JP4024546B2 - 無機薄膜付きフィルムの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学部材、エレクトロニクス部材、一般包装部材、薬品包装部材などの幅広い用途に応用が可能な、高機能化された無機薄膜付きフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
高分子材料に無機薄膜を形成することによって、高分子材料を機能化させる試みがなされている。例えば、ガスバリア性機能、透明導電性機能、光触媒機能、表面硬度向上等が上げられる。特に最近はガスバリア性機能の付与の要求が高まっている。
従来より、プラスチック基板やフィルムの表面に酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化珪素等の金属酸化物の薄膜を形成したガスバリア性フィルムは、水蒸気や酸素等の各種ガスの遮断を必要とする物品の包装、食品や工業用品及び医薬品等の変質を防止するための包装用途に広く用いられている。また、包装用途以外にも液晶表示素子、太陽電池、エレクトロルミネッセンス(EL)基板等で使用されている。特に液晶表示素子EL素子などへの応用が進んでいる透明基材には、近年、軽量化、大型化という要求に加え、長期信頼性や形状の自由度が高いこと、曲面表示が可能であること等の高度な要求が加わり、重くて割れやすく大面積化が困難なガラス基板に代わって透明プラスチック等のフィルム基材が採用され始めている。また、プラスチックフィルムは上記要求に応えるだけでなく、ロールトゥロール方式が可能であることからガラスよりも生産性が良くコストダウンの点でも有利である。
【0003】
しかしながら、透明プラスチック等のフィルム基材はガラスに対しガスバリア性が劣るという問題がある。ガスバリア性が劣る基材を用いると、水蒸気や空気が浸透し、例えば液晶セル内の液晶を劣化させ、表示欠陥となって表示品位を劣化させてしまう。この様な問題を解決するためにフィルム基板上に金属酸化物薄膜を形成してガスバリア性フィルム基材とすることが知られている。包装材や液晶表示素子に使用されるガスバリア性フィルムとしてはプラスチックフィルム上に酸化珪素を蒸着したもの(特公昭53-12953号公報)や酸化アルミニウムを蒸着したもの(特開昭58-217344号公報)が知られており、いずれも1g/m2/day程度の水蒸気バリア性を有する。近年では、液晶ディスプレイの大型化、高精細ディスプレイ等の開発によりフィルム基板へのガスバリア性能について水蒸気バリアで0.1g/m2/day程度まで要求が上がってきている。これに応えるためにより高いバリア性能が期待できる手段として真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法やCVD法による成膜検討が行われている。
しかしながら、従来の方法は、工業的に実施する場合、大型設備が必要であり、また真空プロセスが必要なことから生産性が悪く、コストアップにつながっていた。
経済性が高く、且つ生産性を高める方法として、スプレイ法、大気圧CVD法が検討されているが、スプレイ法では無機薄膜の機能を引き出すために、高温の加熱焼成が必要でありプラスチック基板上への適用には限界があった。一方で経済性、生産性、実用性に優れた薄膜製造方法として、大気圧CVDによる薄膜作製方法が検討されているが、無機薄膜としての機能が十分ではなく、特にガスバリア性機能または透明導電性機能については、実用上十分な特性は得られていなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、経済性、生産性が高く、膜緻密性、膜密着性等の実用性に優れた無機薄膜付きフィルムを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、以下の通りである。
