JP4034167B2 - 光コネクタ清掃工具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コネクタハウジング内の光コネクタの接合端面を清掃する光コネクタ清掃工具に関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、プラグ−アダプタ−プラグ結合方式の光コネクタは、アダプタとなるコネクタハウジングに、対向する両側から挿入、接続された光コネクタ(プラグ)同士が、該アダプタ内で接続されるものである。
また、プラグ−レセプタクル結合方式の光コネクタは、レセプタクルとなる光コネクタハウジング内に、接続される一方の光コネクタ(フェルールなど)が保持されており、これに対向して前記レセプタクルに光コネクタ(プラグ)が挿入されて接続されるものである。
アダプタやレセプタクルなどのコネクタハウジング内での光コネクタ同士の接続は、各光コネクタの接合端面に臨む光ファイバの端面同士を突き合わせ接合することで実現される。
【0003】
コネクタハウジングに光コネクタを挿入して突き合わせ接続する際、光コネクタの接合端面にゴミや埃、油分などの汚れが付着していると、着脱時の損傷や、伝送損失の増大などの原因になるため、突き合わせ接続に先立って、接合端面を清掃する必要がある。従来、この接合端面の清掃は、アルコールを含浸させた綿棒やテープタイプのクリーナーなどの清掃具を用い、この清掃具を直接手で把持して、清掃具を光コネクタの接合端面に当接させて拭き取り清掃することが一般的である(例えば特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−284147号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述のような清掃具では、コネクタハウジング内の光コネクタの接合端面を清掃するためには、他方の光コネクタを挿入するためのコネクタハウジング内の空間(コネクタ挿入穴)に清掃具を挿入して、当該接合端面を清掃することになる。清掃箇所である光コネクタの接合端面はコネクタ挿入穴の奥に位置し、非常に見づらいことから、清掃具が接合端面に対して確実に当接しているか否かや、さらには清掃の進捗状況などが確認しづらく、清掃が必ずしも良好になされないおそれがあった。
また、清掃具をコネクタハウジングの内壁などに触れさせないように、清掃具の挿入は慎重に注意深く行う必要があり、面倒であった。
【0006】
一方、清掃すべき光コネクタをコネクタハウジングから抜去すれば、接合端面は見やすくなり、また、この接合端面に清掃工具を当接させることは容易になるが、清掃後、光コネクタをコネクタハウジングに挿入する作業は、光コネクタにゴミや埃などが再び付着しないように、慎重に行う必要があり、この光コネクタの着脱に要する手間と合わせて、作業が著しく煩雑になるため、問題となっていた。
【0007】
従って、本発明の課題は、光コネクタをコネクタハウジングに挿入した状態で、当該光コネクタの接合端面を容易かつ確実に清掃することができる光コネクタ清掃工具を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明は、工具本体と、この工具本体から突出して設けられ、前記コネクタハウジングに挿入可能に形成されている挿入部と、この挿入部先端に配置される清掃部材と、この清掃部材を運動させる駆動機構とを有し、前記挿入部の突出方向の先端側には、小型の光コネクタが収容されたコネクタハウジングへの挿入によって該コネクタハウジング内で位置決めされる第1の単位挿入部が形成されるとともに、この第1の単位挿入部の後ろ側には、前記小型の光コネクタより大型の光コネクタが収容されたコネクタハウジングへの挿入によって該コネクタハウジング内で位置決めされる第2の単位挿入部が形成されており、前記清掃部材は、第1の単位挿入部の先端に配置されており、前記挿入部を前記小型の光コネクタが収容されたコネクタハウジングに挿入する際には、該コネクタハウジング内には第1の単位挿入部が挿入されるようになっており、前記挿入部を前記大型の光コネクタが収容されたコネクタハウジングに挿入する際には、該コネクタハウジング内には第1の単位挿入部および第2の単位挿入部が挿入されるようになっていることを特徴とする光コネクタ清掃工具を提供する。
