JP4023353B2 - 車両用三相回転電機用インバータ回路装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハイブリッド車、エコラン車、燃料電池車、電動自転車などに用いられる両用三相回転電機用インバータ回路装置に関し、詳しくはその発電制御に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
特許文献1は、車両用三相回転電機の発電電力を整流する三相全波整流回路(本明細書では三相インバータ回路とも称するものとする)をMOSトランジスタにより構成し、その交流側主電極電圧とバッテリ電圧との間の電位差に基づいてこのMOSトランジスタを断続制御することにより、この三相整流回路のダイオード(MOSトランジスタの寄生ダイオードでもよい)の電力損失を低減するMOS型三相整流回路ことを提案している。
【0003】
しかしながら、上記した従来のMOS型三相整流回路では、オン後のMOSトランジスタのチャンネル電圧降下、すなわち、交流側主電極電圧とバッテリ電圧との間の電位差がたとえば0.1V程度と小さいため、たとえば車両用発電機のような電磁的悪環境下において交流側主電極電圧とバッテリ電圧との間のこの電位差の変化を正確に判定することが容易ではなく、オフを正確なタイミングで実施することが難しいという問題が、その実用化を妨げていた。
【0004】
従来のMOS型三相整流回路の上アーム素子をなすMOSトランジスタを例に具体的に説明すると、交流側主電極電圧がバッテリ電圧より所定しきい値以上高くなると、このMOSトランジスタはオンされるが、オンされた後、このMOSトランジスタの電圧降下は0.1V程度と小さくなってオフしやすくなり、チャッタリングが生じる可能性が考えられる。
【0005】
また、この電圧検出からMOSトランジスタのオン又はオフが終了するまでの回路遅延時間が存在するために高回転領域において、バッテリからモータへの電流逆流現象が生じたり、MOSトランジスタのオンが遅れて出力電流の取り出し能力が低下したり、電流がMOSトランジスタの寄生ダイオードを通じて流れて電力損失が増加するという問題もあった。
【0006】
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、三相全波整流を行う三相回転電機用インバータ回路の動作安定性を確保しつつその電力損失を低減することを、その目的としている。
【0007】
【特許文献1】
特許2959640号公報
【0008】
【課題を解決するための手段】
第一発明をなす請求項1記載の車両用三相回転電機用インバータ回路装置は、車両用三相回転電機の三相電機子巻線と直流電源との間に介設されて少なくとも前記三相電機子巻線の誘起電圧である三つの相電圧を整流して前記直流電源に給電する三相インバータ回路と、前記三相インバータ回路の各スイッチング素子を断続制御する制御回路とを備え、前記三相インバータ回路は、MOSトランジスタからなる上アーム素子又は下アーム素子を有する車両用三相回転電機用インバータ回路装置において、
前記制御回路が、第一の前記相電圧を整流する前記上アーム素子のオンタイミング又はオフタイミングを、前記第一の相電圧とは異なる前記相電圧に基づいて決定することを特徴としている。
【0009】
すなわち、この発明では、従来のように自己の両主電極端子間の電位差ではなく、少なくとも自己相とは異なる異相の相電圧を用いてこの自己相のMOSトランジスタの断続タイミング決定するので、自己相の両主電極端子間の電位差がオン後に非常に小さくなってしまいその変化検出が容易でないという従来技術における問題を解決して、動作信頼性に優れた低損失の三相全波整流を実現することができる。
【0010】
更に説明を行う。
【0011】
この発明の対象をなす同期整流技術においては、三相インバータ回路(更に多相でもよい)のMOSトランジスタなどのスイッチング素子の断続制御のうち、特にオフタイミングの決定が特に重要である。すなわち、スイッチング素子のオンタイミングは、自己の交流側主電極電圧が直流側主電極電圧を超えた時点(スイッチング遅れを考慮して交流側主電極電圧が直流側主電極電圧よりわずかに小さい点まで上昇した時点でもよい)で、すなわち最適な時点で確実にオンすることができる。
【0012】
しかし、スイッチング素子のオフタイミングは、自己が導通しているために自己の交流側主電極電圧と直流側主電極電圧との差が非常に小さく(通常0.1V以下)、たとえ回転電機のこの相の発電電圧(相電圧)が直流側主電極電圧より小さくなってもMOSトランジスタのような双方向導通型のスイッチング素子では直流側主電極から交流側主電極への電流逆流により良好な電圧変化を検出することができない。
【0013】
このため、この発明のように、上記したように確実な他の相電圧のオンタイミングからの所定の時間遅延後にこのオン中のスイッチング素子のオフを行うことが特に好適である。検出するべき他の相としては、このオン中のスイッチング素子のオフタイミングにもっとも時間的に近接し、かつ、時間的に同時または先行する相のスイッチング素子のオンタイミングとすることがタイミング誤差を最も低減するうえで最適である。
【0014】
