JP4021675B2 - 液晶表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示装置に係り、特には、アクティブマトリクス基板にカラーフィルタ層とスペーサとが設けられた液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
アクティブマトリクス基板にカラーフィルタ層やスペーサを形成した場合、表示性能に優れた液晶表示装置を容易且つ高い歩留まりで製造することが可能となる。すなわち、アクティブマトリクス基板にカラーフィルタ層を形成した場合、カラーフィルタ層を構成している各着色層(例えば、ストライプパターン)の画素電極に対する相対位置は容易且つ高精度に制御可能である。また、アクティブマトリクス基板にスペーサを形成した場合、所望の位置にスペーサを配置することができるため光利用効率を向上させることが可能である。さらに、アクティブマトリクス基板にカラーフィルタ層やスペーサを形成した場合、アクティブマトリクス基板と対向基板とを貼り合わせる際にそれらを高い精度で位置合わせを行う必要がない。しかしながら、このような構造を採用した場合、以下の問題を生ずることがある。
【0003】
一般に、画素電極を形成するための導電性薄膜の成膜工程では、カラーフィルタ層の上面だけでなくスルーホールの側壁及び底部にも導電性材料をスパッタリングする。このような方法で得られる構造において、スルーホールの側壁及び底面に堆積した導電性薄膜は、画素電極とスイッチング素子とを電気的に接続する役割を担っている。そのため、上記導電性薄膜は、画素電極とスイッチング素子との間で連続していなければならない。したがって、スルーホールの断面形状は、上記導電性薄膜に不連続部を生じ難い順テーパ状であることが望まれる。
【0004】
ところで、スルーホールが設けられたストライプパターンは、ネガ型の感光性樹脂と着色顔料或いは着色染料との混合物を用いて塗膜を形成し、この塗膜を露光・現像することによって形成している。着色顔料或いは着色染料を含有した感光性樹脂では、透明な感光性樹脂とは異なり、着色顔料或いは着色染料による光吸収が生じる。着色顔料或いは着色染料によって吸収される光の波長域と感光性樹脂に架橋反応を生じさせる光の波長域との重なりは、当然、着色顔料或いは着色染料の色に応じて異なっている。このような理由から、或る色のストライプパターンではスルーホールの断面形状を順テーパ状とすることが容易であっても、他の色のストライプパターンではスルーホールの断面形状を順テーパ状とすることが困難となることがある。そのため、画素電極とスイッチング素子との間の接続不良及びそれに基づく表示不良が発生することがあった。
【0005】
また、アクティブマトリクス基板にスペーサを形成した場合、以下の問題を生ずることがある。
図5(a−1)〜(a−5),(b−1)〜(b−5),(c−1)〜(c−5)は、スペーサの形成方法を概略的に示す断面図である。図5に示すプロセスでは、まず、感光性樹脂と赤色の顔料或いは染料とを含有した塗膜(図示せず)をパターニングして赤色のストライプパターン8c1及び柱状部8c2を形成する。次に、感光性樹脂と緑色の顔料或いは染料とを含有した塗膜8b’を形成し、この塗膜8b’をパターニングして緑色のストライプパターン8b1及び柱状部8b2を形成する。その後、感光性樹脂と青色の顔料或いは染料とを含有した塗膜8a’を形成し、この塗膜8a’をパターニングして青色のストライプパターン8a1及び柱状部8a2を形成する。以上のようにして、最下層としてストライプパターン8c1または柱状部8c2を、中間層としてストライプパターン8b1または柱状部8b2を、最上層としてストライプパターン8a1または柱状部8a2を順次積層した構造のスペーサ11を得る。
【0006】
この方法によれば、スペーサ11とカラーフィルタ層と同時に形成することができ、工程数を削減することが可能となる。しかしながら、上述した方法では、ストライプパターンをスペーサ11の最下層、中間層、最上層のいずれとして利用するかに依存してスペーサの高さが変化する。すなわち、図5(a−1)〜(a−5)に示すように、ストライプパターン8c1をスペーサ11の最下層とする場合、柱状部8b2はほぼ狙い通りの膜厚に形成することができるが、柱状部8b2は小面積であるため、塗膜8a’はレベリングの影響を受け、柱状部8a2の膜厚は目標値よりも薄くなる。その結果、スペーサ11の実効的な高さ(スペーサ11のカラーフィルタ層からの高さ)も目標値よりも低くなる。
