JP4023741B2 - 試料を検査または処理するための荷電粒子ビーム装置 - Google Patents

試料を検査または処理するための荷電粒子ビーム装置 Download PDF

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Description

本件発明は、荷電粒子ビームにより試料を検査または処理するための荷電粒子ビーム装置に関するものである。特に、本発明は、ガスを試料に差し向ける手段を備えた荷電粒子ビーム装置に関連している。
マイクロエレクトロニクス、マイクロメカ二クス、バイオテクノロジーなどの各種技術は、ナノメートル規模の試料の処理及び探査に対する高い需要を生み出した。かかる微小規模では、試料探査や試料処理を、荷電粒子ビーム装置で生成されて集束される荷電粒子ビームで行われることが多い。荷電粒子ビーム装置の具体例として、電子顕微鏡や、電子またはイオンビームパターン発生装置がある。荷電粒子ビーム、特にイオン及び電子ビームは、同等の粒子エネルギーでの波長が短いために、光子ビームと比較して優れた空間解像度を提供している。
荷電粒子ビーム装置は高度な空間解像度要求を満足させることができるが、他方で、走査中に一次荷電粒子ビームが試料に衝突する領域において試料を帯電させてしまうという不具合をもたらすことも多い。試料の表面が、生体組織のように電気絶縁性または導電性に乏しい物質、或いは、半導体集積回路の酸化物領域で構成されている場合には、試料の帯電は特に深刻である。このような事例では、試料に荷電粒子ビームが衝突することで生じた過剰電荷の散逸が遅すぎるため、帯電は、衝突する荷電粒子ビームを変形または偏向させるのに十分な電位差を試料表面に発生させる。その結果、試料への荷電粒子ビームの走査が歪められ、これが、荷電粒子ビーム装置の空間解像度を低下させることになる。
試料に衝突した荷電粒子ビームにより生じた二次荷電粒子の検出により試料を検査する荷電粒子ビーム装置では、帯電は一層厄介である。荷電によって生じた試料表面付近の電位差は、同表面から二次荷電粒子が散逸するのを妨害したり、或いは、二次荷電粒子を、検出装置の高感度領域に達し得ない方向に偏向させる可能性がある。いずれも、検査のための空間解像度の損失につながる。
帯電を低減するために開発された技術が幾つか存在している。その1つは、特許文献1などに記載されているように、一次荷電粒子のエネルギーを調節して、二次荷電粒子の放射率が入射する荷電粒子ビームのビーム束と均衡する値にすることである。この事例では、ビーム入射の領域における過剰電荷はゼロ近くに維持することができる。しかし、この技術では、荷電粒子ビームのエネルギーを自由に選択することができず、そのため、荷電粒子ビーム顕微鏡検査法および処理法の分野における多くの有用な用途を除外せざるを得ない。
試料の帯電を低減する別な技術が特許文献2で提示されている。この技術はガス供給システムを利用して、ガスノズルによってガスを試料の付近の電子ビームに導入する。ガスは、試料の表面と接触すると、試料から過剰電荷の一部または全部を取り去る。試料付近のイオン化ガスの濃度が高いほど電荷除去率も高い。
試料付近のガス供給システムの利用は試料の電荷除去に限定されるものではない。ガスは、別な方法で試料と相互作用させるためにも利用してもよい。例えば、ガスは、試料をエッチングするために利用したり、或いは、荷電粒子ビームが試料に衝突する領域に材料層を設ける(薄膜形成)ために利用することもできる。
しかしながら、このガス供給システムによる電荷除去、エッチング又は薄膜材料の堆積は、相当量のガスを真空中に注入することを必要とする。そのために、真空ポンプは損傷するほどの負荷を受けることがある。更に、導入されたガスは、荷電粒子ビームとガスとの衝突によって、全体的な真空度を悪化させ、荷電粒子ビームの焦点を拡大させてしまう。更に、ビーム光学レンズの高電界付近の大量のガスが、アーク放電が生じさせ、ビーム光学系を破壊することがある。
米国特許第6,066,849号 欧州特許出願EP 0 969 494 A1
本発明の第1の目的は、上述の問題を回避した荷電粒子ビーム装置を提供することである。
本発明の第2の目的は、試料から電荷を除去することのできる荷電粒子ビーム装置を提供することである。
本発明の第3の目的は、試料と相互作用させるためにガスが供給される荷電粒子ビーム装置を提供することである。
上記課題および他の課題は、特許請求の範囲の請求項1に記載の荷電粒子ビーム装置により解決される。
本発明の上記以外の利点、特徴、局面及び詳細は、特許請求の範囲の従属項、発明の詳細な説明、添付の図面から明らかになろう。各請求項は、本発明を一般的な用語で定義するための最初の非制限的アプローチとして解釈されるべきである。
請求項1に記載の発明は、試料と相互作用させるようにガスを導くために、荷電粒子ビーム装置には、管からなる少なくとも10本のガス通路を有するガス供給システムが設けられる。これら複数のガス通路は、高い「ピーキング比」(peaking-ratio)でガス粒子を導く役割をする。ガス通路の本数が多いほど、組合わせた全ての管の所与の総内断面に対する「ピーキング比」が高くなる。「ピーキング比」が高いと、ガスを高精度で所望の領域に差し向けるのが容易になる。すなわち、高い「ピーキング比」によって高い照準精度が容易に得られる。
本発明は、複数の管又は孔からなるガス通路の高い照準精度を利用することによって、所望の領域を包囲する真空度をそれほど悪化させることなく、試料との相互作用のための所望の領域に十分なガスを供給できるという思想に基づいている。ガスは、試料の付近の荷電粒子ビーム中などの小領域でのみ必要とされるので、所望の領域以外の領域にガスを拡散させることなく所望の領域内に正確にガスを導けば、総ガス流量は大幅に低減することができる。よって、少なくとも10本のガス通路を用いることで、荷電粒子ビーム装置を作動させるのに十分且つ装置の性能を実質的に損なうことのない低いレベルに全体のガス圧を維持しつつ、所望の小領域内のガス圧を増大させることができる。
本発明によれば、ガス供給システムは、試料との相互作用のための所望の領域にガスを差し向けるために、管又は孔からなる少なくとも10本のガス通路を有する。ここで、ガスと試料との相互作用とは、試料の表面を変えるあらゆる相互作用を意味し、例えば、試料のエッチング、試料の荷電、試料からの電荷の除去、更には、ディポジションが含まれる。差し向けられたガスと試料との相互作用には、ガスと荷電粒子ビームとの相互作用を伴うのが好ましい。例えば、差し向けられたガスは、まず荷電粒子ビームによりイオン化され、イオン化ガスが試料の表面を変えるようにしてもよい。
請求項1において、所望の領域とは、荷電粒子ビームが占める体積及び/又は荷電粒子ビームが試料に衝突する領域をいう。この場合、ガスの一部または全部が、試料と相互作用する前に、荷電粒子ビームによってイオン化される。本発明の一つの好ましい実施例では、試料から電荷を除去するためにイオン化ガスを利用する。本発明の別の好ましい実施例では、試料の表面との化学反応によって試料の表面をエッチングするためにイオン化ガスを利用する。本発明の第3の好ましい実施例では、イオン化ガスは試料に沈積又は堆積される。
