JP4002698B2 - 現像ローラ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真複写機、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真装置に用いる現像ローラに関し、詳しくは乾式1成分トナーの現像ローラに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子写真複写機、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真装置、特に小型機分野においては、メンテナンスの簡素化が進んでおり、乾式1成分トナーの現像方式が実用化されている。
【0003】
特に、特開昭53−3233号に開示されるような、ゴム又はエラストマーの弾性材料で構成される現像ローラを用いた、感光体への接触現像方式、また接触現像方式に用いられる現像ローラが種々提案されている。この接触現像方式では、静電潜像の形成されたドラム感光体に、弾性を有する現像ローラを当接させて、現像ローラ表面に薄層化されたトナーを現像電界に応じて移動させ、可視像化する。この接触現像方式によれば、トナーに磁性材料を使うことなく、カラー化を容易にすることができる。
【0004】
前記接触現像方式においては、現像ローラを感光体に当接させるため、現像ローラは、金属シャフトと金属シャフトの周囲に形成されている導電性の合成ゴム、ウレタンフォームなどからなる弾性層とから構成されている。この弾性層からの可塑剤や低分子成分のブリードアウトによる感光体への汚染、或いはトナーの粘着(タッキング)やフィルミングを防止する目的などから、弾性層の周囲には、可塑剤などの表面へのブリードをブロックし、トナー離型性の良い樹脂からなる表面層を被覆する構成が一般的である。
【0005】
このような現像ローラにおいては、トナーと現像ローラ表面との接触による摩擦帯電によってトナーの帯電の極性、帯電量を制御する必要がある。トナーの感光体への移動は、トナーの帯電の極性、及び現像電界に応じて、静電潜像の画像部、地肌部(非画像部)を選択して行われる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、トナーの帯電量が低く、逆極性のトナーが多い場合、地肌部へのトナー付着となり、転写紙上での出力画像では地肌部のかぶりとなって現れる不具合があった。
【0007】
また、トナーの帯電量が低く、その立ち上がりが悪い場合には、紙の前後端で画像濃度の差を生じたり、ゴーストが現れるなど濃度安定性が悪くなる不具合があった。
更に、高温多湿環境においては、特にトナーへの帯電量は低下し、地肌かぶりが発生しやすく、濃度が不安定になりやすい傾向があった。
【0008】
また、使用初期にこのような問題が発生しない場合でも、長期にわたり連続使用していくうちに、プリント枚数の増加に伴って、現像ローラの表層摩耗に伴い、トナーの帯電量が低下し、地肌部のかぶりが多くなるという問題があった。また、十分な画像濃度が得られなくなるなどの不具合から、実使用上十分な耐久性が得られないなどの問題点があった。
このような問題点から、現像ローラの表面層には環境、長期にわたる使用においても、トナーに安定した帯電量を付与することが重要となる。
【0009】
更に、トナーの移動は現像ローラと静電潜像の間に形成される現像電界によって支配されるため、その現像ローラの表面電位が安定でない場合、静電潜像に忠実に現像できないという不具合がある。つまり、現像ローラの抵抗を制御する必要がある。不具合として具体的には低抵抗側ではリークによる濃度変化、或いはドット再現性の低下があり、高抵抗側では、残像や、濃度安定性を欠くという不具合があった。
【0010】
そのため、現像ローラにはカーボンブラックや、酸化スズ等に代表される金属酸化物等の導電材粒子を分散する、或いはイオン導電性のポリマー、電解質を用いることが公知である。
【0011】
しかし、これらの導電材では、経時で膜の摩耗が進むに連れトナーの帯電量が低下してしまうという不具合や、トナーのフィルミングや固着が発生し易いなどの不具合があった。
【0012】
そこで、本発明は、このような種々の問題点に鑑み、高温多湿環境におけるトナーの使用、及び、長期にわたるトナーの連続使用において、トナーに安定した帯電量を付与することにより、地肌部かぶりや濃度低下のない現像ローラを提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記問題を解決すべく実験を重ねているうちに、現像ローラの表面層として、基体粒子とその外周を被覆するITO(Indium Tin Oxide)層とから構成される粉体を含有したものを用いたところ、高温多湿環境における使用、長期に渡る使用においてもトナーに充分な帯電量を付与し、地肌かぶりや、濃度安定性の画像品質を向上させることができることを見出して本発明を完成するに至った。
【0014】
即ち、請求項1の発明は、表面層上にトナーを担持して、回転しながら静電潜像の形成された像担持体に接触もしくは近接して該像担持体表面にトナーを供給することによって、前記静電潜像を可視化する現像ローラにおいて、前記表面層に、基体粒子と該基体粒子の外周を被覆するITO層とから構成される粉体を含有したことを特徴とする現像ローラである。
【0015】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の現像ローラにおいて、前記表面層における粉体の含有量は、50〜70重量%の範囲であることを特徴としている。
【0016】