【0007】
また、図5(b−1)〜(b−5)に示すように、ストライプパターン8b1をスペーサ11の中間層とする場合、最下層である柱状部8c2は小面積であるため、塗膜8b’はレベリングの影響を受け、ストライプパターン8b1の中間層として用いられる部分の膜厚は目標値よりも薄くなる。これら柱状部8c2及びストライプパターン8b1が形成する凹凸表面は、図5(a−3)に示すストライプパターン8c1及び柱状部8b2が形成する凹凸表面に比べればなだらかであるので、塗膜8a’は弱いレベリングの影響を受け、柱状部8a2の膜厚は目標値よりも薄くなる。その結果、図5(b−5)に示すスペーサ11の実効的な高さは、図5(a−5)に示すスペーサ11の実効的な高さよりも低くなる。
【0008】
さらに、図5(c−1)〜(c−5)に示すように、ストライプパターン8a1をスペーサ11の最上層とする場合、柱状部8c2は小面積であるため、塗膜8b’はレベリングの影響を受け、柱状部8b2の膜厚は目標値よりも薄くなる。これら柱状部8c2及び柱状部8b2が形成する凹凸表面は、図5(a−3)に示すストライプパターン8c1及び柱状部8b2が形成する凹凸表面に比べれて高低差が大きいので、塗膜8a’は非常に強いレベリングの影響を受け、ストライプパターン8a1の最上層として用いられる部分の膜厚は目標値よりも遥かに薄くなる。その結果、図5(c−5)に示すスペーサ11の実効的な高さは、図5(b−5)に示すスペーサ11の実効的な高さよりもさらに低くなる。
【0009】
このように、ストライプパターン8c1を最下層としたスペーサ11の高さと、ストライプパターン8b1を中間層としたスペーサ11の高さと、ストライプパターン8a1を最上層としたスペーサの高さとを互いに等しくすることは困難である。スペーサ11の高さがばらついている場合、当然、セルギャップが不均一となり、輝度ムラを生ずることとなる。
【0010】
このような問題は、例えば、ストライプパターン8c1を最下層としたスペーサ11のみを形成することにより回避可能である。しかしながら、この場合、スペーサの配置に関する制約が増加し、その結果、例えば、低温での真空泡や指押しによるギャップムラが発生し難いスペーサ配置を採用すると、スペーサ分布の偏りに起因して細かい輝度ムラが発生し表示品位が低下するといった新たな問題が発生する。この問題は、特に画素のサイズを大型化した場合に顕著である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、カラーフィルタ層を構成する各着色層を部分的に積層し、それら積層部をスペーサとして利用した液晶表示装置であって、カラーフィルタ層に設けられるスルーホールの断面形状を順テーパ状とすることが容易であり且つスペーサの高さのばらつきを抑制すること及び高い自由度でスペーサを配置することが可能な液晶表示装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、互いに対向した第1及び第2基板と、前記第1及び第2基板間に介在して前記第1及び第2基板間の距離を一定に保つ複数のスペーサと、前記第1基板の前記第2基板との対向面上で行方向と列方向とに配列した複数の画素電極と、前記第1基板と前記複数の画素電極との間に介在し且つ吸収波長域が互いに異なる第1乃至第3着色層を備えたカラーフィルタ層と、前記第1基板と前記カラーフィルタ層との間に介在した複数のスイッチング素子と、前記第2基板の前記第1基板との対向面に設けられた共通電極と、前記複数の画素電極と前記共通電極との間に介在した液晶層とを具備し、前記カラーフィルタ層には第1及び第2着色層に対し前記第3着色層に選択的に複数のスルーホールが設けられ、前記複数の画素電極は前記複数のスルーホールを介して前記複数のスイッチング素子にそれぞれ電気的に接続され、前記複数のスペーサのそれぞれは、前記第1着色層と材料が同一な第1柱状部と、前記第2着色層と材料が同一な第2柱状部と、前記第3着色層とを積層した構造を有しており、前記第1及び第2柱状部は前記第3着色層上に順次積層されているか、または、前記第3着色層は前記第1柱状部と前記第2柱状部との間に介在していることを特徴とする液晶表示装置を提供する。