「ピーキング比」は、1本の管又は孔の真空への出口における所与のガス流の所与の順方向強度の、角余弦分布(angular cosine distribution)を想定した、同じガス流の順方向強度に対する割合と定義される。角余弦分布とは、管の出口においてガス粒子が完全にランダムな動きを示すガス流の分布をいう。よって、1よりも大きな「ピーキング比」は、出口において、ガス粒子が余弦分布の順方向角度よりも小さい順方向角度範囲内に差し向けられたガス流を示す。従って、ガス流が高い「ピーキング比」を有する場合、ガスを高い空間精度で所望の領域に導き易い(高い照準精度)。よって、「ピーキング比」が高ければ、所望の位置がガス流の広がりに比べて小さい場合、その所望の位置において同じガス濃度を得るのに要する総ガス流量を、「ピーキング比」が高い分だけ少なくすることができる。総ガス流量の低減は、荷電粒子ビームの周囲の領域に一層良好な真空度を維持するのに役立つ。
高い「ピーキング比」でのガス注入は、更に、ビーム光学系におけるアーク放電を抑止する。低減されたガス流が、ビーム光学系の電極または磁石領域へのガスの拡散を低減するからである。ビーム光学系におけるガスは火花を発生させて電極や磁石を損傷することがある。
本発明に従うガス供給システムは、管又は孔からなる少なくとも10本のガス通路を有するため、高「ピーキング比」を可能にする。この概念は、総内断面積Aと分配圧とが同じであれば、管又は孔の数が多いほど、ガスのガス粒子とガス粒子との衝突(ガス対ガス衝突)の割合の方が、ガス粒子のガス通路の壁との衝突(ガス対壁衝突)の割合よりも低くなるという発見に基づいている。例えば、内断面積Aの一本の管に代えて、互いに平行に配置されて前述の総内断面積Aに等しい合計の内断面積になる、それより小型の多数の管又は孔を使用すると、ガス対ガス衝突の割合は減少する。ガス対壁衝突では一般にガス粒子の運動は管に沿った方向のままに保たれるのに対して、ガス対ガス衝突ではガス粒子の運動方向がランダムになるので、ガス対ガス衝突率は、低い方が「ピーキング比」を上昇させる。
ガス通路の内断面積Aとは、ガスが流通し得るガス通路の内断面をいう。総内断面積Aとは、ガスを荷電粒子ビームに向けて導く全てのガス通路の断面積Aの総和をいう。ガスを荷電粒子ビームに導くのに一本のガス通路だけがある場合、総内断面積ATは内断面積Aに等しい。ガス通路の内断面積Aがその長軸線に沿って変化する場合は、内断面積は、好ましくは管の出口における内断面積を意味する。
本発明に従う荷電粒子ビーム装置は、試料を検査するために荷電粒子ビームを利用するものであれば、どのような荷電粒子ビーム装置であってもよい。例えば、試料に当てた荷電粒子ビームにより生じた二次粒子を検出するための検出装置を利用する、二次電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)、その他の荷電粒子ビーム装置などの電子顕微鏡であってよい。更に、本発明に従う荷電粒子ビーム装置は、電子ビーム又はイオンビームにより試料にパターンを生成するパターン生成装置であってもよい。
試料には、高い空間解像度で検査または処理することを予定された全ての有形物が含まれる。空間解像度は、サブミクロンレンジの構造を解像するのに十分な高い解像度であるのが好ましい。特に、試料は、半導体ウエーハ、集積回路装置、マイクロメカニカル装置、データ記憶装置、或いは、生体組織であり得る。
本発明に従う荷電粒子ビーム装置は荷電粒子ビームを生成する荷電粒子ビーム源を更に備えている。好ましくは、荷電粒子ビームは、イオンビームに比べて発生させるのが容易な電子ビームである。或いは、一般に空間解像度がより高く、試料による吸収がより良好なイオンビームであってもよい。荷電粒子ビーム源は、荷電粒子流、すなわち、電子流またはイオン流を真空中に放射することができるものであれば、どのような装置であってもよい。検査を目的とする場合、荷電粒子ビーム流は、試料の種類と必要な空間解像度に応じて、1pAから100nAまでの範囲にあるのが好ましい。
電子ビームのための好ましい荷電粒子ビーム源としては、例えばタングステンヘアピン放射器または六硼化ランタン電子銃のような熱電子銃と、電界放射電子銃がある。このような荷電粒子ビーム源は当業者に知られており、多くの異なる応用分野で十分に試験済みである。しかし、本発明は荷電粒子ビーム源の選択に依存しないので、前述以外のタイプの荷電粒子ビーム源、例えば、イオンビーム源または電子電界エミッタアレイなども同様に本発明の範囲に含まれる。
本発明に従う荷電粒子ビーム装置は、荷電粒子ビームを試料に導くビーム光学系を更に備えている。ビーム光学系は、荷電粒子ビーム試料上の或る位置に導くため、及び/又は、試料上に荷電粒子ビームを集束させるために、好ましくは、荷電粒子ビーム源から放射された荷電粒子を加速するための電極および磁石を備える。具体的には、ビーム光学系は、荷電粒子ビームを所望のエネルギーまで加速するアノードと、荷電粒子ビームの開口(opening)角度を制限する開口と、荷電粒子ビームの小さなクロスオーバーを発生させるコンデンサと、試料の多様な位置にわたって荷電粒子ビームを走査する偏向器と、及び/又は、荷電粒子ビームを試料上に集束させる終段フォーカスレンズ(対物レンズ)とを備えているのが好ましい。
荷電粒子ビームが試料に衝突すると、通常、試料の過剰電荷が増大し、その結果、試料の電位が変化する(「帯電する」)。試料の電位変化は、荷電粒子ビーム装置の入射荷電粒子ビームと空間解像度とに悪影響を及ぼすことがある。従って、一般的に、検査又は処理中に試料の帯電を最小限にすることが求められる。しかし、帯電を最小限に抑えるには、試料から過剰電荷を放散させる手段を設けることが必要である。
本発明の一つの好ましい実施例では、本発明に従う荷電粒子ビーム装置は、試料から電荷を除去するガス供給システムを備えている。この場合、ガスは荷電粒子ビームの中に差し向けられるのが好ましい。ガスが荷電粒子ビームと交差すると、ガスは一部または全部がイオン化される。イオン化ガスが試料に到達すると、試料の電荷の少なくとも幾分かを回収することができ、試料の電荷除去を行う。同様に、ガスが試料に当てられると、中性ガスの一部が、試料の電荷除去を行うべく試料から電荷を取り去ることができる。
1本の管で同じガス供給能力を有しているガス供給システムの「ピーキング比」と比較して「ピーキング比」を上昇させるために、本発明に従うガス供給システムは、管又は孔からなる少なくとも10本のガス通路を備えている。上昇した「ピーキング比」は、荷電粒子ビームの中にガスを集束させるための照準精度を向上させる。これにより、試料からの同じ電荷除去能力を達成するのに必要な総ガス流量を減少させることができる。
少なくとも10本の管は、好ましくは、互いに並列に接続される。「並列に接続されている」という用語は、「並列に接続された」電気的構成要素から成る電気回路を記述する用語に相当する。「並列に接続されている」とは、ガス流が少なくとも10本の管のうちの1本を通過できることを意味する。換言すると、管が「並列に接続されている」場合には、ガス流は少なくとも10本の管に分配される。少なくとも10本の管を並列に接続させることで、同じ総ガス流量に対するガス圧(分配圧)を低くすることができる。複数の管で分配圧が低いことは、「ピーキング比」を上昇させるのに役立つ。