このような条件に最も合致する上記他相とは、このスイッチング素子をオフすべき相よりも120度(三相の場合)だけ遅れる相である。最も大きい電圧値をもつ相電圧がU、V、Wの順に変化する場合、U相の上アーム素子のオフタイミングは、次のV相の上アーム素子のオンタイミングに一致させることができる。このようにすれば、このU相の上アーム素子は120度だけオンすることができる。この場合には、時間遅延がないために、上記した回転数変化や発電電圧変化などによるタイミングのずれを最小化することができる。
【0015】
更に、上記説明では、自己の相電圧が所定値(好適にはバッテリ電圧またはそれよりわずかに小さい)まで上昇した場合に自己の相の上アーム素子をオンし、後続相の相電圧が所定値(好適にはバッテリ電圧またはそれよりわずかに小さい)場合まで上昇した時点またはそれより所定期間遅延した時点にて先行相の上アーム素子のオフを指令する上アーム素子制御を行ったが、下アーム素子の制御においても同様に任意の相の下アーム素子のオフタイミングを他の相の下アーム素子のオンタイミングに基づいて決定することができる。ただし、下アーム素子は同相の上アーム素子と同時にターンオンしないようにすればよいので、上記上アーム素子の断続制御のためのタイミングで、同相の下アーム素子の断続を逆に行ってもよい。
【0016】
好適な態様において、前記制御回路は、前記第一の相電圧より遅れる第二の相電圧が所定の第一しきい値電圧値を超える時点又は前記時点から所定時間経過した時点にて前記第一の相電圧を整流する前記上アーム素子のオフを指令することを特徴としている。
【0017】
本構成によれば、所定相の上アーム素子をオフを、この相よりも遅相側にずれる他相の相電圧の上昇タイミングに基づいて決定するので、強電磁ノイズ環境下でもこのオフを好適なタイミングで実施することができる。また、回路系の動作遅延により上アーム素子のオフタイミングが遅延しても、バッテリから回転電機側に電流が逆流するのを容易に防止することができる。なお、上記所定時間は一定としてもよく、又はそれを回転数が増加するほど短縮するようにしてもよい。
【0018】
更に説明する。
【0019】
この態様において特に、第一の相電圧より遅れる第二の相電圧が所定の第一しきい値電圧値を超える時点よりも所定時間遅れた時点にて第一の相電圧を整流する前記上アーム素子のオフを指令することが好ましい。ここで、第一の相電圧より遅れる第二の相電圧が所定の第一しきい値電圧値を超える時点を第二の相電圧を整流する上アーム素子のオンタイミングと仮定すれば、この第二相の上アーム素子のオンタイミングよりも所定時間遅れて第一相の上アーム素子のオフタイミングを設定することになる。すなわち、ある相の上アーム素子のオフタイミングを、それに後続する(最も近接して遅れる)相の上アーム素子のオンタイミングよりも(更に正確に言えば後続相電圧が所定しきい値を超えた時点よりも)所定時間遅延する。
【0020】
この所定時間遅延を設定しない場合、既述したように、三相インバータ回路の三つの上アーム素子は120度ずつ交互にオンすることになり、各相電圧は、120度期間づつ同期整流を行うことになる。以下、この方式を120度同期整流方式と称する。
【0021】
しかし、アイドル回転数以上の発電好適回転数範囲で運転される通常の車両用交流発電機では、各相電圧(各相の上アーム素子の交流側主電極電圧)は、それがバッテリ電圧(各相の上アーム素子の直流側主電極電圧)または所定電圧を超えてターンオンした後、120度期間を過ぎてもなお、バッテリ電圧より高い場合が通常であり、通常180度に近い期間、バッテリ充電が可能となっている。したがって、上記した120度同期整流方式では、みすみす整流可能なエネルギーを無駄に発電のみしていることになる。そこで、上記した120度同期整流期間を超えて、換言すれば、後続相の電圧が所定しきい値を超えてから更に所定時間だけ先行相の上アーム素子のオフタイミングを遅延させれば、この発電の無駄を減らしたり、解消したりすることができ、発電効率を向上することができるわけである。
【0022】
好適な態様において、前記制御回路は、前記第一の相電圧を整流する前記上アーム素子のオンタイミングを、前記第一の相電圧が前記直流電源の電圧より低い所定の第二しきい値電圧値を超え、かつ、前記第一の相電圧より遅れる第二の相電圧が所定の第三しきい値電圧値より低い期間に、前記所定の上アーム素子のオンを指令することを特徴としている。
【0023】
この態様によれば、回路系の動作遅延により上アーム素子のオンタイミングの遅延を低減して、上アーム素子の電力損失の増加を抑止することができるので、回路構成を簡素化することができる。もちろん、発電機が回転角センサをもつ場合には、検出された回転角に基づいて120度から更に必要な角度だけ遅延を容易に行うことができる。
【0024】
好適な態様において、前記制御回路は、前記三相回転電機の回転数が所定値以上の場合に前記MOSトランジスタをオンさせるので、高回転域において影響が大きいオンタイミングの遅延による上アーム素子の電力損失増加を抑止することができる。また、低回転において、MOSトランジスタをオンすることによりバッテリから回転電機に電流が逆流するのを防止することができる。
【0025】