また、請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の現像ローラにおいて、前記基体粒子はアルミナ粉体であることを特徴としている。
【0017】
また、請求項4の発明は、請求項1に記載の現像ローラにおいて、前記粉体の粒子径は、5μm以下であることを特徴としている。
【0018】
また、請求項5の発明は、請求項1に記載の現像ローラにおいて、前記表面層の表面は研磨加工されていることを特徴としている。
【0019】
また、請求項6の発明は、請求項5に記載の現像ローラにおいて、前記表面層の研磨加工されている面積は、表面層の表面積の20%以上であることを特徴としている。
【0020】
また、請求項7の発明は、請求項1に記載の現像ローラにおいて、前記表面層は、カーボンブラックが配合されていることを特徴としている。
【0021】
また、請求項8の発明は、請求項7記載の現像ローラにおいて、前記カーボンブラックの配合量は、前記粉体に対して5〜20重量%であることを特徴としている。
【0022】
また、請求項9の発明は、請求項1に記載の現像ローラにおいて、前記表面層の膜厚Aと下層の弾性層の表面粗さBとの関係がB<A<10×Bを満足することを特徴としている。
【0023】
また、請求項10の発明は、請求項1に記載の現像ローラにおいて、前記表面層の膜厚Aと前記粉体の粒子径Cとの関係がA≧10×Cを満足することを特徴としている。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1は本発明に係る現像ローラを用いた現像装置の一実施形態を示す図である。
【0025】
この現像装置は、現像ローラ1と、芯軸の周囲にスポンジを形成してなる補給ローラ2と、トナー搬送部材3と、ケース4とを有し、現像ローラ1,補給ローラ2及びトナー搬送部材3は、ケース4の側板に軸支されている。
【0026】
ケース4内のトナーはトナー搬送部材3と補給ローラ2とを介して現像ローラ1の表面に供給される。現像ローラ1上に供給されたトナーは、更に、トナー層形成部材5によって所定量に薄層化され、現像ローラ1を回転させて感光体6に搬送される。
【0027】
現像ローラ1は、感光体6に平行して接触し、板バネ電極7を介してパワーパック8から感光体6の帯電電位と光書き込み後(露光後)の残留電位のほぼ中間のバイアス電圧が印加されている。現像ローラ1上のトナーが感光体6との接触部に搬送され、感光体電位と現像バイアスによる現像電界に応じて、帯電したトナーが感光体6に付着し静電潜像が可視像化される。
【0028】
図2は本発明に係る現像ローラの構成の一実施形態を示す図である。
現像ローラ1は、金属からなる芯軸11と、芯軸11の周囲に形成されたゴム又はエラストマーからなる弾性層12と、弾性層12の周囲に被覆された表面層13とで構成される。
【0029】
弾性層12として例えば、エチレンプロピレンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、スチレンゴム、イソプレンゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム又はフォームなど公知のゴム、エラストマーが使用可能である。
【0030】
表面層13は、弾性層12の周囲に、例えばディップ法、スプレーコート、ロールコートなどの種々のコーティング、或いはチューブ状に成形した成形物を被覆することなどにより形成される。
【0031】
(実施例1)
接着剤を塗布した直径8mmのSUS芯軸の周囲に、弾性層として下記の組成からなるエピクロルヒドリンゴムをクロス押出成形後、加熱加硫を行った。その後、外径研削により、直径20mmに調整することで6mm厚の弾性層を得た。
エピクロルヒドリンゴム 100重量部
炭酸カルシウム 30重量部
加硫促進剤 3重量部
イオウ 1重量部
【0032】
次に下記の組成からなる表面層をスプレーコートによって形成し、150℃で1時間の焼成を行った。
アクリルポリオール 70重量部
ベンゾグアナミン 30重量部
ITO被覆アルミナ粉体 150重量部
【0033】
(比較例1)
実施例1と同様に弾性層を得た後、下記の組成からなる表面層をスプレーコートによって形成し、150℃で1時間の焼成を行った。
アクリルポリオール 70重量部
ベンゾグアナミン 30重量部
カーボンブラック 20重量部
【0034】
(比較例2)
実施例1と同様に弾性層を得た後、下記の組成からなる表面層をスプレーコートによって形成し、150℃で1時間の焼成を行った。
アクリルポリオール 70重量部
ベンゾグアナミン 30重量部
酸化スズ 150重量部
【0035】
実施例1及び比較例1,2について、現像ローラの表面層抵抗と、課題であるトナー帯電性と、それに係る地肌かぶりと、濃度安定性とを23℃50%RH(相対湿度)環境及び30℃80パーセントRH(相対湿度)環境で評価し、長期の使用による安定性を10000枚プリント後に評価した結果、表1に示す通りであった。
【0036】
【表1】
Figure 0004002698
【0037】
実施例1と比較例1,2との比較から、本発明の導電材としてITO被覆アルミナ粉体を用いることで長期に渡る使用後のトナーの帯電性が向上していることがわかる。また、これにより、地肌かぶり、濃度安定性の画像品質が向上していることがわかる。
また、ITO被覆アルミナ粉体の含有量に対する表面層の抵抗、及び画像品質を評価した結果は、表2の通りであった。
【0038】
【表2】
Figure 0004002698
【0039】
以上の結果より、ITO被覆アルミナ粉体の含有量としては、50〜70重量%の範囲が好適であることが判明した。
【0040】
以上、本発明の利点を挙げると次の通りとなる。