ガス供給システムのガスは、好ましくは、入口を通ってガス通路に入り、ガス通路の出口を通ってガス通路から出る。好ましくは、ガスはガス通路の出口を出て、荷電粒子ビームの真空中に入る。好ましくは、ガス通路の入口は、ガスが分配圧チャンバーからガス通路に入る地点に位置にする。ガス通路が分配圧チャンバーに接続されていない場合は、ガス通路の入口は、ガス通路の内壁が少なくとも10本のガス通路のうちの別の1本のガス通路の内壁と接続されている地点に位置するのが好ましい。少なくとも10本のガス通路のうちの1本のガス通路の長さLは、そのガス通路の出口とそのガス通路の入口との間の長さとして定義するのが好ましい。
これら複数のガス通路において、各ガス通路の内断面積のガス通路の長さ方向の変動は、ガス通路の出口における内断面積Aと比較した場合、好ましくは64倍より小さく、より好ましくは16倍又は4倍よりも小さく、更に好ましくは2倍よりも小さい。別の好ましい実施例では、各ガス通路の内断面積の変動量は10%よりも少ない。ガス通路の内断面積Aは、ガスの流通を許容するガス通路の断面として定義される。少なくとも10本のガス通路の、各ガス通路の長手方向の通路軸線は、それぞれ直線であり、ガス通路の「向こうまで見通す」ことができるのが好ましい。
ガス供給システムは、少なくとも10本のガス通路のそれぞれの入口と出口との圧力差によって荷電粒子ビーム中にガスを注入するのが好ましい。荷電粒子ビームの周囲の真空内にガスを注入するために、少なくとも10本のガス通路の入口における圧力は、少なくとも10本のガス通路の出口における圧力よりも高いのが好ましい。ガス通路の入口における圧力は「分配圧」とも呼ばれる。分配圧を、ガス通路から荷電粒子ビーム装置の真空内に分配されるガス流を制御するために利用できるからである。
分配圧が小さいほど、ガスの自由行程長λが増大するので、所与の数のガス通路はガスに対して透明度を増す。より正確には、自由行程長λがガス通路の直径および長さよりも相当に大きい場合は、管又は孔からなるガス通路内部のガスは「分子ガス領域」のガスのように挙動する。この場合、Dを各ガス通路の固有直径とすると、「ピーキング比」は3/4(L/D)以上の範囲にある(ガス通路の固有直径Dは、ガス通路の内断面積Aの輪郭に最も適合する楕円の2つの直径のうちの短い方であり、例えば、円形の内断面領域を有するガス通路については、固有直径Dは円の直径に等しく、楕円形の内断面領域を有するガス通路については、固有直径Dは楕円の短い方の軸線である)。
自由行程長λがガス通路の長さより短くガス通路の直径より長い場合は、ガス通路内部のガスは「不透明領域」にあるガスのように振舞う。この領域では、「ピーキング比」は、自由行程長λが減少するにつれて、ほぼ1まで減少する。自由行程長λがガス通路の直径よりも短くなると、ガス通路内部のガスは、「「ピーキング比」は1である層領域」にあると言われる。最後に、自由行程長λが更に短くなると、ガスは乱れた挙動を示す(「乱領域」)。
従って、ガスの自由行程長が長いほど、「ピーキング比」は大きくなる。「ピーキング比」が大きい場合、試料の電荷除去に必要な総ガス流量は低減することができ、これによって、分配圧を更に低くすることができる。正常動作の間は、分配圧は好ましくは10mbar未満である。更に好ましくは、1mbar未満、一層好ましくは、0.1mbar未満である。「正常動作」とは、荷電粒子ビームがオンに切替えられ、ガス供給システムがガスを試料との相互作用のための所望所望領域に導くために使用される、荷電粒子ビーム装置の標準動作をいう。
複数のガス通路の入口は全てが同じ分配圧にあるのが好ましい。そうすると、複数のガス通路は単一の分配圧チャンバーに接続することができ、複数のガス通路の取付けと、総ガス流量の制御が容易になる。
荷電粒子ビーム装置は、ガス供給システムがオフされた状態で、荷電粒子ビームの領域に、1×10−3mbar未満、好ましくは1×10−4mbar未満の圧力で真空を提供するのが好ましい。荷電粒子ビーム付近の圧力が低いほど、真空中における荷電粒子と残留ガスとの衝突率は低くなる。より高い圧力では、残留ガスは荷電粒子ビームの幅を広げ、荷電粒子ビーム装置の空間解像度の性能を劣化させる。前述の真空は少なくとも10本のガス通路の出口と荷電粒子ビームとの間の領域に設けられるのが好ましい。
ガス供給システムは、ガスを荷電粒子ビーム中に導くために、100本超、好ましくは1,000本超、更に好ましくは10,000本超の複数の管又は孔からなるガス通路を備えるのが好ましい。ガス通路の所与の内断面総面積Aに対するガス通路の本数が多いほど、ガス対壁衝突率と比較して、ガス対ガス衝突率が低くなり、従って、「ピーキング比」が一層高くなる。所与の内断面総面積Aに対するガス通路の本数は、少なくとも、ガス対ガス衝突率を、ガス通路内のガスの自由行程長が各ガス通路の固有直径Dよりも長くなる点まで低下させるのに十分な数にするのが好ましい。
所与の内断面総面積Aに対するガス通路の本数は、少なくとも、ガス通路内のガスの自由行程長を、ガスの自由行程長がガス通路の長さLよりも長くなる点まで短くするのに十分な数にするのが更に好ましい。この場合、「ピーキング比」は基本的にガス通路の長さLとガス通路の直径Dとにより、すなわち、3/4(L/D)によって与えられる。かかる条件では、ガス流は「分子流」と呼ばれる。この場合、ガスは、ガス対ガス衝突またはガス対壁衝突がほとんど発生しない状態でガス通路を通過し、特に小さい進行角度内にガスを集束させることができる。
ガス通路の数の上限は、ガス通路の最小内断面積Aによって決まる。ガス通路の内断面積が減少すれば、ガス通路の導通度が低下する。これは、ガス供給システムが十分な総ガス流量を供給するには、分配圧を増大しなければならないことを意味する。しかし、或る点で、増大する分配圧は「ピーキング比」を減じる。
ガス通路の本数の別の観点からの上限は、より高い「ピーキング比」を達成するには、ガス通路が十分に真っ直ぐでなければならないことに依存する。「十分に真っ直ぐ」とは、ガス粒子がガス通路を通過する際にガス通路の壁と衝突することなく直線的に通過できる程度に真っ直ぐでなければならないという要件をいう。しかし、十分な長さLと約1μmよりも短い直径Dを有し、且つ、ガス粒子を壁に衝突させずに通過させることができるガス通路を製造するのは、技術的に困難である。そこで、ガス通路の密度は10l/cmよりも小さいのが好ましい。
複数のガス通路の各々の内断面の面積Aは、好ましくは50,000μm未満、より好ましくは1,000μm未満、更に好ましくは、10μm未満である。内断面とは、ガスが通過することのできるガス通路の断面をいう。断面積が小さいほど、ガス供給システムは、ガス通路を「分子ガス」モード、すなわち、ガス通路内の所与の圧力のガスの自由行程長λがガス通路の固有直径Dよりも長くなるモードで動作させ易くなる。
ガス通路の各々の長さLは、ガス通路の内断面積Aの平方根の、好ましくは10倍より、より好ましくは50倍より、更に好ましくは100倍より長い。それぞれのガス通路の内断面積Aに対する長さが長いほど、達成可能な「ピーキング比」が高くなる。ガス通路の断面が円形である場合は、各ガス通路の長さLは、ガス通路の内断面の直径の、好ましくは10倍より、より好ましくは50倍より、更に好ましくは100倍よりも長い。
