JP4047980B2 - 並列接続されたポンプの運転方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インバータ制御される可変速モータにて駆動される複数のポンプの運転方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インバータ制御される可変速モータにて駆動される複数のポンプによって供給圧力または供給流量を制御する流体供給装置において、2台目以降のポンプを起動する際に、図4に示すように、起動ポンプの流量Q2が正となったところでインバータの周波数の上昇率を減少させることにより、ポンプ起動時における配管内の急激な圧力変動を抑制するようにした技術を本出願人は既に提案している(特開平4−358781号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この方法によると、例えば図4中に二点鎖線で示すように、未だ起動ポンプの回転数N2が低く、実際の流量Q2が零であるにもかかわらず、流量計の計測誤差または異常が原因で流量Q2が正となったものと判断して上昇率を二段目に移行させる制御が行われることにより、既運転ポンプ並びに起動ポンプの各回転数N1・N2が等しくなった同期状態に移行するのに長時間を要する不具合が生じることがあった。
【0004】
本発明は、このような従来技術の問題点を解消するべく案出されたものであり、その主な目的は、インバータを利用した複数の可変速ポンプにより供給圧力または供給流量を制御している配管系において、2台目以降のポンプ起動時における配管内の圧力変動を小さく抑えつつ、起動ポンプと既運転ポンプとを速やかに同期させることのできる並列接続されたポンプの運転方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
このような目的を果たすために、本発明においては、インバータ制御の可変速モータで個々に駆動される複数のポンプを並列接続し、所要の供給圧力を得るべく、供給圧力と目標圧力との偏差に基づいて運転ポンプのインバータの周波数を調整するPIC制御を行うと共に、新たにポンプを起動してその起動ポンプの回転数が既運転ポンプの回転数と等しくなった後はこれら複数台のポンプをPIC制御を行いながら同期運転するようにしたポンプの運転方法において、新たにポンプを起動する際に、既運転ポンプの回転数に応じて予め設定された回転数に新たな起動ポンプが到達すると、当該起動ポンプのインバータの周波数の上昇率を減少させ、一方、既運転ポンプにおいては、起動ポンプが予め設定された回転数に到達したのに応じて、PIC制御に加えて、起動ポンプのインバータの周波数の上昇率に対応したフィードフォワード制御を開始して、起動ポンプの回転数が上昇するのに応じて既運転ポンプの回転数を低下させるようにしたものとした。
【0006】
これによると、起動ポンプのインバータ周波数の上昇率を減少させる際の制御が流量に依存することなく行われるため、流量計の計測誤差または異常により起動ポンプと既運転ポンプとを同期運転させるまでの時間が延びる不都合を解消することができる。この場合、起動ポンプのインバータ周波数上昇率を減少させる際の基準となる起動ポンプの設定回転数は、起動ポンプと既運転ポンプとの同期運転までの所要時間を短縮し、かつ急激な圧力変動を伴うことなく円滑に同期運転に移行させる上で、既運転ポンプ回転数の80%〜90%程度とするのが望ましいが、この設定回転数はポンプの特性に大きく依存するものであり、上記範囲内に限定されるものではない。
【0007】
さらに前記構成のポンプの運転方法によると、設定回転数を越えた段階での起動ポンプのインバータ周波数上昇率を比較的大きく設定しても、配管内の圧力変動を小さく抑えることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に添付の図面を参照して本発明の構成を詳細に説明する。
【0009】
図1は、本発明が適用された流体供給装置を示している。図1において、複数のポンプ1の吸入口は、共通の吸入管路2を介して流体タンク3に接続されている。そしてこれらのポンプ1の各吐出口は、それぞれ逆止弁4及びオリフィス5を介して共通の供給管路6に接続されている。この供給管路6の末端は、流体ユーザ7に接続されている。
【0010】
各ポンプ1の吐出口に設けられたオリフィス5には、流量を検出するための流量伝送器8がそれぞれ設けられている。各流量伝送器8により検出された流量は制御器12にそれぞれ入力される。
【0011】
共通の供給管路6には、供給圧力を検出するための圧力伝送器9が設けられている。この圧力伝送器9により検出された供給圧力は圧力指示調節器10に入力される。圧力指示調節器10では、供給圧力の入力信号に基づいて制御信号を生成し、その出力は加算器11並びにシグナルセレクタ13を介してインバータ14に供給される。これにより、各ポンプ1のモータが可変速制御される。
【0012】
図2に示された流体供給装置は、図1に示されたものと概ね同様であるが、この場合、供給管路6が管網を構成して複数の流体ユーザ7が接続されている。この供給管路6の圧力は、複数のポイントでそれぞれ別々の圧力伝送器9により検出され、それらの検出信号が、圧力演算器15によって平均化されて圧力指示調節器10に供給される。それ以外の点に関して、図2の実施例は、図1の実施例と概ね同様である。
【0013】
このような流体供給装置は、上下水道用のポンプ装置、化学プラント等における材料供給装置、あるいは空港などにおける燃料供給設備などに広く適用可能である。
【0014】
ポンプ吐出量が流量伝送器8にて常時計測され、この流量伝送器8からの入力信号により制御器12においてポンプ吐出の総流量が算出され、そのポンプ吐出の総流量に基づいてポンプの起動・停止時期が判定され、所要のポンプに対して制御器12から起動停止シーケンス信号が出力される。
【0015】