表面層上にトナーを担持して、回転しながら静電潜像の形成された像担持体に接触もしくは近接して該像担持体表面にトナーを供給することによって、前記静電潜像を可視化する現像ローラにおいて、前記表面層は、基体粒子と該基体粒子の外周を被覆するITO層とから構成される粉体を含有したので、高温多湿環境における使用、長期に渡る使用においてもトナーに十分な帯電量を付与し、地肌かぶりや、濃度安定性の画像品質を向上させることができる現像ローラを提供できる。
【0041】
更に、前記表面層における粉体の含有量は、50〜70重量%の範囲であるので、高温多湿環境における使用、長期に渡る使用においてもトナーに十分な帯電量を付与し、地肌かぶりや、濃度安定性の画像品質を向上させることができるとともに、電気抵抗を好適な範囲に制御することができるため、残像が無く濃度安定性がよい現像ローラを提供できる。
【0042】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態においては、弾性層及び表面層を有する現像ローラであって、その表面層中に、基体粒子である粉体基体にITOを被覆した粉体粒子を含有させる第1実施形態と同様の現像ローラにおいて、その粉体粒子径を5μm以下とすることにより、トナーに長期に渡って安定した帯電量を付与し、地肌のかぶり、濃度低下を防止、好適なドット再現性を確保することが可能であることを見出した。
【0043】
(実施例2)
実施例1と同様の組成の弾性層及び表面層を有し、表面層の表面粗さRzが異なる3種類の現像ローラを作製した。本実施例では、表面層の表面粗さRz(μm)が1.3,1.6,2.9の場合について示す。
(比較例3)
実施例1と同様の組成の弾性層及び表面層を有し、表面層の表面粗さRzが異なる2種類の現像ローラを作製した。本比較例では、表面層の表面粗さRz(μm)が4.2,7.0の場合について示す。
【0044】
図3は、ITO被覆アルミナ粉体の平均粒子径と表面層の表面粗さRzとの関係を示す図である。
図3に示すように、表面層の表面粗さRzは図3に示したとおり、ITO被覆アルミナ粉体の平均粒子径と相関が有り、平均粒子径が大きくなると表面粗さRzが大きくなることが判明した。
また、表面粗さとドット画像の濃度均一性の評価結果を表3に示す。
【0045】
【表3】
Figure 0004002698
【0046】
表3より、ITO被覆アルミナ粉体の粒子径が大きく、その表面粗さRzが増大した場合にドット画像の濃度均一性が損なわれることがわかる。
つまり、好適な濃度均一性を得るためには表面粗さRzを3μm以下とすること、それを達成するにはITO被覆アルミナ粉体の粒子径を5μm以下とすることが必要である。
【0047】
このように、本発明は、トナーを担持して、回転しながら静電潜像の形成された像担持体に接触若しくは近接して像担持体表面にトナーを供給することによって、前記静電潜像を可視化する現像ローラにおいて、その外周の表面層に、基体粒子と、その外周を被覆するITO層から構成される粉体を含有し、前記粉体の粒子径が5μm以下であるので、高温多湿環境における使用、長期にわたる使用においてもトナーに十分な帯電量を付与し、地肌かぶりや、濃度安定性の画像品質を向上させ、且つ好適な濃度均一性を確保することが可能になる。
【0048】
(第3実施形態)
本発明は、トナーに対して安定した帯電量を付与することにより、地肌汚れが低減され、濃度階調性の良い現像ローラを提供することを目的とする。
本発明者らは、複合粉体を現像ローラの表面層に含有させ、この表面層を研削、又は研磨加工することにより、トナーに高帯電量を付与し、地肌のかぶり、濃度低下を防止することが可能であることを見い出した。
【0049】
現像ローラは通常現像バイアスを印加し、軸回転を可能に出来るように、金属製の芯金に105 〜1010Ωの中抵抗特性をもつ、プラスチック、ゴム材料を被覆している。また、トナーとのタッキングを防止するため、これらのプラスチック、ゴム材料上に105 〜1010Ωの中抵抗特性を有するタッキング性の少なく、トナー帯電性の良い樹脂成分を表面層に被覆する構造となっている。
【0050】
ただし、樹脂材料は電気的には絶縁性の性質を持っているため、電気抵抗を調整するためにカーボンブラックや、酸化スズ、またITO等に代表される金属酸化物等の導電材粒子を分散する、或いはイオン導電性のポリマー、電解質を用いる。
【0051】
これらの中でも粉体基体にITOを被覆した粒子を現像ローラ表面層に含有させることによって、長期にわたって安定した帯電量を付与し、地肌のかぶり、濃度低下を防止、また電気抵抗を好適な範囲に制御することが可能である。
【0052】
このITO被覆アルミナ粉体を分散させた表面層を予め研磨粉や研磨粉を付着させた研磨テープ、又は研磨粉を凝固、焼結させた研磨工具で表面層を研磨する。現像ローラに作用する研磨力は、製品実施上作用する摩擦力、つまりは現像ローラの回転によるトナー、トナー量を規制するブレード、供給ローラとの摩擦力より大きい。
【0053】
現像ローラ表面は表層樹脂の中にITO被覆アルミナ粉体が均一に分散されている状態になっている。現像ローラ表面の研磨加工により樹脂成分、ITO成分とも摩耗するが、ITO成分は樹脂成分に比べ、脱離の割合が多い。これは表面層の構造として、樹脂成分が分子鎖で結合しているのに対し、ITOは粒子で樹脂内に分散している。これにより、ITOが脱離し易くなる。
【0054】
その結果、表面層の表面はITO被覆アルミナ粉体の比率が少なくなり、樹脂の比率が上がる。この結果、トナーは導電粒子に接触する機会より、トナーに導電性を付与する樹脂成分に接触する機会の方が多くなり、摩擦帯電力が強く結果的に初期的にトナーの帯電量が増加する。
【0055】