このような光コネクタ清掃工具によれば、それぞれの単位挿入部により、挿入部を互いに異なるコネクタハウジングに対して位置決めされるように挿入することができ、1つの清掃工具で、異なる複数の光コネクタに対応して清掃することができる。
しかも、挿入部により前記清掃部材がコネクタハウジングの内壁に接触することが防止されるので、清掃部材の汚染を抑制することができる。また、挿入部をコネクタハウジングに挿入するだけで、清掃部材を当該コネクタハウジング内の光コネクタの接合端面に正しく当接することができるから、作業性がよく、光コネクタの接合端面の良好な清掃状態を容易かつ確実に得ることができる。
上述の光コネクタ清掃工具において、第2の単位挿入部の前縁部は、前記挿入部を前記小型の光コネクタが収容されたコネクタハウジングに挿入する際、該コネクタハウジングのコネクタ挿入口の周縁部に当接するようになっているとともに、第2の単位挿入部の後ろ側には、前記挿入部を前記大型の光コネクタが収容されたコネクタハウジングに挿入する際、該コネクタハウジングのコネクタ挿入口の周縁部に当接するストッパが設けられていることが好ましい。
【0009】
さらに本発明は、前記清掃部材がテープであり、このテープは、前記挿入部の工具本体からの突出先端に設けられたヘッド部材に巻き回され、前記ヘッド部材の当接面によって、コネクタハウジング内の光コネクタの接合端面に対して押圧されるようになっており、前記駆動機構が前記テープを送り移動するテープ移動機構であることを特徴とする光コネクタ清掃工具を提供する。
このような光コネクタ清掃工具によれば、未使用のテープをテープ移動機構によりヘッド部材に順次供給するとともに、光コネクタの接合端面に当接されて使用済みとなったテープを上記テープ移動機構によって回収することができるから、前記接合端面に対して当接される部位の清掃部材を常に清浄に保つことができ、効率よく作業を行うことができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1(a)〜(c)は、本実施の形態の光コネクタ清掃工具(以下、単に清掃工具という)を示す図であり、図1(a)は全体の斜視図、図1(b)は側面図、図1(c)は、該清掃工具の先端部を示す部分拡大斜視図である。
図2は、この清掃工具の工具本体を二つ割りにした状態を示す斜視図である。
図3(a)は、上記清掃工具を示す概略の側面図である。
図3(b)は、清掃工具の挿入部を、第1の単位挿入部によって位置決めして、コネクタハウジングに挿入した状態を示す側面図であり、図3(c)は、清掃工具の挿入部を、第2の単位挿入部によって位置決めして、コネクタハウジングに挿入した状態を示す側面図である。
図4は、清掃工具の挿入部を、清掃すべき光コネクタに対して当接させる状態を説明する斜視図である。
図5(a)は、清掃工具の挿入部を、第1の単位挿入部によって位置決めして、コネクタハウジングに挿入した状態を示す水平断面図であり、図5(b)は、清掃工具の挿入部を、第2の単位挿入部によって位置決めして、コネクタハウジングに挿入した状態を示す水平断面図である。
【0011】
図3、4、5に示すように、本実施の形態の清掃工具1が適用される光コネクタ240、260(プラグ)およびコネクタハウジング250、270(アダプタ)は、JIS C 5982、IEC 61754-7等に規定されるMPO形光コネクタ(MPO:Multifiber Push On)と、このMPO形光コネクタとほぼ同様の形状を有し、光コネクタフェルールなどの寸法が上記MPO形光コネクタの規定より小型になっている、いわゆるMini−MPO形光コネクタである。
ここでは、光コネクタ240およびアダプタ250がMini−MPO形光コネクタであり、光コネクタ260およびアダプタ270がMPO形光コネクタである。
【0012】
図4に示すように、これらの光コネクタ240、260は、光コネクタフェルール241、261(以下、単にフェルールという)をプラスチック製でスリーブ状のハウジング242、262の先端部に収容した構成の光コネクタプラグであり、全体が外観扁平な断面形状に形成されている。
MPO形である光コネクタ260に適用されるフェルール261は、JIS C 5981等に規定されるMT形光コネクタフェルール(MT:Mechanically Transferable)である。Mini−MPO形である光コネクタ240に適用されるフェルール241は、寸法がMT形フェルールより小型になっている、いわゆるMini−MT形フェルールである。