(1) 樹脂材料からなる基材の表面に、揮発性を有する1種類あるいは複数の金属化合物を加熱し、気体状媒体と共に大気圧雰囲気下に放出させた後に酸化物、窒化物または窒化酸化物を形成させる無機薄膜付きフィルムの製造方法において、樹脂材料からなる基板と、無機薄膜を形成する金属化合物と気体状媒体が放出されるノズル先端との間に、コロナ放電を起こすための電極対があり、気体状媒体により放出される金属化合物がコロナ放電領域を通過して大気圧下で無機薄膜を形成する無機薄膜付きフィルムの製造方法であって、コロナ放電を起こす電極対の他に、前記基材を保持する金属板をカソード電極とし、無機薄膜を形成する金属化合物と気体状媒体が放出されるノズル先端をアノード電極として、対向する電極間を定電圧出力で制御しながら無機薄膜を成膜することを特徴とする無機薄膜付きフィルムの製造方法。
(2) 前記コロナ放電を起こすための電極対が少なくとも一対以上あることを特徴とする(1)記載の無機薄膜付きフィルムの製造方法。
(3) 前記コロナ放電を起こす電極対をなす電極が、開口率80%以上のメッシュ形状を有することを特徴とする(1)又は(2)記載の無機薄膜付きフィルムの製造方法。
(4) 前記コロナ放電を起こす電極対をなす電極材質が、タングステン、モリブデン、タンタル、チタン、トリウム、鉄、白金、コバルト、ニッケルを含む金属から選ばれることを特徴とする(1)〜(3)記載の無機薄膜付きフィルムの製造方法。
(5) 前記コロナ放電を起こす電極対の表面磁場強度を100ガウス以上にするように、電極周辺に磁石が配置されていることを特徴とする(1)〜(4)記載の無機薄膜付きフィルムの製造方法。
(6) 気体状媒体とともに放出される金属化合物の温度が、基材温度よりも高温であることを特徴とする(1)〜(5)記載の無機薄膜付きフィルムの製造方法。
(7) 金属化合物中の主たる金属が、Si、Al、In、Sn、Zn、Ti、Zr、Cu、Ceの内の1種類以上を含むことを特徴とする(1)〜(6)記載の無機薄膜付きフィルムの製造方法。
(8) 金属化合物が、アルキル化合物、アルコキシド化合物、ハロゲン化合物アセチルアセトナート化合物、アルケニル化合物、フェニル化合物、アルキルフェニル化合物の内の1種類以上を含むことを特徴とする(1)〜(7)記載の無機薄膜付きフィルムの製造方法。
(9) 基材のガラス転移温度が100℃以上である(1)〜(8)記載の無機薄膜付きフィルムの製造方法。
(10) 基材がポリエステル樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアリレート系樹脂、カルド樹脂、アクリル系樹脂、ノルボルネン系樹脂またはポリエーテルスルホン樹脂を主成分とする(1)〜(9)記載の無機薄膜付きフィルムの製造方法。
(11) 基材が、少なくとも片面に有機層をコーティングされていることを特徴とする(1)〜(10)記載の無機薄膜付きフィルムの製造方法。
(12) 気体状媒体がアルゴンガスを主体としていることを特徴とする(1)〜(11)記載の無機薄膜付きフィルムの製造方法。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明は、樹脂材料からなる基材の表面に、揮発性を有する1種類あるいは複数の金属化合物を加熱し、気体状媒体と共に大気圧雰囲気下に放出させた後に酸化物、窒化物または窒化酸化物を形成させる無機薄膜付きフィルムの製造方法において、樹脂材料からなる基板と、無機薄膜を形成する金属化合物と気体状媒体が放出されるノズル先端との間に、コロナ放電を起こすための電極対があり、気体状媒体により放出される金属化合物がコロナ放電領域を通過して大気圧下で無機薄膜を形成することを特徴とする無機薄膜付きフィルムの製造方法である。気体状媒体に金属化合物と反応性を示すガス成分を混入させても良い。