また、本発明は、互いに対向した第1及び第2基板と、前記第1及び第2基板間に介在して前記第1及び第2基板間の距離を一定に保つ複数のスペーサと、前記第1基板の前記第2基板との対向面上で行方向と列方向とに配列した複数の画素電極と、前記第1基板と前記複数の画素電極との間に介在し且つ吸収波長域が互いに異なる第1乃至第3着色層を備えたカラーフィルタ層と、前記第1基板と前記カラーフィルタ層との間に介在した複数のスイッチング素子と、前記第2基板の前記第1基板との対向面に設けられた共通電極と、前記複数の画素電極と前記共通電極との間に介在した液晶層とを具備し、前記カラーフィルタ層には第1及び第2着色層に対し前記第3着色層に選択的に複数のスルーホールが設けられ、前記複数の画素電極は前記複数のスルーホールを介して前記複数のスイッチング素子にそれぞれ電気的に接続され、前記複数のスペーサのそれぞれは、前記第1着色層と材料が同一な第1柱状部と、前記第2着色層と材料が同一な第2柱状部と、前記第3着色層とを積層した構造を有しており、前記第1着色層は、前記複数の画素電極が形成する複数の列の3倍の周期で前記行方向に配列するとともに前記複数の画素電極が形成する複数の行と同じ周期で前記列方向に配列した複数の第1着色部で構成され、前記第2着色層は、前記複数の第1着色部と同じ周期で前記行方向及び前記列方向に配列するとともに前記複数の第1着色部と前記行方向にそれぞれ隣り合った複数の第2着色部で構成され、前記第3着色層は、前記複数の画素電極のそれぞれの前記列方向で対向した一対の端部の一方と重なり合うとともに前記複数の列と2つおきに重なり合うように格子状にパターニングされ且つ前記複数の第1着色部及び前記複数の第2着色部の前記行方向に隣り合ったそれぞれの2つを取り囲み、前記第3着色層には前記複数の画素電極の前記一方の端部の位置に前記複数のスルーホールが設けられていることを特徴とする液晶表示装置を提供する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の各実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において同様の構成部材には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0014】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る液晶表示装置を概略的に示す断面図である。また、図2は、図1に示す液晶表示装置のカラーフィルタ層を概略的に示す平面図である。
【0015】
図1に示す液晶表示装置1は、TN駆動方式のカラー型液晶表示装置であって、アクティブマトリクス基板2と対向基板3とを対向させ、それら基板2,3間に液晶層4を介在させた構造を有している。これら基板2,3間の周縁部には、液晶材料を注入するための注入口(図示せず)を除いて接着剤層16が設けられており、その注入口は封止剤を用いて封止されている。また、この液晶表示装置1の両面には偏光板5がそれぞれ貼り付けられており、その背面側には図示しない光源が配置されている。
【0016】
図1に示す液晶表示装置1において、アクティブマトリクス基板2は、ガラス基板のような透明基板6を有している。透明基板6上には、配線及びスイッチング素子7が形成されている。また、透明基板6の配線及びスイッチング素子7が設けられた面には、カラーフィルタ層8、周縁遮光層9、及び柱状スペーサ11が形成されている。カラーフィルタ層8上には画素電極10が形成されており、画素電極10上には配向膜12が形成されている。一方、対向基板3は、ガラス基板のような透明基板13を有している。透明基板13上には、共通電極14及び配向膜15が順次積層されている。
【0017】
アクティブマトリクス基板2に形成する配線は、透明基板6上で格子状に配列した走査線及び信号線などで構成されている。また、スイッチング素子7は、例えば、アモルファスシリコンやポリシリコンを半導体層とした薄膜トランジスタ(以下、TFTという)である。このスイッチング素子7は、走査線及び信号線などの配線並びに画素電極10と接続されており、それにより、所望の画素電極10に対して選択的に電圧を印加することを可能としている。
【0018】