以下の説明では、光コネクタ240、260の扁平形状の短辺側に対応する方向(図3の上下方向)を厚さ方向といい、長辺側に対応する方向を幅方向(図3の紙面に垂直な方向)ということがある。また、光コネクタ240、260の厚さ方向および幅方向に対応して、この光コネクタ240、260と接続されるコネクタハウジング250、270ならびに清掃工具1の挿入部20についても同様に、厚さ方向および幅方向ということがある。
【0013】
光コネクタ240、260のフェルール241、261の接合端面241a、261aには、配列された所定の個数の光ファイバ穴241b、261bが開口している。光ファイバ243、263は、その先端を光ファイバ穴241b、261bに挿通することにより、他の光コネクタと突き合わせ接続可能に成端されるとともに、光コネクタ240、260の内部を貫通して該光コネクタ240、260の後端から引き出されている。
光コネクタ240、260後端から引き出された光ファイバ243、263は、ハウジング242、262の接続方向後端側に設けられたブーツ244、264に収納されることにより、光コネクタ240、260後端付近での急激な曲げ等が防止されている。
【0014】
光ファイバ243、263としては、特に限定はなく、例えば単心または多心の光ファイバ心線、この光ファイバ心線をチューブに収納した光ファイバコードなどが採用可能である。前記光ファイバ心線や前記光ファイバコードの場合、該光ファイバ心線等の先端の被覆を除去して露出させた裸光ファイバを、フェルール241、261の光ファイバ穴241b、261bに挿入して、突き合わせ接続可能に成端される。
【0015】
アダプタ250、270は、概略スリーブ状に形成されており、それぞれ、対向する両側に形成されるコネクタ挿入口251、271から光コネクタ240、260を挿入することにより、該光コネクタ240、260を、アダプタ250、270の内部に形成されたコネクタ収容穴252、272に収容することができるようになっている。
光コネクタ240、260は、アダプタ250、270にコネクタ挿入口251から挿入されると、アダプタ250、270内でフェルール241、261同士が突き合わされ、これにより、各フェルール241、261に成端されている光ファイバ243、263同士が光接続されるようになっている。
【0016】
アダプタ250、270は、その内壁250a、270aに沿って、コネクタ挿入口251、271に向かって延出形成された弾性爪である係合爪253、273を備えている。これらの係合爪253、273は、光コネクタ240、260のハウジング242、262の幅方向両側の側面に形成された係合凹所(図示略)と係合可能である。
【0017】
上記光コネクタ240、260の接合端面241a、261aの清掃に適用できる本実施の形態の清掃工具1は、内部に清掃部材2が収容された概略ケース状の工具本体10と、この工具本体10から突出して設けられた挿入部20と、清掃部材2を運動させる駆動機構3とを備えている。
【0018】
工具本体10は、プラスチック等からなる二つ割り構造になっており、第1および第2のケース半体11、12を向かい合わせ、第1のケース半体11の内側に突出して形成された嵌合ピン13と、第2のケース半体12の内側に突設されたボス14aに設けられた嵌合穴14とを嵌合させることにより、一体化されるようになっている。
【0019】
清掃部材2はここではテープであり、このテープ2としては、特に限定されるものではなく、公知の適当な清浄布をテープ状に加工したものを採用することができ、例えば、ポリエステルやナイロンなどからなる極細の繊維で織られたものなどが例示される。
テープ2の幅は、光コネクタ240、260における接合端面241a、261aに露出するすべての光ファイバの端面とその周囲を一度に拭ける程度となっている。図5(a)、(b)に示すように、テープ2は、挿入部20の内壁により幅方向の変位が規制されている。これにより、テープ2の横ズレが防止される。
【0020】
ケース半体11、12の収納空間35には、駆動機構3としてテープ移動機構が設けられている。
このテープ移動機構3は、テープ2を巻装した供給リール30と、使用後のテープ2を巻き取って回収する巻取リール31と、テープ2を操作する操作ダイヤル34を備えている。