コロナ放電を起こす電極対は、金属化合物の反応活性化に寄与するため、少なくとも一つ以上あることが好ましい。樹脂基板とノズル先端の距離の関係から、許される範囲で複数あることにより、更に反応が活性化するためより好ましい。また、電極対を成す電極は金属化合物の基板への到達を妨げない形状が好ましく、金属化合物が通過する口径を有するメッシュ形状が好ましく、更にはその開口率80%以上であることが好ましい。80%より小さいと、金属化合物の樹脂基板への拡散を妨げ、成膜速度の低下や膜厚及び膜質の不均一性をひきおこす。また、コロナ放電を起こす電極対をなす電極材質は、コロナ放電中に起こる自己発熱により、触媒活性、選択的なガス吸着等の特性を有するタングステン、モリブデン、タンタル、チタンの内の一つから選ばれることが好ましい。電極対は同一の金属種の組み合わせ、若しくは異なる金属種の組み合わせなど、何ら制約はない。また、コロナ放電を起こす電極対の表面磁場強度を100ガウス以上にする磁石を電極対周囲に配置されていることが好ましい。磁石としては、サマリュウムコバルトまたはネオジュウム鉄ボロンが上げられる。磁場による電極対近傍に電子が閉じ込められるため、樹脂基板に衝突する頻度が低減し、樹脂基板の設定温度以上の加熱を抑える効果がある。
【0007】
本発明は気体状媒体が放出されるノズル先端をアノード電極にすることで、対向電極間の定電圧出力で制御しながら、大気圧下で無機薄膜を成膜することことを特徴としている。
通常は、無機薄膜と樹脂基板は異質であるため膜密着性に欠ける。また、反応性の無機薄膜作成法においては基板表面での反応活性種の吸着及び脱着を伴う化学反応のために、膜緻密性を高めた成膜条件が安定して得られ難い。しかしながら、本発明は、定電圧を印加しながら成膜することで樹脂基板表面にシース領域を形成することが可能となる。そのためシース領域より樹脂基板近傍では反応活性種の閉じ込め効果が発生することにより、高エネルギーな反応活性種の化学反応を効率良く進行させることができため、膜密着性及び膜緻密性を高めることが出来る。また、樹脂基板下部をカソード電極にしているため、電子の衝突による基板加熱を抑制する効果も有している。
本発明の対向電極間に電圧を長時間連続放電できる放電電力供給方式としては、RF,AC,DC式などを用いることができるが、電源が安価で基板表面のチャージアップを抑制し、安定したシースを長時間連続的に維持できる点からDCパルス式電源方式が好ましい。
本発明に用いる印加電圧としては、−200V以下の印加電圧が好ましく、反応活性種を閉じ込める効果を有しており、且つ成膜された無機薄膜に表面ダメージを与えない電圧であれば特に制限はない。
【0008】
本発明の対向電極間距離は1〜30cmが好まし。1cm以下の場合は、加熱された金属化合物が放出されるアノード電極ノズルの輻射熱により樹脂基材が熱変形を起こしたり、得られる無機薄膜の面内における均一性が得られない。また、30cm以上であると無機薄膜の成膜速度が低下したり、金属化合物の利用効率が低下する。
また、本発明における気体状媒体とともに放出される金属化合物の温度は、樹脂基板温度よりも高温であることが好ましい。金属化合物の温度が樹脂基板温度より低い場合は、金属化合物の反応性が低下し、更には、基板表面に到達した金属化合物による反応活性種の基板表面での脱離が頻繁に起こり成膜速度が低下する。気体状媒体でもってアノード電極ノズルから放出される金属化合物の温度は、アノード電極ノズルと樹脂基板間の距離、又は用いる樹脂基板の種類によってその最適温度が存在するが、180℃以上であることが好ましい。180℃以下であると無機薄膜を形成する金属化合物の反応性が低下する。一方、樹脂基板の温度としては、用いる樹脂基板のガラス転移温度以下であることが好ましい。ガラス転移点以上に加熱することにより、樹脂基板自体の熱変形が生じ易くなり、無機薄膜の機能が十分発揮されない場合が生じる。
【0009】
本発明に用いる金属化合物中の主たる金属は、Si、Al、In、Sn、Zn、Ti、Zr、Cu、Ceの内の1種類以上を含むことを特徴とする。中でもSi、Al、In、Sn、Zn、Ti、Zrからなる金属酸化物、金属窒化物、金属窒化酸化物はバリア機能、透明導電機能、光触媒機能を付与する点でより好ましい。
金属化合物としては、化学反応性を有し金属酸化物、金属窒化物、金属窒化酸化物を形成するものであれば、特に限定されない。アルキル化合物、アルコキシド化合物、ハロゲン化合物アセチルアセトナート化合物、アルケニル化合物、フェニル化合物、アルキルフェニル化合物等が適用できるが、これらの金属化合物は単体であっても、複数の化合物を組み合わせて使っても良い。