カラーフィルタ層8は、青色の着色層8a1と緑色の着色層8b1と赤色の着色層8c1とで構成されている。着色層8a1〜8c1にはスルーホール21がそれぞれ設けられており、これらスルーホール21を介して、スイッチング素子7と画素電極10とがそれぞれ電気的に接続されている。
【0019】
スペーサ11は、柱状部8a2と柱状部8b2と着色層8c1とを積層した構造を有している。柱状部8a2は着色層8a1と材料が同一であり、柱状部8b2は着色層8b1と材料が同一である。
【0020】
着色層8a1〜8c1並びに柱状部8a2及び8b2は、感光性樹脂とそれぞれの色に対応した着色顔料或いは着色染料とを含有する混合物を用いて形成することができる。着色層8a1と柱状部8a2とは材料が同一であるので、それらを同時に形成することにより製造プロセスを簡略化することができる。また、同様に、着色層8b1と柱状部8b2とは材料が同一であるので、それらを同時に形成することにより製造プロセスを簡略化することができる。
【0021】
周縁遮光層9は、一般には額縁層などと呼ばれ、画面の周縁部に形成される。周縁遮光層9は、例えば、カーボン微粒子のような黒色顔料や黒色染料と感光性樹脂との混合物を用いて形成することができる。
【0022】
画素電極10及び共通電極14は、ITOのような透明導電材料で構成されている。電極10,14は、例えばスパッタリング法などにより形成することができる。
【0023】
配向膜12,15は、ポリイミドなどの透明樹脂からなる薄膜にラビング処理等の配向処理を施すことにより形成され得る。
【0024】
さて、上記液晶表示装置1では、カラーフィルタ層8及びスペーサ11を構成するうえで、図2に示す構造を採用している。このような構造によると、以下に説明するように、画素電極10とスイッチング素子7との間で導通不良が発生するのを防止することができるのに加え、スペーサ11の高さのばらつきを抑制すること及び高い自由度でスペーサ11を配置することが可能となる。
【0025】
先に説明したように、着色顔料或いは着色染料によって吸収される光の波長域と感光性樹脂に架橋反応を生じさせる光の波長域との重なりは着色顔料或いは着色染料の色に応じて異なっているため、或る色の着色層ではスルーホールの断面形状は順テーパ状となり、他の色の着色層ではスルーホールの断面形状が逆テーパ状となることがある。ここでは、青、緑、赤色の着色層のそれぞれにスルーホールを設けた場合、青色の着色層ではスルーホールの断面形状は逆テーパ状となり、緑色の着色層ではスルーホールの断面形状は順テーパ状と逆テーパ状とが混在した状態となり、赤色の着色層ではスルーホールの断面形状は順テーパ状となることとする。なお、ここで、「順テーパ状の断面形状」は、「スルーホール」に関して使用する場合、その開口から底部に向けて幅が狭くなる断面形状を意味する。また、「逆テーパ状の断面形状」は、「スルーホール」に関して使用する場合、その開口から底部に向けて幅が広くなる断面形状を意味する。
【0026】
図2に示す構造では、赤色の着色層8c1を格子状にパターニングしており、その横方向に延在した部分に全てのスルーホール21を設けている。そのため、スルーホール21のいずれについても、断面形状を順テーパ状とすることができる。したがって、画素電極10を構成する導電性材料をスルーホール21の底面及び側壁上にも良好に堆積させることができ、画素電極10とスイッチング素子7との間の導通不良の発生を防止することができる。
【0027】
また、図2に示す構造では、全てのスペーサ11に、大面積の赤色の着色層8c1を最下層として、その上に柱状部8b2,8c2を順次積層した構造を採用している。すなわち、全てのスペーサ11に同一の層構造を採用している。そのため、互いに異なる層構造を採用することに基づくスペーサ11の高さのばらつきを抑制することができる。
【0028】
しかも、図2に示す構造では、着色層8c1を格子状にパターニングしているため、着色層8c1の縦方向に延在した部分だけでなく、その横方向に延在した部分にもスペーサ11を形成することができる。すなわち、スペーサ11の高さのばらつきを抑制しつつ、高い自由度でスペーサ11を配置することが可能となる。
【0029】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
