JP4038104B2 - クラッチ用アクチュエータ - Google Patents

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    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、クラッチ用アクチュエータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、既存のマニュアルトランスミッションにアクチュエータを取り付け、運転者の意志若しくは車両状態により一連の変速操作(クラッチの断接、ギヤシフト、セレクト)を自動的に行うシステムが知られている。
【0003】
こうしたシステムにおいて、クラッチの断接を行うアクチュエータは、ダイヤフラムスプリング等の姿勢を変化させるために必要な動力源(電動モータなど)の駆動力を抑えるために当該駆動力を補うアシストスプリングを備えている。そして、例えばクラッチを非係合状態にする際に、このアシストスプリングの付勢力にて助勢することでアクチュエータの動力源に必要な駆動力を抑えている。このようにアクチュエータの動力源に要求される能力が低減されることで、当該動力源やアクチュエータ自体の小型化が図られている。
【0004】
また、こうしたシステムが備える摩擦クラッチは、クラッチフェーシング(クラッチディスク)の摩耗に伴ってダイヤフラムスプリングの姿勢が変化するため、同クラッチを非係合状態にするために必要な操作力が増加する。このため、クラッチディスクの摩耗を補償する機構部(調整機構)を備えたものも提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記機構部(調整機構)は、通常の運転時(クラッチの断接時)に使用されない特異な状態までダイヤフラムスプリング等の姿勢を変化させることでクラッチディスクの摩耗を補償する。従って、この摩耗補償を行うときもアシストスプリングの付勢力が作用すると、その設定のために著しく煩わされることになる。
【0006】
本発明の目的は、クラッチの摩耗補償を行うときのアシストスプリングの設定の煩わしさを回避することができるクラッチ用アクチュエータを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、動力源と、該動力源により回転駆動される回転体とを備え、該回転体を第1回動範囲内で回転させてクラッチの断接操作を行うとともに、該回転体を第1回動範囲を超える第2回動範囲内で回転させてクラッチの摩耗補償を行うクラッチ用アクチュエータにおいて、前記回転体及び不動部にそれぞれ一端及び他端が支持されて該回転体の回転を助勢するアシストスプリングと、前記第2回動範囲内での前記回転体の回転時に、該回転体による前記アシストスプリングの一端の支持を解放して該回転体の回転に対する該アシストスプリングの助勢を停止する停止部材とを備えたことを要旨とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のクラッチ用アクチュエータにおいて、前記停止部材は、不動部に形成され、前記第2回動範囲内での前記回転体の回転時に、前記アシストスプリングの一端が当接して該アシストスプリングの一端の移動を規制する規制部と、前記第2回動範囲内での前記回転体の回転時に、前記アシストスプリングの一端を支持する該回転体の支持部を該アシストスプリングの一端から開放して該支持部の移動を許容する許容部とを有することを要旨とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のクラッチ用アクチュエータにおいて、前記不動部は、前記回転体及び前記アシストスプリングを収容するハウジングであることを要旨とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載のクラッチ用アクチュエータにおいて、前記アシストスプリングの一端及び他端は、それぞれ支持台を介して前記回転体及び前記不動部に支持されたことを要旨とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のクラッチ用アクチュエータにおいて、前記支持台は、前記アシストスプリングを位置決めする位置決め部を備えたことを要旨とする。
【0012】
(作用)
請求項1又は2に記載の発明によれば、第2回動範囲内での回転体の回転時に、該回転体による前記アシストスプリングの一端の支持が解放されて該回転体の回転に対する該アシストスプリングの助勢が停止される。従って、クラッチの断接操作を行う領域(第1回動範囲内)で回転体の回転をアシストスプリングにより助勢する構成において、クラッチの摩耗補償を行う特異な領域(第2回動範囲内)を含めてアシストスプリングの設定を行う煩わしさが回避される。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、既存のハウジングを利用してアシストスプリングの他端を支持することで部品点数の増加が抑制される。
請求項4に記載の発明によれば、アシストスプリングの一端及び他端を、それぞれ支持台を介して前記回転体及び前記不動部に支持することで、例えばアシストスプリングの一端及び他端を直に加工した支持形状などで支持する場合に比べてその設計の自由度が増大する。
【0014】
請求項5に記載の発明によれば、支持台にアシストスプリングを位置決めする位置決め部を設けたことで、例えばアシストスプリングが揺動などによって前記回転体若しくは不動部から脱落したりすることが抑制される。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図11に従って説明する。図1は、本実施形態が適用されるクラッチ装置を示す概略断面図である。このクラッチ装置は、エンジンと変速機との間に配設される摩擦クラッチ20と、同摩擦クラッチ20を操作するアクチュエータ30とを含んで構成されている。そして、図示しない制御装置によりこのアクチュエータ30が駆動制御されることで摩擦クラッチ20の係合状態が変化するようになっている。
【0016】