第1のケース半体11の内側(収納空間35側)の面には、供給リール30が回転可能に装着された供給リール支持軸32と、巻取リール31が回転可能に装着された巻取リール支持軸33が設けられている。
【0021】
巻取リール支持軸33の外周には、巻取リール31と同心となるように、操作ダイヤル34が装着されている。
この操作ダイヤル34は、第1のケース半体11の側面に設けられた窓11aから、一部、工具本体10の外に露出されるようになっており、操作ダイヤル34を手などで操作して所定の方向に回転させることにより、巻取リール31が回転してテープ2を巻き取るとともに、供給リール30から未使用のテープ2が繰り出されるようになっている。上記窓11aは、工具本体10の側面に開口しているので、操作ダイヤル34は、清掃工具1を片手で持ったときでも、清掃工具1を持った側の手の指で容易に操作できる。
【0022】
操作ダイヤル34の半径は、巻取リール31の半径より大きくなっている。その結果、テープ2が巻取リール31に巻き取られる長さは、操作ダイヤル34の操作量(該操作ダイヤル34の外周に沿った変位量)より、上記半径比の分だけ小さくなる。このため、テープ2の微小な変位が容易に達成される。
【0023】
供給リール30と巻取リール31との間では、テープ2は、ピン状のテープガイド36に沿って、両ケース半体11、12の間に形成された収納空間35内に張り回されている。そして、その途中で、挿入部20内に収容された後述のヘッド部材23に巻き掛けられている。
【0024】
挿入部20は、工具本体10からの突出方向に形成された2段の単位挿入部220A、220Bを備えている。
図3(b)に示すように、第1の単位挿入部220Aは、これをアダプタ250に挿入することにより、第1の単位挿入部220Aが、該アダプタ250の内壁250aによって位置決めされて挿入されるとともに、後述する挿入部20先端の当接面24に配置されたテープ2が、アダプタ250に収容された光コネクタ240の接合端面241aに対して位置決めして当接させられるように形成されている。
【0025】
また、図3(c)に示すように、第2の単位挿入部220Bは、これを第1の単位挿入部220Aとともにアダプタ270に挿入することにより、第2の単位挿入部220Bが、アダプタ270の内壁270aによって位置決めされて挿入されるとともに、挿入部20先端の当接面24に配置されたテープ2が、光コネクタ260の接合端面261aに対して位置決めして当接させられるようになっている。つまり、第1の単位挿入部220Aは、該第1の単位挿入部220Aよりも挿入部20の突出方向後端側(先端側の反対の側)に位置する第2の単位挿入部220Bが挿入可能なアダプタ270に、挿入可能であるように形成されている。
【0026】
工具本体10は、挿入部20に向かって先細り形状となっており、挿入部20と接する位置にストッパ15を有している。図3(c)に示すように、このストッパ15は、第2の単位挿入部220Bをアダプタ270のコネクタ収容穴272に挿入したときに、該ストッパ15がアダプタ270のコネクタ挿入口271の周縁部271aに当接することにより、第2の単位挿入部220Bが、アダプタ270のコネクタ収容穴272に深く進入しすぎないようにするためのものである。
また、第2の単位挿入部220Bの前縁部221は、図3(b)に示すように、第1の単位挿入部220Aをアダプタ250のコネクタ収容穴252に挿入したときに、アダプタ250のコネクタ挿入口251の周縁部251aに当接するようになっている。これにより、第1の単位挿入部220Aが、アダプタ250のコネクタ収容穴252に深く進入しすぎないようになっている。
【0027】
挿入部20は、工具本体10と同じく二つ割り構造となっていて、それぞれのケース半体11、12と一体に形成された挿入部半体20a、20bを、ケース半体11、12の一体化に伴って一体化することにより形成されるようになっている。
【0028】
この挿入部20は、光コネクタ240、260の接合端面241a、261aから突出した突出部材(ガイドピン)245、265との干渉を避けるように形成された凹部22を備えている。凹部22は、挿入部20の外面の幅方向の両側に形成されている。
【0029】
