JP4025645B2 - Pibf濃度測定によるガン患者の検査方法 - Google Patents

Pibf濃度測定によるガン患者の検査方法 Download PDF

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Description

本発明はプロゲステロン誘発免疫調整タンパク質−(Progesterone-Induced Immunomodulatory Protein)(PIBF−)活性を有する組換えタンパク質、PIBF活性を有する組換えタンパク質をコードする核酸分子、ベクターから成る細胞、そしてガン患者を診断するための方法に関するものである。
【0001】
正常な妊娠を維持するために、プロゲステロン―広範囲の免疫抑制効果をもつステロイドホルモン―の生成は絶対に必須である。健康な妊婦の末梢リンパ球はこのホルモンを感受するための核レセプターを発現し(Szekeres-Bartho et al. J. Reprod. Immunol. 16, 239 (1989); Szekeres-Bartho et al. Cell. Immunol. 125, 273 (1990))、中間体タンパク質であるプロゲステロン誘導防御因子(Progesterone Induced Blocking Factor)(PIBF)を生産する(Szekeres-Bartho et al. Am. J.Reprod. Immunol.Microbiol. 9, 15 (1985))。ヒトの肝臓のPIBFのcDNA配列は、既知のタンパク質のどれに対しても相同性をもたないことが示されている (HSPIBF, Acc. No. Y09631)。コードされた前駆体タンパク質は高い疎水性をもち、分子量が89 kDaである。発見された当初の自然に発生するPIBFは、757アミノ酸の配列長をもつ34-36 kDaの免疫調整タンパク質である。
【0002】
健康な妊婦の尿サンプルのPIBF濃度は約1〜10ng/mlであると定義されているが、第2三半期(the 2nd trimester)の妊婦のPIBF濃度は、約70〜150 ng/mlの範囲である。このような高い値は流産や出産後にすぐに正常値に戻る。
【0003】
プロゲステロンの効果を媒介するPIBFは、in vivoと同様、in vitroにおいても非常に効果のある免疫を調整する機能を有することが示されている。実際に、PIBFは、マウスモデルにおいて妊娠に必須であることが示されている。というのも、培養上清から単離されたマウスリンパ球は、抗プロゲステロンによって誘発される再吸収(resorption)から胎児を保護するからである。加えて、マウスPIBFに対する中和抗体には胎芽の再吸収を引き起こし、結果として堕胎を引き起こす。ヒト再生成においてPIBFの重要な役割は、病理学的な妊娠から体液を低レベルで測定することによってもまた実証される。PIBFはナチュラルキラーリンパ球を阻害することによって妊娠を維持するという重要な役割を担う。重要なことは、in vitroにおいて、PIBF量を実験的に操作することによって、PIBFがNK(ナチュラルキラー)細胞を含む末梢血液リンパ球の致死活性を調整することができるということである。NK細胞におけるPIBFの働きには2つの機構が少なくとも存在するとされている。一つには、NK細胞活性の直接阻害である。NK細胞は標的細胞を、効果因子と標的細胞との間の連絡領域内のパーフォリンおよびセリンエステラーゼ含有顆粒をエキソサイトーシスすることによって致死させる。脱落膜の(Decidual)リンパ球(該リンパ球の60%がNK表面マーカーをもつ)のパーフォリンの含有量は高いが、しかしながら、細胞傷害活性は低い。活性化されたNK細胞はPIBF存在下にて標的細胞を探し結合するが、保存顆粒からのパーフォリン放出はできず、結果として標的細胞は分解されない。PIBFはNK細胞を麻痺状態にし、そして抑制された下で脱顆粒を阻害することで細胞障害性機構を保ち、そしてこのようにして致死物質を放出する。
【0004】
他に、直接的ではない機構がある。この機構によって、PIBFは、サイトカイン発現を変更することを通じて抗NK効果を及ぼす。PIBF存在下においてNK細胞によって生成されるTNF(Tumor Necrosis Factor α)はかなり減少する。このNK細胞は、NK活性の下流調整(down-regulation)にも含まれているとされる。分泌されるTNF量は反対に、in vitroおよび in vivoにおいてPIBF生成に関係する。
【0005】
PIBF作用の2つめの主たる機構は、TH2サイトカイン優性の誘導である。TH2優性は、減少した細胞媒介応答およびB細胞促進に寄与する。これに反して、TH1優性の体液性応答および細胞免疫学的機構の恩恵は結果として減少する。分泌されたPIBFはIL-3、IL-4、IL-10のようにTH2サイトカイン生産を促進し、一方でin vitroおよびin vivoでIL-12やIFN-γのようにTH1サイトカインを抑制する。特定の抗体によるPIBFの中和は、in vivoにおいてTH1 シフトとなり、また失敗した妊娠に特徴的なものでもある。体液性免疫応答におけるPIBFの効果は単なる促進だけではなく、不斉抗体の生成の誘導にもある。これは抗体(ab)の個体数が、分子のFabアームのひとつにおけるマンノースリッチオリゴ糖残基の存在のために、不斉構造をもっており、エフェクター機能を全くもっていない、またはわずかにもつ。しかしこれらabは防御抗体として働くとされる。雑種細胞の上清における不斉IgGの割合は、PIBF存在下のほうがPIBF非存在下よりも高かった。さらなる研究によって、リンパ球における血清(the sera)の不斉抗体内容物とPIBF発現の間の陽性関係(positive relationship)が明らかになった。なおまた、プロゲステロンレセプターのRU 486による防御、または特定の抗PIBF抗体による内在性PIBF活性の中和は、妊娠マウス内での不斉抗体の生成をかなり減少させた。
【0006】
例えばガンのような悪性腫瘍は、全ての先進国において心臓疾患に続いて2番目に主要な死亡原因であり、3人に1人がガンにかかる。4人に1人はガンで死亡する。ガンは、細胞腫瘍塊を形成するために増殖し、これらの悪性腫瘍細胞による隣接した組織への侵害、そしてもとのリンパ節また離れたところへ血液やリンパ系システムを介して広がり悪性細胞になる正常な組織から分裂する異常、または悪性の、細胞数が増加することによって基本的に機能解析されている。後者の悪性腫瘍への進行を(ガンの)転移と呼んでいる。
【0007】
ガンは、隣接した正常細胞を含む悪性細胞とその周囲の環境との伝達の破壊に起因する。成長刺激および成長阻害の両方の信号は、組織内の細胞間で決まって変換されている。普通は、細胞は刺激信号がないときには分裂はしない。また同様に阻害信号があるときには分裂をやめない。ガンのような、または悪性の状態では、細胞はこれらの信号を“無視”し、正常な細胞では成長しない条件下において増殖する。
【0008】
増殖するために、腫瘍細胞は、他とは全く異なる多数の異常な特徴を得なければならない。この要求を反映するのは、あるよく研究された腫瘍の染色体が、活性化されたガン遺伝子および不活性化された腫瘍抑制遺伝子を含むいくつかの異なる独立した変異遺伝子を持つという事実である。これら遺伝子的変化は、凝集したときに、完全な腫瘍性表現型を表すという特徴が与えられることに原因があるようにみえる。
【0009】
腫瘍細胞は、身体にとって異物であると認識される抗原を持っている。そのような細胞が大きな腫瘍を形成する前に、そのような細胞を除去するのが免疫機構の主要な機能の一つである。進行した悪性疾患の患者には免疫監視の効果が明らかにない。自己反応を抑制し、免疫機構の腫瘍細胞を根絶するための能力において主要な防御を示すと同定される保護限界の範囲がある。腫瘍細胞によってもたらされる多数の機構には、1.古典的(classical)非発現、またクラスIMHC限定CTLsに特異的な(腫瘍)抗原の致死影響を害する非古典自己特定(non-classical self-identifying)クラスIMHC分子(HLA-Gのような)の発現、2. TH2 応答、TH1ヘルパー機能抑制、そしてその結果としての効率的な細胞傷害性抗腫瘍応答、3.部分的また全身の免疫応答を下流調整(down-regulation)する免疫抑制因子(例えば、T細胞の増殖と細胞傷害を減らすTGF-βの分泌、CTLsのアポトーシスを誘導するfas リガンドの発現)の生成がある。これらの累積した効果の結果として、腫瘍は免疫学的に特権的な形勢をもち、免疫機構の限られた制御の有無によらず成長する。
【0010】
感染症、ガン、自己免疫疾患などの多くの病理上の条件は、特定分子の不適当な発現によって機能解析され非常によく確立されている。これらの分子は従って特定の病理上または異常な条件に対するマーカーとされる。診断上の“標的”例えばこれら異常な条件を診断するため同定される材料、として使用されるのとは別に、上記分子は診断また(は)治療剤を生産するために使用されることができる試薬となる。
【0011】
本発明のねらいは患者の腫瘍を診断するための方法にある。この方法は、患者に特別な問題を引き起こさず、高度な設備を必要とせず、容易かつ安全に実行される。そしてこの方法は、結果として健康な患者と腫瘍をもつ患者とを迅速に区別することができるという方法である。
【0012】
本発明のさらなる目的は患者の腫瘍を診断するためのキットを提供することにある。
【0013】
またさらに、本発明のさらなる目的は、効果的な抗腫瘍薬を提供することにある。
【0014】
患者の腫瘍を上記の目的で診断するための本発明にかかる方法は、患者からサンプルを採り、サンプル中のPIBF(プロゲステロン誘発ブロッキングファクター)、またはその誘導体、またはその断片の濃度を測定し、そしてサンプル中のPIBF濃度が所定の閾値より上か下かどうかを決定し、閾値より高い濃度を示した場合には患者が腫瘍を有すると特定するものである。
【0015】
妊娠の維持にとって重要な免疫調整分子としてのPIBFの機能解析の間に、驚くことに、腫瘍細胞はPIBFまたはPIBF様物質を発現することが示されたが、これに反して、隣接する正常組織では、PIBF反応を全く示さない、あるいは低いPIBF反応性を示すことが見出されている。これはPIBFが悪性形質転換細胞に対して免疫学的耐性の発達あるいは維持を含み、従って腫瘍細胞に対して便利なマーカーを構成していることを示している。
【0016】
従って、本発明にかかる方法では、試験された患者から採取したサンプルのPIBF濃度は健康な人から採取したサンプルのPIBF濃度よりも高い、という事実を利用する。
【0017】
本発明の範囲において、患者から採取されたサンプルには身体の様々な部位によって様々な種類、流動性の有無があるだろう。PIBF濃度測定は、PIBF濃度を測定できる従来のすべての技術に従って測定できる。これは体液、組織サンプルなどにおいて化学的、微生物学的、物理学的技術や染色などからなる。放射性核種および常磁性(例えばガドリニウム)ラベルによってラベルするなどした後にコンピューター断層撮影(CT)および磁気共鳴画像(MRI)を用いてin vivoで画像化することを含む方法が可能である。
