、前記複数個のモータを同期制御する手段を備えたこと
    を特徴とする請求項1記載の真空ポンプ。
  6. 第一のポンプは、ねじ溝式あるいはスクリュー式であること
    を特徴とする請求項1記載の真空ポンプ。
  7. 第二のポンプは、ねじ溝式あるいはスクリュー式であること
    を特徴とする請求項1記載の真空ポンプ。
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