好適な態様において、前記しきい値回転数は、前記相電圧が前記直流電源の電圧を超える回転数に設定されるので、相電圧がバッテリ電圧を超えることなく、発電能力がない場合にMOSトランジスタがオンして、電流が逆流する不具合を防止することができる。
【0026】
上記第一発明と同一課題を解決する第二発明としての請求項6記載の車両用三相回転電機用インバータ回路装置は、車両用三相回転電機の三相電機子巻線と直流電源との間に介設されて少なくとも前記三相電機子巻線の誘起電圧である三つの相電圧を整流して前記直流電源に給電する三相インバータ回路と、前記三相インバータ回路の各スイッチング素子を断続制御する制御回路とを備え、前記三相インバータ回路は、MOSトランジスタからなる上アーム素子を有する車両用三相回転電機用インバータ回路装置において、
前記制御回路は、第一の前記相電圧がバッテリ電圧より所定値だけ小さく設定された所定のしきい値電圧を超える場合に、前記第一の相電圧を整流する前記上アーム素子のオンを指令することを特徴としている。
【0027】
すなわち、上記説明した従来の同期整流型車両用三相回転電機用インバータ回路装置では、各相電圧とバッテリ電圧との比較結果により、つまりMOSトランジスタの両主電極間に生じる電位差によりその断続制御を行っており、上記のようにチャタリングが生じやすくなったり、回路遅延により動作が遅れてしまう。
【0028】
そこで、この発明では、各相電圧をバッテリ電圧より小さい所定のしきい値電圧とを比較して、上アーム素子をなすMOSトランジスタのオンを指令する。このしきい値電圧としては、バッテリ電圧に正相関を有する値たとえばバッテリ電圧を分圧した値とすることができ、または所定の定電圧とすることもできる。このようにすれば、MOSトランジスタが電磁ノイズ等により誤オンすることを良好に防止し、また、回路遅延の悪影響を軽減することができる。
【0029】
なお、この場合、MOSトランジスタには、自己の相電圧がまだバッテリ電圧を超えないうちにオンを指令されることになるが、相電圧波形が略矩形波であることと、回路遅延とにより、問題は生じない。
【0030】
好適な態様において、前記制御回路は、前記第一の相電圧が前記直流電源の電圧より低い所定の第二しきい値電圧値未満で、かつ、前記第一の相電圧より遅れる第二の相電圧が所定の第三しきい値電圧値より高い期間に、前記第一の相電圧を整流する前記下アーム素子のオンを指令することを特徴としている。この態様によれば、回路系の動作遅延により下アーム素子のオンタイミングの遅延を低減して、下アーム素子の電力損失の増加を抑止することができる。
【0031】
好適な態様において、前記制御回路は、前記第一の相電圧が所定の第一しきい値電圧値を超えた時点から前記第二の相電圧が第一しきい値電圧値を超えた時点までの時間である第一相電圧優勢時間をカウントし、前記第一相電圧優勢時間に正相関を有する関数値として遅延時間を設定し、前記第二の相電圧が所定の第一しきい値電圧値を超える時点から前記遅延時間だけ経過した時点にて前記第一の相電圧を整流する前記上アーム素子のオフを指令する。これにより、回転数の変動に応じて遅延時間を適切に設定することができる。
【0032】
すなわち、この態様では、先行相の相電圧がしきい値電圧値を超えた時点から後続相の相電圧がしきい値電圧値を超えた時点までの時間をカウントし、この時間(第一相電圧優勢時間)に正相関を有する関数値として上記遅延時間を設定する。更に説明する。
【0033】
上記第一相電圧優勢時間は、発電機の回転数に反比例して変化するのは明白である。たとえば、三相の場合は、この第一相電圧優勢時間は、回転数に比例する三相交流電圧の周波数に反比例するその一周期の1/3となる。したがって、上記第一相電圧優勢時間に正相関を有する関数値として遅延時間を設定することにより、回転数が変化しても相電圧の周期に対する三相インバータ回路の各相の上アーム素子のオン期間の割合が変動することを抑止することができる。この遅延時間中における上アーム素子の導通により、上アーム素子は120度以上の期間にわたって同期整流を行うことができるので、発電効率を向上することができる。
【0034】
なお、上記説明では上アーム素子について記述したが、三相インバータ回路の上アーム素子と下アーム素子とは同期して通常は逆のタイミングにて駆動されるために、下アーム素子も上記した上アーム素子の制御と同様に制御されることができる。また、上アーム素子と同様にある相の下アーム素子のオフをこの下アーム素子より遅れる相の下アーム素子のオンから所定時間遅延して行ってもよい。
【0035】
好適な態様において、前記制御回路は、前記第一相電圧優勢時間の半分の期間を前記遅延時間とする。このようにすれば、三相インバータ回路の任意相の上アーム素子に流れる逆電流を抑止することができ、遅延時間の演算も簡単となる。
【0036】
好適な態様において、前記制御回路は、前記第一相電圧優勢時間の1/4を前記遅延時間とする。このようにすれば、遅延時間の演算を簡単な複雑化することなく、適切な上アーム素子のオン時間を得ることができる。
【0037】
好適な態様において、前記制御回路は、内蔵タイマとしてのカウンタによりカウントした前記第一相電圧優勢時間に所定係数(0.5未満)を掛けて前記遅延時間とする。このようにすれば、遅延演算をそれほど複雑化することなく、最適な同期整流が可能となる。