【0018】
PIBFが患者の体内での代謝または他の変化に従うのではないかとされたことから、PIBFが上記患者から採られたサンプルに依存した修飾を含む。PIBFの断片だけが与えられたサンプル内に存在するように、例えばPIBFを除去する。そのサンプルまたはその誘導体の断片においてもPIBF誘導体が存在するように、PIBFはさらに修飾された。代わりに処理されたPIBFのmRNAは正常の細胞と比較して異なる濃度で腫瘍細胞に存在し、従って、これらの異なった形のmRNAまたはその断片から翻訳されたタンパク質または断片は“断片”から構成される。従って、PIBF誘導体も、またはPIBFまたはその誘導体またはPIBF様物質(例えば34 kDaの除去された生成物または二者択一的にスプライシングされた14 kDa生成物)もまた患者のPIBF濃度の指標として使用することができ、従ってそれぞれの濃度は本発明に応じて、患者の腫瘍診断のための方法として使用することができる。
【0019】
本発明の範囲において“PIBFまたはPIBF断片”という言葉は―制限なしに―SEQ ID No(配列番号):1, 3, 4, 6, 8, 10, 14, 15, 17, 19, 20, 23, 25, 27, 29, 31, 32, 34, および36または、その断片またはその誘導体に従う配列を述べている。従って、本発明にしたがって検出または定量されるPIBFまたはPIBF断片の例はこれら上記に示した配列である。エキソン17および18(図参照)を含むPIBF断片を同定したほぼ全てのmRNAに含まれているエキソン17および18は、サンプルのPIBFの検出または定量に使用するのが好ましい。
【0020】
本発明の範囲において、PIBFまたはその誘導体の断片は、例えば715アミノ酸よりも少ないものからなり、好ましくは500アミノ酸より少ないものである、またさらに200アミノ酸より少ないのものが好ましく、最も好ましいのは50アミノ酸より少ない断片である。
【0021】
本発明の範囲において、“誘導体(derivative)”とは例えば自然にまたは自然でなくとも修飾、例えば除去(切断)、グリコシル化、メチル化、アセチル化、アミノ化、リン酸化、硫酸化、欠失、置換などを引き起こす。
【0022】
また、本発明の範囲において、“閾値”は、一般に健康なサンプル提供者のPIBFの中間サンプル濃度である濃度値に関係している。文献に対応した健康な人間の公知の中間PIBF濃度を採用すること、または本発明を実施する際、健康な提供者のサンプル中のPIBFサンプル濃度を決定することは可能である。閾値は、同じ人から前回(健康なときに)採られた健康な(正常な)サンプルでもあるだろう。そのような閾値の例として、腫瘍の型とともに決定方法に依存した濃度によって例えば1〜10 ng/mlの間、好ましくは1〜5 ng/mlの間となるだろう。またさらには、閾値は、PIBF mRNA生成物が、二者択一的に処理された腫瘍細胞にのみ存在し、健康な細胞に存在しない場合にはゼロになるだろう。従って、閾値というのはPIBF分子にも依存し、特異的なPIBF分子ごとに対して決定しなければならない。
【0023】
しかし、閾値を決めたときに妊婦のサンプルにおけるPIBF濃度は妊娠していない女性のサンプルにおけるPIBF濃度より高いので、健康な人間からのサンプルを採らないということは重要なことである。
【0024】
患者から採られたサンプルから測定されたPIBF濃度が所定の閾値より上であったときには腫瘍の疑いがあるとする。ここでいう“腫瘍”とは、悪性、良性に関わらず、すべての腫瘍性細胞成長および増殖のことをいい、そして全ての前ガン細胞およびがん細胞、そして組織のことをいう。
【0025】
“患者”とは、本発明の範囲において、腫瘍のある患者だけでなく一般的な定期件検診を受けている、腫瘍を持つ可能性の高い健康な人間も含む。もちろん、“患者”には全ての動物、特にマウス、ラット、モルモット、サル、そして例えば特異的な腫瘍の発見や抗腫瘍物質または発ガン物質の試験に適しているなど、分析に用いる実験動物に適した動物も含まれている。さらには、腫瘍の発達の為の性質を前もって有する遺伝子組換え動物も含まれる。
【0026】
妊娠においてもPIBFレベルが上昇するので、妊娠可能な女性は腫瘍患者であると考慮する前に簡易な妊娠検査(例えばhCGに基づいたもの)によって検査しなくてはならない。これはまた、三半期までの妊婦が患者だった場合、腫瘍の成長を検出するためにこの試験を用いることは非常に難しいということを意味している。しかし、妊娠に関連する悪性腫の主要部分は妊娠関連組織(例えば、奇胎の栄養芽層細胞)の制御不能な成長に関係しており、非常に高いレベル(>150〜200 ng/ml)のPIBFが、生存能力のある新生児が存在しても存在していなくても、腫瘍成長を示す。
【0027】
本発明にかかる方法により診断される腫瘍は、上皮性ガン腫に適したものである。ヒトの腫瘍の膨大な数が上皮性ガン腫(肝臓、肺、大腸など)であるので、本発明にかかる方法は特にこのような種類の腫瘍の診断に有効である。
【0028】
上皮性ガン腫はほとんどが肝臓(上皮性)ガン腫、大腸(上皮性)ガン腫、肺(上皮性)ガン腫である。上で述べた腫瘍を持つ患者から採られたサンプルのPIBF濃度は、健康な患者のPIBF濃度に比べ特に高い。従って、もし上で述べた腫瘍の一つを診断するために用いられる本発明にかかる方法は、腫瘍の疑いがある個人を特定する。しかし、ある場合において閾値を下回る濃度は、腫瘍の存在を考慮する必要はない。
【0029】
本発明の有効な実施例によれば、サンプルは体液であり、好ましくはそれぞれ尿および血清である。これにより、外科的処置によらず、特別な高度な機器を必要とせずに患者から非常に簡単な方法でサンプルを採ることができる。体液はどのような研究室でもまたは患者の自宅でも採ることができ、定期診断や、非常に虚弱な患者における診断や患者の腫瘍進行の規則的なチェックに対して特に有効である。PIBF濃度は固相化学分析方法、例えば滴下したサンプルのPIBF濃度に応じて色を変化させるようなストリップ(strip)を用いて測定することができる。
【0030】
代わりに、サンプルは組織サンプルである。けれども患者からのこのような種類のサンプルを採取することは、体液を採取するほど簡単ではなく、本発明にかかる患者からの組織サンプルを用いた方法は、特にもし他の組織サンプルが採られその間で比較されている場合に、腫瘍の直接的位置を特定することが出来る。さらに腫瘍の進行を直接的に追うこともできる。さらに、腫瘍を持つ組織の発見によって、本発明にかかる方法はさらに、患者の身体のどの組織、そしてどの部分を外科的に取り除かなくてはならないかを決定するためのさらなる方法として少なくとも使用することができる。
【0031】
本発明の実施の形態にかかる閾値は、健康な人間のサンプルにおけるPIBF濃度である。もちろん、閾値は、健康な人間の、複数のサンプルのPIBF中間濃度であれば、特に正確である。
【0032】
閾値は、患者のサンプル中のPIBF濃度に対応する少なくとも一人の健康な人間のPIBF濃度を測定することによって決めることが好ましい。測定した濃度はPIBF濃度を測定する方法に依存しているので、もしPIBF濃度測定の方法で患者のサンプルと健康な人のサンプルとが同一人物によるものであるならば、診断はより明確で具体的である。この方法の精度をさらに高めるために、結果に影響を与える温度や緩衝液などの障害因子を除くため、例えば同時に測定するのが好ましい。“陰性サンプル”としての比較として測定されるのが好ましいだろう。陽性コントロールとして、PIBF、またはその誘導体、またはその断片の濃度の決定に対応して、所定濃度のPIBFまたはその誘導体、またはその断片を構成するサンプル中のPIBF濃度を測定する。陽性コントロールを並行して測定することで、結果をコントロールし、そして方法の相違を検出することができる。
【0033】
なるべくなら、サンプルのPIBF濃度は、特に競合アッセイ、サンドイッチアッセイ、免疫染色またはこれらの方法の組み合わせによって免疫学的に測定する。どのような免疫学的方法においても当業者であれば応用できるであろう。免疫学的方法は分子を検出するための高い感受性をもつ方法である、従って特にサンプルのPIBF濃度測定に有利である。免疫学的方法を実行するため、PIBF、その誘導体、その断片に特異的に結合する抗PIBF抗体を少なくとも一つ持っている必要がある。抗体はモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体であってもよい。そしてさらに組み換え体であってもよい。さらに、ヒト化モノクローナル抗体または単一鎖をコードしたファージモノクローナル抗体が使用されてもよい。
【0034】
上で述べたような使用ができる組換えモノクローナル抗ヒトPIBF抗体の例は、the University Medical School of Pecs, Department of Immunology and Biotechnology, Hungaryにあるハイブリドーマ細胞バンクに保管番号11から14/2001、細胞株(cell line)コード HYB 255-258で保存されている。
【0035】
“単一鎖抗体”は、抗体の様々な領域からのの第一のポリペプチドの結合部位を含んでいる構造として定義されており、抗体の様々な領域からの第二のポリペプチドの結合部位と関連し、2つのポリペプチドはペプチドリンカーによって第一および第二のポリペプチドを単一のポリペプチド鎖に連結することによって結合する。この単一ポリペプチド鎖は、従ってポリペプチドリンカーによって連結された様々な領域の組を持つものからなる。L鎖とH鎖の様々な領域が相補性決定領域(CDRs)と適宜組になったものからなる領域の場合に、上記領域は機能的な抗原結合部位を形成に関連するだろう。
【0036】
“ヒト化抗体”とは、ここではヒトの抗体により類似させた、元の結合能を保持したままで抗原結合試薬の中においてアミノ酸置換した抗体分子のことである。
【0037】
抗体は従来の技術で知られている方法を用いて生成される。そのような抗体は、これに限られないが、ポリクローナル、モノクローナル、組み換え体、キメラ、単一鎖、Fab断片、そしてFab発現ライブラリーによって生成される断片を含む。中和抗体(すなわち、これらがダイマーを形成するのを防ぐもの)は特に治療に用いられるのに適している。
【0038】
抗体を生成するために、ヤギ、ウサギ、ラット、マウス、ニワトリ、ヒトなどを含む様々な宿主が、PIBF野生タンパク質、または組換えタンパク質、またはどのような断片または免疫原性(immunogenic)特性を持つオリゴペプチド、またはPIBF-DNA(断片)などによって感染されることで免疫化される。宿主となる種によって、様々な免疫賦活剤が免疫応答を増加するために用いられる。そのような免疫賦活剤は、フロインドの、アルミニウム水酸化物のようなミネラルゲル、そしてジゾレシチン、多価ポリオール(pluronic polyols)、ポリアニオン、アルミニウム、ポリカチオン(例えばポリアルギニン)、ペプチド、油乳濁液(oil emulsions)、鍵穴吸着(keyhole limpet)ヘモシアニン、ジニトロフェノールのような界面活性剤を含むがこれに限られない。ヒトに使用される免疫賦活剤のなかでは、BCG (bacilli calmette-Guerin)およびコリネバクテリアパルブム(Corynebacterium parvum)が特に適している。