本発明に用いる樹脂基板のガラス転移温度が100℃以上であれば、基材としては何ら制限はないが、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂等を使用することができる。特に、ガラス転移温度が150℃以上のポリカーボネート系樹脂、ポリアリレート系樹脂、カルド樹脂、アクリル系樹脂、ノルボルネン系樹脂やポリエーテルサルホンは光学特性が良好で耐熱性が高く、付加価値の高いエレクトロニクス用部材として適用できる点で好ましい。
【0010】
本発明の有機物層の材質については特に制限はないが、アクリル系樹脂やウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂等を使用することができる。中でも、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、イソシアヌル酸アクリレート、ペンタエリスリトールアクリレート、トリメチロールプロパンアクリレート、エチレングリコールアクリレート、ポリエステルアクリレートなどのうち、2官能以上のアクリロイル基を有するモノマーを塗工後、架橋させて得られる高分子を主成分とすることが塗工性も良く好ましい。特に架橋度が高く、ガラス転移温度が200℃以上である、イソシアヌル酸アクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレートを主成分とすることが好ましい。これらの2官能以上のアクリロイル基を有するモノマーは2種類以上を混合して用いても、また1官能のアクリレートを混合して用いても良い。
本発明の無機薄膜は、反射防止膜等の光学機能を付与する点、または、単層では膜面内に存在するピンホールのような構造欠陥を多層化することにより修復できる点から多層であっても良い。
【0011】
【実施例】
以下本発明の実施例について詳細に説明するが、本発明は、何ら下記実施例に限定されるものではない。図1に本発明で使用する装置の実施形態の例を概略図で示すが、本発明で使用する装置はこれに限定されるものではなく、適宜必要に応じて装置が使用できる。図中の1は電圧印加電源、2はカソード電極、3は樹脂基板、5、6はコロナ放電電極、7はコロナ放電用AC電源、4、アノード電極ノズル、8は揮発槽、9は成膜物質ソースを示す。
(実施例1)
図1に示す装置を使用し、揮発槽にテトラメトキシシランを仕込んだ。揮発槽を130℃に加熱し、揮発槽とアノード電極を繋ぐ配管およびアノード電極ノズル部を内在するワイヤー状ヒーターにより400℃に加熱し、放出温度を400℃に設定した。アノード電極とカソード電極を8cmに設定し、ガラス転移点が155℃の150μmポリカーボネート(以下PCと略す)を140℃に加熱し配置した。揮発槽にアルゴンガスを導入し、テトラメトキシシランを大気圧雰囲気に安定して放出しながら、電極間距離1mm、印加電圧を9kVに設定しコロナ放電おこし、且つ、DCパルス電源を用い印加電圧−60V
を電極間に印加し、PC基板上に100nmの酸化ケイ素薄膜を成膜した。
作製した酸化ケイ素膜付きPC基板において、碁盤目剥離試験による密着性とモコン法(JISK7129B法)により水蒸気バリア性を評価した。碁盤目剥離試験では剥離が確認されず高密着性を示した。水蒸気バリア性は0.1g/m2/dayの良好なバリア性を示した。
【0012】
(実施例2)