研磨加工の場合、刃具は用いず、ある大きさを持った面ですりあわせる加工であるため、ローラ全面を均一に研磨しても、研磨されている箇所、研磨されていない箇所が生じることになる。特にローラ表面の粗さが大きい場合は表面の山となる部分は研磨、摩耗され、谷になる部分が研磨されずに残る傾向が強くなる。
【0056】
また、研磨加工条件においても研磨押しつけ圧が強い、研磨時間が長い、研磨粉の粒径を大きくする(研磨工具の番手を粗くする)などにより研磨される箇所が多くなり、なおかつ研磨量も多くなる。
【0057】
本現像ローラにおいて、現像ローラの表面粗さRz、研磨条件を調整し、現像ローラ研磨面積とトナーの帯電量を比較したところ、研磨面積が20%以下では、トナーの高帯電量効果が小さいことがわかった。これは、ITOの脱離が少なく、樹脂とトナーの接触する割合が大きくならないためである。
【0058】
表面層の電気抵抗値は、大きくは表面層の材料処方、加工条件、厚みで決定される。基本的に表面層の電気抵抗値の方が下地層の電気抵抗値より高ければ、厚みが小さくなることで現像ローラ全体の電気抵抗値は減少する。また、逆に表面層の電気抵抗値の方が下地より低ければ、厚みが小さくなることで現像ローラ全体の電気抵抗値は増加する。
また、研磨される厚みが摩耗前の表面層全体の厚みの10%以上になるとローラ電気抵抗値の変動が大きくなることがわかった。
【0059】
また、現像ローラの表面を摩耗させる研磨加工としては、研磨紙によるテープ研磨、バフ研磨、磁石を使ったグラインダーなどがあるが、ローラがゴム、エラストマー系であり低硬度であることより、研磨抵抗の比較的少ないテープ研磨を採用する。
【0060】
テープ研磨加工は、先ず現像ローラの両軸を軸回転できるようにチャックし、現像ローラを回転させながら、幅約1インチ、厚さ約0.1ミリメートルのシリコンカーバイト砥粒を研磨面に塗布、接着させた研磨テープをローラの片端からローラに対して一定のテンション、一定の軸方向送り速度を保ち、ローラを研磨していく加工である。研磨テープもテープリールに巻き付け、研磨された箇所に研磨カスがたまり、目詰まりを起こさないように、順次一定速度でテープを移動させる。
【0061】
実施例3,参考例1では、ITO被覆アルミナ粉体を含有した表面層を持った現像ローラに対して、研磨加工した場合としない場合とを比較、即ち研磨有無について、トナー帯電量、画像特性の差を比較した。
【0062】
(実施例3)
実施例1と同様の弾性層及び表面層を得た後、次の加工条件で表面をテープ研磨した。
ローラ回転数:1200rpm
研磨テープ:HGC#1000(シリコンカーバイト砥粒、粒径約10μm)
テープテンション:約1.5kg
軸方向送り速度:10sec/100mm
テープ送り速度:70mm/min
【0063】
(参考例1)
実施例1と同様の弾性層及び表面層を得た。テープ研磨なし。
【0064】
また、比較例4,5では、ITO被覆アルミナ粉体をカーボンブラックに置き換えたときの研磨有無について、トナー帯電量、画像特性の差を比較した。
【0065】
(比較例4)
実施例3と同様に弾性層を得た後、下記組成からなる表面層をスプレーコートによって形成し、150℃×1時間の焼成を行った。
アクリルポリオール 70重量部
ベンゾグアナミン 30重量部
カーボンブラック 20重量部
この表面層の表面を実施例3と同様の加工条件で研磨加工した。
【0066】
(比較例5)
比較例4の弾性層、表面層を得、テープ研磨加工はなし。
【0067】
実施例3、参考例1、及び比較例4,5についてローラ表面層の抵抗、課題であるトナー帯電性とそれに関わる画像地肌汚れ、濃度階調性を23℃50%RH環境及び30℃80パーセントRH環境で評価した。
【0068】
実施例3と参考例1については、ITO被覆アルミナ粉体を配合した表面層を持つ現像ローラについて、トナーの帯電量、画像において濃度階調性、地肌汚れを評価した。
その結果を表4に示す。
【0069】
なお、トナー帯電性については、現像ローラ上のトナーの帯電量を測定し、単位重量当たりの電荷を求めた。絶対値が大きい方が帯電性良好である。
地肌汚れについては、感光体上非画像部に付着したトナーを透明テープでサンプリングし、濃度計で測定した。ID(濃度)が小さい方が地肌汚れが小さい。
画像階調性については、15階調の濃度差のあるマスターサンプルをコピーし、その出力における階調数をカウントした。階調数が多い方が濃度再現性が高い。
【0070】
【表4】
Figure 0004002698
【0071】
表4から、実施例3では、トナー帯電性が増加し、地肌汚れ、濃度階調性にも効果が見られていることがわかる。
これは、表面を摩耗することにより、導電性のITO成分が樹脂成分より多く、摩耗(脱離)し、結果的に表面はトナーに導電性を付与する樹脂成分の割合が多くなり、その結果トナー帯電性が向上したものである。
【0072】
また、ITO被覆アルミナ粉体をカーボンブラックに置き換えた比較例4,5(研磨有り/なし)においては、両例に差は見られず、表面摩耗による効果は見られなかった。カーボンブラックは樹脂中に分散配合した場合、ストラクチャーと呼ばれる、カーボン粒子の連鎖が生じるため研磨加工によるカーボンブラックの脱離がITO被覆アルミナ粉体より少なく、効果が見られなかった。
【0073】
(実施例4)
実施例3と同様に、表面層及び弾性層を形成し、実施例3の加工条件のうち、テープテンションを1.0kgに変えてローラ表面を研磨した。
【0074】
(実施例5) 実施例3と同様に、表面層及び弾性層を形成し、実施例3の加工条件のうち、テープテンションを2.0kgに変えてローラ表面を研磨した。
【0075】
(比較例6)
実施例3と同様に、表面層及び弾性層を形成し、実施例3の加工条件のうち、テープテンションを0.5kgに変えてローラ表面を研磨した。