【0038】
好適な態様において、前記制御回路は、前記第一相電圧優勢時間が大きい場合に前記係数を低下させ、前記第一相電圧優勢時間が小さい場合に前記係数を増加させる。このようにすれば、簡素な構成にて一層最適な同期整流が可能となる。以下、更に説明する。
【0039】
相電圧(正確に言えば発電機の相間起電力)がバッテリ電圧よりも大きい期間(以下、発電可能相期間ともいう)が360度期間(電気角2π)のうちのどれだけの割合を占めるかは、この相電圧が回転機回転数に正相関をもつ関数値であるため、回転機回転数に正相関(略比例する)をもつ関数値となる。
【0040】
ある相の上アーム素子のオン期間は、上記第一相電圧優勢時間と上記遅延時間の合計となるため、この合計が360度に占める割合が、上記発電可能相期間が360度期間(電気角2π)に占める割合に等しくなることが同期整流の理想である。したがって、上記遅延時間は、回転機回転数に最適な相関をもつ関数値とすることが好ましい。
【0041】
ここで、回転機回転数は、隣接二相の上アーム素子の交流側主電極電圧が所定しきい値を超えた時点間の時間すなわち上記第一相電圧優勢時間に反比例する簡単に入力可能なパラメータである。結局、上記した遅延時間は、回転数に負の相関を有する関数値となる。
【0042】
第一相電圧優勢時間が短いほど回転数が高いため発電電圧(相電圧)が大きいと推定し、相電圧がバッテリ電圧を超える発電可能期間が電気角2πに占める期間が大きいと推定し、遅延時間を相対的に増加させる。逆に、第一相電圧優勢時間が長いほど回転数が低いため発電電圧(相電圧)が小さいと推定し、相電圧がバッテリ電圧を超える発電可能期間が電気角2πに占める期間が小さいと推定し、遅延時間を相対的に減少させる。これにより、遅延時間を好適に設定することができる。もちろん、遅延時間は60度を超えることはない。
【0043】
好適な態様において、前記制御回路は、前記回転電機の界磁電流制御用のスイッチング素子のデユーティが小さい場合に前記係数を低下させ、前記デユーティが大きい場合に前記係数を増加させる。このようにすれば、簡素な構成にて一層最適な同期整流が可能となる。
【0044】
以下、更に説明する。
【0045】
界磁電流通電式の回転機の発電電圧(相電圧)がバッテリ電圧よりも大きい期間(以下、発電可能相期間ともいう)が360度期間(電気角2π)のうちのどれだけの割合を占めるかは、発電電圧(相電圧)が界磁電流に正相関をもつ関数値であるため、界磁電流に正相関(略比例する)をもつ関数値となる。
【0046】
ある相の上アーム素子のオン期間は、第一相電圧優勢時間と遅延時間の合計となるため、この合計が360度に占める割合が、発電可能相期間が360度期間(電気角2π)に占める割合に等しくなることが同期整流の理想である。したがって、遅延時間は、界磁電流に最適な相関をもつ関数値とすることが好ましい。
【0047】
ここで、界磁電流は、界磁電流スイッチング用のスイッチング素子のデユーティに略比例する簡単に入力可能なパラメータである。結局、上記した遅延時間は、デユーティに正の相関を有する関数値となる。つまり、界磁電流の大きさは、界磁電流をスイッチング制御するスイッチングトランジスタのデユーティに正相関をもつ関数値であるため、このデユーティから界磁電流を推定することができる。
【0048】
そこで、このようにして求めた界磁電流から発電電圧を予測することができる。なお、磁石式発電機では界磁電流の推定は不要となる。また、発電電流の変化は、発電機内部の電圧降下の変化により発電機の端子電圧すなわち相電圧を変化させるので、発電電流に関連する電気パラメータにより更に上記した発電電圧の予測を調整することもできる。結局、遅延時間はデユーティに正の相関を有する関数値となる。もちろん、遅延時間は60度を超えることはない。
【0049】
したがって、デユーティが大きいほど発電電圧(相電圧)が大きいと推定し、相電圧がバッテリ電圧を超える発電可能期間が電気角2πに占める期間が大きいと推定し、上記遅延時間を相対的に増加することが好ましい。逆に、デユーティが小さいほど発電電圧(相電圧)が小さいと推定し、相電圧がバッテリ電圧を超える発電可能期間が電気角2πに占める期間が小さいと推定し、上記遅延時間を相対的に減少することが好ましい。
【0050】
その他、電機子コイルの発電電圧(相電圧)は、第一相電圧優勢時間とデユーティに関係し、発電電圧の大きさと最適遅延時間とは正相関をもつため、第一相電圧優勢時間とデユーティと遅延時間とをマップ又は関数として記憶しておき、それに基づいて最適な遅延時間を演算してもよい。このようにすることにより、相電圧がバッテリ電圧を上回るほとんどの期間にわたって、上アーム素子を導通させることが可能となり、三相インバータ回路の同期整流における発電効率を向上(回路損失の低減)を実現することができる。
【0051】
好適な態様において、前記制御回路は、前記第一の相電圧より遅れる第二の相電圧が所定の第一しきい値電圧値を超える時点にて前記車両用三相回転電機が内蔵する回転角センサからカウント開始用の回転角度値を取得し、前記所定時間に相当する回転角量を前記カウント開始用の回転角度値に加算してオフタイミング用の回転角度値を算出し、前記回転角センサから入力される回転角が前記オフタイミング用の回転角度値に達した時点にて前記第一相電圧を整流する前記上アーム素子のオフを指令する。