複数の管(ガス通路)の入口は、分配圧チャンバーの内部に位置するのが好ましい。分配圧チャンバーは、好ましくはガスを管に供給する。分配圧チャンバー内のガスは、好ましくは、各管がガスを荷電粒子ビーム中に導くことができる分配圧に保持される。分配圧は、好ましくは圧力制御ユニットにより制御される。分配圧チャンバーは、好ましくは、分配圧チャンバーがガスを受取るガス供給ユニットに接続される。これにより、分配圧チャンバーは、長期の運転時間にわたってガスの供給を受けることができる。圧力制御ユニットは、ガス供給ユニットから送られてくるガスの圧力を、管中に所望のガス流を生成するのに必要な分配圧に調節するのが好ましい。分配圧チャンバーは、好ましくは、ガスが同容器に流入する圧力制御ユニットの位置にチャンバー入口を、ガスが同容器を出る管の位置にチャンバー出口を有する、ガス保持容器である。分配圧チャンバーの容積は、好ましくは、管入口と圧力制御ユニットとの間の分配圧チャンバー内のガス体積として定義される。分配圧チャンバーの容積は、容器に接続されている管の総容積よりの、好ましくは5倍、より好ましくは10倍、更に好ましくは100倍である。これによって、分配圧チャンバーは管の全ての入口に亘って一定の分配圧を提供することができる。
複数の管(ガス通路)の入口は、共通の分配圧チャンバー内に位置するのが好ましい。これにより、少なくとも10本の管のガス供給システムへの取付けが容易になる。このようにして、各管の入口を同じ分配圧に望ませることができ、管の形が同じならば、それぞれの管を通るガスの流動を容易にすることができる。管の入口とは、ガスが分配圧チャンバーから管へ入る、管の開口である。
管又は孔からなる少なくとも10本のガス通路は、本質的に互いに平行に配列されるのが好ましい。更に好ましくは、複数の管は束ねて配置される。束ねた管とは、基本的に互いに平行に(好ましくは10°度未満、より好ましくは1°未満の偏差)配列されている複数の管であって、束ねられることによって、機械的に個々の管よりも剛性の大きい構造を形成している複数の管をいう。更に、管を束ねることは、限られた空間内に多数の管を詰め込むことを可能にする。管の長手方向の軸線は、長手方向の投影で互いに重なるのが好ましい。
本発明の別の好ましい実施例では、ガスをより厳密に共通点または共通軸線上に集束させるために、管は互いに平行ではなく、互いに関して傾斜している。この共通点または共通軸線は、荷電粒子ビーム装置の動作時に粒子ビームが通る軌跡上の位置であるのが好ましい。
本発明の一つの好ましい実施例では、管の束は、それぞれのガス通路が前面から後面まで貫通するプレートを形成するように、共に平行に糊付けされた多数のガス通路から成る。この場合、ガス通路入口はプレートの前面側に位置し、ガス通路出口はプレートの後面側に位置する。このようなガス通路配列によって、機械的に剛性に富むシステムを構成することができる。
レートの後面側のガス通路出口の密度は、好ましくは10l/cmから10l/cmの範囲、より好ましくは10l/cmから10l/cmの範囲である。ガス通路密度を高くすることによって、ビームが試料に衝突する領域における荷電粒子ビームの軌跡に近接して多数のガス通路出口を配置させることができる。他方で、ガス通路密度の上限は、ガス通路の内断面として、十分な導通度を保証できる大きさを確保するためである。
正常動作中、各々の管又は孔からなるガス通路の出口におけるガスの自由行程長λは、ガス通路の固有直径Dよりも、より好ましくはガス通路の長さLの1/10を越える値だけ、更に好ましくはガス通路の長さLを越える値だけ長いのが好ましい。ガス対ガス衝突の数がガス通路内部のガス輸送を支配するのではないから、自由行程長λが長いほど、ガスはより良好に小さい角度内に集束される。
正常動作中、各々の管又は孔からなるガス通路の出口におけるガスの「ピーキング比」は、2よりも、より好ましくは5又は10よりも、更に好ましくは50よりも大きいの好ましい。「ピーキング比」が高いと、ガスがガス通路の出口を出るときの放射角度を小さくすることができる。放射角度が小さいと、ガスを高い空間精度で荷電粒子ビーム中に導くことができ、これによって、電荷除去に必要なガス流を低減することができる。
ビーム光学系は、荷電粒子ビームを試料上に集束させる終段フォーカスレンズを含むのが好ましい。終段フォーカスレンズは、試料を処理又は検査するための高い空間解像度を提供するために、荷電粒子ビームを試料上の小さなスポット寸法に集束させる機能を有する。好ましくは、終段フォーカスレンズは、ビーム光学系中、試料に最も近接する機械的構成要素である。
管又は孔からなる少なくとも10本のガス通路の各々の出口と終段フォーカスレンズの光軸との間の距離は、好ましくは、50mmよりも、より好ましくは10mmよりも、更に好ましくは5mmよりも短い。光軸とガス通路の出口との間の距離が短いほど、出口から荷電粒子ビーム中に向かう途上のガスの拡散が少ない。このようにして、イオン化効率、すなわち、真空中に注入されるガスの総量に対する、荷電粒子ビーム中でイオン化されるガスの割合を改善することができる。
正常動作中、複数のガス通路が終段フォーカスレンズと試料表面との間の領域内に荷電粒子ビーム中にガスを導くのが好ましい。この領域は、入射領域、すなわち、荷電粒子ビームが試料に衝突する領域をも含む。ガスと荷電粒子ビームとの相互作用を、試料に非常に接近した位置で行わせることによって、荷電粒子ビームの広がりを低レベルに維持する。更に、試料に非常に接近している荷電粒子ビーム中でイオン化されたガスの多くが、試料の表面に達して、試料のエッチング、或いは、試料からの電荷除去を行う。
複数のガス通路は、ガスを試料に向けて導くために、好ましくは、終段フォーカスレンズの光軸に関して、60°未満、より好ましくは40°未満、更に好ましくは20°未満の角度αで配置されるのが好ましい。角度αが小さいほど、ガスビームの荷電粒子ビームとの交差体積を大きくすることができる。交差体積が大きいと、イオン化効率を向上させることができる。更に、角度αが小さいと、ガスは、少なくとも10本のガス通路の出口を出て試料の方に向かう。これら両方の要因とも、試料表面にイオン化ガス粒子が到達して試料と相互作用する割合を増大させるのに役立つ。
ビーム光学系は、好ましくは、イオン化ガスを試料に向けて加速させる電界を発生させるための基準電極を含む。これによって、試料の電荷除去効率を一層向上させることができる。試料に衝突する直前に荷電粒子ビームの速度を低下させるための減速電極を備えた荷電粒子ビーム装置については、基準電極と減速電極とは、一つのユニットであるのが好ましい。なぜならば、試料に向かう途上の電子を減速させる電極は、同時に、荷電粒子ビーム中でのガス対電子衝突によって電子を失ったガス原子を加速するからである。更に、ビーム光学系を介する輸送中に荷電粒子ビームを高エネルギーに加速するために複数の高電圧ビームコラムを利用した荷電粒子ビーム装置では、高電圧ビームコラムと、減速電極と、基準電極とが一つの電極を形成するように組み合わされるのが好ましい。
本発明の或る好ましい実施例では、ガスを異なる方向から荷電粒子ビーム上に差し向けるために、荷電粒子ビームが移動する軌道の軸線の周囲に管又は孔からなる少なくとも10本のガス通路が配置される。このようにすると、集束されたガスビームの重なり合いを最小限に抑えつつ、かなり多数のガス通路を互いに平行に配置することができる。ガスビームの重なり合うと、ガスビームの集束ずれの原因となるガス粒子の高い衝突率を生じさせることになる。