【0076】
上記実施例3,4,5について、摩耗面積を表面積の10〜90パーセントの範囲になるように研磨テープのテンションを調整した。
摩耗面積の割合は現像ローラの表面を顕微鏡で拡大し、摩耗後(研磨後、研磨された箇所はスジ模様が見られる)のある箇所と無い箇所を画像処理で分類し、面積率を算出した。その結果を表5に示す。
【0077】
【表5】
Figure 0004002698
【0078】
表5から、約10パーセントの摩耗面積率では未研磨と差は見られないが、約20パーセントの摩耗率では、トナー帯電量、地肌汚れ、濃度階調性が優れてくることがわかる。
【0079】
(実施例6)
実施例3と同様に、表面層及び弾性層を形成し、研磨回数を2回に変えてローラ表面を研磨した。
【0080】
(実施例7)
実施例3と同様に、表面層及び弾性層を形成し、研磨回数を4回に変えてローラ表面を研磨した。
【0081】
(実施例8)
実施例3と同様に、表面層及び弾性層を形成し、研磨回数を6回に変えてローラ表面を研磨した。
【0082】
(比較例7)
実施例3と同様に、表面層及び弾性層を形成し、研磨回数を8回に変えてローラ表面を研磨した。
【0083】
(比較例8)
実施例3と同様に、表面層及び弾性層を形成し、研磨回数を10回に変えてローラ表面を研磨した。
【0084】
摩耗加工による摩耗量(摩耗厚み)と電気抵抗との関係を表6に示す。摩耗量はテープ研磨の研磨回数を2〜10回行い、加工前後での外径差をレーザー測長機で測定した。摩耗厚みは以下の式で算出した。
・摩耗厚み=(加工前の外径−加工後の外径)/2
(外径はローラの直径となるため、半径値を研磨厚みとする)
また、摩耗前の表面層の厚みを測定したところ、12±1μmであった。
【0085】
【表6】
Figure 0004002698
【0086】
表6より摩耗厚みが摩耗前の表面層厚みの10%以上になったところでローラ電気抵抗値が急激に上昇していることがわかる。この領域では摩耗厚みを精密に管理しなければ、ローラの電気抵抗値が大きく変化することを意味する。よって、摩耗される厚みは摩耗前の表面層厚みの10%以内が適切であることがわかる。
【0087】
本発明によれば、トナーを担持して、回転しながら静電潜像の形成された像担持体に接触若しくは近接して像担持体表面にトナーを供給することによって、前記静電潜像を可視化する現像ローラにおいて、その表面層に、基体粒子とその外周を被覆するITO層とから構成されるITO被覆アルミナ粉体を含有し、その表面を研磨加工し、均一に摩耗させた表面を有するので、トナーに充分な帯電量を付与し、地肌汚れ、濃度階調性の良い画像品質を向上させることが出来る現像ローラを提供することができる。
【0088】
(第4実施形態)
トナーを担持して、回転しながら静電潜像の形成された像担持体に接触若しくは近接して像担持体表面にトナーを供給することによって、前記静電潜像を可視化する現像ローラにおいて、このような表面層の抵抗は、105 〜1010Ωの中抵抗域にする必要がある。低いと電流リークが生じ、これより高いと現像ローラ上に残留電位が発生し電位が安定しなくなる。
【0089】
従来は表面層の抵抗を調整するために導電粒子としてもカーボンブラックを表面層に分散させる方法が一般的であったが、カーボンブラックは凝集力が強く、凝集箇所は抵抗が低くなり、リークしやすくなる。よって、カーボンブラックの分散には分散の条件が難しい点があった。
【0090】
また、これらの現像ローラに求められる品質として表面層膜の可撓性が良く、基材ローラの変形に対して充分追従できることが挙げられる。現像ローラはトナーやそのトナー量を規制するためのブレード上の部材と絶えず接触し、外力を受けている。また、搬送中の振動や落下などの衝撃に対しても基材ローラの変形に膜の変形が追従しなければならない。この特性が劣ると表面層膜の割れ、傷が生じやすくなり、その欠陥が画像にそのまま現れることになる。
【0091】
本発明では、現像ローラの表面層に導電粒子として、ITO被覆アルミナ粉体とカーボンブラックとを配合して現像ローラを構成したので、表面層に安定した均一な電気抵抗を容易に実現でき、なおかつ表面層の可撓性を充分得られる。
【0092】
ITO被覆アルミナ粉体を表面層に配合することにより、電気的に安定した性質を得られる。これは、カーボンブラックのような粒子の凝集力が小さく、分散性が良いためである。
また、カーボンブラックは凝集力が強くストラクチャーと呼ばれる粒子が連結した状態になり易いため、分散調整が難しく抵抗ムラが生じやすいがこのストラクチャーが生じることにより、膜強度が強くなり、可撓性も良くなる。
【0093】
また、発明では、現像ローラの表面層のカーボンブラックの配合量をITO被覆アルミナ粉体の配合量の5〜20重量部にすることにより、膜の可撓性と安定した電気抵抗特性を得ることが出来る。
【0094】
安定した電気特性と膜の可撓性を得るために、ITO被覆アルミナ粉体とカーボンブラックとの配合比が重要である。基本的にはITO被覆アルミナ粉体の配合量により電気特性を調整し、カーボンブラックの配合量により膜の可撓性を調整する。ITO被覆アルミナ粉体の配合量に関しては、表面層において、50〜70重量%が妥当であることが報告されている。カーボンブラックに関しては、表面層の電気抵抗に影響のない範囲で配合することが要求される。その結果、ITO被覆アルミナ粉体の配合量の5〜20重量%が膜の可撓性と安定した電気抵抗特性に有効であることを見出した。
【0095】
表面層材料としては樹脂成分としてアクリルポリオールとベンゾグアナミン、導電粒子としてITO被覆アルミナ粉体とアセチレンブラックを使用した。
【0096】
