JP4013375B2 - 金属帯の焼鈍炉用回転式熱交換器 - Google Patents

金属帯の焼鈍炉用回転式熱交換器 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は焼鈍炉用回転式交換器に関し、とくに、冷延鋼板、電磁鋼板あるいはステンレス鋼板等の金属帯を焼鈍処理するに当たって、その予熱帯で該金属帯の表面に吹きつける循環ガスを加熱帯の燃焼排ガス等の熱を利用して効率良く昇温しようとするものである。
【0002】
【従来の技術】
金属帯の焼鈍処理を行う連続焼鈍炉等では燃料原単位の削減を図ることを目的に熱交換器を設置し加熱帯より排出される燃焼排ガス等を熱交換器に通すことによってその熱を循環ガスに付与し、この高温の循環ガスを予熱帯を通過する金属帯に吹きつけて昇温するようになっていて、従来は、チューブを介して熱の回収を行う対流式熱交換器が適用されたり、特開平6−257738号公報、特開平6−257724号公報に開示のような蓄熱式ラジアントチューブバーナ(以下、蓄熱式R/Tバーナと記す)等を加熱帯や均熱帯に設置して使用していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のような従来の方法においては以下のような問題があった。
1)対流式熱交換器:燃焼排ガスの顕熱を回収する熱交換器としては燃焼排ガスの循環ガスに対する影響がほとんどないこのタイプのものを使用しているのが大半であるが、チューブを介して熱を回収するものであるから排ガス温度と循環ガスとの間に大きな温度差と広い伝熱面積が必要であって、所定の性能を保持するには規模が大きなるのが避けられず、一方、設備のコンパクト化の要請から充分なスペースがとれない場合には熱回収率を改善するにも困難があった。
2)蓄熱式R/Tバーナ:対流式熱交換器の欠点を補うものであり、対になったバーナ毎に高い熱回収率を得ることができるが、大きな加熱能力が必要な鋼板の連続加熱炉では数多くのバーナが使われており (ちなみに、80千t/月の処理能力を持つ連続焼鈍ラインでは300 本近いR/Tが使用されている) 、全てのバーナを蓄熱式バーナに改造するには投資額が大きいため経済的でなく、狭いスペースに設置する数が多いためメンテナンスの面でも問題があり、実用化が困難であった。また、R/Tバーナは高温に曝されるので熱応力や高温クリープに起因した寿命の問題があった。
【0004】
この点に関して特公平4−80969号公報には、バイパス流路を備えた蓄熱器を設け、この蓄熱器及びバイパス流路を通して温度と流量を調節した加熱用の気体(HNガス)をラジアントチューブの間に配置したガスジェット用ノズルから噴出させて金属ストリップに吹きつけてその温度を上昇させるようにした方法が開示されているが、かかる方法では、金属帯を連続的(長時間)に加熱することが困難であり、蓄熱器を蓄熱過程、加熱過程、切換過程に順次に切り換える作業を経ることから蓄熱器が少なくとも3基設置しておく必要があるうえダクトワークが複雑になること、また、多数の切換弁が必要になることから設備費の増大を招くとともに複雑な切換シーケンスを要するためその制御が煩雑になり保守や整備に多大な労力を必要とする不具合があった。
【0005】
この発明の目的は、とくに、多数のバーナを使用する金属帯の焼鈍炉 (直火炉等を含む )の燃焼排ガスの顕熱を効率良く回収し、その回収した熱を焼鈍炉の予熱帯を通る金属帯に付与できる新規な回転式熱交換器を提案するところにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
の発明は、焼鈍炉に配置され、その予熱帯を循環させる循環ガスを蓄熱体を通して昇温する回転式熱交換器であって、この熱交換器は、少なくとも3つのセクションを有しその全てに蓄熱体を配置した熱交換器本体と、この熱交換器本体の連続的あるいは断続的な回転に合わせて各セクションのそれぞれに、排ガスの顕熱を蓄熱体に付与する燃焼排ガス、燃焼排ガスの顕熱を付与する際に蓄熱体に残留した燃焼排ガスを排除するとともに蓄熱体に付着した異物を取り除くパージ用ガスおよび蓄熱体の有する顕熱を回収して焼鈍炉の予熱帯を通過する金属帯に吹きつけてその温度を上昇させる循環ガスを順次に繰返し通す通路とを備え、パージ用ガスを通すセクションの断面積と循環ガスを通すセクションの断面積との関係が下記の条件を満足させるものとする。