また別な好ましい実施例では、複数のガス通路(孔)は、少なくとも2枚のプレート、より好ましくは少なくとも3枚のプレートからなる。数枚のプレートにより、ガスを異なる方向から導くことができる。数枚のプレートを利用することによって、(a)高いガス通路密度による性能を活用するためにプレートを用いることと、(b)荷電粒子ビームの軌跡にガスを集束させるために最適な角度位置に各プレートを配設することの自由度との間の、良好な折衷が可能になる。
複数のプレートは、終段フォーカスレンズの光軸を同軸に包囲するように、円形の線上に放射方向に配置されるのが好ましい。この配置によって、ガスを荷電粒子ビームに向けて導くように各ガス通路を配向させたうえで、多数のプレートを荷電粒子ビームの付近に設置することができる。ガス通路の所与の内断面総面積Aに対するガス通路の本数が多いほど、ガス通路がガスに対して「透明である」と思われる分配圧(「高「ピーキング比」」)でガス供給システムを動作させるのが容易になる。これにより、ガス流量を低減しつつ、所望の領域内、例えば、荷電粒子ビーム内で、試料から効率よく電荷を除去するための最小限のガス圧の要求を満たすことができる。
更に好ましくは、複数のプレートは、終段フォーカスレンズの光軸を同軸に包囲するように、半円径の線上に放射方向に配置される。これにより、半円形領域に対向する空間が自由空間として残されるので、注入ガスは、荷電粒子ビームを通過した後、相互作用領域から流出できる。荷電粒子ビームを通過したガスの除去は、真空中のガスの量を最小限にするために重要である。更に、プレートの半円形配置には、自由空間として残された半円形領域の向かいの空間が、例えば試料の交換の際に、ビーム光学系を傾けることによって、試料と終段フォーカスレンズとの間の領域にアクセスすることができるという利点がある。
ガスは、管又は孔からなる少なくとも10本のガス通路を通過している時には、中性ガスであるのが好ましい。これにより、ガスは、付近の電界や磁界の影響を受けずに、荷電粒子ビームの向けて導かれる。更に、ガスが荷電粒子ビーム中を通過した後は、帯電した試料がイオン化ガス粒子を引き寄せるので、ガスのイオン化粒子は中性ガス粒子から分離される。そこで、真空レベルを高く維持するために中性ガス粒子はガスポンプによって容易に除去することができ、一方、イオン化ガス粒子は試料に向かって漂流して試料表面から電荷を除去する。
中性ガスは、Nか、He、Ne、Ar、Kr、Xe、または、CHなどの不活性ガスか、或いは、これらのガスの混合であるのが好ましい。ガスは、ガスのイオン化能力、試料および荷電粒子ビーム装置との化学的適合性及びコストに依存して選択される。荷電粒子ビームとの相互作用中、より高いガスイオン化レベルを達成するために、イオン化能力の低いガスを選ぶのが好ましい。
管又は孔からなる少なくとも10本のガス通路は、試料の付近に設置されるのが好ましい。更に好ましくは、少なくとも10本のガス通路は、荷電粒子ビームが試料に衝突するスポットの付近に設置される。これによって、ガスビームの広がりを最小限にするために、少なくとも10本のガス通路から試料まで、ガスが移動すべき距離を小さくすることができる。料が荷電粒子ビームと相互作用する点とガス通路の出口との間の距離は、ガス通路の長さの10倍未満、より好ましくはガス通路の長さの2倍未満であるのが好ましい。
本発明の上述の観点および他の詳細な局面の幾つかを図面を参照しつつ以下の記載で説明する。
図1は本発明に従う荷電粒子ビーム装置の一例を模式的に示す。この実施例では、荷電粒子ビーム装置は、試料3の検査中に試料から電荷を除去するためにガス供給システム10が使用される、走査型電子顕微鏡(SEM)であり、ここで、試料は半導体ウエーハ3である。しかし、荷電粒子ビーム7が試料3に衝突する領域で試料をエッチングするためにも、或いは、荷電粒子ビーム7が試料3に衝突する領域でガスのガス原子を蓄積させるためにも、ガス供給システム10が利用可能である点で、この具体例は非制限的である。
図1のSEM(走査型電子顕微鏡)は、ガス供給システム10を除き、物理学研究A363(1995年刊)25頁から30頁の「核計測器とその方法」に掲載されたジェイ・フロージエンおよびエイチ・ピー・フォイエルバウム共著の『大型基板の絶対CD測定のための高精度電子光学系』("High Precision Electron Optical System for Absolute and CD-measurements on Large Substrates," by J. Frosien, S. Lanio and H.P. Feuerbaum, Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A 363 (1995))という題名の論稿に、より詳細に記載されている。図1のSEM1は荷電粒子ビーム源5により荷電粒子ビームを発生させるものとして図示されている。この実施例では、ビーム源は、タングステン熱電子フィラメントを備えたトライオードガン等の電子銃か、或いは、六硼化ランタンまたは六硼化セリウムなどのより明るいエミッタである。別なオプションとしては、例えば、先端とエキストラクタ電極(図示せず)との間の電界によって電子放射が開始される熱電界放射(ZrO/W)エミッタや、他の種々の電界放射ガンがある。
電子銃5は荷電粒子ビーム7を生成する。この実施例では、荷電粒子ビームは電子ビームである。電子ビーム7は、アノード54により約10keVのエネルギーまで加速され、高電圧ビームコラム56を介して試料3に向けて案内される。高電圧ビームコラム56は、電子ビーム7を、終段フォーカスレンズ18で減速されるまで、高エネルギーに維持する機能を有する。電子ビームがビーム光学系16を通過する間の高エネルギーは、通過中の電子ビーム7の妨げになる電界による拡散や分散を最小限に抑えるのに役立つ。
図1のビーム光学系16は、上述の構成要素に加えて、集光器58と、電子ビーム7を試料3上に集束させる終段フォーカスレンズ18とを含む。この実施例の終段フォーカスレンズ18は、終段フォーカス磁石コイル64によって生成された磁界と、試料3と高電圧ビームコラム56との間の電圧によって生成された電界との組み合わせにより、電子ビームを集束させる。高電圧ビームコラム56は、電子ビーム7を試料3まで輸送するための電界自由領域を提供するために、アノードに電気的に接続されている。終段フォーカスレンズ18と試料13との間の領域においては、電子ビーム7は、試料が検査されることになる所望の中間エネルギーまで減速される。図面を簡潔にするために、図1は、ビーム光学系16を、通常は実装されるSEMの構成要素のうち、幾つかだけを含むように図示している。例えば、同図は、電子ビームで試料3を走査するのに必要なアパーチュアや偏向器を図示していない。しかし、SEMの構成要素の詳細なリストはSEMの適用例次第であり、どの構成要素をSEMに実装するべきかは、当業者が決定しなければならない。
SEM1は、電子ビーム7が試料3上に発生させる二次粒子62を検出するための検出器60を更に備えている。検出器60で検出される信号は、電子ビームが走査した試料の領域の画像を再構築する働きがある。この実施例では、検出器60は、90°の角度でほぼ後方散乱される二次粒子を高比率で検出することができるように、電子ビーム7の経路を近接して包囲している。これは、二次粒子62を通過させて検出器60に到達可能にする終段フォーカスレンズの設計によってのみ可能になる。