【0039】
ペプチド、断片、または抗体をPIBFへ誘導するために用いられるオリゴペプチドは、5つのアミノ酸を少なくとも含んだアミノ酸配列を持っていることが好ましく、またさらに10アミノ酸であることが好ましい。また野生タンパク質のアミノ酸配列の部分と一致していることが好ましい。PIBFアミノ酸の短いストレッチはそれらほかの鍵穴吸着ヘモシアニンのようなタンパク質と融合し、キメラ分子に対しる抗体が生成される。
【0040】
PIBFに対するモノクローナル抗体は、培地内の連続的な細胞株によって抗体分子の生産を提供するすべての手法を用いて準備される。これは、これに限られないがハイブリドーマ手法、ヒトB-細胞ハイブリドーマ手法、そしてEBV-ハイブリドーマ手法を含む。
【0041】
加えて、“キメラ抗体”の生成のため発展した手法では、特異的そして生物学的活性のある、適した抗原をもつ分子を得るためにマウス抗体遺伝子のヒト抗体遺伝子へのスプライシングが用いられる。代わりに単一鎖抗体の生成のための記述された手法は、従来の技術を用いてPIBF特異的単一鎖抗体を生成するために改良される。関連した特性をもつ、しかし個別の異地模式標本的構成の抗体は、ランダムな組み合わせ的な免疫グロブリンライブラリーからの混合により生み出される。
【0042】
抗体はまた、リンパ球群におけるin vivo生成誘導による、またイムノグロブリンライブラリーまたは高い特異的結合試薬のパネル組み換え体をスクリーニングすることによって生成される。
【0043】
PIBFに特定に結合する部位をもつ抗体断片もまた生産される。例えば、これに限られないが、抗体分子のペプシン消化によって生産されるF(ab')2断片や、F(ab')2断片のジスルフィド結合を還元することによって生成されることができるFab断片を含むものがそれらの断片である。
【0044】
所望の特性をもつ抗体を同定するスクリーニングのために、様々なイムノアッセイが用いられる。特異性を確立したポリクローナルまたはモノクローナル抗体を用いる競合結合アッセイやイムノラジオメトリックアッセイのための多数のプロトコルは、従来技術としてよく知られている。そのようなイムノアッセイは、PIBFとそれに特異的抗体との複合体形成の測定に典型的に含まれる。2つの非妨害(non-interfering)PIBFエピトープに対して反応するモノクローナル抗体を利用するモノクローナルベースのイムノアッセイである2つの部位は適しており、しかし競合結合アッセイもまた用いられる。
【0045】
好ましい一形態においては、サンプルのPIBF濃度は競合結合アッセイによって測定される。この方法に従って、固相は特定の濃度において望ましい組換えヒトPIBFで覆われる。ラベルされた抗PIBF抗体は測定される例とともに加えられる。高いものはサンプルのPIBF濃度で、低いものは対応した検出値である。これらの見解に基づいて、PIBFの絶対濃度は決定できる。これは、特にサンプルが体液で例えばELISAで実行することができる場合にとりわけ正確な方法である。
【0046】
さらに本発明の実施の形態に従って、サンプルのPIBF濃度はサンドイッチアッセイによって測定される。このアッセイに対して、PIBF分子の異なるエピトープにそれぞれ結合する2つの抗PIBF抗体を持つ必要がある。第一の抗PIBF抗体は、測定用のサンプルが加えられた後、サンプル内のPIBFは、第一の抗PIBF抗体と結合するために、固定票(solid support)に固定される。第二の、なるべくラベルされている抗PIBF抗体は、PIBFと結合するために加えられる。第二の抗PIBF抗体の結合量は測定され、そしてサンプルのPIBFの絶対濃度用指標として使用される。またこの方法は測定されるためのサンプルが患者の体液である場合そしてELISAによって実行できる場合に使用されるのが適している。
【0047】
本発明の実施の形態によれば、サンプルのPIBF濃度は免疫染色によって測定される。この方法は測定されるサンプルが患者の組織である場合に用いることが好ましい。この方法に従って、抗PIBF抗体は、組織サンプルに存在するPIBFと結合するので直接組織サンプルに加えられる。結合した抗体は、組織サンプルのPIBF濃度を直接示すことによって定量される。この方法はサンプルにおけるPIBFの位置を特定することが可能である。
【0048】
PIBF濃度はサンプルにおけるPIBF-mRNA濃度を測定することによって間接的に測定されるのが好ましい。オリゴヌクレオチド配列、アンチセンスRNAおよびDNA分子、そしてPNAsを含めて、このポリヌクレオチドのために使用される。ポリヌクレオチドは、腫瘍細胞と関連しているPIBF発現においてサンプルの遺伝子発現を検出し、定量するために使用される。従って、キットは、与えられたサンプルにおけるPIBF-mRNA測定を実行するために上に記した(ラベルした)ポリヌクレオチドを含んだ試薬を含んだものを提供することができる。ここに再度、二者択一的に処理されたmRNA濃度を測定するのがさらに好ましい。また、特定のmRNAの有無は、細胞が腫瘍細胞であるかどうかに関する情報を与えることができる。
【0049】
ある局面においては、PIBF-mRNA配列を同定するために、ヌクレオチドプローブとのハイブリダイゼーションを用いる。PIBF-mRNAと相同性であるヌクレオチド配列は一般的な方法によってラベルされ、ハイブリダイゼーションを形成するのに適した環境下において患者からの流動または組織サンプルに加えられる。適切な期間で培養した後、サンプルは洗浄されシグナルは定量され、閾値と比較される。
【0050】
高特異的領域からか、あるいは低特異的領域からかというプローブの特異性およびハイブリダイゼーション(最大、高い、中間または低い)の厳密性(the stringency)はプローブがPIBF、対立遺伝子、または関連した配列をコードした配列が自然に起こった配列だけを特定するのかを決定する。
【0051】
PIBF-mRNA(関連した)配列のハイブリダイゼーションに使用されたプローブは、配列またはその断片をコードしたPIBFと少なくとも50%、好ましくは70%、さらに好ましくは90%の相同性を示すことが好ましい。発明の主題のハイブリダイゼーションプローブは、DNAまたはRNAで、配列番号(SEQ. ID. No) 3または5(PIBF-cRNA)のヌクレオチド配列から提供される。
【0052】
検出および/または定量されるそのようなPIBF-mRNA分子の例は例として、配列番号5、7、9、11、12、13、16、18、21、22、24、26、28、30、33、35、37(PIBF-cRNA)のヌクレオチド配列から提供されるDNAまたはRNAによって検出される。エキソン17と18(図参照)をコードする配列から提供され、同定されたDNAまたはRNAはほぼ全てのmRNA型を含むエキソン17と18であるから、サンプルのPIBF-mRNAの検出または定量化のために使用されるのが好ましい。
【0053】
ハイブリダイゼーションプローブは、レポーターグループの種類によってラベルされ、例えば32Pや35Sのようなラジオヌクレオチド、またはアビジン/ビオチンカップリングシステムを介してプローブと対になるアルカリホスファターゼのようなものによる酵素的ラベル等である。
【0054】
PIBFをコードしたポリヌクレオチド配列は、PIBF-mRNAを検出するために患者の生体組織からの体液または組織を使用して、ノーザンブロット分析、ドット分析、または他の膜をもとにした技術、つまり尿試験紙(dip stick)、ピン、ELISAまたは(micro-)チップ分析にさらに使用される。そのような方法は従来の技術としてよく知られている。
【0055】
加えて、PIBF-mRNAはRT-PCRによって検出測定される。まず始めにmRNAは、cDNAがPCRによって検出定量されたのちにcDNAに逆転写酵素によって転写される。PCRのためのオリゴマーは化学的に合成されるか、酵素的に生成したか、または組み換え体をもとにして生成される。オリゴマーは2つのヌクレオチド配列(一つはセンス鎖ともう一つはアンチセンス鎖)の構成になるのが好ましく、特異的配列の同定のための最適化された条件で使われる。同じ2つのオリゴマー、またはオリゴマーの重なったセット、またはオリゴマーの縮重(degenerate)プールでさえ密接に関連した配列の検出および/または定量のために少なくとも厳しい条件下で使用される。
【0056】
本発明のさらなる局面は、本発明にかかる上述した方法の一つに従って患者の腫瘍を診断することを含み、サンプルの測定されたPIBF、その誘導体、その断片濃度が少なくとも一つ前の同じ患者から採られたもののPIBF、その誘導体、その断片濃度を上回るか下回るかどうかを決定することが、患者の腫瘍の陽性または陰性進行を決定するための方法と関連し、濃度が前回測定した濃度を上回っていたときには、陽性進行と判断する。サンプルのPIBF濃度は腫瘍の進行(例えば大きさや発達など)と直接的に比例しているので、本発明にかかる方法は、病気の道筋の直接的な分析を可能にする。腫瘍の進行の完全な機能解析のためには特に特定の処置の前と後で時間を超えて多くのサンプルを採るのが、特定の処置の有効性を分析することができる場合においては、もちろん有利である。ここで用いた“陽性進行”とは、腫瘍がさらに進行していることを示す。
【0057】
本発明のさらなる局面は、本発明にかかる上述の方法における抗PIBF抗体または抗PIBF抗体の断片の使用と関係している。上述したように、抗PIBF抗体はモノクローナル、ポリクローナルであり、さらに、組換え、ヒト化抗体または単一鎖抗体をコードした抗体である。もし抗体の断片だけが用いられたら、この断片はPIBFを認識する抗PIBF抗体のエピトープからなる。
【0058】
最も特定の、そして正確な結果を達成するためモノクローナル抗体の使用が好ましい。モノクローナル抗体は上述したように生産され、上で与えられた実施例がここでも当てはまる。
【0059】
本発明のさらなる面は、本発明にそった上述した方法の一つにおいてPIBF、その誘導体、その断片の使用と関連している。すでに上で述べたように、断片はPIBFまたはその誘導体の断片である。ここで、同じ定義が、実施の形態または上述した実施例とともに当てはまる。
【0060】
PIBFは、誘導体または断片もまた組み換え体であることが望ましい。
【0061】
本発明のさらなる局面は、少なくとも一つの抗PIBF抗体またはその断片からなる第一の試薬および所定の濃度のPIBF、またはその誘導体、またはその断片からなる第二の試薬からなるキットに関係する。もちろん、抗PIBF抗体とPIBFは、乾燥、凍結乾燥、凍結、または不溶性型という保存方法が可能な形式において存在している。さらに、キットは他のさらなる試薬や酵素、塩などからなり、これらは上記の方法を実行するために必要なものである。