【0052】
すなわち、この態様では、いままで説明された種々の方法により設定されるあるいは固定値として設定される前記遅延時間に相当する回転角の大きさ(回転角量とも称する)だけ、前記遅行する相の上アーム素子が第一のしきい値を超えた時点(しばしば遅行する相の上アーム素子のオンタイミングとされる)から遅延される。したがって、この態様では回転電機は回転角を検出する回転角センサを必要とする。
このようにすれば、設定された遅延時間に相当する正確な回転角量だけ上アーム素子のオフタイミングを遅延させることができる。
【0053】
好適な態様において、前記制御回路は、前記第一の相電圧が所定のしきい値に達する場合に前記第一相電圧を整流する前記上アーム素子のオンを指令し、前記第一の相電圧より遅れる第二の相電圧が所定の第一しきい値電圧値を超える時点から前記所定時間後に前記第一の相電圧を整流する前記上アーム素子のオフを指令し、前記第一相電圧を整流する前記上アーム素子に前記オンを指令する時点から所定のデッドタイムだけ先行した時点にて前記第一相電圧を整流する前記上アーム素子と同相の下アーム素子のオフを指令し、前記第一相電圧を整流する前記上アーム素子に前記オフを指令する時点から所定のデッドタイムだけ遅れた時点にて前記第一相電圧を整流する前記上アーム素子と同相の下アーム素子のオンを指令する。
【0054】
このようにすれば、上アーム素子と同相の下アーム素子を簡単に断続制御することができるとともに、同相の上、下アーム素子の同時オンを確実に防止することができる。
【0055】
【発明の実施の形態】
【0056】
【実施例1】
実施例1を図1を参照して以下に説明する。
【0057】
(全体説明)
1は界磁巻線型同期機からなる三相ブラシレスDCモータ、2はインバータ回路、3はコントローラ、4は界磁電流制御装置、5は回転角度センサとしてのレゾルバ、6は平滑コンデンサ、7は電流センサ、8は界磁電流断続用のMOSトランジスタからなる界磁電流スイッチ、9はバッテリである。
【0058】
三相ブラシレスDCモータ1は、U相巻線11、V相巻線12、W相巻線13をスター接続してなり、ロータに巻装されて界磁電流制御装置から所望の界磁電流を通電される界磁コイル14を有している。
【0059】
インバータ回路2は、電動動作時にバッテリ両端VB+、VBー間から給電される直流電源電圧を三相交流電圧に変換し、発電動作時に三相全波整流回路として機能する三相インバータ回路であって、21〜23は上アーム側の半導体スイッチング素子、24〜26はMOSトランジスタからなる下アーム側の半導体スイッチング素子、Dは寄生ダイオードからなるフライホイルダイオードであるが専用のダイオードを設けてもよい。
【0060】
コントローラ3は、レゾルバ5、電流センサ7からの信号と、図示しない車両制御装置からの発電指令、電動指令に基づいて電動動作時に三相インバータ回路2の各MOSトランジスタ21〜26をPWM制御するための制御信号(PWM信号)を形成するMG制御回路31と、発電時にMOSトランジスタ21〜26を同期整流動作させる同期整流制御回路32と、電動動作時にMG制御回路31から出力されるPWM信号および発電時に同期整流制御回路32から出力される同期整流信号を電力増幅してMOSトランジスタ21〜26のゲート電極端子に個別に印加するゲート駆動回路33とからなる。
【0061】
MG制御回路31は、レゾルバ5からの位相に基づいて各相の通電位相信号を、PWMキャリヤ信号を電流センサ7からの電流と目標電流との差に基づいて決定したデューティ比によりPWM変調することによりPWM信号を決定する。
【0062】
この種のPWM電動制御動作の原理および回路構成自体はもはや周知であり、MG制御回路31およびゲート駆動回路33は、もはや周知でありかつこの実施例の要旨でもないので、それらの詳細説明は省略する。
【0063】
界磁電流制御装置4は通常のオルタネータのレギュレータと呼称されている回路であって、バッテリ9の端子電圧VB+を一定とするために界磁電流値をフィードバック制御するが、これは、従来のオルタネータのレギュレータと同じであるので説明を省略する。
【0064】
レゾルバ5は、磁気式回転角センサや光学式回転角センサに変更できることはもちろんである。平滑コンデンサ6は、インバータ回路2のスイッチング動作によるスイッチングサージ電圧が図示しない直流電源に悪影響を及ぼす効果を低減したり、外部に放射される電磁波ノイズを低減するために三相インバータ回路2の一対の直流電源端間に接続された大容量コンデンサにより構成されている。
【0065】
電流センサ7は、インバータ回路2の入力電流を検出するものであり、この実施例では、回路簡素化のために低抵抗素子を用いているが、ホール素子などでもよいことは当然である。
【0066】
同期整流回路32は、発電動作時に、各相電圧VU、VV、VWに基づいて、三相インバータ回路2の各MOSトランジスタ21〜26を断続制御することにより、三相発電電圧を整流してバッテリ9に給電する。
【0067】
(同期整流制御の説明)
この実施例の要旨をなす同期整流制御について、以下に詳細に説明する。この実施例の同期整流制御回路32を図2に示す。