終段フォーカスレンズ18と試料3との間の領域の電子ビームのための真空38を提供する真空チャンバーを図1には図示していない。しかし、真空チャンバーは真空ポンプと共同して、終段フォーカスレンズ18と試料3との間の領域に、10−3mbarよりも良好で、且つ、好ましくは10−4mbar未満の真空38を提供することができる。
図1は、更に、ガス供給ユニット11、ガスパイプ69、ガス供給ユニット11内部の圧力を分配圧チャンバー13内の所望の分配圧まで低下させる圧力制御ユニット70、および、少なくとも10本の管14から構成された複数の管15を備えたガス供給システム10の一例を示している。図1の分配圧チャンバー13は、圧力制御装置70と複数の管15の入口との間のチャンバーである。一つの好ましい実施例では、全部の管14に亘って一定の分配圧を提供するために、分配圧チャンバー13のガス体積は、複数の管15の総容積の10倍の大きさである。また、各管は同じ固有直径Dを有し、その変動幅は10%以内であるのが好ましい。
図1で、ガスパイプ69は、ガス12をガス供給ユニット11から圧力制御ユニット70へ輸送し、圧力制御ユニット70は、少なくとも10本の管15を介して所要の総ガス流量を搬送するのに必要な所望の分配圧を供給する。
複数の管15を通る所要の総ガス流量は、例えば以下のような多数の要因で決まる。
(a)試料3の表面材料。表面材料が、衝突する電子ビーム7によって試料3がどの程度に帯電するかを左右するからである。試料の帯電が高いほど、高速の電荷除去の必要性が高くなる。
(b)試料3を帯電させる電子ビーム7の流れ。
(c)対物レンズ18と試料3との間の領域の形状。この領域の形状が、周囲の真空38によって注入ガス12が如何に早く除去されるかを左右するからである。周囲の真空により対物レンズ18と試料3との間の領域からガスを除去する効率は、導通度の値により特定することができる。
(d)所望の領域、すなわち、荷電粒子ビームまたは入射領域に、どれだけ正確にガスを差し向けることができるかを決める「ピーキング比」。
図2aおよび図2bは、図1のSEM1の終段フォーカスレンズ18と試料3との間の領域の2つの断面をより詳細に示す概略図である。図2aは、対物レンズ18と試料3との間の終段フォーカスレンズ18の光軸52に直交する平面における断面を表している。図2bは、対物レンズ52と試料3との間の光軸52に沿った同装置の断面を表している。図2aと図2bの幾何学的パラメータは、説明を目的とした一例であり、本発明の範囲を限定するものではない。図2aと図2bにおいて、光軸52は荷電粒子ビーム7の経路と同一である。
図2bは、管プレート22を有する分配圧チャンバー13の断面を示す。この管プレート22のそれぞれの管は、荷電粒子ビーム7が試料3と相互作用する領域に近接して、荷電粒子ビーム7に向けて配向されている。この領域を「所望の領域68」と呼ぶ。所望の領域68は、真空チャンバーの全圧を低く維持しつつ、高い電荷除去効率を達成するためにガス供給システムにより局所的にガス圧を上昇させるべき領域である。所望の領域68は、荷電粒子ビーム7が試料3に衝突する領域の、試料3の表面と終段フォーカスレンズ18(図2b)の円形の下端18aとの間に位置する。
図2bの終段フォーカスレンズ18の円形の下端18aは終段フォーカスレンズ18の光軸52の周囲に同軸に整列している。終段フォーカスレンズ18の下端18aと試料3との間の距離(すなわち、作用距離)は、典型的には1mm乃至2mmであり、好ましくは1.4mmである。この領域におけるガス導通性を増大させるために、すなわち、電荷除去中に真空内のガスの量を低減するために、終段フォーカスレンズ18の下端18aの直径は小さくされている。試料の付近の所望の領域68と真空ポンプとの間のガス導通性は、典型的には、50リットル/秒乃至200リットル/秒の範囲である。
管プレート22のそれぞれの管は、光軸52に関して約55°の角度αに配向されている。90°よりも小さい角度αでは、ガスは荷電粒子ビームとの間で大きな交差体積を有することになり、イオン化効率が高くなる。図2aおよび図2bは、管プレート22の個々の管は例示していない。この縮尺率では個々の管は小さすぎて描写できないからである。
図2aおよび図2bの装置で使用されている一つの管プレート22が、図3aに例示されている。図3aの管プレート22は、円形の前面24と円形の後面26とを備えている。この例における前面24と後面26の径はいずれも1.5mmである。管プレート22の厚さ、すなわち管14の長さは、4mmである。この例では、管プレート22は5,000本の管から構成されている。管14はそれぞれ、典型的には15μmの(固有)直径Dを有する。管14は基本的に互いに平行に配列されている。しかし、ガス12を細い電子ビーム7に一層良好に差し向けるために、管14を所与の角度で整列させることができる。管プレート22の更なる詳細は、後に説明する。
管プレート22と分配圧チャンバー13のソケットとの間のチャネルで真空38にガスが漏れるのを防止するために、管プレート22は更に気密に封止され、分配圧チャンバー13に糊付けされる。糊付けの最中に管の入口または出口が糊で詰まるのを防止するために、管プレート22は、管プレート22の入口または出口から或る距離を隔てた分配圧チャンバーのソケット13に糊付けされるのが好ましい。糊は真空適合性を有する必要がある。
管の本数を更に増やすために、SEM1は、分配圧チャンバー13に一体化された3枚の管プレート22を有する(図2a参照)。3枚の管プレート22は、3箇所の異なる位置からガスを供給して試料3から電荷を除去するために、終段フォーカスレンズ18の光軸52の周囲に円形に配置されている。図2aの3枚の管プレート22の間の角度は60°である。従って、3枚の管プレートは、全部で120°の角度をカバーしている。管プレートの120°に亘る配置は、円周全体に配置した例と比べて有利である。これは、120°に亘る配置によって、差し向けられたガスが電子ビームを通過してから試料と対物レンズとの間の領域から容易に流出できる空間が残されるからである。換言すれば、管プレートの120°に亘る配置が、対物レンズ18と試料3との間の領域に高い導通値を提供するからである。
図2aは、3枚の管プレート22が同一分配圧チャンバー13に接続されていることを更に示している。この場合、管プレート22の前面24は、分配圧チャンバー13によって供給される同一分配圧に臨ませられる。これにより、3つの管要素(管プレート)22とそれぞれの管の形状が同じであれば、これらの管プレートから同じガス流を得ることができる。一つの好ましい実施形態では、ガスの負荷とは無関係に安定した分配圧を得るために、分配圧チャンバー13の容積は、全ての管14を合計した容積の好ましくは5倍、より好ましくは10倍の大きさであることが好ましい。