図5(a)に示すように、第1の単位挿入部220Aの外面の幅方向両側には、当該挿入部20をアダプタ250に挿入した際に、当該アダプタ250の係合爪253と係合可能に形成された係合凹所21Aが形成されている。
図5(b)に示すように、第2の単位挿入部220Bの外面の幅方向両側には、当該挿入部20をアダプタ270に挿入した際に、当該アダプタ270の係合爪273と係合可能に形成された係合凹所21Bが形成されている。
【0030】
係合凹所21A、21Bの前縁部(挿入部20先端に近い側、図5(a)、(b)における左側の縁部)は、斜面となっている。これにより、係合凹所21A,21Bにアダプタ250、270の係合爪253、273が係合された状態で、挿入部20を抜去方向(図5(a)、(b)における右向き)に引き抜いたときに、係合爪253、273は上記係合凹所21A、21Bの前縁部を乗り越えて比較的小さな力で係合凹所21A、21Bから離脱されるようになっている。
【0031】
挿入部20内には、テープ2が巻き掛けられるヘッド部材23が収容されている。ヘッド部材23は、平面視で概略、挿入部20の挿入方向に細長い三角形ないし台形状となっており、挿入部20の突出方向の先端側が当接面24となっている。
ヘッド部材23は、両挿入部半体20a、20bの間に挟持される支軸25によって、当該支軸25を中心とした上下方向の回転が可能なように支持されている。これにより、当接面24の挿入部20の挿入方向に対する向きが変えられるようになっている。
【0032】
ヘッド部材23は、先端の当接面24側が、挿入部20内に収容された側よりも厚さ方向の寸法が大きくなっている。これにより、ヘッド部材23の当接面24が光コネクタ240、260の接合端面241a、261aと当接するために充分な寸法を確保するとともに、ヘッド部材23が支軸25を中心として回転した際に、テープ2が挿入部20の内壁に押し付けられてしまうことが抑制されるようになっている。
【0033】
挿入部20の先端には、開口部26が形成されている。この開口部26からは、ヘッド部材23の当接面24と、この当接面24に沿って巻き掛けられたテープ2とが露出されるようになっている。
なお、特に図示しないが、開口部26から露出されたヘッド部材23およびテープ2を保護するためのキャップやカバーなどを挿入部20の先端に取り付けて、清掃工具1を使用しないときに上記テープ2等を保護できるようにしてもよいことは勿論である。
【0034】
この清掃工具1の使用方法の一例を説明する。
アダプタ250に収容された光コネクタ240の接合端面241aを清掃するためには、まず、図3(b)に示すように、アダプタ250の、光コネクタ240が挿入された側と反対側のコネクタ挿入口251から、清掃工具1の挿入部20を、アダプタ250に挿入する。すると、第1の単位挿入部220Aの外面がアダプタ250の内壁250aによって位置決めされるので、挿入部20を、挿入部20先端の当接面24が光コネクタ240の接合端面241aに当接するまで押し込む。
【0035】
第1の単位挿入部220Aは、係合凹所21Aがアダプタ250の係合爪253と係合することにより、位置決めされ、光コネクタ240の接合端面241aの適切な位置(ここでは、光ファイバ穴241bとその周辺)に位置決めされて当接させられる。
【0036】
ヘッド部材23は、その当接面24が光コネクタ240の接合端面241aと当接したときの反作用により、支軸25を中心として回転するので、接合端面241aが挿入部20の挿入方向に対して傾斜していたとしても、挿入部20の当接面24を上記接合端面241aにぴったり合わせることができる。
光コネクタ240の接合端面241aにガイドピン245が突出していた場合でも、ガイドピン245は、挿入部20に設けられた凹部22に収容されるので、挿入部20は、ガイドピン245と干渉することなく、アダプタ250のコネクタ収容穴252内に収容される。この際、仕切り22aにより、テープ2とガイドピン245との干渉も防がれる。
このとき、第2の単位挿入部220Bの前縁部221は、アダプタ250のコネクタ挿入口251には挿入されないので、ストッパとして機能し、第1の単位挿入部220Aがアダプタ250のコネクタ収容穴252に深く進入しすぎることはない。
【0037】
操作ダイヤル34を所定量回転させると、巻取リール31の回転と連動してテープ2が運動し、このテープ2により接合端面241aが拭かれるので、接合端面241aに付着しているゴミや埃、油分などの汚れが、テープ2により確実に拭き取られる。