【0062】
好ましくは、キットは固相からなることであり、この固相には、少なくとも1つの抗PIBF抗体あるいはこの抗PIBF抗体断片、あるいはPIBFあるいはその誘導体、あるいはその断片が結合していることである。固相は、当業者に公知のどのような固相であってもよく、例えば、基質に、タンパク質やペプチドを、例えば乾燥断片の形で固定化できる不溶物質であってもよい。上記基質は、ナイロン、アミノ酸、ガラス、セルロース等を含んでいてもよい。このキットは、好ましくは、競合アッセイ、あるいはサンドイッチアッセイのために使用されることである。それにより、さらに試薬には、固相に固定化される抗体あるいはPIBFが含まれ、そうしてサンプルが固相に加えられる。
【0063】
好ましくは、上述したキットに存在するPIBFは組み換え体であり、当然のことながら、PIBF誘導体およびその断片も、それぞれ組み換え体である。
【0064】
好ましくは、キットはさらに、PIBFエピトープに結合する第2抗PIBF抗体またはその断片からなる試薬からなることである。上記PIBFエピトープは、第1抗PIBF抗体あるいはこの第1抗PIBF抗体断片によって認識されるエピトープとは区別される。このキットは特に、サンドイッチアッセイを実施するのに有利である。
【0065】
本発明にかかる上述したキットは、それぞれ、患者の腫瘍の診断や、患者の腫瘍の進行度を明らかにするのに用いられることが好ましく、そのための方法は、上述した方法と同様である。それによって、PIBFあるいはその誘導体、あるいはその断片からなる試薬は、上述した陽性コントロールとして、あるいは上述した競合アッセイ(そしてそれによって、試薬は患者のサンプル中に存在するPIBFと競合するために使用される)、あるいは、上述の陽性コントロールおよび競合アッセイの両方を実施するために使用される。
【0066】
本発明のさらなる局面は、抗腫瘍薬の調製のために、抗PIBF抗体あるいは抗PIBF抗体断片を使用することに関係している。抗PIBF抗体あるいは抗PIBF抗体断片は、PIBFを特異的に阻止したり無能にしたりする。そしてこれによって腫瘍内のPIBF活性を特異的に破壊し、このようにして腫瘍がNK(そして潜在的に、CD8+および他のT細胞媒介溶解)に影響されやすくなるようにする。さらに、単特異的抗体および両特異的抗体は、腫瘍細胞の表面上のPIBFを特異的に認識することができる。そして単特異的抗体および両特異的抗体は、患者の体の腫瘍部分に有毒物質を送達するのに使用される。抗腫瘍薬の主たる策略は、腫瘍細胞は高濃度のPIBFを生成するという知見の利用にある。この情報を元に、患者の腫瘍と戦うための様々な戦略が展開されている。
【0067】
より好ましい実施形態では、抗体は、モノクローン抗体、ヒト抗体、および単一鎖抗体であることである。上述の堆積された抗体はまた、本発明のこの局面のために使用されてもよい。
【0068】
好ましくは、抗体は分子に付着していることである。この場合、抗PIBF抗体は、分子(たとえば医薬品)を、PIBFを発現する細胞あるいは組織に導くためのターゲティング機構あるいは送達機構として使用される。患者に投与された抗体は、PIBFを発現している腫瘍と結合し、そしてそれによって、有毒分子は腫瘍と直に接触するようになる。当業者に公知の様々な方法および分子がある。例えば有毒分子は腫瘍細胞に入り込み、そして例えば本質的な代謝的段階を妨害し、それによって細胞を殺す。また、有毒分子は細胞溶解を誘発したり、あるいは他の有毒物質、あるいは、腫瘍細胞を殺す酵素として作用する。しかしながら、有毒分子の機能方法とは別に、要点は、上記分子は、抗PIBF抗体によって腫瘍細胞に特異的に方向づけられ、健全な細胞を妨害しないことにある。
【0069】
上記分子は、好ましくは、それぞれ、有毒物質および体内で麻薬になる物質であることであり、特には、放射性核種薬、毒素薬、および化学療法薬であることである。標的腫瘍に物質を送達することによって、抗腫瘍薬の効果は達成される。
【0070】
本発明のさらなる局面は、PIBF、あるいはその誘導体、あるいはその断片を抗腫瘍薬の調製のために使用することに関係する。本発明によれば、これら抗腫瘍薬には2つの方策がある。結合によって細胞(例えばNK細胞)上に存在するPIBFに対する推定レセプターを阻止あるいは不活性にすることPIBF活性を妨害するタンパク質あるいはペプチドを抑制するために、PIBF誘導体あるいはその誘導体断片を使用する。
【0071】
本発明の好ましい実施形態では、薬物はワクチンである。PIBF誘導体またはPIBF断片は、PIBFの免疫原性ペプチドを含んでおり、抗原特異的抗腫瘍細胞障害性T細胞反応を誘発するため、および/または、PIBFによる抑圧からNK細胞を解放するガン患者自身の免疫系による中和抗体の生成を刺激するためのワクチン接種として使用される。
【0072】
好ましくは、ワクチンは免疫賦活剤からなることである。そのような免疫賦活剤は、例えば、アルミニウム水酸化物や、リジゾレシチン、多価ポリオール、ポリアニオン、ポリカチオン(例えばポリアルギニン)、ペプチド、油乳濁液、鍵穴吸着ヘモシアニン、およびジニトロフェノールのような界面活性剤に限定されるものではない。ヒトに対しての使用としてふさわしい免疫賦活剤は、BCG(bacilli Calmette-Guerin)およびコリネバクテリアパルブムである。好ましくは、PIBFあるいはその誘導体、あるいはその断片は、それぞれ組み換え体であり、化学合成された分子であることである。
【0073】
本発明の有利な局面は、PIBFあるいはその誘導体、あるいはその断片、あるいは、抗腫瘍薬の調製のためのPIBFアンチセンス分子をコードするポリヌクレオチドの使用に関係している。本発明の応用の範囲では、”ポリフクレオチドコードPIBF”あるいは”PIBF−mRNAに相補的なヌクレオチド配列”は、好ましくは、配列番号.3、5、7、9、11、12、13、16、18、21、22、24、26、28、30、33、35、37あるいはこれらの断片あるいはこれらの誘導体から選択される配列に由来していることである。
【0074】
PIBFをコードする遺伝子は、PIBFをコードする高レベルのポリヌクレオチドあるいは該ポリヌクレオチド誘導体、あるいは該ポリヌクレオチド断片を発現する発現ベクターを有する細胞あるいは組織を形質転換することによって生成することができる。そのような構成を、細胞内に翻訳不可能なセンス配列あるいはアンチセンス配列を導入するのに使用してもよい。DNAへの組込みの非存在下でも、そのようなベクターは、これらベクターが内在性ヌクレアーゼによって無能になるまで、RNA分子を転写し続ける。
【0075】
遺伝子発現の修飾は、遺伝子コードPIBF(すなわち、プロモーター、エンハンサー、およびイントロン)の制御域にアンチセンス分子、DNA、RNA,あるいはPNAを設計することで行われる。転写開始部位(例えば、開始部位から-10および+10の間の位置)に由来のオリゴヌクレオチドが好ましい。同様に、”三重らせん”塩基対形成方法論によって抑制できる。この三重らせん対は便利である。というのも、この三重らせんは、ポリメラーゼ、転写ファクター、あるいは調節性分子を結合するために二重らせんが開かないように、二重らせんの能力を抑制するからである。
【0076】
ここでの”アンチセンス”という用語は、特異的DNA配列あるいは特異的RNA配列に相補的なヌクレオチド配列を言及するため使用している。アンチセンス分子は、関与する遺伝子を逆方向でウイルスプロモーターに結合することで合成することを含むどのような方法でも生成することができる。上記ウイルスプロモーターは、相補鎖の合成を許容するものである。転写鎖がいったん細胞内に導入されると、この転写鎖は、細胞によって二重鎖を形成するために生産された中和配列と結合する。これらの二重鎖は、それから、さらなる転写または翻訳を阻止する。
【0077】
一つの局面として、ポリヌクレオチドコードPIBFに対するアンチセンス分子は、mRNAの転写を阻止するために使用されるのが望ましい。特に、細胞は、ポリヌクレオチドコードPIBFと相補的な配列でもって形質転換されることである。このように、アンチセンス分子はPIBF活性を変調するのに使用されてもよく、あるいは、遺伝子機能の調整のために使用されてもよい。そのような技術は公知であり、センスオリゴマーあるいはアンチセンスオリゴマー、あるいはより大きな断片を、コードPIBF配列のコード領域あるいは制御領域に従った様々な位置から設計することができる。
【0078】
レトロウイルス、アデノウイルス、ヘルペス、あるいはワクチニアウイルス、あるいは様々な細菌性プラスミド由来のベクターの発現は、ヌクレオチド配列を標的腫瘍器官、組織あるいは細胞集団に送達するために使用される。従来から当業者に公知の方法を用いてPIBFをコードする遺伝子のポリヌクレオチドと相補的なアンチセンス分子を発現する組み換え体ベクターを構築することができる。
【0079】
RNAの特異的開裂に触媒作用を及ぼすために、リボザイム、酵素RNA分子を使用してもよい。リボザイム作用のメカニズムには、相補RNAへのリボザイム分子のハイブリダイゼーション、その後のヌクレオチド鎖切断の開裂が含まれている。使用される例には、特異的に、そして効果的に配列コードPIBFのヌクレオチド鎖切断の開裂に触媒作用を及ぼす人工槌型基調のリボザイム分子が含まれている。
【0080】
潜在的なRNA標的内の特異的リボザイム開裂部位は、初めに、次の配列を含むリボザイム開裂部位に対する標的分子を走査することによって同定される。次の配列とはGUA、GUU、およびGUCである。いったん同定されると、開裂部位を含んでいる標的遺伝子の領域に対応する15〜20リボヌクレオチドの短いRNA配列は、油乳濁液を動作不能にする第2の構造的特徴として評価される。リボヌクレアーゼ保護アッセイを用いて相補的油乳濁液とのハイブリダイゼーションのし易さを試験することによって、候補として挙げられるふさわしい標的を評価してもよい。
【0081】
本発明のアンチセンス分子およびリボザイムは、公知のどのような核酸分子の合成方法によって調製されてもよい。これらは、油乳濁液の化学的合成(例えば、固相ホスホラミダイド化学合成)に関する技術を含んでいる。あるいは、RNA分子は、in vitro、および、in vivoでのDNA配列コードPIBFの転写によって生成されてもよい。そのようなDNA配列は、T7あるいはSOP6といった適当なRNAポリメラーゼプロモーターと共に、多種多様なベクターに組み込まれてもよい。あるいは、アンチセンスRNAを構造的あるいは誘導的に合成するこれらcDNA構造は、細胞株、細胞、あるいは組織内に導入されてもよい。
【0082】