S1/S2 ≧1/{(Qa /V1)-1}
S1 :パージ用ガスを通すセクションの断面積 (m2
S2 :循環ガスを通すセクションの断面積 (m2
Qa :蓄熱体を通る空気の平均流量 (m3/S)
V1 :循環ガスを通すセクションへの蓄熱体の進入体積 (m3/S)
【0008】
この発明は、セクションとしては少なくとも3つからなるものが都合がよく、循環ガスの汚染を防ぐためその静圧は燃焼排ガスの静圧よりも高いものとする。パージ用ガスの供給経路は循環ガスの供給経路から分岐したものとするか、あるいは、パージ用ガスを通すセクションの入側経路と循環ガスを通すセクションの出側経路に接続したものとするのがよく、また、蓄熱体は、 Al2O3あるいはSUS310、SUS316 耐熱性、耐腐食性の良好な材料からなるものが有利適合する。
循環ガスを通すセクションの出側経路には、循環ガスの一部を排出して該循環ガスの噴出速度を制御するブリード口を設けるのがよい。
【0010】
【発明の実施の形態】
この発明においては、熱交換器の本体を少なくとも3つのセクションに区分し、該熱交換器本体の連続的あるいは断続的な回転に合わせて各セクションに排ガスのもつ顕熱を蓄熱体に付与する蓄熱ゾーン、排ガスの顕熱を付与する際に蓄熱体に付着した異物を取り除くパージゾーン、パージを終えた後の蓄熱体に循環ガスを通して昇温する加熱ゾーンをサイクリックに繰返し形成することにより、高温排ガスの顕熱を効率良く回収することができ、しかも、蓄熱体自体が回転することになるので配管の本数やバルブの個数を低減することができる。
【0011】
【実施例】
以下、図面を用いてこの発明をより具体的に説明する。
図1は、この発明に従う熱交換の基本原理を説明するための回転式熱交換器を模式的に示したものであって、図における番号1はケーシング内におさめられた蓄熱体tを備え軸心Lを中心に連続的あるいは断続的に回転可能な熱交換器本体、2は熱交換器本体1に燃焼排ガスを吹き込んで蓄熱体tに加熱帯の燃焼排ガスの顕熱を付与するための燃焼排ガス供給通路、3は蓄熱体tに循環ガス(加熱用の空気等)を吹き込み蓄熱体tに付与された顕熱を回収して焼鈍炉の予熱帯を通過する金属帯Sに循環ガスを吹きつけてその温度を上昇させる循環ガス供給通路である。
【0012】
上記の構成になる熱交換器において熱交換器本体1を連続的に回転させた状態で加熱帯排ガスの顕熱を回収するには、燃焼排ガス供給通路2を通して熱交換器本体1に加熱帯排ガスを吹込む一方、循環ガス供給通路3を通して熱交換器本体1に循環ガスを吹込む。これによって加熱帯排ガスのもつ熱が循環ガスに付与されることになる。
【0013】
図2は上掲図1に示した熱交換器を使用して焼鈍炉中のスリトップSに対して循環ガスを吹きつけて加熱する場合の状況を示したものであるが、加熱(均熱)帯の燃焼排ガスの温度が650 ℃程度であり、循環ガスの温度が380 ℃程度である場合、この発明に従う熱交換器を通すことによって循環ガスの温度はプレムナムチャンバhの噴出口において約540 ℃程度にすることができ、温度が40℃程度になるストリップでは約200℃程度まで温度を上昇させることが可能になる。
【0014】
図3は、A〜Cの従来型の蓄熱体を使用したストリップの加熱状況を示したものであるが、このような構成においては蓄熱体の数が複数必要になるだけでなく切換弁も設置することになるので弁の切換制御が煩雑になるのは明らかである。
【0015】
図4は、この発明に従う焼鈍炉用回転式熱交換器を模式的に示したものである。この例は蓄熱体1を3つのセクションa,b,cに区分し、その全てに蓄熱体tを配置した構造のもので、4は燃焼排ガス供給通路、5はパージ用ガス経路、そして6は連続焼鈍炉等の予熱帯につながる循環ガス供給通路であり、これらの通路は熱交換器本体1のケーシングに固定保持される。