摩擦クラッチ20は、フライホイール21、クラッチカバー22、クラッチディスク23、プレッシャプレート24、ダイヤフラムスプリング25、レリーズベアリング26、レリーズフォーク27、変速機ケース11aに固定されたピボット支持部材28及び調整機構80を主たる構成要素として備えている。尚、プレッシャプレート24及びダイヤフラムスプリング25等はクラッチカバー22に一体的に組み付けられるため、これらをクラッチカバー組立体(アッセンブリ)と称することがある。
【0017】
フライホイール21は、鋳鉄製の円板であり、エンジンのクランクシャフト10aにボルト固定されていて、同クランクシャフト10aと一体的に回転するようになっている。
【0018】
クラッチカバー22は、略円筒形状であって、円筒部22aと、円筒部22aの内周側に形成されたフランジ部22bと、円筒部22aの内周縁に周方向に等間隔で形成された複数の支点形成部22cとを含んでいる。そして、クラッチカバー22は円筒部22aの外周部にてフライホイール21にボルト固定されて同フライホイール21と一体的に回転するようになっている。
【0019】
クラッチディスク23は、エンジンの動力を変速機に伝達する摩擦板であって、フライホイール21とプレッシャプレート24との間に配設され、中央部にて変速機の入力軸とスプライン連結されることにより軸方向に移動できるようになっている。また、クラッチディスク23の外周部の両面には、摩擦材からなるクラッチフェーシング23a,23bがリベットにより張り付け固定されている。
【0020】
プレッシャプレート24は、クラッチディスク23をフライホイール21側に押圧してフライホイール21との間に挟み込み、クラッチディスク23をフライホイール21と摩擦係合させて一体的に回転させるものである。このプレッシャプレート24は、クラッチカバー22の回転に伴って回転するように、ストラップ24aにより同クラッチカバー22と連結されている。
【0021】
ストラップ24aは、積層された複数枚の薄い板ばね材から構成されていて、図2にも示したように、その一端がリベットR1によりクラッチカバー22の外周部に固定されるとともに、その他端がリベットR2によりプレッシャプレート24の外周部に設けられた突起部に固定されている。これにより、ストラップ24aは、プレッシャプレート24がフライホイール21から離間し得るように、同プレッシャプレート24に対して軸方向の付勢力を付与している。
【0022】
図2にも示したように、ダイヤフラムスプリング25は、クラッチカバー22の円筒部22aの内周に沿って放射状に配置された複数(12本)の弾発性の板材(以下、「レバー部材25a」と称する。)から構成されている。図1に示したように、各レバー部材25aは、クラッチカバー22の支点形成部22cに、各レバー部材25aの軸方向両側に配置された一対のリング状の支点部材25b,25cを介して挟持されている。これにより、レバー部材25aは、クラッチカバー22に対し支点部材25b,25cを支点としたピボット運動をすることができるようになっている。
【0023】
レリーズベアリング26は、変速機の入力軸の外周を包囲するように変速機ケース11aに支持された支持スリーブ11bに対し摺動可能に支持されている。そして、レリーズベアリング26は、レバー部材25aの内端部(ダイヤフラムスプリング25の中央部)をフライホイール21側に押動するための力点部26aを構成している。
【0024】
レリーズフォーク27は、アクチュエータ30の作動に応じてレリーズベアリング26を軸方向に摺動させるためのものである。このレリーズフォーク27は、一端がレリーズベアリング26と当接し、他端がアクチュエータ30のロッド31の先端部と当接部27aにて当接している。また、レリーズフォーク27は、変速機ケース11aに固定されたスプリング27cによりピボット支持部材28に組みつけられていて、同レリーズフォーク27の略中央部27bにて同ピボット支持部材28を支点として揺動するようになっている。
【0025】
調整機構80は、プレッシャプレート24とダイヤフラムスプリング25との間の力の伝達経路を形成するとともにダイヤフラムスプリング25とプレッシャプレート24との軸方向の距離を変更し得るようになっている。以下、図2〜図6に基づき調整機構80について説明する。尚、図3は図2の調整機構80に係わる構成を側方から見た図である。図4は摩擦クラッチ20が係合状態のときの調整機構80の断面図であり、図5は摩擦クラッチ20が係合状態のときのダイヤフラムスプリング25の保持に係わる断面図である。また、図6は図2の調整機構80に係わる構成を側方から見た図であり、図6(a)〜図6(d)はそれぞれダイヤフラムスプリング25の姿勢変化に応じた調整機構80の作動を示している。
【0026】
図2及び図3に示したように、プレッシャプレート24の外周端部にはリング状のテーパ部81が形成されていて、テーパ部81が有する鋸歯状の複数のテーパ面81aがダイヤフラムスプリング25に向けて立設されている。
【0027】
また、上記プレッシャプレート24(テーパ部81)のテーパ面81aと上記ダイヤフラムスプリング25の外周端部との間には、アジャストウェッジ部材82が配設されている。このアジャストウェッジ部材82は、テーパ部81と略同一径のリング状の部材であって、テーパ面81aと同一形状のウェッジ側テーパ面82aを有している。そして、ウェッジ側テーパ面82aとテーパ面81aとは、互いに当接している。アジャストウェッジ部材82のダイヤフラムスプリング25側端面は平坦とされている。このアジャストウェッジ部材82は、プレッシャプレート24とダイヤフラムスプリング25との間の力の伝達経路を形成し、ダイヤフラムスプリング25に付与される力及び同ダイヤフラムスプリング25に発生する力をプレッシャプレート24に伝達する。
【0028】
一方、図4及び図6に示したように、アジャストウェッジ部材82の内周面には、リベット83cにてアジャストピニオン83が固定されている。このアジャストピニオン83には、ダイヤフラムスプリング25からプレッシャプレート24への軸方向に向けて起立するピニオン歯83aが形成されている。ピニオン歯83aは、鋸歯形状(又は等間隔に配置される三角形状)を呈している。