RNA分子は、細胞内の安定性および半減期を増大するために修飾されていてもよい。修飾には、分子の5'および/または3'末端にある側方の配列の付加や、ホルホロチオネート、あるいは分子の中心におけるホスホロチオネートの連鎖というよりはむしろ2' O−メチルの使用が含まれることも可能であるが、これに限定されるものではない。この概念は、PNAsの生産に固有のものである。またこの概念は、イノシン、クエオシン、およびワイブトシン、ならびにアセチル−、メチル−、チオ−、およびこれらに類似した形であり、内在性のエンドヌクレアーゼによって簡単に認識されないアデニン、シチジン、グアニン、チミンおよびウリンといった非従来的な基材を包含することによって、これらすべての分子に展開することができる。
【0083】
ベクターを細胞あるいは組織に導入するための多くの方法を利用することができ、また、in vivo、in vitro、および、ex vivoでの利用にも同様に適している。Ex vivo治療では、ベクターは患者から採取され、自己移植のために同じ患者に戻されるようにクローン的に繁殖された幹細胞に導入されてもよい(異質遺伝子型幹細胞移植)。形質移入による送達およびリポソーム注入は、従来公知の技術を使用することによって実現される。
【0084】
上述した抗腫瘍薬は、例えば、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ウサギ、サルといった哺乳動物(最も好ましくはヒト)を含む適切な対象に適用される。
【0085】
本発明のさらなる局面は、腫瘍のある患者を治療する方法にあり、上記方法は、患者に効果的な量の抗PIBF抗体あるいは抗PIBF断片の投与を含んでいる。2つの刊行物(Szekeres-Bartho et al., Am. J. Reprod. Immuno. 24, 105, 1990; Szekeres-Bartho et al., Cell. Immunol. 177, 194, 1997)では、中和抗PIBF抗体の付加により、マウスの妊娠の妨害に成功したことが実証されている。さらに、プロゲステロン処理マウスリンパ球の培養上清から単離されたPIBFは、in vivoに導入されると、抗プロゲステロン薬としての効果を発揮した。これらのデータは、これらの試薬が、ガンあるいは自己免疫病の患者に同様に作用することを示唆している。
【0086】
本発明の他の局面は、患者の腫瘍の治療方法に関係しており、上記方法は、効き目がある量のPIBFあるいはその誘導体あるいはその断片の投与を含んでいる。
【0087】
本発明のより好ましい局面は、患者の腫瘍の治療方法に関係しており、上記方法は、効き目がある量のポリヌクレオチドコードPIBFあるいはポリヌクレオチドコードPIBF誘導体、あるいはポリヌクレオチドコードPIBF断片、あるいはPIBFアンチセンス分子の投与を含んでいる。
【0088】
本発明の他の局面は、患者の腫瘍を治療するための医薬品を言及することにあり、上記医薬品は、抗PIBF抗体、あるいは抗PIBF抗体断片、PIBF、あるいはその誘導体、あるいはその断片、そしてPIBFでコードされたポリヌクレオチド、あるいは該ポリヌクレオチド誘導体、あるいは断片、あるいはPIBFアンチセンス分子を含んでいる。もちろん、ここでも、上述と同じ定義および好ましい実施形態が適用される。
【0089】
医薬品を単独で投与してもよく、あるいは、少なくとも1つの他の試薬(例えば、生理的食塩水、緩衝生理的食塩水、ブドウ糖、および水を含む、無菌の生体適合性医薬的キャリアの投与された安定化化合物)と組み合わせて投与してもよい。医薬品を単独で患者に投与してもよく、あるいは、他の試薬、薬剤、ホルモンと組み合わせて投与してもよい。患者の腫瘍の治療方法に利用される医薬品は、どのような手段で投与されてもよく、例えば、経口静脈注射、筋肉内、動脈内、髄内、鞘内、心室内、経皮、皮下、腹腔内、鼻腔内、腸内、局所、舌下、あるいは直腸法により投与されてもよく、これらは限定されるものではない。
【0090】
活性成分に加えて、これらの医薬成分は、医薬的に使用される医薬品となるように促進する賦形剤や補助剤を含む、医薬的に認可された適当なキャリアを含んでいてもよい。キャリアは、医薬品を錠剤、ピル、糖衣錠、カプセル、液体、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液等の形にすることができる。
【0091】
本発明の他の局面は、配列番号 1およびその誘導体にかかるPIBF活性を有する組み換え体タンパク質と関係していることにある。本発明にかかるPIBFタンパク質は、野生PIBF(配列番号 2にかかる配列を含んでいる)に比べてPIBF活性が高いけれども、アミノ酸595〜614、および、野生PIBF配列(配列番号 2)に基づいたアミノ酸No.333を正確に示さない。本発明にかかる組み換え体PIBFタンパク質(配列番号 1)は、757のアミノ酸残基を含んでいる。それゆえ、本発明では、配列番号 1あるいはその誘導体あるいはその相同体を有する新しい組み換え体PIBFタンパク質を提供する。それゆえ、本発明にかかるPIBF活性を有する組み換え体タンパク質は、配列番号 1によるアミノ酸配列、あるいは、FAST/Aアルゴリズムによって決定される配列番号 1に対応するアミノ酸配列またはFAST/Aアルゴリズムによって決定される配列番号 1に対して少なくとも98%のアミノ酸同一性があるアミノ酸配列、または、FAST/Aアルゴリズムによって決定される配列番号 1のアミノ酸残基580〜630からの配列に対して少なくとも95%のアミノ酸同一性があるアミノ酸配列、および野生ヒトPIBF分子の少なくとも50%のPIBF活性を含んでいる。
【0092】
PIBF活性は、NK阻害あるいはCTL阻害として定義され、定量化されてもよい。NK阻害は、PIBF、さもなければ、有効な効果細胞(これは、PIBFの非存在下で試験されたものである)が無力である場合に考慮される。換言すれば、標的細胞の認識機能や結合(共役)機能、あるいは標的細胞を死滅させる機能は、PIBF濃度により減少する。活性は、阻害/μgPIBF(あるいは類似の基質)と、PIBFのないときとを比較したときの割合で表される。このことは、同様にCTL阻害活性にも適用される(Szekeres-Bartho et al., Cell. Immunol. 177 (1997), 194-199), Szekeres-Bartho et al., Am. J. Reprod. Immunol. 24, 105, (1990))。さらに、PIBF活性は、Th2(IL-3、IL-4、IL-6、IL-銃)対Th1(IL-1に、IFN-g)リンホカインを、タンパク質レベルあるいはmRNAレベルで数量化することによって測定され、それからTh2対Th1信号の割合を得るTh2エンハンスメントとして定義され、定量化される。Th2の増加およびそれに付随するTh1サイトカインの減少は、Th2サイトカインポジディブの割合の増加、および、Th1サイトカインポジティブ末梢血単核細胞(PBMCs)/μgPIBFの割合の減少で表される。PIBF濃度の働きにより培養上清、あるいは体液へと分泌されたこれらサイトカインの全量を(文献に基づいた従来の方法で)測定するのも適切である。サイトカインmRNAsは、標準的な、定量的RT-PCRに基づいたアッセイ、Szekeres-Bartho et al., AJRI 35 (1996), 348-351, Szekeres-Bartho et al., Am. J. Reprod. Immunol. 23, 26 (1990), Szekeres-Bartho et al., Am. J. Ob. Gym. 163, 1320, (1990)によって測定することが可能である。
【0093】
本発明にかかるPIBFタンパク質のアミノ酸配列は、野生ヒトPIBF配列と著しく違っているにも関わらず、上記で定義した(配列番号1)配列を有する組み換え体タンパク質を生成することが可能であり、上記組み換え体タンパク質は、野生タンパク質に対してとりわけ高い機能的類似性を示す。
【0094】
本発明のより好ましい実施形態では、組み換え体タンパク質は、SEQ.ID.N01.のアミノ酸残基300〜350から与えられるアミノ酸配列からなることである。野生ヒトPIBFタンパク質(配列番号1)内のNo.333のアミノ酸は、本発明(配列番号1)によれば、アルギニンの代わりにシステインである。それゆえ、本発明にかかる組み換え体タンパク質は、好ましくは配列番号1に基づいたアミノ酸No.333として、アルギニンを含んでいることであり、かなりのPIBF活性(>50%)であることである。しかしながら、本発明にかかる組み換え体タンパク質は、この組み換え体タンパク質が野生ヒトPIBF分子の少なくとも50%のPIBF活性を示す限り、配列番号1のアミノ酸残基と同一、あるいはそれと相同関係にある、あるいはそれと異なるアミノ酸残基をさらに一方あるいは両方の末端に含んでいてもよい。
【0095】
本発明のより好ましい実施形態によれば、組み換え体タンパク質は、SEQ.ID.N01のアミノ酸残基580〜630から与えられるアミノ酸配列、および、多量のPIBF活性(>50%)からなることである。この組み換え体タンパク質はそれゆえ配列番号1のアミノ酸残基580〜630の間に、工夫に富んだPIBFの配列を含んでいる。さらに、組み換え体タンパク質が野生ヒトPIBF分子の少なくとも50%のPIBF活性を示す限り、配列番号1のアミノ酸残基と同一、あるいはそれと相同関係にある、あるいはそれと異なるアミノ酸残基をさらに一方あるいは両方の末端に含んでいてもよい。
【0096】
本発明のさらなる局面は配列番号 4によるアミノ酸配列、あるいは、FAST/Aアルゴリズムによって決定される配列番号 4による配列に対して少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%のアミノ酸同一性のあるアミノ酸を含んでいる、PIBF活性を有するタンパク質を提供することにある。このタンパク質は、マウスから単離されたPIBF活性を有する89-kDAタンパク質であることが示されている。このアミノ酸配列は、特に、マウスのみならず他の実験動物の腫瘍、抗腫瘍物質、発ガン性物質の検出、診断、および解析に有利である。さらに、この工夫に富んだタンパク質試験の助けを借りて、腫瘍の素因のある動物(例えば、マウス、モルモット、ハムスター、ラット)に対して実施することができる。他の特徴は、動物、特にマウスに関係するものであり、上記動物やマウス内で、このタンパク質は、阻害されるかタンパク質の活性が阻止される。これは、このタンパク質の結合相手の類似体を提供することで実施される。
【0097】