第1の単位挿入部220Aは、清掃中も、係合凹所21Aに係合した係合爪253の弾性力により、幅方向の変位を抑制されているとともに、ガイドピン245は、仕切り22aにより清掃部材2から離隔された凹部22に収容されているので、清掃部材2の、接合端面241aに対する当接位置のずれが抑制され、清掃部材2とガイドピン245との干渉も防止される。また、挿入部20を、ごく軽い力で、アダプタ内に支持することができるので、作業性がよい。
【0038】
拭き取られた汚れは、テープ2に付着して巻取リール31に巻き取られる方向に移動するので、使用後のテープ2はもはや挿入部20の開口部26から露出されることはなく、汚れが光コネクタ240の接合端面241aに再び付着するおそれがない。
このようにして、光コネクタ240の接合端面241aを極めて清浄に清掃することができる。清掃後、清掃工具1を挿入したときと反対の方向に引くことにより、挿入部20をアダプタ250から引き抜くことができる。
【0039】
アダプタ270に収容された光コネクタ260の接合端面261aを清掃するためには、まず、図3(c)に示すように、アダプタ270の、光コネクタ260が挿入された側と反対側のコネクタ挿入口271から、清掃工具1の挿入部20を、アダプタ270に挿入する。すると、第2の単位挿入部220Bの外面がアダプタ270の内壁270aによって位置決めされるので、挿入部20を、挿入部20先端の当接面24が光コネクタ260の接合端面261aに当接するまで押し込む。
【0040】
第2の単位挿入部220Bは、係合凹所21Bがアダプタ270の係合爪273と係合することにより位置決めされ、光コネクタ260の接合端面261aの適切な位置(ここでは、光ファイバ穴261bとその周辺)に位置決めされて当接させられる。この際、挿入部20の当接面24に配置されたテープ2が、アダプタ270の内壁270aに接触することは、挿入部20により防止される。
また、ストッパ15は、アダプタ270のコネクタ挿入口271には挿入されないので、第2の単位挿入部220Bがアダプタ270のコネクタ収容穴272に深く進入しすぎることはない。また、仕切り22aにより、テープ2とガイドピン265との干渉も防がれる。
さらに、上述したように、操作ダイヤル34を操作してテープ2を運動させることにより、光コネクタ260の接合端面261aを極めて清浄に清掃することができる。清掃後、清掃工具1を挿入したときと反対の方向に引くことにより、挿入部20をアダプタ270から引き抜くことができる。
【0041】
以上、本発明を好適な実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明はこの実施の形態のみに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
例えば、光コネクタ清掃工具の具体的形状は、前記実施の形態に限定されず、適用対象の光コネクタの形状に応じて適宜変更可能であり、光コネクタの種類は特に限定されない。コネクタハウジングに光コネクタを挿入して光結合を行うような光コネクタであれば、当該コネクタハウジングの内壁によって挿入部が位置決めされるように清掃工具の挿入部を形成することにより、本発明の光コネクタ清掃工具を適用可能である。つまり、アダプタのみならず、レセプタクルやジャックなどにも適用できることは、いうまでもない。
【0042】
単位挿入部は、上記実施の形態では、2個としたが、3個以上としてもよいことはもちろんである。例えば、挿入部に単位挿入部が3個形成された場合、各単位挿入部を挿入部の突出方向先端側から、それぞれ、第1の単位挿入部、第2の単位挿入部、第3の単位挿入部ということにし、各単位挿入部が、第1、第2、第3のコネクタハウジング内で位置決めされるようになっているとすると、第1の単位挿入部は、第1、第2、第3のコネクタハウジングのすべてに挿入可能である。また、第2の単位挿入部は、第2および第3のコネクタハウジングのすべてに挿入可能である。第3の単位挿入部は、第3のコネクタハウジングのみに挿入可能である。換言すれば、第1のコネクタハウジングには、第1の単位挿入部が挿入されるようになっており、第2のコネクタハウジングには、第1および第2の単位挿入部が挿入されるようになっており、第3のコネクタハウジングには、第1〜第3の単位挿入部が挿入されるようになっている。このようにして、上述した実施の形態と同様の作用効果を得ることができるように、光コネクタ清掃工具を構成することができる。