【0029】
図3及び図6に示すように、プレッシャプレート24のアジャストピニオン83と対向する端面には、ロアラック85が取り付けられている。ロアラック85は、プレッシャプレート24の端面からダイヤフラムスプリング25側へ向かう軸方向に立設するロアラック歯85aを備えている。また、ロアラック85のロアラック歯85aの両端部にはロアラック歯85aの立設方向に沿って突出する突出部85bが設けられている。図2に示すように、このロアラック85のプレッシャプレート24への取付けにあたっては、ロアラック85よりも周方向に長く形成された固定板材88をテーパ部81の外周面に沿って組付ける。そして、テーパ部81の内周側に延出する固定板材88の両端部をロアラック85の両端部を跨くようにしてネジ88aにてプレッシャプレート24に固定する。これにより、ロアラック85はプレッシャプレート24に対して固定される。
【0030】
アジャストピニオン83とロアラック85との軸方向間には、アジャストピニオン83及びロアラック85に対して周方向及び軸方向に移動可能なアッパラック84が配設されている。アッパラック84は、プレッシャプレート24からダイヤフラムスプリング25に向かう軸方向に立設するとともにピニオン歯83aと噛合可能な第1ラック歯84aを有している。また、ダイヤフラムスプリング25からプレッシャプレート24に向かう軸方向に立設するとともにロアラック歯85aと噛合可能な第2ラック歯84bを有している。そして、アッパラック84の長手方向の両端部には、ロアラック85の突出部85bと係止可能な規制部84cが設けられている。この規制部84cが突出部85bの端部に引っ掛かることで、ロアラック歯85aと第2ラック歯84bとの噛合が完全に解除される前にロアラック85に対する軸方向及び周方向の移動量が規制されるように構成されている。尚、規制部84cにて規制されるアッパラック84のロアラック85に対する周方向の移動量は、第1ラック歯84aの歯面の半ピッチ〜1ピッチの範囲内となるように予め設定されている。
【0031】
ロアラック85の外周面側の一方の突出部85b1近傍には、アッパラック84とロアラック85との噛合を解除するための付勢部材87の一端が係止されている。付勢部材87は、一端が係上された状態でロアラック85の外周面に沿ってロアラック85の他方の突出部85b2側に延在し、切り欠き85cを介してロアラック85の内周面側に延出している。更に、ロアラック85の内周面では他方の突出部85b2側から一方の突出部85b1側へと延出するとともに、ロアラック歯85aの歯面と第2ラック歯84bの歯面とが摺接しながら噛合を解除する方向(図6において矢印C方向)にアッパラック84を付勢するバネ部87aが形成されている。尚、付勢部材87の一端から切り欠き85cまで延在する部分は、バネ部87aによりアッパラック84を付勢する力を受ける受部87bである。この付勢部材87によって、ロアラック歯85aの歯面と第2ラック歯84bの歯面とが摺接しながらアッパラック84とロアラック85との噛合を解除する方向にアッパラック84が付勢される。
【0032】
図5に示すように、プレッシャプレート24の外周側のダイヤフラムスプリング25側の端面には、前記テーパ部81と略同心円上においてプレッシャプレート24からダイヤフラムスプリング25へ向かう軸方向にストッパ部24bが立設している。このストッパ部24bとクラッチカバーの対向する内壁面との間には、摩擦クラッチ20の係合状態において所定の隙間が形成されており、ダイヤフラムスプリング25の姿勢に応じてこの隙間の範囲内でプレッシャプレート24が軸方向に移動可能である。ダイヤフラムスプリング25の姿勢が変化してストッパ部24bがクラッチカバー22の対向する内壁面に当接すると、プレッシャプレート24はクラッチカバー22に近づくこれ以上の軸方向への移動ができなくなる。
【0033】
また、アジャストウェッジ部材82の外周面側にはリベット86aにて保持部材86が固定されている。保持部材86は、アジャストウェッジ部材82のダイヤフラムスプリング25側の端面よりもダイヤフラムスプリング25側に延出するとともに、アジャストウェッジ部材82の外周面側から内周面側に向かって屈曲している。そして、保持部材86は、アジャストウェッジ部材82の端面との間でダイヤフラムスプリング25の外周端部を保持している。保持部材86によって、ダイヤフラムスプリング25の外周端部の軸方向の移動に追従してアジャストウェッジ部材82が軸方向に移動する。
【0034】
図3に示すように、アジャストピニオン83が固定されている箇所に対向するアジャストウェッジ部材82の外周面には、噛合解除部材89が取り付けられている。噛合解除部材89は、一端がアジャストウェッジ部材82の周面に対して回転可能に取付けられ、他端がプレッシャプレート24のダイヤフラムスプリング25側の端面と当接可能に形成されている。また、一端と他端との間にはプレッシャプレート24からダイヤフラムスプリング25に向かう軸方向に立設されて、摩擦クラッチ20の係合状態においてクラッチカバー22の対向する内壁面と所定の距離をもって突出する突部89aが形成されている。尚、噛合解除部材89の一端は、アジャストピニオン83を固定するリベット83cの1つによってアジャストウェッジ部材82に取り付けられている。また、摩擦クラッチ20の係合状態において突部89aとクラッチカバー22の対向する内壁面とのなす距離は、ストッパ部24bがクラッチカバー22の対向する内壁面と当接すると同時に突部89aがクラッチカバー22の対向する内壁面と当接するように設定されている。
【0035】
このクラッチ装置において、摩擦クラッチ20を接(係合)状態とし、エンジンの動力を変速機に伝達する場合の作動について説明すると、先ず、アクチュエータ30を駆動してロッド31を左方向に移動させる。一方、レリーズベアリング26は、ダイヤフラムスプリング25により、フライホイール21から離間する方向(図1における右方向)に力を受けている。この力は、レリーズベアリング26を介してレリーズフォーク27に伝達されるため、レリーズフォーク27は、ピボット支持部材28を支点として図1において反時計回転方向に回動する力を受けている。従って、ロッド31が図1において左方向に移動すると、レリーズフォーク27は反時計回転方向に回動するとともにダイヤフラムスプリング25の中央部はフライホイール21から離間する方向に移動する。