【0068】
U相電圧VUは、電流制限抵抗rを通じてコンパレータ321Uによりしきい値電圧値(この実施例では約バッテリ電圧VBの半分に設定されている)Vthと比較され、V相電圧VVは、電流制限抵抗rを通じてコンパレータ321Vによりしきい値電圧値Vthと比較されてインバータ回路323Vにより反転され、これらの比較結果はオア回路324U、インバータ回路325Uを通じてMOSトランジスタ21のゲート電極端子に印加される。
【0069】
その結果、MOSトランジスタ21は、U相電圧VUがしきい値電圧値Vthより高く、かつ、V相電圧VVがしきい値電圧値Vthより低い期間にだけオンする動作を行う。
【0070】
これにより、図3に示すように、U相電圧VUがバッテリ電圧の半分より高くなった時点でMOSトランジスタ21のオンが指令される。なお、三相全波整流回路を通じてバッテリ充電を行う各相電圧の波形は略矩形波となり、U相電圧VUがバッテリ電圧を実際に超えた時点と、U相電圧VUがバッテリ電圧の半分(しきい値電圧値Vth)を超えた時点との間の時間差は小さく、かつ、信号の遅延が存在するために、このMOSトランジスタ21のオン時にバッテリ9からの逆流はほとんど無視することができる。
【0071】
次に、MOSトランジスタ21は、U相電圧VUがバッテリ電圧の半分より小さくなる前のV相電圧VVがバッテリ電圧の半分より大きくなる時点にて早期にオフを指令される。これにより、MOSトランジスタ21がオンしている限り、MOSトランジスタ21の両主電極端子間の電位差は約0.1Vと小さいために、この電位差の変化により正確にオフタイミングを決定することが困難であるという問題は生じることがない。
【0072】
ただし、この実施例では、V相電圧VVの立ち上がりエッジにてMOSトランジスタ21のオフを行うために、若干だけMOSトランジスタ21のオフが先行し、その後、U相電圧VUが実際にバッテリ電圧+0.75V程度に低下するまで、MOSトランジスタ21の寄生ダイオードを利用するダイオード整流期間が発生し、理想的な同期整流に比較して電力損失が増加する。そこで、V相電圧VVの立ち上がりエッジから所定時間遅延してからMOSトランジスタ21をオフしてもよい。
【0073】
同期整流制御回路32の全体回路図を図4に示す。
【0074】
下アーム素子を構成するMOSトランジスタ24〜26も上アーム素子を構成するMOSトランジスタ21〜23と同様に制御される。
【0075】
324U’、324V’、324W’はオア回路324Uと同一機能を奏するオア回路であり、325U’、325V’、325W’はインバータ回路325Uと同一機能を奏するインバータ回路である。
【0076】
(変形態様)
変形態様を図5を参照して以下に説明する。
【0077】
この変形態様は、図2に示す回路において2入力オア回路324Uを3入力オア回路328に置換し、fーVコンバータ326とコンパレータ327とを追加したものである。
【0078】
fーVコンバータ326は、レゾルバ5から出力される交流信号電圧の周波数に比例するアナログ出力電圧を回転数比例電圧として出力する。コンパレータ327は、この回転数比例電圧と所定のしきい値電圧値Vth2とを比較し、比較結果を3入力オア回路328に入力する。
【0079】
したがって、発電機の回転数がしきい値電圧値Vth2に相当するしきい値回転数を超えるまでは、コンパレータ327の出力電圧はハイレベルとなり、オア回路328はハイレベルを出力し、インバータ回路325Uはローレベルを出力するので、MOSトランジスタ21がオンされることはない。図4に示す各オア回路324V、324W、324U’、324V’、324W’も同様にこのような3入力オア回路に変更すれば、同様に低回転数において、MOSトランジスタ21〜26が誤ってオンしてバッテリからの逆電流が流れることがない。
【0080】
なお、しきい値電圧値Vth2に相当するしきい値回転数は、このしきい値回転数における相電圧のピーク値がバッテリ電圧に相当するかそれを所定値だけ超えるように設定することが好適である。
【0081】
【実施例2】
他の実施例について以下に説明する。この実施例は、図1に示す同期整流制御回路32をマイコン構成とし、発電電圧に関連する入力信号をこの同期整流制御回路32に入力し、この同期整流制御回路32が遅延時間を演算し、この遅延時間だけ、120度以上各上アーム素子21から23のオン期間を延長することを、その骨子とするものである。
【0082】
図6は、相電圧の波形を示すタイミングチャートである。Vuは三相星形接続されたU相電機子コイルの起電力、Vvは三相星形接続されたV相電機子コイルの起電力、Vwは三相星形接続されたW相電機子コイルの起電力である。三相インバータ回路のU相上アーム素子の交流側主電極電圧(Uアーム電圧という)、V相上アーム素子の交流側主電極電圧(Vアーム電圧という)、W相上アーム素子の交流側主電極電圧(Wアーム電圧という)は、三相インバータ回路の各アーム素子を構成するMOSトランジスタの寄生ダイオードのオンが存在するため、180度に近い期間だけバッテリ電圧を超えることになる。
【0083】