【0043】
清掃部材としては、テープの他、綿棒など、公知の適切なものが採用できる。上記実施の形態の清掃工具においては、挿入部は、該挿入部先端に形成された開口部を除いて、清掃部材をすっかり覆うようになっていたが、必ずしも、これに限定されない。挿入部をコネクタハウジングに挿入するに、清掃部材がコネクタハウジングの内壁などに接触して汚染されるのを防げるのであれば、形状や構造は特に限定されず、例えば、フレーム状、コ字溝、H字溝として、挿入部の側壁が空いた構造であっても、採用可能である。
【0044】
【発明の効果】
以上説明した光コネクタ清掃工具は、工具本体から突出して設けられ、コネクタハウジングに挿入可能に形成されている挿入部と、清掃部材を運動させる駆動機構とを有し、前記挿入部の突出方向の複数箇所には、互いに異なるコネクタハウジングへの挿入によってコネクタハウジング内で位置決めされる単位挿入部が形成されており、挿入部の各単位挿入部は、挿入部の突出方向の位置が相対的に後ろ側に位置する単位挿入部を収容することができる全てのコネクタハウジングに、挿入可能であるように形成されているものである。このような光コネクタ清掃工具によれば、それぞれの単位挿入部により、挿入部を互いに異なるコネクタハウジングに対して位置決めされるように挿入することができ、1つの清掃工具を用いて、異なる複数の光コネクタに対応して清掃することができる。
本発明の光コネクタ清掃工具においては、前記挿入部の突出方向の先端側には、小型の光コネクタが収容されたコネクタハウジングへの挿入によって該コネクタハウジング内で位置決めされる第1の単位挿入部が形成されるとともに、この第1の単位挿入部の後ろ側には、前記小型の光コネクタより大型の光コネクタが収容されたコネクタハウジングへの挿入によって該コネクタハウジング内で位置決めされる第2の単位挿入部が形成されており、前記清掃部材は、第1の単位挿入部の先端に配置されており、前記挿入部を前記小型の光コネクタが収容されたコネクタハウジングに挿入する際には、該コネクタハウジング内には第1の単位挿入部が挿入されるようになっており、前記挿入部を前記大型の光コネクタが収容されたコネクタハウジングに挿入する際には、該コネクタハウジング内には第1の単位挿入部および第2の単位挿入部が挿入されるようになっている。これにより、
(1)前記挿入部を前記小型の光コネクタが収容されたコネクタハウジングに挿入すると、該コネクタハウジング内には第1の単位挿入部が挿入され、該コネクタハウジング内で第1の単位挿入部が位置決めされた状態で、清掃部材によって前記小型の光コネクタを清掃することができる。
(2)前記挿入部を前記大型の光コネクタが収容されたコネクタハウジングに挿入すると、該コネクタハウジング内には第1の単位挿入部および第2の単位挿入部が挿入され、該コネクタハウジング内で第2の単位挿入部が位置決めされた状態で、清掃部材によって前記大型の光コネクタを清掃することができる。
すなわち、小型の光コネクタおよび大型の光コネクタに対応して、1つの清掃工具を用いてそれぞれを清掃することができる。
【0045】
このような清掃工具の挿入部をコネクタハウジングの内壁に挿入することにより、前記挿入部の工具本体からの突出先端に位置させておかれた清掃部材を、前記接合端面に対して位置決めして当接させることができる。このため、清掃部材をコネクタハウジング内に挿入する際に、清掃部材のコネクタハウジング内壁への接触が防止され、当該清掃部材の汚染を抑制することができる。さらに、清掃部材を運動させて拭き取り清掃する際にも、清掃部材の接合端面に対する当接位置を適切な位置に維持することが容易になるので、接合端面の良好な清掃状態を容易かつ確実に得ることができる。清掃工具を手で支持しても、手ブレによる、清掃部材の当接位置のズレが起こりにくい。また、挿入部を、ごく軽い力で、コネクタハウジング内に支持することができるので、作業性がよい。
【0046】