【0016】
上記の構成になる蓄熱式熱交換器において熱交換器本体1を連続的に回転した状態で加熱帯排ガスの顕熱を回収するには以下の要領に従う。
【0017】
まず、セクションaの蓄熱体tについて着目した場合、このセクションは燃焼排ガス供給通路4につがなっており、ここで燃焼排ガスの熱が蓄熱体tに吸収(蓄熱)される。
【0018】
次いで、熱交換器本体1の回転により基点01 が02 に移行する段階でセクションaは現状のセクションbの位置へと徐々に移行しこの領域ではパージ用ガス通路5からパージガスが吹き込まれ、燃焼排ガスを通した際に残留した該燃焼排ガスおよび異物の除去が行われる。ここに、パージガスを吹込むのは燃焼排ガスによって昇温した蓄熱体に直接、循環ガスを通してこれを予熱帯の金属帯に吹きつけると燃焼排ガスに含まれている異物等が付着し製品の表面品質の劣化をきたす理由による。
【0019】
そして、セクションaが起点02 から03 に移行する段階では、セクションaには循環ガス供給通路6から循環ガスが吹き込まれ、ここで循環ガスは蓄熱体tのもつ熱を回収して昇温され、連続焼鈍炉等の予熱帯へと送給される。
【0020】
以上の説明は主にセクションaに着目して循環ガスを昇温する場合について説明したが、他のセクション、すなわち、セクションb、セクションcについてもセクションaに続いて同様の要領で循環ガスが昇温され、このような循環ガスの昇温機構は熱交換器本体1が回転し、各通路4、5、6からガスが供給される限りサイクリックに繰り返されることになる。
【0021】
このような形式の熱交換器では、各ガス圧は(排ガス)<(パージガス)≦((循環ガス)のような設定になるため、連続的な回転を行っても他のセクションへの影響はそれほど大きくないが、とりわけ、厳密さが要求される場合にはセクションa、b、cに隣接して緩衝領域を設けることもできる。
【0022】
熱交換器本体1のサイクルピッチTは、上掲図4に示したセクションの長さをP(m) 、回転速度をV(m/s) とした場合、T=P/V(sec) にて算出されるので回転速度を変更することによって、その調節は可能である。また熱交換器本体の回転方式は電動機による連続的な回転、シリンダーとロッドを用いた非連続的な回転などを採用することができ、とくに種類に限定はないが、回転速度に関しては何れの場合もほぼ0.5 〜4rpm 程度に設定され、また、蓄熱体の水当量の値/排ガスと循環ガスのうち流体水当量が小さい方の値>4程度に設定される。ここに、水当量は流体の質量流量(kg/sec)×流体の比熱(J/kg・K)で定義される。
【0023】
図5に、この発明に従う熱交換器Hを連続焼鈍炉の予熱帯 (PHS)に適用した例を模式的に示す。図における7は熱風循環ファン (循環ガス用) 、8は既設の対流式熱交換器であり、HS排ガスは加熱帯排ガスを表示するものとする。
【0024】
蓄熱体については、Al2O3 あるいはSUS310、SUS316等の耐熱性、耐腐食性の良好な材料が有利に適合し、これはボール状のものを用いてもよいし、また、ハニカム構造体であってもよく、とくに限定はされない。パージガスはN2、Arガス等清浄な気体であれば何でも適用できるが、コストの点を勘案すると予熱帯の循環空気を用いるのが好ましい。
【0025】
この発明においては、パージ用ガスを通すセクションの断面積と循環ガスを通すセクションの断面積とは、 S1 をパージ用ガスを通すセクションの断面積 (m2)、 S2 を循環ガスを通すセクションの断面積 (m2)、 Qa を蓄熱体を通る空気の平均流量 (m3/S)、さらに、 V1 を循環ガスを通すセクションへの蓄熱体の進入体積 (m3/S)とした場合に、S1/S2 ≧1/{(Qa /V1)-1}の条件を満足するのがよいが、その理由は、このような条件を満足させることによって燃焼排ガスを完全にパージした状態で循環ガスを通すことが可能だからである。
【0026】