第1の実施形態では、赤色の着色層8c1でスルーホール21の断面形状が順テーパ状になり且つ緑及び青色の着色層8b1,8a1ではスルーホール21の断面形状が逆テーパ状になる場合について説明したが、いずれの着色層8a1〜8c1でスルーホール21の断面形状が順テーパ状になるかは着色層8a1〜8c1を形成する条件や使用する材料などに応じて異なる。第2の実施形態では、緑色の着色層8b1でスルーホールの断面形状が順テーパ状になる場合について説明する。
【0030】
図3は、本発明の第2の実施形態に係る液晶表示装置を概略的に示す断面図である。また、図4は、図3に示す液晶表示装置のカラーフィルタ層を概略的に示す平面図である。
【0031】
本実施形態に係る液晶表示装置1は、カラーフィルタ層8及びスペーサ11の構造が異なること以外は、図1及び図2を参照して説明した液晶表示装置1とほぼ同様の構造を有している。したがって、ここでは、相違点のみ説明する。
【0032】
図3に示す液晶表示装置1では、図4に示すように、緑色の着色層8b1を格子状にパターニングしており、その横方向に延在した部分に全てのスルーホール21を設けている。そのため、スルーホール21のいずれについても、断面形状を順テーパ状とすることができる。したがって、第1の実施形態と同様に、画素電極10を構成する導電性材料をスルーホール21の底面及び側壁上にも良好に堆積させることができ、画素電極10とスイッチング素子7との間の導通不良の発生を防止することができる。
【0033】
また、図3及び図4に示す構造では、全てのスペーサ11に、赤色の着色層8c1と材料が同一な赤色の柱状部8c1を最下層として、その上に緑色の着色層8b1及び青色の柱状部8c2を順次積層した構造を採用している。すなわち、全てのスペーサ11に同一の層構造を採用している。そのため、第1の実施形態と同様に、互いに異なる層構造を採用することに基づくスペーサ11の高さのばらつきを抑制することができる。
【0034】
しかも、図4に示す構造では、着色層8b1を格子状にパターニングしているため、着色層8b1の縦方向に延在した部分だけでなく、その横方向に延在した部分にもスペーサ11を形成することができる。すなわち、第1の実施形態と同様に、スペーサ11の高さのばらつきを抑制しつつ、高い自由度でスペーサ11を配置することが可能となる。
【0035】
以上、第1及び第2の実施形態では、赤色の着色層8c1でスルーホール21の断面形状が順テーパ状になる場合や緑色の着色層8b1でスルーホール21の断面形状が順テーパ状になる場合について説明したが、青色の着色層8a1でスルーホール21の断面形状が順テーパ状になる場合は、青色の着色層8a1を格子状にパターニングし、スルーホール21を着色層8a1に選択的に設けるとともに、全てのスペーサ11に着色層8a1を利用することにより、接続不良やスペーサ11の高さのばらつきを抑制すること及び高い自由度でスペーサ11を配置することが可能となる。
【0036】
また、第1及び第2の実施形態では、スペーサ11の一部として利用する着色層8b1,8c1を格子状としたが、それらは必ずしも格子状である必要はなく、他の形状であってもよい。
【0037】
また、第1の実施形態では着色層8c1をスペーサ11の最下層として利用し、第2の実施形態では着色層8b1をスペーサ11の中間層として利用したが、着色層8a1をスペーサ11の最上層として利用してもよい。なお、着色層8b1をスペーサ11の中間層として利用した場合、着色層8a1をスペーサ11の最上層として利用した場合に比べて、スペーサ11の高さをより高くすることができる。また、着色層8c1をスペーサ11の最下層として利用した場合、着色層8b1をスペーサ11の中間層として利用した場合に比べて、スペーサ11の高さをより高くすることができる。
【0038】
また、第1及び第2の実施形態では、赤色の層、緑色の層、青色の層を順次積層してスペーサ11を構成したが、それら層の積層順に特に制限はない。
【0039】
さらに、第1及び第2の実施形態では、TN型の液晶表示装置1について説明したが、表示方式は、GH型、ECB型、或いは強誘電性液晶を利用したタイプ等であってもよい。
【0040】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。
【0041】
(実施例1)
図1に示す液晶表示装置1を以下の方法により作製した。なお、本実施例では、カラーフィルタ層8及びスペーサ11を図2に示すように構成した。