図4は、軸方向電気特性の平板法による測定を示す図である。この測定では、現像ローラの芯軸11と電極14との間に、電流計15を介して直流電源16から電圧を印加する。
評価方法としては電気抵抗は現像ローラ1を周方向に8分割させ、図4に示すように軸方向電気特性を平板法で測定した。その8カ所の測定値の差を抵抗偏差とし抵抗ムラとした。
【0097】
図5は、膜の損傷面積の測定を説明するための図である。
また、膜の可撓性については、図5に示すように、表面層13に半径2mmの金属製の球17を2kg,30secで加重し、そのときの膜の損傷面積を測定し、その面積が小さい方が表面層膜が基材ローラの変形に追従しており、表面層膜と基材ローラとの密着性がよい状態と評価した。つまり膜の可撓性が優れていると評価した。
【0098】
(実施例9)
実施例1と同様に弾性層を得た後、下記組成からなる表面層をスプレーコートによって形成、150℃×1時間の焼成を行った。
アクリルポリオール 70重量部
ベンゾグアナミン 30重量部
ITO被覆アルミナ粉体 50重量部
アセチレンブラック 5重量部(ITO被覆アルミナ粉体の10重量%)
【0099】
(比較例9)
実施例9と同様に弾性層を得た後、下記組成からなる表面層をスプレーコートによって形成、150℃×1時間の焼成を行った。
アクリルポリオール 70重量部
ベンゾグアナミン 30重量部
ITO被覆アルミナ粉体 50重量部
結果を表7に示す。
【0100】
【表7】
Figure 0004002698
【0101】
表7に示すように、実施例9により、電気抵抗としては大きな変化は見られないが、表面層膜の損傷面積が小さくなり、つまりは表面層膜の可撓性が増加していることがわかる。
【0102】
以下の実施例10〜12及び比較例10〜15は、比較例9に示す表面層の配合量でのITO被覆アルミナ粉体の配合量に対するカーボンブラックの配合量を種々変更したものである。
【0103】
(実施例10)
比較例9に示す表面層の配合量でのITO被覆アルミナ粉体の配合量に対して、カーボンブラックを5重量%(ITO被覆アルミナ粉体の配合量50重量部に対して2.5重量部)配合した。
【0104】
(実施例11)
比較例9に示す表面層の配合量でのITO被覆アルミナ粉体の配合量に対して、カーボンブラックを15重量%(ITO被覆アルミナ粉体の配合量50重量部に対して7.5重量部)配合した。
【0105】
(実施例12)
比較例9に示す表面層の配合量でのITO被覆アルミナ粉体の配合量に対して、カーボンブラックを20重量%(ITO被覆アルミナ粉体の配合量50重量部に対して10重量部)配合した。
【0106】
(比較例10)
比較例9に示す表面層の配合量でのITO被覆アルミナ粉体の配合量に対して、カーボンブラックを25重量%(ITO被覆アルミナ粉体の配合量50重量部に対して12.5重量部)配合した。
【0107】
(比較例11)
比較例9に示す表面層の配合量でのITO被覆アルミナ粉体の配合量に対して、カーボンブラックを30重量%(ITO被覆アルミナ粉体の配合量50重量部に対して15重量部)配合した。
【0108】
(比較例12)
比較例9に示す表面層の配合量でのITO被覆アルミナ粉体の配合量に対して、カーボンブラックを35重量%(ITO被覆アルミナ粉体の配合量50重量部に対して17.5重量部)配合した。
【0109】
(比較例13)
比較例9に示す表面層の配合量でのITO被覆アルミナ粉体の配合量に対して、カーボンブラックを40重量%(ITO被覆アルミナ粉体の配合量50重量部に対して20重量部)配合した。
【0110】
(比較例14)
比較例9に示す表面層の配合量でのITO被覆アルミナ粉体の配合量に対して、カーボンブラックを45重量%(ITO被覆アルミナ粉体の配合量50重量部に対して22.5重量部)配合した。
【0111】
(比較例15)
比較例9に示す表面層の配合量でのITO被覆アルミナ粉体の配合量に対して、カーボンブラックを50重量%(ITO被覆アルミナ粉体の配合量50重量部に対して25重量部)配合した。
【0112】
図6は、表面層中のITO被覆アルミナ粉体に対するカーボンブラック配合量と電気抵抗平均との関係を示す図であり、図7は、表面層中のITO被覆アルミナ粉体に対するカーボンブラック配合量と損傷面積との関係を示す図である。
【0113】
図6では、実施例10〜12及び比較例9〜15における電気抵抗平均値及び電気抵抗偏差を示し、図7では、実施例10〜12及び比較例9〜15における可撓性を示した。
【0114】
その結果、図6に示すように、電気特性値はカーボンブラック20重量%を超えると急激に減少し、偏差も大きくなることがわかった。これは、20重量%を越えることにより、カーボンのストラクチャーが形成され、抵抗に寄与してくるためであると考えられる。
【0115】
また、図7に示すように、カーボンブラック配合による膜の可撓性効果は5重量%からでも効果があることが見られることがわかった。これにより、カーボンブラック5重量%からでもストラクチャーを形成し膜の可撓性が上がるが電気特性的にはITO被覆アルミナ粉体の分散の影響が強く、現れてこない。そして20重量%を越えるとカーボンブラックの処方量が影響してくることがわかった。
この結果により、カーボンブラックを5重量%以上20重量%以下にすることが必要であることがわかった。
【0116】
本発明は、トナーを担持して、回転しながら静電潜像の形成された像担持体に接触若しくは近接して像担持体表面にトナーを供給することによって、前記静電潜像を可視化する現像ローラにおいて、その外周の表面層に導電粒子としてのITO被覆アルミナ粉体とカーボンブラックとを配合したので、表面層でトナーのタッキング、電気抵抗の調整を行っている現像ローラにおいて、表面層の膜の追従性、つまりは表面層膜の可撓性と安定した電気特性を得ることが出来る。