次に、上記した三相インバータ回路の上アーム素子、下アーム素子のオフタイミングを決定する処理を説明する。なお、これらの素子のオンタイミングは、上述のように上アーム素子の交流側主電極電圧がしきい値電圧を超えた時点により簡単に決定できるので、ここでは説明しない。
【0084】
まず、ステップS100にて、遅延時間ΔTを上記説明した種々の方法にて設定する。次に、いずれかの相の上アーム素子がオンしたかどうか(もしくは、いずれかの相の上アーム素子が所定しきい値を超えたかどうか)を調べ(S102)、NOであればステップS100にリターンし、YESであれば上記遅延時間ΔTが設定されたタイマをスタートして上記遅延時間ΔT後に、上記オンした上アーム素子の相よりも先行する相の上アーム素子をオフする(S104)。次に、所定小時間経過後にこの先行する相の下アーム素子をオンしてステップS100にリターンする(S106)。
【0085】
【実施例3】
他の実施例について以下に説明する。この実施例は、図1に示す同期整流制御回路32をマイコン構成とし、回転電機内蔵の回転角センサから入力される回転角信号に基づいて上アーム素子のオフを行うものである。
【0086】
図8は、上記した三相インバータ回路の上アーム素子、下アーム素子のオフタイミングを決定する処理を説明する。なお、上アーム素子のオンタイミングは、上述のように上アーム素子の交流側主電極電圧がしきい値電圧を超えた時点により簡単に決定できるので、ここでは説明しない。
【0087】
まず、ステップS200にて、すでに説明した遅延時間ΔTに相当する遅延角度量(回転角量)Δθを上記説明した種々の方法にて設定する。次に、いずれかの相の上アーム素子がオンしたかどうか(もしくは、いずれかの相の上アーム素子が所定しきい値を超えたかどうか)を調べ(S202)、NOであればステップS200にリターンし、YESであれば回転角センサからこの時の回転角(カウント開始用の回転角度値)の値を読み込む(S204)。
【0088】
次に、このカウント開始用の回転角度値に上記遅延角度量Δθを加算して、オフタイミング用の回転角度値を算出し(S206)、回転角センサから入力する回転角がこのオフタイミング用の回転角度値に達するまで待機してから(S208)、先行相の上アーム素子をオフし(S210)、所定のデッドタイム後、オフした上アーム素子と同相の下アーム素子をオンする(S212)。
【0089】
(下アーム素子のオフ制御例の説明)
なお、下アーム素子のオフは、同相の上アーム素子のオンの決定により実施し、この実施から所定デッドタイム経過後、この上アーム素子をオンすることができる。
【0090】
(変形態様)
なお、本発明の車両用三相回転電機用インバータ回路装置において、三相インバータ回路を電動モードで運転することも可能であり、また、発電整流専用の場合に上アーム側と下アーム側のどちらかをダイオードのみとしてもよい。また、発電機としては、通常のランデルポール型発電機でもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の制御に用いる車両用三相回転電機用インバータ回路装置を示す回路図である。
【図2】図1の同期整流制御回路の一部を示す回路図である。
【図3】図2の同期整流制御回路の動作を示すタイミングチャートである。
【図4】図1の同期整流制御回路の全体を示す回路図である。
【図5】変形態様を示す回路図である。
【図6】相電圧の波形図である。
【図7】実施例2におけるオフタイミングを決定するフローチャートである。
【図8】実施例3におけるオフタイミングを決定するフローチャートである。
【符号の説明】
1 三相ブラシレスDCモータ(車両用三相回転電機)
2 インバータ回路(三相インバータ回路)
3 コントローラ(制御回路)
5 レゾルバ
9 バッテリ(直流電源)
11〜13 相巻線
21〜23 上アーム側のMOSトランジスタ
24〜26 下アーム側のMOSトランジスタ
Claims (15)
- 車両用三相回転電機の三相電機子巻線と直流電源との間に介設されて少なくとも前記三相電機子巻線の誘起電圧である三つの相電圧を整流して前記直流電源に給電する三相インバータ回路と、前記三相インバータ回路を構成する各MOSトランジスタを断続制御する制御回路とを備え、
前記三相インバータ回路は、MOSトランジスタからなる上アーム素子又は下アーム素子を有する車両用三相回転電機用インバータ回路装置において、
前記制御回路は、
第一の前記相電圧を整流する前記上アーム素子のオンタイミング又はオフタイミングを、前記第一の相電圧とは異なる前記相電圧に基づいて決定することを特徴とする車両用三相回転電機用インバータ回路装置。 - 請求項1記載の車両用三相回転電機用インバータ回路装置において、
前記制御回路は、
前記第一の相電圧より遅れる第二の相電圧が所定の第一しきい値電圧値を超える時点又は前記時点から所定時間経過した時点にて前記第一の相電圧を整流する前記上アーム素子のオフを指令する特徴とする車両用三相回転電機用インバータ回路装置。 - 請求項1記載の車両用三相回転電機用インバータ回路装置において、
前記制御回路は、
前記第一の相電圧が前記直流電源の電圧より低い所定の第二しきい値電圧値を超え、かつ、前記第一の相電圧より遅れる第二の相電圧が所定の第三しきい値電圧値より低い期間に、前記所定の上アーム素子のオンを指令することを特徴とする車両用三相回転電機用インバータ回路装置。 - 請求項3のいずれか記載の車両用三相回転電機用インバータ回路装置において、