図2aおよび図2bは、分配圧チャンバー13にガスを搬送するガス供給ユニット11と、分配圧チャンバー13で分配圧を調節する圧力制御ユニット70を示していない。しかし、分配圧チャンバー13にどのようにガス供給ユニット11を接続するかは、当業者は容易に理解するであろう。また、所望量のガス12を荷電粒子ビーム7に当てるために、ガス供給ユニット11の圧力を分配圧チャンバー13の所望の分配圧までどのように低下させればよいか、例えば、圧力制御ユニット70が圧力を機械的に低下させる単純な圧力低下弁であってもよいことを、当業者は容易に理解するであろう。しかし、圧力制御ユニット70は、例えば、分配圧を電子ビームの強度に従って動的に調節するような、電子制御式の装置であってもよい。電子制御式圧力制御ユニット70の場合、ガス流を拍動させるために、ガス供給ユニットと分配圧チャンバーとの間の接続を高速で開閉することができる。
図3aは図2aおよび図2bの円形の管プレート22をより詳細に示す模式図である。管プレート22は、4mmの管プレート厚み27と、1.5mmの管プレート直径28を有する。管プレート22は、4mmの管厚さ27に対応する管長Lを有する約5,000本の管から構成されている。それぞれの管の固有内径Dは、典型的には15μmである。固有内径Dは、管32の出口の内断面積Aに関連しており、従って、管プレート22の内断面総面積Aは約0.9×10μmである。
管14は、長手方向軸線に沿って一定の断面内径Dを有し、その変動量は1%以内であるのが好ましい。管壁の厚さは、典型的には開口面積率を50%にするのに十分な程度に薄い。開口面積率は透過率と同義である。典型的には、管14は0.5°の角度範囲で互いに平行に配列されるが、電子ビームに対する管の照準精度を向上させるために適切に規定された何がしかの角度で管を互いに整列させることもできる。
典型的には、管プレート22は、硝子または硝子セラミックから作られた管で構成される。しかし、本発明は、このような材料に限定されない。各管の、所望の小さい断面積Aを得るために、より大きな断面積の管を束ねて加熱し、延伸する。延伸により、管の直径が減少する。束ね、加熱し、延伸するサイクルは、管が所望の直径に達するまで、数回繰り返せばよい。各管が所望の管径になったら、管の束を等しく切断し、所望の束長Lの複数の管の束を得る。次いで、複数の管の束を一緒に平行に糊付けし、図3に例示されているように、所与の本数の管を含む管プレート22を得る。この方法により、典型的には50%の透過率の管プレート22を製造することができる。管プレートの透過率は、管プレートの孔面積の、個々の管の壁の存在により閉鎖された面積に対する比率として定義される。
図3bは別の型の管プレートを示す。この実施例では、管プレート22は、これを貫通するようにエッチングによって所与の直径の孔または細孔39が形成されたシリコンから構成されている。孔39の長さLは、管プレートを作るためのシリコンウエーハの厚さで決まる。ウエーハは、数百μm程度の厚さのものであってよい。孔39の径Dは、穴を生じさせるエッチングパラメータによって決まる。シリコンに孔を開けるためのエッチングは、例えば、米国特許第5,139,624号に記載されている。米国特許第5,139,624号は、20オングストロームから数μmの範囲になるように選択可能な孔径でウエーハを貫く孔を設けることができる、シリコンの電解のエッチングを開示している。
表Iは、ウエーハ3の電荷除去を行うために異なる電荷除去ガス供給システムを利用した2種のSEMシステムの動作パラメータを示している。ガス供給システムAは、100μm(7.8×10μmの内断面総面積Aに対応する)の内径Dと20mmの管長さを有する1本の管だけを備える従来のガス供給システムである。これに対して、ガス供給システムBは、それぞれ5,000本の管で構成される3枚の管プレートを備え、各管が15μm(2.7×10μmの内断面総面積に対応する)の内径Dと4mmの管長さを有する、本発明に従うガス供給システムである。
両SEMシステムとも、終段フォーカスレンズ18と試料3との間の領域は等しく、このことは、これらの領域内のガスの導通度が等しいことを意味する。終段フォーカスレンズ18と試料3の間の領域は、試料と終段フォーカスレンズ18の下端との間の距離が1.4mmであること、及び、終段フォーカスレンズ18の下端18a(図2b)の直径が2mmであることを特徴とする。更に、表Iの全ての動作パラメータ値は、以下の条件に標準化されている。すなわち、a)真空チャンバー内のガス圧が1×10−4mbarである、b)試料の電荷除去を行うために使用されるガスが300Kの窒素である、c)ポンプ出力が真空チャンバー内で150リットル/秒である、という条件である。所与のポンプ出力と真空チャンバー圧は、両ガス供給システムで、15×10−3mbar・リットル/秒の総ガス流量を生じさせることになる。
ガス供給システムAについては、15×10−3mbar・リットル/秒の総ガス流量を供給するために100mbarの分配圧を利用した。この場合、自由行程長λは約0.6μmであり、これは100μmの管の内径Dよりも遥かに短い。すなわち、管内部のガスは、「ピーキング比」が基本的に1である乱流モードで作動されると言うことができる。「ピーキング比」がこのように低い場合は、ビームを荷電粒子ビーム中に差し向ける精度が低く。すなわち、ガスが広角度で管を出るので、試料の部分の圧力は、基本的に、真空チャンバー内の圧力と同じである。
前述の作動パラメータをガス供給システムBの1つと比較すると、多数本の管を備えたガス供給システムの利点がわかる。15×10−3mbar・リットル/秒の同じ総ガス流量の場合、ガス供給システムAよりもガス供給システムBの方が、試料の部分の圧力が10倍高い。真空チャンバーの平均圧力に対する試料部分の圧力の高い比率は、ガスがイオン化されて試料の電荷除去を行う場となる一次荷電粒子に高い空間精度でガスを差し向ける能力を反映している。従って、ガス供給システムBでは、試料〜電荷を除去する効率が向上されている。すなわち、同じ総ガス流量に対する電荷除去能力がより高く、また、その逆に、同じ電荷除去能力を得るための総ガス流量を低減させることができる。
ガスを荷電粒子ビーム中に指向させるための空間精度が高い理由は、ガス供給システムAの場合の「ピーキング比」1と比較して、ガス供給システムBの「ピーキング比」が高いことにある(「ピーキング比」は10)。そして、「ピーキング比」が高い理由は、1mbarの分配圧と管の内径D(D=15μm)とが非常に小さいので、ガスの自由行程長λ(λ=60μm)が管の内径よりも長いことにある。自由行程長λが内径よりも長く、且つ管長Lよりも短い場合には、ガスは不透明モードで作動されると言うことができる。
分配圧を更に低下させると、自由行程長λは更に大きくなり、従って、「ピーキング比」が更に高くなる。分配圧が0.01mbarであるとき、自由行程長λは6,000μmである。6,000μmは、管の直径Dよりも遥かに長く、管の長さLよりも長い。この場合、管は分子モードで作動されると言うことができ、「ピーキング比」は約200であり、これに伴って、一次荷電粒子ビームの中にガスを差し向ける効率が高まる。その結果、管の軸線方向のガス流は、圧力低下に比例して100分の1に低減されるが、「ピーキング比」が更に増大するので、全体のガス負荷は2000分の1に低減される。
Figure 0004023741