【0042】
まず、ガラス基板6上に通常の方法により配線及びTFT7を形成して、縦方向に768ピクセル及び横方向に1024×3(R、G、B)ピクセルの画素数を有するTFTアレイ基板とした。
【0043】
次に、基板6のTFT7などを形成した面に赤色の顔料を分散させた紫外線硬化型アクリル樹脂レジストCR−2000(富士フィルムオーリン社製)をスピナーを用いて塗布した。このようにして形成した塗膜の上方にフォトマスクを配置し、このフォトマスクを介して上記塗膜に露光量が100mJ/cm2となるように波長365nmの紫外線を照射した。上述した条件で露光を終えた後、1%のKOH水溶液を用いて上記塗膜を10秒間現像することにより赤色の着色層8c1を形成した。なお、着色層8c1は、その膜厚を3.0μmとし、縦方向のストライプパターンの幅が70μmであり且つ補助容量線を被覆する横方向のストライプパターンの幅が35μmである格子状パターンとした。また、着色層8c1の補助容量線上に位置した部分には、開口のサイズが15μm×20μmのコンタクトホール21を設けた。
【0044】
次いで、緑色の顔料を分散させた紫外線硬化型アクリル樹脂レジストCG−2000(富士フィルムオーリン社製)を用いて、赤色の着色層8c1に関して説明したのと同様の方法により、厚さが3.0μmの緑色の着色層8b1と柱状部8b2とを同時に形成した。なお、着色層8b1はサイズが70μm×185μmの長方形状とし、柱状部8b2のサイズは25μm×25μmとした。
【0045】
その後、青色の顔料を分散させた紫外線硬化型アクリル樹脂レジストCB−2000(富士フィルムオーリン社製)を用いて、赤色の着色層8c1に関して説明したのと同様の方法により、厚さが3.0μmの青色の着色層8a1と柱状部8a2とを同時に形成した。なお、着色層8a1はサイズが70μm×185μmの長方形状とし、柱状部8a2のサイズは15μm×15μmとした。
【0046】
次に、上述した方法で得られたカラーフィルタ層8上に、スパッタリング法を用いて厚さ1500ÅのITO膜を形成し、これをフォトリソグラフィ技術とエッチング技術とを用いてパターニングすることにより画素電極10を得た。なお、これら画素電極10は、それぞれ着色層8c1に設けたスルーホール21を介してTFTのソース電極と接続されるように形成した。
【0047】
その後、基板6の画素電極10を形成した面に、感光性のカーボンレス黒色樹脂(富士フィルムオーリン社製)を3.0μmの厚さに塗布した。これにより得られた塗膜を90℃で10分間乾燥させた後、塗膜の上方にフォトマスクを配置し、このフォトマスクを介して上記塗膜に露光量が500mJ/cm2となるように波長365nmの紫外線を照射した。上述した条件で露光を終えた後、pH11.5のアルカリ水溶液を用いて上記塗膜を現像し、さらに、200℃で60分間焼成することにより周縁遮光層9を形成した。
【0048】
その後、基板6の画素電極10を形成した面に、配向膜材料であるAL−1051(JSR社製)を500Åの厚さで塗布し、得られた塗膜にラビング処理を施して配向膜12を形成した。以上のようにして、アクティブマトリクス基板2を完成した。
【0049】
上述した方法でアクティブマトリクス基板2を作製する一方で、以下の方法により対向基板3を作製した。すなわち、まず、ガラス基板13上に、スパッタリング法を用いて厚さ1500ÅのITO膜を形成して共通電極14を得た。その後、基板13の共通電極14を形成した面に、配向膜材料であるAL−1051(JSR社製)を500Åの厚さで塗布し、得られた塗膜にラビング処理を施して配向膜15を形成した。以上のようにして、対向基板3を完成した。
【0050】
次いで、対向基板3の配向膜15を形成した面の周縁部に接着剤16を注入口が残されるように印刷した。さらに、アクティブマトリクス基板2から共通電極14に電圧を印加するための電極転移材(図示せず)を接着剤16の周辺部の電極転移材(図示せず)上に形成した。
【0051】
その後、アクティブマトリクス基板2と対向基板3とを、それらの配向膜12,15同士が対向するように及びそれらのラビング方向が直交するように貼り合わせ、さらに加熱して接着剤16を硬化させることによりセルを形成した。このセル中に液晶材料としてZLI−1565(E.メルク社製)にS811を0.1重量%の濃度で添加してなる組成物を通常の方法により注入して液晶層4を形成した。さらに、注入口を紫外線硬化樹脂で封止し、ガラス基板6,13のそれぞれに偏光板5を貼り付けた。