このような光コネクタ清掃工具において、前記清掃部材がテープであり、このテープは、前記挿入部の工具本体からの突出先端に設けられたヘッド部材に巻き回され、前記ヘッド部材の当接面によって、コネクタハウジング内の光コネクタの接合端面に対して押圧されるようになっており、前記駆動機構が前記テープを送り移動するテープ移動機構であるものによれば、光コネクタの接合端面に対して、常に清浄な清掃部材を当接させるようにすることができ、効率よく作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施の形態の光コネクタ清掃工具を示す(a)全体の斜視図、(b)側面図、(c)挿入部を示す部分拡大斜視図である。
【図2】 上記清掃工具の工具本体を二つ割りにした状態を示す斜視図である。
【図3】 (a)上記清掃工具を示す概略の側面図である。(b)清掃工具の挿入部を、第1の単位挿入部によって位置決めして、コネクタハウジングに挿入した状態を示す側面図である。(c)清掃工具の挿入部を、第2の単位挿入部によって位置決めして、コネクタハウジングに挿入した状態を示す側面図である。
【図4】 清掃工具の挿入部を、清掃すべき光コネクタに対して当接させる状態を説明する斜視図である。
【図5】 (a)清掃工具の挿入部を、第1の単位挿入部によって位置決めして、コネクタハウジングに挿入した状態を示す水平断面図である。(b)清掃工具の挿入部を、第2の単位挿入部によって位置決めして、コネクタハウジングに挿入した状態を示す水平断面図である。
【符号の説明】
1…光コネクタ清掃工具(清掃工具)、2…清掃部材(テープ)、3…駆動機構(テープ移動機構)、10…工具本体、20…挿入部、23…ヘッド部材、24…当接面、240…光コネクタ(プラグ)、241a…光コネクタの接合端面、250…コネクタハウジング(アダプタ)、250a…コネクタハウジングの内壁、260…光コネクタ(プラグ)、261a…光コネクタの接合端面、270…コネクタハウジング(アダプタ)、270a…コネクタハウジングの内壁。
Claims (3)
- コネクタハウジング内の光コネクタの接合端面を、清掃部材の運動により拭き取り清掃する光コネクタ清掃工具であって、
工具本体(10)と、この工具本体から突出して設けられ、前記コネクタハウジングに挿入可能に形成されている挿入部(20)と、この挿入部先端に配置される清掃部材(2)と、この清掃部材を運動させる駆動機構(3)とを有し、
前記挿入部の突出方向の先端側には、小型の光コネクタ(240)が収容されたコネクタハウジング(250)への挿入によって該コネクタハウジング内で位置決めされる第1の単位挿入部(220A)が形成されるとともに、この第1の単位挿入部の後ろ側には、前記小型の光コネクタより大型の光コネクタ(260)が収容されたコネクタハウジング(270)への挿入によって該コネクタハウジング内で位置決めされる第2の単位挿入部(220B)が形成されており、
前記清掃部材は、第1の単位挿入部の先端に配置されており、前記挿入部を前記小型の光コネクタが収容されたコネクタハウジングに挿入する際には、該コネクタハウジング内には第1の単位挿入部が挿入されるようになっており、前記挿入部を前記大型の光コネクタが収容されたコネクタハウジングに挿入する際には、該コネクタハウジング内には第1の単位挿入部および第2の単位挿入部が挿入されるようになっていることを特徴とする光コネクタ清掃工具(1)。 - 第2の単位挿入部の前縁部(221)は、前記挿入部を前記小型の光コネクタが収容されたコネクタハウジングに挿入する際、該コネクタハウジングのコネクタ挿入口(251)の周縁部(251a)に当接するようになっているとともに、第2の単位挿入部の後ろ側には、前記挿入部を前記大型の光コネクタが収容されたコネクタハウジングに挿入する際、該コネクタハウジングのコネクタ挿入口(271)の周縁部(271a)に当接するストッパ(15)が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の光コネクタ清掃工具。
- 前記清掃部材はテープであり、このテープは、前記挿入部の工具本体からの突出先端に設けられたヘッド部材(23)に巻き回され、前記ヘッド部材の当接面(24)によって、コネクタハウジング内の光コネクタの接合端面に対して押圧されるようになっており、前記駆動機構が前記テープを送り移動するテープ移動機構であることを特徴とする請求項1または2に記載の光コネクタ清掃工具。
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