本発明のより好ましい特徴は、FAST/Aアルゴリズムによって決定されるアミノ酸配列であって、その少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%が、配列番号6、8、10、14、15、17、19、20、23、25、27、29、31、32、34および36を含む群から選ばれる配列と同一性を有するアミノ酸配列を含んでいるタンパク質に関係しており、上記タンパク質は、PIBFタンパク質は二者択一的に処理されたタンパク質である。二者択一的に処理されたmRNA分子は異なる組織に存在し、それゆえ、また、二者択一的に処理されたタンパク質を発現する。驚くべきことに、これらの二者択一的に処理されたタンパク質は、正常組織と比較して、別の濃度でも腫瘍組織に存在する。これは、サンプル内の腫瘍の検出や解析に有利であり、それによって、特に配列番号6および8が選ばれる。というのも、これら配列番号6および8は、ヒト原発腫瘍内に見出される2つの小さなPIBF形であり、配列番号 6は、胃腺ガンであり、配列番号 8は、子宮内膜腺ガンである。同じ患者に対応する正常組織はこれらPIBF-mRNA開裂変異体の検出可能レベルを表さない。しかしながら、エキソン17および18は、ほとんどすべての特定された形に含まれることが示されている。それゆえ、これらのエキソンを含んでいるペプチドが特に有利である。”二者択一的に開裂したPIBFタンパク質”という用語は、PIBF活性を有するタンパク質由来のタンパク質を意味している。
【0098】
本発明にかかるさらなる局面は、本発明にかかるPIBF活性と共に上述した組み換え体タンパク質をコードする核酸分子を提供することにある。もちろん、さらに、核酸分子はPIBF以外の第2タンパク質を少なくとも1つコードする付加的な配列を含み、それによって、少なくともペプチドの一部分にPIBF活性を含んでいる融合タンパク質をコードする核酸配列を提供することもできる。
【0099】
配列番号5あるいはその断片では、ノックアウトマウス(例えば、PIBF遺伝子あるいはその断片の発現が阻止されているか、阻害されているマウス)を生産するのに、マウス核酸分子、例えば、配列番号 5あるいはその断片が使用されるのが好ましい。このことは、例えば、アンチセンスマウスPIBF核酸分子またはその断片を提供することによって実現でき、その方法は上述している。それゆえ本発明の他の局面は、活性PIBFタンパク質の発現が阻害あるいは低減されたノックアウトマウスに関係している。
【0100】
選択的にスプライシング PIBF タンパク質をコードする核酸分子は、配列番号 7 9 11 12 13 16 18 21 22 24 26 28 30 33 35 および 37 を含む群から選ばれる配列に対して少なくとも 85 %、好ましくは少なくとも 90 %、さらに好ましくは少なくとも 95 %の同一性を有する核酸配列、または上記配列のいずれか一つと厳密な条件下でハイブリダイゼーション形成する配列または上記配列のいずれか1つに対して、その遺伝子コードによって縮重する配列を含むことが好ましい。これらは、様々な組織内で見出される、選択的にスプライジングされたmRNA分子に対応する核酸配列であり、これにより配列番号7 および配列番号9 は、腫瘍組織内にのみ見出され、野生組織には含まれない、選択的にスプライジングされたmRNA分子と特に関与する。それゆえ、とりわけこれらは、腫瘍、および正常細胞、組織の検出あるいは解析に有利である。
【0101】
本発明のさらなる特徴は、工夫に富んだ核酸配列を含んでいる核酸ベクターに関係している。
【0102】
本発明にかかる上述したベクターが適当な宿主に導入されると、本発明にかかるPIBF活性を有する組み換え体タンパク質、あるいは工夫に富んだタンパク質の翻訳のためのRNA鎖を提供するmRNAが生成される。
【0103】
当業者に公知の適当な成分、特に、組み換え体タンパク質が最大限に生産されるために、ベクターが導入される特異的宿主に基づいて選択される特異的プロモーターを調整要素とすることができる。調整成分は、さらに転写を促進させるためにエンハンサーを含んでいてもよい。
【0104】
好ましくは、核酸ベクターはさらに選択マーカーを含んでいることである。当業者に非常によく知られている、ベクターが導入された細胞あるいは宿主生物体を選択するための適当なマーカーを選択マーカーとすることができる。そのような選択マーカーは、抗生物質抵抗性授与タンパク質をコードする遺伝子、あるいは、細胞の代謝に必要なタンパク質をコードする遺伝子であってもよい。それによって、上述したベクターが導入される細胞あるいは宿主細胞は、このタンパク質を欠乏する。選択マーカーは、さらに、上述したベクター、例えばカラー細胞あるいは宿主生物体の表現型を変化させる遺伝子であってもよい。
【0105】
本発明のさらなる局面は、本発明の応用にかかる上述したベクターを含んでいる細胞に関係している。ベクターは細胞のゲノム内に組み込まれていてもよい。あるいはまた、相補的核酸分子の転写が続く間、サイトプラズマの外因性DNAとして存在していてもよい。本発明の範囲では、”細胞”という用語は、原核細胞あるいは真核細胞を含んでいる。これらの細胞は、本発明にかかるPIBF活性を有する組み換え体タンパク質を生成するために使用されるのが好ましい。これらの生成された組み換え体タンパク質は、従来から公知の方法で分離し、精製すればよく、そしてさらに、例えば、本発明にかかるPIBF活性を有する組み換え体タンパク質を含んでいる医薬品の生産のために使用される。
【0106】
本発明を以下の実施例および図によってより詳細に述べるが、当然のことながら、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0107】
図1は、組み換え体および(野生)マウスPIBFアミノ酸配列の配列を示している。
【0108】
図2は、クロモソーム13上のPIBF遺伝子領域内のエキソンおよびイントロンの略図を示している。
【0109】
図3は、異なる組織におけるPIBF-mRNAの検出のためのノーザンブロットを示している。
【0110】
図4は、ヒト原発腫瘍の免疫組織化学分析を示している。
【0111】
図5A−5Dは、NK細胞標的上の腫瘍細胞を殺す抗PIBF処理の影響を示している。
【0112】
図6A−6Cは、非妊娠リンパ球のIL-10およびIL12上の組み換え体PIBFの効果を示している。
【0113】
図7は、非腺ガン腫瘍および非固体腫瘍の患者の、尿サンプルのPIBFレベルを示している。
【0114】
図8は、単クローン性抗体および多クローン性抗体の助けによる上昇したpibfレベルの検出を示している。
【0115】
図9は、手術後あるいは化学治療後のPIBFレベルの標準化を示している。
【0116】
図10は、ヒト原発腫瘍内に過剰発現した、異なるPIBF-mRNAを示している。
【0117】
図11は、ヒトPBMCに結合するPIBFを示している。
【0118】
図12は、二者択一的につなぎ合わされたPIBF-mRNAを示している。
【0119】
図1は、組み換え体(ヒト)およびマウス(野生)PIBFの組み換え体の配列を示しており、Aは組み換え体配列、BはICマウス配列(これはマウス精巣ライブラリーからクローン化されている)、Cはヒト配列に基づいているdESTライブラリーが断片となったESTマウスであり、Dはウシ配列である。XはPSG予測法による信号配列を示し、yはGvH予測による信号配列、zはERメンブレン保持信号、wはロイシンジッパーパターン−DNA結合モチーフ、vはペルオキソーム標的信号、そしてuは各局在化信号を表している。
【0120】
PIBF遺伝子は、クロモソーム13に位置している。多数のイントロンがPIBF遺伝子(s.図2)に存在している。これにより、イントロン2には二者択一的なスプライジングのための部位としての、複数のAlu繰り返し成分の複製が与えられる。Aはゲノムのコンティグの間隔を示している。
【0121】
図3は、様々な正常組織:胃(A)、甲状腺(B)、脊髄(C)、リンパ節(D)、気管(E)、副腎(F)、骨髄(G)、脾臓(H)、胸腺(I)、前立腺(J)、精巣(K)、子宮(L)、小腸(M)、結腸(N)、PBL(O)、心臓(P)、脳(Q)、胎盤(R)、肺(S)、肝臓(T)、骨格筋(U)、腎臓(V)、膵臓(W)内の、PIBF-mRNAの検出のためのノーザンブロットを示している。図4中、矢印は3つの異なるmRNA形を示している。
【0122】
例1:ヒトPIBF配列に適合するエントリー
ヒトPIBF配列に適合するヒトcDNAライブラリーのESTsエントリーを調べた。3776ヒトcDNAライブラリーにある220万のdESTから、43のエントリーを備えるPIBF配列を発見した。これら43のエントリーは、'27の異なるライブラリーに属する。27のライブラリーのうち、7ライブラリー(25%)を、野生(非妊娠、非成人腫瘍)とする。免疫の与えられた精巣は、頻繁にPIBFmRNAの存在を示したことが重要である。27のライブラリーのうち、13のライブラリーが、腫瘍組織内に発現されたmRNAsを含んでいる(〜50%)。残りは、胎児組織、あるいは妊娠組織由来である。発育、妊娠、および悪性の間、PIBFは優先的に発現された。しかしながら、ESTsに適合する数は、多数のmRNAと相関関係にあったが、主にライブラリーの特性に依存している。このことから、直接発現レベルとして測定することができないことが分かる(表1)。
【0123】
【表1】
Figure 0004025645
【0124】
Figure 0004025645
【0125】
Figure 0004025645
【0126】
例2:ガン患者の尿サンプル中のPIBF濃度の決定
ガン患者の尿中にあるPIBFを測定する競合的ELISAアッセイは確立された。ELISAプレートは2mg/ml濃度の組み換えヒトPIBFでコートされた。ビオチンでラベルされたポリクローナル抗PIBFIgGはPIBF内容物を決定するためにサンプルと一緒に加えられた。サンプル中のPIBF濃度が高いほど、対応するELISA値は低くなる。これらのELISA読み込みを基礎として、PIBFの絶対濃度を決定できる。
【0127】
尿サンプルはガン患者より集められ、採取後に新鮮なまま又は凍らせて使用され、解析まで-20℃で保存された。血清中のPIBFレベルは、非妊娠女性のレベルや病気の妊婦のレベルに比べると、健康的な妊婦では有意に高いことが以前に決定された。ガン患者からの尿PIBFへのアッセイを確認するため、健康な妊婦と正常で健康な妊娠中でない個体からの尿サンプルは、それぞれ陽性と陰性のコントロールとして貢献した。結果は表2に要約されている。正常な(健康な、非妊娠中の)個体は低濃度のPIBFを有していた(5ng/ml)。妊婦からの尿は平均して110ng/ml濃度のPIBFで特徴付けられた。重要なことに、高PIBFレベルは、堕胎または分娩に続いて、正常レベルにすばやく回復した。65人のガン患者からの尿サンプルの解析は、腫瘍発生患者が、5〜180ng/mlの範囲で、健康な非妊娠中の個体に比べて有意に高いPIBF量を尿中に有することを明白に示している。進行したガン(巨大サイズの原発性腫瘍および/または転移)を有する患者はより高い値を有するようであり、転移がある場合に28ng/ml、転移が無い場合に43ng/mlの濃度を有する肺ガン患者の尿サンプルデータによって検証された。
【0128】
このデータは、PIBF濃度は腫瘍塊に関連しており、そして尿中のPIBFの検知が病気の進行や再発をモニターすることに使用できることを示している。PIBF産生性腫瘍の存在を結果とした尿PIBF濃度の上昇はなおいっそう明白である。なぜなら、すべての腫瘍型がPIBF陽性(これまでテストした70〜80%の腫瘍)であるとは限らないからだ。患者において最も流行性の腫瘍型は23ケースの肺ガンであった。大半の肺ガン患者は高濃度PIBFを有していた。尿中における高PIBFの欠如は、臨床性の病気状態に関連していた可能性があり、すなわち、原発性腫瘍を除去した後及び寛解ではPIBF濃度は有意に低く、または正常値でさえあった。