【0117】
また、表面層でトナーのタッキング、電気抵抗の調整を行っている現像ローラにおいて、表面層中の基体粒子とその外周を被覆するITO層とから構成される粉体の配合量に対して、カーボンブラックを5〜20重量%にすることで表面層の膜の可撓性と安定した電気特性を得ることが出来る。
【0118】
(第5実施形態)
トナーを担持して、回転しながら静電潜像の形成された像担持体に接触若しくは近接して像担持体表面にトナーを供給することによって、前記静電潜像を可視化する現像ローラにおいて、その表面層は、感光体或いはトナーシール部材に押圧されながら回転するため、長期にわたる使用によってひび割れなどの問題が発生する場合がある。ひび割れは画像欠陥となって出力画像に現れる不具合となるので、外層押圧された弾性層の変形に充分追従する可撓性が必要になる。
【0119】
本発明者らは、粉体基体にITOを被覆した粒子を現像ローラ表面層に含有させ、且つ表面層の膜厚Aが下層の弾性層の表面粗さBとの関係でB<A<10Bを満足することにより、トナーに長期にわたって安定した帯電量を付与し、地肌のかぶり、濃度低下を防止、好適なドット再現性を確保することが可能であることを見出した。
【0120】
(実施例13)
実施例1と同様に弾性層を得た後、この弾性層の表面粗さBを4μmになるように加工した。次に、実施例1と同様にして表面層を得た後、表面層を8μmの膜厚に加工した。
【0121】
(実施例14)
実施例13と同様に弾性層を得た後、この弾性層の表面粗さBを4μmになるように加工した。次に、実施例1と同様にして表面層を得た後、表面層を16μmの膜厚に加工した。
【0122】
(実施例15)
実施例13と同様に弾性層を得た後、この弾性層の表面粗さBを4μmになるように加工した。次に、実施例1と同様にして表面層を得た後、表面層を32μmの膜厚に加工した。
【0123】
(比較例16)
実施例13と同様に弾性層を得た後、この弾性層の表面粗さBを4μmになるように加工した。次に、実施例1と同様にして表面層を得た後、表面層を4μmの膜厚に加工した。
【0124】
(比較例17)
実施例13と同様に弾性層を得た後、この弾性層の表面粗さBを4μmになるように加工した。次に、実施例1と同様にして表面層を得た後、表面層を40μmの膜厚に加工した。
【0125】
(比較例18)
実施例13と同様に弾性層を得た後、下記組成からなる表面層をスプレーコートによって形成、150℃×1時間の焼成を行った。なお、表面層は16μmの膜厚に加工した。
【0126】
アクリルポリオール 70重量部
ベンゾグアナミン 30重量部
カーボンブラック 20重量部
【0127】
【表8】
Figure 0004002698
【0128】
実施例13〜15と比較例16〜18との比較から、本発明の導電材としてのITO被覆アルミナ粉体を用いること且つ表面層の膜厚Aが下層の弾性層の表面粗さBとの関係でB<A<10×Bを満足することにより、長期にわたる使用後のトナーの帯電性が向上していることがわかる。また、これにより、地肌かぶり、濃度安定性の画像品質が向上していることがわかる。
膜厚が弾性層の表面粗さBと同じ場合には初期から表面層の一部から弾性層の一部が露出している場合がある。また、経時で表面層が摩耗した際にその傾向がより顕著になることより、表面層のトナー固着性が優れていても、弾性層が露出した部分にトナー固着が発生してしまうため、帯電量の低下、地肌汚れが悪くなる。
【0129】
ただし、表面層は薄い方が膜としての可撓性に優れるため、表面層の膜厚上限は膜強度から規定されるため、実施例で示すようにA<10×Bが要求される。
また、より高画質を要求されるのであれば、表面層の膜厚は30μm以下が望ましい。
【0130】
本発明は、トナーを担持して、回転しながら静電潜像の形成された像担持体に接触若しくは近接して像担持体表面にトナーを供給することによって、前記静電潜像を可視化する現像ローラにおいて、その外周の表面層に、基体粒子と、その外周を被覆するITO層から構成される粉体を含有し、且つ前記表面層の膜厚Aと下層の弾性層の表面粗さBとの関係がB<A<10×Bであるので、高温多湿環境における使用、長期にわたる使用においてもトナーに充分な帯電量を付与し、地肌かぶりや、濃度安定性の画像品質を向上させ、且つ好適な濃度均一性を確保することが可能になる。
【0131】
(第6実施形態)
トナーを担持して、回転しながら静電潜像の形成された像担持体に接触若しくは近接して像担持体表面にトナーを供給することによって、前記静電潜像を可視化する現像ローラにおいて、
表面層は、感光体或いはトナーシール部材に押圧されながら回転するため、長期にわたる使用によってひび割れなどの問題が発生する場合がある。ひび割れは画像欠陥となって出力画像に現れる不具合となるので、外層押圧された弾性層の変形に充分追従する可撓性が必要になる。
【0132】
本発明者らは、粉体基体にITOを被覆した粒子を現像ローラ表面層に含有させ、且つ表面層の膜厚AとITOを被覆した粉体基体の粉体粒子径Cとの関係がA≧10×Cを満足することにより、トナーに長期にわたって安定した帯電量を付与し、地肌のかぶり、濃度低下を防止、好適なドット再現性を確保することが可能であることを見出した。
【0133】
(実施例16)
実施例1と同様に弾性層を得た後、この弾性層の表面粗さRzを4μmになるように加工した。
次に、下記組成からなる表面層をスプレーコートによって形成、150℃×1時間の焼成を行った。なお、ITO被覆アルミナ粉体の粒子径Cは0.5μmのものを使用し、表面層の膜厚は5μmに加工した。
【0134】
(実施例17)
実施例16と同様に弾性層を得た後、この弾性層の表面粗さRzを4μmになるように加工した。