【0052】
次に、以上のようにして得られた液晶表示装置1の表示性能などについて調べた。その結果、この液晶表示装置1では、ギャップムラや帯状ムラ並びに明点や半明点などの表示不良は観察されず、高コントラスト比で優れた表示品位が得られた。
【0053】
(実施例2)
本実施例では、カラーフィルタ層8及びスペーサ11を図4に示すように構成するとともに以下の方法で形成したこと以外は実施例1で説明したのと同様の方法により図3に示す液晶表示装置1を作製した。
【0054】
すなわち、本実施例では、カラーフィルタ層8及びスペーサ11を形成するに当り、まず、基板6のTFT7などを形成した面に赤色の顔料を分散させた紫外線硬化型アクリル樹脂レジストCR−2000(富士フィルムオーリン社製)をスピナーを用いて塗布した。このようにして形成した塗膜の上方にフォトマスクを配置し、このフォトマスクを介して上記塗膜に露光量が100mJ/cm2となるように波長365nmの紫外線を照射した。上述した条件で露光を終えた後、1%のKOH水溶液を用いて上記塗膜を10秒間現像することにより赤色の着色層8c1及び柱状部8c2を同時に形成した。なお、着色層8c1はサイズが70μm×185μmの長方形状とし、柱状部8c2のサイズは25μm×25μmとした。
【0055】
次いで、緑色の顔料を分散させた紫外線硬化型アクリル樹脂レジストCG−2000(富士フィルムオーリン社製)を用いて、赤色の着色層8c1に関して説明したのと同様の方法により、厚さが3.0μmの緑色の着色層8b1を形成した。なお、着色層8b1は、その膜厚を3.0μmとし、縦方向のストライプパターンの幅が70μmであり且つ補助容量線を被覆する横方向のストライプパターンの幅が35μmである格子状パターンとした。また、着色層8b1の補助容量線上に位置した部分には、開口のサイズが15μm×20μmのコンタクトホール21を設けた。
【0056】
その後、青色の顔料を分散させた紫外線硬化型アクリル樹脂レジストCB−2000(富士フィルムオーリン社製)を用いて、赤色の着色層8c1に関して説明したのと同様の方法により、厚さが3.0μmの青色の着色層8a1と柱状部8a2とを同時に形成した。なお、着色層8a1はサイズが70μm×185μmの長方形状とし、柱状部8a2のサイズは15μm×15μmとした。
【0057】
以上の方法でカラーフィルタ層8及びスペーサ11を形成した液晶表示装置1の表示性能などについて調べた。その結果、この液晶表示装置1では、ギャップムラや帯状ムラ並びに明点や半明点などの表示不良は観察されず、高コントラスト比で優れた表示品位が得られた。
【0058】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、カラーフィルタ層を構成する第1乃至第3着色層のうち第3着色層に選択的にスルーホールを設けるとともに、スペーサのそれぞれを、第1着色層と材料が同一な第1柱状部、第2着色層と材料が同一な第2柱状部、及び第3着色層を積層した構造とする。そのため、全てのスルーホールの断面形状を順テーパ状とすることやスペーサの高さのばらつきを抑制し且つ高い自由度でスペーサを配置することができる。
すなわち、本発明によると、カラーフィルタ層を構成する各着色層を部分的に積層し、それら積層部をスペーサとして利用した液晶表示装置であって、カラーフィルタ層に設けられるスルーホールの断面形状を順テーパ状とすることが容易であり且つスペーサの高さのばらつきを抑制すること及び高い自由度でスペーサを配置することが可能な液晶表示装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る液晶表示装置を概略的に示す断面図。
【図2】図1に示す液晶表示装置のカラーフィルタ層を概略的に示す平面図。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る液晶表示装置を概略的に示す断面図。
【図4】図3に示す液晶表示装置のカラーフィルタ層を概略的に示す平面図。
【図5】(a−1)〜(a−5),(b−1)〜(b−5),(c−1)〜(c−5)は、スペーサの形成方法を概略的に示す断面図。
【符号の説明】
1…液晶表示装置