【0129】
【表2】
Figure 0004025645
【0130】
例3:腫瘍組織中のPIBFの検出
MCF-7(ヒト乳腺上皮性ガン)細胞系統によるPIBF発現の証明に続いて、一連のヒト原発性腫瘍がPIBF発現のために研究された。PIBFはMCF-7細胞の培養液上澄みに現れることが明白になり、このことは、このタンパク質は、培養液中にある妊婦リンパ球または活性リンパ球に見出されたものと同様に発現されて分泌されることを示唆している。プロテオミック解析によると、二次元ウエスタン解析によって、抗PIBF抗体は細胞可溶化液中で二つの異なるサイズのタンパク質を認識する。34kDaの斑点はおそらく分泌形態に関連している。もう一つの主な60−62kDaの二重線が検知され、これは主要細胞関連PIBF形態であろう。
【0131】
ホルマリン固定されたヒト初期腫瘍の多くが、ヒト野生PIBF(34kDa)または組み換えPIBF(89kDa)との免疫化によって生成されたウサギのポリクローナル抗血清を用いて、免疫組織学によって生体外で解析された。その結果は、テストされた多くの腫瘍型が、PIBFまたはPIBF関連物質、たとえば、異なる長さのPIBF分子、異なってスプライスされたmRNA由来のPIBF分子、切断分子、融合タンパク質、など(表3)を発現したことを示している。27個の腫瘍のうち15個(55%)は、陽性染色を示した。正常組織対応物の特定免疫染色の欠如は、形質転換された腫瘍細胞は差次的にPIBFを発現する(図4を参照)ことを証明している。図4では、”A”と称する左列には正常組織が示され、”B”と称する右列には腫瘍組織が示される。第一行(”1”と称する)は肺ガン(小さい細胞)、第二行(”2”と称する)は尿中の膀胱ガン(一過性(transitorial)細胞)、そして”3”行では、胃ガン(腺ガン)が示されている。これらのデータはまた、PIBFが陽性になることは、腫瘍細胞自身による発現の結果であり、細胞外溶液由来のPIBF(浸潤リンパ球から分泌される)の結合による結果ではないことを実証する。
【0132】
【表3】
Figure 0004025645
【0133】
上述の結果を基に、PIBF産生は極めて一般的な悪性または未分化の状態の現象であり、その結果、PIBFは腫瘍マーカーとして役立つことができる。
例4:PIBFの存在によるNK活性の変調
抗腫瘍応答の抑制でのPIBFの潜在的な重要性におけるすべてのデータをまとめると、腫瘍細胞によって産生され、分泌され又は細胞表面に発現されたPIBFは、系統的にまたは局所的にキラー細胞活性を抑制することがもっともらしい。NKアッセイにはよい標的であるが他にはそうではない細胞系統があることが長く知れていた。ヒト腫瘍細胞系統であるMCF-7は乏しい標的カテゴリに属する。MCF-7細胞系統はPIBFを産生することが示されているため、これらの細胞に対する低い死滅活性はPIBF産生の結果である確かな可能性はある。この可能性をテストするため、PIBF発現MCF-7細胞は、GrimmとBonavidaの"Frequency determination of killer cells by a single-cell cytotoxic assay"; Methods Enzymol 93, 270 (1983)による四時間シングルセル細胞障害性アッセイで、標的として使用された。図5では、抗PIBF処理はNK細胞標的の腫瘍細胞死滅を増強することが示された:マイナスとプラスは、抗PIBFであるIgGがある場合と無い場合の処置を示し、数字は図5Cと図5DでのNK活性の割合である。NK細胞の出所は、健康な個体から新鮮に単離されたPMBCである。事実、これらの細胞を抗PIBFであるIgGで処理すると、NKが介在する溶解に対する感受性が劇的に、およそ8〜10倍に増加する(図5A)。MCF-7細胞に対する基本的な死滅活性は大変低く(1〜2%)、一方、K562細胞が平行アッセイで標的として使用されたときには高い値(50〜80%)が測定される。同じ抗PIBF処理は、腫瘍細胞の標的活性を増加するには効果的のようであるが、しかしながら、非腫瘍細胞系統にはなんらの効果も持たない(McCoy,ヒト胚性線維芽細胞)。両方のグループからの代表的なメンバー(良好な標的対乏しい標的)を特徴付けることによって、PIBF発現とNK細胞活性の間の相関を作ることができる。さらに、このアッセイにより、PIBF標的細胞死滅を減少する外来性のPIBFの有効性をテストし、さらに重要なことに、PIBF+腫瘍細胞の溶解を刺激する際の抗PIBF抗体を中和する力を評価することができる。これらのポリクローナル抗体が野生PIBFをin vitro(NKアッセイにおけるヒトリンパ球培養液)またはin vivo(動物モデルとしての妊娠マウス)で失活させることができることによって、中和ウサギ抗ヒト血清および抗マウス血清は生産された。組み換えPIBFをK562細胞(標的として)とPBMC(NK細胞ソース)に加えることによって、基礎死滅活性を60〜70%減少させることができる(図5)。組み換えPIBFに対して産生された抗体は、その阻害または死滅活性をほとんど完全に減少させた(図5D)。
例5:サイトカインバランスの変調
PIBFの妊娠促進作用の主要機構の一つは、Th2サイトカインの誘発である。PIBFの組み換え体もまた活性型であり、末梢性血液リンパ球によるサイトカイン発現をin vitroで調節する証拠がここにある。E.coliで発現されてGST−tagで生成された組み換えヒトPIBFの機能性をテストするために、rPIBFがFicoll-Paque勾配で単離されて106/mlの細胞濃度で培養された非妊娠末梢性リンパ球に加えられた。このプロトタイプTh2リンパ球であるIL-10は、24時間の処理の後、IL-10陽性のリンパ球(サイトスピンにおける免疫組織学によって)の数を検知して数えることによって測定された。IL-10陽性リンパ球のパーセントは0.35+/〜-0.15〜3.5+/〜1.5%のrPIBF濃度の関数として増加した。RPIBFの最大濃度(10mg/ml)では、コントロール培養液中に比べて10倍かそれ以上のIL−10陽性リンパ球が存在した。同じ処理で、逆の効果がIL−12(Th1リンパ球)生産性リンパ球では見られた。IL-12陽性のリンパ球の数は、PIBF濃度の関数として最大PIBF量においておよそ8分の1に減少した。野生PIBFのサイトカイン産生における効果の中和もまた成功した。妊娠リンパ球(PIBFを産生している)を3時間、抗PIBFIgGで処理すると、IL-10陽性の数が有意に減少し、IL-12陽性細胞の数が有意に増加した(図6Bと図6C)。これらの結果は、PIBFの組み換え体はTh2サイトカイン発現を誘発する際に活性があることを証明する。さらに重要なことに、中和抗体はin vivoで細胞によって産生される活性型PIBFを取り除くことができ、その結果、Th1サイトカインを増強することができる。
【0134】
例6:診断アッセイ
尿中PIBFの悪性レベルの診断値は、腺ガン腫瘍を有せずに非固形腫瘍を有する患者の尿サンプルを使用してさらに検証された(図7);点は個々の血清による結果を表す。平均値が示されている。Nは患者数を意味する。
【0135】
例:
異なる血液悪性、特にリンパ腫(LY,N:36)、そしてまた白血病(Leu、N=18)、形質細胞腫(PL、N=11)、そして骨髄増殖性の病気(MOP,N=7)は、尿中PIBFの濃度が通常濃度(コントロールC,N=86)に比べて高くなることによって特徴付けられている(図7A)。Aは全ての腫瘍である。他の例は頭と首の腫瘍(図7C)、そして尿路の悪性(図7B)、+は転移があるときでN=15、−は転移が無いときでN=14、である。腫瘍組織、すなわち転移がある病気又は無い病気、腫瘍の除去、は著しくPIBF濃度に影響することもまた明白である(図7B,図7C)。
【0136】
ポリクローナル抗体は、類似抗原捕獲サンドイッチアッセイにおいて、N末の48kDaのrPIBFを抗原として使用して、マウスで生産される一対のモノクローナル抗体(ab)に置き換えられた。およそ20の異なるハイブリドーマクローンがテストされ、そして、四つの安定で生産力の高いクローンがELISAアッセイに選択され、そしてまた別の診断方法(免疫組織学)にも選択された。これらのハイブリドーマクローンは、University Medical School of Pecsにあるハイブリドーマセルバンクに預けられている(デポジションナンバーは11〜14/2001、細胞系統コード:HYB255〜258)。腫瘍患者の尿サンプル中での上昇したPIBFレベルはポリクローナル抗体に類似したモノクローナル抗体の対によって検知される(図8)。ここでCはコントロール、Aはすべてのhaematological腫瘍、Lはリンパ腫、Lueは白血病、Pはプラズマ細胞腫、Nは定義されておらず、No.は患者数、POLYはポリクローナルab、MONOはモノクローナルabである。
【0137】
さらに過剰なデータもまた、診断面だけではなく、しかし特に、尿中および血清PIBF ELISAの腫瘍監視潜在力を強調する。このテストは、治療上の成功と失敗を検知して予測できる。なぜなら、どちらもポリクローナルそしてモノクローナル抗PIBF抗体で、手術あるいは化学療法の後のPIBFレベルの正常化と、再発した患者(図9a:haematological、B:尿路腫瘍)における有意な上昇によって示されるからである。ここでCはコントロール、Bは処理前、RELは再発、REMは寛解である。
例7:PIBFの異なる形
全長ヒトPIBFに加えて、マウス全長PIBFのmRNAとタンパク質配列が特定された(配列番号 4、5)。マウスPIBFもまた、18エキソンを構成し、89%のアミノ酸相似を示す。
【0138】
RT-PCRで正常組織と腫瘍組織のPIBFレベルを比較する試みの間、多くの代わりにスプライスされたPIBFのmRNA形成が発見された。代わりにスプライスされたPIBFのmRNAの構造と、対応するタンパク質生産物は、表4にまとめられている。一つの種で特定されたすべての型は、起こる可能性があり、そして、多種でも同様の機能を有する可能性がある。それは、相似の35kDaのPIBFタンパク質型によって検証された。支配的な前駆mRNAではイントロン配列である代わりのエキソン14’DNAを含むmRNAの一型の例外により、それらの全ては、全長に相対的ないくつかのエキソンを失う完璧なエキソンスキッピングによって生産される。エキソン17・18配列は、特定されたほとんどすべての型に含まれる。それは、これらのエキソンによってコードされたアミノ酸配列は、PIBF機能に不可欠であることを示唆する。さらに、異なる配列を有するいくつかのmRNA型は、予測された10kDa分子量であるこの同じC末PIBFポリペプチドの結果となる。RNAサンプルのRT-PCR解析で特定された切断型のPIBFは異なるヒト組織(配列番号6、No10〜20)とマウス組織と細胞系統(配列番号8,9、23〜37)から単離された。