図6はパージ用ガスの通路5を循環ガス供給通路6の入側通路6aから分岐させた構成のものである。このような構成においては、循環ガスとパージ用ガスの兼用化を図ることができるだけでなく、パージ用ガスの経路の簡略化が可能なので設備にかかる経費の節減に役立つ利点がある。
【0027】
焼鈍炉等の熱処理装置においては、予熱帯出側での板温が高いほど、加熱帯の炉温を低下することが可能となり、R/Tバーナの寿命延長や燃料原単位削減が可能となる。また、一方、加熱帯ではH2 ≧2%の雰囲気で板(ストリップ)の還元を行っており、これによって予熱帯で発生した板表面のテンパーカラーを除去するとともに表面性状を確保する必要があるため、予熱帯出側板温には上限値が存在する。この点に関し、発明者等は種々実験、検討を重ねた結果、図7〜図9に示すように、加熱帯出側で板の表面性状を確保するための予熱帯出側板温の上限値はおよそ350 ℃程度であることを突き止めた。
【0028】
この発明は上記の知見に基づくものであり、具体的には図7に示すように、循環ガスを通すセクションの出側通路6bに循環ガスの一部を経路外へ排出するブリード口dを設けて操業状況に応じて該循環ガスの噴出速度を制御し、予熱帯出側板温を適切に制御するものである。
【0029】
図8は予熱帯の出側における板温とGDS (グロー放電質量分析法:低圧のAr中で試料陰極に−1kV程度の電圧を加えると放電が起きるが、その際生じたAr+ イオンが試料表面から中性粒子やイオンがプラズマ中にスパッタされる。さらに中性原子はプラズマ中で準安定状態のAr* や電子との衝突によってイオン化される。GDSはこれらのイオンを質量分析することによって試料の組成を分析する手法である。) による酸素強度の関係を、また、図9、図10は化成処理として、例えば脱脂(120秒) →水洗 (30秒) →表面調整 (20秒) →化成処理 (120 秒) →水洗 (30秒) →純水洗浄の如き工程を経る場合におけるりん酸塩付着量およびP値につき、それぞれ予熱帯の出側における温度との関係について示した図である。
【0030】
図11は循環ガスの噴出速度と予熱帯における熱伝達係数の関係を示したものであり、また、図12はLS・D (ラインスピード・板厚) と予熱帯の出側における板温の関係を、さらに、図13はブリード口からの循環ガスの排出量とLS・Dの関係を示したものである。熱交換器の熱回収率の改善を図った場合においては図12に示す如く、LS・Dがおよそ70以下になるような条件下では予熱帯出側板温が400 ℃を超えるようになるけれども、ブリード口dから循環ガスを排出する操作を行い、該ガスの噴出速度を制御することによって予熱帯における板温の上昇を抑えることができる。
【0031】
上掲図1に示した構成になる熱交換器を図5に示した設備に適用し、厚さ0.5 〜2.3 mm、幅700 〜1850mmの冷延鋼板を下記の条件にて連続焼鈍処理するにあたって、該冷延鋼板を予熱帯で加熱し、予熱帯の出側における板温、加熱帯の燃料原単位、加熱帯の炉温、加熱帯ラジアントチューブの寿命について調査した。
なお、この調査においては、予熱帯の出側における板温が400 ℃を超えると板の表面性状が劣化することになるので350 ℃を超えないようにプレムナムチャンバーにおけるガスの噴出速度を調整(チャンバーの入側の循環ガス(加熱空気)を適宜にブリードさせることによって調整)し熱伝達係数を制御するようにした。
【0032】
Figure 0004013375
【0033】
その結果、図1に示した構成になる熱交換器を使用した処理では、予熱帯の出側板温が200 〜350 ℃、加熱帯の燃料原単位が201 Mcal/tであり、加熱帯のラジアントチューブの寿命は加熱帯の雰囲気温度を低減できることから11.6年程度であることが確認できた。
【0034】
これに対して図14に示すような対流式熱交換器を使用した場合には、同一の処理条件下において予熱帯の出側板温は130 ℃程度、加熱帯の燃料原単位は230 Mcal/t、加熱帯の最高炉温約940 ℃であり、加熱帯のラジアントチューブの寿命は5.5 年であった。