実施例1で使用した装置を使用し、揮発槽に四塩化珪素を仕込んだ。揮発槽を80℃に加熱し、揮発槽とアノード電極を繋ぐ配管およびアノード電極ノズル部を内在するワイヤー状ヒーターにより500℃に加熱し、放出温度を500℃に設定した。アノード電極とカソード電極を8cmに設定し、ガラス転移点が223℃の200μmポリエーテルスルホンの成膜面に2官能のエポキシアクリレート(昭和高分子VR-60-LAV)10wt%、イソシアヌル酸トリアクリレー ト(東亜合成:アロニックスM−315)15wt%、乳酸エチル44wt%、酢酸エ チル30wt%、光開始剤(チバガイギー社製:Irg-651)1wt%からなる混合溶液を塗 布し、110℃10分加熱乾燥後さらにUV照射で硬化させて2μmの樹脂層を形 成したPES基板を180℃に加熱し配置した。揮発槽にアルゴンガスとアン モニアガスを導入し、四塩化珪素を大気圧雰囲気に安定して放出しながら、電 極間距離1mm、印加電圧を9kVに設定しコロナ放電おこし、且つDCパル ス電源を用い印加電圧−80Vを電極間に印加し、PES基板上に100nm の窒化酸化ケイ素薄膜を成膜した。
作製した窒化酸化ケイ素薄膜付きPES基板において、碁盤目剥離試験による密着性とモコン法(JISK7129B法)により水蒸気バリア性を評価した。碁盤目剥離試験では剥離が確認されず高密着性を示した。水蒸気バリア性はモコン測定器の検出限界以下(<0.1g/m2/day)の良好なバリア性を示した。
【0013】
(比較例1)
コロナ放電及び電極間に電圧を印加すること無しに、実施例1と同様にPC基板上へ酸化ケイ素膜を作製した。
作製した酸化ケイ素膜付きPC基板において、碁盤目剥離試験による密着性とモコン法(JISK7129B法)により水蒸気バリア性を評価した。碁盤目剥離試験では8/100で剥離が確認され、密着性の低下が僅かに確認された。水蒸気バリア性は5.2g/m2/dayの値をしめし、バリア性の低下が見られた。
(比較例2)
コロナ放電及び電極間に電圧を印加すること無しに、実施例2と同様に有機層をコーティングしたPES基板上へ窒化酸化ケイ素膜を作製した。
作製した窒化酸化ケイ素膜付きPES基板において、碁盤目剥離試験による密着性とモコン法(JISK7129B法)により水蒸気バリア性を評価した。碁盤目剥離試験では剥離が0/100で良好な密着性が確認された。一方、水蒸気バリア性は0.8g/m2/dayの値をしめし、バリア性の低下が見られた。
【0014】
(実施例3)
図1に示す装置を使用し、揮発槽にトリイソプロポキシインジュームと錫アセチルアセトンキレート混合物(金属部換算重量比:95/5)を仕込んだ。揮発槽を170℃に加熱し、揮発槽とアノード電極を繋ぐ配管およびアノード電極ノズル部を内在するワイヤー状ヒーターにより500℃に加熱し、放出温度を500℃に設定した。アノード電極とカソード電極を8cmに設定し、ガラス転移点が155℃の150μmPC基板を140℃に加熱し配置した。揮発槽にアルゴンガスと酸素ガスを導入し、トリイソプロポキシインジュームと錫アセチルアセトンキレート混合物を大気圧雰囲気に安定して放出しながら、電極間距離1mm、印加電圧を9kVに設定しコロナ放電おこし、且つ、DCパルス電源を用い印加電圧−60Vを電極間に印加し、PC基板上に100nmの透明性が良好な酸化インジュウム・酸化錫薄膜(以下ITOと略す)を成膜した。
作製したITO付きPC基板において、碁盤目剥離試験による密着性と電気導電性を評価した。碁盤目剥離試験では剥離が確認されず高密着性を示した。4探針法により比抵抗値を測定した結果、3.0x10^-4Ω・cmであった。
【0015】
(実施例4)
樹脂基板を有機層付きPES基板を用い、基板温度を200℃にする他は、実施例3と同様にPES基板上へITO薄膜を100nm作製した。得られたITO付きPES基板は透明性が良好であった。
作製したITO付きPES基板において、碁盤目剥離試験による密着性と電気導電性を評価した。碁盤目剥離試験では剥離が確認されず高密着性を示した。4探針法により比抵抗値を測定した結果、1.8x10^-4Ω・cmで低抵抗な導電特性を示した。
【0016】
(比較例3)
電極間に電圧を印加すること無しに、実施例4と同様に有機層をコーティングしたPES基板上へITOを作製した。
作製したITO付きPES基板において、碁盤目剥離試験による密着性と電気導電性を評価した。碁盤目剥離試験では14/100の剥離が確認され、密着性の低下が確認された。また、4探針法により比抵抗値を測定した結果、8.8x10^-4Ω・cmであった。
【0017】
【発明の効果】