本発明に従うガス供給システムを備えた荷電粒子ビーム装置を示す模式図である。 本発明に従う終段フォーカスレンズと試料との間の領域の荷電粒子ビーム装置の2つの互いに直交する断面を示す模式図である。 本発明に従う終段フォーカスレンズと試料との間の領域の荷電粒子ビーム装置の2つの互いに直交する断面を示す模式図である。 本発明に従う管の束から構成された管プレートを示す図である。 本発明に従う、貫通してエッチングされたを有する管プレートを示す図である。
符号の説明
1 荷電粒子ビーム装置(SEM)
3 試料(ウエーハ)
5 荷電粒子ビーム源(電子銃)
7 荷電粒子ビーム
10 ガス供給システム
11 ガス供給ユニット
13 分配圧チャンバー
14 管
15 複数の管
16 ビーム光学系
18 終段フォーカスレンズ
18a 終段フォーカスレンズの下端
20 内断面
22 管プレート
24 管プレートの前面側
26 管プレートの後面側
28 管プレート径
30 自由行程長
32 管出口
34 管入口
36 管入口の圧力
38 管出口の圧力(真空)
39 孔
40 入射領域
52 終段フォーカスレンズの光軸
54 アノード
56 高電圧ビームコラム(基準電極)
58 集光器
60 検出器
62 二次粒子
64 終段フォーカス磁石コイル
66 ビームコラム
68 所望の領域
69 ガスパイプ
70 圧力制御ユニット
L 管の長さ
A 内断面積
管全部を組合わせた内断面総面積
D 管の固有内径
λ 自由行程長

Claims (25)

  1. 試料(3)を検査又は処理する荷電粒子ビーム装置(1)であって、
    (a)荷電粒子ビーム(7)を生成する荷電粒子ビーム源(5)と、
    (b)前記試料(3)に前記荷電粒子ビーム(7)を差し向けるためのビーム光学系(16)と、
    (c)前記荷電粒子ビーム装置(1)にガス(12)を供給するガス供給システム(10)とを含み、
    前記ガス供給システム(10)が、前記ガス(12)を所望の領域(68)に差し向けて前記試料(3)と相互作用させるための、管(14)からなる少なくとも10本のガス通路を有することからなる荷電粒子ビーム装置(1)。
  2. 試料(3)を検査又は処理する荷電粒子ビーム装置(1)であって、
    (a)荷電粒子ビーム(7)を生成する荷電粒子ビーム源(5)と、
    (b)前記試料(3)に前記荷電粒子ビーム(7)を差し向けるためのビーム光学系(16)と、
    (c)前記荷電粒子ビーム装置(1)にガス(12)を供給するガス供給システム(10)とを含み、
    前記ガス供給システム(10)が、前記ガス(12)を所望の領域(68)に差し向けて前記試料(3)と相互作用させるための、管(14)又は孔(39)からなる少なくとも10本のガス通路を有し、該ガス通路は、該ガス通路の内断面積(A)の平方根の10倍よりも長い通路長さ(L)を有することを特徴とする荷電粒子ビーム装置(1)。
  3. 前記ガス通路が前記ガス(12)の動きに直進性を付与する、請求項1又は2に記載の荷電粒子ビーム装置(1)。
  4. 前記ガス通路が管(14)からなり、前記ガス(12)の動きに直進性を付与する、請求項2に記載の荷電粒子ビーム装置。
  5. 前記ガス通路が、鉛直方向に高さを有するプレートを鉛直方向に貫通した孔(39)からなり、前記ガス(12)の動きに直進性を付与する、請求項2に記載の荷電粒子ビーム装置。
  6. 前記ガス供給システム(10)が、前記ガス(12)を差し向ける100超の前記ガス通路を有する、請求項1〜のいずれか一項に記載の荷電粒子ビーム装置(1)。
  7. 前記所望の領域(68)が、前記荷電粒子(7)で占められる容積、及び/又は、前記荷電粒子ビーム(7)が前記試料(3)に衝突する領域である、請求項1〜のいずれか一項に記載の荷電粒子ビーム装置(1)。
  8. 前記荷電粒子ビーム装置(1)が、1×10−3mbarより低い圧力の真空を提供する、請求項1〜のいずれか一項に記載の荷電粒子ビーム装置(1)。
  9. 前記ガス通路の各々の内断面積Aの、該ガス通路の長さLに沿った方向の変動が、該ガス通路の出口(32)における断面積Aの4倍未満である、請求項1〜のいずれか一項に記載の荷電粒子ビーム装置(1)。
  10. 前記ガス通路の各々の出口(32)の内断面積Aが50,000μm未満である、請求項1〜のいずれか一項に記載の荷電粒子ビーム装置(1)。
  11. 前記ガス通路の夫々の入口(34)が分配圧チャンバー(13)内に位置する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の荷電粒子ビーム装置(1)。
  12. 前記ガス通路の夫々の入口(34)が共通の分配圧チャンバー(13)内に位置する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の荷電粒子ビーム装置(1)。
  13. 前記ガス通路が互いに実質的に平行に配列されている、請求項1〜12のいずれか一項に記載の荷電粒子ビーム装置(1)。
  14. 前記ガス通路としての管(14)が、管の束として配列されている、請求項1、2又は4に記載の荷電粒子ビーム装置(1)。
  15. 前記ガス通路の出口(32)の密度が、10(1/cm)乃至10(1/cm)の範囲にある、請求項又は14に記載の荷電粒子ビーム装置。
  16. 正常動作中、前記ガス通路の各々の出口(32)における前記ガス(12)の「ピーキング比」が2よりも大きい、請求項1〜15のいずれか一項に記載の荷電粒子ビーム装置(1)。
  17. 正常動作中、前記ガス通路の入口(36)における圧力が10mbar未満である、請求項1〜16のいずれか一項に記載の荷電粒子ビーム装置。
  18. 前記ビーム光学系(16)が、前記荷電粒子ビーム(7)を前記試料(3)上に集束させる終段フォーカスレンズ(18)を有する、請求項1〜17のいずれか一項に記載の荷電粒子ビーム装置(1)。
  19. 正常動作中、前記ガス通路が、前記終段フォーカスレンズ(18)と前記試料(3)の表面との間の領域にある前記荷電粒子ビーム(7)の中にガス(12)を差し向ける、請求項18に記載の荷電粒子ビーム装置(1)。
  20. 前記ガス通路が、前記ガス(12)を前記試料(3)に差し向けるために、前記終段フォーカスレンズの光軸(52)に関して60°未満の角度αで配列されている、請求項18又は19に記載の荷電粒子ビーム装置(1)。
  21. 前記ビーム光学系(16)が、イオン化した前記ガス(12)を前記試料(3)に向けて加速させる電界を発生するための基準電極(56)を有する、請求項1〜20のいずれか一項に記載の荷電粒子ビーム装置(1)。
  22. 前記プレートが複数である、請求項に記載の荷電粒子ビーム装置(1)。
  23. 前記少なくとも2つの前記プレートが、前記終段フォーカスレンズ(52)の光軸の周囲に半円状に配置されている、請求項22に記載の荷電粒子ビーム装置(1)。
  24. 前記ガス(12)が、前記ガス通路を通過するときに中性ガスである、請求項1〜23のいずれか一項に記載の荷電粒子ビーム装置(1)。
  25. 前記中性ガス(12)が、Nか、He、Ne、Ar、Kr、XeまたはCHのような不活性ガスであるか、或いは、これらのガスの混合である、請求項24に記載の荷電粒子ビーム装置(1)。
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