また、供給管路6の圧力伝送器9にて圧力が常時計測され、圧力指示調節器10にて供給圧力と目標圧力との偏差に基づいて運転ポンプのインバータ14の周波数を調整する制御(以下、PIC制御と呼称する)が行われ、圧力指示調節器10からのPIC制御信号がシグナルセレクタ13を介してインバータ14に入力される。シグナルセレクタ13は、ポンプ起動停止時には起動停止シーケンス信号を選択し、それ以外の時にはPIC制御信号を選択する。
【0016】
既に運転されているポンプ1に加えて別のポンプ1を新たに起動する場合には、図3に示すように、既運転ポンプの回転数N1に応じて予め設定された回転数αN1に比較して起動ポンプの回転数N2が小さな領域では、比較的大きな上昇率(例えば10%)でインバータ14の周波数を増加させて起動ポンプの回転数N2を上昇させる。起動ポンプの回転数N2が設定回転数αN1を越えると、比較的小さな上昇率(例えば1%)で起動ポンプの回転数N2を上昇させる。なお、前記の係数αは、ポンプ特性に応じて1より小さな適宜な値(例えば0.8)に設定される。
【0017】
一方、既に運転されているポンプにおいては、起動ポンプが予め設定された回転数αN1に到達したのに応じて、前記のPIC制御に加えて、起動ポンプのインバータの周波数の上昇率に対応したフィードフォワード制御(以下、FF制御と呼称する)が制御器12において開始され、制御器12からのFF制御信号が、加算器11にてPIC制御信号に加えられ、シグナルセレクタ13を経てインバータ14に入力される。
【0018】
新たな起動ポンプの回転数N2が既運転ポンプの回転数N1と等しくなった後は、これら複数台のポンプはPIC制御を行いながら同期運転される。
【0019】
図3では、本発明のようにFF制御を併用せずにPIC制御のみで対応した場合を二点鎖線で示しているが、この従来の方法によると起動ポンプのインバータの二段目(図3中のN1>N2>αN1の領域)の周波数上昇率を0.2%程度にしか設定することができないのに対して、上記のように起動ポンプの回転数が上昇するのに応じてFF制御により既運転ポンプの回転数を低下させることにより、二段目の周波数上昇率を例えば1%と比較的大きく設定しても、配管内の圧力変動を小さく抑えることが可能となり、既運転ポンプと起動ポンプとが同期するまでの時間を大幅に短縮することができる。
【0020】
なお、本発明は新たにポンプを起動する際に適用されるものであるが、設定回転数の前後でポンプのインバータ周波数の変化率を変化させる制御は、複数の並列接続されたポンプが駆動されている場合においてその内の1台のポンプを停止させる場合にも応用することができ、供給管路における圧力あるいは流量の変動を小さく抑制しつつポンプを停止させるのに要する時間を短縮することが可能となる。この場合、ポンプの回転数が設定回転数より低くなるとインバータ周波数の変化率を増大させるように制御してポンプの回転数を降下させる。
【0021】
【発明の効果】
このように本発明によれば、インバータを利用した複数の可変速ポンプにより供給圧力または供給流量を制御している配管系において、2台目以降のポンプの起動時における配管内の圧力変動を小さく抑えつつ、新たな起動ポンプと既運転ポンプとを速やかに同期運転させる上に多大な効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】供給配管系が単一の場合の流体供給装置の概略構成図。
【図2】供給配管系が複数の場合の流体供給装置の概略構成図。
【図3】本発明によるポンプ運転方法を適用した場合のポンプ回転数の経時変化線図。
【図4】従来のポンプ運転方法を適用した場合のポンプ回転数の経時変化線図。
【符号の説明】
1 ポンプ
2 吸入管路
3 流体タンク
4 逆止弁
5 オリフィス
6 供給管路
7 流体ユーザ
8 流量伝送器
9 圧力伝送器
10 圧力指示調節器
11 加算器
12 制御器
13 シグナルセレクタ
14 インバータ
15 圧力演算器
Claims (1)
- インバータ制御の可変速モータで個々に駆動される複数のポンプを並列接続し、所要の供給圧力を得るべく、供給圧力と目標圧力との偏差に基づいて運転ポンプのインバータの周波数を調整するPIC制御を行うと共に、新たにポンプを起動してその起動ポンプの回転数が既運転ポンプの回転数と等しくなった後はこれら複数台のポンプをPIC制御を行いながら同期運転するようにしたポンプの運転方法であって、
新たにポンプを起動する際に、既運転ポンプの回転数に応じて予め設定された回転数に新たな起動ポンプが到達すると、当該起動ポンプのインバータの周波数の上昇率を減少させ、
一方、既運転ポンプにおいては、前記起動ポンプが予め設定された回転数に到達したのに応じて、前記PIC制御に加えて、前記起動ポンプのインバータの周波数の上昇率に対応したフィードフォワード制御を開始して、前記起動ポンプの回転数が上昇するのに応じて当該既運転ポンプの回転数を低下させるようにしたことを特徴とする並列接続されたポンプの運転方法。
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JP26615798A JP4047980B2 (ja) | 1998-09-21 | 1998-09-21 | 並列接続されたポンプの運転方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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Family
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Family Applications (1)
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JP26615798A Expired - Lifetime JP4047980B2 (ja) | 1998-09-21 | 1998-09-21 | 並列接続されたポンプの運転方法 |
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