【0036】
このとき、ダイヤフラムスプリング25は支点部材25b,25cを中心に揺動(姿勢変化)し、同ダイヤフラムスプリング25の外周端部と当接するアジャストウェッジ部材82をフライホイール21側に押動する。この結果、プレッシャプレート24はテーパ部81を介してフライホイール21側に向かう力を受け、クラッチディスク23を同フライホイール21との間で挟み込む。これと同時に、プレッシャプレート24はアジャストピニオン83、アッパラック84、及びロアラック85を介してフライホイール21側に向かう力を受ける。従って、ピニオン歯83a及び第1ラック歯84a、第2ラック歯84b及びロアラック歯85aの各噛合状態が維持される。そして、アジャストピニオン83とロアラック85との相対回転が許容されることがないので、アジャストウェッジ部材82はプレッシャプレート24(テーパ部81)に対し相対回転しない。これにより、クラッチディスク23は、フライホイール21と摩擦係合して同フライホイール21と一体的に回転するようになり、変速機にエンジンの動力を伝達する。尚、この状態では、プレッシャプレート24とダイヤフラムスプリング25の外周端部とは一定の軸方向の距離に保持される。
【0037】
次に、クラッチを断(非係合)状態とし、エンジンの動力を変速機に伝達しない状態とする場合について説明すると、先ず、アクチュエータ30を駆動してロッド31を図1において右方向に移動させる。これにより、レリーズフォーク27に対し当接部27aにて右方向の力を与えるため、同レリーズフォーク27はピボット支持部材28を支点として図1において時計回転方向に回動し、レリーズベアリング26をフライホイール21側に押動する。
【0038】
このため、ダイヤフラムスプリング25は力点部26aにてフライホイール21に向う力を受け、支点部材25b,25cを中心に揺動(姿勢変化)する。そして、ダイヤフラムスプリング25の外周端部はフライホイール21から離間する方向に移動し、アジャストウェッジ部材82を介してプレッシャプレート24をフライホイール21側に押圧していた力は減少する。一方、プレッシャプレート24は、ストラップ24aによりクラッチカバー22と接続されていて、フライホイール21から離間する方向に常に付勢されているため、この付勢力によりクラッチディスク23から僅かに離れる。この結果、クラッチディスク23はフリー状態となって、エンジンの動力が変速機に伝達されない状態となる。
【0039】
尚、通常の運転時においてクラッチを断状態とする場合は、プレッシャプレート24のストッパ部24bとクラッチカバー22とが当接しない範囲内内)でロッド31のストローク(以下、「クラッチストロークST」という)が制御される。これによると、プレッシャプレート24とダイヤフラムスプリング25の外周端部との軸方向の距離は変更されない。このため、図6(a)に概念的に示したように、アジャストピニオン83のピニオン歯83aとアッパラック84の第1ラック歯84aとの噛合状態及びロアラック85のロアラック歯85aとアッパラック84の第2ラック歯84bとの噛合状態が維持される。そして、アジャストウェッジ部材82はプレッシャプレート24(テーパ部81)に対し相対回転しない。換言すれば、アジャストピニオン83のピニオン歯83a及びアッパラック84の第1ラック歯84aの噛合と、ロアラック85のロアラック歯85a及びアッパラック84の第2ラック歯84bの噛合とがともに解除されない程度にクラッチストロークSTを決定しておく。
【0040】
次に、このクラッチ装置において、クラッチフェーシング23a,23bが摩耗した際にこれを補償する場合の作動(アジャスト動作)について説明する。尚、このアジャスト動作は、少なくともエンジン回転数が低回転域にあるときに実行される。
【0041】
通常の運転時におけるクラッチの断状態から更にアクチュエータ30を駆動してロッド31を図1において右方向に移動させる。これにより、レリーズフォーク27に対し当接部27aにて右方向の力を与えるため、同レリーズフォーク27はピボット支持部材28を支点として図1において時計回転方向に更に回動し、レリーズベアリング26をフライホイール21側に押動する。これにより、ダイヤフラムスプリング25は力点部26aにてその中央部がフライホイール21に向う力を受け、支点部材25b,25cを中心に更に揺動(姿勢変化)する。そして、ダイヤフラムスプリング25の外周端部はフライホイール21から更に離間する方向に移動し、プレッシャプレート24のストッパ部24bとクラッチカバー22の対向する内壁面とが当接する。これと同時に、噛合解除部材89の突部89aとクラッチカバー22の対向する内壁面とが当接する。ストッパ部24bと噛合解除部材89の突部89aとがクラッチカバー22の内壁面と当接するまでの範囲内では、プレッシャプレート24がストラップ24aの付勢力を受けている。このため、ダイヤフラムスプリング25の外周端部とともに軸方向に移動するアジャストウェッジ部材82とともにテーパ部81も当該軸方向に移動する。従って、アジャストピニオン83とロアラック85とは軸方向に相対移動することなく、アジャストピニオン83のピニオン歯83aとアッパラック84の第1ラック歯84aとの噛合状態及びロアラック85のロアラック歯85aとアッパラック84の第2ラック歯84bとの噛合状態が維持される。そして、アジャストウェッジ部材82はプレッシャプレート24(テーパ部81)に対し相対回転しない。
【0042】