【0035】
次に図4に示したような熱交換器を図5に示したような設備を適用して、厚さ0.5 〜2.3 mm、幅700 〜1850mmの冷延鋼板を下記の条件にて連続焼鈍処理するに際して、燃焼排ガスからの排熱回収率 (予熱帯循環空気の昇温熱/排ガス顕熱) 、加熱帯入側の鋼帯温度、燃料原単位、加熱帯の炉温、加熱帯におけるバーナの燃焼負荷、ラジアントチューブの寿命、切替えバルブの数、設備費等について従来の対流式熱交換器 (比較例) との比較調査をおこなった。その結果を表1に示す (適合例はこの発明に従う熱交換器による) 。
【0036】
Figure 0004013375
【0037】
【表1】
Figure 0004013375
【0038】
表1より明らかな如く、この発明に従う蓄熱式熱交換器(適合例)は、燃焼排ガスによる悪影響が全くなく、従来の対流式熱交換器よりも20%以上も排熱回収率を改善することができ、また、鋼帯の加熱帯入側温度も100 ℃程度上昇し、さらにその他の項目についてもすべて改善される方向にあることが確認できた。
【0039】
図15に示すような回転型蓄熱体を用い、その蓄熱体内における空気平均流量Qa を47m3/S 、蓄熱体回転速度を1.35rpm の条件で操業している場合においては、蓄熱体の空気配管側進入体積(循環ガスを通すセクションへの蓄熱体の進入体積)V1は、
Figure 0004013375
であり、パージ用ガスを通すセクションの断面積S1 と循環ガスを通すセクションの断面積S2 との比は50%の安全率をみて、
S1/S 2 = 1/{(47/0.247)-1}×1.5 =0.8 %としている。
【0040】
図16に上掲図4に示したような構成になる回転型蓄熱式熱交換器に通した高温空気による金属ストリップSの加熱状況の例を、さらに、図17に図14および図16に示した熱交換器を使用した場合における予熱帯入側〜加熱帯出側に至るまでのヒートパターンを示す。
【0041】
この発明においては、循環ガスを通すセクションの出側経路にブリード口を設けた装置を適用して熱交換を行うとともに、予熱帯において板幅が1.2mになる板の加熱(LSD:100) を行ったが、上記の条件の熱交換では、循環ガスの温度が540 ℃であり、予熱帯出側における板温は360 ℃程度になると予想され板の表面不良を招くおそれがあったので、ブリードバルブの開度を70% (ブリード流量 36000Nm3/H)としてブリード口より循環ガスを排出した。その結果、板温はほぼ250 ℃に保たれることが確認できた。
【0042】
【発明の効果】
この発明によれば、連続的あるいは断続的に回転する単一の蓄熱体に燃焼排ガスとパージ用ガスと金属帯に吹きつける循環ガスをそれぞれの通路を通して供給することによって蓄熱、加熱、切換のプロセスを同時に行うことができるので蓄熱体を複数設置する必要がないので設備にかかるコストを低減することが可能であり、装置の操作も簡素化できる。また、熱交換器に付随する配管やバルブの設置本数、個数が少なくてすみ装置自体のコンパクト化が可能であるだけでなく、燃焼排ガスの損失熱を効率よく回収できる。また、燃焼排ガスの損失熱の効率的な回収により、予熱帯において金属帯を効果的に昇温させることができるので加熱帯の設定温度を鋼板の処理に必要な最低限の温度に設定することが可能 (炉温を低く設定できる) であり、その結果として設備のランニングコストの低減、バーナの燃焼負荷が軽減でき、ラジアントチューブに関してもその寿命を著しく延長できる。とくに、熱交換器本体を複数領域に区分して燃焼排ガス、パージガス、循環ガスをそれぞれの領域に通すことによって燃焼排ガスに含まれている異物に起因した品質劣化を回避できる。
さらに、この発明によれば熱交換器の出側、入側のフードを変えることにより排ガスと空気の通過面積を比較的自由に選定できるし、また、ブリード口を設けることによって予熱帯における板の温度が極端に上昇することがなく製品品質の劣化を伴うこともない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に従う熱交換の基本原理を説明するための回転式熱交換器を模式的に示した図である。