2…アクティブマトリクス基板
3…対向基板
4…液晶層
5…偏光板
6…透明基板
7…スイッチング素子
8…カラーフィルタ層
8a1〜8c1…着色層
8a2〜8c2…柱状部
8a’,8b’…塗膜
9…周縁遮光層
10…画素電極
11…柱状スペーサ
12…配向膜
13…透明基板
14…共通電極
15…配向膜
16…接着剤層
21…スルーホール
Claims (6)
- 互いに対向した第1及び第2基板と、
前記第1及び第2基板間に介在して前記第1及び第2基板間の距離を一定に保つ複数のスペーサと、
前記第1基板の前記第2基板との対向面上で行方向と列方向とに配列した複数の画素電極と、
前記第1基板と前記複数の画素電極との間に介在し且つ吸収波長域が互いに異なる第1乃至第3着色層を備えたカラーフィルタ層と、
前記第1基板と前記カラーフィルタ層との間に介在した複数のスイッチング素子と、
前記第2基板の前記第1基板との対向面に設けられた共通電極と、
前記複数の画素電極と前記共通電極との間に介在した液晶層とを具備し、
前記カラーフィルタ層には第1及び第2着色層に対し前記第3着色層に選択的に複数のスルーホールが設けられ、前記複数の画素電極は前記複数のスルーホールを介して前記複数のスイッチング素子にそれぞれ電気的に接続され、
前記複数のスペーサのそれぞれは、前記第1着色層と材料が同一な第1柱状部と、前記第2着色層と材料が同一な第2柱状部と、前記第3着色層とを積層した構造を有しており、
前記第1及び第2柱状部は前記第3着色層上に順次積層されているか、または、前記第3着色層は前記第1柱状部と前記第2柱状部との間に介在していることを特徴とする液晶表示装置。 - 互いに対向した第1及び第2基板と、
前記第1及び第2基板間に介在して前記第1及び第2基板間の距離を一定に保つ複数のスペーサと、
前記第1基板の前記第2基板との対向面上で行方向と列方向とに配列した複数の画素電極と、
前記第1基板と前記複数の画素電極との間に介在し且つ吸収波長域が互いに異なる第1乃至第3着色層を備えたカラーフィルタ層と、
前記第1基板と前記カラーフィルタ層との間に介在した複数のスイッチング素子と、
前記第2基板の前記第1基板との対向面に設けられた共通電極と、
前記複数の画素電極と前記共通電極との間に介在した液晶層とを具備し、
前記カラーフィルタ層には第1及び第2着色層に対し前記第3着色層に選択的に複数のスルーホールが設けられ、前記複数の画素電極は前記複数のスルーホールを介して前記複数のスイッチング素子にそれぞれ電気的に接続され、
前記複数のスペーサのそれぞれは、前記第1着色層と材料が同一な第1柱状部と、前記第2着色層と材料が同一な第2柱状部と、前記第3着色層とを積層した構造を有しており、
前記第1着色層は、前記複数の画素電極が形成する複数の列の3倍の周期で前記行方向に配列するとともに前記複数の画素電極が形成する複数の行と同じ周期で前記列方向に配列した複数の第1着色部で構成され、
前記第2着色層は、前記複数の第1着色部と同じ周期で前記行方向及び前記列方向に配列するとともに前記複数の第1着色部と前記行方向にそれぞれ隣り合った複数の第2着色部で構成され、
前記第3着色層は、前記複数の画素電極のそれぞれの前記列方向で対向した一対の端部の一方と重なり合うとともに前記複数の列と2つおきに重なり合うように格子状にパターニングされ且つ前記複数の第1着色部及び前記複数の第2着色部の前記行方向に隣り合ったそれぞれの2つを取り囲み、
前記第3着色層には前記複数の画素電極の前記一方の端部の位置に前記複数のスルーホールが設けられていることを特徴とする液晶表示装置。 - 前記複数のスペーサのそれぞれは前記複数のスルーホールの前記行方向に隣り合う2つの間に位置していることを特徴とする請求項2に記載の液晶表示装置。
- 前記複数のスペーサの少なくとも1つは前記第3着色層の前記列と重なり合った部分に位置していることを特徴とする請求項2に記載の液晶表示装置。
- 前記複数のスペーサの1つは前記複数の第1着色部の前記列方向に隣り合ういずれか2つの間に位置していることを特徴とする請求項4に記載の液晶表示装置。
- 前記複数のスペーサの1つは前記複数の第2着色部の前記列方向に隣り合ういずれか2つの間に位置していることを特徴とする請求項5に記載の液晶表示装置。
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