この状態から更にアクチュエータ30を駆動すると、上記に準じてダイヤフラムスプリング25の姿勢は更に変化する。このとき、プレッシャプレート24のストッパ部24bはクラッチカバー22の内壁面に当接しているため、プレッシャプレート24は、それ以上の軸方向への移動が規制される。しかしながら、ダイヤフラムスプリング25の姿勢の変化が継続することで、ダイヤフラムスプリング25は、その外周端部がフライホイール21から離間するように姿勢が変化する。その結果、保持部材86がダイヤフラムスプリング25の外周端部が移動する力を直接受けることで、保持部材86に固定されているアジャストウェッジ部材82がダイヤフラムスプリング25の外周端部に追従して軸方向へ移動する。これにより、アジャストウェッジ部材82は、テーパ部81から離間する。そして、アジャストウェッジ部材82に固定されるアジャストピニオン83がプレッシャプレート24に固定されるロアラック85に対して軸方向へと相対移動する。ここで、アッパラック84は付勢部材87により図面C方向に付勢されているが、アジャストピニオン83は軸方向に移動するために、ピニオン歯83aと第1ラック歯84aとの噛合が完全に解除されない限りアッパラック84は周方向へは移動できない。従って、ピニオン歯83aと第1ラック歯84aとの噛合が完全に解除されないクラッチストロークSTの範囲内では、アジャストピニオン83がロアラック85に対して軸方向に離間する。しかし、アッパラック84は第2ラック歯84bとロアラック歯85aとの噛合が維持されるためにアッパラック84は軸方向に移動しない。図6(b)は、図6(a)の状態からアジャストウェッジ部材82がプレッシャプレート24に対して軸方向に相対移動し、ピニオン歯83aと第1ラック歯84aとの噛合が完全に解除される直前の状態を示している。
【0043】
この状態から更にダイヤフラムスプリング25の姿勢が変化してアジャストウェッジ部材82がプレッシャプレート24から更に離間すると、アジャストピニオン83のピニオン歯83aとアッパラック84の第1ラック歯84aとの噛合が完全に解除される。即ち、図6(b)の状態から、ピニオン歯83aと第1ラック歯84aとの噛合を完全に解除するのに必要な軸方向移動量まで更にクラッチストロークSTが増大すると、ピニオン歯83aと第1ラック歯84aとの噛合が完全に解除される。このとき、アッパラック84の周方向への移動が許容される。これにより、アッパラック84は、付勢部材87にて付勢されて第2ラック歯84bとロアラック歯85aとが摺接しながら軸方向及び周方向へと移動する。これと同時にダイヤフラムスプリング25の姿勢が更に変化することで、ピニオン歯83aと第1ラック歯84aとが離間するが、アッパラック84のロアラック85に対する軸方向移動量は規制部84cにより所定の距離に規制されている。このため、アッパラック84のロアラック85に対する軸方向の相対移動量が所定の距離に達すると、アッパラック84はロアラック85に対するこれ以上の軸方向への相対移動ができなくなる。このときの状態を図6(c)に示す。ここで、前述したように規制部84cにより規制されるアッパラック84の周方向への移動量は、第1ラック歯84aの歯面の半ピッチから1ピッチの範囲内に設定されている。従って、図6(c)の状態では、図6(a)及び図6(b)の状態と比べてピニオン歯83aに対する第1ラック歯84aの位置が、半ピッチから1ピッチの範囲内でずれることになる。尚、図6(c)の状態では、アジャストウェッジ部材82のプレッシャプレート24(テーパ部81)に対する相対回転は行なわれていない。
【0044】
ここで、図6(a)から図6(b)、図6(c)への移行時における噛合解除部材89の作用について説明する。噛合解除部材89の突部89aがクラッチカバー22に当接してからも更にアジャストウェッジ部材82がプレッシャプレート24から離間する方向へと移動すると、クラッチカバー22によって突部89aが規制される。このため、噛合解除部材89は一端側(図3右側)のリベット83cを中心として反時計回転方向に回転する。これによって、噛合解除部材89の他端がプレッシャプレート24のダイヤフラムスプリング25側の端面を図3の下方に押付けるので、アジャストウェッジ部材82はプレッシャプレート24(テーパ部81)から確実に離間される。これによって、例えばテーパ面81aとウェッジ側テーパ面82aとの間に錆付き等がある場合であっても、アジャストウェッジ部材82とテーパ部81とを確実に相対移動させることができる。
【0045】
次に、この状態(図6(c)の状態)からアクチュエータ30を逆方向に駆動してロッド31を図1において左方向に移動させる。これにより、クラッチストロークSTが減少し、ダイヤフラムスプリング25の姿勢が変化する。そして、ダイヤフラムスプリング25の外周端部はフライホイール21に近づく方向に移動する。このとき、アジャストピニオン83のピニオン歯83aとアッパラック84の第1ラック歯84aとの噛合が開始される。ここで、図6(c)の状態では図6(b)の状態に対してアッパラック84が周方向に半ピッチだけ移動しているので、図6(c)の状態においてピニオン歯83aと対向する第1ラック歯84aの歯面は、図6(a)においてピニオン歯83aと噛合する第1ラック歯84aに対して1ピッチずれることになる。従って、図6(c)の状態からクラッチストロークSTが減少したときにピニオン歯83aと噛合する第1ラック歯84aは、図6(a)の状態に対して1ピッチだけ図6の右方向にずれる。このとき、ダイヤフラムスプリング25の押付力によってアジャストウェッジ部材82がプレッシャプレート24に向かって押付けられ、ピニオン歯83aと第1ラック歯84a、及びロアラック歯85aと第2ラック歯84bとがともに噛合しようとする。しかしながら、ピニオン歯83aと第1ラック歯84aとが噛合する歯面が1ピッチだけずれるため、ピニオン歯83aと第1ラック歯84aとの歯面が摺接しながら噛合するとともに、第2ラック歯84bとロアラック歯85aとの歯面が摺接しながら噛合する。これらの歯面の摺接時に、アジャストピニオン83に対してアッパラック84に回転力が付与されるとともにアッパラック84に対してロアラック85に回転力が付与される。この回転力によってアジャストウェッジ部材82がプレッシャプレート24(テーパ部81)に対して相対回転し、図6(d)の状態となる。これにより、テーパ面81aとウェッジ側テーパ面82aとの当接位置が第1ラック歯84aの1ピッチ分だけ変化して、ダイヤフラムスプリング25の外周端部とプレッシャプレート24との軸方向距離が変更される。以上により、通常運転時におけるダイヤフラムスプリング25の姿勢が修正される。また、このとき、噛合解除部材89の突部89aはクラッチカバー22に規制されなくなるため、噛合解除部材89の他端を介してプレッシャプレート24を押圧する力がなくなり、噛合解除部材89は初期の位置へと戻される。