【図2】 1に示す熱交換器における循環ガスの予熱帯に至るまでの送給経路を模式的に示した図である。
【図3】 複数の蓄熱式熱交換器を適用した例を示した図である。
【図4】 この発明に従う熱交換器の本体を模式的に示した図である。
【図5】 この発明に従う熱交換器を連続焼鈍炉の予熱帯に適用した例を示した図である。
【図6】 この発明に従う熱交換器の本体の他の例を模式的に示した図である。
【図7】 熱交換器における循環ガスの予熱帯に至るまでの送給経路を模式的に示した図である。
【図8】 予熱帯出側板温と加熱帯出側板温によるGDS O2強度の関係を示した図である。
【図9】 予熱帯出側板温とリン酸塩付着量との関係を示した図である。
【図10】 予熱帯出側板温とP値との関係を示した図である。
【図11】 予熱帯における熱伝達係数αと循環ガスの噴出速度との関係を示した図である。
【図12】 LS・Dと予熱帯出側板温との関係を示した図である。
【図13】 循環ガスの排出量とLS・Dとの関係を示した図である。
【図14】 対流式熱交換器を通した高温空気による金属ストリップの加熱状況を示した図である。
【図15】 熱交換器本体のサイズを示した図である。
【図16】 この発明に従う図4に示す熱交換器を通した高温空気による金属ストリップの加熱状況を示した図である。
【図17】 図14,図16に示した熱交換器を使用した場合における予熱帯入側〜加熱帯出側間のヒートパターンを示した図である。
【符号の説明】
1 熱交換器本体
2 燃焼排ガス供給通路
3 循環ガス供給通路
4 燃焼排ガス供給通路
5 パージ用ガス通路
6 循環ガス供給通路
7 熱風循環ファン
8 既設の対流式熱交換器
a セクション
b セクション
c セクション
d ブリード口
L 軸心
t 蓄熱体

Claims (6)

  1. 焼鈍炉に設置され、その焼鈍炉の予熱帯を循環させる循環ガスを蓄熱体を通して昇温する回転式の熱交換器であって、
    この熱交換器は、少なくとも3つのセクションを有しその全てに蓄熱体を配置した熱交換器本体と、この熱交換器本体の連続的あるいは断続的な回転に合わせて各セクションのそれぞれに、排ガスの顕熱を蓄熱体に付与する燃焼排ガス、燃焼排ガスの顕熱を付与する際に蓄熱体に残留した燃焼排ガスを排除するとともに蓄熱体に付着した異物を取り除くパージ用ガスおよび蓄熱体の有する顕熱を回収して焼鈍炉の予熱帯を通過する金属帯に吹きつけてその温度を上昇させる循環ガスを順次に繰返し通す通路とを備え、パージ用ガスを通すセクションの断面積と循環ガスを通すセクションの断面積との関係が下記の条件を満足するものである、ことを特徴とする金属帯の焼鈍炉用回転式熱交換器。

    S1/S2 ≧1/{(Qa / V1)-1}
    S1 :パージ用ガスを通すセクションの断面積 (m2
    S2 :循環ガスを通すセクションの断面積 (m2
    Qa :蓄熱体を通る空気の平均流量 (m3/s)
    V1 :循環ガスを通すセクションへの蓄熱体の進入体積 (m3/s)
  2. 燃焼排ガスは、焼鈍炉の加熱帯または均熱帯で発生するものである、請求項1記載の焼鈍炉用回転式熱交換器。
  3. 循環ガスはその静圧が燃焼排ガスの静圧よりも高いものである請求項1記載の焼鈍炉用回転式熱交換器。
  4. パージ用ガスを通すセクションの入側通路は循環ガスを通すセクションの入側通路より分岐したものである、請求項記載の焼鈍炉用回転式熱交換器。
  5. 蓄熱体が、 Al2O3あるいはSUS310、SUS316 耐熱性、耐腐食性の良好な材料からなる、請求項1記載の焼鈍炉用回転式熱交換器。
  6. 循環ガスを通す通路に循環ガスの一部を排出して該循環ガスの噴出速度を制御するブリード口を有する、請求項1記載の焼鈍炉用回転式熱交換器。
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