本発明は、金属化合物を気体状媒体と共にコロナ放電中を通過させ、且つ電圧印加を伴った大気圧雰囲気下での化学気相成膜法から作製される無機薄膜付きフィルムであり、ガスバリア機能、導電性機能等の高機能な特性を生産性及び経済性良くフィルムに付与できる特徴を有している。本発明のフィルムをたとえば表示用素子として適用すれば、軽くて割れないディスプレイが実現できる。また、薬品などの保存に適用すれば中身が見えて、落としても割れないような保存容器を実現することも可能であり、その工業的価値は極めて高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す図
【符号の説明】
1 電圧印加電源
2 カソード電極
3 樹脂基板
4 アノード電極ノズル
5 コロナ放電電極
6 コロナ放電電極
7 コロナ放電用AC電源
8 揮発槽
9 成膜物質ソース
Claims (12)
- 樹脂材料からなる基材の表面に、揮発性を有する1種類あるいは複数の金属化合物を加熱し、気体状媒体と共に大気圧雰囲気下に放出させた後に酸化物、窒化物または窒化酸化物を形成させる無機薄膜付きフィルムの製造方法において、樹脂材料からなる基板と、無機薄膜を形成する金属化合物と気体状媒体が放出されるノズル先端との間に、コロナ放電を起こすための電極対があり、気体状媒体により放出される金属化合物がコロナ放電領域を通過して大気圧下で無機薄膜を形成する無機薄膜付きフィルムの製造方法であって、コロナ放電を起こす電極対の他に、前記基材を保持する金属板をカソード電極とし、無機薄膜を形成する金属化合物と気体状媒体が放出されるノズル先端をアノード電極として、対向する電極間を定電圧出力で制御しながら無機薄膜を成膜することを特徴とする無機薄膜付きフィルムの製造方法。
- 前記コロナ放電を起こすための電極対が少なくとも一対以上あることを特徴とする請求項1記載の無機薄膜付きフィルムの製造方法。
- 前記コロナ放電を起こす電極対をなす電極が、開口率80%以上のメッシュ形状を有することを特徴とする請求項1又は2記載の無機薄膜付きフィルムの製造方法。
- 前記コロナ放電を起こす電極対をなす電極材質が、タングステン、モリブデン、タンタル、チタン、トリウム、鉄、白金、コバルト、ニッケルを含む金属から選ばれることを特徴とする請求項1〜3何れか一項記載の無機薄膜付きフィルムの製造方法。
- 前記コロナ放電を起こす電極対の表面磁場強度を100ガウス以上にするように、電極周辺に磁石が配置されていることを特徴とする請求項1〜4何れか一項記載の無機薄膜付きフィルムの製造方法。
- 気体状媒体とともに放出される金属化合物の温度が、基材温度よりも高温であることを特徴とする請求項1〜5何れか一項記載の無機薄膜付きフィルムの製造方法。
- 金属化合物中の主たる金属が、Si、Al、In、Sn、Zn、Ti、Zr、Cu、Ceの内の1種類以上を含むことを特徴とする請求項1〜6何れか一項記載の無機薄膜付きフィルムの製造方法。
- 金属化合物が、アルキル化合物、アルコキシド化合物、ハロゲン化合物アセチルアセトナート化合物、アルケニル化合物、フェニル化合物、アルキルフェニル化合物の内の1種類以上を含むことを特徴とする請求項1〜7何れか一項記載の無機薄膜付きフィルムの製造方法。
- 基材のガラス転移温度が100℃以上である請求項1〜8何れか一項記載の無機薄膜付きフィルムの製造方法。
- 基材がポリエステル樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアリレート系樹脂、カルド樹脂、アクリル系樹脂、ノルボルネン系樹脂またはポリエーテルスルホン樹脂を主成分とする請求項1〜9何れか一項記載の無機薄膜付きフィルムの製造方法。
- 基材が、少なくとも片面に有機層をコーティングされていることを特徴とする請求項1〜10何れか一項記載の無機薄膜付きフィルムの製造方法。
- 気体状媒体がアルゴンガスを主体としていることを特徴とする請求項1〜11何れか一項記載の無機薄膜付きフィルムの製造方法。
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