【0046】
以上により、1度のアジャスト動作で第1ラック歯84aの1ピッチ分に応じた量(1ピッチの距離に応じたテーパ面81aの高さ分)だけ摩耗補償がなされる。
【0047】
尚、上記において、プレッシャプレート24のストッパ部24bとクラッチカバー22の対向する内壁面とが当接しない範囲に対応するクラッチストロークSTの領域を便宜的に「パワーアシスト領域」という。既述のようにこの範囲は、アクチュエータ30が駆動されてもダイヤフラムスプリング25の外周端部とプレッシャプレート24との軸方向距離が変更されない範囲である。そして、このパワーアシスト領域を超えたクラッチストロークSTの領域を「荷重制御領域」という。従って、通常運転時のクラッチの断接は、上記パワーアシスト領域内のクラッチストロークSTで行われる。また、アジャスト動作は、上記荷重制御領域内のクラッチストロークSTで行われる。ちなみに、クラッチが非係合状態になるときのクラッチストロークSTは、上記パワーアシスト領域及び荷重制御領域の境界点よりも短いクラッチストロークに設定されている。
【0048】
次に、上記ロッド31を進退移動させてクラッチディスク23の係合状態を変化させるための力をダイヤフラムスプリング25に付与するアクチュエータ30について図7〜図10に基づき説明する。なお、図7は、アクチュエータ30を示す正面図であり、図8及び図9は、それぞれ図7の8−8線及び9−9線に沿った断面図である。また、図10は、アクチュエータ30の動作を示す説明図である。
【0049】
図7に詳細を示すように、このアクチュエータ30は、直流駆動の動力源としての電動モータ32を備えている。また、不動部を形成するハウジング33と、電動モータ32により回転駆動される回転軸34と、回転軸34に噛合連結された回転体としてのウォームホイール35と、コイルばね状のアシストスプリング36と、ハウジングカバー37とを備えている。
【0050】
電動モータ32は、図示しない制御装置からの給電により回転軸34を正逆両方向に回転駆動する。ハウジング33は車両の適宜個所に固定されており、上記電動モータ32を支持する。このハウジング33は略有底筒状の収容部38を有しており、この収容部38を形成する側壁38aの一側(図7の右上側)からは、上記回転軸34が図7において左方向に突出している。そして、この回転軸34の基端側(図7の右側)及び先端側(図7の左側)はそれぞれハウジング33に軸支されている。回転軸34の軸線方向略中間部には、ウォーム部34aが形成されている。
【0051】
また、図8に併せ示すように、この収容部38の底壁38bには、略有底円筒状の軸受部38cが形成されており、ウォームホイール35が軸支されている。詳述すると、ウォームホイール35は略円盤状のホイール部35aと、ホイール部35aの中心部を貫通する軸部35bとを有している。ウォームホイール35は、軸部35bの一側(図8の下側)がブッシュを介して軸受部38cに挿通されることで収容部38(底壁38b)に軸支されている。尚、ホイール部35aの外周面には、前記回転軸34のウォーム部34aと噛合するギヤ部35cが形成されている。従って、回転軸34が回転駆動されると、ウォームホイール35はこれに連動して回転する。
【0052】
図7においてウォームホイール35の回動中心に対し下側となる外周部には、その軸方向と略平行に一側(図8の下側)に伸びる略円柱状のロッド支持ピン35dが固着されている。一方、上記収容部38の側壁38aの一側(図7の右下側)からは、ロッド支持ピン35dに対応して前記ロッド31が図7において左方向に突出している。ロッド支持ピン35dは、ロッド31の基端部(レリーズフォーク27と当接している先端部と反対側の端部)が挿通されることでこれを回動可能に支持する。従って、ロッド31は、ウォームホイール35のホイール部35aと収容部38の底壁38bとの間に形成される空間を利用してウォームホイール35に連結されている。そして、ウォームホイール35が回転すると、ロッド31はハウジング33に対して進退移動をする。例えば、ウォームホイール35が図7において時計回転方向に回転すると、ロッド31はそのストローク(クラッチストロークST)を低減させるように左方向に移動する。一方、ウォームホイール35が図7において反時計回転方向に回転すると、ロッド31はそのストロークを増大させるように右方向に移動する。尚、ウォームホイール35の回動範囲は、その回転方向に対応してクラッチストロークSTの増減が一義的に決まるように設定されている。
【0053】
また、図7においてウォームホイール35の回動中心に対し左上側となる外周部には、その軸方向と略平行に一側(図8の下側)に伸びる略円柱状の支持部としての支持ピン35eが固着されている。一方、上記収容部38の側壁38aの一側(図7の左上側)には、支持ピン35eに対応して内側に突出する支持壁38dが形成されている。そして、基本的にこれら支持ピン35e及び支持壁38dに係止される態様で前記アシストスプリング36が支持されている。
【0054】
詳述すると、上記支持ピン35e側には支持台41が設けられている。この支持台41は、上記支持ピン35eに対応して中央部が凹設された台座部41aを有しており、同台座部41aにおいて支持ピン35eに対し揺動可能に係止されている。また、支持台41は、台座部41aから支持ピン35eと反対側に突設された位置決め部としての位置決めピン41bを有している。この位置決めピン41bは、アシストスプリング36の内径と略同等の外径を有しており、アシストスプリング36の一端の位置決めを行う。
【0055】
一方、支持壁38d側にも同様の支持台42が設けられている。この支持台42は、上記支持壁38dに対応して中央部が凹設された台座部42aを有しており、同台座部42aにおいて支持壁38dに対し揺動可能に係止されている。また、支持台42は、台座部42aから支持壁38dと反対側に突設された位置決め部としての位置決めピン42bを有している。この位置決めピン42bも、アシストスプリング36の内径と略同等の外径を有しており、アシストスプリング36の他端の位置決めを行う。