【0139】
異なるPIBF型は差動的に発現され、そして異なる機能特性を有する。
例:
全長mRNA(エキソン1〜18)は、細胞核の89kDaタンパク質をコードする。イオインフォマティクスは、エキソン7と13にある二つの細胞核の局在化信号とエキソン14〜16にある核酸結合領域を基にして細胞核の区画化を予測する。細胞分画、それとモノクローナル抗PIBF抗体でのウエスタンブロッティングによると、89kDaタンパク質は実際、排他的に細胞核画分に局在化する。より小さい分子量型は、異なるヒトおよびマウス原発性腫瘍、胚、そして細胞系統の細胞基質および分泌画分に存在する。
【0140】
全長mRNAは、ノザン解析(図3)およびRT-PCR解析(図10)を基礎として、異なる量ではあるが、ほとんど全ての組織において発見可能である。半定量的RT-PCRは合致した腫瘍組織または正常組織の対で行われた。同じ量のRNAが、同じサンプルの、PIBF特異的エキソン1/エキソン18とエキソン2/エキソン18のプライマー対、またはリボソームタンパク質S9特異的プロモーター(添加コントロール)のどちらかで増加された。サンプルは、1が胎盤cDNA、2が胃の腫瘍、3が胃の正常、4が子宮腫瘍、5が子宮正常、6がネガティブコントロール:w/o雛形である。急速に成長する細胞、たとえば、腫瘍や胚の中、免疫特権組織(精巣、胎盤)の細胞は、さらに多いPIBF全長mRNAを含む。ヒト原発性腫瘍のRT-PCR解析と、それに続くクローニングとPIBFのcDNAのDNA配列決定は、代わりに処理されたPIBFのmRNA型が、異なって発現していることを明らかにする。それはヒト原発性腫瘍において発見される二つのより小さいPIBF型によって証明された。胃の腺ガンにおけるエキソン(1〜5)〜(17〜18)型と、子宮内膜腺ガンにおけるエキソン1〜(13〜18)型の発現は、腫瘍組織に限定されている、なぜなら、同じ患者由来の対応する正常組織は、検知可能なレベルのPIBFのmRNAスプライスバリアントを発現しないからだ。重要なことに、これらと代わりに処理された他のPIBFのmRNAもまた、免疫特権細胞(胎盤、胚、精巣)および免疫細胞において発見される。
【0141】
PIBFの機能もまた、成熟したタンパク質型の構造に依存している。もっとも興味深い型は、しばしば、ヒト及びマウス胎盤、ヒトリンパ球、マウス胚そしてヒト胃腫瘍のような、ヒト組織とマウス組織で見つかるエキソン2〜3〜4〜5〜17〜18mRNAによってコードされている。それは予言された35kDA分子量の298298および297アミノ酸の長いポリペプチドを符号化する。二つのタンパク質は86%相同である。FACS解析は、ヒト35kDa型がヒト面積細胞に特異的に結合するということを明らかにした(図11):35kDaのPIBFとα−PIBF抗体(抗ウサギFITC)によるヒトPBMCのFACS染色。細胞は単球細胞領域(図11A)とリンパ球ゲート(図11B)において見られる増加蛍光ゲートにおける割合(%)で表現されたMは細胞の数であり、数字が言及するのは、1がPBMC+抗エキソン17PIBF2がPBMC+PIBF〜35kDa(1μg)+抗エキソン17、3がPBMC+PIBF〜35kDa(5μG)+抗エキソン173がPBMC+PIBF〜35kDa(15μg)+抗エキソン17である。ヒトリンパ球と単球に対する結合はこれらの免疫細胞上のPIBFレセプターを示唆する。エキソン1〜9(48〜kDa)を有し、この機能的PIBF型のN末部分を有し、C末部分(エキソン17〜18)を欠損しているrPIBFの折とり版は、免疫細胞への結合という意味において機能的でない(データは示されていない)。
【0142】
【表4】
Figure 0004025645
【0143】
Figure 0004025645
【0144】
図12Aはマウス全長89-kDaPIBF(配列番号.4)を示し、図12Bは胃腫瘍、ヒト末端胎盤、オスとメスのリンパ球、メスの妊娠リンパ球にあるエキソン(1〜5)〜(17〜18)(配列番号.6)を示し、図12Cはマウス胎盤と胚にあるエキソン(1〜5)〜(17〜18)(配列番号.8)を示し、図12Dはエキソン1〜(13〜18)(配列番号.11)を示し、図12EはMCF-7細胞と妊娠リンパ球にあるエキソン1〜(15〜18)(配列番号.12)を示し、図12Fはイントロン14の一部とエキソン15〜18(配列番号.13)を示し、図12GはMCF-7細胞と妊娠リンパ球にあるエキソン1+(9〜10)+(12〜15)+(17〜18)(配列番号.14)を示し、図12HはMCF-7細胞−ヒト乳腺腫瘍細胞系統にあるエキソン1+(3〜7)+(9〜10)+12+(17〜18)(配列番号.17)を示し、図12IはMCF-7細胞−ヒト乳腺腫瘍細胞系統にあるエキソン(1〜7)+(9〜15)+(17〜18)(配列番号.19)を示し、図12JはMCF-7細胞−ヒト乳腺腫瘍細胞系統にあるエキソン(1〜7)+(9〜10)+12+(17〜18)(配列番号.22)を示し、図12Kはマウス胚と胎盤にあるエキソン(1〜2)〜(17〜18)(配列番号.23)を示し、図12Lはマウス胎盤にあるエキソン(1〜4)〜(16〜18)(配列番号.25)を示し、図12Mはマウス精巣にあるエキソン(1〜2)〜(15〜18)(配列番号.27)を示し、図12Nはマウス胚にあるエキソン1〜11 18(配列番号.29)を示し、図12Oはマウス胚にあるエキソン(1〜11)〜18(配列番号.31)を示し図12Pはマウス胚にあるエキソン1〜(8〜14)〜(17〜18)(配列番号.34)を示し、図12Qはマウス精巣にあるエキソン(1〜1)〜(15〜18)(配列番号.36)を示す。
【0145】
〔引用文献〕
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【0146】
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【0147】
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【配列表】
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【図面の簡単な説明】
【図1】 組み換え体および(野生)マウスPIBFアミノ酸配列の配列を示す図である。
【図2】 クロモソーム13上のPIBF遺伝子領域内のエキソンおよびイントロンの略図を示す図である。
【図3】 異なる組織におけるPIBF-mRNAの検出のためのノーザンブロットを示す図である。
【図4】 ヒト原発腫瘍の免疫組織化学分析を示す図である。
【図5A】 図5Aは、NK細胞標的上の腫瘍細胞を殺す抗PIBF処理の影響を示す図である。
【図5B】 図5Bは、NK細胞標的上の腫瘍細胞を殺す抗PIBF処理の影響を示す図である。
【図5C】 図5Cは、NK細胞標的上の腫瘍細胞を殺す抗PIBF処理の影響を示す図である。
【図5D】 図5Dは、NK細胞標的上の腫瘍細胞を殺す抗PIBF処理の影響を示す図である。
【図6A】 図6Aは、非妊娠リンパ球のIL-10およびIL12上の組み換え体PIBFの効果を示す図である。
【図6BC】 図6BCは、非妊娠リンパ球のIL-10およびIL12上の組み換え体PIBFの効果を示す図である。
【図7】 非腺ガン腫瘍および非固体腫瘍の患者の、尿サンプルのPIBFレベルを示す図である。
【図8】 単クローン性抗体および多クローン性抗体の助けによる上昇したPIBFレベルの検出を示す図である。
【図9】 手術後あるいは化学治療後のPIBFレベルの標準化を示す図である。
【図10】 ヒト原発腫瘍内に過剰発現した、異なるPIBF-mRNAを示す図である。
【図11】 ヒトPBMCに結合するPIBFを示す図である。
【図12】 二者択一的につなぎ合わされたPIBF-mRNAを示す図である。

Claims (11)

  1. 患者から採取したサンプル中のPIBF(プロゲステロン誘発ブロッキングファクター)またはその誘導体またはその断片の濃度を測定し、
    上記サンプル中の上記PIBF濃度が所定の閾値より上か下かどうかを決定し、
    上記濃度が閾値より高い場合には患者が腫瘍を有すると特定する腫瘍の有無を検出する方法。
  2. 上記腫瘍が上皮性ガン、特に肺ガン、大腸ガン、乳ガンであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 上記サンプルは体液、特に尿または血清であることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
  4. 上記サンプルは組織サンプルであることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
  5. 上記閾値は、妊婦を除く健康な人間のサンプル中の上記PIBF濃度であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 上記閾値は患者のサンプル中のPIBF濃度に対応する少なくとも一人の、妊婦を除く健康な人間の上記PIBF濃度を測定することによって決められることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 陽性コントロールとして、上記患者の上記サンプル中の上記PIBFまたはその誘導体またはその断片の上記濃度の決定に対応して、所定濃度のPIBFまたはその誘導体またはその断片を含むサンプル中のPIBFまたはその誘導体またはその断片の濃度を測定することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 上記サンプル中の上記PIBF濃度を免疫学的に測定し、特に、競合アッセイ、サンドイッチアッセイ、免疫染色、またはこれらの方法の組み合わせによって測定することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 上記サンプル中の上記PIBF濃度を、上記サンプル中のPIBF-mRNA濃度を測定することによって間接的に測定することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  10. 患者の腫瘍の陽性または陰性進行を決定する方法であって、
    請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法に従って患者の腫瘍の有無を検出し、
    上記サンプル中の上記測定されたPIBFまたはその誘導体またはその断片の濃度が、同じ患者から前回採取された少なくとも一つの上記サンプル中の少なくとも一つの前回測定されたPIBFまたはその誘導体またはその断片の濃度より上か下かを決定し、
    上記前回測定された濃度より上の濃度の場合、陽性進行であることを決定する方法。
  11. 抗PIBF抗体、好ましくはモノクローナル抗体あるいはその断片を使用する請求項8または10のいずれか1項に記載の方法。
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