前記制御回路は、
前記三相回転電機の回転数が所定値以上の場合に、前記MOSトランジスタをオンさせることを特徴とする車両用三相回転電機用インバータ回路装置。 - 請求項4記載の車両用三相回転電機用インバータ回路装置において、
前記しきい値回転数は、前記相電圧が前記直流電源の電圧を超える回転数に設定されることを特徴とする車両用三相回転電機用インバータ回路装置。 - 車両用三相回転電機の三相電機子巻線と直流電源との間に介設されて少なくとも前記三相電機子巻線の誘起電圧である三つの相電圧を整流して前記直流電源に給電する三相インバータ回路と、前記三相インバータ回路の各スイッチング素子を断続制御する制御回路とを備え、
前記三相インバータ回路は、MOSトランジスタからなる上アーム素子を有する車両用三相回転電機用インバータ回路装置において、
前記制御回路は、
第一の前記相電圧が前記直流電源の電圧より所定値だけ小さく設定された所定のしきい値電圧を超える場合に、前記第一の相電圧を整流する前記上アーム素子のオンを指令することを特徴とする車両用三相回転電機用インバータ回路装置。 - 請求項1記載の車両用三相回転用インバータ回路装置において、
前記制御回路は、
前記第一の相電圧が前記直流電源の電圧より低い所定の第二しきい値電圧値未満で、かつ、前記第一の相電圧より遅れる第二の相電圧が所定の第三しきい値電圧値より高い期間に、前記第一の相電圧を整流する前記下アーム素子のオンを指令することを特徴とする車両用三相回転電機用インバータ回路装置。 - 請求項2記載の車両用三相回転用インバータ回路装置において、
前記制御回路は、
前記第一の相電圧が所定の第一しきい値電圧値を超えた時点から、前記第二の相電圧が第一しきい値電圧値を超えた時点までの時間である第一相電圧優勢時間をカウントし、
前記第一相電圧優勢時間に正相関を有する関数値として遅延時間を設定し、
前記第二の相電圧が所定の第一しきい値電圧値を超える時点から前記遅延時間だけ経過した時点にて前記第一の相電圧を整流する前記上アーム素子のオフを指令することを特徴とする車両用三相回転電機用インバータ回路装置。 - 請求項8記載の車両用三相回転用インバータ回路装置において、
前記制御回路は、
前記第一相電圧優勢時間の1/2を前記遅延時間とすることを特徴とする車両用三相回転電機用インバータ回路装置。 - 請求項8記載の車両用三相回転用インバータ回路装置において、
前記制御回路は、
前記第一相電圧優勢時間の1/4を前記遅延時間とすることを特徴とする車両用三相回転電機用インバータ回路装置。 - 請求項8記載の車両用三相回転用インバータ回路装置において、
前記制御回路は、
内蔵タイマとしてのカウンタによりカウントした前記第一相電圧優勢時間に所定係数(0.5未満)を掛けて前記遅延時間とすることを特徴とする車両用三相回転電機用インバータ回路装置。 - 請求項11記載の車両用三相回転用インバータ回路装置において、
前記制御回路は、
前記第一相電圧優勢時間が大きい場合に前記係数を低下させ、前記第一相電圧優勢時間が小さい場合に前記係数を増加させることを特徴とする車両用三相回転電機用インバータ回路装置。 - 請求項11記載の車両用三相回転用インバータ回路装置において、
前記制御回路は、
前記回転電機の界磁電流制御用のスイッチング素子のデユーティが小さい場合に前記係数を低下させ、前記デユーティが大きい場合に前記係数を増加させることを特徴とする車両用三相回転電機用インバータ回路装置。 - 請求項2記載の車両用三相回転用インバータ回路装置において、
前記制御回路は、
前記第一の相電圧より遅れる第二の相電圧が所定の第一しきい値電圧値を超える時点にて前記車両用三相回転電機が内蔵する回転角センサからカウント開始用の回転角度値を取得し、
前記所定時間に相当する回転角量を前記カウント開始用の回転角度値に加算してオフタイミング用の回転角度値を算出し、
前記回転角センサから入力される回転角が前記オフタイミング用の回転角度値に達した時点にて前記第一相電圧を整流する前記上アーム素子のオフを指令する特徴とする車両用三相回転電機用インバータ回路装置。 - 請求項2記載の車両用三相回転電機用インバータ回路装置において、
前記制御回路は、
前記第一の相電圧が所定のしきい値に達する場合に前記第一相電圧を整流する前記上アーム素子のオンを指令し、前記第一の相電圧より遅れる第二の相電圧が所定の第一しきい値電圧値を超える時点から前記所定時間後に前記第一の相電圧を整流する前記上アーム素子のオフを指令し、
前記第一相電圧を整流する前記上アーム素子に前記オンを指令する時点から所定のデッドタイムだけ先行した時点にて前記第一相電圧を整流する前記上アーム素子と同相の下アーム素子のオフを指令し、
前記第一相電圧を整流する前記上アーム素子に前記オフを指令する時点から所定のデッドタイムだけ遅れた時点にて前記第一相電圧を整流する前記上アーム素子と同相の下アーム素子のオンを指令することを特徴とする車両用三相回転電機用インバータ回路装置。
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