【0056】
そして、アシストスプリング36は、これら位置決めピン41b,42bが挿通された状態で支持台41,42間に支持されている。従って、アシストスプリング36は、ウォームホイール35のホイール部35aと収容部38の底壁38bとの間に形成される空間を利用して収容・支持されている。そして、図10(a)に示すようにウォームホイール35が回転すると、支持台41を介して支持ピン35eに一端が支持されたアシストスプリング36はこれに連動して移動する。
【0057】
ここで、図9に併せ示すように前記底壁38bには、上記ウォームホイール35の回転に連動したアシストスプリング36の移動を規制する停止部材を構成する規制部としての規制壁38eが隆起・形成されている。この規制壁38eは、ウォームホイール35が図10(b)に示す位置まで回転すると、支持台41(台座部41a)両側の対向する端面41cが当接されることで支持台41に支持されたアシストスプリング36のそれ以上の移動を規制する。また、この規制壁38eの支持ピン35eに対向する位置には、同支持ピン35eの回転軌跡に沿って凹設された停止部材を構成する許容部としてのガイド溝38fが形成されている。従って、規制壁38eによりアシストスプリング36の移動が規制された状態においても、支持ピン35eはガイド溝38fに沿って所定の範囲で移動可能である。そして、アシストスプリング36を支持する支持台41を規制壁38eの位置に残置した状態でウォームホイール35のみが更に回転する。尚、アシストスプリング36は、規制壁38eにより規制されるまでの移動範囲において、支持ピン35eに対応してウォームホイール35の回動中心に対し図7の左上側に配置される。そして、アシストスプリング36は、支持台41,42間に圧縮されて支持されており、ウォームホイール35を図7において反時計回転方向に回転させる方向の付勢力を有している。従って、アシストスプリング36は、ウォームホイール35を図7において反時計回転方向に回転させるように、すなわちロッド31を右方向に移動させるように(クラッチストロークSTを増大するように)助勢する。
【0058】
前記ハウジングカバー37は、ハウジング33の開口部を覆う態様で同ハウジング33に装着されている。図8に併せ示すように、ハウジングカバー37には、略円筒状の軸受部37aが形成されており、前記ウォームホイール35のが軸支されている。詳述すると、ウォームホイール35は、軸部35bの他側(図8の上側)がブッシュを介して軸受部37aに挿通されることでハウジングカバー37(軸受部37a)に軸支されている。
【0059】
図11は、クラッチの完全係合状態(クラッチストロークSTの零点)からクラッチストロークSTを増大させるときのクラッチカバー22の変形に要する荷重(以下、「クラッチカバー荷重」という)の特性を示すグラフである。尚、完全係合状態は、クラッチディスク23がフライホイール21に略完全に係合される状態であって、アクチュエータ30のロッド31がレリーズフォーク27(当接部27a)を介して加える荷重が略皆無となる状態に相当する。また、上記クラッチカバー荷重は、ダイヤフラムスプリング25の姿勢変化に要する荷重が支配的であるため、実質的にこれと同等の特性を示している。
【0060】
同図に示されるように、クラッチカバー荷重は、クラッチストロークSTを零点から増大させていくことで増大し、極大値を介して再び減少する。そして、クラッチストロークSTに対応する前述のパワーアシスト領域及び荷重制御領域の境界点は、上記クラッチカバー荷重が減少する裾部に設定されている。いうまでもなく、通常の運転時においてクラッチが断状態になるときのクラッチストロークSTは、これら領域の境界点よりも手前側(零点側)にある。
【0061】
また、クラッチの完全係合状態からのクラッチストロークST(ウォームホイール35の回転)の増大に対応する前記アシストスプリング36からの助勢力(以下、「パワーアシスト荷重」という)は、上記クラッチカバー荷重よりも若干小さい荷重で変化するように設定されている。従って、図11において斜線で示したこれら両荷重間の差が、電動モータ32に要求される駆動力である。換言すると、アシストスプリング36を設けたことで電動モータ32に要求される駆動力が低減されている。このように電動モータ32に要求される能力が低減されることで、当該電動モータ32やアクチュエータ30自体の小型化が図られている。
【0062】
ここで、本実施形態では、クラッチストロークSTがパワーアシスト領域及び荷重制御領域の境界点に略一致したとき、上記アシストスプリング36の移動が規制壁38eによって規制されるようになっている。図10には、パワーアシスト領域及び荷重制御領域に対応する支持ピン35eを基準とするウォームホイール35の第1及び第2回動範囲としての各回動範囲を併せて示している。従って、通常の運転時において使用されないクラッチストロークSTの荷重制御領域では、アシストスプリング36による付勢力(パワーアシスト荷重)が作用しないようになっている。これにより、通常の運転時に使用されない特異な領域(クラッチディスク23の摩耗補償等のための領域)を含めてアシストスプリング36の設計や配置などの調整・設定を行う煩わしさが回避されている。
【0063】
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、荷重制御領域でのウォームホイール35の回転時に、ウォームホイール35の支持ピン35eによるアシストスプリング36の一端(支持台41)の支持が解放されてウォームホイール35の回転に対するアシストスプリング36の助勢が停止される。従って、クラッチディスク23の摩耗補償等を行う特異な領域(荷重制御領域)を含めてアシストスプリング36の設定を行う煩わしさを回避できる。また、摩擦クラッチ20を非係合状態にする領域(パワーアシスト領域)では、ウォームホイール35の回転をアシストスプリング36により助勢することができる。
【0064】