次に、下記組成からなる表面層をスプレーコートによって形成、150℃×1時間の焼成を行った。なお、ITO被覆アルミナ粉体の粒子径Cは0.5μmのものを使用し、表面層の膜厚は16μmに加工した。
【0135】
(実施例18)
実施例16と同様に弾性層を得た後、この弾性層の表面粗さRzを4μmになるように加工した。
次に、下記組成からなる表面層をスプレーコートによって形成、150℃×1時間の焼成を行った。なお、ITO被覆アルミナ粉体の粒子径Cは0.5μmのものを使用し、表面層の膜厚は32μmに加工した。
【0136】
(比較例19)
実施例16と同様の組成、工法で弾性層、表面層を形成する。なお、表面層の膜厚は4μmで加工した。
【0137】
(比較例20)
実施例16と同様に弾性層を得た後、下記組成からなる表面層をスプレーコートによって形成、150℃×1時間の焼成を行った。なお、表面層の膜厚は16μmで加工した。
アクリルポリオール 70重量部
ベンゾグアナミン 30重量部
カーボンブラック 20重量部
【0138】
実施例16〜18及び比較例19,20についてローラ表面層の抵抗、課題であるトナー帯電性とそれに関わる地肌かぶり、また濃度安定性を23℃50%RH環境及び30℃80%RH環境で評価し、長期の使用による安定性を10000プリント後に評価した結果を表9に示す。
【0139】
【表9】
Figure 0004002698
【0140】
実施例16〜18と比較例19,20との比較から、本発明の導電材としてのITO被覆アルミナ粉体を用いること且つ表面層の膜厚AがITO被覆アルミナ粉体の粒子径Cとの関係でA≧10×Cを満足することにより、長期にわたる使用後のトナーの帯電性が向上していることがわかる。また、これにより、地肌かぶり、濃度安定性の画像品質が向上していることがわかる。
【0141】
本発明者らは、トナーを担持して、回転しながら静電潜像の形成された像担持体に接触若しくは近接して像担持体表面にトナーを供給することによって、前記静電潜像を可視化する現像ローラにおいて、その外周の表面層に、基体粒子と、その外周を被覆するITO層から構成される粉体を含有し、勝表面層の膜厚Aが前記粉体の粒子径Cとの関係が、A≧10×Cであるので、高温多湿環境における使用、長期に渡る使用においてもトナーに充分な帯電量を付与し、地肌かぶりや、濃度安定性の画像品質を向上させ、且つ好適な濃度均一性を確保することが可能になる。
【0142】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【0143】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明によれば、高温多湿環境における使用、長期に渡る使用においてもトナーに十分な帯電量を付与し、地肌かぶりや、濃度安定性の画像品質を向上させることができる現像ローラを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る現像ローラを用いた現像装置の一実施形態を示す図である。
【図2】本発明に係る現像ローラの構成の一実施形態を示す図である。
【図3】ITO被覆アルミナ粉体の平均粒子径と表面層の表面粗さRzとの関係を示す図である。
【図4】軸方向電気特性の平板法による測定を示す図である。
【図5】膜の損傷面積の測定を説明するための図である。
【図6】表面層中のITO被覆アルミナ粉体に対するカーボンブラック配合量と電気抵抗平均との関係を示す図である。
【図7】表面層中のITO被覆アルミナ粉体に対するカーボンブラック配合量と損傷面積との関係を示す図である。
【符号の説明】
1 現像ローラ
2 補給ローラ
3 トナー搬送部材
4 ケース
5 トナー層形成部材
6 感光体
7 板バネ電極
11 芯軸
12 弾性層
13 表面層
A 膜厚
B 表面粗さ
C 粒子径

Claims (10)

  1. 表面層上にトナーを担持して、回転しながら静電潜像の形成された像担持体に接触もしくは近接して該像担持体表面にトナーを供給することによって、前記静電潜像を可視化する現像ローラにおいて、
    前記表面層に、基体粒子と該基体粒子の外周を被覆するITO層とから構成される粉体を含有したことを特徴とする現像ローラ。
  2. 前記表面層における前記粉体の含有量は、50〜70重量%の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の現像ローラ。
  3. 前記基体粒子はアルミナ粉体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の現像ローラ。
  4. 前記粉体の粒子径は、5μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の現像ローラ。
  5. 前記表面層の表面は研磨加工されていることを特徴とする請求項1に記載の現像ローラ。
  6. 前記表面層の研磨加工されている面積は、表面層の表面積の20%以上であることを特徴とする請求項5に記載の現像ローラ。
  7. 前記表面層は、カーボンブラックが配合されていることを特徴とする請求項1に記載の現像ローラ。
  8. 前記カーボンブラックの配合量は、前記粉体に対して5〜20重量%であることを特徴とする請求項7記載の現像ローラ。
  9. 前記表面層の膜厚Aと下層の弾性層の表面粗さBとの関係がB<A<10×Bを満足することを特徴とする請求項1に記載の現像ローラ。
  10. 前記表面層の膜厚Aと前記粉体の粒子径Cとの関係がA≧10×Cを満足することを特徴とする請求項1に記載の現像ローラ。
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