(2)本実施形態では、既存のハウジング33を利用してアシストスプリング36の他端(支持台42)を支持することで部品点数の増加を抑制できる。
(3)本実施形態では、アシストスプリング36の一端及び他端を、それぞれ支持台41,42を介してウォームホイール35(支持ピン35e)及びハウジング33(支持壁38d)に支持した。従って、例えばアシストスプリング36の一端及び他端を直に加工した支持形状などで支持する場合に比べてその設計の自由度を増大することができる。
【0065】
(4)本実施形態では、支持台41,42にアシストスプリング36を位置決めする位置決めピン41b,42bを設けたことで、例えばアシストスプリング36が揺動などによってウォームホイール35(支持ピン35e)若しくはハウジング33(支持壁38d)から脱落したりすることを抑制できる。
【0066】
(5)本実施形態では、支持ピン35e及び支持壁38dに対応して支持台41,42を凹設して同支持台41,42を支持するようにした。従って、例えば支持台41,42が揺動などによってウォームホイール35(支持ピン35e)若しくはハウジング33(支持壁38d)から脱落したりすることを抑制できる。
【0067】
なお、本発明の実施の形態は上記実施形態に限定されるものではなく、次のように変更してもよい。
・前記実施形態においては、アシストスプリング36の一端及び他端にそれぞれ支持台41,42を設けてこれを介して支持ピン35e(若しくは規制壁38e)及び支持壁38dに支持するようにした。これに対して、アシストスプリング36の一端及び他端を支持台41,42に準じた形状に加工するなどし、これにより直に支持ピン35e(若しくは規制壁38e)及び支持壁38dに支持するようにしてもよい。
【0068】
・前記実施形態においては、電動モータ32の回転軸34にウォーム部34aを形成してこれにウォームホイール35をギヤ連結して回転駆動するようにした。これに対して、例えば回転軸34にギヤを設けてこれに回転体(ウォームホイール35)をギヤ連結して回転駆動するようにしてもよい。
【0069】
・前記実施形態においては、不動部としてハウジング33(支持壁38d、規制壁38e)を利用したが、こうした不動部はハウジングカバー37側に設けてもよい。あるいは、アクチュエータ30を車両に固定する適宜のブラケットなどを利用して設けてもよい。
【0070】
・前記実施形態においては、コイルばね状のアシストスプリング36を採用したが、例えば板ばね状のアシストスプリングを採用してもよい。
・前記実施形態において採用された構成は一例であって、本発明を逸脱しない範囲で適宜の変更を加えてもよい。
【0071】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1乃至5に記載の発明では、クラッチの摩耗補償を行うときのアシストスプリングの設定の煩わしさを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用されるクラッチ装置の概略を示す断面図。
【図2】図1に示したクラッチの一部切り欠いた正面図。
【図3】調整機構に係わる構成を図3の側方から見た図。
【図4】クラッチが係合状態のときの調整機構の断面図。
【図5】クラッチが係合状態のときのダイアフラムスプリングの保持に係わる断面図。
【図6】アジャスト動作時におけるクラッチの調整機構の作動を説明するための図。
【図7】図1に示したアクチュエータを示す正面図。
【図8】図7の8−8線に沿った断面図。
【図9】図7の9−9線に沿った断面図。
【図10】アクチュエータの動作を説明するための図。
【図11】クラッチストロークとクラッチカバー荷重及びパワーアシスト荷重との関係を示すグラフ。
【符号の説明】
20…クラッチとしての摩擦クラッチ、30…アクチュエータ、32…電動モータ、33…ハウジング、35…ウォームホイール、35e…支持ピン、36…アシストスプリング、38e…規制壁、38f…ガイド溝、41,42…支持台、41b,42b…位置決めピン。

Claims (5)

  1. 動力源と、該動力源により回転駆動される回転体とを備え、該回転体を第1回動範囲内で回転させてクラッチの断接操作を行うとともに、該回転体を第1回動範囲を超える第2回動範囲内で回転させてクラッチの摩耗補償を行うクラッチ用アクチュエータにおいて、
    前記回転体及び不動部にそれぞれ一端及び他端が支持されて該回転体の回転を助勢するアシストスプリングと、
    前記第2回動範囲内での前記回転体の回転時に、該回転体による前記アシストスプリングの一端の支持を解放して該回転体の回転に対する該アシストスプリングの助勢を停止する停止部材とを備えたことを特徴とするクラッチ用アクチュエータ。
  2. 請求項1に記載のクラッチ用アクチュエータにおいて、
    前記停止部材は、
    不動部に形成され、前記第2回動範囲内での前記回転体の回転時に、前記アシストスプリングの一端が当接して該アシストスプリングの一端の移動を規制する規制部と、
    前記第2回動範囲内での前記回転体の回転時に、前記アシストスプリングの一端を支持する該回転体の支持部を該アシストスプリングの一端から開放して該支持部の移動を許容する許容部とを有することを特徴とするクラッチ用アクチュエータ。
  3. 請求項1又は2に記載のクラッチ用アクチュエータにおいて、
    前記不動部は、前記回転体及び前記アシストスプリングを収容するハウジングであることを特徴とするクラッチ用アクチュエータ。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のクラッチ用アクチュエータにおいて、
    前記アシストスプリングの一端及び他端は、それぞれ支持台を介して前記回転体及び前記不動部に支持されたことを特徴とするクラッチ用アクチュエータ。
  5. 請求項4に記載のクラッチ用アクチュエータにおいて、
    前記支持台は、前記アシストスプリングを位置決めする位置決め部を備えたことを特徴とするクラッチ用アクチュエータ。
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